(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理手段は、前記人感センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の周囲に位置する住戸のいずれかが有人と判断される場合は、前記個々の住戸の基準騒音を所定量低下させる請求項1に記載の騒音警告システム。
前記情報処理手段は、前記音量センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の周囲に位置する住戸の騒音レベルが所定の騒音閾値以上と判断される場合は、前記個々の住戸の基準騒音を所定量高める請求項1又は2に記載の騒音警告システム。
前記情報処理手段は、前記音量センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の騒音レベルと前記個々の住戸の周囲に位置する住戸の騒音レベルとの差に応じて前記個々の住戸の基準騒音を高める請求項3に記載の騒音警告システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、自宅で発生した騒音の各住戸への音の伝わり具合を考慮するものの、自宅周囲の住戸で発生した騒音の音量と自宅で発生した騒音の音量とを考慮していないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、自宅周囲の住戸での人の存否並びに自宅から生じた騒音及び自宅周囲の各住戸から生じた騒音を考慮して、自宅の騒音について警告する騒音警告システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、複数の住戸の各々に設けられると共に前記各住戸の人の存否を検知する人感センサと、前記複数の住戸の各々に設けられると共に前記各住戸の騒音レベルを検知する音量センサと、前記複数の住戸の各々に設けられた端末と、前記人感センサ及び前記音量センサの検知結果から前記複数の住戸の各々における人の存否及び騒音レベルを把握すると共に、前記複数の住戸に含まれる個々の住戸について該個々の住戸の周囲に位置する住戸における人の存否及び騒音レベルから許容される騒音レベルである基準騒音を前記個々の住戸について算出し、該算出した基準騒音以上の騒音レベルの住戸の端末に対して警告を表示させる指令をする情報処理手段と、を含む。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、各住戸に設けられた人感センサ及び音量センサの検知結果に基づいて、各住戸において許容される騒音レベルである基準騒音を算出でき、各住戸において算出した基準騒音以上の騒音レベルの住戸には警告することが可能となる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記情報処理手段は、前記人感センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の周囲に位置する住戸のいずれかが有人と判断される場合は、前記個々の住戸の基準騒音を所定量低下させる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、周囲の住戸に人が居る場合には、自宅の基準騒音を低下させる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記音量センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の周囲に位置する住戸の騒音レベルが所定の騒音閾値以上と判断される場合は、前記個々の住戸の基準騒音を所定量高める。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、周囲の住戸の騒音レベルが高い場合には、自宅の基準騒音を高める。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の発明において、前記情報処理手段は、前記音量センサの検知結果から前記複数の住戸に含まれる個々の住戸の騒音レベルと前記個々の住戸の周囲に位置する住戸の騒音レベルとの差に応じて前記個々の住戸の基準騒音を高める。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、自宅と周囲の住戸との騒音レベルの差に応じて自宅の基準騒音レベルを高める。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、個々の住戸の周囲に位置する住戸における人の存否及び騒音レベルから個々の住戸において許容される騒音レベルである基準騒音を算出している。算出した基準騒音以上の騒音レベルの場合に警告することにより、自宅周囲の住戸での人の存否並びに自宅から生じた騒音及び自宅周囲の各住戸から生じた騒音を考慮して、自宅の騒音について警告できるという効果を有する。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、自宅周囲の住戸が有人の場合は、自宅において許容される騒音レベルである基準騒音を低下させることにより、自宅周囲の住宅での人の存否を考慮して、自宅の騒音について警告できるという効果を有する。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、自宅周囲の住戸の騒音が所定の閾値以上の場合は、基準騒音を高めることにより、自宅から生じた騒音及び自宅周囲の各住戸から生じた騒音を考慮して、自宅の騒音について警告できるという効果を有する。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、自宅の騒音レベルと自宅周囲の住戸の騒音レベルとの差に応じて基準騒音を高めることにより、自宅から生じた騒音及び自宅周囲の各住戸から生じた騒音を考慮して、自宅の騒音について警告できるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る騒音警告システムの一例を示す概略図である。
図1は、住戸20Aを中心として住戸20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20Iの9戸からなる集合住宅である建物10における騒音警告システムを一例として示している。
図1における建物10の戸数は一例であり、本実施の形態に係る騒音警告システムは、より小規模又はより大規模な集合住宅にも適用可能である。
【0022】
図1に示した住戸20A〜20Iの構成は、各々同一であり、各住戸は室内の人の存否を検知する人感センサ22A〜22I、室内の音量を検知する音量センサ24A〜24Iを備えている。また、住戸20A〜20Iは、各住戸のエネルギーの管理及び制御を行うと共に各住戸の騒音が許容される騒音のレベルである基準騒音を超えた場合に警告を発するHEMS(Home Energy ManagementSystem)30A〜30Iを備えている。
【0023】
人感センサ22A〜22Iは、赤外線、超音波又は可視光によって人の所在を検知するセンサである。本実施の形態では、人体が発する赤外線を感知するセンサ又は発信した超音波が何かに遮られたことにより人の所在を検知するセンサを主に用いるものとする。音量センサ24A〜24Iは、音の大きさによって出力される電圧が変化するセンサである。
【0024】
本実施の形態では、人感センサ22A〜22I、音量センサ24A〜24I及びHEMS30A〜30Iは、各々がLAN(Local Area Network)で結ばれてサーバ26に接続されている。
【0025】
サーバ26は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおいて人感センサ22A〜22Iが検知した人の存否、及び音量センサ24A〜24Iが検知した音量に基づいて、住戸20A〜20Iにおいて許容される騒音レベルである基準騒音を算出するコンピュータである。サーバ26は、住戸20A〜20Iのいずれかにおいて騒音レベルが許容される騒音レベル以上の場合は、警告を発するように騒音レベルが基準騒音以上の住戸のHEMSに指令する。
【0026】
基準騒音は、建物10の構造に基づく防音性能に左右され得るが、本実施の形態では、一例として60dBを各住戸における基準騒音の初期値とする。この60dBという基準騒音の初期値は、後述するように、周囲の住戸の騒音レベル又は周囲の住戸の人の存否に応じて増減する。
【0027】
図2は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおけるHEMSの概略構成の一例を示すブロック図である。HEMS30A〜30Iは、コンピュータを含んで構成されており、例えばHEMS30Aは
図2に示すように、CPU36、ROM38、RAM40、及び入出力ポート42を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0028】
入出力ポート42には、LANを介してサーバ26が接続されている。なお、表示部46及び操作部48は一体で構成され、操作部48は、表示部46に設けられたタッチパネルを適用することができる。
【0029】
表示部46には一例として、住戸20Aにおける騒音レベル、住戸20Aにおいて基準騒音及び住戸20Aの騒音が基準騒音を超えた場合の警告等が表示される。また、操作部48が表示部46に設けられたタッチパネルの場合には、表示された警告を解除する等の操作が可能となる。
【0030】
本実施の形態では、HEMS30Aが発する警告は、表示部46に表示される文字、図形、記号又はこれらの結合であって、視覚によって覚知可能なものでよい。
図2には図示していないが、HEMS30Aがスピーカ等の音声を出力する手段を備えているのであれば、表示部46における視覚による警告に加えて、音声による警告が出力可能であってもよい。
【0031】
メモリ50には、サーバ26からの指令に基づいて警告を発する等の動作に係るプログラム等が記憶されている。HEMS30Aは、メモリ50に記憶されたプログラムをRAM40等に展開してCPU36で実行することにより、住戸へ供給する電力の制御等の各種制御を行うようになっている。
【0032】
続いて、本実施の形態に係る騒音警告システムの制御について説明する。本実施の形態では、サーバ26は、人感センサ22A〜22I及び音量センサ24A〜24Iが検知した結果に基づいて、各住戸での基準騒音を設定する。
図3は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおける基準騒音の設定処理のフローチャートの一例である。
【0033】
まず、ステップ300では、人感センサ22A〜22Iの検知結果を取得し、ステップ302では、住戸20A〜20Iのいずれかにおいて人が在室しているか否かを判定する。ステップ302で肯定判定の場合は、基準騒音を設定する住戸から在室している住戸の相対的な位置に応じて、当該基準騒音を設定する住戸の基準騒音の初期値を減算する。
【0034】
図4は、在室している住戸の位置に応じて規定された基準騒音の減算量の一例である。本実施の形態では、両隣の住戸は騒音の影響が最も大きいので、両隣の住戸のいずれかが在室の場合は、基準騒音を初期値から5dB減算して55dBとする。直下の住戸が在室の場合は3dB、直上と斜め下の住戸のいずれかが在室の場合は2dB、斜め上の住戸が在室の場合は1dB、各々初期値である60dBから減算する。
【0035】
基準騒音を設定する住戸が住戸20Aの場合、住戸20Aの基準騒音は、住戸20E又は住戸20Fが在室の場合は55dB、住戸20Hが在室の場合は57dB、住戸20C、住戸20G又は住戸20Iが在室の場合は58dBとなる。また、住戸20B又は住戸20Dが在室の場合、住戸20Aの基準騒音は、59dBとなる。
【0036】
住戸20B〜20Iのうち複数の住戸が在室の場合は、上記のように初期値から算出された基準騒音のうち、最も低いものを住戸20Aにおける基準騒音の暫定値とする。
【0037】
なお、基準騒音の設定は住戸20A〜20Iのすべてについて行われるので、サーバ26は、人感センサ22A〜22Iが検知した結果に基づいて、住戸20A〜20Iの各々について基準騒音の暫定値を算出する。
【0038】
ステップ302で否定判定の場合は、基準騒音の初期値は減算せずに手順をステップ306に移行させる。ステップ306では、音量センサ24A〜24Iの検知結果に基づいて、住戸20A〜20Iの騒音レベルを測定する。
【0039】
ステップ308では、住戸20A〜20Iのうち、測定された騒音レベルが騒音閾値未満の住戸があるか否かを判定する。ここで、
図5は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおける周囲の住戸の騒音閾値の一例を示す図である。
【0040】
本実施の形態で騒音閾値とは、基準騒音の設定に係る住戸の騒音が相殺され得る周囲の住戸の騒音レベルである。例えば、基準騒音の設定に係る住戸の両隣の住戸は、基準騒音の設定に係る住戸からの騒音の影響が最も大きいので、基準騒音の設定に係る住戸からの騒音を相殺し得る両隣の住戸の騒音レベルは高くなる。
図5では、両隣の住戸の騒音閾値は50dBである。
【0041】
また、基準騒音の設定に係る住戸の足音等が響きやすい直下の住戸の騒音閾値も、両隣の住戸と同じ50dBとした。直上と斜め下の住戸は両隣又は直下の住戸ほど基準騒音の設定に係る住戸からの騒音は影響しないので、直上と斜め下の住戸の騒音閾値は各々45dBとし、斜め上の住戸は基準騒音の設定に係る住戸の騒音の影響が最も小さいので40dBとした。
【0042】
一例として、基準騒音の設定に係る住戸が住戸20Aの場合、ステップ308では、住戸20B〜20Iのいずれかで騒音レベルが騒音閾値未満だった場合は、ステップ304で算出した暫定値を基準騒音として処理を終了する。
【0043】
ステップ308で否定判定の場合、すなわち、基準騒音の設定に係る住戸の周囲の住戸の騒音レベルが全て騒音閾値以上の場合は、ステップ310において、基準騒音の設定に係る住戸の騒音レベルと周囲の住戸の最小の騒音レベルとの差を算出する。
【0044】
ステップ312では、ステップ310で算出した騒音レベルの差に応じて基準音量を上げる。
図6は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおける基準騒音の暫定値への加算量の一例を示す図である。基準騒音の設定に係る住戸の騒音レベルと周囲の住戸の最小の騒音レベルとの差が6〜9dBの場合、すなわち基準騒音の設定に係る住戸の騒音レベルが周囲の住戸の最小の騒音レベルを6〜9dB上回る場合は、前述の暫定値に1dBを加算したものを基準騒音とする。
【0045】
また、騒音レベルの差が4〜5dBの場合、すなわち基準騒音の設定に係る住戸の騒音レベルが周囲の住戸の最小の騒音レベルを4〜5dB上回る場合は、前述の暫定値に2dBを加算したものを基準騒音とする。騒音レベルの差が3dB未満の場合は、前述の暫定値に3dBを加算したものを基準騒音とする。
【0046】
なお、本実施の形態では、モデルを単純化するために、
図1に示した住戸20A〜20Iは各々ワンルームとしたが、各住戸が複数の部屋を有し、各部屋に音量センサを設けるようにしてもよい。
【0047】
各部屋に音量センサを設けた場合、基準騒音の設定に係る住戸の各部屋の騒音レベルと基準騒音の設定に係る住戸の周囲に位置する住戸の各部屋の騒音レベルとの差に応じて基準騒音を変更するようにしてもよい。
【0048】
ステップ312では、騒音レベルの差に応じた加算量を上述の暫定値に加算することで基準騒音を算出し、処理を終了する。
【0049】
続いて、本実施の形態における騒音の警告の処理について説明する。
図7は、本実施の形態に係る騒音警告システムにおける騒音の警告の処理に係るフローチャートの一例である。
【0050】
ステップ700では、住戸20A〜20Iの騒音レベルを測定する。ステップ702では、測定した騒音レベルが、住戸20A〜20Iの各々に設定した基準騒音以上であるか否かを判定する。判定は、住戸20A〜20I毎に行い、住戸20A〜20Iのいずれかで基準騒音以上の騒音レベルである住戸を特定する。
【0051】
ステップ704で肯定判定の場合は、住戸内の騒音が基準騒音以上になっている住戸のHEMSに対して騒音が基準騒音以上であることを警告するように指令して処理を終了する。また、ステップ702で否定判定の場合は、各HEMSに対して警告に係る指令をせずに処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、自宅から生じた騒音と自宅周囲の各住戸から生じた騒音とを考慮して、自宅の騒音について警告することが可能となる。
【0053】
なお、
図7に示した処理において、警告するか否かの判断主体はサーバ26であるとしたが、各住戸に設けられているHEMSで行ってもよい。一例として、住戸20Aに設けられているHEMS30Aが警告の要否を判定する場合、サーバ26は、住戸20Aについて設定した基準騒音の数値を予めHEMS30Aに送信する。
【0054】
HEMS30Aは、音量センサ24Aが検知した住戸20Aの騒音レベルがサーバ26から受信した基準騒音以上か否かを判定し、基準騒音以上の場合は警告を発する。
【0055】
本実施の形態では建物10内に設けられたサーバ26が人感センサ22A〜22I及び音量センサ24A〜24Iの検知結果に基づいて警告の要否を判断した。しかしながら、サーバ26とは別に、
図8に示したスマートセンター80のような、建物10の外部の機関において人感センサ22A〜22I及び音量センサ24A〜24Iの検知結果に基づいて警告の要否をしてもよい。
【0056】
図8は、警告の要否の判断を外部の機関において行う場合の一例を示す図である。
図8において、建物10のHEMS30A〜30I、人感センサ22A〜22I及び音量センサ24A〜24Iは、ネットワーク70を介してスマートセンター80と通信可能に接続されている。
【0057】
スマートセンター80は、建物10から送信された人感センサ22A〜22I及び音量センサ24A〜24Iの検知結果から、建物10の各住戸の基準騒音を設定し、騒音レベルが設定された基準騒音以上となっている住戸のHEMSに対して、騒音が許容できる範囲を超えている旨の警告を表示させる指令をする。
【0058】
図8のように外部の機関に警告の要否を判定させることで、建物10を含む複数の建物について各住戸の騒音レベルを集中的に管理できる。