(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した燃焼器は、メインノズルが分岐される前の上流側の燃料配管の音響インピーダンスを増大させて流量変動の抑制を図っているが、複数のメインノズルが同じ音響特性を有している場合には、各メインノズルにおいて同位相で流量変動が生じてしまう。そして、同位相で流量変動された燃料が各メインノズルから噴射されると、メインノズルの周囲に配されたスワラ内の燃料/空気比変動の振幅が燃焼室内で合算されてしまう。そのため、燃焼室内における燃料/空気比変動の振幅が増大し、燃焼室に大きな発熱変動ならびに圧力変動が生じて、燃焼振動を十分に低減することができないという課題がある。
ここで、メインノズルに生じる流量変動の位相をずらすためには、例えば、各メインノズルの内径を変化させて音響特性を変化させることが考えられる。しかしながら、この場合、燃料変動の位相はずれるものの、各メインノズルの圧力損失が不均一となるため、各メインノズルから供給される燃料流量に偏りが生じてしまう。そのため、燃焼領域における燃焼の不安定化が誘発されたり、火炎にホットスポットが形成されたりして、NOx(窒素酸化物)が増加してしまう。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、燃焼領域に供給される燃料の流量変動を抑制して、十分な燃焼振動の低減を図ることが可能な燃焼器、および、ガスタービンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る燃焼器は、燃焼器本体の軸線方向に延びて、燃焼室側に配される噴射孔から燃料を噴射可能な複数の燃料ノズルを備えた燃焼器であって、前記複数の燃料ノズルのうち、少なくとも二つの燃料ノズル間で前記燃料の流量変動の位相が一致しないように、少なくとも一つの燃料ノズルの流路断面積を前記軸線方向で部分的に変化させる位相調整部を備え
、前記位相調整部を備える前記燃料ノズルは、前記位相調整部により生じる圧力損失の大きさに応じた大きさの噴射孔を有することを特徴としている。
このように位相調整部によって燃料ノズルの流路断面積を部分的に変化させることで、燃料ノズルの音響特性を変化させることができるため、燃料ノズルにおける燃料の流量変動の位相を変化させることができる。そして、少なくとも二つの燃料ノズル間で燃料の流量変動の位相が一致しないようにすることができるため、これら流量変動が合算される燃焼室の燃料/空気比の変動の振幅の大きさを低減することができる。また、燃料ノズルの流路断面積を軸線方向で部分的に変化させているだけであるので、複数の燃料ノズル間で圧力損失がばらつくことを抑制できる。
さらに、位相調整部によって生じる圧力損失の変化分を、噴射孔の大きさによって調整することができる。また、位相調整部を備えていない燃料ノズルと位相調整部を備える燃料ノズルとから供給される燃料の流量を揃えることができる。
さらに、この発明に係る燃焼器は、燃焼器本体の軸線方向に延びて、燃焼室側に配される噴射孔から燃料を噴射可能な複数の燃料ノズルを備えた燃焼器であって、前記複数の燃料ノズルのうち、少なくとも二つの燃料ノズル間で前記燃料の流量変動の位相が一致しないように、少なくとも一つの燃料ノズルの流路断面積を前記軸線方向で部分的に変化させる位相調整部を備え、前記位相調整部は、流路内に配される多孔質材料である。
このように構成することで、軸線方向で部分的に流路断面積を減少させた場合と同様に、燃料ノズル内で生じる燃料の流量変動の位相をずらすことができる。また、燃料ノズル内における圧力変動すなわち流量変動の振幅を低減することができる。
【0007】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記複数の燃料ノズルが、それぞれ前記位相調整部を備え、隣り合う前記燃料ノズルの前記位相調整部が、互いに前記軸線方向にずらして配されていてもよい。
このように構成することで、軸線方向における位相調整部の配置に応じて各燃料ノズルの音響特性を変化させることができるため、位相調整部の配置に応じて燃料ノズルに生じる燃料の流量変動の位相を変化させることができる。そして、隣り合う燃料ノズル同士で、燃料の流量変動の位相をずらすことができる。また、各燃料ノズルに位相調整部を備えていることで、各燃料ノズルの圧力損失を揃えることができる。
【0008】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記複数の燃料ノズルが、列をなして配され、一つ置きに前記位相調整部を備えていてもよい。
このように構成することで、位相調整部を備える燃料ノズルと、位相調整部を備えていない燃料ノズルとが交互に配され、隣り合う燃料ノズル同士で、燃料の流量変動の位相をずらすことができる。
【0010】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記位相調整部が、隣り合う前記燃料ノズル同士の前記燃料の流量変動の位相を、互いに逆相とするようにしてもよい。
このように構成することで、各燃料ノズルにおける燃料の流量変動が、隣り合う燃料同士で互いに打ち消しあうようにすることができる。
【0011】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記位相調整部が、前記流路断面積を増加させるキャビティ部であってもよい。
このように構成することで、軸線方向で部分的に流路断面積を増加させることができるため、燃料ノズル内の圧力損失が変動することを抑制しつつ燃料の流量変動の位相をずらすことができる。
【0012】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記位相調整部が、前記流路断面積を減少させるオリフィス部であってもよい。
このように構成することで、軸線方向で部分的に流路断面積を減少させることができるため、各燃料ノズルに生じる圧力損失の増加を最小限にしつつ燃料ノズル内で生じる燃料の流量変動の位相をずらすことができる。また、位相調整部を燃料ノズルの外側に突出させずに燃料ノズル内で生じる燃料の流量変動の位相をずらすことができる。
【0014】
さらに、この発明に係る燃焼器は、上記燃焼器の前記複数の燃料ノズルが、マニホールドから分岐接続されていてもよい。
このように構成することで、とりわけマニホールドよりも燃焼室側に複数の燃料ノズルが設けられている場合に、燃焼室の圧力変動に応じて発生する燃料の流量変動の影響が、燃焼室で行われる燃焼に及ぶことを防止できる。
【0015】
この発明に係るガスタービンは、上記燃焼器を備えることを特徴としている。
このように構成することで、燃焼器の燃焼室に供給される燃料の流量変動を低減することができるため、燃焼器の燃焼振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る燃焼器によれば、燃焼領域に供給される燃料の流量変動を抑制して、十分な燃焼振動の低減を図ることができる。
さらに、この発明に係るガスタービンによれば、燃焼器における燃焼振動を低減できるため、この燃焼振動に起因する部品の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明の第一実施形態におけるガスタービン、および、燃焼器について図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態のガスタービンを示す部分断面図である。
図1に示すように、この実施形態におけるガスタービン1は、その軸線P方向の一端から他端に向かって、空気取入口2と、圧縮機3と、燃焼器4と、タービン5とを備えている。ガスタービン1は、まず、空気取入口2から取り入れた空気を、圧縮機3によって圧縮し、次いで、圧縮機3により圧縮された圧縮空気を、燃焼器4によって燃料と混合燃焼して高温高圧の燃焼ガスとする。そして、高温高圧の燃焼ガスをタービン5に供給することで、タービン5を回転させる。このタービン5の回転力は、例えば、発電機などで電力に変換される。
【0019】
図2に示すように、燃焼器4は、燃焼器内筒10と、燃焼器外筒11とを備えている。燃焼器内筒10および燃焼器外筒11は、それぞれ中空状に形成され、燃焼器内筒10を覆うように燃焼器外筒11が配置されている。燃焼器内筒10および燃焼器外筒11の中心軸は、燃焼器4の軸線O上に配され、軸線O方向において燃焼器内筒10の基部側(紙面左側)の径方向外側に、上記燃焼器外筒11が配置されている。また、燃焼器内筒10は、その内筒本体部12の基部側に内筒サポート13を備えている。内筒サポート13は、内筒本体部12と、燃焼器外筒11の背面壁14との間に配されている。そして、内筒本体部12は、内筒サポート13を介して、背面壁14に支持されている。
【0020】
燃焼器4は、更に、その軸線O上に、軸線O方向に延びるパイロットノズル15を備えている。パイロットノズル15は、保炎性を高めるためにパイロット燃料を噴射して拡散燃焼を行うためのものであり、その先端部15aには、圧縮空気と混合された燃料を噴射するためのパイロット噴射口16が形成されている。このパイロットノズル15の先端部15aは、間隔を空けてパイロットコーン17により外側から覆われている。このパイロットコーン17は、パイロットノズル15の外周面と対向する部分では軸線O方向で太さが一定な管状とされ、パイロット噴射口16から軸線O方向に離間するにつれて拡径されている。
【0021】
燃焼器4は、更に、パイロットノズル15の周囲に、複数(例えば、8つ)のメインノズル20を備えている。複数のメインノズル20は、軸線O方向に平行に延びて形成され、各メインノズル20の軸線O方向の長さは、同一長さL1(
図3参照)とされている。これらメインノズル20は、パイロットノズル15を囲むように互いに周方向に間隔を空けて軸線Oを中心にする環状に配列されている。各メインノズル20の先端部21は、徐々に縮径した先細り形状とされ、これら先端部21の近傍のノズル本体部22の周壁23に、燃料を噴射するための複数のメイン噴射孔24が形成されている。各メインノズル20のノズル本体部22の内径すなわち流路断面積は、後述する位相調整部33が配される部分を除き、同一流路断面積とされている。メインノズル20は、メイン噴射孔24から燃料を噴射することで予混合燃焼を行う。なお、メインノズル20の本数は、偶数であることが好ましい。
【0022】
燃焼器4は、更に、メインバーナ26を備えている。メインバーナ26は、メインノズル20の先端部21側に配され、先端部21に対して径方向に間隔を空けて外側から覆うように形成されている。メインバーナ26とメインノズル20との間には、圧縮機3から供給される圧縮空気と、メインノズル20から噴射されるメイン燃料とを混合するためのメインスワラ27が配されている。なお、図示都合上、
図2では、パイロットノズル15の周囲に配されるパイロット燃料と圧縮空気とを混合するためのパイロットスワラの図示を省略している。
【0023】
燃焼器4は、燃焼器内筒10と燃焼器外筒11との間に、圧縮機3から供給された圧縮空気が流れる空気流路28を備えている。空気流路28は、軸線O方向で燃焼器外筒11の背面壁14とは反対側に、パンチングメタル等よりなる整流板29が取り付けられた入口30に接続されている。ここで、上述した内筒サポート13は、例えば、周方向で隣り合うメインノズル20間から、燃焼器外筒11の背面壁14に向かって延びている。空気流路28に流入した圧縮空気は、上記内筒サポート13の間から径方向内側、換言すれば軸線O側に向かって流入する。そして、圧縮空気は、軸線O方向で流れの向きを180度変えて、メインノズル20およびパイロットノズル15に沿って各先端部21,15a側に向かって均一に流れる。
【0024】
図3は、上述した燃焼器4のメインノズル20と、メインノズル20へメイン燃料を供給するマニホールド31および燃料配管32の概略構成を示している。
図3に示すように、燃焼器4は、メインノズル20が分岐接続されるマニホールド31を備えている。このマニホールド31には、燃料配管32を介してメイン燃料が供給される。マニホールド31は、燃料配管32から供給されたメイン燃料を、複数のメインノズル20に対して均等に分配する。ここで、メインノズル20の内部を流れるメイン燃料は、燃焼器4の燃焼室(図示せず)の内部の圧力変動を受けて、その流量が周期的に変動する。そのため、各メインノズル20からの燃料噴射量も周期的に変動してしまう。
【0025】
メインノズル20は、それぞれ位相調整部33を備えている。これら位相調整部33は、各メインノズル20の内部に生じるメイン燃料の流量変動の位相(以下、単に流量変動の位相と称する)が、隣り合うメインノズル20同士で一致しないように各メインノズル20の音響特性をずらすべく設けられている。この実施形態における位相調整部33は、メインノズル20の流路断面積を軸線O方向(
図3中、矢印の方向)で部分的に増加させるキャビティ部からなる。
【0026】
ここで、メインノズル20は、位相調整部33によって、その流路断面積が軸線O方向で部分的に増加されると、流路断面積が増加されていないメインノズル20に対して、その音響特性が変化する。換言すれば、位相調整部33を設けることで流量変動の位相をずらすことができる。また、例えば、キャビティ部からなる位相調整部33の形状が同一である場合、位相調整部33の軸線O方向における配置に応じて、メインノズル20の音響特性が変化して流量変動の位相が変化する。
【0027】
この実施形態における各メインノズル20は、軸線O方向における位相調整部33の位置が、その隣に配置されるメインノズル20の位相調整部33の位置と一致しないようになっている。より具体的には、隣り合うメインノズル20に設けられる各位相調整部33は、必ず軸線O方向にずらして配置されている。
【0028】
また、各位相調整部33は、隣り合うメインノズル20同士の流量変動の位相が互いに逆相となるように配置されている。つまり、
図4に示すように、メインノズル20の流量変動は、配列方向で交互にピーク(
図4中、「+」で示す)とボトム(
図4中「−」で示す)とが現れるようになっている。なお、互いに位相が逆相となる位相調整部33の配置関係は、メインノズル20の配管径、厚さなど種々条件によって変化する。そのため、種々条件におけるメインノズル20の音響特性をシミュレーションなどにより求めることで、互いに位相が逆相となる配置関係を求めることができる。
【0029】
したがって、上述した第一実施形態の燃焼器4によれば、位相調整部33によってメインノズル20の流量変動の位相をずらすことができるため、メインノズル20同士の流量変動の位相が一致することを防止できる。その結果、複数のメインノズル20の流量変動が合算される燃焼室における燃料/空気比の変動の振幅を低減して、燃焼振動を十分に低減することが可能となる。
【0030】
また、位相調整部33が、各メインノズル20に設けられていることで、各メインノズル20の内部で生じる圧力損失がばらつくことを防止できる。さらに、位相調整部33が軸線O方向で部分的に形成されていることで、メインノズル20の周囲に形成される空気流路への影響を最小限にすることができる。
【0031】
また、位相調整部33の軸線O方向の配置に応じて各メインノズル20の音響特性を変化させることができるため、容易に各メインノズル20に生じる流量変動の位相を調整することができる。
さらに、隣り合うメインノズル20に生じる互いの流量変動の位相を逆相とすることで、隣り合うメインノズル20同士の流量変動が互いの流量変動を打ち消すように作用するため、燃焼室における燃料/空気比の変動の振幅を抑制して、燃焼振動の更なる低減を図ることができる。
【0032】
また、とりわけマニホールド31に対して複数のメインノズル20が分岐接続されている場合に、マニホールド31よりも燃焼室側の各メインノズル20内において、燃焼室の圧力変動に応じて発生する流量変動の影響が燃焼室での燃焼に及ぶことを防止できる。
【0033】
さらに、上記燃焼器4を備えるガスタービン1によれば、燃焼室に供給される燃料の変動を低減して、燃焼器4の燃焼振動を抑制することができるため、燃焼振動に起因する部品損傷などを防止できる。
【0034】
次に、この発明の第二実施形態における燃焼器4について
図5に基づき説明する。なお、この第二実施形態の燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4の位相調整部33を、キャビティ部ではなくオリフィス部としたものである。そのため、第二実施形態では、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
【0035】
図3に示すように、この実施形態における燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4と同様に、複数のメインノズル20を備えている。複数のメインノズル20は、軸線O方向に平行に延びて形成され、軸線O方向における長さが同一長さL1とされている。これらメインノズル20は、互いに周方向に間隔を空けて軸線Oを中心にする環状に配列されている。各メインノズル20は、徐々に縮径する先細りの先端部21を備えており、これら先端部21の近傍のノズル本体部22の周壁に、燃料を噴射するための複数の噴射孔24が形成されている。各ノズル本体部22の流路断面積は、位相調整部133を除き、同一流路断面積とされている。そして、これらメインノズル20は、軸線O方向で部分的に流路断面積を変化させる位相調整部133を備えている。
【0036】
この実施形態における位相調整部133は、軸線O方向において部分的に流路断面積を減少させるオリフィス部からなる。これらオリフィス部からなる位相調整部133を設けることで、上述した第一実施形態の位相調整部33の場合と同様に、位相調整部133を設けていないメインノズル20に対して音響特性を変化させて流量変動の位相をずらすことができる。また、オリフィス部からなる位相調整部133の形状が同一である場合、位相調整部133の軸線O方向における配置に応じて、メインノズル20の音響特性が変化する。そのため、位相調整部133の軸線O方向における配置を変化させることで、流量変動の位相を変化させることができる。
【0037】
そして、この実施形態における各メインノズル20が備える位相調整部133は、第一実施形態の位相調整部33と同様に、隣り合うメインノズル20同士で軸線O方向における位置が一致しないように配置されている。より具体的には、隣り合うメインノズル20同士の互いの流量変動の位相が逆相となるように配置されている。
【0038】
各メインノズル20は、位相調整部133により増加する圧力損失の大きさに応じた大きさの噴射孔24を有している。つまり、オリフィス部からなる位相調整部133により増加する圧力損失分だけ、噴射孔24が大きく形成され、メインノズル20全体の圧力損失が、位相調整部133を設けていない場合のメインノズル20の全体の圧力損失と同等になるように調整されている。
【0039】
したがって、上述した第二実施形態の燃焼器4によれば、軸線O方向において部分的に流路断面積を減少させるため、各メインノズル20に生じる圧力損失の増加を最小限にしつつ、燃料ノズル内で生じる燃料の流量変動の位相をずらすことができる。その結果、メインノズル20内部の流量変動に伴う燃焼振動を十分に低減することが可能となる。
また、位相調整部133をメインノズル20の周壁23よりも外側に突出させずにメインノズル20内で生じる燃料の流量変動の位相をずらすことができるため、例えば、メインノズル20の周囲における部品等の配置自由度を向上できる。
さらに、位相調整部133により増加する圧力損失分を噴射孔24の大きさを調整することで補っているので、メイン燃料を供給する圧力を増加させる必要がなく、容易に燃焼振動の低減を図ることができる。
【0040】
次に、この発明の第三実施形態における燃焼器4について図面に基づき説明する。なお、この第三実施形態の燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4に対し、列をなして配された複数のメインノズル20に、配列方向で一つ置きに位相調整部33が設けられる点でのみ相違するため、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0041】
図6に示すように、この実施形態における燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4と同様に、複数のメインノズル20を備えている。複数のメインノズル20は、軸線O方向(
図6中、矢印で示す)に平行に延びて形成され、軸線O方向における長さが同一長さL1とされている。これらメインノズル20は、互いに周方向に間隔を空けて軸線Oを中心にする環状に配列されている。各メインノズル20は、徐々に縮径する先細りの先端部21を備えており、これら先端部21の近傍のノズル本体部22の周壁23に、メイン燃料を噴射するための複数の噴射孔24が形成されている。各ノズル本体部22の流路断面積は、位相調整部33が配された箇所を除き、同一流路断面積とされている。
【0042】
環状に列をなして配された複数のメインノズル20は、その配列方向で一つ置きに位相調整部33を備えている。この実施形態における位相調整部33は、メインノズル20の流路断面積を軸線O方向で部分的に拡大させるキャビティ部からなる。ここで、位相調整部33を備えるメインノズル20の流量変動の位相は、位相調整部33を備えていないメインノズル20の流量変動の位相とずれている。そして、位相調整部33は、隣り合うメインノズル20の流量変動の位相同士が互いに逆相となる軸線O方向の所定位置に配されている。そして、複数のメインノズル20に設けられた各位相調整部33は、軸線O方向で同じ位置に配されている。
【0043】
さらに、位相調整部33を有するメインノズル20は、位相調整部33を設けることにより変化する圧力損失の大きさに応じた大きさの噴射孔24を有している。つまり、位相調整部33を有するメインノズル20の全体の圧力損失は、位相調整部33を有していないメインノズル20の全体の圧力損失と同等になるように、噴射孔24の大きさによって調整されている。
【0044】
したがって、上述した第三実施形態の燃焼器4によれば、第一実施形態の燃焼器4と同様に、燃焼振動を低減することができる。さらに、軸線O方向で位相調整部33を同じ位置に配置できることから、位相調整部33の有無の違いだけの二種類のメインノズル20を用意して、これら二種類のメインノズル20を交互に配置すればよく、組立作業が複雑化することを防止できる。その結果、組立作業者の負担軽減を図ることができる。
【0045】
なお、上述した第三実施形態においては、キャビティ部からなる位相調整部33を備える場合について説明したが、例えば、この際三実施形態の変形例として
図7に示すように、オリフィス部からなる位相調整部133に置き換えてもよい。
【0046】
次に、この発明の第四実施形態における燃焼器4について図面に基づき説明する。なお、この第四実施形態の燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4と、位相調整部の構成が異なるだけであるため、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0047】
図8に示すように、この実施形態における燃焼器4は、上述した第一実施形態の燃焼器4と同様に、複数のメインノズル20を備えている。複数のメインノズル20は、軸線O方向(
図8中、矢印で示す)に平行に延びて形成され、軸線O方向における長さが同一長さL1とされている。これらメインノズル20は、互いに周方向に間隔を空けて軸線Oを中心にする環状に配列されている。各メインノズル20は、徐々に縮径する先細りの先端部21を備えており、これら先端部21の近傍のノズル本体部22の周壁23に、メイン燃料を噴射するための複数の噴射孔24が形成されている。各メインノズル20の流路断面積は、同一流路断面積とされている。そして、これらメインノズル20は、軸線O方向で部分的に流路断面積を変化させる位相調整部233を備えている。
【0048】
この実施形態における位相調整部233は、軸線O方向において部分的に流路断面積を減少させる発砲金属などの多孔質材料からなる。ここで、位相調整部233は、メインノズル20の流路内に詰め込むことで配されている。上記多孔質材料からなる位相調整部233は、内部に形成された気孔が繋がっており、その内部をメイン燃料が通過可能となっている。つまり、メインノズル20の流路断面積は、位相調整部233により減少されている。
【0049】
そして、上述した第一実施形態の位相調整部33と同様に、上記位相調整部233を備えるメインノズル20は、位相調整部233を備えていないメインノズル20に対して、その音響特性が変化されて流量変動の位相がずれている。また、位相調整部233の形状、すなわち、位相調整部233全体に対する気孔の占める割合や、軸線O方向の長さなどが同一である場合、位相調整部233の軸線O方向における配置に応じて、メインノズル20の音響特性が変化する。そのため、位相調整部233の軸線O方向における配置を変化させることで、メインノズル20内で生じる流量変動の位相を変化させることが可能となっている。
【0050】
さらに、各位相調整部233は、隣り合うメインノズル20内部の流量変動の位相が互いに逆相となるように軸線O方向にずらして配置されている。
また、上記メインノズル20は、第二実施形態の噴射孔24と同様に、位相調整部233により増加する圧力損失に応じた大きさの噴射孔24を備えている。これにより、位相調整部233を設けることでメインノズル20全体の圧力損失が増加しないようになっている。
【0051】
したがって、上述した第四実施形態の燃焼器4によれば、メインノズル20に多孔質材料からなる位相調整部233を設けることで、メインノズル20の内部における音響インピーダンスを増加させることができる。そのため、上述した各実施形態と同様に隣り合うメインノズル20同士の流量変動の位相をずらして燃焼室の燃料/空気比の振幅を低減させることができる。また、音響インピーダンスが増加されるので、メインノズル20内の流量変動の振幅自体を低減できる。
【0052】
なお、この発明は上述した各実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した第一実施形態の圧縮機4おいて、位相調整部33を設けることによる圧力損失の変化分だけ噴射孔24の大きさを調整するようにしてもよい。
【0053】
また、第二実施形態の燃焼器4においては、オリフィス部からなる位相調整部133の圧力損失に応じて噴射孔24の大きさを調整する場合について説明したが、噴射孔24の大きさを調整せずに、燃料を供給する圧力を増加させるようにしてもよい。
【0054】
また、上述した各実施形態の隣り合うメインノズル20においては、軸線O方向における位相調整部33,133,233の配置をずらすことで、燃料変動の位相をずらしていたが、これに限られるものではない。例えば、キャビティ部、オリフィス部、および、多孔質材料の軸線O方向の長さや、キャビティ部、オリフィス部における径方向の大きさ、多孔質材料における気孔の割合などを変化させて、隣り合うメインノズル20同士の流量変動の位相をずらすようにしてもよい。
【0055】
また、上述した各実施形態においては、隣り合うメインノズル20同士の流量変動の位相が逆相となるように構成したが、これに限られるものではない。各メインノズル20の流量変動の位相が少しでもずれていれば、当該位相が一致している場合と比較して燃焼室における燃料/空気比の変動の振幅を低減する効果が得られる。
【0056】
さらに、第一実施形態では、配列された複数のメインノズル20の全てに位相調整部33を設ける場合を説明し、第三実施形態では、一つ置きに位相調整部33を設ける場合を説明したが、複数のメインノズル20のうち、少なくとも一つのメインノズル20に位相調整部33を設け、少なくとも二つのメインノズル20に生じる流量変動の位相をずらすようにすればよい。この場合、少なくとも二つのメインノズル20内に生じる流量変動の位相差の分だけ、燃焼室における燃料/空気比の変動の振幅を低減する効果が得られる。
【0057】
また、上述した第三実施形態の燃焼器4においては、複数のメインノズル20に設けられた各位相調整部33が、軸線O方向で同じ位置に配置される場合について説明したが、隣り合うメインノズル20同士の流量変動の位相が逆相になるか、又は、単にずれる配置であればよく、軸線O方向における位置は異なっていてもよい。
【0058】
さらに、メインノズル20同士でメイン燃料の流量変動の位相をずらす場合を一例に説明したが、パイロットノズル15とメインノズル20との流量変動の位相が一致してしまう場合などには、パイロットノズル15とメインノズル20との少なくとも一方に位相調整部33(133,233)を設けて、パイロットノズル15とメインノズル20における流量変動の位相をずらすようにしてもよい。
【0059】
さらに、位相調整部33(133,233)の有無と、位相調整部33(133,233)の軸線O方向における配置とによって、メインノズル20内の流量変動の位相を変化させる場合について説明したが、これに限られるものではない。キャビティ部からなる位相調整部33、オリフィス部からなる位相調整部133、および、多孔質材料からなる位相調整部233をメインノズル20に取り付けたときの各音響特性は、それぞれ異なるため、例えば、
図9に示すように、隣り合うメインノズル20のうち、例えば、一方のメインノズル20にキャビティ部からなる位相調整部33を設け、他方のメインノズル20にオリフィス部からなる位相調整部133を設けるなど、位相調整部の種類を変化させて流量変動の位相をずらすようにしてもよい。また、種類の異なる位相調整部33,133,233を、軸線O方向にずらして配置したり、メインノズル20の配列方向で一つ置きに配置したりしてもよい。