特許第6021713号(P6021713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6021713-風呂給湯装置 図000002
  • 特許6021713-風呂給湯装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021713
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】風呂給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20161027BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   F24H1/00 606F
   F24H9/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-70927(P2013-70927)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-194302(P2014-194302A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 睦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭二
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−62014(JP,A)
【文献】 特開平7−167500(JP,A)
【文献】 特開2012−77996(JP,A)
【文献】 特開2010−117042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 9/00
F24H 1/10 − 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯用熱交換器及び風呂用熱交換器を備える熱源機と、
前記給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を給湯端末に供給する給湯管路と、
前記風呂用熱交換器で浴槽の風呂水を循環加熱する追焚き循環管路と、
前記給湯管路と前記追焚き循環管路とを接続し、前記給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を前記追焚き循環管路に供給する湯張り管と、
前記追焚き循環管路に設けられた循環ポンプと、
前記湯張り管における前記湯張り管と前記追焚き循環管路との接続部よりも上流側に接続され、前記熱源機を作動させることによって発生するドレンを前記湯張り管に排出するドレン排出管路と、
前記熱源機を作動させて湯張り運転や追焚き運転を行う制御装置と、を有し、
前記追焚き循環管路は、前記循環ポンプの駆動により、前記浴槽から風呂水を前記風呂用熱交換器側に戻す戻り管と、前記風呂用熱交換器から前記浴槽に風呂水を送る往き管とを備え、
前記往き管にはドレン放出管が分岐接続されているとともに、前記往き管と前記ドレン放出管との接続部にドレン排水切替弁が設けられている風呂給湯装置であって、
前記制御装置は、湯張り運転あるいは追焚き運転の運転指示がなされると、浴槽への湯張りあるいは風呂水の循環前に、前記給湯管路から前記湯張り管を介して前記追焚き循環管路に給水を行うとともに、前記ドレン排水切替弁を排出位置に切り替えて、前記給湯管路からの給水を前記ドレン放出管から外部に排出させる風呂給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風呂給湯装置において、
前記熱源機は、前記浴槽よりも上方に設置されている風呂給湯装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の風呂給湯装置において、
前記戻り管は、前記湯張り管と切替弁を介して接続されており、
前記循環ポンプは、前記戻り管における前記湯張り管との接続部よりも下流側に設けられ、
前記制御装置は、前記給湯管路からの給水が前記接続部から前記戻り管における前記循環ポンプ側のみに送出される排出位置に前記切替弁を切り替えて前記追焚き循環管路に給水を行なった後、前記接続部から前記戻り管における前記循環ポンプ側及び前記浴槽側に湯水を供給する給湯位置あるいは前記追焚き循環管路内で風呂水を循環させる循環位置に前記切替弁を切り替えて、前記湯張り運転あるいは追焚き運転を行う風呂給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯張り運転や追焚き運転を自動で行う風呂給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器を備える熱源機と浴槽とを接続し、浴槽内に湯張り等のために直接給湯できるようにするとともに、浴槽内に湯張りされた風呂水を追焚きすることにより浴槽内の湯温を昇温できるようにした風呂給湯装置が知られている。
【0003】
上記風呂給湯装置に用いられる熱源機には、給湯用熱交換器と風呂用熱交換器とが配設されており、風呂用熱交換器と浴槽とは、風呂水を循環させる追焚き循環管路で接続されているとともに、浴槽に湯張りを行うために、追焚き循環管路は、給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を追焚き循環管路に供給するための給湯管路と湯張り管を介して接続されている。
【0004】
この種の風呂給湯装置で湯張り運転を行う場合には、熱源機を作動させて給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を、給湯管路から分岐させた湯張り管を介して追焚き循環管路に供給し、設定された湯量の湯張りを行っている。そして、所定量の湯水が浴槽内に注湯されると、必要に応じて追焚き循環管路に設けられた循環ポンプにより浴槽内に貯留された風呂水を吸込み、追焚き循環管路を循環させながら風呂用熱交換器で風呂水を設定温度まで昇温させる追焚き運転を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−130844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、循環ポンプを駆動するとき、循環ポンプ内に水が滞留していれば浴槽から風呂水を速やかに吸込むことができ、追焚き循環管路に風呂水を循環させることができる。
【0007】
しかしながら、近年、住宅設備の多様化から、熱源機が2階以上に設置され、浴槽が地上階に設置されることも多くなってきている。そのため、浴槽と上層階に設置される熱源機との間にかなりの高低差(例えば、5m以上)が生じている。その結果、浴槽を使用した後、風呂水を排水したり、湯張り運転を行ってから一定時間が経過すると、追焚き循環管路内の水が浴槽に落ち込み、循環ポンプ内に空気が入り込みやすい。このような状態で循環ポンプを駆動すると、空気の噛み込みにより浴槽内の風呂水が戻り管に吸込まれ難くなり、しかも、上層階まで風呂水を吸い上げなければならないため、追焚き循環管路に風呂水を循環させるのに一定時間が必要になるという問題がある。また、追焚き循環管路に設けられた水流スイッチで通水が確認されてから風呂用熱交換器で循環加熱が開始される風呂給湯装置では、空気の噛み込みにより水流スイッチで通水が検知されるまで一定時間を必要とするから、例えば、浴槽内に風呂水が存在しないと誤判定されて、追焚き運転が停止されるという問題がある。さらに、循環ポンプ内に水が滞留していないと、循環ポンプが空転するため、大きな騒音が生じたり、循環ポンプの耐久性が低下するという問題もある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、給湯管路と追焚き循環管路とを有し、追焚き循環管路に設けられた循環ポンプにより風呂水を循環させる風呂給湯装置において、湯張り運転や追焚き運転を円滑に行うことができる風呂給湯装置を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
給湯用熱交換器及び風呂用熱交換器を備える熱源機と、
前記給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を給湯端末に供給する給湯管路と、
前記風呂用熱交換器で浴槽の風呂水を循環加熱する追焚き循環管路と、
前記給湯管路と前記追焚き循環管路とを接続し、前記給湯用熱交換器で加熱生成された湯水を前記追焚き循環管路に供給する湯張り管と、
前記追焚き循環管路に設けられた循環ポンプと、
前記湯張り管における前記湯張り管と前記追焚き循環管路との接続部よりも上流側に接続され、前記熱源機を作動させることによって発生するドレンを前記湯張り管に排出するドレン排出管路と、
前記熱源機を作動させて湯張り運転や追焚き運転を行う制御装置と、を有し
前記追焚き循環管路は、前記循環ポンプの駆動により、前記浴槽から風呂水を前記風呂用熱交換器側に戻す戻り管と、前記風呂用熱交換器から前記浴槽に風呂水を送る往き管とを備え、
前記往き管にはドレン放出管が分岐接続されているとともに、前記往き管と前記ドレン放出管との接続部にドレン排水切替弁が設けられている風呂給湯装置であって、
前記制御装置は、湯張り運転あるいは追焚き運転の運転指示がなされると、浴槽への湯張りあるいは風呂水の循環前に、前記給湯管路から前記湯張り管を介して前記追焚き循環管路に給水を行うとともに、前記ドレン排水切替弁を排出位置に切り替えて、前記給湯管路からの給水を前記ドレン放出管から外部に排出させる風呂給湯装置である。
【0010】
上記風呂給湯装置によれば、湯張り運転あるいは追焚き運転前に、循環ポンプが設けられた追焚き循環管路に給水が行われるから、循環ポンプ内に入り込んだ空気を排気することができ、循環ポンプ内に水が滞留した状態で循環ポンプを駆動することができる。
また、上記風呂給湯装置によれば、発生するドレンを追焚き循環管路を介して外部に排出する風呂給湯装置においても、特別な給水構造を採用することなく、湯張り運転等の前に循環ポンプに給水することができる。
さらに、上記風呂給湯装置によれば、湯張り運転等の前に行われる追焚き循環管路への給水は浴槽に供給されることなく外部に排出されるから、湯量や湯温の変動を防止することができる。
【0011】
上記風呂給湯装置において、
前記熱源機は、前記浴槽よりも上方に設置されていてもよい。
【0012】
熱源機が浴槽よりも上方に設置されている場合、追焚き循環管路内の水が浴槽に落ち込みやすいから、より本発明を効果的に適用することができる。
【0013】
上記風呂給湯装置において、好ましくは、
前記戻り管は、前記湯張り管と切替弁を介して接続されており、
前記循環ポンプは、前記戻り管における前記湯張り管との接続部よりも下流側に設けられ、
前記制御装置は、前記給湯管路からの給水が前記接続部から前記戻り管における前記循環ポンプ側のみに送出される排出位置に前記切替弁を切り替えて前記追焚き循環管路に給水を行なった後、前記接続部から前記戻り管における前記循環ポンプ側及び前記浴槽側に湯水を供給する給湯位置あるいは前記追焚き循環管路内で風呂水を循環させる循環位置に前記切替弁を切り替えて、前記湯張り運転あるいは追焚き運転を行う。
【0014】
追焚き循環管路を有する風呂給湯装置では、湯張り運転を行う場合、往き管側、及び戻り管側のいずれからでも浴槽への湯張りが可能であるが、往き管だけでなく、戻り管からも浴槽への給水が可能な状態で給水圧のみにより給湯管路から追焚き循環管路に給水すると、戻り管を上昇して、さらに往き管まで給水することが難しく、戻り管のみから浴槽に給水されやすい。その結果、戻り管における湯張り管との接続部より下流側に循環ポンプを設けている場合、循環ポンプ内に確実に給水され難い。しかしながら、上記風呂給湯装置によれば、湯張り管と戻り管とを切替弁を介して接続し、給湯管路からの給水が戻り管における湯張り管との接続部よりも下流側に位置する循環ポンプ側のみに送出される排出位置に切替弁を切り替えて給水するから、接続部よりも上流側の戻り管に給水されるのを防止でき、短時間で循環ポンプ内に水を滞留させることができる。そして、戻り管に設けられた循環ポンプ内に水を滞留させた状態で、給湯位置あるいは循環位置に切替弁を切り替え、湯張り運転あるいは追焚き運転が行われるから、速やかに運転を開始することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、湯張り運転あるいは追焚き運転前に、循環ポンプの空転を防止することができる。これにより、円滑に追焚き循環管路に風呂水を循環させることができる。従って、特別な給水構造を採用することなく、循環不良による運転中止を防止できるとともに、循環ポンプの騒音や耐久性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る風呂給湯装置の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、本実施の形態に係る風呂給湯装置で自動運転を行う場合の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態の風呂給湯装置について具体的に説明する。
【0022】
図1に示すように、風呂給湯装置1は、上水道から供給される水を所定温度に加熱して湯水を生成し、カランなどの給湯端末P1や浴槽P2へ供給する給湯機能部と、浴槽P2の風呂水を所定温度に加熱しつつ循環させる追焚き機能部とを備えている。
【0023】
本実施の形態の風呂給湯装置1は、給湯用熱交換器21A及び風呂用熱交換器21Bが配設された熱源機11と、給水源から供給される水を給湯用熱交換器21Aに導き、給湯用熱交換器21Aから給湯端末P1や浴槽P2に供給する給湯管路2と、浴槽P2と風呂用熱交換器21Bとの間で風呂水を循環させる追焚き循環管路4と、風呂給湯装置1全体の動作を制御する制御装置Cとを備えている。また、制御装置Cには、風呂給湯装置1の動作を指示するための操作端末100が電気配線または無線により接続されている。
【0024】
給湯管路2は、給水源から給湯用熱交換器21Aへ水を供給する給水管2aと、給湯用熱交換器21Aから給湯端末P1に給湯用熱交換器21Aで加熱生成された湯水を供給する出湯管2bと、給水管2aと出湯管2bの間に、給湯用熱交換器21Aで加熱生成された高温の湯水を所定温度に調整するための給水管2aから水を混合するバイパス管とを備えている。
【0025】
給水管2aには、給湯用熱交換器21Aに供給される水の量を検知するための水量センサ31と、給湯用熱交換器21Aへの水量を調整可能な水量調整弁32とが上流側から順に設けられている。
【0026】
追焚き循環管路4は、浴槽P2から風呂用熱交換器21Bに風呂水を戻す戻り管4aと、風呂用熱交換器21Bで加熱された風呂水を浴槽P2に送る往き管4bとを備えている。戻り管4a及び往き管4bの浴槽P2側の端部はそれぞれ、浴槽P2の内部の底部近傍に設けられた循環金具(図示せず)に接続されている。なお、本明細書の追焚き循環管路4では、循環ポンプ37を駆動させて風呂水を循環させるときの循環経路の戻り管側を上流側、往き管側を下流側という。
【0027】
給湯管路2の出湯管2bには、浴槽P2への湯張りを行うための湯張り管3が分岐接続されており、湯張り管3の下流端は、追焚き循環管路4の戻り管4aに接続されている。この湯張り管3には、給湯用熱交換器21Aからの湯水の供給を遮断可能な湯張り電磁弁33と、追焚き循環管路4からの風呂水の逆流を防止するための風呂逆止弁34と、湯張り管3を流れる湯水の流量を検知する湯量センサ35とが上流側から順に設けられている。
【0028】
熱源機11の筺体10内には、給水管2aから供給される水を燃焼排ガスとの熱交換により加熱する給湯用熱交換器21Aと、戻り管4aから戻る風呂水を燃焼排ガスとの熱交換により加熱する風呂用熱交換器21Bと、ガス配管15からガス管路を通じて供給される燃料ガスを燃焼用空気と混合して燃焼させ、燃焼排ガスを生成するガスバーナ22A,22Bとが組み込まれている。また、筺体10の下部には、筺体10内へ燃焼用空気を送り込む燃焼ファン23が設けられている。
【0029】
給湯用熱交換器21Aは、燃焼排ガスの顕熱を回収する給湯用主熱交換器211と、この給湯用主熱交換器211よりも燃焼排ガスの流れの下流側に設けられて、燃焼排ガスの潜熱を回収する給湯用副熱交換器212とを備えている。そして、給湯用副熱交換器212の上流端には、給水管2aが接続され、給湯用主熱交換器211の下流端には、出湯管2bが接続されている。
【0030】
風呂用熱交換器21Bは、給湯用熱交換器21Aと同様に、燃焼排ガスの顕熱を回収する風呂用主熱交換器213と、この風呂用主熱交換器213よりも燃焼排ガスの流れの下流側に設けられて、燃焼排ガスの潜熱を回収する風呂用副熱交換器214とを備えている。そして、風呂用副熱交換器214の上流端には、戻り管4aが接続され、風呂用主熱交換器213の下流端には、往き管4bが接続されている。なお、風呂用熱交換器21Bは、風呂用主熱交換器213のみから構成してもよい。
【0031】
ガス配管15には、ガスバーナ22A,22Bへの燃料ガスの供給を遮断可能なガス元弁25と、ガスバーナ22A,22Bへの燃料ガスの供給量を調整可能なガス比例弁26とが上流側から順に設けられている。また、ガス比例弁26の下流側には、各ガスバーナ22A,22Bへの燃料ガスの供給を遮断可能なガス遮断弁27A,27Bが設けられている。
【0032】
また、筺体10内には、潜熱を回収する際に給湯用及び風呂用副熱交換器212,214から発生するドレンを受けるドレン受け24が設けられている。ドレン受け24の底部には、発生したドレンを追焚き循環管路4を介して外部に排出するためのドレン排出管路5が接続されている。
【0033】
ドレン排出管路5には、ドレン受け24で受け止めたドレンを回収するドレンタンク50が設けられており、ドレンタンク50に回収されたドレンは、装填されたドレン中和剤によって中和され、ドレンタンク50内に設けられた水位電極53で所定水位以上貯留されたことが検知されると、ドレン排出管路5から湯張り管3に排出され、さらに循環ポンプ側の戻り管4a、及び往き管4bを介して外部に排出される。
【0034】
湯張り管3と、ドレン排出管路5との接続部には、給湯用熱交換器21Aで加熱生成された湯水を追焚き循環管路4に導く給湯位置と、ドレンタンク50内のドレン中和水を湯張り管3に排出し、追焚き循環管路4に導く排出位置とに切替可能なドレン排出電磁弁36が設けられている。
【0035】
追焚き循環管路4の戻り管4aには、浴槽P2から戻り管4aに吸込まれる浴槽P2内の風呂水の温度を検知する戻り側サーミスタ41と、循環ポンプ37と、浴槽P2内の風呂水の水位を検知する水位センサ38と、戻り管4aの水流に応じてオンオフする水流スイッチ39とが上流側から順に設けられており、湯張り管3と戻り管4aの接続部は、戻り管4aにおける循環ポンプ37の上流側に接続されている。
【0036】
湯張り管3と戻り管4aとの接続部には、追焚き運転を行う場合に、浴槽P2の風呂水を風呂用熱交換器21Bに導く循環位置と、湯張り運転を行う場合に、湯張り管3を介して湯水を接続部から循環ポンプ側及び浴槽側の両方に供給する給湯位置と、湯張り運転や追焚き運転を行う前に、循環ポンプ37に湯張り管3を介して給水する場合や、ドレンタンク50からドレン中和水を排出する場合に、給水された水やドレン中和水を戻り管4aにおける湯張り管3との接続部よりも下流の循環ポンプ側のみに送出する排出位置とに切替え可能な切替弁40が設けられている。
【0037】
追焚き循環管路4の往き管4bには、浴槽P2に送る循環加熱した風呂水の温度を検知するための往き側サーミスタ42が設けられている。また、往き管4bには、ドレン中和水を外部に排出するためのドレン放出管17が分岐接続されている。さらに、往き管4aとドレン放出管17の接続部には、風呂用熱交換器21Bに送り込まれた風呂水を浴槽P2へ戻す循環位置と、ドレン中和水をドレン放出管17から排出する排出位置とに切替可能なドレン排水切替弁46が設けられている。なお、このドレン排水切替弁46は、湯張り運転等の前に循環ポンプ37に湯張り管3から追焚き循環管路4に給水する場合にも、給水された水が浴槽P2内に落とし込まれないように排出位置に設定される。
【0038】
既述した燃焼ファン23、ガス元弁25、ガス比例弁26、ガス遮断弁27A,27B、水量センサ31、水量調整弁32、湯張り電磁弁33、湯量センサ35、ドレン排出電磁弁36、循環ポンプ37、水位センサ38、水流スイッチ39、切替弁40、往き側及び戻り側サーミスタ42,41、ドレン排水切替弁46、水位電極53はそれぞれ、電気配線を通じて制御装置Cに接続されている。
【0039】
図示しないが、制御装置Cには、湯張り運転や追焚き運転を行う場合のガスバーナ22A,22Bの燃焼や燃焼ファン23の回転数を制御する燃焼運転制御部、湯張り運転や追焚き運転を行う前に、給湯管路2から湯張り管3を介して追焚き循環管路4に給水するための給水運転部、循環ポンプ37の駆動を制御する循環制御部、水位電極53で検知されるドレンタンク50内のドレンが所定量以上となった場合に、ドレンの排出を行うドレン排出実行部、ドレン排出を行った後、配管洗浄を行う配管洗浄運転部、各運転を行う場合のプログラムが記憶されたメモリやタイマなどの回路構成を備えている。
【0040】
次に、本実施の形態の風呂給湯装置1において、湯張り運転や追焚き運転を行う場合の制御フローについて説明する。
操作端末100で電源スイッチがオン操作され、湯張り運転あるいは追焚き運転の自動運転スイッチがオンされると(ステップST1〜ST2)、循環ポンプ37内に給水するための給水運転を実行する(ステップST3)。
【0041】
この給水運転では、まず、湯張り電磁弁33を開弁し、ドレン排出電磁弁36を給湯位置に、切替弁40及びドレン排水切替弁46を排出位置に設定する。これにより、給湯管路2と追焚き循環管路4とが連通した状態となる。また、戻り管4aの切替弁40より上流側には給水されない状態となる。
【0042】
次いで、水量センサ31で最低作動水量以上が検知されると、燃焼ファン23を作動させるとともに、給湯用熱交換器21Aを加熱するガスバーナ22Aが点火されて、給湯用熱交換器21Aで湯水が加熱生成される。すると、所定量の湯水が湯張り管3を介して追焚き循環管路4の戻り管4aに供給され、さらに循環ポンプ側のみに向かって送出される。従って、熱源機11に対して浴槽P2が下方に位置していても、この給水運転により、循環ポンプ37を駆動することなく、給水圧により循環ポンプ37内に給水することができ、循環ポンプ37内に空気が入り込んでいても、これを排気できる。しかも、切替弁40は、戻り管4aにおける切替弁40よりも上流側には給水されない排出位置に設定されているから、戻り管4aに設けられている循環ポンプ37内に確実に給水することができる。
【0043】
そして、この給水運転の間は、循環ポンプ37を駆動させていないから、循環ポンプ37の駆動により、騒音が生ずることもない。しかも、給水運転で追焚き循環管路4に供給された給水は、風呂用熱交換器21Bを経由してさらに往き管4bに送出されるが、浴槽P2よりも上流側のドレン排水切替弁46は排出位置に設定されているから、給水運転後に、湯張り運転を行っても、操作端末100等で設定された湯量を超える風呂水が貯留されるのを防止できる。さらに、追焚き運転においては、風呂水の温度低下も防止できる。
【0044】
湯量センサ35で検知される湯量が所定量になると、湯張り運転あるいは追焚き運転の自動運転を開始する(ステップST4)。例えば、湯張り運転の場合、操作端末100で設定された湯温となるように燃料ガスの供給量を変更するとともに、切替弁40を給湯位置に、ドレン排水切替弁46を循環位置に設定する。これにより、湯張り管3から供給された湯水は、往き管4bだけでなく、戻り管4aからも浴槽P2に落とし込まれる。そして、湯量センサ35で所定の湯量がカウントされると、湯張り電磁弁33を閉弁し、往き側サーミスタ42で検知される風呂水の温度が操作端末100で設定された湯温となるように、循環ポンプ37を駆動して風呂水を循環させながら、風呂用熱交換器21Bで風呂水を循環加熱する。また、追焚き運転の場合、同様に、切替弁40及びドレン排水切替弁46を循環位置に設定した状態で、循環ポンプ37を駆動して風呂水を循環させながら、風呂用熱交換器21Bにより操作端末100で設定された湯温となるまで風呂水を循環加熱する。従って、水流スイッチ39で通水が確認されてから風呂用熱交換器21Bでの循環加熱が開始される風呂給湯装置1であっても、空気の噛み込みによる水流スイッチ39での通水の検知遅れを防止できるから、円滑に追焚き運転を実行することができる。自動運転が終了する前に、使用者が操作端末100で各運転の一時停止を行った場合、自動運転を一時停止し(ステップST5)、上記ステップが繰り返される。
【0045】
なお、図示しないが、本実施の形態の風呂給湯装置1は、ドレン排出管路5が湯張り管3に接続されているため、ドレンタンク50内の水位電極53で所定量以上のドレンが検知された場合、自動運転を中断して、ドレン排出運転が行われる。このドレン排出運転では、ドレン排出電磁弁36、切替弁40、及びドレン排水切替弁46が排出位置に設定される。そして、ドレンタンク50内のドレンが減少すると、ドレン排出電磁弁36が給湯位置に設定され、上記の給湯管路2から所定量の水を追焚き循環管路4に給水する配管洗浄運転が行われる。従って、この配管洗浄運転によって、さらに循環ポンプ37内に給水を行ってもよい。
【0046】
なお、上記実施の形態では、風呂用熱交換器21Bと浴槽P2とが追焚き循環管路4により直接接続されている風呂給湯装置について説明したが、さらに床暖房装置と床暖房用循環管路とを備え、風呂用副熱交換器と床暖房用循環管路とを接続して、床暖房用循環管路と追焚き循環管路との間で液々熱交換により風呂水の循環加熱を行う風呂給湯装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 風呂給湯装置
2 給湯管路
2a 給水管
2b 出湯管
3 湯張り管
4 追焚き循環管路
4a 戻り管
4b 往き管
5 ドレン排出管路
11 熱源機
21A 給湯用熱交換器
21B 風呂用熱交換器
37 循環ポンプ
40 切替弁
P2 浴槽
図1
図2