特許第6021584号(P6021584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッドの特許一覧

特許6021584調整可能な研磨配合物を用いて研磨する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021584
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】調整可能な研磨配合物を用いて研磨する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161027BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20161027BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622F
   H01L21/304 621D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09K3/14 550Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-235708(P2012-235708)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2013-98557(P2013-98557A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】13/283,013
(32)【優先日】2011年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】イ・グォ
(72)【発明者】
【氏名】カンチャーラ−アルン・クマール・レディ
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−267960(JP,A)
【文献】 特開2010−067681(JP,A)
【文献】 特開2006−120749(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0119051(US,A1)
【文献】 特開2005−072238(JP,A)
【文献】 特開2007−103515(JP,A)
【文献】 特開2011−216582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、
窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンオーバーバーデンを含む基板を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、本質的に
水、
0.1〜25重量%の≦100nmの平均粒度を有するコロイダルシリカ砥粒;
0.01〜1重量%の式(I):
【化4】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にC−Cアルキル基から選択される)で示されるジ第4級カチオンよりなる]を提供すること;
第1の希釈液を提供すること;
第2の希釈液を提供すること;
第1の希釈液を第1部分のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第1の研磨配合物(ここで、第1の研磨配合物は、>4〜11のpHを示し、そして第1の研磨配合物は、≧2,000Å/分の第1のポリシリコン除去速度及び20:1〜800:1の第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に動的接触を作り出すこと;
第1の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;
基板からポリシリコンオーバーバーデンを除去すること;
第2の希釈液を第2部分のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第2の研磨配合物(ここで、第2の研磨配合物は、2〜4のpHを示し、そして第2の研磨配合物は、≧1,500Å/分の第2のポリシリコン除去速度及び1:1〜19:1の第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;
第2の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;そして
少なくとももう少しのポリシリコン及び少なくとも幾らかの窒化ケイ素を基板から除去することを含む方法。
【請求項2】
第1の希釈液及び第2の希釈液が、脱イオン水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の希釈液が、脱イオン水及びpH調整剤の組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、防蝕剤を含まず、かつ酸化剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
が、Cアルキル基であり;そしてR、R、R、R、R及びRが、それぞれCアルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、防蝕剤を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、酸化剤を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、防蝕剤を含まず、かつ酸化剤を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHが、脱イオン水の添加により調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1のポリシリコン除去速度、第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比、第2のポリシリコン除去速度及び第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比が全て、200mm研磨機(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む)上で、93回転/分のプラテン速度、87回転/分のキャリア速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び34.5kPaの公称ダウンフォースで示される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングの分野に関する。詳しくは、本発明は、基板を研磨するためのケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物の複数の希釈液を用いる、窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンのオーバーバーデン(overburden)を有する基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、基板を研磨するために使用される濃縮物の第1の希釈液は、第1のポリシリコン除去速度及び第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整され;基板を研磨するために使用される濃縮物の第2の希釈液は、第2のポリシリコン除去速度及び第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される方法に関する。
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの組立において、複数層の導電材料、半導体材料及び絶縁材料が、半導体ウェーハの表面上に堆積するか、又はそこから除去される。導電材料、半導体材料、及び絶縁材料の薄層は、幾つかの堆積手法により堆積させることができる。最新の加工法における一般的な堆積手法は、スパッタリングとしても知られている物理的気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、プラズマ化学気相成長法(plasma-enhanced chemical vapor deposition)(PECVD)、及び電気化学めっき法(electrochemical plating)(ECP)を包含する。
【0003】
材料の層は逐次堆積して除去されるため、ウェーハの最上部表面は非平面となる。続く半導体処理(例えば、メタライゼーション)では、ウェーハが平らな表面であることが要求されるため、ウェーハを平坦化する必要がある。平坦化は、不適切な表面トポグラフィー及び表面欠陥(粗い表面など)、凝集材料、結晶格子損傷、スクラッチ、並びに汚染層又は材料を除去するのに有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション、又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基板を平坦化するのに使用される一般的な手法である。従来のCMPでは、ウェーハをキャリアアセンブリ上にマウントして、CMP装置内の研磨パッドに接触させて配置する。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力をウェーハに掛けて、これを研磨パッドに押しつける。パッドは、外部駆動力によりウェーハに対して動かす(例えば、回転させる)。これと同時に、研磨組成物(「スラリー」)又は他の研磨液をウェーハと研磨パッドの間に提供する。こうして、パッド表面及びスラリーの化学的及び機械的作用により、ウェーハ表面を研磨して平坦にする。
【0005】
ある種の最近のデバイス設計は、ケミカルメカニカルプラナリゼーションプロセスにおいて使用するための、窒化ケイ素よりもむしろポリシリコンに対する高い選択比を提供する(即ち、窒化ケイ素の除去速度に対してポリシリコンの除去速度がより大きい)研磨組成物を要求する。例えば、このようなデバイス設計は、ポリシリコン層が、フローティングゲートとして機能するウェーハの表面の活性領域上に堆積されている、先進的なサブ65nm集積マルチレベルセルNANDフラッシュメモリーデバイスを包含する。更に詳しくは、ある種の最近の設計は、2段階研磨プロセスであって、第1段階が、窒化ケイ素フィーチャー上での停止に至るまでポリシリコンオーバーバーデンを除去することを含み、そして第2段階が、ウェーハの表面上のポリシリコンフローティングゲート領域及び窒化ケイ素フィーチャー領域が平坦化されるバフィング工程であるプロセスを必要とする。
【0006】
従来の配合物は、ポリシリコン対窒化物の除去選択比が低いため、窒化物膜上での有効な停止を提供しない。1つのこのような研磨配合物は、Dysardらの米国特許出願公開第2007/0077865号に開示されている。Dysardらは、基板をケミカルメカニカルポリッシングする方法であって、(i)ポリシリコン並びに酸化ケイ素及び窒化ケイ素から選択される材料を含む基板を、(a)砥粒、(b)液体キャリア、(c)液体キャリア及びここに溶解又は懸濁されている任意の成分の重量に基づいて、約1ppm〜約100ppmのポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー(約15以下のHLBを有する)、及び(d)研磨パッドを含むケミカルメカニカルポリッシングシステムと接触させること;(ii)研磨パッドを基板に対して動かすこと;並びに(iii)基板を研磨するために基板の少なくとも一部を研磨することを含む方法を開示している。
【0007】
したがって、半導体システムの製造に使用するためのデバイス設計の活力ある分野を支持するために、変化する設計ニーズに適合するように研磨特性の望ましいバランスを提供すべく配合されたケミカルメカニカルポリッシング組成物に対するニーズが継続して存在している。例えば、窒化ケイ素フィーチャー上での有効な停止の達成を容易にするために、ポリシリコン対窒化ケイ素除去速度の大きな選択比を示す、ケミカルメカニカルポリッシング組成物に対するニーズが依然として存在している。
【0008】
本発明は、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、基板(ここで、基板は、窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンオーバーバーデンを含む)を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、本質的に水、0.1〜25重量%の≦100nmの平均粒度を有するコロイダルシリカ砥粒;0.01〜1重量%の式(I):
【化1】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にC−Cアルキル基から選択される)で示されるジ第4級カチオン(a diquaternary cation)よりなる]を提供すること;第1の希釈液を提供すること;第2の希釈液を提供すること;第1の希釈液を第1部分のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第1の研磨配合物(ここで、第1の研磨配合物は、>4〜11のpHを示し、そして第1の研磨配合物は、≧2,000Å/分の第1のポリシリコン除去速度及び20:1〜800:1の第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に動的接触を作り出すこと;第1の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;基板からポリシリコンオーバーバーデンを除去すること;第2の希釈液を第2部分のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第2の研磨配合物(ここで、第2の研磨配合物は、2〜4のpHを示し、そして第2の研磨配合物は、≧1,500Å/分の第2のポリシリコン除去速度及び1:1〜19:1の第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;第2の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;そして少なくとももう少しのポリシリコン及び少なくとも幾らかの窒化ケイ素を基板から除去することを含む方法を提供する。
【0009】
本発明は、基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、基板(ここで、基板は、窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンオーバーバーデンを含む)を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、本質的に水、0.1〜25重量%の≦100nmの平均粒度を有するコロイダルシリカ砥粒;0.01〜1重量%の式(I):(式中、Rは、C−Cアルキル基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にC−Cアルキル基から選択される)で示されるジ第4級カチオンよりなる]を提供すること;第1の希釈液を提供すること;第2の希釈液を提供すること;第1の希釈液を第1部のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第1の研磨配合物(ここで、第1の研磨配合物は、>4〜11のpHを示し、そして第1の研磨配合物は、≧2,000Å/分の第1のポリシリコン除去速度及び20:1〜800:1の第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に動的接触を作り出すこと;第1の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;基板からポリシリコンオーバーバーデンを除去すること;第2の希釈液を第2部のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第2の研磨配合物(ここで、第2の研磨配合物は、2〜4のpHを示し、そして第2の研磨配合物は、≧1,500Å/分の第2のポリシリコン除去速度及び1:1〜19:1の第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;第2の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;そして少なくとももう少しのポリシリコン及び少なくとも幾らかの窒化ケイ素を基板から除去することを含む方法[ここで、第1のポリシリコン除去速度、第1のポリシリコン対二酸化ケイ素除去速度選択比、第2のポリシリコン除去速度及び第2のポリシリコン対二酸化ケイ素除去速度選択比は全て、200mm研磨機(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む)上で、93回転/分のプラテン速度、87回転/分のキャリア速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び34.5kPaの公称ダウンフォースで示される]を提供する。
【0010】
詳細な説明
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング濃縮物は、希釈することにより、フローティングポリシリコンゲートフィーチャーの形成における第1の研磨工程に使用するための、大きなポリシリコン除去速度及び大きなポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を提供するようになる、濃縮物の第1の希釈液を提供することができ;そして次に、希釈することにより、非選択的スラリーが望ましい、フローティングポリシリコンゲートフィーチャーの形成のための第2の研磨工程に使用するための、第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を提供するようになる、濃縮物の第2の希釈液を提供することができる。
【0011】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法に使用するのに適切な基板は、窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンを有する半導体基板を含む。
【0012】
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に含有される水は、好ましくは偶発的な不純物を制限するために脱イオン及び蒸留の少なくとも一方が行われる。
【0013】
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物中のコロイダルシリカ砥粒は、動的光散乱法により測定するとき≦100nm(好ましくは5〜100nm;更に好ましくは10〜60nm;最も好ましくは20〜60nm)の平均粒度を有する。
【0014】
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、好ましくは0.1〜25重量%(更に好ましくは1〜20重量%、更になお好ましくは5〜20重量%、最も好ましくは5〜10重量%)のコロイダルシリカ砥粒を含有する。
【0015】
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物中のジ第4級カチオンは、式(I):
【化2】

[式中、Rは、C2−6アルキル基から選択され(好ましくは、Rは、−(CH−基及び−(CH−基から選択され;最も好ましくは、Rは、−(CH−基である);そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にC2−6アルキル基から選択される(好ましくは、R、R、R、R、R及びRは、それぞれブチル基である)]で示される。本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、好ましくは0.01〜1重量%(更に好ましくは0.05〜0.5重量%、最も好ましくは0.05〜0.1重量%)の式(I)のジ第4級物質を含む。最も好ましくは、本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、0.05〜0.1重量%の式(I)[式中、Rは、−(CH−基であり、そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である]のジ第4級物質を含む。
【0016】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、任意的に、好ましくは防蝕剤を含まない。「防蝕剤を含まない」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、そのケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物が、ベンゾトリアゾール;1,2,3−ベンゾトリアゾール;5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール;1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール;1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール;又は1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールを含有しないことを意味する。
【0017】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、好ましくは酸化剤を含まない。「酸化剤を含まない」という用語は、本明細書及び添付の請求の範囲において使用されるとき、そのケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物が、過酸化水素、過硫酸塩(例えば、一過硫酸アンモニウム(ammonium monopersulfate)、及び二過硫酸カリウム(potassium dipersulfate))及び過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸カリウム)のような酸化剤を含有しないことを意味する。
【0018】
本発明の方法に使用される第1の希釈液は、好ましくは脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方を含む。好ましくは、第1の希釈液は、pH調整剤(好ましくは、pH調整剤は、水酸化アンモニウム及び水酸化カリウムから選択され;最も好ましくは、水酸化カリウムである)並びに脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方を含む。更に好ましくは、第1の希釈液は、脱イオン水及び蒸留水から選択される。最も好ましくは、第1の希釈液は、脱イオン水である。
【0019】
本発明の方法に使用される第2の希釈液は、好ましくは脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方を含む。第2の希釈液は、任意的に、更にpH調整剤を含む。好ましくは、第2の希釈液は、脱イオン水又は蒸留水から選択される。最も好ましくは、第2の希釈駅は、脱イオン水である。
【0020】
好ましいpH調整剤は、酸類及び塩基類を包含する。好ましい酸pH調整剤は、リン酸、硝酸、硫酸及び塩酸から選択される(最も好ましくは、硝酸)。好ましい塩基pH調整剤は、水酸化アンモニウム及び水酸化カリウムから選択される(最も好ましくは、水酸化カリウム)。
【0021】
本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物の種々の希釈液の研磨性能パラメーター(即ち、ポリシリコン除去速度、窒化ケイ素除去速度及びポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比)は、2〜11の研磨pHの範囲にわたって広く調節可能である。34.5kPa(5psi)のダウンフォースでの実施例に設定される研磨条件下で、使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物の希釈液は、2,000〜7,000Å/分の調節可能なポリシリコン除去速度;1〜1,000Å/分(好ましくは1〜600Å/分)の調節可能な窒化ケイ素除去速度及び1:1〜800:1の調節可能なポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示す。
【0022】
好ましくは、本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物の希釈液は、34.5kPa(5psi)のダウンフォースでの実施例に設定される研磨条件下で測定するとき、2〜11のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物pHに対応して、それぞれ2,000〜7,000Å/分の目的に合わせられるポリシリコン除去速度を示す。
【0023】
好ましくは、本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、34.5kPa(5psi)のダウンフォースでの実施例に設定される研磨条件下で測定するとき、2〜11のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物pHに対応して、それぞれ1〜600Å/分の目的に合わせられる窒化ケイ素除去速度を示す。
【0024】
好ましくは、本発明の方法に使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、34.5kPa(5psi)のダウンフォースでの実施例に設定される研磨条件下で測定するとき、2〜11のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物pHに対応して、それぞれ1:1〜800:1のポリシリコン対窒化ケイ素の目的に合わせられる除去速度選択比を示す。
【0025】
本発明の方法に使用される第1の研磨配合物は、第1の希釈液をケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えることにより調製する。好ましくは、第1の研磨配合物は、>4〜11(更に好ましくは>6〜11)のpHを示す。好ましくは、第1の研磨配合物は、0.01〜6重量%(更に好ましくは0.04〜1重量%)のコロイダルシリカ砥粒;及び0.0001〜0.1重量%(好ましくは0.0005〜0.5重量%)の式(I)(最も好ましくは、式中、Rは、−(CH−基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である)のジ第4級物質(a diquaternary substance)を含有する。好ましくは、第1の研磨配合物は、≧2,000(更に好ましくは2,000〜7,000Å/分)の第1のポリシリコン除去速度及び20:1〜800:1の第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される。
【0026】
本発明の方法に使用される第2の研磨配合物は、第2の希釈液をケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えることにより調製する。好ましくは、第2の研磨配合物は、2〜4(更に好ましくは3〜4)のpHを示す。好ましくは、第2の研磨配合物は、1〜6重量%(更に好ましくは2〜6重量%)のコロイダルシリカ砥粒;及び0.01〜0.1重量%(好ましくは0.02〜0.1重量%)の式(I)(最も好ましくは、式中、Rは、−(CH−基であり;そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ−(CHCH基である)のジ第4級物質(a diquaternary substance)を含有する。好ましくは、第2の研磨配合物は、≧1,500Å/分(更に好ましくは1,500〜4,000Å/分)の第2のポリシリコン除去速度及び1:1〜19:1(更に好ましくは1:1〜9:1)の第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される。
【0027】
本発明の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、好ましくは、基板(ここで、基板は、窒化ケイ素上に堆積したポリシリコンオーバーバーデンを含む)を提供すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物は、本質的に水、0.1〜25重量%(好ましくは1〜20重量%;更に好ましくは5〜20重量%;最も好ましくは5〜10重量%)の動的光散乱法により測定するとき≦100nm(好ましくは5〜100nm;更に好ましくは10〜60nm;最も好ましくは20〜60nm)の平均粒度を有するコロイダルシリカ砥粒;0.01〜1重量%(更に好ましくは0.05〜0.5重量%;最も好ましくは0.05〜0.1重量%)の式(I)(式中、Rは、C−Cアルキル基であり(好ましくは、Rは、−(CH−基及び−(CH−基から選択され;最も好ましくは、Rは、−(CH−基である);そしてR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立にC2−6アルキル基から選択される(好ましくは、R、R、R、R、R及びRは、それぞれブチル基である))のジ第4級カチオンよりなる]を提供すること;第1の希釈液(好ましくは、第1の希釈液は、水酸化アンモニウム及び水酸化カリウムから選択されるpH調整剤(好ましくは水酸化カリウム)並びに脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方を含み;更に好ましくは、第1の希釈液は、脱イオン水及び蒸留水から選択され;最も好ましくは、第1の希釈液は、脱イオン水である)を提供すること;第2の希釈液(好ましくは、第2の希釈液は、脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方を含み;更に好ましくは、第2の希釈液は、脱イオン水及び蒸留水から選択され;最も好ましくは、第2の希釈液は、脱イオン水である)を提供すること;第1の希釈液を第1部のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第1の研磨配合物(ここで、第1の研磨配合物は、>4〜11(更に好ましくは>6〜11)のpHを示し、そして第1の研磨配合物は、≧2,000Å/分(好ましくは2,000〜7,000Å/分)の第1のポリシリコン除去速度及び20:1〜800:1の第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に動的接触を作り出すこと;第1の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;基板からポリシリコンオーバーバーデンを除去すること;第2の希釈液を第2部のケミカルメカニカルポリッシング組成物濃縮物に加えて、第2の研磨配合物(ここで、第2の研磨配合物は、2〜4(好ましくは3〜4)のpHを示し、そして第2の研磨配合物は、≧1,500Å/分(好ましくは1,500〜4,000Å/分)の第2のポリシリコン除去速度及び1:1〜19:1(更に好ましくは1:1〜9:1)の第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比を示すように調整される)を生成させること;第2の研磨配合物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板との界面に又はその近くに分配すること;そして少なくとももう少しのポリシリコン及び少なくとも幾らかの窒化ケイ素を基板から除去することを含む[好ましくは、ここで、第1のポリシリコン除去速度、第1のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比、第2のポリシリコン除去速度及び第2のポリシリコン対窒化ケイ素除去速度選択比は全て、200mm研磨機(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織サブパッドを含む)上で、93回転/分のプラテン速度、87回転/分のキャリア速度、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシング組成物流量、及び34.5kPa(5psi)の公称ダウンフォースで示される]。
【0028】
以下の実施例において本発明の幾つかの実施態様が今から詳細に記述される。
【0029】
実施例1〜14
ケミカルメカニカルポリッシング組成物の調製
実施例1及び14のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、表1にリストされる量の成分を合わせて残りを脱イオン水とし、硝酸又は水酸化カリウムにより組成物のpHを表1にリストされる最終pHに調整することによって調製した。実施例2〜13のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、実施例1のケミカルメカニカルポリッシング組成物を脱イオン水で希釈することにより調製した。
【0030】
【表1】
【0031】
【化3】
【0032】
実施例PA1〜PA13
ケミカルメカニカルポリッシング除去速度実験
ポリシリコン及び窒化ケイ素の除去速度研磨試験は、実施例1〜13により調製したケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して実施した。具体的には、表1に特定されるケミカルメカニカルポリッシング組成物1〜13のそれぞれのポリシリコン及び窒化ケイ素の除去速度。研磨除去速度実験は、200mmブランケットウェーハ(即ち、8kポリシリコンシートウェーハ;及び1.5K窒化ケイ素シートウェーハ;販売:SEMATECH SVTC)で実施した。Applied Materials 200mm Mirra(登録商標)ポリッシャーを使用した。全ての研磨実験は、IC1010(商標)ポリウレタン研磨パッド(販売:Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.)を、20.7kPa(3psi)のダウンフォース、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物流量、93rpmの台回転速度及び87rpmのキャリア回転速度で使用して実施した。Diagrid(登録商標)AD3BG-150855ダイヤモンドパッドコンディショナー(販売:Kinik Company)を使用して研磨パッドを調整した。この研磨パッドは、コンディショナーで14.0lbs(6.35kg)のダウンフォースを20分間用いて慣らし運転した。 研磨パッドは、研磨に先立ち9lbs(4.1kg)のダウンフォースを10分間用いて実験室内で更に調整した。研磨パッドは、研磨パッドの中心から1.7〜9.2インチの10スイープ/分での研磨中、9lbs(4.1kg)のダウンフォースでその場で更に調整した。除去速度は、端3mmを除いて49点の渦巻状走査を用いるKLA-Tencor FX200計測装置を使用して、研磨前後の膜厚を測定することにより求めた。除去速度実験の結果は、表2に提供される。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例PB1〜PB13
ケミカルメカニカルポリッシング除去速度実験
ポリシリコン及び窒化ケイ素の除去速度研磨試験は、実施例1〜13により調製したケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して実施した。具体的には、表1に特定されるケミカルメカニカルポリッシング組成物1〜13のそれぞれのポリシリコン及び窒化ケイ素の除去速度。研磨除去速度実験は、200mmブランケットウェーハ(即ち、8kポリシリコンシートウェーハ;及び1.5K 窒化ケイ素シートウェーハ;販売:SEMATECH SVTC)で実施した。Applied Materials 200mm Mirra(登録商標)ポリッシャーを使用した。全ての研磨実験は、IC1010(商標)ポリウレタン研磨パッド(販売:Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.)を、34.5kPa(5psi)のダウンフォース、200ml/分のケミカルメカニカルポリッシングスラリー組成物流量、93rpmの台回転速度及び87rpmのキャリア回転速度で使用して実施した。Diagrid(登録商標)AD3BG-150855ダイヤモンドパッドコンディショナー(販売:Kinik Company)を使用して研磨パッドを調整した。この研磨パッドは、コンディショナーで14.0lbs(6.35kg)のダウンフォースを20分間用いて慣らし運転した。研磨パッドは、研磨に先立ち9lbs(4.1kg)のダウンフォースを10分間用いて実験室内で更に調整した。研磨パッドは、研磨パッドの中心から1.7〜9.2インチの10スイープ/分での研磨中、9lbs(4.1kg)のダウンフォースでその場で更に調整した。除去速度は、端3mmを除いて49点の渦巻状走査を用いるKLA-Tencor FX200計測装置を使用して、研磨前後の膜厚を測定することにより求めた。除去速度実験の結果は、表3に提供される。
【0035】
【表3】