特許第6021783号(P6021783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021783
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】油圧ポンプの斜板操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20161027BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20161027BHJP
   F16H 61/42 20100101ALI20161027BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
   B60K20/00 D
   F16H61/42
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-219529(P2013-219529)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81009(P2015-81009A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】住吉 良平
(72)【発明者】
【氏名】今井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】小倉 健一
(72)【発明者】
【氏名】東山 幸平
(72)【発明者】
【氏名】森 駿一朗
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−336634(JP,A)
【文献】 特開2002−87084(JP,A)
【文献】 実公昭48−25682(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
B60K 20/00
F16H 61/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜板形可変容量油圧ポンプの斜板を操作する斜板操作軸に連結され且つ斜板を操作すべく前記斜板操作軸を軸芯回りに操作する軸操作部材と、この軸操作部材に設けられていて前記斜板操作軸の両側に振り分け配置された一対のカムと、このカムが接当する接当部材と、この接当部材が取付固定された取付ベースと、前記接当部材をカムに押し付けるように前記取付ベースを付勢するニュートラルバネとを備え、前記斜板操作軸の中立位置で前記一対のカムの両方が接当部材に接当すると共に、前記軸操作部材を斜板操作軸の軸芯回りに回転操作した際にカムが接当部材を押圧することでニュートラルバネの付勢力に抗して前記取付ベースが移動するように構成された油圧ポンプの斜板操作装置であって、
前記取付ベースに、接当部材を斜板操作軸の軸芯回りに揺動可能に支持すると共に、接当部材を取付ベースに対して斜板操作軸の軸芯回りの任意の揺動位置で固定可能としたことを特徴とする油圧ポンプの斜板操作装置。
【請求項2】
前記油圧ポンプを斜板操作軸の軸芯に直交する方向に一対並設し、この並設された一対の油圧ポンプのそれぞれに、前記軸操作部材,一対のカム,接当部材及び取付ベースを設け、一方の油圧ポンプ側の取付ベースと他方の油圧ポンプ側の取付ベースとを油圧ポンプの前記並設方向に相対位置調整自在に連結したことを特徴とする請求項1に記載の油圧ポンプの斜板操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スキッドステアローダ(SSL)、コンパクトトラックローダ(CTL)といった車両系作業機械(車両系建設機械)等の走行車両に設けられる油圧ポンプの斜板操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、斜板形可変容量油圧ポンプからなるHSTポンプの斜板の傾転角を走行レバーの操作によって変更することにより出力軸の回転数及び回転方向を変更可能な静油圧式無段変速機(HST)を備えた走行車両が公知となっている。
このHSTを備えた走行車両において、HSTポンプの斜板を操作する斜板操作装置を走行レバーにリンク機構等の機械式連動機構を介して連動連結したものにあっては、HSTポンプの斜板を操作する斜板操作軸を中立位置に保持するための中立保持機能が斜板操作装置に備えられているが、HSTポンプによって中立位置にバラツキがあり、中立位置がずれていると走行レバーを操作しなくても走行車両が動いてしまうことから、このHSTポンプによる中立位置のバラツキを補正するために、斜板操作装置にニュートラル調整機能が必要である。
【0003】
このニュートラル調整機能を有する斜板操作装置として特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に記載のものにあっては、斜板操作装置にニュートラル調整機能をもたせるために、構造が複雑化している。
そこで、構造を簡素化した、ニュートラル調整機能を有する斜板操作装置として、図8に示す構造のものがある。この図8において、50は走行レバー、51は斜板操作軸、52は斜板操作装置、53は機械式連動機構である。また、この図8において、矢視X方向は前後方向を示しており、矢視X1方向は前方を示し、矢視X2方向は後方を示している。また、図8において、走行レバー50及びその周辺は側面視で示しており、斜板操作軸51、斜板操作装置52は平面視で示している。
【0004】
走行レバー50は、走行車両の車体に設けられたレバー支軸54に左右方向の軸芯回りに前後方向Xに揺動操作自在に支持されている。
斜板操作軸51は、上下方向の軸芯Y回りに回転自在とされ、軸芯Y回りに左右に回転することにより、HSTポンプの斜板の傾転角が変更される。
斜板操作装置52は、斜板操作軸51に連結された軸操作部材55と、この軸操作部材55に設けられた左右一対のカム56L,56Rと、前記一対のカム56L,56Rが接当する接当部材57と、この接当部材57が取付固定された取付ベース58と、前記接当部材57をカム56L,56Rに押し付けるように前記取付ベース58を付勢するニュートラルバネ59とを備えている。
【0005】
接当部材57は、左右一対のボルト60によって取付ベース58に取付固定され、取付ベース58に形成されたボルト挿通孔61は前後方向Xに長い長孔に形成されると共にボルト60の径よりも左右方向に幅広に形成されている。
取付ベース58は前後方向Xに移動自在に支持されている。
機械式連動機構53は、走行レバー50と一体揺動するレバーアーム63と、前端側がレバーアーム63の上部に枢支連結されると共に後端側が前記軸操作部材55の左右一側部(図8では右側部)に枢支連結された連動リンク64とを有する。
【0006】
図8は中立状態を示しており、この中立位置において、ニュートラルバネ59の付勢力によって接当部材57がカム56L,56Rに押し付けられて一対のカム56L,56Rの両方が接当部材57に接当することで、斜板操作軸55が中立位置に保持されている。
この中立状態から、前進させるべく、走行レバー50を中立位置から前方X1に揺動させると、連動リンク64が軸操作部材55の右側部を前方X1に引動して、斜板操作軸51が軸芯回りに一方に回転すると共に右側のカム56Rが接当部材57を押動してニュートラルバネ59の付勢力に抗して取付ベース58が前方X1移動する。
【0007】
また、後進させるべく、走行レバー50を中立位置から後方X2に揺動させると、連動
リンク64が軸操作部材55の右側部を後方X2に押動して、斜板操作軸51が軸芯回りに他方に回転すると共に左側のカム56Lが接当部材57を押動してニュートラルバネ59の付勢力に抗して取付ベース58が前方X1移動する。
走行レバー50を前方X1に揺動操作した位置又は後方X2に揺動操作した位置から中立位置に戻すと、ニュートラルバネ59の付勢力によって取付ベース58が後方X2移動し、図8に示すように、左右のカム56L,56Rの両方が接当部材57に接当した状態で、斜板操作軸51(斜板)が中立位置に保持される。
【0008】
また、HSTポンプに斜板操作装置52を組み付ける際において、走行レバー50の非操作状態で斜板操作軸51が中立位置に保持されるように中立調整するには、先ず、接当部材57を取付ベース58に固定しているボルト60を緩める。次に、この状態で走行レバー50を操作してHSTポンプを中立(圧油が吐出しない状態)にする。そして、このHSTポンプを中立に維持させた状態で、接当部材57を左右のカム56L,56Rの両方に接当するように当て付けると共にボルト60を締め付けて、接当部材57を取付ベース58に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US7051641B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記図8に示す従来構造の斜板操作装置52にあっては、接当部材57を取付ベース58に固定しているボルト60を挿通するボルト挿通孔61は前後方向Xに長い長孔に形成されると共にボルト60の径よりも左右方向に幅広に形成されているので、ボルト60を緩めると接当部材57は前後左右及び斜め方向に自由に動き得る。このため、中立調整する際において、接当部材57を左右のカム56L,56Rの両方に接当するように当て付けた状態を維持したまま、左右のボルト60を締め付けて接当部材57を取付ベース58に固定するのは難しく、ボルト60を締め付けている間に、接当部材57がカム56L,56Rから離れて接当部材57とカム56L,56Rとの間に隙間が生じたりする。このため、従来では、取付ベース58に対して接当部材57が動き得る状態に左右のボルト60を締め付けて接当部材57を取付ベース58に仮止めし、この状態でハンマー等で接当部材57を叩いて動かして、接当部材57を左右両方のカム56L,56Rに接当させ、その後、ボルト60を本締めしている。
【0011】
したがって、従来構造の斜板操作装置52にあっては、中立調整の自由度が高すぎるため、中立調整に時間を要し、組立効率が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、油圧ポンプの中立調整を短時間で簡単に行うことのできる油圧ポンプの斜板操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、斜板形可変容量油圧ポンプの斜板を操作する斜板操作軸に連結され且つ斜板を操作すべく前記斜板操作軸を軸芯回りに操作する軸操作部材と、この軸操作部材に設けられていて前記斜板操作軸の両側に振り分け配置された一対のカムと、このカムが接当する接当部材と、この接当部材が取付固定された取付ベースと、前記接当部材をカムに押し付けるように前記取付ベースを付勢するニュートラルバネとを備え、前記斜板操作軸の中立位置で前記一対のカムの両方が接当部材に接当すると共に、前記軸操作部材を斜板操作軸の軸芯回りに回転操作した際にカムが接当部材を押圧することでニュートラルバネの付勢力に抗して前記取付ベースが移動するように構成された油圧ポンプの斜板操作装置であって、
前記取付ベースに、接当部材を斜板操作軸の軸芯回りに揺動可能に支持すると共に、接当部材を取付ベースに対して斜板操作軸の軸芯回りの任意の揺動位置で固定可能としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明では、前記油圧ポンプを斜板操作軸の軸芯に直交する方向に一対並設し、この並設された一対の油圧ポンプのそれぞれに、前記軸操作部材,一対のカム,接当部材及び取付ベースを設け、一方の油圧ポンプ側の取付ベースと他方の油圧ポンプ側の取付ベースとを油圧ポンプの前記並設方向に相対位置調整自在に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、中立調整するには、先ず、取付ベースに対する接当部材の固定を解除して接当部材を取付ベースに斜板操作軸の軸芯回りに揺動可能な状態とする。次に、軸操作部材を操作して斜板操作軸を回転させて油圧ポンプを中立にする。このとき、ニュートラルバネの付勢力によって接当部材はカムに押し付けられているので、両方のカムに接当部材が接当した状態で軸操作部材の動作に接当部材が追従する。
【0015】
したがって、中立調整時に接当部材をカムに押し付ける必要はなく、軸操作部材を操作して油圧ポンプを中立にした後、接当部材を取付ベースに対して固定するだけで中立調整が行え、中立調整が短時間で簡単に行える。
請求項2に係る発明によれば、一対の油圧ポンプの並設方向における斜板操作軸の軸間距離にバラツキがあっても、取付ベースの相対位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】スキッドステアローダの側面図である。
図2】HSTポンプの斜板操作系の側面図である。
図3】HSTポンプの斜板操作装置の平面図である。
図4】HSTポンプの斜板操作装置の側面図である。
図5】(a)は軸操作部材の側面図、(b)は軸操作部材の平面図である。
図6】(a)は接当部材及び取付ベースの側面図、(b)は接当部材及び取付ベースの平面図である。
図7】変形例に係る接当部材及び取付ベースの平面図である。
図8】従来のHSTポンプの斜板操作系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、車両系建設機械として例示するスキッドステアローダ1である。
このスキッドステアローダ1は、機体フレーム2と、この機体フレーム2に搭載されたキャビン3と、機体フレーム2に装備された作業装置4と、機体フレーム2の左右両側に設けられた走行装置5とを有する。
【0018】
機体フレーム2内の後部にはエンジンEが搭載され、このエンジンEの前面側に設けられたポンプハウジング65には走行駆動用のHSTポンプ7F,7Rが前後方向Xに並設されて一対設けられている。前側のHSTポンプ7Fの前方X1には、第1〜3ポンプP1,P2,P3が前後方向Xに設けられている。これらHSTポンプ7F,7R及び第1〜3ポンプP1,P2,P3はエンジンEによって駆動される。
【0019】
前後のHSTポンプ7F,7Rは左右の走行装置5を駆動する静油圧式無段変速機(HST)の一部を構成し、斜板形可変容量油圧ポンプで構成されている。
前記HSTは左右の各走行装置5に対してそれぞれ設けられ、HSTポンプ7F,7Rの斜板の傾転角を変更することによりHSTのモータの出力軸の回転数及び回転方向を変更可能としている。前側のHSTポンプ7Fは左側の走行装置5を駆動し、後側のHSTポンプ7Rは右側の走行装置5を駆動する。
【0020】
第1〜3ポンプP1,P2,P3は、定容量型のギヤポンプによって構成され、第1ポンプP1は、作業装置4に装備された油圧アクチュエータや作業装置4に取り付けられる油圧アタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するためのものである。第2ポンプP2は、作動油を増量するのに使用され、第3ポンプP3は、主として制御信号圧力の供給用に使用される。
【0021】
キャビン3内の後部には運転席8が設けられていると共に、該運転席8の前方には走行
装置5を操作する左右一対の走行レバー9L,9Rが設けられている。左側の走行レバー9Lは左側の走行装置5(前側のHSTポンプ7F)を操作するものであり、右側の走行レバー9Rは右側の走行装置5(後側のHSTポンプ7R)を操作するものである。
作業装置4は、機体フレーム2の左右両側に配置された左右のブーム10と、この左右ブーム10の先端側(前端側)に上下揺動自在に設けられたバケット11と、ブーム10の基部側(後部側)を支持するリフトリンク12及び制御リンク13と、ブーム10を昇降駆動するブームシリンダC1と、バケット11を揺動駆動するバケットシリンダC2とを有する。
【0022】
バケット11は、左右ブーム10の先端側(前端側)に着脱自在に装着されており、バケット11の代わりに油圧アタッチメントが装着可能とされている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダC1は左右のブーム10に対応して機体フレーム2の左右両側に設けられている。リフトリンク12の上端側はブーム10の基部側後部に枢支連結され、リフトリンク12の下端側は機体フレーム2の後端側上部に枢支連結されている。制御リンク13はリフトリンク12の前方に配置され、その後端側がブーム10の基部側下端部に枢支連結され、その前端側が機体フレーム2に枢支連結されている。
【0023】
ブームシリンダC1は、その上部がブーム10の基部側前部に枢支連結され、その下部が機体フレーム2の後端側下部に枢支連結されている。このブームシリンダC1を伸縮することによりリフトリンク12及び制御リンク13によってブーム10の基部側が支持されながら該ブーム10の先端側が昇降するように該ブーム10が揺動駆動する。
バケットシリンダC2は左右各ブーム10に設けられ、伸縮することでバケット11を揺動駆動する。
【0024】
前記左右の各走行装置5は、本実施形態では前輪5F及び後輪5Rを有する車輪型の走行装置5が採用されている。なお、走行装置5としてクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置5を採用してもよい。
図2に示すように、前記左右の走行レバー9L,9Rは、HSTポンプ7F,7Rの前方側において、機体フレーム2に設けられた左右方向のレバー支軸14に左右軸回りに前後揺動自在に支持されている。すなわち、左右各走行レバー9L,9Rの下端には左右方向の軸心を有する筒体から成るボス15が設けられ、このボス15を前記レバー支軸14に外嵌することで走行レバー9L,9Rが前後揺動操作自在とされている。
【0025】
左右走行レバー9L,9Rの下部にはダンパー16の前端側16aが枢支連結され、該ダンパー16の後端側16bは機体フレーム2側に設けられたステー17に枢支連結されている。このダンパー16は、走行レバー9L,9Rを支持すると共に、走行レバー9L,9Rを比較的遅い速度で揺動操作した際には比較的抵抗なく走行レバー9L,9Rの前後揺動動作に追従して伸縮し、走行レバー9L,9Rを過度の速度で揺動操作した際には抵抗となる。
【0026】
前後のHSTポンプ7F,7Rの上方側には、該HSTポンプ7F,7Rの斜板を操作する斜板操作装置18が設けられている。この斜板操作装置18と左右各走行レバー9L,9Rとは機械式連動機構19によって連動連結されている。
機械式連動機構19は、左右の走行レバー9L,9Rに対応して左右一対設けられ、各走行レバー9L,9Rのボス15に立設されていて走行レバー9L,9Rと一体揺動するレバーアーム20と、前端側がレバーアーム20の上部に枢支連結された連動リンク21とを有する。連動リンク21の後端には継ぎ手部材22が設けられている。
【0027】
図3及び図4に示すように、前後各HSTポンプ7F,7Rには、斜板を操作する斜板操作軸23(トラニオン軸)が上方突出状に設けられ、該斜板操作軸23は上下方向の軸芯Y回りに回転自在とされ、該斜板操作軸23を軸芯回りに左右に回転操作することにより、HSTポンプ7F,7Rの斜板の傾転角が変更可能とされている。
斜板操作装置18は、斜板操作軸23を中立位置に保持する中立保持機能と、HSTポンプ7F,7Rの中立位置のバラツキを補正するニュートラル調整機能とを備えている。
【0028】
この斜板操作装置18は、図3及び図4に示すように、斜板操作軸23に連結された軸
操作部材24と、この軸操作部材24に設けられた左右一対のカム25L,25Rと、このカム25L,25Rが接当する接当部材26と、この接当部材26が取付固定された取付ベース27と、前記接当部材26をカム25L,25Rに押し付けるように前記取付ベース27を付勢するニュートラルバネ28とを備えている。
【0029】
前記軸操作部材24、該軸操作部材24に取り付けられた一対のカム25L,25R、接当部材26及び取付ベース27は前後のHSTポンプ7F,7Rに対してそれぞれ設けられている。また、前後の取付ベース27F,27Rは相互に連結されており、ニュートラルバネ28は前後の取付ベース27F,27Rに対して共通のものとされている。
図5に示すように、軸操作部材24は、左右方向に長い矩形ブロック状を呈している。この軸操作部材24の前後方向Xの中央部で且つ左右方向中途部に斜板操作軸23に軸芯Y回りに相対回転不能に外嵌する軸嵌合孔29が形成されており、該軸操作部材24は斜板操作軸23と一体回転可能とされている。
【0030】
この軸操作部材24の左右一側は、軸嵌合孔29から左右方向外方に延びる溝30によって一対の挟持部31a,31bに分離され、この一対の挟持部31a,31bの基部を貫通する固定ボルト32及び該固定ボルト32に螺合されるナット33を締め付けることにより、軸操作部材24が斜板操作軸23に抜止め固定されている。
この軸操作部材24の左右他側は、機械式連動機構19の連動リンク21の後端の継ぎ手部材22が枢支連結されるリンク連結部34とされている。
【0031】
図3に示すように、前側の軸操作部材24は左側部が前記リンク連結部34とされていて、左側の機械式連動機構19の連動リンク21の後端の継ぎ手部材22が枢支連結されている。また、後側の軸操作部材24は右側部が前記リンク連結部34とされていて、右側の機械式連動機構19の連動リンク21の後端の継ぎ手部材22が枢支連結されている。したがって、左側の走行レバー9Lで前側のHSTポンプ7Fの斜板が操作され、右側の走行レバー9Rで後側のHSTポンプ7Rの斜板が操作される(左右の走行装置5をそれぞれ独立して操作可能である)。
【0032】
前記一対のカム25L,25Rは、図5に示すように、上下方向の軸芯を有するベアリングによって構成され、軸操作部材24に固定されたカム支軸35を介して支持されている。この一対のカム25L,25Rは、軸操作部材24の上方において斜板操作軸23の左右両側に振り分け配置されている。また、一対のカム25L,25Rは、軸操作部材24の後部側に設けられている。
【0033】
図3図4及び図6に示すように、接当部材26は取付ベース27の下面側で且つ一対のカム25L,25Rの前方側に配置されている。この接当部材26は、左右方向に長い矩形ブロック状を呈しており、その後部側の左右方向中央部に枢支部36が設けられ、この枢支部36が取付ベース27に枢支ピン37を介して斜板操作軸23の軸芯Yと同芯状に回転可能に支持されている。
【0034】
この接当部材26は、枢支部36の左右両側において、取付ベース27に取付ボルト38で固定されている。本実施形態では、接当部材26を取付固定する左右の取付ボルト38は上方から取付ベース27に形成したボルト挿通孔39を挿通して接当部材26に形成したネジ孔40に螺合されている。前記取付ベース27に形成された左右のボルト挿通孔39は、前記枢支ピン37の軸芯Y(斜板操作軸23の軸芯Y)を中心とする円弧状に形成されている。したがって、取付ボルト38を緩めることにより接当部材26は取付ベース27に対して枢支ピン37の軸芯Y回りに左右揺動自在となる。
【0035】
また、この接当部材26には、その後面の左右両側にカム25L,25Rが接当し、斜板操作軸23の中立位置で前記一対のカム25L,25Rの両方が接当するよう構成されている。
図3図4及び図6に示すように、前記取付ベース27は金属板材によって形成されている。
【0036】
前側の取付ベース27Fは、板面が上下方向を向く主壁27aと、この主壁27aの前端から下方に向けて延設された前壁27bとを有する。前側の取付ベース27Fにあっては、主壁27aの前部に前記接当部材26が設けられている。
この前側の取付ベース27Fの前壁27bには、左右一対のガイドピン41が前方突出状に設けられている。左右のガイドピン41は、支持フレーム42に設けられたガイド部43に前後方向移動自在に支持されている。
【0037】
支持フレーム42は、図2に示すように、前後のHSTポンプ7F,7Rの下方側に配置されたベースフレーム42Aと、このベースフレーム42Aの前端から上方に延出された縦フレーム42Bとを有する。ベースフレーム42AはエンジンE及び前側のHSTポンプ7Fに取付固定され、縦フレーム42Bの上面にガイド部43が左右一対設けられている。
【0038】
後側の取付ベース27Rは、板面が上下方向を向く主壁27aと、この主壁27aの後端から上方に向けて延設された後壁27cとを有する。後側の取付ベース27Rにあっては、主壁27aの後部に前記接当部材26が設けられている。
この後側の取付ベース27Rの後壁27cの左右方向中央部には、前後方向の軸芯を有する筒状のガイド部材44が設けられている。このガイド部材44の前端側には径方向外方に向けて張り出すバネ受け部44aが設けられている。
【0039】
また、このガイド部材44には前方からガイド軸45が挿通され、このガイド軸45の後部にはネジ部45aが形成され、このネジ部45aは前記ポンプハウジング65に設けられた支持部46に螺合されている。このガイド軸45には、該ガイド軸45の頭部45b側に配置されたバネ受け部材47と前記ガイド部材44のバネ受け部44aとの間に介装された圧縮コイルバネからなるニュートラルバネ28が圧縮状に套嵌されている。
【0040】
また、前側の取付ベース27Fの後部と後側の取付ベース27Rの前部とは上下に重ね合わされ、これら前後の取付ベース27F,27Rの重合部分を下方から貫通する左右一対の連結ボルト48A及び該連結ボルトに螺合されるナット48Bによって、前後の取付ベース27F,27Rが相互に連結されている。
したがって、前後の取付ベース27F,27Rは、前記ガイド部43とガイド軸45によって前後方向一体移動自在に支持されていると共に、ニュートラルバネ28によって後方に向けて(接当部材26をカム25L,25Rに押し付けるように)付勢されている。
【0041】
また、前後の取付ベース27F,27Rを連結する連結ボルト48Aを挿通するボルト挿通孔のうち、前側の取付ベース27Fに形成されたボルト挿通孔49は前後方向に長い長孔に形成されており、前側の取付ベース27Fと後側の取付ベース27Rとが前後方向(HSTポンプ7F,7Rの並設方向)に相対位置調整自在に連結されている。
これによって、一対のHSTポンプ7F,7Rの前後方向における斜板操作軸23の軸間距離にバラツキがあっても、前後の取付ベース27F,27Rの前後方向の相対位置を調整することができ、接当部材26を枢支する枢支ピン37と斜板操作軸23との相対位置合わせ(接当部材26とカム25L,25Rとの相対位置合わせ)をすることができる。
【0042】
前記構成の斜板操作装置18にあっては、図3及び図4に示す状態が中立状態であり、この中立位置において、ニュートラルバネ28の付勢力によって接当部材26がカム25L,25Rに押し付けられて一対のカム25L,25Rの両方が接当部材26に接当することで、斜板操作軸23(HSTポンプ7F,7Rの斜板)が中立位置に保持されている。
【0043】
この中立状態からスキッドステアローダ1を前進させるべく、走行レバー9L,9Rを中立位置から前方に揺動させると、連動リンク21が軸操作部材24の側部を前方に引動し、斜板操作軸23が軸芯回りに一方に回転すると共に連動リンク21の後端の継ぎ手部材22に近い側のカム25L,25Rが接当部材26を押動してニュートラルバネ28の付勢力に抗して前後の取付ベース27F,27Rが一体的に前方に移動する。
【0044】
また、中立状態から後進させるべく、走行レバー9L,9Rを中立位置から後側に揺動させると、連動リンク21が軸操作部材24の側部を後方に押動して、斜板操作軸23が軸芯回りに他方に回転すると共に連動リンク21の後端の継ぎ手部材22から遠い側のカム25L,25Rが接当部材26を押動してニュートラルバネ28の付勢力に抗して前後の取付ベース27F,27Rが一体的に前方に移動する。
【0045】
また、走行レバー9L,9Rを前方に揺動操作した位置又は後方に揺動操作した位置から中立位置に戻すと、ニュートラルバネ28の付勢力によって前後の取付ベース27F,27Rが一体的に後方に移動し、図3に示すように、左右のカム25L,25Rの両方が接当部材26に接当する中立状態に(斜板操作軸23が中立位置に)戻る。
また、左右の走行レバー9L,9Rはそれぞれ独立して操作可能であり、左右一方の走行レバー9L,9Rの操作量を他方の走行レバー9L,9Rの操作量より大とすること、或いは、左右の走行レバー9L,9Rを逆方向に操作することにより、スキッドステアローダ1が旋回する。
【0046】
また、HSTポンプ7F,7Rに斜板操作装置18を組み付ける際において、走行レバー9L,9Rの非操作状態で斜板操作軸23が中立位置に保持されるように中立調整するには、先ず、接当部材26を取付ベース27F,27Rに固定している取付ボルト38を緩めた状態で、中立調整するHSTポンプ7F,7Rを操作する走行レバー9L,9Rを操作して該HSTポンプ7F,7Rを中立(圧油が吐出しない状態)にする。このとき、ニュートラルバネ28の付勢力によって接当部材26はカム25L,25Rに押し付けられているので、両方のカム25L,25Rに接当部材26が接当した状態で、軸操作部材24の揺動動作に接当部材26が追従する。その後、HSTポンプ7F,7Rを中立にした状態で取付ボルト38を締め付けて接当部材26を取付ベース27F,27Rに対して固定する。
【0047】
したがって、水平方向の調整はニュートラルバネ28のバネ力が直接カム25L,25Rに伝わるため不要となり(中立調整時に接当部材26をカム25L,25Rに押し付ける必要はなく)、中立調整は斜板の傾転角のみの調整となる。
以上のように、走行レバー9L,9R及び軸操作部材24によって斜板操作軸51を操作してHSTポンプ7F,7Rを中立にした後、取付ボルト38を締め付けて接当部材26を取付ベース27F,27Rに対して固定するだけで中立調整が行え、中立調整を確実に短時間で簡単に行うことができる。
【0048】
図7は他の実施形態を示している。この他の実施形態は、接当部材26が枢支ピン37の前方において取付ベース27F,27Rに対して1本の取付ボルト38によって固定されている点が異なる点であり、その他の構成については、前記実施形態と同様に構成される。
なお、前記実施形態は、本発明をスキッドステアローダ1に採用した場合を例示したが、本発明をコンパクトトラックローダ、トラクタ、コンバイン等の車両系作業機械(走行車両)に採用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
7F 油圧ポンプ(HSTポンプ)
7R 油圧ポンプ(HSTポンプ)
23 斜板操作軸
24 軸操作部材
25L カム
25R カム
26 接当部材
27 取付ベース
28 ニュートラルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8