(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021729
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】入力デバイス及びタッチパネル表示システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20161027BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20161027BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/038 310Z
G06F3/041 560
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-95636(P2013-95636)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-215980(P2014-215980A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】597010226
【氏名又は名称】株式会社コト
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀一郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 敏
(72)【発明者】
【氏名】瀧 良博
(72)【発明者】
【氏名】菅 一成
(72)【発明者】
【氏名】大金 義隆
【審査官】
▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4043453(JP,B2)
【文献】
特開2008−123164(JP,A)
【文献】
特開2005−058391(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/029941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/038
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力デバイスであって、
タッチパネルの三カ所に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である、導電性を有する三つの向き検出接触子と、
前記三つの向き検出接触子とともに前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置位置により、表示パネルに表示させる固有情報が識別される、導電性を有する少なくとも一つの情報識別接触子と、
利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と、を備え、
前記向き検出接触子、及び前記情報識別接触子は、前記利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と電気的に導通している部材の底面から突出して形成されている入力デバイス。
【請求項2】
前記情報識別接触子は、前記三角形の頂点のうち、内角が最大である一の頂点の内角を挟む二辺によってできる方形領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の入力デバイス。
【請求項3】
前記情報識別接触子は、前記内角と前記内角に対する対角の頂点位置を除いた前記方形領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項2記載の入力デバイス。
【請求項4】
前記三角形は直角三角形であり、前記一の頂点は前記直角三角形の直角の頂点である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記向き検出接触子の形成する前記三角形の向きは、前記表示される前記固有情報の向きを定める、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項6】
前記向き検出接触子及び前記情報識別接触子が配置される領域は、前記三つの向き検出接触子を角部に備える、一辺が20mm〜80mmの略正方形の領域である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項7】
前記略正方形の前記角部のうち、前記向き検出接触子が配置されない前記角部には、静電反応しない足部を更に備える、請求項6に記載の入力デバイス。
【請求項8】
前記向き検出接触子及び前記情報識別接触子の直径は5mm以上であり、
隣接する向き検出接触子及び情報識別接触子のそれぞれの間隔は6mm以上である、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の入力デバイス。
【請求項9】
前記向き検出接触子及び情報識別接触子は、それぞれ格子状に境界が形成された升目に、選択的に一つ配置される、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の入力デバイス。
【請求項10】
前記情報識別接触子は、角部の4つの升目を除く、残りの升目のいずれかの領域に一つ配置される、ことを特徴とする請求項9に記載の入力デバイス。
【請求項11】
検知した接触位置を座標情報として認識するタッチパネルと画像を画面に表示する表示パネルとを積層してなるパネルモジュールと、
入力デバイスであって、前記タッチパネルの三カ所に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である、導電性を有する三つの向き検出接触子と、前記三つの向き検出接触子とともに前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置により、表示パネルに表示させる固有情報が識別される、導電性を有する少なくとも一つの情報識別接触子と、利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と、を備え、前記向き検出接触子、及び前記情報識別接触子は、前記利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と電気的に導通している部材の底面から突出して形成されている入力デバイスと、
前記三角形に対する前記情報識別接触子の位置に対応する前記固有情報を記憶する記憶手段と、
前記タッチパネルに接触した接触子の座標情報を取得する座標情報取得手段と、
前記座標情報取得手段から得られる座標情報に基づき前記三角形の三頂点を算出して前記向き検出接触子と前記情報識別接触子とを特定する演算手段と、
前記演算手段によって特定された前記情報識別接触子に対応する前記固有情報を前記記憶手段から抽出して前記表示パネルに表示させる表示制御手段と、を備えるタッチパネル表示システム。
【請求項12】
前記演算手段は、前記三角形の頂点のうち、内角が最大である一の頂点の内角を挟む二辺によってできる方形領域内に第四の座標情報が存在する場合に該座標情報を情報識別接触子として特定する、ことを特徴とする請求項11に記載のタッチパネル表示システム。
【請求項13】
前記表示制御手段は、前記演算手段によって算出された前記三角形のタッチパネルに対する傾きに基づいて表示パネルに表示される前記固有情報の向きを制御する請求項11又は12記載のタッチパネル表示システム。
【請求項14】
前記三角形が直角三角形であり、前記一の頂点は前記直角三角形の直角の頂点である、ことを特徴とする請求項12乃至13のいずれか一項に記載のタッチパネル表示システム。
【請求項15】
検知した接触位置を座標情報として認識するタッチパネルと画像を表示する表示パネルとを積層してなるパネルモジュールと、
入力デバイスであって、前記タッチパネルの三カ所に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である、導電性を有する三つの向き検出接触子と、前記三つの向き検出接触子とともに前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置により、前記表示パネルに表示させる固有情報が識別される、導電性を有する少なくとも一つの情報識別接触子と、利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と、を備え、前記向き検出接触子、及び前記情報識別接触子は、前記利用者が手で掴んで持って前記タッチパネルに前記入力デバイスを載置するための導電性を有する部分と電気的に導通している部材の底面から突出して形成されている入力デバイスと、
前記三角形を特定する二辺の長さと該二辺が挟む内角の角度とを記憶する第一記憶手段と、
前記三角形に対する前記情報識別接触子の位置に対応する前記固有情報を記憶する第二記憶手段と、
前記タッチパネルに接触した接触子の座標情報を取得する座標情報取得手段と、
前記座標情報取得手段から得られる座標情報に基づき三角形の三頂点を抽出して該三角形の二辺と該二辺が挟む内角とを算出して該二辺と内角とから前記第一記憶手段に記憶されている所定の三角形を形成する前記向き検出接触子を特定する第一演算手段と、
前記座標情報取得手段から前記三角形の三頂点を除く第四の接触子座標情報を特定する第二演算手段と、
前記第二演算手段によって特定された第四の接触子座標情報が第一演算手段によって算出された内角を挟む二辺によってできる方形領域内に位置しているか否か、及び、前記内角に対応する対角の頂点位置を示す座標情報か否かを判断し、第四の接触子座標情報が前記方形領域内に位置し、かつ、対角の頂点位置を示す座標情報でない場合に当該第四の接触子座標情報を情報識別接触子の位置を表す座標情報として特定する判断手段と、
前記判断手段によって特定された前記情報識別接触子に対応する前記固有の情報を前記第二記憶手段から抽出して前記表示パネルに表示させる表示制御手段と、を備えるタッチパネル表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルと表示パネルとを有するパネルモジュールに情報を入力するための入力デバイス及びその入力デバイスを利用したタッチパネル表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、操作者がタッチパネルと表示パネルとからなるパネルモジュールの画面に素手や物を介して触れることにより、タッチパネルが接触を感知してタッチ位置の座標情報を出力し、パネルモジュールの表示パネルに画像を出力するタブレット端末が汎用されている。
【0003】
さらに、近年、タッチパネルの複数個所に同時に接触した位置を感知して情報を出力するマルチタイプのパネルモジュールが実用化され、特に指先の接触動作を検出して所望の操作を実行するパネルモジュールも汎用されている。
【0004】
タッチパネルには、透明電極からなる金属薄膜を対向して積層して電圧変化を検知する抵抗膜方式、ガラス基板に圧電素子を取り付けて圧電素子の電圧発生によって検出する表面弾性波方式、電子ペンを用いる電磁誘導方式、静電容量の変化によって接触位置を検出する静電容量方式等を採用したタッチパネルが存在する。
【0005】
そして、パネルモジュールのタッチパネルに接触した位置を検知して該タッチパネルの接触位置における表示パネルに画像を表示する入力デバイスとして、例えば、接触したタッチパネル位置の表示パネルに表示された画像を加工・変形する入力デバイスが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、タッチパネルに接触させる端子を各面に設けたタッチスクリーンデバイスが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−99093号公報
【特許文献2】特開2012−168612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タッチパネルに接触する複数の端子を有する入力デバイスでは、複数の端子の配置を識別する際の処理に負担がかかるため、複数の端子の配置のパターンには限りがあり、入力デバイスの種類を増やすことは難しかった。特に子供向け教材に使用する場合には、子供の手の大きさに合わせた入力デバイスの大きさとなるため、配置できる端子の数に限りがあり、教材の機能を十分に発揮させるだけの入力デバイスの種類を提供するのが困難であった。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてされたものであり、タッチパネルに入力するための複数の端子を有する入力デバイスであって複数の端子を効率的に識別することのできる入力デバイス及びタッチパネル表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0011】
本発明の入力デバイスは、タッチパネルの三カ所に同時に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である三つの向き検出接触子と、前記三つの向き検出接触子と同時に前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置位置により、表示パネルに表示させる固有情報が識別される少なくとも一つの情報識別接触子と、を備える入力デバイスである。
【0012】
また、本発明の入力デバイスにおいて、前記情報識別接触子は、前記三角形の頂点のうち、一の頂点の内角を挟む二辺によってできる方形領域内に配置されていてもよく、この場合には、前記内角と前記内角に対する対角の頂点位置を除いた前記方形領域内に配置されていることとしてもよい。また、前記三角形は直角三角形であり、前記一の頂点は前記直角三角形の直角の頂点であってもよい。
【0013】
また、本発明の入力デバイスにおいて、前記向き検出接触子の形成する前記三角形の向きは、前記表示される前記固有情報の向きを定めていてもよい。
【0014】
また、本発明の入力デバイスにおいて、前記向き検出接触子及び前記情報識別接触子が配置される領域は、前記三つの向き検出接触子を角部に備える、一辺が20mm〜80mmの略正方形の領域であってもよく、この場合には、前記向き検出接触子が配置されない前記角部には、静電反応しない足部を更に備えていてもよい。
【0015】
また、本発明の入力デバイスにおいて、前記向き検出接触子及び前記情報識別接触子の直径は5mm以上であり、隣接する向き検出接触子及び情報識別接触子のそれぞれの間隔は6mm以上であることとしてもよい。
【0016】
前記向き検出接触子及び情報識別接触子は、それぞれ格子状に境界が形成された升目に、選択的に一つ配置されることとしてもよく、この場合には、前記情報識別接触子は、角部の4つの升目を除く、残りの升目のいずれかの領域に一つ配置されることとしてもよい。
【0017】
本発明のタッチパネル表示システムは、検知した接触位置を座標情報として認識するタッチパネルと画像を画面に表示する表示パネルとを積層してなるパネルモジュールと、前記タッチパネルの三カ所に同時に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である三つの向き検出接触子、及び前記三つの向き検出接触子と同時に前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置により、表示パネルに表示させる固有情報が識別される少なくとも一つの情報識別接触子を有する入力デバイスと、前記三角形に対する前記情報識別接触子の位置に対応する前記固有情報を記憶する記憶手段と、前記タッチパネルに接触した接触子の座標情報を取得する座標情報取得手段と、前記座標情報取得手段から得られる座標情報に基づき前記三角形の三頂点を算出して前記向き検出接触子と前記情報識別接触子とを特定する演算手段と、前記演算手段によって特定された前記情報識別接触子に対応する前記固有情報を前記記憶手段から抽出して前記表示パネルに表示させる表示制御手段と、を備えるタッチパネル表示システムである。
【0018】
また、本発明のタッチパネル表示システムにおいて、前記演算手段は、前記三角形の頂点のうち、一の頂点の内角を挟む二辺によってできる方形領域内に第四の座標情報が存在する場合に該座標情報を情報識別接触子として特定してもよい。
【0019】
また、本発明のタッチパネル表示システムにおいて、前記制御手段は、前記演算手段によって算出された前記三角形のタッチパネルに対する傾きに基づいて表示パネルに表示される前記固有情報の向きを制御してもよい。
【0020】
また、本発明のタッチパネル表示システムにおいて、前記三角形が直角三角形であり、前記一の頂点は前記直角三角形の直角の頂点であってもよい。
【0021】
本発明のタッチパネル表示システムは、検知した接触位置を座標情報として認識するタッチパネルと画像を表示する表示パネルとを積層してなるパネルモジュールと、前記タッチパネルの三カ所に同時に接触し、前記三カ所を頂点とする三角形を形成する突出部分である三つの向き検出接触子、及び前記三つの向き検出接触子と同時に前記タッチパネルに接触し、前記三角形に対する配置により、前記表示パネルに表示させる固有情報が識別される少なくとも一つの情報識別接触子を有する入力デバイスと、前記三角形を特定する二辺の長さと該二辺が挟む内角の角度とを記憶する第一記憶手段と、前記三角形に対する前記情報識別接触子の位置に対応する前記固有情報を記憶する第二記憶手段と、前記タッチパネルに接触した接触子の座標情報を取得する座標情報取得手段と、前記座標情報取得手段から得られる座標情報に基づき三角形の三頂点を抽出して該三角形の二辺と該二辺が挟む内角とを算出して該二辺と内角とから前記第一記憶手段に記憶されている所定の三角形を形成する前記向き検出接触子を特定する第一演算手段と、前記座標情報取得手段から前記三角形の三頂点を除く第四の接触子座標情報を特定する第二演算手段と、前記第二演算手段によって特定された第四の接触子座標情報が第一演算手段によって算出された内角を挟む二辺によってできる方形領域内に位置しているか否か、及び、前記内角に対応する対角の頂点位置を示す座標情報か否かを判断し、第四の接触子座標情報が前記方形領域内に位置し、かつ、対角の頂点位置を示す座標情報でない場合に当該第四の接触子座標情報を情報識別接触子の位置を表す座標情報として特定する判断手段と、前記判断手段によって特定された前記情報識別接触子に対応する前記固有の情報を前記第二記憶手段から抽出して前記表示パネルに表示させる表示制御手段と、を備えるタッチパネル表示システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、タッチパネルの認識度を高めることができ、誤動作のない配置パターンを採用した入力デバイスであるから、特に、子供向け教材に最適な、子供が片手で容易に操作できる大きさの入力デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1の入力デバイスを示す斜視図である。
【
図2】一の入力デバイスを底面から目視した斜視図である。
【
図3】
図1に図示する入力デバイスを説明するパネルモジュールに載置された入力デバイスの側面図である。
【
図4】
図1に図示する入力デバイスの底面図である。
【
図6】ひらがな学習用教材の配置パターンを説明する入力デバイスの底面図である。
【
図7】ひらがな学習用教材の配置パターンを説明する入力デバイスの底面図である。
【
図8】実施の形態1の変形例を説明する入力デバイスの底面図である。
【
図9】実施の形態1の変形例を説明する入力デバイスの底面図である。
【
図10】タッチパネル表示システムを説明する斜視図である。
【
図11】
図10に図示するタッチパネル表示システムのブロック図である。
【
図13】タッチパネル表示システムを動作させるプログラムのフローチャート図である。
【
図14】一実施例を説明する入力デバイスの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
[実施の形態1]
図1及び
図2には、子供が片手で容易に持てる大きさのサイコロ形状の入力デバイス1が示されている。ここで、入力デバイス1の少なくとも側面2と底面3とは導電性を有し、側面2を手で掴むことによって、入力デバイス1に静電気が発生して底面3に伝わるようになっている。
【0026】
入力デバイス1の底面3には、タッチパネル4と表示パネル5を積層してなるパネルモジュール6(
図3参照)に接触する接触面7を形成した、向き検出接触子81及び情報識別接触子82が合わせて少なくとも四つ突出して配置されており、静電気を帯びた向き検出接触子81及び情報識別接触子82の接触面7がパネルモジュール6に接触することによって、接触位置におけるタッチパネルの静電容量が変化し、この静電容量変化をタッチパネル4が入力信号として認識することによって入力デバイス1に付与される固有情報がパネルモジュール6の表示パネル5に表示される。
【0027】
図4に示すように、3つの向き検出接触子81は、直角三角形9を形成する各三頂点位置10,11,12に配置され、当該三角形9のタッチパネル4に対する傾きを検出する働きを有している。少なくとも1つの情報識別接触子82は、固有情報を特定し、向き検出接触子81の配置位置によって形成される直角三角形9の直角(頂点11の位置)を挟む二辺によってできる矩形領域(方形領域)内の所望位置に配置されており、
図5に示すように、情報識別接触子82の配置位置によって個々の入力デバイス1が識別される。
【0028】
さらに、情報識別接触子82は、直角三角形9の直角(頂点11の内角)を挟む二辺によってできる矩形領域内の直角と対角の直角位置(頂点)14を除いた矩形領域内の所望位置に配置されている。これにより、向き検出接触子81の配置位置によって形成される直角三角形9を明確に検出できる。
【0029】
なお、入力デバイス1を、上部と下部とを連結、若しくは一体化した導電体からなる筐体によって構成し、四側面には持ちやすい窪み部16を形成してもよく、前記対角の直角位置(頂点)14には、向き検出接触子81及び情報識別接触子82と同じ長さの静電反応しない足部17を設けて安定良くパネルモジュール6の面に載置できるようしてもよい。これにより、4つの角部において入力デバイス1を安定して載置できると共に、3つの角部に配置された向き検出接触子81のみをタッチパネル4に認識させることができる。
【0030】
次に、ひらがな学習用教材として、ひらがな50音を表現するために、清音46音と濁音25音との合計71音を実現できる入力デバイス1の配置パターンについて説明する。
【0031】
従来の入力デバイスにおいては、幼稚園児を含む子供が片手で摘まんで容易に操作するには、入力デバイスの大きさが制限されること、また、例えば、「あ」から「ん」までのひらがなを憶える教材を想定した場合、タッチパネルに接触する接触位置が異なる少なくとも清音46種類の入力デバイスが必要になり、さらに濁音を含めると71種類の入力デバイスが必要になること等、いずれもこれらの条件を満足できる入力デバイスは存在せず、従来の入力デバイスでは、誤認識するという問題点があった。
【0032】
そこで、本発明者等は、前記条件を満足するとともに、子供向け教材として汎用性の高い入力デバイスを実現するために、限られた面に多数の配置パターンを試行錯誤的に設計して多数試作し、実験を重ねた結果、子供が片手で容易に操作できる限られた容積によって形成される小さな面であっても、タッチパネルの認識度を高めることができ、誤動作のない配置パターンが存在するという知見を得た。
【0033】
子供が片手で掴むことができる入力デバイス1の大きさはおのずと限定される。この限られた容積によって形成される方形の小さな底面3に配置できる、71種類の情報を識別可能な情報識別接触子82のパターンは、
図5に示すように、縦横4×4の16升目を利用して配置するパターンが有効である。このパターンによれば、情報識別接触子82として採用できる升目は、向き検出接触子81が占める3つの升目(頂点10、11、12の位置)と前記対角の直角位置14の一つの升目の計4つの升目を除いた12升目ある。この升目を利用できる情報識別接触子82の配置パターン数は、情報識別接触子82が1つ又は2つ設置されるとすると、
12C
1+
12C
2の78通りの中から選択できる。
【0034】
なお、縦横3×3の9升目では、向き検出接触子81及び情報識別接触子82の配置パターンを確保できず、縦横5×5の25升目では、配置パターンを確保できるが、向き検出接触子81及び情報識別接触子82の接触子同士が近接して誤動作の原因となり、誤動作を解消する大きさまで大型化した入力デバイスでは、子供が片手で容易に操作できない。すなわち、子供が片手で容易に操作できる大きさで、タッチパネルの精度を考慮すると、4×4の升目に1又は2の接触子を配置させるのが、最適である。
【0035】
図6及び
図7に示すように、「あ」の固有の情報が付与される入力デバイス1は、立方体の底面に向き検出接触子81のみが配置されている。「い」〜「す」の固有の情報が付与される12個の各入力デバイス1は、一つの情報識別接触子82がそれぞれ重複しないパターンで配置されている。「せ」〜「ぽ」の固有の情報が付与される58個の各入力デバイス1は、二つの情報識別接触子82がそれぞれ重複しないパターンで配置されている。
【0036】
これらの各入力デバイス1では、タッチパネル4が情報識別接触子82を認識した場合に
図6に示す「い」から
図7に示す「ぽ」のひらがなの文字画像を表示し、また、同時に、スピーカからさまざまな音を鳴らし、あたかもスタンプを押したような表現が演出できる。
【0037】
本実施の形態では、直角三角形を形成する各三頂点位置に入力デバイスの向き検出接触子81を配置したので、タッチパネル4に載置される入力デバイス1の向きを検出することができ、情報識別接触子82に付与される固有の情報の表示向きを容易に特定することができる。
【0038】
また、直角三角形の直角を挟む二辺によってできる矩形領域内に情報識別接触子82を配置したので、子供が入力デバイス1を持ってタッチパネル4に載置した際に、誤って指がタッチパネル4に触れても指接触による座標情報は前記矩形領域外に存在するから、誤動作を防ぐことができる。
【0039】
さらに、情報識別接触子82を前記直角と対角の頂点位置を除いた矩形領域内の所望位置に配置しているので、入力デバイスの向き検出接触子81を容易に特定することができる。
【0040】
上述の実施形態においては、各入力デバイスにひらがなを割り当てることとしたが、カタカナ、漢字、アルファベット、数字及び記号等の文字の他、色、絵や標識等を割り当てることとしてもよい。また、文字であっても、1文字だけでなく、単語や文章等を割り当てることとしてもよい。
【0041】
[変形例1]
図8に示す入力デバイス1は実施の形態1の変形例1であり、同図において
図1から
図7と同一符号は同一又は相当部分を示し、向き検出接触子81及び情報識別接触子82の配置パターンを示す。
【0042】
本変形例では、縦横5×4の20升目を利用して向き検出接触子81及び情報識別接触子82を配置するパターンを採用した、底面3が長方形のブロック状入力デバイス1である。当該入力デバイス1では向き検出接触子81が占める3つの升目(頂点10、11、12の位置)と前記対角の直角位置14の一つの升目の計4つの升目を除いた16升目を情報識別接触子82として採用できる。
【0043】
[変形例2]
図9に示す入力デバイス1は実施の形態1の変形例2であり、同図において
図1から
図7と同一符号は同一又は相当部分を示し、所定の三角形が広角の内角を挟む二辺によってできる平行四辺形の方形領域内に向き検出接触子81及び情報識別接触子82が配置されている。
【0044】
なお、表示パネル5とタッチパネル4とからなるパネルモジュール6の面に入力デバイス1を載置した際、表示パネル5が上層に積層されているパネルモジュール6では、入力デバイス1の向き検出接触子81及び情報識別接触子82はタッチパネル4に直接接触せず、近接した状態となるが、この場合にも「接触する」と表現している。したがって、接触とは、近接をも含むものである。
【0045】
[実施の形態2]
実施の形態1に係る入力デバイス1とタブレット端末18とを備えたタッチパネル表示システムを図面に基づいて説明する。
【0046】
図1〜
図9と同一符号は同一又は相当部分を示し、
図10及び
図11は、タッチパネル4と表示パネル5とを積層してなるパネルモジュール6を表面に配置したタブレット端末18であり、パネルモジュール6を固定する筐体縁部19にはスピーカ20、WiFi(Wireless Fidelity)等の無線LAN(Local Area Network)を構築する通信部21、外部デバイスを接続するI/O(Input/Output)インタフェース22が取り付けられている。また、CPU(Central Processing Unit)23は、タッチパネル4、表示パネル5、スピーカ20、通信部21、I/Oインタフェース22等を制御する。電源ONでCPU23の制御によりタブレット端末用OS(Operating System)が実行され、GPU(Graphics Processing Unit)24を介して表示パネル5に画像を表示させ、外部メモリ25に格納された組込アプリケーション、インストールアプリケーション等が内部メモリ26を介して実行される。さらに、CPU23は、タッチパネル4において発生した静電容量変化をタッチイベントとして位置座標情報をOSに渡す制御をしている。なお、電源部は省略した。
【0047】
本実施の形態におけるタブレット端末18では、
図12に示されるように、外部メモリ25内に入力デバイス1の直角三角形を特定する二辺と該二辺が挟む直角とを記憶する三角情報記憶部(第一記憶手段)27と、
図6及び
図7に示す各入力デバイス1の情報識別接触子82に対応させて各ひらがなの文字情報を記憶する文字情報記憶部(第二記憶手段)28とが確保され、タッチパネル4に接触した向き検出接触子81及び情報識別接触子82の座標情報からなるタッチイベントをOSから取得するイベント取得プログラム(座標情報取得手段)29をインストールしたエリアが存在する。
【0048】
CPU23は、向き検出接触子81及び情報識別接触子82を特定するために、イベント取得プログラム29から得られる座標情報に基づき、三角形の三頂点を算出して向き検出接触子81と情報識別接触子82とを特定する演算、特定された情報識別接触子82に対応する固有の情報を文字情報記憶部28から抽出して表示パネル5に表示させる制御を実施している。
【0049】
外部メモリ25は、
図12に示されるように、これらの制御を実行するためのプログラムである、第一演算プログラム(第一演算手段)30、第二演算プログラム(第二演算手段)31、判断プログラム(判断手段)32及び表示制御プログラム(表示制御手段)33を保存する領域をそれぞれ更に有している。ここで、第一演算プログラム30は、イベント取得プログラム29の実行により得られる座標情報に基づき、三角形の三頂点を抽出して該三角形の二辺と該二辺が挟む内角とを算出し、該二辺と内角とから三角情報記憶部27に記憶されている所定の三角形を形成する向き検出接触子81を特定する制御プログラムである。第二演算プログラム31は、イベント取得プログラムから三角形の三頂点を除く第四の接触子座標情報を特定する制御プログラムである。判断プログラム32は、特定された第四の接触子座標情報が特定された内角を挟む二辺によってできる方形領域内に位置しているか否かを判断する制御及び内角に対応する対角の頂点位置を示す座標情報か否かを判断し、第四の接触子座標情報が方形領域内に位置し、かつ、対角の頂点位置を示す座標情報でない場合に第四の接触子座標情報を情報識別接触子82の位置を表す座標情報として特定する制御プログラムである。表示制御プログラム33は、特定された情報識別接触子82に対応する固有の情報を文字情報記憶部28から抽出して表示パネルに表示させる制御プログラムである。
【0051】
図10に示すように、タブレット端末18のパネルモジュール6面の任意の位置にひらがなの「あ」の文字が付与される入力デバイス1を載置する。「あ」の入力デバイス1の底面には
図2に示す向き検出接触子81及び情報識別接触子82が突出しており、タッチパネル4の接触(近接)位置において静電容量変化が発生し、CPU23の制御により、静電容量が変化した位置のタッチパネル4を基準とした座標情報がタッチイベントとしてOSに渡される(ステップS01)。OSに渡されたタッチイベントの座標情報をイベント取得プログラム29によって取得する(ステップS02)。
【0052】
次に、イベント取得プログラム29から得られた座標情報に基づき、CPU23が第一演算プログラム30を実行することにより、三角形の三頂点を抽出して該三角形の二辺と該二辺が挟む内角とを算出して該二辺と内角とから三角情報記憶部27に記憶されている直角三角形(所定の三角形)を形成する向き検出接触子81を特定し(ステップS03)、続いて実行される第二演算プログラム31は、前記三角形の三頂点を除く座標情報を第四の接触子座標情報として特定する(ステップS04)。
【0053】
続いて、判断プログラム32は、ステップS04によって特定された一つ以上の第四の接触子座標情報がステップS03によって算出された直角(内角)を挟む二辺によってできる矩形領域内に位置するか否かを判断し(ステップS05)、第四の接触座標情報が前記矩形領域内の位置であれば、直角(内角)に対応する対角の頂点位置を示す座標情報か否かを判断し(ステップS06)、第四の接触子座標情報が矩形領域内に位置し、かつ、対角の頂点位置を示す座標情報でない場合に当該第四の接触子座標情報を情報識別接触子82の位置を表す座標情報として特定する。
【0054】
表示制御プログラム33は、ステップS05及びステップS06によって特定された情報識別接触子82に対応するひらがな文字の固有の情報を文字情報記憶部28から抽出して入力デバイス1固有の情報として特定する(ステップS07)。さらに、CPU23の制御により、算出された直角三角形のタッチパネル4に対する傾きに基づいて表示パネル5に表示される固有の情報の向きを決定し(ステップS08)、入力デバイス1がパネルモジュール6に載置された位置で入力デバイス1の向きに従った状態で表示パネル5に表示する(ステップS09)。
【0055】
本実施の形態では、入力デバイス1に付与される固有の情報をタブレット端末18の表示パネル5に表示させるプログラムを該タブレット端末18のCPU23の制御により実行できるように、外部メモリ25へ格納してタブレット端末用OS上で実行するようにしたので、入力デバイス1の向き検出接触子81及び情報識別接触子82を容易に認識でき、入力デバイス1に付与される固有の情報の表現をパネルモジュール6の表示パネル5に入力デバイス1が置かれた向きに従った表示で実現できる。
【0056】
図14は、本実施形態にて用いられる入力デバイス1の具体的な寸法について示す図である。入力デバイス1を一辺が42mmの立方体とし、正方形の底面の外周に隣接するように向き検出接触子81及び情報識別接触子82を配置し、縦横4×4の升目に整然と立設した。向き検出接触子81及び情報識別接触子82の形状は直径が6mmの円柱とし、隣接する向き検出接触子81及び情報識別接触子82と6mm離して設けた。
【0057】
なお、入力デバイス1の底面は、一辺が20mm〜80mmの範囲の正方形であればよく、向き検出接触子81及び情報識別接触子82の直径は5mm以上にて、隣接する向き検出接触子81及び情報識別接触子82のそれぞれの間隔は6mm以上離して設けることが望ましい。これにより、タッチパネルに容易に認識させることができると共に、人、特に子供が容易に掴める大きさの入力デバイス1とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の入力デバイスは、タッチパネルと表示パネルとを有するパネルモジュールに情報を入力する入力手段に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 入力デバイス、2 側面、3 底面、4 タッチパネル、5 表示パネル、6 パネルモジュール、7 接触面、9 三角形、10,11,12 頂点、14 対角の直角位置、16 窪み部、17 足部、18 タブレット端末、19 縁部、20 スピーカ、21 通信部、22 I/Oインタフェース、23 CPU、24 GPU、25 外部メモリ、26 内部メモリ、27 三角情報記憶部、28 文字情報記憶部、29 イベント取得プログラム、30 第一演算プログラム、31 第二演算プログラム、32 判断プログラム、33 表示制御プログラム、81 向き検出接触子、82 情報識別接触子。