特許第6021778号(P6021778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021778
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/18 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   B62D21/18 C
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-204703(P2013-204703)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-67211(P2015-67211A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】花房 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】大役寺 泰平
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−126145(JP,A)
【文献】 実開昭63−15728(JP,U)
【文献】 実開昭57−74879(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのフロントアクスルブラケットによってフロントアクスルケースが支持される作業車両であって、
所定の間隔をあけて配置されるビームの、対向する板面に補強板がそれぞれ溶接されるとともに、前記補強板に一方の前記フロントアクスルブラケットの両端部が溶接されることで構成される機体フレームと、
両端部を折り曲げた板状部材の両端部に他方の前記フロントアクスルブラケットの両端部が溶接されることで構成されるフロントヒッチと、
を具備し、
前記二つのフロントアクスルブラケットを対向させて、前記機体フレームに前記フロントヒッチが取り付けられる、
作業車両。
【請求項2】
前記補強板の端部は、
前記機体フレームの端部まで伸ばされ、
前記フロントヒッチは、
前記伸ばされた補強板の端部を介して前記機体フレームに取り付けられる、
請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのフロントアクスルブラケットによってフロントアクスルケースが支持される作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車両に設けられるフロントアクスルケースは、二つのフロントアクスルブラケットによって支持される。二つのフロントアクスルブラケットは、例えば、特許文献1に開示される作業車両のようにして、機体フレームの前部に取り付けられる。
【0003】
特許文献1に開示される作業車両は、機体フレームの前部に設けられる複数の固定孔と、フロントアクスルブラケットの左右両端に開口される複数の取付孔とに複数のボルトをねじ込んで、機体フレームにフロントアクスルブラケットを取り付ける。
また、特許文献1に開示される作業車両は、機体フレームの固定孔の前方に設けられる複数の取付孔と、フロントヒッチに形成される取付孔とに複数のボルトがねじ込まれることにより、機体フレームにフロントヒッチが取り付けられる。
【0004】
特許文献1に開示される作業車両は、フロントアクスルブラケット等の構成部品を別々の部品として、ボルトによって機体フレームに取り付けるため、多数のボルトが必要となってしまう。このため、特許文献1に開示される作業車両では、部品点数が増加してしまう。
また、特許文献1に開示される作業車両は、別々の部品である機体フレーム、フロントアクスルブラケット、およびフロントヒッチ等をボルトで締結するため、ボルトの締結力にばらつきが生じると機体フレームの剛性が充分に確保できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−126145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、部品点数を低減できるとともに、機体フレームの剛性を確保できる作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、二つのフロントアクスルブラケットによってフロントアクスルケースが支持される作業車両であって、所定の間隔をあけて配置されるビームの、対向する板面に補強板がそれぞれ溶接されるとともに、前記補強板に一方の前記フロントアクスルブラケットの両端部が溶接されることで構成される機体フレームと、両端部を折り曲げた板状部材の両端部に他方の前記フロントアクスルブラケットの両端部が溶接されることで構成されるフロントヒッチと、を具備し、前記二つのフロントアクスルブラケットを対向させて、前記機体フレームに前記フロントヒッチが取り付けられる、ものである。
【0008】
請求項2においては、前記補強板の端部は、前記機体フレームの端部まで伸ばされ、前記フロントヒッチは、前記伸ばされた補強板の端部を介して前記機体フレームに取り付けられる、ものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1に記載の作業車両によれば、部品点数を低減できるとともに、機体フレームの剛性を確保できる。
【0011】
請求項2に記載の作業車両によれば、機体フレームの形状精度の低下を抑制できるとともに、機体フレームの端部の剛性をより確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る作業車両の全体的な構成を示した側面図。
図2】フロントアクスルケースを示す図。(a)側面図。(b)平面図。
図3】機体フレームの斜視図。
図4】機体フレームの側面図。
図5】フロントヒッチの斜視図。
図6】フロントヒッチを機体フレームに接近させる様子を示す説明図。
図7】機体フレームにフロントヒッチを取り付ける様子を示す説明図。
図8】機体フレームにフロントヒッチを取り付けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
まず、本発明の一実施形態に係る作業車両1の全体構成について説明する。
本実施形態の作業車両1はトラクタとする。ただし、本発明に係る作業車両1の適用対象は、トラクタに限定されるものでない。
【0015】
なお、以下では、図1に示す矢印F方向を前方向として作業車両1の前後方向を規定する。
また、以下では、図1に示す矢印U方向を上方向として作業車両1の上下方向を規定する。
そして、以下では、図2(b)に示す矢印L方向を左方向として作業車両1の左右方向を規定する。
【0016】
図1に示すように、作業車両1においては、長手方向を前後方向として機体フレーム10が配置される。
【0017】
機体フレーム10は、その前部でエンジンブラケットを介してエンジン2を支持する。エンジン2等は、ボンネット3によって覆われている。
【0018】
機体フレーム10の前部は、フロントアクスルケース30を介して一対の前輪4に支持される。機体フレーム10の後部は、ミッションケース40およびリアアクスルケース41を介して一対の後輪5に支持される。
【0019】
機体フレーム10の上部には、運転操作部6が配置される。運転操作部6は、操向ハンドル6aおよび座席6b等を備える。
操向ハンドル6aは、その回転操作量に応じて一対の前輪4の操舵角を変更し、作業車両1を操舵することができるように構成される。座席6bは、一対の後輪5の上方に運転者が着座可能に配置される。
【0020】
運転操作部6の後部には、作業機装着装置7が設けられる。作業機装着装置7は、トップリンク7aの後端と、ロアリンク7bの後端とに、ロータリ耕耘装置等の作業機が連結されることで、作業車両1の後端部に前記作業機を装着する。
【0021】
作業車両1は、ウエイトが装着されるフロントヒッチ20を機体フレーム10の前端部に取り付けることにより、前記作業機が装着されることによる前後方向の重量バランスのくずれを補正している。
【0022】
図1および図2に示すように、機体フレーム10の前部には、フロントアクスルケース30が取り付けられる。
【0023】
フロントアクスルケース30は、左右方向を長手方向とする中空の部材である。フロントアクスルケース30の左右中央部には、前後方向に突出する軸部30aが形成される。
フロントアクスルケース30の左右両側面には、一対のフロントアクスル31を介して一対の前輪4が取り付けられる。
【0024】
このようなフロントアクスルケース30は、機体フレーム10およびフロントヒッチ20のフロントアクスルブラケット13・21によって支持される。
二つのフロントアクスルブラケット13・21については後で詳述する。
【0025】
図1に示すように、機体フレーム10の後部には、変速装置を内装するミッションケース40が取り付けられる。
ミッションケース40の後部には、作業機装着装置7のトップリンク7aが回転可能に連結される。
【0026】
ミッションケース40は、左右両側面で一対のリアアクスルケース41をそれぞれ支持する。
一対のリアアクスルケース41には、一対のリアアクスル42を介して一対の後輪5が取り付けられる。
ミッションケース40または一対のリアアクスルケース41には、作業機装着装置7のロアリンク7bが回転可能に連結される。
【0027】
作業車両1は、エンジン2の動力を前記変速装置で変速した後で、当該変速したエンジン2の動力を、一対のフロントアクスル31を介して一対の前輪4に伝達可能に構成されるとともに、一対のリアアクスル42を介して一対の後輪5に伝達可能に構成される。
【0028】
作業車両1は、一対の前輪4および一対の後輪5にエンジン2の動力を伝達することにより、一対の前輪4および一対の後輪5を回転駆動して走行を行う。
作業車両1は、前記変速装置で変速したエンジン2の動力を前記作業機にも伝達可能に構成される。これにより、作業車両1は、前記作業機を駆動する。
【0029】
次に、機体フレーム10の構成について説明する。
【0030】
図3および図4に示すように、機体フレーム10は、一対のビーム11、一対の補強板12、フロントアクスルブラケット13、および一対の取付部材14を備える。
【0031】
一対のビーム11は、前後方向を長手方向とするとともに左右方向に所定の間隔をあけて配置される。
一対のビーム11は、板面が対向するように配置された板状部材の上部を、左右方向外側(反相手ビーム側、すなわち、相手ビーム11より離れる側)に折り曲げ、前記板状部材の下部を、左右方向内側(相手ビーム側、すなわち、相手ビーム11に接近する側)に折り曲げることによって構成される。
【0032】
一対のビーム11の下部は、側面視において、前方から後方に向けて徐々に傾斜状に広がるような形状に形成される。一対のビーム11の上部は、側面視において前後方向に対して平行な形状に形成される。
つまり、一対のビーム11の上下方向の幅は、後方に向かうにつれて徐々に大きくなる。
【0033】
一対のビーム11の前端部には、機体フレーム10にフロントヒッチ20を取り付けるための複数(本実施形態では四つ)の取付孔11aが形成される。各取付孔11aは、一対のビーム11の対向する板面を貫通する略円状の孔である。
【0034】
図3に示すように、一対の補強板12は、機体フレーム10の前端部から機体フレーム10の前後中央部の近傍まで、前後方向に長く伸びた板状部材である。つまり、一対の補強板12の長手方向は、前後方向である。一対の補強板12は、板面が対向するようにして、一対のビーム11の対向する板面に配置される。
一対の補強板12は、その上部が一対のビーム11より上側に突出しないように、一対のビーム11に配置される。
【0035】
一対の補強板12には、側面視において一対のビーム11の各取付孔11aの全てに一致する位置に、四つの取付孔12aが形成される。
一対の補強板12の各取付孔12aは、一対のビーム11の各取付孔11aと略同一の形状に形成され、一対の補強板12の板面を貫通する。
【0036】
このような一対の補強板12は、一対のビーム11の互いに対向する板面、すなわち、左右方向内側面にそれぞれ溶接される。
このとき、一対の補強板12は、例えば、その外縁部の形状に沿って一定の間隔をあけて溶接される等して、溶接箇所が補強板12の全体に分散するように溶接される。
【0037】
これにより、一対のビーム11は、広い範囲に分散して一対の補強板12が溶接されることとなる。従って、作業車両1は、一対の補強板12を溶接することによる一対のビーム11の溶接ひずみを低減することができる。
【0038】
フロントアクスルブラケット13は、長手方向を左右方向とする中空の部材である。フロントアクスルブラケット13は、左右両側面が開口する略箱状部材の左右中央部の下端部に、前後方向を筒軸方向とする筒状部材を取り付けたような形状に形成される。
フロントアクスルブラケット13の下部は、左右方向中央部に向かうにつれて徐々に下方向に伸びるような、左右方向に対して下方向に傾斜する形状に形成される。
【0039】
フロントアクスルブラケット13の左右方向中央部の下端部、すなわち、前記筒状部材に相当する部分は、フロントアクスルブラケット13を前後方向に貫通する支持孔13aとして形成される。
支持孔13aは、フロントアクスルケース30の軸部30aを挿入できる程度に大きな内径を有する(図6参照)。また、支持孔13aの内側には、フロントアクスルケース30の軸部30aを支持する軸受が設けられる。
【0040】
このようなフロントアクスルブラケット13の左右両端部は、一対の補強板12の前後中途部に溶接される。
このとき、フロントアクスルブラケット13の左右両端部は、その外縁部の形状に沿って溶接される。
【0041】
つまり、一対のビーム11には、フロントアクスルブラケット13が直接的に溶接されない。
これにより、一対のビーム11は、フロントアクスルブラケット13を溶接することによる一対の補強板12の溶接ひずみを一対のビーム11の広い範囲で受けとめるので、一対のビーム11の溶接ひずみを低減することができる。
【0042】
このように、本実施形態のフロントアクスルブラケット13は、本発明の補強板に溶接される一方のフロントアクスルブラケットに対応する。
【0043】
図3および図4に示すように、一対の取付部材14は、板面が対向するようにして一対のビーム11の後端部に配置される板状部材である。一対の取付部材14は、ボルトおよびボス等からなる二つのピン14aによってミッションケース40を支持する(図1参照)。
【0044】
一対の取付部材14の前部は、一対のビーム11に溶接される。
このとき、一対の取付部材14の前部は、その外縁部の形状に沿って溶接される。
【0045】
つまり、本実施形態の機体フレーム10は、一対のビーム11、一対の補強板12、フロントアクスルブラケット13、および一対の取付部材14が、溶接によって一体的に取り付けられた一体部品として構成される。
【0046】
次に、フロントヒッチ20の構成について説明する。
【0047】
図5に示すように、フロントヒッチ20は、左右方向を長手方向とする板状部材の左右両端部を、平面視略U字状に折り曲げることで形成される。フロントヒッチ20の左右方向の幅は、一対のビーム11の対向する板面の左右方向の間隔よりもやや短い。つまり、フロントヒッチ20は、一対のビーム11の対向する板面の間を移動可能に構成される。
フロントヒッチ20は、前記折り曲げられた板状部材の左右両端部が折り曲げ部20aとして形成される。
【0048】
折り曲げ部20aの後部には、四つの取付孔20bがそれぞれ形成される。四つの取付孔20bは、フロントアクスルブラケット21の前側と後側にそれぞれ二つずつ形成される。つまり、取付孔20bは、フロントヒッチ20の折り曲げ部20aの八箇所に形成される。
フロントヒッチ20の各取付孔20bは、組付工程時に、側面視において一対のビーム11の各取付孔11aの全てに一致する、すなわち、全ての位置が合うように形成される。また、フロントヒッチ20の各取付孔20bは、一対のビーム11の各取付孔11aと略同一の形状に形成される。
【0049】
このように構成されるフロントヒッチ20は、フロントアクスルブラケット21を備える。
【0050】
フロントアクスルブラケット21は、フロントヒッチ20に取り付けられる点と、左右方向の幅がやや短い点とを除いて、機体フレーム10のフロントアクスルブラケット13と同様に構成される。
【0051】
このようなフロントアクスルブラケット21の左右両端部は、フロントヒッチ20の折り曲げ部20aの対向する板面、すなわち、両端部を折り曲げた板状部材の両端部に溶接される。
このとき、フロントアクスルブラケット21の左右両端部は、その外縁部の形状に沿って溶接される。
このように、本実施形態のフロントアクスルブラケット21は、本発明のフロントヒッチに溶接される他方のフロントアクスルブラケットに対応する。
【0052】
つまり、本実施形態のフロントヒッチ20は、フロントアクスルブラケット21が溶接によって一体的に取り付けられた一体部品として構成される。
これにより、フロントヒッチ20は、閉断面構造が構成されているのでフロントヒッチ20のみからなる場合と比べて大幅に剛性が向上している。
【0053】
次に、機体フレーム10にフロントヒッチ20を取り付ける組付工程の手順について説明する。
【0054】
なお、図6に示すように、フロントヒッチ20の取付に際して、機体フレーム10には、フロントアクスルブラケット13の支持孔13aにフロントアクスルケース30の軸部30aの後端部が挿入されているものとする。
また、機体フレーム10、フロントヒッチ20、およびフロントアクスルケース30は、それぞれ治具等によって上下方向の位置等が合わされているものとする。
【0055】
まず、組付工程では、機体フレーム10にフロントヒッチ20を接近させる(図6に示す矢印参照)。
このとき、組付工程では、フロントヒッチ20の折り曲げ部20aを後側に向けた状態、すなわち、フロントアクスルブラケット21がフロントアクスルケース30に対向した状態で、フロントヒッチ20を機体フレーム10に接近させる。
【0056】
そして、図6および図7に示すように、組付工程では、フロントヒッチ20のフロントアクスルブラケット21の支持孔21aに、フロントアクスルケース30の軸部30aの前端部を挿入する。
【0057】
これにより、二つのフロントアクスルブラケット13・21は、各支持孔13a・21aの内側面に設けられる軸受によって、フロントアクスルケース30の軸部30aの前後両端部を支持する。
【0058】
図7に示すように、組付工程では、フロントヒッチ20のフロントアクスルブラケット21の支持孔21aに前方からボルト21bをねじ込んで、フロントアクスルケース30を二つのフロントアクスルブラケット13・21に固定する。
これにより、作業車両1は、二つのフロントアクスルブラケット13・21によってフロントアクスルケース30を支持する。
【0059】
このとき、組付工程では、フロントヒッチ20の位置を調整して、一対のビーム11および一対の補強板12の各取付孔11a・12aの位置に、フロントヒッチ20の各取付孔20bの位置を一致させる。
【0060】
フロントアクスルケース30を固定した後で、組付工程では、一対のビーム11の左右方向外側から、一対のビーム11、一対の補強板12、およびフロントヒッチ20の各取付孔11a・12a・20bにボルト15をねじ込む。
これにより、組付工程では、機体フレーム10にフロントヒッチ20を着脱可能に取り付ける。
【0061】
これにより、図8に示すように、作業車両1は、二つのフロントアクスルブラケット13・21を対向させて、機体フレーム10にフロントヒッチ20を取り付ける。
【0062】
このように、本実施形態の作業車両1は、機体フレーム10およびフロントヒッチ20を連結するボルト15だけで、一対のビーム11、一対の補強板12、二つのフロントアクスルブラケット13・21、一対の取付部材14、およびフロントヒッチ20を連結できる。
【0063】
つまり、作業車両1は、多くの部品を少ない本数のボルト15で連結できるため、部品点数を削減できる。
【0064】
一対の補強板12は、一対のビーム11に溶接されている。このため、一対のビーム11および一対の補強板12の各取付孔11a・12aは、組付工程前に、ボルト15をねじ込むことができる程度にその位置が合わされている。
従って、作業車両1は、予め位置が合わされた一対のビーム11および一対の補強板12の各取付孔11a・12aに、フロントヒッチ20の各取付孔20bの位置を合わせるだけで、機体フレーム10およびフロントヒッチ20を連結できる。
【0065】
つまり、作業車両1は、各取付孔11a・12a・20bの位置を揃える作業を簡略化できる。また、作業車両1は、部品点数を削減できることにより、ボルト等で部品を連結する作業を減らすことができる。
従って、作業車両1は、組付工程を簡略化できる。
【0066】
作業車両1は、一対のビーム11、一対の補強板12、フロントアクスルブラケット13、および一対の取付部材14を溶接によって一体部品として構成することで、一対のビーム、一対の補強板、フロントアクスルブラケット、および一対の取付部材を別々の部品としてボルト等で連結した場合と比較して、機体フレーム10の強度を向上できる。
【0067】
つまり、作業車両1は、一体部品である機体フレーム10と一体部品であるフロントヒッチ20とを、フロントアクスルブラケット21の前後においてボルト15で連結する構成とすることで、ボルトの締結力のばらつきに起因する機体フレーム10の剛性低下、およびフロントアクスルブラケット13とフロントアクスルブラケット21との剛性バランスの不均一を抑制できる。
従って、作業車両1は、機体フレーム10の剛性を確保できる。
【0068】
機体フレーム10のフロントアクスルブラケット13は、一対の補強板12に溶接されることで、組付工程前に長手方向が左右方向に対してある程度平行な状態で、一対の補強板12に取り付けられることとなる。
これは、フロントヒッチ20のフロントアクスルブラケット21においても同様である。
【0069】
このため、作業車両1は、ボルト等によって二つのフロントアクスルブラケットを機体フレームとフロントヒッチとにそれぞれ取り付けた場合と比較して、二つのフロントアクスルブラケット13・21の位置精度、すなわち、左右方向に対する平行度合いを向上できる。
【0070】
ここで、例えば、一対の補強板と二つのフロントアクスルブラケットとをフロントヒッチに溶接してフロントヒッチを一体部品として構成した場合には、一対のビームの前後両端部にフロントヒッチをボルトによって固定することとなる。
この場合には、フロントヒッチの前後方向の幅が一対の補強板を溶接した分だけ長くなってしまう。
従って、この場合には、作業車両を出荷した後でフロントヒッチを交換するときに、フロントヒッチを引き抜くことと、フロントヒッチを一対のビームの内側に移動させることとが困難となってしまう。
【0071】
一方、本実施形態のフロントヒッチ20は、フロントアクスルブラケット21を溶接しているだけである。このため、フロントヒッチ20は、溶接後に前後方向の幅が長くならない。
従って、本実施形態の作業車両1は、出荷された後でもフロントヒッチ20を容易に交換できる構成となる。また、作業車両1は、フロントヒッチ20を、ローダ等を取り付けるための専用の部品に容易に交換できるため、様々な用途に対応できる。
【0072】
つまり、作業車両1は、メンテナンス性を向上できるとともに汎用性を向上できる。
【0073】
本実施形態の作業車両1は、一対の補強板12の前端部を一対のビーム11の前端部まで伸ばすことで、一対の補強板12の板面の面積をより大きなものとしている。
【0074】
これによれば、作業車両1は、一対のビーム11と一対の補強板12との溶接箇所を前後方向に広く分散させることができる。
従って、作業車両1は、一対のビーム11の溶接ひずみが発生する箇所を分散させることができる。
【0075】
つまり、作業車両1は、機体フレーム10の形状精度の低下を抑制できる。
【0076】
また、一対の補強板12の前端部を一対のビーム11の前端部まで伸ばすことで、フロントヒッチ20は、伸ばされた一対の補強板12の前端部を介して機体フレーム10に取り付けられることとなる。
つまり、機体フレーム10は、一対のビーム11の前端部に一対の補強板12およびフロントヒッチ20が連結されることとなる。
【0077】
従って、作業車両1は、機体フレーム10の前端部の剛性を確保できる。つまり、作業車両1は、機体フレーム10の剛性をより確実に確保できる。
【0078】
なお、フロントヒッチを機体フレームに着脱可能に取り付けるための部品は、本実施形態のようなボルトに限定されるものでなく、例えば、ピン等であっても構わない。
【符号の説明】
【0079】
1 作業車両
10 機体フレーム
11 ビーム
12 補強板
13 フロントアクスルブラケット
20 フロントヒッチ
20a 折り曲げ部
21 フロントアクスルブラケット
30 フロントアクスルケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8