(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のレジスト現像装置900においては、
図12に示すように、スプレーノズル930から噴射された現像液が重力によって下向きの力を受けることに起因して半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少するおそれがあり、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生するおそれがあるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、半導体ウェーハの裏面に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能なレジスト現像装置を提供することを目的とする。また、半導体ウェーハに形成されたレジストをこのようなレジスト現像装置を用いて現像するレジスト現像方法を提供することを目的とする。さらにまた、このようなレジスト現像方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明のレジスト現像装置は、複数の半導体ウェーハを所定間隔で平行に収納可能なキャリアを公転運動させながら当該キャリアに向かって現像液を噴射して、前記各半導体ウェーハに形成されているレジストを現像するレジスト現像装置であって、回転軸を中心に自転運動する回転体と、前記回転体に支持され、前記キャリアを公転運動させるために前記キャリアを保持した状態で前記回転軸を中心に公転運動するクレイドルと、前記キャリアの公転運動における軌道の内側に配設され、前記キャリアの公転運動における軌道の内側から当該軌道の外側に向かって現像液を噴射する第1スプレーノズルと、前記キャリアの公転運動における軌道の外側に配設され、前記キャリアの公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズルとを備え、前記半導体ウェーハを収納した状態で前記キャリアを公転運動させながら前記第1スプレーノズルから現像液を噴射したとき、前記半導体ウェーハが前記第1スプレーノズルにおける現像液の噴射方向に対して前記半導体ウェーハの前記第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
[2]本発明のレジスト現像装置においては、前記半導体ウェーハを収納した状態で前記キャリアを公転運動させながら前記第2スプレーノズルから現像液を噴射したとき、前記半導体ウェーハが前記第2スプレーノズルにおける現像液の噴射方向に対して前記半導体ウェーハの前記第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることが好ましい。
【0013】
[3]本発明のレジスト現像装置においては、前記クレイドルは、前記キャリアに収納された前記半導体ウェーハが水平方向に対して前記半導体ウェーハの前記第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態で前記キャリアを保持するように構成されていることが好ましい。
【0014】
[4]本発明のレジスト現像装置においては、前記第1スプレーノズルは、前記第1スプレーノズルにおける現像液の噴射方向が水平方向から上向きに1°〜5°傾いた状態となるように配設されているとともに、前記第2スプレーノズルは、前記第2スプレーノズルにおける現像液の噴射方向が水平方向から下向きに1°〜5°傾いた状態となるように配設されていることが好ましい。
【0015】
[5]本発明のレジスト現像装置においては、前記第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルをそれぞれ上下に揺動させるノズル上下揺動機構をさらに備えることが好ましい。
【0016】
[6]本発明のレジスト現像装置においては、前記ノズル上下揺動機構は、上下揺動の上限位置よりも上下揺動の下限位置に長く滞在するように前記第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルをそれぞれ上下に揺動させることが好ましい。
【0017】
[7]本発明のレジスト現像装置においては、前記キャリアを公転運動させながら前記キャリアを上下揺動させることが可能なキャリア上下揺動機構をさらに備えることが好ましい。
【0018】
[8]本発明のレジスト現像装置においては、前記第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルのそれぞれから噴射される現像液の噴射量を調整する現像液噴射量調整機構を有することが好ましい。
【0019】
[9]本発明のレジスト現像装置においては、前記クレイドルは、前記回転軸を中心に前記キャリアを公転運動させながらクレイドルに収納される半導体ウェーハの重心を中心に前記キャリアを自転運動させる機能をさらに有することが好ましい。
【0020】
[10]本発明のレジスト現像方法においては、[1]〜[9]のいずれかに記載したレジスト現像装置を用いて、半導体ウェーハに形成されたレジストを現像するレジスト現像方法であって、複数の前記半導体ウェーハを所定間隔で平行に収納可能なキャリアに前記半導体ウェーハを収納して、レジスト現像装置の回転体に支持されたクレイドルに当該キャリアを保持させるキャリア保持工程と、前記キャリアを前記回転体の回転軸を中心に公転運動させながら、前記キャリアの公転運動における軌道の内側に配設された第1スプレーノズルから当該軌道の外側に向かって現像液を噴射するとともに、前記キャリアの公転運動における軌道の外側に配設された第2スプレーノズルから当該軌道の内側に向かって現像液を噴射することによって前記半導体ウェーハに形成されたレジストを現像するレジスト現像工程とをこの順序で含み、前記レジスト現像工程においては、前記半導体ウェーハが前記第1スプレーノズルにおける現像液の噴射方向に対して前記半導体ウェーハの前記第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように前記レジスト現像装置が構成されていることを特徴とする。
【0021】
[11]本発明のレジスト現像方法においては、前記レジスト現像工程は、前記第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルの両方から現像液を噴射する第1現像液噴射工程と、前記第1スプレーノズルのみから現像液を噴射する第2現像液噴射工程とをこの順序で含むことが好ましい。
【0022】
[12]本発明の半導体装置の製造方法においては、半導体ウェーハにレジストを塗布するレジスト塗布工程と、前記レジストを露光して前記レジストに所定のパターンを転写するパターン転写工程と、本発明のレジスト現像方法を用いて所定のパターンが転写された前記レジストを現像してレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のレジスト現像装置によれば、半導体ウェーハが第1スプレーノズルにおける現像液の噴射方向に対して半導体ウェーハの第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第1スプレーノズルから現像液を噴射したときに、半導体ウェーハの裏面に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズルから噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハの裏面に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハの裏面に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0024】
また、本発明のレジスト現像装置によれば、キャリアの公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズルを備えることから、半導体ウェーハが収納されたキャリアを公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0025】
本発明のレジスト現像方法によれば、レジスト現像工程においては、半導体ウェーハが第1スプレーノズルにおける現像液の噴射方向に対して半導体ウェーハの第1スプレーノズル側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるようにレジスト現像装置が構成されていることから、第1スプレーノズルから現像液を噴射したときに、半導体ウェーハの裏面に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズルから噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハの裏面に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハの裏面に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0026】
本発明のレジスト現像方法によれば、レジスト現像工程においては、キャリアの公転運動における軌道の外側に配設された第2スプレーノズルから当該軌道の内側に向かって現像液を噴射することから、半導体ウェーハが収納されたキャリアを公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0027】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、本発明のレジスト現像方法を用いて所定のパターンが転写されたレジストを現像することによって、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程を含むことから、上記したように半導体ウェーハの裏面及び表面の双方ともに現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。その結果、高品質の半導体装置を製造することが可能となる。
【0028】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、本発明のレジスト現像方法を用いて所定のパターンが転写されたレジストを現像することによって、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程を含むことから、上記したように半導体ウェーハのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。その結果、高い歩留まりで半導体装置を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のレジスト現像装置、レジスト現像方法及び半導体装置の製造方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0031】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るレジスト現像装置1の構成
まず、実施形態1に係るレジスト現像装置1の構成を説明する。
【0032】
図1は、実施形態1に係るレジスト現像装置1を説明するために示す図である。
図1(a)はレジスト現像装置1の側断面図であり、
図1(b)はレジスト現像装置1の平面図である。なお、
図1はキャリア100を装着した状態で図示している。また、
図1(b)においては、クレイドル20の図示を省略している。
図2は、キャリア100を説明するために示す図である。
図3は、実施形態1における第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40とキャリア100との関係を説明するために示す図である。なお、
図3中、クレイドル20の図示は省略している。
図4は、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40から噴射された現像液と半導体ウェーハWとの関係を説明するために示す図である。なお、
図4中、キャリア100の図示は省略している。
【0033】
実施形態1に係るレジスト現像装置1は、
図1(a)に示すように、回転体10と、クレイドル20と、第1スプレーノズル30、第2スプレーノズル40と、チャンバー50と、ノズル上下揺動機構(図示せず。)とを備える。
【0034】
実施形態1に係るレジスト現像装置1は、複数の半導体ウェーハWを所定間隔で平行に収納可能なキャリア100を公転運動させながら当該キャリア100に向かって現像液を噴射して、各半導体ウェーハWに形成されているレジストRを現像する。
【0035】
半導体ウェーハWにおいては、両面にレジストRが塗布された後、当該レジストRに所定のパターンが転写された状態となっている。半導体ウェーハWとしては、シリコンウェーハ、SiCウェーハ及びGaNウェーハ等を用いることができる。
【0036】
キャリア100は、
図2に示すように、底面部110と、底面部110の外縁から立設された側面部120と、半導体ウェーハWを出し入れするための開口部130とを備える。キャリア100の内側には、複数の溝140を備える。底面部110には、中央部に穴が開いており、現像液や空気が自由に出入り可能となっている。キャリア100は、内側に形成された溝140に複数の半導体ウェーハWの周縁部を差し込むことで複数の半導体ウェーハWを所定間隔で平行に収納可能である。キャリア100に収納可能な半導体ウェーハWの枚数は、例えば25枚である。キャリア100の材質としては、ポリプロピレン(PP)やポリカーボネート(PC)などの樹脂が使用されている。
【0037】
回転体10は、
図1(a)に示すように、外部に設けられた駆動部によって回転軸Aを中心に自転運動する構造を有する。回転体10は、チャンバー50内の下側に設けられたターンテーブル12と当該ターンテーブル12に設けられた支持部14とを有する。ターンテーブル12は、回転軸Aと垂直な円盤形状をしており、回転軸Aを中心に回転する構造を有する。支持部14は、ターンテーブル12に接続され、後述するクレイドル20を支持する構造を有する。なお、回転体10は、チャンバー50内の上側に配設された回転レールをさらに有してもよい。このことによって、クレイドル20を上側からも支持することが可能となる。
【0038】
回転体10の回転速度は50〜200rpmであり、好ましくは150rpmである。回転速度が50rpm未満の場合には現像効率が悪く、回転速度が200rpmを超える場合には、公転運動が速すぎて、半導体ウェーハWに現像液を供給することが困難となる。
【0039】
クレイドル20は、回転体10に支持され、キャリア100を公転運動させるためにキャリア100を保持した状態で回転軸Aを中心に公転運動する。クレイドル20は、キャリア100の側面部120を囲むことができるように構成されたかご体であり、キャリア100をクレイドル20に嵌め込むことによってクレイドル20はキャリア100を保持する。このとき、半導体ウェーハWを出し入れするための開口部130は、回転軸A側を向いている。クレイドル20は、回転体10における支持部14に支持されている。このため、回転体10が自転運動を開始すると、その回転にあわせてクレイドル20が回転軸Aを中心に公転運動する。クレイドル20の公転運動の軌道は、
図1(b)に示すように、円軌道である。
【0040】
クレイドル20は、
図3に示すように、半導体ウェーハWが水平方向に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態でキャリア100を保持するように構成されている。
【0041】
第1スプレーノズル30は、複数のノズル32とノズルアレイ34からなる。第1スプレーノズル30は、
図1(a)に示すように、キャリア100の公転運動における軌道の内側に配設されている。第1スプレーノズル30は、キャリア100の公転運動における軌道の内側から当該軌道の外側に向かって現像液を噴射することができ、第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1は、回転軸Aに対して垂直な方向(水平方向)である。
ノズルアレイ34は、回転軸A上に設けられている。複数のノズル32は、ノズルアレイ34上に所定の間隔で鉛直方向に一列になるように配設され、現像液を噴射方向D1に沿って噴射する。
【0042】
第2スプレーノズル40は、複数のノズル42とノズルアレイ44からなる。第2スプレーノズル40は、
図1(a)に示すように、キャリア100の公転運動における軌道の外側に配設されている。第2スプレーノズル40は、キャリア100の公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射することができ、第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2は、回転軸Aに対して垂直な方向(水平方向)である。
ノズルアレイ44は、キャリア100の公転運動における軌道の外側の位置に設けられている。複数のノズル42は、ノズルアレイ44上に所定の間隔で鉛直方向に一列になるように配設され、現像液を噴射方向D2に沿って噴射する。
【0043】
第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40から噴射される現像液としては適宜のものを用いることができ、例えば、キシレンやイソパラフィン系炭化水素等を用いる。
【0044】
クレイドル20が、キャリア100に収納された半導体ウェーハWが水平方向からキャリア100の公転運動の外側に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル40側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態でキャリア100を保持するように構成されており、かつ、第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1は、回転軸Aに対して垂直な方向(水平方向)であることから、半導体ウェーハWを収納した状態でキャリア100を公転運動させながら第1スプレーノズル30から現像液を噴射したとき、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されている。
【0045】
また、クレイドル20が、キャリア100に収納された半導体ウェーハWが水平方向からキャリア100の公転運動の外側に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル40側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態でキャリア100を保持するように構成されており、かつ、第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2は、回転軸Aに対して垂直な方向(水平方向)であることから、半導体ウェーハWを収納した状態でキャリア100を公転運動させながら第2スプレーノズル40から現像液を噴射したとき、半導体ウェーハWが第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されている。
【0046】
第1スプレーノズル30から噴射方向D1に沿って噴射された現像液は、所定のスプレー角度で広がって霧状になりながらキャリア100の公転運動における軌道の外側に向かう。霧状になった現像液は、主に半導体ウェーハWの裏面S2にかかり、一部は重力の影響で下向きの力を受けて半導体ウェーハWの表面S1にかかる(
図4参照。)。
【0047】
第2スプレーノズル40から噴射方向D2に沿って噴射された現像液は、所定のスプレー角度で広がって霧状になりながらキャリア100の公転運動における軌道の内側に向かう。霧状になった現像液は、主に半導体ウェーハWの表面S1にかかる(
図4参照。)。
【0048】
ノズル上下揺動機構(図示せず。)は、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40をそれぞれ上下に揺動させる。具体的には、ノズル上下揺動機構は、ノズルアレイ34,44を上下に揺動させることで第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40を上下に揺動させる。ノズルアレイ34,44を上下に揺動させずに個々のノズル32,42のそれぞれを上下揺動することとしてもよい。ノズル上下揺動機構は、上下揺動の上限位置よりも上下揺動の下限位置に長く滞在するように第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40をそれぞれ上下に揺動させる。
【0049】
なお、上下揺動の周期や、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40の位相はそれぞれ適宜に決定することができる。実施形態1においてはキャリア100の公転周期と共鳴しないような周期で上下揺動させ、第1スプレーノズル30と第2スプレーノズル40とは同期した位相をとなっている。
【0050】
第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40は、それぞれ、現像液の噴射量を調整する現像液噴射量調整機能をさらに有する。現像液の噴射量については後述する。
【0051】
チャンバー50は、隔壁で覆われた円筒形状をしており、回転体10と、クレイドル20と、第1スプレーノズル30と、第2スプレーノズル40とを内部に収納している。チャンバー50においては、チャンバー50内の上部に空気流入口(図示せず。)が設けられ、チャンバー50内の下部に吸引ポンプ(図示せず。)が設けられている。レジスト現像装置1を運転する際、吸引ポンプによってチャンバー50内の空気が吸引され、空気流入口からは空気が流入する。このため、チャンバー50内においては、上から下に流れる空気の流れが形成されることとなる。
【0052】
2.実施形態1に係るレジスト現像方法及び実施形態1に係る半導体装置の製造方法
次に、実施形態1に係るレジスト現像方法及び実施形態1に係る半導体装置の製造方法を以下に示す各工程に沿って説明する。
図5は、実施形態1に係るレジスト現像方法を説明するために示すフローチャートである。
【0053】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は、
図5に示すように、「半導体ウェーハ準備工程S10」、「レジスト塗布工程S20」、「パターン転写工程S30」、「レジストパターン形成工程S40」及び「素子形成工程S50」をこの順序で含む。
【0054】
(a)半導体ウェーハ準備工程S10
まず、半導体ウェーハWを準備する。実施形態1においては、半導体ウェーハWの表面S1及び裏面S2に酸化膜が形成されている。
【0055】
(b)レジスト塗布工程S20
次に、半導体ウェーハWの両面にレジストRを塗布する。具体的には、スピンコーターやスリットコーター等を用いて、半導体ウェーハWを回転させながらレジスト液を滴下して半導体ウェーハWの表面S1及び裏面S2に均一な厚さのレジストRを塗布する。実施形態1においては、感光しない部分が現像されるタイプ(ネガタイプ)のレジストRを用いる。
【0056】
(c)パターン転写工程S30
次に、半導体ウェーハW上のレジストRに所定のパターンを転写する。具体的には、露光装置、例えば、ステッパ、ミラープロジェクション、密着式・近接式露光装置、表裏同時露光装置等にフォトマスクを装着し、フォトマスクと半導体ウェーハWを目合わせして、フォトマスクを通して紫外光(可視光又はレーザー線でもよい。)をレジストRに露光し、所定のパターンを転写する。なお、表面S1と裏面S2に形成されるパターンは同じでも良いし異なっていても良い。
【0057】
(d)レジストパターン形成工程S40
次に、所定のパターンが転写されたレジストRを現像することによって、レジストパターンを形成する。レジストパターン形成工程S40は、「キャリア保持工程S41」と「レジスト現像工程S42」と「リンス工程S45」とをこの順序で含む。このうち、「キャリア保持工程S41」及び「レジスト現像工程S42」は、実施形態1に係るレジスト現像方法を構成する。
【0058】
(d−1)キャリア保持工程S41
まず、複数の半導体ウェーハWを所定間隔で平行に収納可能なキャリア100にレジストRに所定のパターンが転写された半導体ウェーハWを収納して、レジスト現像装置1の回転体10に支持されたクレイドル20に当該キャリア100を保持させる。具体的には、キャリア100の内側に形成された溝140に各半導体ウェーハWの周縁部を差し込むことで、各半導体ウェーハWを所定間隔で平行に収納する。
【0059】
(d−2)レジスト現像工程S42
次に、キャリア100を回転体10の回転軸Aを中心に公転運動させながら、キャリア100の公転運動における軌道の内側に配設された第1スプレーノズル30から当該軌道の外側に向かって現像液を噴射するとともに、キャリア100の公転運動における軌道の外側に配設された第2スプレーノズル40から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射することによって半導体ウェーハWに形成されたレジストRを現像する。レジスト現像工程S42を実施することによって、レジストRのうち感光しない部分が現像され、レジストRのうち感光した部分がレジストパターンとして残る。
【0060】
レジスト現像工程S42においては、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるようにレジスト現像装置1が構成されている。また、半導体ウェーハWが第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるようにレジスト現像装置1が構成されている。
【0061】
レジスト現像工程S42は、第1現像液噴射工程S43と、第2現像液噴射工程S44とをこの順序で含む。
【0062】
(d−2−1)第1現像液噴射工程S43
第1現像液噴射工程S43は、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40の両方から現像液を噴射する工程である。第1現像液噴射工程S43において、第2スプレーノズル40から単位時間内に噴射される現像液の量は、第1スプレーノズル30から単位時間内に噴射される現像液の量よりも多くなり、例えば、約2倍になる。なお、第2スプレーノズル40から噴射される現像液の噴射圧を第1スプレーノズル30から噴射される現像液の噴射圧より大きくしても良い。
【0063】
(d−2−2)第2現像液噴射工程S44
第2現像液噴射工程S44は、第1スプレーノズル30のみから現像液を噴射する工程である。この工程を実施することによって、第1現像液噴射工程S43の実施後に、現像された非感光レジスト(ネガ)を半導体ウェーハWの裏面S2からキャリア100の公転運動における軌道の外側へ公転運動の遠心力によって振り飛ばすだけでなく、第1スプレーノズル30から噴射された現像液の流れによっても振り飛ばすことが可能となる。その結果、現像された非感光レジスト(ネガ)が半導体ウェーハWに付着することを防ぐことが可能となる。
【0064】
(d−3)リンス工程S45
次に、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40からリンス液(主に
、IPA(イソプロピルアルコール)、酢酸ブチル)を噴射して、半導体ウェーハWの表面S1及び裏面S2に対する現像を停止する。このことによって、半導体ウェーハWの表面S1及び裏面S2の過現像を防止することが可能となる。
【0065】
以上により、半導体ウェーハWにレジストパターンを形成することができる。
【0066】
(e)素子形成工程S50
次に、レジストパターン形成工程S40で形成されたレジストパターンに従って、半導体ウェーハWのエッチングやイオン注入を実施して素子形成を行う。その後、レジストパターンをプラズマアッシングや有機系薬品、強酸等(例えば、硫酸+過酸化水素水や発煙硝酸等)で除去する。
【0067】
その後、さらに素子形成、酸化膜形成及び電極形成等を行うことにより、半導体装置を製造することができる。
【0068】
3.実施形態1に係るレジスト現像装置1、レジスト現像方法及び半導体装置の製造方法の効果
実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第1スプレーノズル30から現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズル30から噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0069】
また、実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、キャリア100の公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズル40を備えることから、半導体ウェーハWが収納されたキャリア100を公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0070】
なお、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されているのは、傾いた角度が1°未満の場合には、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりにくくなり、本発明の効果を十分に得ることができないからであり、傾いた角度が5°を超える場合には、キャリア100内において隣接する半導体ウェーハWによって現像液が半導体ウェーハWにかかるのが阻害される場合があるからである。
【0071】
実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、半導体ウェーハWを収納した状態でキャリア100を公転運動させながら第2スプレーノズル40から現像液を噴射したとき、半導体ウェーハWが第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第2スプレーノズル40から現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの表面S1に現像液がかかりやすくなり、半導体ウェーハWの表面S1に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの表面S1に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0072】
また、実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、クレイドル20は、キャリア100に収納された半導体ウェーハWが水平方向からキャリア100の公転運動の外側に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態でキャリア100を保持するように構成されているため、第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1及び第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2をそれぞれ水平方向とした状態で、上記した効果を有するレジスト現像装置とすることが可能となる。
【0073】
また、実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40をそれぞれ上下に揺動させるノズル上下揺動機構をさらに備えることから、半導体ウェーハWをキャリア100のどこに収納するかに関らず半導体ウェーハWを均一に現像することが可能となる。
【0074】
また、実施形態1に係るレジスト現像装置1によれば、ノズル上下揺動機構は、上下揺動の上限位置よりも上下揺動の下限位置に長く滞在するように第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40をそれぞれ上下に揺動させるため、キャリア100に収納された半導体ウェーハWのうち比較的現像液がかかりにくい鉛直下側に収納された半導体ウェーハWにも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWをキャリア100のどこに収納するかに関らず半導体ウェーハWを均一に現像することが可能となる。なお、レジスト現像装置の構造的に第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40を上下揺動させにくい場合に、この効果は、より顕著となる。
【0075】
実施形態1に係るレジスト現像方法によれば、レジスト現像工程S42においては、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるようにレジスト現像装置1が構成されていることから、第1スプレーノズル30から現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズル30から噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0076】
また、実施形態1に係るレジスト現像方法によれば、レジスト現像工程S42においては、キャリア100の公転運動における軌道の外側に配設された第2スプレーノズル40から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射することから、半導体ウェーハWが収納されたキャリア100を公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0077】
また、実施形態1に係るレジスト現像方法によれば、レジスト現像工程S42は、第1スプレーノズル30のみから現像液を噴射する第2現像液噴射工程S44を含むことから、第1現像液噴射工程S43の実施後に、第1スプレーノズル30から噴射された現像液の流れによって、現像された非感光レジストを半導体ウェーハWの裏面S2から振り飛ばすことが可能となる。その結果、現像された非感光レジストが半導体ウェーハWに付着することを防ぐことが可能となる。
【0078】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係るレジスト現像方法を用いてレジストRを現像することによってレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程S40を含むことから、上記したように半導体ウェーハWの裏面S2及び表面S1の双方ともに現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。その結果、高品質の半導体装置を製造することが可能となる。
【0079】
また、実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係るレジスト現像方法を用いてレジストRを現像することによって、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程S40を含むことから、上記したように半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。その結果、高い歩留まりで半導体装置を製造することが可能となる。
【0080】
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係るレジスト現像装置2を説明するために示す図である。
図6(a)はレジスト現像装置2の側断面図であり、
図6(b)はレジスト現像装置2の平面図である。なお、
図6はキャリア100を装着した状態で図示している。また、なお、
図6(b)においては、クレイドル20の図示を省略している。
図7は、実施形態2における第1スプレーノズル30a及び第2スプレーノズル40aとキャリア100との関係を説明するために示す図である。なお、
図7中、クレイドル20の図示は省略している。
【0081】
実施形態2に係るレジスト現像装置2は、基本的には実施形態1に係るレジスト現像装置1と同様の構成を有するが、クレイドル、第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルの構成が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係るレジスト現像装置2においては、
図7に示すように、第1スプレーノズル30aにおける現像液の噴射方向D1が水平方向に対して上向きに1°〜5°傾いた状態となるように第1スプレーノズル30aが配設されているとともに、第2スプレーノズル40aにおける現像液の噴射方向D2が水平方向に対して下向きに1°〜5°傾いた状態となるように第2スプレーノズル40aが配設されている。実施形態2においては、第1スプレーノズル30a及び第2スプレーノズル40aは、ノズルアレイ34a,44aごと傾けられている。
【0082】
実施形態2に係るレジスト現像装置2において、クレイドル20は、キャリア100に収納された半導体ウェーハWが水平となるようにキャリア100を保持するように構成されている。また、回転体10における支持部16もクレイドル20を水平に支持するように構成されている。
【0083】
このように、実施形態2に係るレジスト現像装置2は、クレイドル、第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルの構成が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合と同様に、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30aにおける現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30a側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第1スプレーノズル30aから現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズル30aから噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0084】
また、実施形態2に係るレジスト現像装置2によれば、キャリア100の公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズル40aを備えることから、半導体ウェーハWが収納されたキャリア100を公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0085】
また、実施形態2に係るレジスト現像装置2によれば、第1スプレーノズル30aは、第1スプレーノズル30aにおける現像液の噴射方向D1が水平方向から上向きに1°〜5°傾いた状態となるように配設されているとともに、第2スプレーノズル40aは、第2スプレーノズル40aにおける現像液の噴射方向D2が水平方向から下向きに1°〜5°傾いた状態となるように配設されていることから、クレイドル20は、収納された半導体ウェーハWが水平方向となるようにキャリア100を保持するように構成されている場合であっても上記した効果を得ることが可能となる。
【0086】
また、実施形態2に係るレジスト現像装置2によれば、キャリア100は、半導体ウェーハWを水平に保ちながら公転運動することが可能となるため、チャンバー50内において、遠心力によってキャリア100の公転運動の内側から外側に向かう空気の流れがある場合であっても、半導体ウェーハWの空気抵抗を最小限に抑えることが可能となる。
【0087】
なお、実施形態2に係るレジスト現像装置2は、クレイドル、第1スプレーノズル及び第2スプレーノズルの構成が異なる点以外の点においては実施形態1に係るレジスト現像装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るレジスト現像装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0088】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係るレジスト現像装置3を説明するために示す図である。
【0089】
実施形態3に係るレジスト現像装置3は、基本的には実施形態1に係るレジスト現像装置1と同様の構成を有するが、ノズル上下揺動機構を備えない代わりにキャリア上下揺動機構を備える点が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るレジスト現像装置3は、
図8に示すように、キャリア100を公転運動させながらキャリア100を上下揺動させることが可能なキャリア上下揺動機構(図示せず。)をさらに備える。
【0090】
キャリア上下揺動機構は、ターンテーブル12及びクレイドル20ごとキャリア100を上下揺動させる構造を有する。
【0091】
このように、実施形態3に係るレジスト現像装置3は、ノズル上下揺動機構を備えない代わりにキャリア上下揺動機構を備える点が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合と同様に、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第1スプレーノズル30から現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズル30から噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0092】
また、実施形態3に係るレジスト現像装置3によれば、キャリア100の公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズル40を備えることから、半導体ウェーハWが収納されたキャリア100を公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも現像液がかかりやすくなる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0093】
また、実施形態3に係るレジスト現像装置3によれば、キャリア100を公転運動させながらキャリア100を上下揺動させることが可能なキャリア上下揺動機構を備えるため、半導体ウェーハWをキャリア100のどこに収納するかに関らず半導体ウェーハWを均一に現像することが可能となる。
【0094】
なお、実施形態3に係るレジスト現像装置3は、ノズル上下揺動機構を備えない代わりにキャリア上下揺動機構を備える点以外の点においては実施形態1に係るレジスト現像装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るレジスト現像装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0095】
[実施形態4]
図9は、実施形態4に係るレジスト現像装置4を説明するために示す図である。
図9(a)はレジスト現像装置4の側断面図であり、
図9(b)はレジスト現像装置4の平面図である。なお、
図9はキャリア100を装着した状態で図示している。また、なお、
図4(b)においては、クレイドル20の図示を省略している。
【0096】
実施形態4に係るレジスト現像装置4は、基本的には実施形態1に係るレジスト現像装置1と同様の構成を有するが、クレイドルが、クレイドルに収納される半導体ウェーハの重心を中心にキャリアを自転運動させる機能をさらに有する点が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係るレジスト現像装置4において、クレイドル20は、
図9に示すように、回転軸Aを中心にキャリア100を公転運動させながらクレイドル20に収納される半導体ウェーハWの重心を中心にキャリア100を自転運動させる機能をさらに有する。このため、キャリア100に収納されている半導体ウェーハWは回転軸Aを中心に公転運動しながら、半導体ウェーハWの重心を中心に自転運動することとなる。
【0097】
実施形態4におけるクレイドル20においては、回転体10における支持部18と連結されている部分を回転させることで半導体ウェーハWの重心を中心にキャリア100を自転運動させる構造を有する。
【0098】
このように、実施形態4に係るレジスト現像装置4は、クレイドルが、クレイドルに収納される半導体ウェーハの重心を中心にキャリアを自転運動させる機能をさらに有する点が実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係るレジスト現像装置1の場合と同様に、半導体ウェーハWが第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1に対して半導体ウェーハWの第1スプレーノズル30側が高くなるような向きに1°〜5°傾いた状態となるように構成されていることから、第1スプレーノズル30から現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWの裏面S2に現像液がかかりやすくなる。このため、第1スプレーノズル30から噴射された現像液が重力によって下向きの力を受ける場合であっても半導体ウェーハWの裏面S2に当たる現像液の量が減少することを防ぐことが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの裏面S2に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0099】
また、実施形態4に係るレジスト現像装置4によれば、キャリア100の公転運動における軌道の外側から当該軌道の内側に向かって現像液を噴射する第2スプレーノズル40を備えることから、半導体ウェーハWが収納されたキャリア100を公転運動させながら現像液を噴射したときに、半導体ウェーハWのうち公転運動の外縁に位置する領域にも均一に現像液がかかるようになる。その結果、半導体ウェーハWにおける当該領域に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0100】
また、実施形態4に係るレジスト現像装置4によれば、クレイドル20が、回転軸Aを中心にキャリア100を公転運動させながらクレイドル20に収納される半導体ウェーハWの重心を中心にキャリア100を自転運動させる機能をさらに有することから、半導体ウェーハWの周辺部にかかる現像液の量を均一にすることが可能となる。その結果、半導体ウェーハWの周辺部に現像ムラが大量に発生することを防ぐことが可能となる。
【0101】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0102】
(1)上記実施形態2においては、第1スプレーノズル30a及び第2スプレーノズル40aがノズルアレイ34a,44aごと傾けられている場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ノズル32a、42aのみが傾けられている場合であっても本発明を適用可能である。
【0103】
(2)上記各実施形態においては、第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1及び第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2がそれぞれ所定の角度で固定される場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1スプレーノズル30における現像液の噴射方向D1及び第2スプレーノズル40における現像液の噴射方向D2が現像液を噴射しながら角度を変えることが可能である場合であっても本発明を適用可能である。
【0104】
(3)上記各実施形態においては、レジスト現像工程S42においては第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40から現像液を連続して噴射している場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1スプレーノズル30及び第2スプレーノズル40がそれぞれ現像液を交互に噴射している場合や、あらかじめ制御された順番で現像液を交互に又は連続して噴射している場合であっても本発明を適用可能である。
【0105】
(4)上記各実施形態においては、表面S1及び裏面S2に酸化膜が形成されている半導体ウェーハWにレジストRを塗布する場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、表面S1及び裏面S2に、無機保護膜(ガラス系、窒化膜系)、有機保護膜(ポリイミド系)、金属薄膜が形成されている半導体ウェーハにレジストが塗布された場合であっても本発明を適用可能である。この場合、表面形状が平坦な場合であっても凹凸がある場合であってもよい。
【0106】
(5)上記各実施形態においては、感光しない部分が現像されるタイプ(ネガタイプ)のレジストRを用いた場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、感光した部分が現像されるタイプ(ポジタイプ)のレジストを用いた場合であっても本発明を適用可能である。
【0107】
(6)上記各実施形態においては、パターン転写工程S30の後にレジストパターン形成工程S40を実施する場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パターン転写工程S30とレジストパターン形成工程S40との間に、レジストRを塗布した半導体ウェーハWを窒素雰囲気下で加熱処理するベーク工程を実施する場合であっても本発明を適用可能である。この場合、レジストR中に残存する有機溶媒を取り除くことが可能となる。
【0108】
(7)上記各実施形態においては、クレイドル20に保持されたキャリア100が回転軸Aを中心とした円軌道を描くように回転する場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、クレイドル20に保持されたキャリア100が回転軸Aを1つの焦点とした楕円軌道を描くように回転する場合であっても本発明を適用可能である。
【0109】
(8)上記実施形態1においては、ノズルアレイ34が回転軸A上に設けられている場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ノズルアレイ34がキャリアの公転軌道の内側に設けられていれば、ノズルアレイ34が回転軸Aからずれた位置に設けられている場合であっても本発明を適用可能である。
【0110】
(9)上記各実施形態においては、半導体ウェーハWの両面にレジストが形成される場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。半導体ウェーハWのいずれか一方の面にのみレジストが形成されている場合であっても本発明を適用可能である。