(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8(A)は、特許文献1の
図3に示すようなベッドの一方の短辺の中央部に設けられた吸気口から空気を流入させて他方の短辺の中央部に設けられた排気口から流出させる空気循環の空気の流れをシミュレーションした結果を示す。空気の流量が多いところは、空気の流れを表す曲線の密度が高くなっており、空気の流量の少ないところ(空気が滞留しているところ)は、曲線の密度が低く表されている。本図から明らかなように、吸気口に近い隅部ではほとんど空気の流れが無いところがあり、また、排気口に近い所でも、吸気口から排気口へ流れる直線的な空気の流れから少し離れた辺りでは、空気の流れが少ないところがあることが分かる。
【0007】
また、
図8(B)は、特許文献2の
図1に示すベッドの下部における空気の流れをシミュレーションした結果を示す。本図から明らかなように、吸気口から取り込まれた空気の流れが衝突する吸気口が取り付けられていない長辺に近いところでは空気の流量は多いが、逆に吸気口が取り付けられた長辺に近いところではほとんど空気の流れが無いところがあることが分かる。
【0008】
このように、送風機により強制的に空気を循環させても、ベッドフレーム(基台)内の領域の一部のみに空気が流れて、残りの部分には空気の流れが生じない場合がある。このような場合、そこにカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になってしまうことがある。また、大きな流量を生じさせることができる送風機により、空気の流れを生じさせればある程度解消することは可能だが、送風機の騒音が大きくなり、ベッドにおける空気循環を考慮すると大きな流量を生じさせることは不適である。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、例えば小さな風量の送風機を使用することにより静穏性を確保するなど送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることにより、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドフレームおよびベッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、マットレスが載置されるベッドフレームであって、そのベッドフレームは、ヘッドボードと、そのヘッドボードと連結された2つのサイドボードと、その2つのサイドボードと連結されたフットボードと、ヘッドボードと、サイドボードと、フットボードとにより形成されるベッドフレーム内部領域を垂直方向に仕切る仕切板と、を備え、その仕切板の一端部は、ヘッドボードまたはフットボードに連結され、一端部が連結されたヘッドボードまたはフットボードは、ベッドフレーム内に空気を取り入れる吸気口およびその吸気口から取り入れた空気を排気する排気口とを備え、吸気口と排気口は、仕切板の一端部とヘッドボードまたはフットボードが連結された連結部を挟んで設けられ、吸気口の開口面積は、排気口の開口面積と略同一以下であ
り、2つの仕切板を備え、2つの仕切板の一端部とヘッドボードまたはフットボードが連結された2つの連結部の間に吸気口と、吸気口とそれぞれの連結部を挟んで2つの排気口を備え、吸気口は、2つの連結部の中央に設けられ、排気口は、連結部の近傍に設けられ、仕切板と連結される連結部を有さないヘッドボードまたはフットボードは、空気の流れを振り分ける三角部を中央部に備えるベッドフレームが提供される。
これによれば、送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができ
、仕切板が一枚のときに比べて、仕切板に対する空気の流れをさらに回り込み易くすることができ、空気の流れを均等に振り分けると共に、排気口に帰還する流路において、サイドボードから離れた空気の流れを形成できるので、仕切板に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、仕切板の他端部において空気の回転流を形成し易くなり、これにより、仕切板に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができるベッドフレームを提供することができる。
【0011】
さらに、仕切板は、サイドボードの長さのほぼ60〜80%の長さを有することを特徴としてもよい。
これによれば、仕切板に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0015】
さらに、三角部は、2辺に突起部を備えることを特徴としてもよい。
これによれば、仕切板の他端部において乱れた空気の回転流を形成しやすくなり、これにより、仕切板に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0016】
さらに、吸気口に送風機をさらに備え、その送風機はベッドフレーム内部領域外からベッドフレーム内部領域内へ送風することを特徴としてもよい。
これによれば、ベッドフレーム内は正圧となるので、埃などをベッドフレーム内部領域に流入させることを抑制することができる。
【0017】
さらに、サイドボードに垂直な断面
であって鉛直断面における空気の流速が基準流速の50%以上であるベッドフレーム内部領域が、全ベッドフレーム内部領域面積の85%以上であることを特徴としてもよい。
これによれば、ベッドフレーム内部領域のほとんどの領域において空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドフレームを提供することができる。
【0018】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、記載のベッドフレームと、そのベッドフレームの上にマットレスとを備えるベッドが提供される。
これによれば、送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドを提供することができる。これにより、上記ベッドフレームを備えたベッドの使用により、静穏性をも確保したベッドを提供することもできる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドフレーム、および静穏性も確保したベッドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本実施例のベッドフレーム10の平面図である。ベッドフレーム10は、通常人が横たわる際頭部が向けられる方となるヘッドボード11と、ヘッドボード11とほぼ直角に連結され、人の身長より適度に長い2つのサイドボード12と、この2つのサイドボード12とほぼ直角に連結され、ヘッドボード11とほぼ平行であり同じ長さのフットボード13とにより、外枠を形成される。この外枠の上に、通常すのこ(床板)が置かれ、さらにそのすのこの上にマットレスが載置され、ベッドとなる。なお、この外枠の下には、何も備えず直接寝室などの床に置かれてもよいし、さらに底板を備えてもよい。
【0022】
このベッドフレーム10は、ヘッドボード11およびフットボード13とサイドボード12のプロポーションに基づきシングルベッドであるが、ヘッドボード11およびフットボード13の長さを変更することでこれに限定されず、より長くして、ダブルベッドなど、クイーンサイズやキングサイズのベッドとしてもよい。また、ヘッドボード11、フットボード13、サイドボード12の高さは、通常人が腰掛けられる程度の高さを有する。
【0023】
ベッドフレーム10は、さらに、ヘッドボード11と、サイドボード12と、フットボード13とにより形成された外枠に囲まれた空間を垂直方向に仕切る仕切板20を備える。仕切板20の一端部21は、フットボード13に連結部50において連結され、他端部22はどこにも連結されていない。従って、仕切板20によって仕切られる、仕切板20の平面視左側の領域(空間)と平面視右側の領域(空間)は、他端部22からヘッドボード11側において繋がっている。なお、仕切板20の高さは、ヘッドボード11等と同じ高さを有することが好ましい。その場合には、仕切板20の平面視左側の空間と平面視右側の空間は、仕切板20が存在する部分では互いに隔てられており、空気の流れは生じない。
【0024】
仕切板20は、板状であり、平面視においてほぼ直線である。また、仕切板20は、サイドボード12とほぼ平行をなし、仕切板20の両側で空気の流量が均一でほぼ同じになるから、両側のサイドボード12のほぼ中央に位置することが好ましい。
【0025】
仕切板20の一端部21が連結部50において連結されたフットボード13は、ベッドフレーム10内の空間(ベッドフレーム内部領域R)に空気を取り入れる吸気口30および吸気口30から取り入れた空気を排気する排気口40を備える。なお、ベッドフレーム内部領域Rは、ベッドフレーム10の外枠に囲まれた内部の空間を平面視した範囲を言う。
【0026】
吸気口30と排気口40は、仕切板20の一端部21とフットボード13が連結された連結部50を挟んで設けられる。吸気口30および排気口40は、連結部50を中央にして連結部50から平面視の距離はほぼ等距離に設けられているが、これに限定されない。特に、排気口40の水平方向における位置は、万遍なく空気の流れが行きわたることになるため、連結部50に近い方が好ましい。また、吸気口30および排気口40の高さ方向における位置は、フットボード13の高さ方向の中央辺りが好ましいが、特に限定されない。
【0027】
また、吸気口30の開口面積は、排気口40の開口面積とほぼ同一かそれ以下である。吸気口30の開口面積が、排気口40の開口面積より大きいと、サイドボード内部領域Rにおいて空気の流れを阻害することがあるが、ほぼ同一かそれ以下であれば、吸気した空気が排気される際に阻害されることがない。
【0028】
なお、通常ヘッドボード11は寝室等の壁際に配置されることが多いので、吸気口30および排気口40は、フットボード13に備えられることが多いが、もちろんこれに限定されない。即ち、仕切板の一端部はヘッドボードに連結され、一端部が連結されたヘッドボードが、吸気口および排気口を備え、吸気口と排気口は、仕切板の一端部とヘッドボードが連結された連結部を挟んで設けられてもよい。また、キングサイズのベッドのように、ベッドフレームの外枠が平面視ほぼ正方形になるような場合は特に、連結部や吸気口および排気口はサイドボードに設けられてもよい。
【0029】
図2は、本実施例のベッドフレーム10のベッドフレーム内部領域Rにおける空気の流れのシミュレーション結果を示す。空気の流量が多いところは、空気の流れを表す曲線の密度が高くなっており、空気の流量の少ないところ(空気が滞留しているところ)は、曲線の密度が低く表されている。これによると、左側の吸気口30からベッドフレーム内部領域R内に吸込んだ空気は、ほぼ直進しヘッドボード11に衝突する。空気の流れは、衝突後一部は左側に方向を変えてヘッドボード11の側面から正面視左側のサイドボード12の側面に沿ってフットボード13の方へ流れて、再び、吸気口30から吸い込まれた空気の流れと合流してヘッドボード11へ向かう。
【0030】
空気の流れは、ヘッドボード11に衝突後、大部分は右側に方向を変えてヘッドボード11の側面に沿ってから正面視右側のサイドボード12の側面に沿ったり、ヘッドボード11と仕切板20の他端部22の間に回転流を形成したりして、最終的にはフットボード13の方へ流れて排気口40から排出される。これによれば、仕切板20の右側であって他端部22に近い辺りで多少空気の流量が少ない所があるものの、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたっていることがわかる。
【0031】
ベッドフレーム内部領域R内におけるかかる空気の流れは、小さな風量の送風機や大きな風量の送風機の如何にかかわらず、ほぼ同様な空気の流れを示す。従って、送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドフレームを提供することができる。
【0032】
なお、送風機62は、吸気口30に備えられることが好ましい。即ち、送風機62は、ベッドフレーム内部領域Rの外からベッドフレーム内部領域Rの内へ送風する。これによれば、ベッドフレーム内は正圧となるので、埃などをベッドフレーム内部領域に流入させることを抑制することができる。送風機は、10m
3/時間程度の低風量で十分であり、そうすると音圧は30dB程度と、静穏性を確保できる。
【0033】
また、仕切板20は、サイドボード12の長さのほぼ60〜80%の長さを有することが好ましい。即ち、他端部22とヘッドボード11の距離は、サイドボード12の長さの20〜40%の長さがあることが好ましい。これによれば、仕切板20に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、即ち、他端部22付近における空気の流れの回り込む半径を小さくすることができるので、仕切板20の右側であって他端部22に近い辺りでの流量の少ない領域を小さくすることができ、効率的にベッドフレーム内部領域Rに空気の流れを行きわたらすことができる。
【0034】
なお、この仕切板20の長さは、数多くの実験結果から得たものである。即ち、仕切板の長さが、サイドボードの長さの60%未満になると、他端部付近で流れの弱い領域が大きくなって好ましくない。また、仕切板の長さが、サイドボードの長さの80%を超えると、仕切板の右側であって他端部22に近い辺りでの流量の少ない領域が大きくなって好ましくない。また、他端部22からヘッドボード11までの距離と、他端部22から両側のサイドボード12までの距離とが、ほぼ同じであることが好ましい。これによれば、他端部22付近における空気の流量はほぼ同じになる。また、本実施例の仕切板が1つの構成は、空気の流れがベッドの両サイドで起こるので、ダブルベッドに好ましい。
【0035】
<第二実施例>
図3は、本実施例のベッドフレーム10Aを示す。なお、重複記載を避けるため、第一実施例と異なる点を中心に述べる。第一実施例のベッドフレーム10は、1つの仕切板20を備えたが、本実施例のベッドフレーム10Aは、2つの仕切板20Aを備える。
【0036】
それぞれの仕切板20Aの一端部21Aは、フットボード13Aに連結部50Aにおいて連結され、他端部22Aはどこにも連結されていない。従って、2つの仕切板20Aによって仕切られる、平面視で最も左側の領域(空間)、最も右側の領域(空間)、および中央の領域(空間)は、他端部22Aからヘッドボード11A側において繋がっている。
【0037】
2つの仕切板20Aの一端部21Aが連結部50Aにおいて連結されたフットボード13Aは、ベッドフレーム10A内のベッドフレーム内部領域Rに空気を取り入れる吸気口30Aおよび吸気口30Aから取り入れた空気を排気する2つの排気口40Aを備える。吸気口30Aと排気口40Aは、仕切板20Aの一端部21Aとフットボード13Aが連結された連結部50Aを挟んで設けられる。
【0038】
ベッドフレーム10Aは2つの仕切板20Aを備え、フットボード13Aには、2つの仕切板20Aの連結部50Aの中間に1つの吸気口30Aが、仕切板20Aとサイドボード12Aの中間にそれぞれ1つずつの排気口40Aが設けられる。即ち、2つの仕切板20Aの一端部21Aとフットボード13Aが連結された2つの連結部50Aの間に吸気口30Aと、吸気口30Aとそれぞれの連結部50Aを挟んで2つの排気口40Aを備える。これによれば、仕切板20Aが一枚のときに比べて、仕切板20Aに対する空気の流れをさらに回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域Rに空気の流れを行きわたらすことができる。また、本実施例の仕切板が2つの構成は、空気の流れがベッドの中央で最も大きくなるので、シングルベッドに好ましい。
【0039】
吸気口30Aは、その水平方向における位置において特に限定されないが、空気の流れを平面視左右対称とするには2つの連結部50Aのほぼ中央に位置することが好ましい。排気口40Aは、その水平方向における位置において特に限定されず、連結部50Aとサイドボード12Aとの連結部のほぼ中央であってもよいし、本実施例のように、連結部50Aに近い方である近傍にあってもよい。但し、他端部22Aの付近で回り込み、サイドボード12Aに沿って進む空気の流れを仕切板20Aの方へ向かわせ、万遍なく空気の流れが行きわたることになるため、連結部50Aに近い方が好ましい。これによれば、空気の流れを均等に振り分けると共に、排気口に帰還する流路において、サイドボードから離れた空気の流れを形成できるので、仕切板に対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0040】
吸気口30Aの開口面積は、2つの排気口40Aの開口面積の合計とほぼ同一かそれ以下である。また、2つの排気口40Aの開口面積は、空気の流れを平面視左右対称となるので、ほぼ同じであることが好ましい。また、仕切板20Aの平面視左右方向における位置は、換言すれば、連結部50Aのフットボード13Aにおける位置は、フットボード13Aを三等分するような位置であってもよいし、2つの仕切板20Aに挟まれた領域の空気の流量は仕切板20Aとサイドボード12Aとに挟まれた領域の空気の流量より多いので、本実施例のように、多少両サイドボード12A寄りに連結部50Aを設けてもよい。
【0041】
図4(A)に示すように、本実施例における変形例1のベッドフレーム10A’として、仕切板20Aと連結される連結部50Aを有さないヘッドボード11Aは、空気の流れを振り分ける三角部60Aを中央部に備えることが好ましい。これによれば、仕切板20Aの他端部22A付近において空気の回転流を形成し易くなり、これにより、仕切板20Aに対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0042】
もちろん、吸気口や排気口がヘッドボードに備えられる場合には、三角部はフットボードに備えられる。また、仕切板20Aの長さは、他端部22Aと三角部60Aの頂点等までの距離を考慮し、適宜定められる。即ち、本実施例において、他端部22Aからヘッドボード11Aまでの距離と、他端部22Aから両側のサイドボード12Aまでの距離とが、ほぼ同じであるように定められた場合には、本変形例においては、他端部22Aと三角部60Aの頂点までの距離と、他端部22Aから両側のサイドボード12Aまでの距離とが、ほぼ同じであるように定められてもよい。
【0043】
また、
図4(B)に示すように、本実施例における変形例2のベッドフレーム10A”として、三角部60Aは、ヘッドボード11Aに接しない2辺に突起部61Aを備えてもよい。これによれば、仕切板20Aの他端部22A付近において乱れた空気の回転流を形成しやすくなり、これにより、仕切板20Aに対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0044】
図5は、本実施例のベッドフレーム10A、変形例1のベッドフレーム10A’、および変形例2のベッドフレーム10A”のベッドフレーム内部領域Rにおける空気の流れのシミュレーション結果を示す。これによると、いずれにおいても、中央の吸気口30Aからベッドフレーム内部領域R内に吸込んだ空気は、ヘッドボード11の方へほぼ直進する。空気の流れは、ヘッドボード11Aや三角部60Aに衝突した後左右両側に方向を変えてヘッドボード11Aの側面から両方のサイドボード12Aの側面に沿ったり、ヘッドボード11Aや三角部60Aと仕切板20Aの他端部22Aの間に回転流を形成したりして、フットボード13Aの方へ流れて排気口40Aから排出される。
【0045】
図5(A)は、仕切板20Aの長さがサイドボード12Aの90%程度である場合を示し、
図5(B)は、仕切板20Aの長さがサイドボード12Aの80%程度である場合を示す。仕切板20Aの長さが、サイドボードの長さの80%を超え90%程度となると、仕切板20Aのサイドボード12A側であって他端部22Aに近い辺りで流量の少ない領域が大きくなって好ましくないことが分かる。
【0046】
それに対し、仕切板20Aの長さが、サイドボードの長さの80%程度であると、仕切板20Aの他端部22A付近において空気の回転流を形成し易くなり、仕切板20Aのサイドボード12A側であって他端部22Aに近い辺りで流量の少ない領域が小さくなることが分かる。これにより、仕切板20Aに対する空気の流れを回り込み易くすることができ、より効率的にベッドフレーム内部領域に空気の流れを行きわたらすことができる。
【0047】
また、
図5(C)が示すように、ヘッドボード11Aに三角部60Aがある場合、三角部60Aと他端部22Aの間の付近に回転流が明確に形成され、それに伴い、他端部22Aに近い辺りで流量の少ない領域がより小さくなることが分かる。さらに、
図5(D)が示すように、三角部60Aの2辺に突起部61Aが備えられると、他端部22Aに近い辺りで流量の少ない領域がより小さくなることが分かる。従って、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができる。
【0048】
<基準流速の観点>
図6は、上記実施例のベッドフレームにおける空気の流れのシミュレーション結果を示す図であり、黒または灰色に色づけられた部分は、サイドボードに垂直な断面における空気の流速が基準流速の50%以上である領域を示し、逆に白色の部分は、空気の流速が基準流速の50%未満である領域を示す。なお、基準流速[m/時間]とは、以下の(1)式を満たすものであり、送風機がベッドフレーム内部領域R内に発生させる空気の流量の平均的な流速であると言える。
基準流速[m/時間]=流量[m
3/時間] / 断面積[m
2] ・・・(1)
なお、流量は送風機の性能に基づく。
【0049】
図6(A)は、
図8(A)と同等の従来技術のベッドフレームを示す。このベッドフレームは、他と比べて明らかに黒または灰色の部分が少なく(69%)、逆に言えば白色の部分が多く(31%)、空気の流速が基準流速の50%未満である領域が大きいことが分かる。即ち、このベッドフレームにおいては、一部に流速の早い空気の流れがあるものの、その空気の流れ以外の部分は基準流速の50%未満という非常に流速が遅い部分であり、ベッドフレーム内部領域R内において、流速のばらつきが多く、流路に偏りがあり、ほとんど空気の流れが生じていない部分が多いということが分かる。
【0050】
図6(B)は、1枚の仕切板がサイドボードの長さの約80%の長さを有するベッドフレーム(第一実施例に相当)を示す。このベッドフレームは、従来技術のベッドフレームに比べて、黒または灰色の部分が多くなり(78%)、白色の部分が少なくなり(22%)、比較的空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたる部分が多くなっていることが分かる。
【0051】
図6(C)は、2枚の仕切板がサイドボードの長さの約90%の長さを有するベッドフレームを示す。このベッドフレームは、黒または灰色の部分が82%となり、白色の部分が18%となる。比較的空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたる部分が多くなっているが、他端部付近における空気の流れの回り込む半径が大きいので、他端部付近であって仕切板のサイドボード側の領域に集中して、ほとんど空気の流れが生じていない部分が存在する。
【0052】
図6(D)は、2枚の仕切板がサイドボードの長さの約80%の長さを有するベッドフレーム(第二実施例に相当)を示す。このベッドフレームは、黒または灰色の部分が92%となり、白色の部分が8%となる。他と比べて空気の流速が基準流速の50%以上である領域が大きいことが分かる。即ち、このベッドフレームにおいては、ベッドフレーム内部領域のほとんどの領域において空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができる。
【0053】
図6(E)は、2枚の仕切板がサイドボードの長さの約80%の長さを有する場合であって、ヘッドボードに三角部を備えるベッドフレーム(第二実施例の変形例1に相当)を示す。このベッドフレームは、黒または灰色の部分が92%となり、白色の部分が8%となる。他と比べて空気の流速が基準流速の50%以上である領域が大きいことが分かる。また、(D)と比べても、白色の部分が一部に集中して存在しておらず、より、ベッドフレーム内部領域のほとんどの領域において空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができる。
【0054】
図6(F)は、2枚の仕切板がサイドボードの長さの約80%の長さを有する場合であって、ヘッドボードに三角部とその三角部に突起部を備えるベッドフレーム(第二実施例の変形例2に相当)を示す。このベッドフレームは、黒または灰色の部分が91%となり、白色の部分が9%となる。他と比べて空気の流速が基準流速の50%以上である領域が大きいことが分かる。即ち、ベッドフレーム内部領域のほとんどの領域において空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができる。
【0055】
上述したように、様々なベッドフレームにおける空気の流れのシミュレーションを考慮すると、サイドボードに垂直な断面における空気の流速が基準流速の50%以上であるベッドフレーム内部領域Rが、全ベッドフレーム内部領域面積の85%以上であると、ベッドフレーム内部領域のほとんどの領域において空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができる。なお、上記85%とは、
図6(C)に示した2枚の仕切板がサイドボードの長さの約90%の長さを有するベッドフレームにおける空気の流速が基準流速の50%以上である領域の82%という数値と、
図6(D)等に示した2枚の仕切板がサイドボードの長さの約80%の長さを有するベッドフレームにおける空気の流速が基準流速の50%以上である領域の92%等という数値との中間の数値であり、より好ましくは90%である。
【0056】
<第三実施例>
図7は、本実施例のベッド1Cの斜視図である。ベッド1Cは、上記実施例にあるような本発明に係るベッドフレーム10Cと、ベッドフレーム10Cの上にマットレス支持部材3C(いわゆるすのこまたは床板)と、マットレス支持部材3Cの上にマットレス2Cとを備える。これによれば、送風機の風量にかかわらず、空気の流路に偏りがなく、万遍なく空気の流れが行きわたることができ、マットレスの裏や床板の下にカビが生えたり、ダニが生息したりして、不衛生な状態になることを防止することができるベッドを提供することができる。これにより、上記ベッドフレームを備えたベッドの使用により、静穏性をも確保したベッドを提供することもできる。
【0057】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。