特許第6021738号(P6021738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨンの特許一覧

特許6021738クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法
<>
  • 特許6021738-クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法 図000026
  • 特許6021738-クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法 図000027
  • 特許6021738-クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法 図000028
  • 特許6021738-クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法 図000029
  • 特許6021738-クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法 図000030
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021738
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】クロマトグラフィー分離用の秩序領域を有する多孔質無機/有機のハイブリッド材料およびこれらの調製方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20161027BHJP
   G01N 23/20 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   G01N30/88 201G
   G01N30/88 201X
   G01N30/88 101C
   G01N30/88 101H
   G01N30/88 101K
   G01N30/88 101L
   G01N30/88 101Z
   G01N23/20
【請求項の数】84
【外国語出願】
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2013-111936(P2013-111936)
(22)【出願日】2013年5月28日
(62)【分割の表示】特願2007-523612(P2007-523612)の分割
【原出願日】2005年7月15日
(65)【公開番号】特開2013-210382(P2013-210382A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年6月7日
【審判番号】不服2015-8925(P2015-8925/J1)
【審判請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】60/592,971
(32)【優先日】2004年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509131764
【氏名又は名称】ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・デイー・ウインダム
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・イー・オガラ
【合議体】
【審判長】 郡山 順
【審判官】 三崎 仁
【審判官】 渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/014450(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/022392(WO,A1)
【文献】 特開2001−116737(JP,A)
【文献】 特開2000−17102(JP,A)
【文献】 特開2001−340755(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/041398(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/060562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)孔再構成テンプレートを準備する工程と;
(b)多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔、孔再構成テンプレートを充填させることで、前記孔を秩序領域に再構成させることによって、前記多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの前記孔を再構成させる工程と;および
(c)前記孔再構成テンプレートを前記再構成された孔から除去する工程と
を含む方法によって調製された、秩序領域を含み、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスであって、該多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスは、有機官能性が内部構造または骨格無機構造と、該ハイブリッド粒子またはモノリス表面との両方と一体となっている無機系構造を含み、該秩序領域は、X線粉末回折(XRPD)で測定して0.8から20°スキャン範囲(x軸、2θ単位)に回折ピークを示し、多孔質無機/有機ハイブリッド粒子またはモノリス中に見られる領域であり、
34Å未満の直径の孔が、該粒子またはモノリスの比表面積の110m/g未満に寄与し、該粒子またはモノリスについて観察される最大回折ピークが、非晶質材料による原子範囲秩序によって得られる20°〜23°の回折ピークを排除した2θ位置を示し、
該粒子またはモノリスは、0.25から1.5cm/gの比孔容積および50から500Åの平均孔径を有する
粒子またはモノリス。
【請求項2】
(a)孔再構成テンプレートを準備する工程と;
(b)多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔に、孔再構成テンプレートを充填させることで、前記孔を秩序領域に再構成させることによって、前記多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの前記孔を再構成させる工程と;および
(c)前記孔再構成テンプレートを前記再構成された孔から除去する工程と
を含む方法によって調製された、 以下の式I、II、またはIIIを有する秩序領域を含む、多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリス:
(A)(B)(C)(式I)
(式中、繰り返し単位A、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aが、
【化1】
(式中、各Rは独立して、HまたはC−C10アルキル基であり;mは1から20の整数であり;nは0から10の整数であり;およびQは、水素、N(C1‐6アルキル)、N(C1‐6アルキル)(C1‐6アルキレン−SO)、またはC(C1‐6ヒドロキシアルキル)である)からなる群から選択され、
Bが、
【化2】
からなる群より選択され、
Cが
【化3】
であり;および
x、yは正の数であり、およびzは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/y≦210であり、およびz≠0である場合、0.0003≦y/z≦500および0.002≦x/(y+z)≦210である);
(A)(B)(By*(C)(式II)
(式中、繰り返し単位A、B、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aが、
【化4】
(式中、各Rは独立して、HまたはC−C10アルキル基であり;mは1から20の整数であり;nは0から10の整数であり;およびQは、水素、N(C1‐6アルキル)、N(C1‐6アルキル)(C1‐6アルキレン−SO)、またはC(C1‐6ヒドロキシアルキル)である)からなる群から選択され、
Bが、
【化5】
からなる群より選択され、
が、
【化6】
からなる群より選択され、
Cが
【化7】
であり、;および
x、yは正の数であり、およびzは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/(y+y)≦210であり、およびz≠0である場合、0.0003≦(y+y)/z≦500および0.002≦x/(y+y+z)≦210である);または
[A][B](式III)
(式中、xおよびyは自然数整数であり、およびAは、
SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiO
であり;
式中、RおよびRは独立して、置換または非置換C−Cアルキル基、もしくは置換または非置換アリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋させる置換または非置換C−Cアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基であり、pおよびqは0、1、または2であり、但しp+q=1または2であり、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1であり;rは0または1であり、但しr=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1であり;mは2以上の整数であり;nは0.01から100の数であり;
Bは:
SiO/(RSiO
であり、式中、Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換シロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、またはこれらの組み合わせであり、Rは、R、R、またはRではなく;vは1または2であり、但し、v=1の場合、t=1.5であり、およびv=2の場合、t=1であり;およびnは0.01から100の数であり;
式IIIの粒子またはモノリスは、内部領域および外面を有し、および前記粒子またはモノリスの前記内部領域はAで表される組成を有し;前記粒子またはモノリスの前記外面はAおよびBで表される組成を有し、および前記外部の組成は、1から99%の間のBの組成と、残分を構成するAとである)であって、
該多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスは、有機官能性が内部構造または骨格無機構造と、該ハイブリッド粒子またはモノリス表面との両方と一体となっている無機系構造を含み、該秩序領域は、X線粉末回折(XRPD)で測定して0.8から20°スキャン範囲(x軸、2θ単位)に回折ピークを示し、多孔質無機/有機ハイブリッド粒子またはモノリス中に見られる領域であり、
34Å未満の直径の孔が、該粒子またはモノリスの比表面積の110m/g未満に寄与し、該粒子またはモノリスについて観察される最大回折ピークが、非晶質材料による原子範囲秩序によって得られる20°〜23°の回折ピークを排除した2θ位置を示し、
該粒子またはモノリスが0.25から1.5cm/gの比孔容積および50から500Åの平均孔径を有する、
粒子またはモノリス。
【請求項3】
前記ハイブリッド粒子またはモノリスの前記無機部分が、アルミナ、シリカ、酸化チタンもしくは酸化ジルコニウム、およびセラミック材料からなる群より選択される、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項4】
前記ハイブリッド粒子またはモノリスの前記無機部分がシリカである、請求項3に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項5】
前記粒子またはモノリスの秩序領域の質量%値が1%から100%の範囲である、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項6】
34Å未満の直径の孔が、粒子またはモノリスの比表面積の110m/g未満から50m/g未満に寄与する、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項7】
多孔質無機/有機ハイブリッド粒子である、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項8】
モノリスである、請求項1または請求項2に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項9】
前記モノリスが、合体した多孔質無機/有機ハイブリッド粒子を含む、請求項8に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項10】
前記粒子が実質的に球状である、請求項7または請求項9に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項11】
前記粒子の比表面積が50から800m/gである、請求項7または請求項9に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項12】
前記粒子の比表面積が100から700m/gである、請求項11に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項13】
前記粒子の比表面積が300から600m/gである、請求項11に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項14】
前記粒子の比孔容積が0.7から1.3cm/gである、請求項11に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項15】
前記粒子の平均孔径が50から300Åである、請求項11に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項16】
110m/g未満のミクロ孔表面積を有する多孔質ハイブリッド無機/有機粒子を含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項17】
前記粒子のミクロ孔表面積が105m/g未満である、請求項16に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項18】
前記粒子のミクロ孔表面積が80m/g未満である、請求項16に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項19】
前記粒子のミクロ孔表面積が50m/g未満である、請求項16に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項20】
有機基表面改質剤、シラノール基表面改質剤、ポリマーコーティング表面改質剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される表面改質剤によって前記粒子が表面改質されている、請求項7または9に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項21】
前記ハイブリッド粒子が、式Z(R’)Si−R(式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ0から3の整数であり、但しa+b=3であり;R’は、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル基であり、およびRは官能基である)を有する表面改質剤で表面改質されている請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項22】
R’が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項21に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項23】
官能基Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、陽イオンまたは陰イオン交換基、もしくは埋め込み極性官能基を有するアルキル基またはアリール基からなる群より選択される、請求項21に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項24】
前記官能基RがC−C30アルキル基である、請求項23に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項25】
前記官能基RがC−C20アルキル基である、請求項23に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項26】
前記表面改質剤が、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、およびオクタデシルジメチルクロロシランからなる群より選択される、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項27】
前記表面改質剤が、オクチルトリクロロシランまたはオクタデシルトリクロロシランである、請求項26に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項28】
ポリマーでコーティングすることによって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項29】
有機基表面改質剤とシラノール基表面改質剤との組み合わせによって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項30】
有機基表面改質剤とポリマーコーティング表面改質剤との組み合わせによって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項31】
シラノール基表面改質剤とポリマーコーティング表面改質剤との組み合わせによって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項32】
前記粒子が該粒子の有機基と表面改質剤との間に有機共有結合を形成することによって表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項33】
有機基表面改質剤と、シラノール基表面改質剤と、およびポリマーコーティング表面改質剤との組み合わせによって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項34】
シラノール基表面改質剤によって、前記粒子が表面改質されている、請求項20に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項35】
式SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiO(式中、RおよびRは独立して、場合によりアルキル、アリール、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、ジオール、ニトロ、エステル、イオン交換基、または埋め込み極性官能基で置換されていてもよい、C−C18脂肪族部分または芳香族部分であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋させる置換または非置換C−C18アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、またはアリーレン部分であり、pおよびqは0、1、または2であり、但しp+q=1または2であり、およびp+q=1の場合、t=1.5であり、およびp+q=2の場合、t=1であり;rは0または1であり、但しr=0の場合、t=1.5であり、およびr=1の場合、t=1であり;mは2以上の整数であり、およびnは0.03から1.5の数である)
を有する、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項36】
nが0.1から1.0の数である、請求項35に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項37】
nが0.2から0.5の数である、請求項35に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項38】
Bが、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合しており、および、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに結合している、請求項2に記載の式IIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項39】
0.003≦y/z≦50および0.02≦x/(y+z)≦21である、請求項2に記載の式IまたはIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項40】
0.03≦y/z≦5および0.2≦x/(y+z)≦2.1である、請求項2に記載の式IまたはIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項41】
各Rが独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項2に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項42】
前記外面が、50から90%の間の組成Bと、残分を構成するAとである組成を有する、請求項2に記載の式IIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項43】
前記外面が、70から90%の間の組成Bと、残分を構成するAとである組成を有する、請求項42に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項44】
がヒドロキシルである、請求項2に記載の式IIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項45】
がフッ素である、請求項2に記載の式IIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項46】
がメトキシである、請求項2に記載の式IIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項47】

−OSi(R−R
(式中、Rは、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル、アリール、またはアルコキシ基、ヒドロキシル基、もしくはシロキサン基であり、およびRは、C−C36直鎖、環状、または分岐のアルキル、アリール、またはアルコキシ基であり、Rは、非置換であるか、もしくは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エーテル、カルボニル、エポキシド、スルホニル、陽イオン交換体、陰イオン交換体、カルバメート、アミド、尿素、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸官能基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されている)である、請求項2に記載の式IIIのハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項48】
がC18基である、請求項47に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項49】
がシアノプロピル基である、請求項47に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項50】
請求項1から49のいずれか一項に記載の多孔質ハイブリッド無機/有機ハイブリッド粒子またはモノリスを含む、分離装置。
【請求項51】
クロマトグラフィーカラム、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート、濾過膜、マイクロタイタープレート、捕捉樹脂、および固相有機合成担体からなる群より選択される、請求項50に記載の分離装置。
【請求項52】
a)多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを受け入れる円筒形内部を有するカラムと、および
b)請求項1から49のいずれか一項に記載の多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを含むクロマトグラフィー層とを含む、クロマトグラフィーカラム。
【請求項53】
工程(b)の再構成が、多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを、塩基と孔再構成テンプレートとを含有する水溶液と混合する工程と、および秩序領域を形成するのに十分な温度および時間、前記混合物を加熱する工程とを含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項54】
工程(b)の充填が、前記多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔に、孔再構成テンプレートを充填する工程を含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項55】
孔再構成テンプレートが1種類以上の孔テンプレート分子を含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項56】
孔再構成テンプレートがテンプレート膨潤分子をさらに含む、請求項55に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項57】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを得る工程をさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項58】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを調製する工程をさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項59】
工程(c)の除去が、工程(b)の生成物を酸洗浄することによって孔再構成テンプレートを抽出することで、孔再構成テンプレートを除去する工程を含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項60】
酸洗浄液が、水溶性溶媒と酸との混合物を含む、請求項59に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項61】
水溶性溶媒が、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群より選択される、請求項60に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項62】
酸が、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、およびリン酸からなる群より選択される、請求項60に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項63】
酸洗浄液が、エタノールと濃塩酸との混合物を含む、請求項60に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項64】
工程(c)の除去が、前記工程(b)の生成物の熱処理によって前記孔再構成テンプレートを除去することを含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項65】
工程(b)の生成物が、空気、窒素、およびアルゴンからなる群より選択されるガスの動的パージ下で、100℃で40分間加熱され、続いて、250から300℃で16時間加熱される、請求項64に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項66】
工程(c)の除去が、工程(b)の生成物をオゾンで処理することによって孔再構成テンプレートを除去する工程を含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項67】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔構造を改質することによって、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を形成し、これによって、秩序領域を含み、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスを調製する工程をさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項68】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔構造が、工程(b)の前に改質される、請求項67に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項69】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔構造が、工程(c)の後で改質される、請求項67に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項70】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの表面改質を行う工程をさらに含む、請求項68に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項71】
前記表面改質が、工程(b)の前に行われる、請求項70に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項72】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスの孔構造が、熱水処理によって改質される、請求項67に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項73】
孔テンプレート分子がイオン性または非イオン性である、請求項55に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項74】
孔テンプレート分子がイオン性であり、および陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性の分子からなる群より選択される、請求項73に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項75】
孔テンプレート分子が、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、グリコール酸エトキシレート4−tert−ブチルフェニルエーテル、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシレート4−ノニルフェニルエーテル、グリコール酸エトキシレートオクチルエーテル、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルサルフェート(TDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、または塩化トリメチルステアリルアンモニウムである、請求項74に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項76】
孔テンプレート分子が非イオン性であり、およびポリマー、ブロックコポリマー、およびポリ(エチレンオキシド)−アルキルエーテルからなる群より選択される、請求項73に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項77】
孔テンプレート分子が、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)、プルロニック(登録商標)P123、プルロニック(登録商標)P64、プルロニックP105、ブリジ(登録商標)76、またはブリジ(登録商標)30である、請求項76に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項78】
テンプレート膨潤分子が、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ドデカノール、クロロドデカン、1,3,5−トリメチルベンゼン、および1,3,5−トリイソプロピルベンゼンからなる群より選択される、請求項56に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項79】
テンプレート膨潤分子が1,3,5−トリメチルベンゼンまたは1,3,5−トリイソプロピルベンゼンである、請求項78に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項80】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスが多孔質ハイブリッド無機/有機粒子である、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項81】
多孔質ハイブリッド無機/有機粒子またはモノリスがモノリスである、請求項1に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項82】
モノリスが、合体した多孔質ハイブリッド無機/有機粒子を含む、請求項81に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項83】
塩基が、水酸化アンモニウム、I族およびII族金属の水酸化物塩、I族金属の炭酸塩および炭酸水素塩、もしくはI族およびII族金属のアルコキシド塩、ならびにアルキルアミンからなる群より選択される、請求項53に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【請求項84】
塩基が水酸化ナトリウムである、請求項83に記載のハイブリッド粒子またはモノリス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
クロマトグラフィー分離用の材料は、一般に、無機(たとえば、シリカ)、有機(たとえば、ポリジビニルベンゼン)、またはハイブリッド無機/有機材料に分類することができる。
【0002】
HPLC用固定相として、有機系材料は、強アルカリおよび強酸性の移動相に対して化学的に安定であり、移動相pHの選択における自由度がある。しかし、有機クロマトグラフィー材料は一般に、効率の低いカラムが得られ、このため、特に低分子分子量の検体の場合に、分離性能が不十分となる。さらに、多くの有機クロマトグラフィー材料は、移動相の組成が変化すると、収縮および膨潤が起こる。さらに、大部分の有機クロマトグラフィー材料は、典型的なクロマトグラフィー用シリカの機械的強度を有さない。
【0003】
シリカ系材料は、機械的に強く、収縮および膨潤の兆候を示さないカラムが得られる。しかし、シリカは、アルカリ性条件下、一般にpH>8.0において容易に溶解し、続いてクロマトグラフィー層の崩壊が起こることがあるため、加水分解安定性が制限されることがシリカ系カラムの欠点である。さらに、シリカ表面上に結合相は、酸性条件下、一般にpH<2.0において表面から除去され、移動相によってカラムから溶離して、検体保持が減少することがある。
【0004】
有機のみの材料および無機のみの材料の利点を維持しながら、上述の欠点を克服するために、多孔質無機/有機ハイブリッド材料が導入されている。これらの材料は、無機および有機官能性のシランモノマーの混合物から、たとえばSiO/RSiO1.5またはSiO/R(SiO1.5などのコポリマーを調製することで合成され、これらは粒子状、またはモノリスのいずれの形態であってもよい。たとえば、K.アンガー(Unger)、J.シック−カルブ(Schick−Kalb)の米国特許第4,017,528号;A.サヤリ(Sayari)、S.ハマウディ(Hamoudi)、Chem.Mater.13(2001)3151;K.ナカニシ(Nakanishi)、N.ソガ(Soga)、T.ミナクチ(Minakuchi)の米国特許第6,207,098号;K.ナカニシ(Nakanishi)、N.ソガ(Soga)の日本特許第2,893,104号を参照されたい。
【0005】
しかし、これらの材料をクロマトグラフィー分離に使用する場合には、多数の問題が発生する。これらの粒子形態は、直接モノマーを共縮合させてシリケート形態を得ることによって、または中間のポリ(オルガノシロキサン)(POS)を介することによって製造されているため、概してこれらの問題が発生する。この結果得られる粒子は、一般に形状が不規則であるか、高度な球状ではないか、不規則な表面形態を有するかである。このように形状または形態が不規則であるために、これらの粒子では、良好なクロマトグラフィーのために必要な高効率カラムの充填が行えない。
【0006】
さらにこれらの粒子は、<約40Åの直径を有するミクロ孔の大集団を含む。孔径が検体分子の大きさの約10倍未満となると、材料の孔の中への分子の拡散がある程度遅くなり、このため、不十分なピーク形状、およびバンドの広幅化が起こることが知られている。この結果、ミクロ孔の大集団を有する材料は、ほとんどのクロマトグラフィー分離においてあまり有用とはならず、実用性は低い。
【0007】
モノリス材料の場合、多くのモノリスは、低い操作背圧のために必要なマクロ孔が不足している。マクロ孔が実現されたモノリスの場合は、このモノリスは<約40Åの直径を有するミクロ孔の大集団を含み、上述のものと同じ欠点が問題となる。この問題を解決するために、ミクロ孔の小集団と、メソ孔の十分な集団とのみを含むハイブリッド材料が報告されている。たとえば、Z.チャン(Jiang)、R.フィスク(Fisk)、J.オガラ(O’Gara)、T.ウォルター(Walter)、K.ウィンダム(Wyndham)のUS6,686,035、およびT.ウォルター(Walter)、J.ディング(Ding)、M.ケール(Kele)、J.オガラ(O’Gara)、P.イラネタ(Iraneta)のWO03/014450を参照されたい。
【0008】
しかし、有害なミクロ孔の除去は熱水処理によって行われ、表面積の減少という犠牲が生じるため、物質の保持能力が低下する。さらに、有害なミクロ孔を除去することによって、多分散でユニモーダルのメソ孔が得られる。最後に、ミクロ孔の小集団と、メソ孔の十分な集団とのみを含むハイブリッド材料のすべては、非晶質または無秩序である。
【0009】
したがって、クロマトグラフィー的に望ましい形態(たとえば、マクロ孔およびメソ孔のバイモーダル孔径分布を有する球状粒子およびモノリス)が維持された秩序領域を有するハイブリッド材料が必要とされている。無機のみのシリカゲル粒子の類似の維持は既に報告されており、たとえば、T.マーティン(Martin)、A.ガラルノー(Galarneau)、F.ディ・レンゾ(Di Renzo)、F.ファジュラ(Fajula)、D.プリー(Plee)、Angew.Chem.Int.Ed.41(2002)2590を参照することができるが、このことは、ハイブリッド材料の場合、特に、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有するハイブリッド材料の場合にはまだ実現されていない。したがって、秩序領域、および好都合にはクロマトグラフィー的に向上した孔形状を含む多孔質無機/有機ハイブリッド材料が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,017,528号明細書
【特許文献2】米国特許第6,207,098号明細書
【特許文献3】特許第2,893,104号明細書
【特許文献4】米国特許第6,686,035号明細書
【特許文献5】国際公開第2003/014,450号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】T.マーティン(Martin)、A.ガラルノー(Galarneau)、F.ディ・レンゾ(Di Renzo)、F.ファジュラ(Fajula)、D.プリー(Plee)、Angew.Chem.Int.Ed.41(2002)2590
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、クロマトグラフィー分離用の新規な材料、これらの調製方法、およびこのクロマトグラフィー材料を含む分離装置を提供する。特に、本発明は、秩序領域を含み、ある実施形態において、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を含む、多孔質無機/有機ハイブリッド材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、一態様において、本発明は、秩序領域を含み、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質のハイブリッド無機/有機材料を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、以下の式I、II、またはIIIを有する秩序領域を含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料を提供する:
(A)(B)(C)(式I)
(式中、繰り返し単位A、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aは、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに共有結合している、有機繰り返し単位であり;
Bは、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合しており、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBにさらに結合することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
Cは、無機結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合している、無機繰り返し単位であり;
x、yは正の数であり、zは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/y≦210であり、z≠0である場合、0.0003≦y/z≦500および0.002≦x/(y+z)≦210である);
(A)(B)(By*(C)(式II)
(式中、繰り返し単位A、B、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aは、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに共有結合している、有機繰り返し単位であり;
Bは、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合しており、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBにさらに結合することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
は、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合しているオルガノシロキサン繰り返し単位であり、Bは、反応性(すなわち重合性)有機成分を有さず、重合後に脱保護可能な保護された官能基をさらに有することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
Cは、無機結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合している、無機繰り返し単位であり;
x、yは正の数であり、zは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/(y+y)≦210であり、z≠0である場合、0.0003≦(y+y)/z≦500および0.002≦x/(y+y+z)≦210である);または
[A][B](式III)
(式中、xおよびyは整数であり、Aは、
SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiO
であり;式中、RおよびRは独立して、置換または非置換C−Cアルキル基、もしくは置換または非置換アリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋させる置換または非置換C−Cアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基であり、pおよびqは0、1、または2であり、但しp+q=1または2であり、p+q=1の場合、t=1.5であり、p+q=2の場合、t=1であり;rは0または1であり、但しr=0の場合、t=1.5であり、r=1の場合、t=1であり;mは2以上の整数であり;nは0.01から100の数であり;
Bは:
SiO/(RSiO
であり、式中、Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換シロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、またはこれらの組み合わせであり、Rは、R、R、およびRではなく;vは1または2であり、但し、v=1の場合、t=1.5であり、v=2の場合、t=1であり;nは0.01から100の数であり;
式IIIの材料は、内部領域および外面を有し、前記材料の前記内部領域はAで表される組成を有し;前記材料の前記外面はAおよびBで表される組成を有し、前記外部の組成は、約1から約99%の間のBの組成と、残分を構成するAとである)。
【0015】
本発明の別の態様は、本発明によって提供される多孔質ハイブリッド無機/有機材料の調製方法を提供する。この方法は、:
(a)孔再構成テンプレートを形成する工程と;
(b)多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を、孔再構成テンプレートと接触させることで、孔を秩序領域に再構成させることによって、多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を再構成させる工程と;
(c)孔再構成テンプレートを再構成された孔から除去し、これによって秩序領域を含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料を調製する工程とを含む。
【0016】
本発明は、本発明によって提供された秩序領域を有する多孔質ハイブリッドの無機/有機ハイブリッド材料を含む分離装置も提供する。関連する態様においては、本発明は、多孔質ハイブリッド無機/有機材料を受け入れる円筒形内部を有するカラムと、本発明によって提供された秩序領域を有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料を含むクロマトグラフィー層とを有するクロマトグラフィーカラムを提供する。
【0017】
別の態様においては、本発明は、秩序領域を有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料であって、
(a)孔再構成テンプレートを形成する工程と;
(b)多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を、孔再構成テンプレートと接触させることで、孔を秩序領域に再構成させることによって、多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を再構成させる工程と;
(c)孔再構成テンプレートを再構成された孔から除去する工程とを含む方法によって調製された材料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】孔テンプレート分子(たとえば、界面活性剤)の円筒形ミセルの束の形態にある孔再構成テンプレートの一種の形成を示している。
図2】本発明の方法を使用した、非晶質から秩序領域への粒子孔の変換を示している。
図3】実施例9の方法Aによって測定される、秩序領域を有するハイブリッド材料6r、6i、および5eが示すXRPDの重なりパターンを示している(両対数目盛)。
図4】実施例9の方法Bによって測定される、秩序領域を有するハイブリッド材料6t(100%強度目盛)の示すXRPDパターンを示している。
図5】A(本発明による秩序領域を有するハイブリッド材料)およびB(秩序領域を有する無機材料)の2種類の材料の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に説明する定義を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
「多孔質無機/有機ハイブリッド材料」などにおいて使用される用語「ハイブリッド」は、有機官能性が内部構造または「骨格」無機構造と、ハイブリッド材料表面との両方と一体となっている無機系構造を含む。ハイブリッド材料の無機部分は、たとえばアルミナ、シリカ、酸化チタンもしくは酸化ジルコニウム、もしくはセラミック材料であってよい。好ましい一実施形態においては、ハイブリッド材料の無機部分はシリカである。
【0021】
「秩序領域」は、X線粉末回折(XRPD)で測定して約0.8から約20°スキャン範囲(x軸、2θ単位)に回折ピークを示す、多孔質無機/有機ハイブリッド材料中に見られる領域である。XRPDは、当分野において周知の特性決定技術である(R.ジェンキンズ(Jenkins)、R.L.スナイダー(Snyder)、X線粉末回折法入門(Introduction to X−ray Powder Diffractometry)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons,Inc.)、ニューヨーク(New York)、(著作権)1996を参照されたい)。秩序領域を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料で観察される最大観察回折ピークの2θ位置は、原子範囲の秩序によって生じ、非晶質材料において観察されることが周知の約20°から約23°の2θにおける回折ピークを含まない。本発明の多孔質無機/有機ハイブリッド材料中の秩序領域の質量%値は1から100%となることができ、この質量の残分が非晶質である。秩序領域を有するハイブリッド材料は、限定するものではないが、六方晶系(p6mm)、立方晶系(Ia3d)、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶系、三方晶系、および層状などの、XRPDから誘導される対称性群または空間群によってさらに特徴づけることができる。
【0022】
「孔再構成テンプレート」は、熱水処理中にシリケートが溶解し沈殿することで、ハイブリッド材料内に秩序領域を形成させるために、ハイブリッドシリケートの組織化を行う物質として定義される。孔再構成テンプレートは、1種類以上の孔テンプレート分子と、場合により1種類以上のテンプレート膨潤分子とで構成される。
【0023】
「孔テンプレート分子」は、たとえば円柱、球状、六方晶系、立方晶系、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶系、三方晶系、層状、単層、平面状、楕円体、円板状、棒状、液滴、ワームホール、逆転またはこの他の高次の網目構造などの様々な形状、大きさ、対称性、および配列のミセル、ベシクル、または網目構造を形成するために、他の孔テンプレート分子と併用される分子として定義される。1種類の孔テンプレート分子、または2種類以上の孔テンプレート分子の組み合わせを使用することができる。孔テンプレート分子は、臨界ミセル濃度(CMC)が存在する場合には、このCMCよりも高濃度で使用すると好都合である。孔テンプレート分子は、イオン性でも非イオン性でもよく、このようなものとしては多数の界面活性剤を挙げることができる。
【0024】
「テンプレート膨潤分子」は、孔テンプレート分子のミセル、ベシクル、または網目構造をより大きな物理的寸法まで膨潤させる、1つの分子または複数の分子の群として定義される。「クロマトグラフィー的に向上した孔形状」は、ミクロ孔の小集団と、メソ孔の十分な集団とのみを含むハイブリッド材料中に見られる。<約34Åの直径のすべての孔が、粒子の比表面積の約110m/g未満に寄与する場合に、ミクロ孔の小集団がハイブリッド材料中に実現される。このような少ないミクロ孔表面積を有し、さらにメソ孔の十分な集団を有するハイブリッド材料では、高い分離効率および良好な質量移動(たとえば、バンド拡散の軽減、および良好なピーク形状によって確認される)などのクロマトグラフィーの向上が得られる。
【0025】
「ミクロ孔表面積」は、BJH法を使用した等温線の吸着の脚からの多点窒素収着解析によって求められた、34Å以下の直径を有する孔の表面積として定義される。
【0026】
約35Åから約500Å、たとえば好ましくは約60Åから約500Å、たとえばさらにより好ましくは約100Åから約300Åの直径のすべての孔が、材料の比表面積に十分に寄与する場合、たとえば、材料の比表面積の約35から約750m/g、たとえば好ましくは約65から550m/g、たとえばさらにより好ましくは約100から350m/gに寄与する場合に、「メソ孔の十分な集団」がハイブリッド材料中に実現される。
【0027】
秩序領域を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、ユニモーダルまたはバイモーダルなメソ孔分布によってさらに特徴づけることができる。モーダルポイントは、BJH法を使用した窒素等温線の脱着の脚から計算されるdV/dlog(D)対Dのプロットから求められる孔径の関数として、孔容積が最大となる(すなわち、最も頻度が高い)点として定義される。この材料は、透過型電子顕微鏡検査(TEM)によって測定される、分子から原子スケールのレベルで構造的配向性、順序、またはパターンによってさらに特徴づけることができる。
【0028】
「ユニモーダルメソ孔分布」は、35から500Åの間で1つのモーダルポイントが観察される場合に見られる。
【0029】
「バイモーダルメソ孔分布」は、35から500Åの間のプロットの中に2つのモーダルポイントを含み、第1のモーダルポイントが50Å未満にあり、第2のモーダルポイントが50Åを超えたところにあるハイブリッド材料に見られる。
【0030】
用語「モノリス」は、連続し相互連結した孔構造を1つの断片の中に有する多孔質三次元材料を含むことを意図している。モノリスは、たとえば、所望の形状の型に前駆体を注型することによって調製される。モノリスという用語は、最終製品が個別粒子を含む、充填されて層構成となる個別粒子の集団と区別されることを意味する。
【0031】
用語「合体」および「合体した」は、適切な化学的または物理的な方法によって、たとえば加熱によって、数種類の個別の成分が凝集して1つの新しい成分が得られる材料を表すことを意図している。合体という用語は、最終製品が個別粒子を含む、層構成などの物理的に接近した個別粒子の集団と区別されることを意味する。
【0032】
用語「インキュベーション」は、無機/有機ハイブリッドモノリス材料の調製中、前駆体がゲル化し始める時間を表すことを意図している。
【0033】
用語「エージング」は、無機/有機ハイブリッドモノリス材料の調製中、モノリス材料の中実ロッドが形成される時間を表すことを意図している。
【0034】
用語「マクロ孔」は、クロマトグラフィー的に有用な流速において、低い抵抗で液体が材料内を直接通過できる材料の孔を含むことを意図している。たとえば、本発明のマクロ孔は、約0.05μmを超える孔径を有する孔、約0.05μmから約100μmの範囲の孔径を有する孔、約0.11μmから約100μmの孔径を有する孔、および約0.5μmから約30μmの孔径を有する孔を含むことを意図しているが、これらに限定されるものではない。
【0035】
用語「クロマトグラフィー的に有用な流速」は、クロマトグラフィー法においてクロマトグラフィーの当業者が使用する流速を含むことを意図している。
【0036】
用語「官能基」は、たとえばオクタデシル(C18)またはフェニルなど、クロマトグラフィーの固定相にある種のクロマトグラフィー機能を付与する有機基を含む。このような官能基は、たとえば、誘導体化またはコーティング、および後の架橋などによって、ベース材料に取り付けられる本明細書において開示されるような表面改質剤中に存在し、これによって表面改質剤の化学的性質がベース材料に付与される。一実施形態においては、このような表面改質剤は、式Z(R’)Si−Rを有し、式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、たとえばジメチルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ0から3の整数であり、但しa+b=3であり;R’は、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル基であり、Rは官能基である。R’は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであってよく;好ましくは、R’はメチルである。
【0037】
秩序領域を有するまたは有さない多孔質無機/有機ハイブリッド粒子およびモノリス材料は、表面改質剤でさらに置換または誘導体化が可能な有機基とシラノール基との両方を有する。「表面改質剤」は、(典型的には)クロマトグラフィー固定相にある種のクロマトグラフィー機能を付与する有機基を含む。本明細書において開示されるような表面改質剤は、たとえば、誘導体化またはコーティング、および後の架橋によってベース材料に取り付けられて、表面改質剤の化学的性質がベース材料に付与される。一実施形態においては、ハイブリッド材料の有機基が反応して、表面改質剤と有機共有結合を形成する。有機化学およびポリマー化学において周知の多数の機構によって、たとえば、限定するものではないが、求核性、求電子性、付加環化、フリーラジカル、カルベン、ニトレン、およびカルボカチオンの反応によって、この改質剤は、材料の有機基と有機共有結合を形成することができる。有機共有結合は、有機化学の一般的な元素の間、たとえば、限定するものではないが水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、およびハロゲンの間の共有結合の形成を伴うものとして定義される。さらに、炭素−ケイ素結合および炭素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合となるが、一方、ケイ素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合とはならない。一般に、多孔質無機/有機ハイブリッド粒子およびモノリス材料は、有機基表面改質剤、シラノール基表面改質剤、ポリマーコーティング表面改質剤、および以上の表面改質剤の組み合わせによって改質することができる。
【0038】
たとえば、シラノール基は、式Z(R’)Si−Rを有する化合物によって表面改質され、この式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、たとえば、ジメチルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ0から3の整数であり、但しa+b=3であり;R’は、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル基であり、Rは官能基である。R’は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルであってよく;好ましくは、R’はメチルである。ある実施形態においては、これらの有機基も同様に官能化される。
【0039】
官能基Rとしては、アルキル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、陽イオン交換基、または陰イオン交換基、もしくは埋め込み極性官能基を挙げることができる。好適なR官能基の例としては、C−C20などのC−C30アルキル、たとえばオクチル(C)、オクタデシル(C18)、およびトリアコンチル(C30);アルカリール、たとえばC−C−フェニル;シアノアルキル基、たとえばシアノプロピル;ジオール基、たとえばプロピルジオール;アミノ基、たとえばアミノプロピル;ならびに埋め込み極性官能基を有するアルキル基またはアリール基、たとえば、米国特許第5,374,755号(この記載内容が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなカルバメート官能基が挙げられる。このような基としては、一般式
【0040】
【化1】
の基が挙げられ、式中l、m、o、r、およびsは0または1であり、nは0、1、2、または3であり、pは0、1、2、3、または4であり、qは0から19の整数であり;Rは、水素、アルキル、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され;Z、R’、a、およびbは前述の定義の通りである。好ましくは、カルバメート官能基は、以下に示す一般構造を有し:
【0041】
【化2】
式中、Rは、たとえば、シアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル、またはベンジルであってよい。好都合には、Rは、オクチル、ドデシル、またはオクタデシルである。
【0042】
好ましい一実施形態においては、表面改質剤は、オクチルトリクロロシランまたはオクタデシルトリクロロシランなどのオルガノトリハロシランであってよい。さらに好ましい実施形態においては、表面改質剤は、オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランなどのハロポリオルガノシランであってよい。ある実施形態においては、表面改質剤は、オクタデシルトリメトキシシランである。
【0043】
別の実施形態においては、本発明のハイブリッド材料の有機基およびシラノール基の両方について、表面改質または誘導体化が行われる。別の実施形態においては、本発明のハイブリッド材料は、ポリマーでコーティングすることによって表面改質される。
【0044】
用語「脂肪族基」は、典型的には1から22個の間の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖によって特徴づけられる有機化合物を含む。脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が挙げられる。複雑な構造の場合、これらの区割りは分岐または架橋することができる。アルキル基は、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を含み、たとえば直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基を含む。このような炭化水素部分は1つ以上の炭素が、たとえば、ハロゲン基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルカルボキシ基、アルキルチオ基、またはニトロ基で置換されていてもよい。炭素数が特に指定されない場合、本明細書において使用される「低級脂肪族」は、前述の定義のような脂肪族基(たとえば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)で1から6個の炭素原子を有するものを意味する。代表的なこのような低級脂肪族基、たとえば低級アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチルなどである。本明細書において使用される場合、用語「ニトロ」は−NOを意味し;用語「ハロゲン」は−F、−Cl、−Br、または−Iを意味し;用語「チオール」はSHを意味し;用語「ヒドロキシル」は−OHを意味する。たとえば、本明細書において使用される用語「アルキルアミノ」は、アミノ基が結合している前述の定義のアルキル基を意味する。好適なアルキルアミノ基としては、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。用語「アルキルチオ」は、スルフヒドリル基が結合している前述の定義のアルキル基を意味する。好適なアルキルチオ基としては、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。本明細書において使用される用語「アルキルカルボキシル」は、カルボキシル基が結合している前述の定義のアルキル基を意味する。本明細書において使用される用語「アルコキシ」は、結合した酸素を有する前述の定義のアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基としては、1から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。用語「アルケニル」および「アルキニル」は、少なくとも1つの二重結合または三重結合をそれぞれが有し、アルキルと類似の不飽和脂肪族基を意味する。好適なアルケニル基およびアルキニル基としては、2から約12個の炭素原子、好ましくは1から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。
【0045】
用語「脂環式基」は、3つ以上の炭素原子の閉環を含む。脂環式基としては、飽和環状炭化水素であるシクロパラフィンまたはナフテン、2つ以上の二重結合を有する不飽和のシクロオレフィン、ならびに三重結合を有するシクロアセチレンが挙げられる。これらは芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例としては、シクロプロパン、シクロヘキサン、およびシクロペンタンが挙げられる。シクロオレフィンの例としては、シクロペンタジエンおよびシクオロクタテトラエンが挙げられる。脂環式基は、縮合環構造、およびアルキル置換脂環式基などの置換脂環式基も含む。脂環式の場合、このような置換基は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどをさらに含むことができる。
【0046】
用語「複素環式基」は、環の1つ以上の原子が、炭素以外の元素、たとえば、窒素、硫黄、または酸素である閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよく、ピロールおよびフランなどの複素環式基は芳香族性を有することができる。このようなものとしては、キノリンおよびイソキノリンなどの縮合環構造が挙げられる。複素環式基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環式基は、1つ以上の構成原子が、たとえば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換されていてもよい。好適な複素環式芳香族基およびヘテロ脂環式基は、一般に、環1つ当たり3から約8員で、1つ以上のN原子、O原子、またはS原子を有する、1から3個の別々の環または縮合環を有し、たとえばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリジニルである。
【0047】
用語「芳香族基」は、1つ以上の環を有する不飽和環状炭化水素を含む。芳香族基としては、0から4個のヘテロ原子を含むことができる5または6員単環基、たとえば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。芳香環は、1つ以上の環位置が、たとえば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換されていてもよい。
【0048】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基などの飽和脂肪族基を含む。ある実施形態においては、直鎖または分岐鎖アルキルは、30個以下の炭素原子をこの主鎖中に有し、たとえば、直鎖の場合C−C30であり、分岐鎖の場合C−C30である。ある実施形態においては、直鎖または分岐鎖アルキルは、20個以下の炭素原子をこの主鎖中に有し、たとえば、直鎖の場合C−C20であり、分岐鎖の場合C−C20であり、より好ましくは18個以下である。同様に、好ましいシクロアルキルは、4から10個の炭素原子をこの環構造中に有し、より好ましくは4から7個の炭素原子を環構造中に有する。用語「低級アルキル」は、鎖中に1から6個の炭素を有するアルキル基、および環構造中に3から6個の炭素を有するシクロアルキルを意味する。
【0049】
さらに、本明細書全体および特許請求の範囲において使用される場合、用語「アルキル」(「低級アルキル」を含む)は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素主鎖の1つ以上の炭素上の水素と置換された置換基を有するアルキル部分を意味する。このような置換基としては、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(たとえばアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(たとえばアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、もしくは芳香族部分または複素環式芳香族部分を挙げることができる。当業者には周知のように、適切であれば、炭化水素鎖の置換された部分は、これ自体も置換されることができる。シクロアルキルは、たとえば上述の置換基でさらに置換されていてもよい。「アラルキル」部分は、たとえば、1から3個の別々の環または縮合環および6から約18個の炭素環原子を有する、アリールで置換されたアルキルであり、たとえば、フェニルメチル(ベンジル)である。
【0050】
用語「アリール」は、0から4個のヘテロ原子を含むことができる5および6員の単環芳香族基を含み、たとえば、非置換または置換ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリルなどの多環式縮合芳香族基も含む。芳香環は、1つ以上の環位置が、たとえばアルキル基に関して前述したような置換基で置換されていてもよい。好適なアリール基としては、非置換および置換フェニル基が挙げられる。本明細書において使用される場合、用語「アリールオキシ」は、結合した酸素原子を有する前述の定義のアリール基を意味する。本明細書において使用される場合、用語「アラルコキシ」は、結合した酸素原子を有する前述の定義のアラルキル基を意味する。好適なアラルコキシ基は、1から3個の別々の環または縮合環と、6から約18個の炭素環原子とを有し、たとえばO−ベンジルである。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「アミノ」は、式−NRの非置換または置換部分を意味し、式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルである、もしくは、RおよびRを、これらが結合する窒素原子と合わせたものが、環に3から8個の原子を有する環状部分を形成する。したがって、特に明記しない限り、用語「アミノ」は、ピペリジニル基またはピロリジニル基などの環状アミノ部分を含む。「アミノ置換アミノ基」は、RおよびRの少なくとも一方が、アミノ基でさらに置換されているアミノ基を意味する。
【0052】
(本発明の概要)
本発明は、秩序領域を有する、多孔質ハイブリッド無機/有機材料を提供する。ある実施形態においては、本発明のハイブリッド材料は、クロマトグラフィー的に向上した孔形状も有する。本発明の材料は、球状粒子またはモノリスとして存在することができる。
【0053】
本発明の材料の秩序領域は、孔再構成テンプレートを使用した熱水処理によって、多孔質ハイブリッド材料の孔を再構成することによって実現される。クロマトグラフィー的に望ましい形態(たとえば、マクロ孔およびメソ孔バイモーダル孔径分布を有する球状粒子およびモノリス)は維持される。さらに、材料は、クロマトグラフィー特性を向上させるためにさらに改質することができる。
【0054】
秩序領域を有し、好都合にはクロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、広い表面積をさらに有し、このため物質の保持能力が向上する。非晶質の類似物と比較すると、本発明の材料は、孔の秩序化のために新規な機械的および化学的性質を有することもできる。
【0055】
多孔質ハイブリッド無機/有機材料
本発明は、適切に形成されたメソポーラス材料を使用する。このような材料は、たとえば、米国特許第6,686,035号、WO03/014450、米国特許第6,528,167号、およびWO04/041398に記載されている。
【0056】
たとえば、一実施形態においては、本発明の孔再構成方法は、秩序領域を含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料を提供し、この材料は、一般に以下の式I、式II、または式IIIの中の1つを有する:
(A)(B)(C)(式I)
(式中、繰り返し単位A、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aは、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに共有結合している、有機繰り返し単位であり;
Bは、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合しており、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBにさらに結合することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
Cは、無機結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合している、無機繰り返し単位であり;
x、yは正の数であり、zは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/y≦210であり、z≠0である場合、0.0003≦y/z≦500および0.002≦x/(y+z)≦210である);
(A)(B)(By*(C)(式II)
(式中、繰り返し単位A、B、B、およびCの順序は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックとの組み合わせであってよく;
Aは、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに共有結合している、有機繰り返し単位であり;
Bは、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合しており、有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBにさらに結合することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
は、無機シロキサン結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合しているオルガノシロキサン繰り返し単位であり、Bは、反応性(すなわち重合性)有機成分を有さず、重合後に脱保護可能な保護された官能基をさらに有することができる、オルガノシロキサン繰り返し単位であり;
Cは、無機結合を介して1つ以上の繰り返し単位BまたはBまたはCに結合している、無機繰り返し単位であり;
x、yは正の数であり、zは負でない数であり、z=0である場合、0.002≦x/(y+y)≦210であり、z≠0である場合、0.0003≦(y+y)/z≦500および0.002≦x/(y+y+z)≦210である);または
[A][B](式III)
(式中、xおよびyは自然数であり、Aは、
SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiO
であり;式中、RおよびRは独立して、置換または非置換C−Cアルキル基、もしくは置換または非置換アリール基であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋させる置換または非置換C−Cアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基であり、pおよびqは0、1、または2であり、但しp+q=1または2であり、p+q=1の場合、t=1.5であり、p+q=2の場合、t=1であり;rは0または1であり、但しr=0の場合、t=1.5であり、r=1の場合,t=1であり;mは2以上の整数であり;nは0.01から100の数であり;
Bは:
SiO/(RSiO
であり、式中、Rは、ヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、アリールオキシ、置換シロキサン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、またはこれらの組み合わせであり、Rは、R、R、およびRではなく;vは1または2であり、但し、v=1の場合、t=1.5であり、v=2の場合、t=1であり;nは0.01から100の数であり;
式IIIの材料は、内部領域および外面を有し、前記材料の前記内部領域はAで表される組成を有し;この材料の前記外面はAおよびBで表される組成を有し、前記外部の組成は、約1から約99%の間のBの組成と、残分を構成するAとである)。
【0057】
式IIの材料の一実施形態においては、Bは、1つ以上の繰り返し単位BまたはCに結合しており、さらに有機結合を介して1つ以上の繰り返し単位AまたはBに結合している。
【0058】
式Iまたは式IIの材料の一実施形態においては、0.003≦y/z≦50および0.02≦x/(y+z)≦21である。別の実施形態においては、0.03≦y/z≦5および0.2≦x/(y+z)≦2.1である。
【0059】
式Iまたは式IIの材料のさらに別の実施形態においては、Aは置換エチレン基であり、Bはオキシシリル置換アルキレン基であり、Cはオキシシリル基である。ある好ましい実施形態においては、Aは、
【0060】
【化3】
からなる群より選択され、
式中、各Rは独立して、HまたはC−C10アルキル基であり;mは1から20の整数であり;nは0から10の整数であり;Qは、水素、N(C1‐6アルキル)、N(C1‐6アルキル)(C1‐6アルキレン−SO)、またはC(C1‐6ヒドロキシアルキル)である。ある実施形態においては、各Rは独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0061】
式Iまたは式IIの材料のある実施形態においては、Bは、
【0062】
【化4】
からなる群より選択され、
は、
【0063】
【化5】
からなる群より選択される。
【0064】
式Iまたは式IIの材料のある実施形態においては、Cは、
【0065】
【化6】
である。
【0066】
式IIIの材料のある実施形態においては、この外面は、約50から約90%の間の組成Bと、残分を構成する組成Aとである組成を有する。ある好ましい実施形態においては、この面は、約70から約90%の間の組成Bと、残分を構成する組成Aとの組成を有する。
【0067】
式IIIの材料の種々の実施形態において、Rはヒドロキシルである;Rはフッ素である;Rはメトキシである;またはR
−OSi(R−R
であり、式中、Rは、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル、アリール、またはアルコキシ基、ヒドロキシル基、もしくはシロキサン基であり、Rは、C−C36直鎖、環状、または分岐のアルキル、アリール、またはアルコキシ基であり、Rは、非置換であるか、もしくは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エーテル、カルボニル、エポキシド、スルホニル、陽イオン交換体、陰イオン交換体、カルバメート、アミド、尿素、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸官能基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の部分で置換されているかである。ある実施形態においては、RはC18基であり、別の実施形態においては、Rはシアノプロピル基である。
【0068】
式Iまたは式IIを有するハイブリッド材料は、WO04/041398の特に実施例1から9に記載されるように調製される。一般に、このようなハイブリッド材料は、(a)アルケニル官能性オルガノシランをテトラアルコキシシランと加水分解的に縮合させる工程と、(b)工程(a)の生成物を有機オレフィンモノマーと共重合させる工程と、(c)工程(b)の生成物をさらに加水分解的に縮合させることによって、多孔質無機/有機均一コポリマーハイブリッド材料を調製する工程とによって調製される。この実施形態において、工程(b)および(c)は、実質的に同時に行うことができる。工程(a)および(b)は同じ反応容器中で行うことができる。
【0069】
もしくは、これらの材料は、(a)有機オレフィンモノマーをアルケニル官能性オルガノシランと共重合させる工程と、(b)非光学活性ポロゲンの存在下で、工程(a)の生成物をテトラアルコキシシランと加水分解的に縮合させることによって、多孔質無機/有機均一コポリマーハイブリッド材料を調製する工程とによって調製される。工程(a)および(b)は同じ反応容器中で行うことができる。
【0070】
また、これらの材料は、有機モノマーとアルケニル官能性オルガノシランとの共重合と、前記アルケニル官能性オルガノシランとテトラアルコキシシランとの加水分解的縮合とを同時に行うことによって、多孔質無機/有機均一コポリマーハイブリッド材料を調製する工程によって調製することもできる。
【0071】
上記方法の共重合工程は、フリーラジカルで開始することができ、上記方法の加水分解的縮合工程は、酸または塩基の触媒作用によって行うことができる。さらに、この反応は、フリーラジカル重合開始剤を添加した後で加熱することができる。ポロゲンを使用することもできる。
【0072】
前述の式IIIのハイブリッド材料は、米国特許第6,528,167号の特に実施例1から12に記載のように調製される。一般に、これらの材料は5工程の方法によって調製される。第1の工程においては、メチルトリエトキシシランなどのオルガノトリアルコキシシランと、テトラエトキシシラン(TEOS)などのテトラアルコキシシランとを、酸触媒の存在下でこれら2つの成分の混合物を共加水分解することで、プレポリマー化して、ポリアルキルアルコキシシロキサン(PAS)を形成する。第2の工程においては、このPASを、界面活性剤の存在下の水性媒体中に懸濁させ、さらに、塩基性触媒を使用してゲル化させて、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子を得る。第3の工程においては、このハイブリッドシリカ粒子の孔構造を、熱水処理によって改質して、中間ハイブリッドシリカ生成物を生成し、これ自体は特定の目的に使用することができるし、所望するなら、以下のようにさらに加工することができる。この方法の上記3つの工程によって、従来技術に記載される方法よりもはるかに良好に粒子形態、孔容積、および孔径を制御することができ、したがってクロマトグラフィー的に向上した孔形状が得られる。第4の工程においては、メチル基などの表面有機基の1つ以上をヒドロキシル、フッ素、アルコキシ、またはアリールオキシ基で置換する。
【0073】
第5の工程においては、ハイブリッドシリカの元の表面シラノール基および新しく形成された表面シラノール基を、オクタデシルジメチルクロロシランなどのハロポリオルガノシランと反応させることなどによって、有機官能基でさらに誘導体化することができる。オクタデシル基などの有機基の表面被覆率は、従来のハイブリッド系充填材料よりも高く、続いて誘導体化された材料は、低pH移動相において安定性が増加する場合がある。
【0074】
別の実施形態においては、本発明は、秩序領域を含み、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料を提供する。このような材料は、米国特許第6,686,035号およびWO03/014450に記載されており、式SiO/(RSiOまたはSiO/[R(RSiOを有し、式中、RおよびRは独立して、C−C18脂肪族部分または芳香族部分(これらはアルキル、アリール、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、ジオール、ニトロ、エステル、イオン交換基、または埋め込み極性官能基でさらに置換されていてもよい)であり、Rは、2つ以上のケイ素原子を架橋させる置換または非置換C−C18アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、またはアリーレン部分であり、pおよびqは0、1、または2であり、但しp+q=1または2であり、p+q=1の場合、t=1.5であり、p+q=2の場合、t=1であり;rは0または1であり、但しr=0の場合、t=1.5であり、r=1の場合、t=1であり;mは2以上の整数であり、nは0.03から1.5、より好ましくは、0.1から1、さらにより好ましくは0.2から0.5の数である。Rは、官能基R(前述の定義の通り)でさらに置換されていてもよい。一実施形態においては、nは0.03から1.5の数である。好ましい一実施形態においては、nは0.2から0.5の数である。
【0075】
秩序領域を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、N収着分析により測定して、一般に約50から800m/g、好ましくは約100から700m/g、より好ましくは約300から600m/gの比表面積を有する。ハイブリッド材料の比孔容積は、一般に約0.25から1.5cm/g、好ましくは約0.4から1.4cm/g、より好ましくは約0.7から1.3cm/gである。この材料の平均孔径は、一般に約50から500Å、好ましくは約50から400Å、より好ましくは約50から300Åである。秩序領域を有し、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料のミクロ孔表面積は、約110m/g未満、好ましくは約105m/g未満、より好ましくは約80m/g未満、さらにより好ましくは約50m/g未満である。
【0076】
孔秩序領域とクロマトグラフィー的に向上した孔形状とを有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、前述のように製造することができ、実施例に示される具体例のように製造することができる。一実施形態においては、孔秩序領域とクロマトグラフィー的に向上した孔形状とを有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子を含む。
【0077】
ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子は、米国特許第6,686,035号に記載されるように調製される。たとえば、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子は、好ましい一実施形態においては、多段階方法によって調製することができる。第1の工程においては、メチルトリエトキシシランなどの1種類以上のオルガノアルコキシシランと、テトラエトキシシラン(TEOS)などのテトラアルコキシシランとを、酸触媒の存在下でこれら2種類以上の成分の混合物を共加水分解することで、プレポリマー化して、ポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)、たとえばポリアルキルアルコキシシロキサンを形成する。第2の工程においては、このPOSを、1種類の界面活性剤または複数の界面活性剤の組み合わせの存在下、水性媒体中に懸濁させ、さらに、塩基性触媒を使用してゲル化させて、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子を得る。第3の工程においては、ハイブリッドシリカ粒子の孔構造を、熱水処理によって改質して、中間ハイブリッドシリカ生成物を生成し、これ自体は特定の目的に使用することができるし、望ましくは、以下のようにさらに加工することができる。この方法の上記3つの工程によって、従来技術に記載される方法よりもはるかに良好に粒子の球形度、形態、孔容積、および孔径を制御することができ、したがってクロマトグラフィー的に向上した孔形状が得られる。
【0078】
一実施形態においては、ハイブリッドシリカの表面有機基は、後の工程において、粒子の有機基と改質試薬との間に有機共有結合を形成することによる誘導体化または改質が行われる。もしくは、ハイブリッドシリカの表面シラノール基は、オルガノトリハロシラン、たとえば、オクタデシルトリクロロシラン、またはハロポリオルガノシラン、たとえば、オクタデシルジメチルクロロシランと反応させるなどによってシロキサン官能基への誘導体化または改質が行われる。
【0079】
もしくは、ハイブリッドシリカの表面有機基とシラノール基との両方について、誘導体化または改質が行われる。こうして調製された材料の表面は、次に、たとえば、ゲル化中に埋め込まれたアルキル、および1つ以上の誘導体化工程中に加えられた有機基などの有機基で覆われる。全有機基の表面被覆率は、従来のシリカ系充填材料よりも高く、このため、ハイブリッドシリカ中の残留シラノール基の表面密度がより小さくなる。
【0080】
プレポリマー化工程が、酸触媒の存在下での2種類以上の成分の混合物の共加水分解を伴う場合は、オルガノアルコキシシラン、たとえば、オルガノトリアルコキシシランの含有率を、たとえば、テトラアルコキシシラン1モル当たり約0.03から約1.5モル、より好ましくは、約0.2から約0.5モルで変化させることができる。加水分解に使用される水の量は、たとえば、シラン1モル当たり1.10から1.35モルで変化させることができる。均一溶液の形態のシラン、水、およびエタノールの混合物を、アルゴン気流下で、撹拌し、加熱還流する。ポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)、たとえば、ポリアルキルアルコキシシロキサンを形成するためのプレポリマー化に十分な時間還流した後、溶媒、および主としてエタノールである副生成物を反応混合物から留去する。この後、残留物を、アルゴン雰囲気下、たとえば、1.5から16時間の時間、120から140℃の範囲内などの高温で加熱する。この残留物を、たとえば、10−2から10−3torrなどの減圧下でたとえば1から3時間、同じ温度でさらに加熱して、あらゆる揮発性化学種を除去する。
【0081】
第2の工程において、撹拌することによって、上記POSを、55℃の水およびエタノールを含有する溶液中に、微小ビーズとして懸濁させる。この溶液中のエタノールの体積%は、10から20%で変動する。トリトン(Triton)X−100またはトリトン(Triton)X−45などの非イオン性界面活性剤を懸濁剤として上記懸濁剤に加える。もしくは、トリトンX−45と、少量のグリコール酸エトキシレート4−tert−ブチルフェニルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルサルフェート(TDS)との混合物を、懸濁剤として上記懸濁液に加える。
【0082】
アルキルフェノキシポリエトキシエタノールなどの界面活性剤は、POSビーズと水相との間の疎水性/親水性界面において配向して、POSビーズを安定化させると考えられている。界面活性剤は、これらの親水性基によって、ゲル化工程中のPOSビーズの表面上の水および塩基性触媒の濃度を高め、表面から中心に向かってPOSビーズのゲル化を誘導すると考えられている。POSビーズの表面構造を調整するために界面活性剤を使用することで、ゲル化過程全体でPOSビーズの形状が安定化され、不規則な形状、たとえば「シェル型」、および不均一な形態を有する粒子の形成が最小限になったり、抑制されたりする。
【0083】
POS単独ではなく、POSとトルエンとを含有する溶液を水相中に懸濁させることもできる。水相に対して不溶性であるトルエンは、ゲル化工程中はPOSビーズ中に残留し、ポロゲンとして機能する。POS/トルエン溶液中のトルエンの相対量を制御することによって、最終ハイブリッドシリカの孔容積をより精密に制御することができる。これによって、0.7から1.3cm/gなどの大きな孔容積を有するハイブリッドシリカ粒子を調製することができる。
【0084】
ゲル化工程は、水酸化アンモニウムなどの塩基性触媒を、撹拌しながら55℃のPOS懸濁液中に加えることによって開始する。この後、この反応混合物を同じ温度で撹拌して、反応を完了させる。水酸化ナトリウムなどの塩基は望ましくない陽イオンの供給源となり、水酸化アンモニウムは洗浄工程における除去が容易であるため、水酸化アンモニウムが好ましい。こうして調製されたハイブリッドシリカを濾過し、水およびメタノールで洗浄してアンモニウムイオンを除去し、続いて乾燥させる。
【0085】
本発明の別の実施形態は、多孔質無機/有機ハイブリッドモノリス材料を提供する。モノリス材料は、たとえば、WO03/014450およびWO04/041389に記載されている。本発明のハイブリッドモノリス材料は、前述のようにして調製した無機/有機ハイブリッド粒子を合体させることによって間接的に調製することもできるし、無機および有機前駆体から直接調製することもできる。本発明のハイブリッドモノリス材料は、有機基の表面被覆率が高く、ある実施形態においては、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する。さらに、シリカ主鎖中に有機部分を組み込むことによって、本発明のハイブリッド粒子に見られるように、ハイブリッドモノリス材料の疎水性を調整して、非常に改善されたアルカリ性安定性を付与することができる。
【0086】
多孔質無機/有機ハイブリッドモノリス材料は、後述するように製造することができる。好ましい一実施形態においては、前述の方法によって調製した本発明のハイブリッドシリカの多孔質球状粒子を、さらに改質せずに使用することができる。これらのハイブリッド粒子を、未結合のシリカなどの第2の材料と混合して、カラムなどの容器中に充填する。充填終了後、混合物を、合体、たとえば焼結させ、続いて第2の材料を洗浄工程によって除去する。このハイブリッドモノリス材料を、溶媒で洗浄するなどによってさらに加工することで、ハイブリッドモノリス材料が得られる。
【0087】
もしくはモノリス材料は、ゾル−ゲル法によって直接調製することもできる。無機および有機前駆体から1段階で無機/有機ハイブリッドモノリス材料を直接調製するための一般的方法は、以下の方法を特徴とすることができる。
【0088】
最初に、酢酸などの水性酸と、界面活性剤と、無機前駆体、たとえばテトラアルコキシシランと、有機前駆体、たとえばオルガノアルコキシシラン、たとえば、オルガノトリアルコキシシランとを含有する溶液を調製する。酸濃度の範囲は約0.1mMから500mM、より好ましくは約10mMから150mM、さらにより好ましくは約50mMから120mMである。界面活性剤濃度の範囲は、約3重量%から15重量%の間、より好ましくは約7から12重量%の間、さらにより好ましくは約8重量%から10重量%の間である。さらに、この方法で使用されるメチルトリメトキシシランおよびテトラメトキシシランなどの全シラン濃度の範囲は、約5g/mL未満、より好ましくは2g/mL未満、さらにより好ましくは1g/mL未満に維持される。
【0089】
上記ゾル溶液を、次に制御された温度でインキュベートすると、連続で相互連結した孔構造を有する三次元ゲルが得られる。インキュベーション温度の範囲は、溶液のほぼ凝固点から90℃の間、より好ましくは約20℃から70℃の間、さらにより好ましくは約35℃から60℃の間である。得られたゲルを、制御されたpH、好ましくはpH約2から3、および好ましくは約20から70℃、より好ましくは約35から60℃の温度で、約5時間から約10日、より好ましくは約10時間から約7日、さらにより好ましくは約2日から約5日の間エージングすることで、固体モノリス材料が得られる。
【0090】
ハイブリッド材料をさらにゲル化させ、界面活性剤を除去するために、約0℃から80℃、より好ましくは約20℃から70℃の間、さらにより好ましくは約40℃から60℃の間の温度の水酸化アンモニウムなどの塩基性水溶液で、上記モノリス材料を洗浄する。さらに、ある実施形態においては、塩基の濃度は、約10−5Nから1Nの間、より好ましくは約10−4Nから0.5Nの間、さらにより好ましくは約10−3Nから0.1Nの間である。このモノリス材料は、約1から6日、より好ましくは約1.5から4.5日、さらにより好ましくは約2から3日の間洗浄する。
【0091】
さらに、このモノリス材料は、オートクレーブ中など高温の塩基性溶液で熱水処理することで、モノリス材料の孔構造を改善することができる。熱水処理の好ましいpHは、約7.0から12.0の間であり、より好ましくは約7.3から11.0の間、さらにより好ましくは約7.5から10.6の間である。熱水処理の温度は、約110℃から180℃の間、より好ましくは約120℃から160℃の間、さらにより好ましくは約130℃から155℃の間である。次に、モノリス材料を水で洗浄した後、メタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、またはヘキサンで溶媒交換し、室温で乾燥させる。このモノリス材料を次に、約70から120℃、好ましくは約100℃において約16から24時間減圧乾燥する。
【0092】
引き続く工程において、直接または間接的に調製したハイブリッドモノリス材料の表面有機基は、場合により、モノリス材料の有機基および/またはシラノール基と改質試薬との間に共有結合を形成することによって誘導体化または改質が行われ、これは場合により、ハイブリッド粒子に関して前述したようにポリマーのコーティングなどを含む。
【0093】
本発明の調製されたままのハイブリッド材料は、クロマトグラフィー性能を向上させるために種々の方法で改質することができる。一実施形態においては、調製されたままのハイブリッド材料の孔構造が熱水処理によって改質され、これによって、窒素(N)収着分析によって確認されるように、孔の開口部および孔径が拡大され、この結果、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有するハイブリッド材料が得られる。この熱水処理は、調製されたままのハイブリッド材料と、有機塩基水溶液とを含有するスラリーを調製し、このスラリーをオートクレーブ中、高温、たとえば約143から168℃で約6から28時間加熱することによって行われる。このスラリーのpHは、濃酢酸を使用して約8.0から10.7の範囲内となるように調整することができる。このスラリーの濃度は、塩基溶液5から10mL当たり約1gのハイブリッド材料の範囲内である。このように処理されたハイブリッド材料を濾過し、濾液のpHが約7になるまで水で洗浄し、アセトンで洗浄して、約100℃において約16時間減圧乾燥する。得られたハイブリッド材料は、約100から300Åの範囲内の平均孔径を示す。熱水処理したハイブリッド材料の孔は、本発明において説明されるような熱水処理で改質していないハイブリッド材料と同様の方法で再構成することができる。
【0094】
さらに、熱水処理したハイブリッドシリカの表面は有機基を含み、これは、ハイブリッド材料の有機基に対して反応性である試薬と反応させることで誘導体化することができる。たとえば、材料上のビニル基は、臭素(Br)、水素(H)、フリーラジカル、成長するポリマーラジカル中心、ジエンなどの種々のオレフィン反応性試薬と反応させることができる。別の例として、材料上のヒドロキシル基は、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸塩化物、および前述の反応性オルガノシランなどの種々のアルコール反応性試薬と反応させることができる。この種の反応は、マーチ(March)、J.「最新有機化学」(Advanced Organic Chemistry)、第3版(3rd Edition)、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク(New York)、1985;オーディアン(Odian)、G.「重合の原理」(The Principles of Polymerization)、第2版(2nd Edition)、ワイリー、ニューヨーク、1981などの文献によって周知となっており、これらの記載内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
さらに、熱水処理したハイブリッドシリカの表面はシラノール基も含み、これは反応性オルガノシランと反応させることによって誘導体化することができる。ハイブリッドシリカの表面誘導体化は、たとえば、有機溶媒中、還流条件下でオクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランと反応させることなどによる標準的方法により行われる。トルエンなどの有機溶媒がこの反応に典型的に使用される。この反応を触媒するために、ピリジンまたはイミダゾールなどの有機塩基が反応混合物に加えられる。次に、この反応の生成物を水、トルエン、およびアセトンで洗浄し、約80℃から100℃において約16時間減圧乾燥する。この結果得られたハイブリッドシリカは、前述の手順と同様の手順を使用して、トリメチルクロロシランまたはヘキサメチルジシラザンなどの短鎖シランとさらに反応させて、残留シラノール基をエンドキャップすることができる。
【0096】
さらに一般に、ハイブリッドシリカ材料の表面は、表面改質剤、たとえば、Z(R’)Si−Rで表面改質することができ、式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、たとえばジメチルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホネートであり;aおよびbはそれぞれ0から3の整数であり、但しa+b=3であり;R’は、C−C直鎖、環状、または分岐のアルキル基であり、Rは官能基である。R’は、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルであってよく;好ましくは、R’はメチルである。官能基Rとしては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、陽イオンまたは陰イオン交換基、もしくは埋め込み極性官能基を有するアルキル基またはアリール基を挙げることができる。好適なR官能基の例としては、C−C20などのC−C30アルキル、たとえばオクチル(C)、オクタデシル(C18)、およびトリアコンチル(C30);アルカリール、たとえばC−C−フェニル;シアノアルキル基、たとえばシアノプロピル;ジオール基、たとえばプロピルジオール;アミノ基、たとえばアミノプロピル;ならびに埋め込み極性官能基を有するアルキル基またはアリール基、たとえば、米国特許第5,374,755号(この記載内容が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなカルバメート官能基が挙げられ、詳細は前述している。好ましい一実施形態においては、表面改質剤は、オクチルトリクロロシランまたはオクタデシルトリクロロシランなどのオルガノトリハロシランであってよい。さらに別の好ましい実施形態においては、表面改質剤は、オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランなどのハロポリオルガノシランであってよい。好都合には、Rはオクチルまたはオクタデシルである。
【0097】
ハイブリッドシリカ材料の表面は、ポリマーでコーティングすることによって表面改質することもできる。ポリマーコーティングは、文献によって公知であり、一般に、ポリマー層が支持体に化学結合することなく、表面上に物理吸着したモノマーを重合または重縮合させることによって(タイプI)、表面上に物理吸着したモノマーを重合または重縮合させポリマー層を支持体に化学結合させることによって(タイプII)、物理吸着したプレポリマーを支持体に固定化することによって(タイプIII)、ならびにあらかじめ合成したポリマーを支持体の表面上に化学吸着させることによって(タイプIV)提供することができる。たとえば、ハンソン(Hanson)ら、J.Chromat.A656(1993)369−380を参照することができ、この記載内容が参照により本明細書に組み込まれる。前述したように、ポリマーによるハイブリッド材料のコーティングは、本発明において説明した種々の表面改質と併用することができる。好ましい一実施形態においては、シルガード(Sylgard)(登録商標)がポリマーとして使用される。表面改質したハイブリッド材料の孔は、本発明により説明した熱水処理によって改質していないハイブリッド材料と同様の方法で再構成することができる。
【0098】
秩序領域を提供するための孔の再構成
前述のようにして調製した多孔質無機/有機ハイブリッド材料は、秩序領域を有する材料を得るためにさらに加工される。秩序領域は、塩基触媒による変換によってこれらのメソポーラスハイブリッド材料中に形成される。この方法によると、種々の孔テンプレート分子を使用し、場合によりテンプレート膨潤分子を併用することによって、種々のメソポーラスハイブリッド材料に孔再構成テンプレートを形成することができる。本発明の方法は、多孔質無機材料(すなわちシリカゲル)の再構成に使用されているメソ孔再構成プロトコル(たとえば、孔テンプレート分子の選択、溶液組成、テンプレート膨潤分子の選択、温度、および時間)を使用する(T.マーティン(Martin)、A.ガラルノー(Galarneau)、F.ディ・レンゾ(Di Renzo)、F.ファジュラ(Fajula)、D.プリー(Plee)、Angew.Chem.Int.Ed.41(2002)2590)。
【0099】
クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有さない直接合成された六方晶系(たとえば、MCM−41)、立方晶系(たとえば、MCM−48)、および層状(たとえば、MCM−50)の材料に関しては、類似の均一な孔の網目構造(「秩序領域」)がすでに報告されているが(M.グリュン(Gruen)、K.K.アンガー(Unger)、A.マツモト(Matsumoto)、K.ツツミ(Tsutsumi)、Microporous and Mesoporous Materials 27(1999)207;A.フィロージ(Firouzi)、D.クマー(Kumar)、L.M.ブル(Bull)、T.ベシエ(Besier)、P.シーガー(Sieger)、Q.フオ(Huo)、S.A.ウォーカー((Walker)、J.A.ザサジンスキ(Zasadzinski)、C.グリンカ(Glinka)、J.ニコル(Nicol)、D.マーゴリーズ(Margolese)、G.D.スタッキー(Stucky)、B.F.シュメルカ(Chmelka)、Science、267(1995)1138;M.エティエン(Etienne)、B.ルボー(Lebeau)、A.ワルカリアス(Walcarius)、New.J.Chem.26(2002)384)、ハイブリッドマトリックスが、シロキサンモノマーまたは小粒子単位(たとえば、シリカゾルまたはテトラエトキシシラン)から直接調製されるのではなく、前述したような適切に形成されたメソポーラスハイブリッド材料から調製されるという点で、本発明による孔再構成方法はこれらの方法とは異なる。
【0100】
ハイブリッド材料の形態を大きく変化させることがないので、本発明の方法は好都合である。たとえば、高度に球状のハイブリッド材料(d=5μm)が本発明の方法に使用される場合、この孔が変換された製品は、出発物質に近い粒度(すなわち、5μm)を有する球状材料で構成される。本発明の方法により製造された球状および非球状の両方の粒子を含む材料は、約0.1から約60μmの範囲の大きさで調製することができる。
【0101】
反応条件(たとえば、孔テンプレート分子の選択、溶液組成、テンプレート膨潤分子の選択、温度、および時間)を制御することによって、本発明により製造された多孔質ハイブリッド材料の孔のプロファイルを操作することができる。本発明により調製された材料は、高い比表面積を有し、高性能クロマトグラフィー用途に現在使用されている材料と比較すると、ミクロ孔率が大きく減少している。これらは、結晶性の領域または区域をさらに有する。
【0102】
本発明の孔再構成方法によると、秩序領域を有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料は、
(a)孔テンプレート分子を含む孔再構成テンプレートを形成する工程と;
(b)多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を、孔再構成テンプレートと接触させることで、孔を秩序領域に再構成させることによって、多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔を再構成させる工程と;
(c)孔再構成テンプレートを再構成された孔から除去し、これによって秩序領域を含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料を調製する工程とによって調製される。
【0103】
一実施形態においては、再構成テンプレートは、臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度のテンプレート分子を使用し、場合によりテンプレート膨潤分子を併用することによって形成される。これによって、種々の形状、大きさ、および配列の孔テンプレート分子のミセル、ベシクル、または網目構造が形成され、たとえば、図1に示されるような六方最密充填網目構造が形成される。
【0104】
孔テンプレート分子は、イオン性でも非イオン性でもよく、このようなものとしては多数の界面活性剤が挙げられる。非イオン性孔テンプレート分子の例としては、限定するものではないが、ポリマーおよびブロックコポリマー、たとえばポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)、たとえば、プルロニック(Pluronic)(登録商標)P123、プルロニック(登録商標)P64、プルロニックP105、ポリ(エチレンオキシド)−アルキルエーテル、たとえば、ブリジ(Brij)(登録商標)76、ブリジ(登録商標)30、トゥイーン(Tween)(登録商標)、スパン(Span)(登録商標)、トリトン(Triton)(登録商標)、イパゲル(Ipagel)(登録商標)が挙げられる。イオン性孔テンプレート分子としては、限定するものではないが、陽イオン性、陰イオン性、および両性イオン性の分子が挙げられる。さらに、イオン性孔テンプレート分子は、二価または多価、ならびに両親媒性またはジェミニ構造であってもよい。イオン性孔テンプレート分子の例としては、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、グリコール酸エトキシレート4−tert−ブチルフェニルエーテル、グリコール酸エトキシレートラウリルエーテル、グリコール酸エトキシレート4−ノニルフェニルエーテル、グリコール酸エトキシレートオクチルエーテル、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルサルフェート(TDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、たとえば塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化トリメチルステアリルアンモニウムが挙げられる。1種類の孔テンプレート分子、または2種類以上の孔テンプレート分子の組み合わせを使用することができる。臨界ミセル濃度(CMC)が存在する場合、このCMCを超える濃度で孔テンプレート分子を使用すると好都合である。
【0105】
テンプレート膨潤分子としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ドデカノール、クロロドデカン、1,3,5−トリメチルベンゼン、および1,3,5−トリイソプロピルベンゼンが挙げられる。好ましい実施形態においては、テンプレート膨潤分子は、1,3,5−トリメチルベンゼンまたは1,3,5−トリイソプロピルベンゼンである。
【0106】
多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔は、熱水条件下、孔再構成テンプレートの存在下で、多孔質ハイブリッド無機/有機材料を接触させることによって再構成される。好ましい一実施形態においては、再構成は、孔を孔再構成テンプレートで充填することによって行われる。孔は、多孔質ハイブリッド無機/有機材料を、水性塩基および孔再構成テンプレートと混合することによって充填される。この塩基は、あらゆるルイス塩基、たとえば、水酸化アンモニウム、I族およびII族金属の水酸化物塩、I族金属の炭酸塩および炭酸水素塩、もしくはI族およびII族金属のアルコキシド塩、ならびにアルキルアミン(たとえば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、テトラエチル水酸化アンモニウム)であってよい。好ましい一実施形態においては、この塩基は水酸化ナトリウム(NaOH)である。
【0107】
図2に例示されるように、孔テンプレート分子は、ハイブリッドシリケートの溶解/沈殿過程を介してハイブリッド材料の孔に入る。この過程のこの時点で、ハイブリッド材料の孔が、秩序化された孔テンプレートミセルの束で充填される。これらの束が、孔を秩序領域に再構成する。
【0108】
孔再構成過程を完了するために、多孔質ハイブリッド無機/有機材料と、塩基および孔テンプレート分子を含有する水性混合物との混合物を、秩序領域を形成するのに十分な温度および時間で加熱する。典型的には、加熱温度は、約25から約200℃、より好ましくは80から約150℃、最も好ましくは約100から約130℃の範囲である。加熱時間は、約1から約120時間、より好ましくは7から約120時間、最も好ましくは約20から約48時間の範囲である。
【0109】
孔秩序化過程の最終工程において、孔再構成テンプレートが除去される。一実施形態においては、除去は、酸洗浄液を使用した抽出によって行われる。使用できる酸としては、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、またはリン酸が挙げられる。使用できる水溶性溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールが挙げられる。好ましい一実施形態においては、濃塩酸とエタノールとを含む洗浄液が使用される。洗浄液中の材料の懸濁液は、約25から約100℃、より好ましくは40から約60℃、最も好ましくは50℃に、約1から約30時間、より好ましくは4から約25時間、最も好ましくは20時間加熱される。
【0110】
別の実施形態においては、孔再構成テンプレートは、熱処理によって除去され、すなわち、約250から約600℃、より好ましくは275から約350℃、最も好ましくは300℃の範囲の温度で、1から約30時間、より好ましくは4から約25時間、最も好ましくは16時間の時間加熱することによって除去される。好ましい一実施形態においては、空気、窒素、および/またはアルゴンのいずれかの動的パージ下で、ステンレス鋼管などの好適な容器中に、処理されたままの材料を入れ、最初に約100℃で40分間維持した後、約250から550℃の温度で16時間加熱する。
【0111】
さらに別の実施形態においては、孔再構成テンプレートが、オゾン分解処理によって除去され、オゾンによって、界面活性剤がより容易に除去される副生成物に分解される。たとえばT.クラーク・ジュニア(Clark,Jr.)、J.D.ルイス(Ruiz)、H.ファン(Fan)、C.J.ブリンカー(Brinker)、B.I.スワンソン(Swanson)、A.N.パリーク(Parikh)Chem.Mater.12(2000)3879、およびA.ギールドフスカ−ブルスカ(Gieldowska−Bulska)、J.パーコフスキル(Perkowskil)、およびL.コス(Kos)Ozone:Science and Engineering、26(2004)217を参照されたい。
【0112】
ある実施形態においては、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を既に有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料について、上述の孔再構成方法が行われて、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有し秩序領域を含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料が得られる。別の実施形態においては、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有さない多孔質ハイブリッド無機/有機材料の孔について、上述のように再構成を行うことで、クロマトグラフィー的に向上した孔形状と秩序領域と含む多孔質ハイブリッド無機/有機材料が得られる。言い換えると、孔再構成方法は、秩序領域だけでなく、クロマトグラフィー的に向上した孔形状も形成する。さらに別の実施形態においては、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を既に有する多孔質ハイブリッド無機/有機材料について、前述の表面改質を行い、続いて孔再構成を行うことによって、秩序領域を含みクロマトグラフィー的に向上した孔形状を有し表面改質された多孔質ハイブリッド無機/有機材料が得られる。これらの種々の実施形態について、以下の図式1で説明する。
【0113】
【化7】
【0114】
(実施例)
秩序領域を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料の調製、およびこれらの使用を説明する以下の非限定的実施例によって、本発明をさらに説明することができる。
【0115】
材料
特に明記しない限り、すべての試薬は入手したままの状態で使用した。当業者であれば、存在する以下の供給品および供給元と同等のものを理解できるであろうし、したがって以下に示す供給元は限定のために構成されたものではない。
【0116】
特性決定
当業者であれば、存在する以下の機器および供給元と同等のものを理解できるであろうし、したがって以下に示す供給元は限定のために構成されたものではない。
【0117】
メジアンマクロ孔径(MPD)およびマクロ孔容積(MPV)は、水銀細孔分布測定(Mercury Porosimetry)(マイクロメリティクス・オートポアII9220(Micromeritics AutoPore II 9220)またはオートポアIV(AutoPore IV)、ジョージア州ノークロスのマイクロメリティクス(Micromeritics、Norcross、GA))によって測定した。%C、%H、および%Nの値は、燃焼分析(CE−440エレメンタル・アナライザー(Elemental Analyzer);マサチューセッツ州ノースチェルムスフォールドのエクセター・アナリティカル・インコーポレイテッド(Exeter Analytical Inc.、North Chelmsford、MA))によって測定した。これらの材料の比表面積(SSA)、比孔容積(SPV)、および平均孔径(APD)は、多点N収着法(マイクロメリティクス(Micromeritics)ASAP 2400;ジョージア州ノークロスのマイクロメリティクス)を使用して測定した。比表面積はBET法を使用して計算し、比孔容積はP/P>0.98について1点値測定し、平均孔径はBJH法を使用して等温線の脱着の脚から計算した。34Å以下の直径を有する孔の中の表面積として定義されるミクロ孔表面積(MPA)も、BJH法を使用して等温線の吸着の脚から求めた。粒度は、ベックマン・コールター・マルチサイザー3(Beckman Coulter Multisizer 3)分析器(30μm開口部、70,000カウント)を使用して測定した。粒径(dp)は、体積基準粒度分布の50%累積体積直径として測定した。この分布の幅は、90%累積体積直径を10%累積体積直径(90/10)で割ることによって測定した。
【実施例1】
【0118】
未結合粒子およびC18結合粒子を含む多孔質無機/有機ハイブリッド粒子を、米国特許第6,686,035号に記載されるように合成した。本発明の材料を得るために準拠した米国特許第6,686,035号からの実施例は、’035Refの見出しで表1に示している。特性決定データを表1に示している。実施例1eの場合、タイプ1bの粒子を、米国特許第6,686,035号の実施例25に記載されるようにオクタデシルトリクロロシランでさらに改質した。
【0119】
【表1】
【実施例2】
【0120】
クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質未結合ハイブリッド無機/有機粒子1aおよび1bを、水酸化ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical、Milwaukee、WI))と、次の1種類以上の孔テンプレート分子(PTM):臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAB、アルドリッチ・ケミカル)、塩化トリメチルステアリルアンモニウム(C18−TAC、オレゴン州ポートランドのTCIアメリカ(TCI America、Portland、OR))、塩化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAC、水中25重量%、アルドリッチ・ケミカル)と;次のテンプレート膨潤分子(TSM):1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB、アルドリッチ・ケミカル)とを含有する水溶液に加えて、懸濁液を得た。得られた懸濁液を0.5時間混合し、次にステンレス鋼製オートクレーブ中に入れ、115℃から150℃の間で24から118時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却した後、生成物を濾過し、水およびメタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.べーカー(J.T.Baker、Phillipsburgh、NJ))を使用して繰り返し洗浄し、次に80℃で16時間減圧乾燥した。具体的な試薬量、反応条件、および特性決定データを表2に示している。
【実施例3】
【0121】
クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有さない多孔質未結合ハイブリッド無機/有機粒子1cおよび1dを、水酸化ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル)と、次の1種類以上の孔テンプレート分子(PTM):臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAB、アルドリッチ・ケミカル)、塩化トリメチルステアリルアンモニウム(C18−TAC、オレゴン州ポートランドのTCIアメリカ)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAC、水中25重量%、アルドリッチ・ケミカル)、ブリジ(登録商標)76(アルドリッチ・ケミカル)、プルロニック(登録商標)P123(アルドリッチ・ケミカル)と;1種類以上の以下のテンプレート膨潤分子(TSM):1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB、アルドリッチ・ケミカル)、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン(TIP、アルドリッチ・ケミカル)とを含有する水溶液に加えて、懸濁液を得た。得られた懸濁液を0.5時間混合し、次にステンレス鋼製オートクレーブ中に入れ、115℃から150℃の間で24から118時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却した後、生成物を濾過し、水、続いてメタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.べーカー)を使用して繰り返し洗浄し、次に80℃で16時間減圧乾燥した。具体的な試薬量、反応条件、および特性決定データを表3に示している。
【実施例4】
【0122】
クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有しオクタデシルトリクロロシランC18が結合したハイブリッド粒子(1e)を、水酸化ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル)と、無水アルコール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.べーカー)と、次の1種類以上の孔テンプレート分子(PTM):臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAB、アルドリッチ・ケミカル)、塩化トリメチルステアリルアンモニウム(C18−TAC、オレゴン州ポートランドのTCIアメリカ)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAC、水中25重量%、アルドリッチ・ケミカル)とを含有する水溶液に加えて、懸濁液を得た。得られた懸濁液を0.5時間混合し、次にステンレス鋼製オートクレーブ中に入れ、115℃から150℃の間で24から118時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却した後、生成物を濾過し、水、続いてメタノール(HPLCグレード、J.T.べーカー)を使用して繰り返し洗浄し、次に80℃で16時間減圧乾燥した。具体的な試薬量、反応条件、および特性決定データを表4に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【表4】
【実施例5】
【0126】
実施例2、3、および4により調製したハイブリッド材料から選択したサンプルを、無水エタノール(HPLCグレード、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.べーカー)と濃塩酸(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル)とを含有する溶液と、5L丸底フラスコ中で混合し撹拌した。得られた懸濁液を50℃で20時間加熱した。反応物を室温まで冷却した後、生成物を濾過し、水で繰り返し洗浄した。次にこの反応を繰り返した(50℃、20時間)。最終生成物をアセトンで洗浄し、80℃において16時間減圧乾燥した。具体的な試薬量、反応条件、および特性決定データを表5に示す。実施例5eのXRPDプロットを図3に示しており、最大ピークを表9に示している。
【実施例6】
【0127】
実施例2、3、および4により調製したハイブリッド材料から選択したサンプルを、加熱炉(モデルF6000(Model F6000)、アイオワ州ドゥビュークのバーンステッド/サーモライン(Barnstead/Thermolyne、Dubuque、IA))中、またはステンレス鋼管(19×50mm)中、空気またはアルゴンのいずれかの動的パージ下、最初に100℃で40分間維持した後、250から550℃で16時間加熱した。具体的な試薬量、反応条件、および特性決定データを表6に示す。選択した材料についてXRPDで試験を行い、最大ピークを表9に示している。実施例6rおよび6iの典型的なプロットを図3に示す。実施例6の典型的なプロットを図4に示す。
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【実施例7】
【0130】
実施例5gの粒子を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル)中に懸濁させた。この懸濁液を次に、ガラスライナー付きステンレス鋼製オートクレーブに移し、静止アルゴンブランケット下、200℃で20時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却した後、生成物を濾過し、トルエン、アセトン/水、およびアセトンを使用して繰り返し洗浄し、次に80℃で16時間減圧乾燥した。%Cおよび%Hのデータを表7に示す。
【0131】
【表7】
【実施例8】
【0132】
多孔質無機/有機ハイブリッドモノリスを以下の手順で合成した。非イオン性界面活性剤のプルロニック(登録商標)P105(15.9g、アルドリッチ・ケミカル)を100mLの0.09M酢酸(J.T.べーカー)中に溶解させ、0℃まで冷却した。この溶液に、1,2−ビス−(トリメトキシシリル)エタン(5.8mL、ペンシルバニア州モーリスビルのゲレスト・インコーポレイテッド(Gelest Inc.、Morrisville、PA))とテトラメトキシシラン(34.2mL、アルドリッチ・ケミカル)との混合物を加えた。得られた溶液を0℃で1.5時間撹拌した後、この少量をガラスバイアルに移し、封止し、45℃で2日維持した。この溶液は固化して白色ロッドが形成され、次にこれを60℃の0.1M水酸化アンモニウム(J.T.べーカー)水溶液中に16時間浸漬した。得られたロッドを還流水中に3時間浸漬することで洗浄し、冷却し、水を置換し、さらに3時間繰り返した。第2の線上サイクルは、メタノール(HPLCグレード、J.T.べーカー)を使用して繰り返した。選択したロッドを80℃で16時間減圧乾燥した。特性決定データを表8に示す。
【0133】
【表8】
【0134】
秩序領域を含み、クロマトグラフィー的に向上した孔形状を有する多孔質ハイブリッド無機/有機モノリスを得るためには、タイプ8aのモノリスを、水酸化ナトリウム(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル)と、次の1種類以上の孔テンプレート分子(PTM):臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAB、アルドリッチ・ケミカル)、塩化トリメチルステアリルアンモニウム(C18−TAC、オレゴン州ポートランドのTCIアメリカ)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(C16−TAC、水中25重量%、アルドリッチ・ケミカル)、ブリジ(登録商標)76(アルドリッチ・ケミカル)、プルロニック(登録商標)P123(アルドリッチ・ケミカル)と;次の1種類以上のテンプレート膨潤分子(TSM):1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB、アルドリッチ・ケミカル)、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン(TIP、アルドリッチ・ケミカル)とを含有する水溶液に浸漬する。懸濁させたモノリスを0.5時間浸漬し、次にステンレス鋼製オートクレーブに入れて、115℃から150℃の間で24から118時間加熱する。オートクレーブを室温まで冷却した後、モノリスを取り出し、水、続いてメタノールで前述のように繰り返し洗浄し、次に80℃で16時間減圧乾燥する。
【実施例9】
【0135】
後述の2つの方法(AおよびB)を使用してXRPDデータを収集した。選択した材料の最大ピークを表9に示す。
【0136】
方法Aのデータは、インディアナ州ウエストラフィエットのSSCIインコーポレイテッド(SSCI Incorporated,West Lafayette,IN)が収集した。サンプル調製:アルミニウム上に搭載したシリコンゼロバックグラウンドホルダー(zero−background holder)(ZBH)のくぼみに、試料を非常にしっかりと充填した。試料に平滑なスライドガラスを押し付けることによって、ZBH上面と試料表面が同一閉平面となるまで、非常に注意深く試料表面を平坦化した。試料およびZBHの表面を、光学顕微鏡および平坦な端部で検査して、平坦性および同一平面性を調べた。技術:NIST SRM 649C Si粉末のd−スペース(d−space)較正物質を外部標準として測定した。以下の装置パラメーターを使用してShimadzuXRD−6000)でXPKDパターンを収集した。放射線:長距離高精度焦点;アノード:Cu;出力:40kVおよび40mA;2θ範囲:1.0°から10°2θまたは0.8°から50°2θ;刻み0.04°2θ;スキャン速度:0.6°2θ/分;ダイバージェンススリット:0.5°;散乱線除去スリット:0.5°;受光スリット:0.15mm;検出器:NaIシンチレーションカウンター;回折ビームモノクロメーター:グラファイト。回折図プロットは平滑化せず、バックグラウンド除去は使用しなかった。最大回折ピークは、回折図プロットから手作業で求めた。回折ピークは広く約1°2θであった。
【0137】
方法Bのデータは、ニュージャージー州アレンタウンのH&Mアナリティカル・サービシズ・インコーポレイテッド(H&M Analytical Services、Inc.,Allentown,NJ)によって収集した。すべての回折スキャンは、ブラッグ・ブレンターノパラフォーカシング(Bragg−Brentano parafocusing)形状で、長距離高精度焦点管からの40KV/30mAにおけるCu放射線を使用して、ジーメンスD5000Θ/Θ(Siemens D5000 Θ/Θ)回折計で実施した。スキャンは、1°から6°の角度範囲にわたって、刻み幅0.05°および計数時間300から600秒/工程で行った。角度の発散を軽減し、バックグラウンドを減少させるために、狭いスリット(ダイバージェンススリット=0.1mm、散乱線除去スリット=0.2mm、検出器スリット=0.1mm)を使用した。これらの条件下で、機器の角度の発散は約0.05°となる。個別の回折ピークは0.4°から0.5°の付近にあったため、選択した刻み幅で、半値全幅(FWHM)内に8から10のデータ点が得られ、これはピーク位置の決定に適切である。2種類のスキャンを行った。この第1は、ゼロバックグラウンドホルダー上に取り付け、メタノールスラリーを使用して約50μmの層厚さまで薄くした試験サンプルからなった。この方法は、低角度測定に望ましい非常に平滑な表面が得られるというさらなる利点を有する。第2のタイプの試験は、試験サンプルを少量のベヘン酸銀(Silver Behenate)(コダック(Kodak)製造のC2244Agであり、Powder Diffraction、10、91−95(1995)に記載されている)と混合することからなった。1.513°の低角度において一連の回折線が得られる非常に大きな格子定数のため、ベヘン酸銀は理想的な低角度標準物質である。ベヘン酸銀を使用して内部較正を行うために、最初に内部標準を含むパターンを、ベヘン酸銀ピークが較正位置まで移動するように修正する。この後、未スパイクのサンプルを、両方のパターンに共通の標準パターンの特徴と一致するように修正した。標準物質の最強ピークと試験試料の最強ピークとが重なり合ったため、この内部較正の間接方法を使用する必要があった。この間接方法は従来の内部標準方法ほど正確ではないが、この精度でも十分であると考えられ、予想される誤差は約0.02°であり、これは未修正パターンよりも約10倍高精度である。すべてのパターンは、市販のプログラムのジェード(Jade)v6.5(マテリアルズ・データ・インコーポレイテッド(MaterialsData Inc.)製)を使用して解析した。各パターンは、内部標準を使用することによって系統誤差を修正した。次に、バックグラウンドは、放物線フィッティング関数でフィッティングさせ、ストリッピングを行った。Kαピークアーティファクトは、これらの低角度においてKαピークと非常に接近しており区別できないため、除去しなかった。バックグラウンドを除去した後、セントロイドフィッティング関数によってピーク位置を決定した。これらの位置は、個別のピークを分割ピアソン(split Pearson)VII型関数にフィットさせる最小自乗法を使用して微調整した。
【0138】
【表9】
【実施例10】
【0139】
図5は、化合物AおよびBの透過型電子顕微鏡写真を示している。秩序領域を有する多孔質無機/有機ハイブリッド材料である化合物Aは、実施例6に記載のように調製される。化合物Bは、秩序領域を有する無機材料(シリカゲル)である。化合物AおよびBについて、透過型電子顕微鏡法(TEM)で調べた。図5の顕微鏡写真は、秩序領域を有する材料の特徴であるパターンを示している。
【0140】
(参照による組み込み)
本明細書に記載されるすべての特許、公開特許出願、および他の参考文献のすべての内容は、これらの内容全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
(同等物)
当業者であれば、単に日常的な実験によって、本明細書に記載される具体的な手順の多数の同等物を認識し、確認することができる。このような同等物は、本発明の範囲内にあると見なされ、特許請求の範囲に含まれている。本出願全体に記載されるすべての参考文献、交付済み特許、および公開特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5