特許第6021806号(P6021806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021806
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】CGRP抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/26 20060101AFI20161027BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20161027BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20161027BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20161027BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20161027BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161027BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20161027BHJP
【FI】
   C07K16/26ZNA
   C12N15/00 A
   A61K39/395 N
   A61P25/04
   A61P25/06
   A61P29/00
   !C12P21/08
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-514281(P2013-514281)
(86)(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公表番号】特表2013-532143(P2013-532143A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】US2011039381
(87)【国際公開番号】WO2011156324
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】61/353,323
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】バレット・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヤン・ベンスホップ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェフリー・チェンバーズ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ジェイムズ・ダーリン
【審査官】 竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−515942(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/109911(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/109908(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/076336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 16/00−19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該LCVRは、LCDR1、LCDR2、LCDR3アミノ酸を含み、HCVRは、HCDR1、HCDR2、HCDR3アミノ酸配列を含み、LCDR1はRASKDISKYLN(配列番号6)であり、LCDR2はYTSGYHS(配列番号7)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGKTVYIQKFAD(配列番号16)であり、HCDR3はLSDYVSGFGY(配列番号39)であ、ヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項2】
該LCVRアミノ酸配列が配列番号19であり、該HCVRアミノ酸配列が配列番号24である、請求項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項3】
該抗体が軽鎖および重鎖を含み、該軽鎖アミノ酸配列が配列番号29であり、該重鎖アミノ酸配列が配列番号34である、請求項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項4】
該抗体が2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々の軽鎖アミノ酸配列が配列番号29であり、各々の重鎖アミノ酸配列が配列番号34である、請求項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項6】
骨関節炎疼痛を治療するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
治療に使用するための請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項8】
骨関節炎疼痛の治療に使用するための請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項9】
骨関節炎疼痛の治療のための医薬の製造における請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体の使用。
【請求項10】
片頭痛を治療するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
片頭痛の治療に使用するための請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体。
【請求項12】
片頭痛の治療のための医薬の製造における使用のための請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体の使用。
【請求項13】
請求項1〜のいずれか一項に記載のヒト遺伝子操作CGRP抗体の抗原結合断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野、特にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に対する抗体の分野である。より具体的には、本発明は、CGRP抗体および骨関節炎疼痛または片頭痛の治療のためのCGRP抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、中枢および末梢神経系の神経によって分泌される37アミノ酸神経ペプチドである。CGRPは、感覚神経において、末梢および中枢神経系の両方において広範に分布しており、多数の異なる生物活性を示す。CGRPは役割を果たすと報告されている。三叉神経および他の神経線維から放出される場合、CGRPは、特異的細胞表面受容体に結合することによって、その生物学的反応を媒介すると考えられている。
【0003】
CGRPは感覚神経の刺激により放出され、有効な血管拡張作用を有するので、CGRPは片頭痛において役割を果たすと報告されている。CGRPの放出により、血管透過性が増加し、およびその後、三叉神経線維を刺激するとそれらの線維により神経支配される組織における血漿タンパク質漏出(血漿タンパク質溢出)が増加する。加えて、片頭痛を患っている患者におけるCGRPの注入は、片頭痛様症状を生じるという研究が報告されている。
【0004】
CGRPはまた、骨関節炎(OA)において役割を果たすと報告されている。OAは、世界中の多くの人々に影響を及ぼしている慢性的な病態である。関節炎における疼痛は、痛覚過敏(正常な非有害刺激に対する過敏)および自発性疼痛(安静時疼痛)により特徴付けられる。関節の炎症により、末梢性および中枢性感作が引き起こされる。末梢性感作において、正常な高閾値CGRP含有侵害受容器が、正常な関節運動に関連する軽い圧力に対して反応し始める。CGRPは炎症過程の局所的促進因子(facilitator)として作用する。この継続した過程は最終的に脊髄において中枢性感作を導き、それにより、神経細胞が炎症および非炎症組織の刺激に反応する。ラットにおけるOA疼痛の前臨床モデルにおいて、CGRP陽性神経線維の数の増加が観測され、疼痛の量と正に相関した。
【0005】
OA疼痛についての現在の標準的なケアは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および選択的Cox−2阻害剤からなる。時間と共に、多くの患者は、これらの治療に反応しなくなるか、または効果的な疼痛緩和に必要とされる高用量を許容できなくなる。追跡治療は、関節内注射(ヒアルロナン)または鎮静剤からなる。最終的な治療は外科的な関節全置換術である。これらの治療の多くは、胃腸(NSAID)から心臓血管(Cox−2阻害剤)の範囲までマイナスの副作用を有し、扱いにくくおよび/または非常に有効ではなく(関節内注射)、乱用(鎮静剤)についての危険性を有するか、または1つの関節のみに制限される(関節内注射、外科的)。
【0006】
片頭痛を治療するためおよび炎症性疼痛を治療するためのCGRP抗体は開示されているが(片頭痛−特許文献1および特許文献2;OA−特許文献3の抗体G1を参照のこと)、代替物についての必要性が依然として存在している。好ましくは、代替治療は安全かつ効果的である。より好ましくは、OAについての代替治療は、依存および/または乱用の危険性を有さずに患者に許容される多関節にわたる長期間の疼痛緩和を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/076336号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/054809号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2009/109908A1号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該LCVRは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3アミノ酸配列を含み、HCVRは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3アミノ酸配列を含み、それらは以下:
a)LCDR1はRASQDIDNYLN(配列番号3)であり、LCDR2はYTSEYHS(配列番号4)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGDTRYIQKFAG(配列番号13)であり、HCDR3はLSDYVSGFSY(配列番号14)であり;
b)LCDR1はRASQDIDNYLN(配列番号3)であり、LCDR2はYTSEYHS(配列番号4)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGKTVYIQKFAG(配列番号15)であり、HCDR3はLSDYVSGFSY(配列番号14)であり;
c)LCDR1はRASKDISKYLN(配列番号6)であり、LCDR2はYTSGYHS(配列番号7)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGKTVYIQKFAD(配列番号16)であり、HCDR3はLSDYVSGFGY(配列番号39)であり;
d)LCDR1はRASRPIDKYLN(配列番号8)であり、LCDR2はYTSEYHS(配列番号4)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGKTVYIQKFAG(配列番号15)であり、HCDR3はLSDYVSGFGY(配列番号39)であり;および
e)LCDR1はRASQDIDKYLN(配列番号9)であり、LCDR2はYTSGYHS(配列番号7)であり、LCDR3はQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1はGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2はAIYEGTGKTVYIQKFAG(配列番号15)であり、HCDR3はLSDYVSGFGY(配列番号39)である、
からなる群から選択され、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体はヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0009】
本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号3であり、LCDR2が配列番号4であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号13であり、HCDR3が配列番号14であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片であって、LCDR1が配列番号3であり、LCDR2が配列番号4であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号15であり、HCDR3が配列番号14であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を提供する。本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号6であり、LCDR2が配列番号7であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号16であり、HCDR3が配列番号39であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号8であり、LCDR2が配列番号4であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号15であり、HCDR3が配列番号39であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号9であり、LCDR2が配列番号7であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号15であり、HCDR3が配列番号39であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0010】
本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1がRASXIXYLN(配列番号10)であり、LCDR2がYTSXYHS(配列番号11)であり、LCDR3がQQGDALPPT(配列番号5)であり、HCDR1がGYTFGNYWMQ(配列番号12)であり、HCDR2がAIYEGTGXTXYIQKFAX(配列番号37)であり、HCDR3がLSDYVSGFXY(配列番号38)であり、XがQ、R、またはKであり;XがDまたはPであり、XがDまたはSであり、XがNまたはKであり、XがGまたはEであり、XがKまたはDであり、XがVまたはRであり、XがDまたはGであり、XがGまたはSであり、該抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCVRが
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASXIXYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSXYHSGVPSRFSGSGSGTDFTXTISSLQPEDXATYYCQQGDALPPTFGXGTKXEIK
(配列中、XがQ、K、またはRであり;XがDまたはPであり;XがDまたはSであり;XがKまたはNであり;XがEまたはGであり;XがFまたはLであり;XがIまたはFであり;XがQまたはGであり;XがLまたはVである)(配列番号42)を含み、HCVRが、
QVQLVQSGAEVKKPGXSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGXTXYIQKFAXRVTXTXDXSTSTXYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFXYWGQGTX10VTVSS
(配列中、X=AまたはSであり;X=KまたはDであり;X=VまたはRであり;X=GまたはDであり;X=MまたはIであり;X=RまたはAであり;X=TまたはKであり;X=VまたはAであり;X=GまたはSであり;X10=LまたはTである)(配列番号43)を含み、
該抗体がヒトCGRPに結合する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCVRおよびHCVRは、
a.LCVRが配列番号17であり、HCVRが配列番号22であり;
b.LCVRが配列番号18であり、HCVRが配列番号23であり;
c.LCVRが配列番号19であり、HCVRが配列番号24であり;
d.LCVRが配列番号20であり、HCVRが配列番号25であり;および
e.LCVRが配列番号21であり、HCVRが配列番号26である、
からなる群から選択されるアミノ酸配列である、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0013】
本発明は、配列番号17のLCVRおよび配列番号22のHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、配列番号18のLCVRおよび配列番号23のHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、配列番号19のLCVRおよび配列番号24のHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、配列番号20のLCVRおよび配列番号25のHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。本発明は、配列番号21のLCVRおよび配列番号26のHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0014】
本発明はまた、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCおよびHCアミノ酸配列は、
a)LCは配列番号27であり、HCは配列番号32であり;
b)LCは配列番号28であり、HCは配列番号33であり;
c)LCは配列番号29であり、HCは配列番号34であり;
d)LCは配列番号30であり、HCは配列番号35であり;および
e)LCは配列番号31であり、HCは配列番号36である、
からなる群から選択されるヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0015】
一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、配列番号27のLCおよび配列番号32のHCを含む。別の実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、配列番号28のLCおよび配列番号33のHCを含む。別の実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、配列番号29のLCおよび配列番号34のHCを含む。別の実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、配列番号30のLCおよび配列番号35のHCを含む。別の実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、配列番号31のLCおよび配列番号36のHCを含む。一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々のLCアミノ酸配列は配列番号27であり、各々のHCアミノ酸配列は配列番号32である。一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々のLCアミノ酸配列は配列番号28であり、各々のHCアミノ酸配列は配列番号33である。一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々のLCアミノ酸配列は配列番号29であり、各々のHCアミノ酸配列は配列番号34である。一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々のLCアミノ酸配列は配列番号30であり、各々のHCアミノ酸配列は配列番号35である。一実施形態において、ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含み、各々のLCアミノ酸配列は配列番号31であり、各々のHCアミノ酸配列は配列番号36である。本発明はまた、本明細書に開示される抗体の抗原結合断片を提供する。
【0016】
本発明はまた、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<1.0nMを有するヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号6であり、LCDR2が配列番号7であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号16であり、HCDR3が配列番号39であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体はヒトCGRPに結合し、また、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<1.0nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号19のLCVRアミノ酸配列および配列番号24のHCVRアミノ酸配列を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<1.0nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号29のLCアミノ酸配列および配列番号34のHCアミノ酸配列を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体は実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<1.0nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0017】
本発明はまた、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<0.5nMを有するヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、LCVRおよびHCVRを含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、LCDR1が配列番号6であり、LCDR2が配列番号7であり、LCDR3が配列番号5であり、HCDR1が配列番号12であり、HCDR2が配列番号16であり、HCDR3が配列番号39であり、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体はヒトCGRPに結合し、また、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<0.5nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号19のLCVRアミノ酸配列および配列番号24のHCVRアミノ酸配列を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<0.5nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号29のLCアミノ酸配列および配列番号34のHCアミノ酸配列を含むヒト遺伝子操作CGRP抗体であって、該ヒト遺伝子操作CGRP抗体は、実施例4に実質的に記載されているアッセイにおいてIC50<0.5nMを有する、ヒト遺伝子操作CGRP抗体を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。本発明はさらに、薬学的に許容可能な担体および必要に応じて他の治療成分と共に本発明のCGRP抗体を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする患者に投与することを含む、骨関節炎疼痛を治療する方法を提供する。別の態様において、本発明は、本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする患者に投与することを含む、片頭痛を治療する方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、治療に使用するための本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を提供する。別の態様において、本発明は、骨関節炎疼痛を治療するための本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を提供する。さらなる態様において、本発明は、片頭痛を治療するための本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0021】
本発明はまた、骨関節炎疼痛の治療に使用するための本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。別の態様において、本発明はまた、片頭痛の治療に使用するための本発明のヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。本発明はまた、骨関節炎を治療するための医薬の製造におけるヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。本発明はまた、片頭痛を治療するための医薬の製造におけるヒト遺伝子操作CGRP抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
天然に存在する場合、完全長抗体は、ジスルフィド結合によって相互に連結される2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子である。各々の鎖のアミノ末端部分は、その中に含有される相補性決定領域(CDR)により抗原認識を主に担う約100〜110アミノ酸の可変領域を含む。各々の鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定する。
【0023】
CDRは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、十分に保存される領域に散在する。8個の軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)は、3個のCDRおよび4個のFRからなり、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端に配列される。軽鎖の3個のCDRは「LCDR1、LCDR2、およびLCDR3」と称され、重鎖の3個のCDRは「HCDR1、HCDR2、およびHCDR3」と称される。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成するほとんどの残基を含有する。LCVRおよびHCVR領域内のCDRアミノ酸残基の番号付けおよび位置決定は、周知のKabat番号付け法に従う。
【0024】
軽鎖はカッパまたはラムダと分類され、当該技術分野において公知の特定の定常領域によって特徴付けられる。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンと分類され、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。IgG抗体はさらに、サブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4に分けられ得る。各重鎖のタイプは、当該技術分野において周知の配列を有する特定の定常領域によって特徴付けられる。
【0025】
本明細書に使用される場合、用語「モノクローナル抗体」(Mab)とは、例えば、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む、単一のコピーまたはクローンに由来する抗体を意味し、産生される方法を意味するのはでない。本発明のMabは、好ましくは、均一または実質的に均一の集団に存在する。完全なMabは、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。このようなモノクローナル抗体の「抗原結合フラグメント」としては、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、および一本鎖Fv断片が挙げられる。本発明のモノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントは、例えば、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、例えばCDR移植、またはかかる技術の組み合わせ、あるいは当該技術分野において公知の他の技術により産生され得る。例えば、マウスは、ヒトCGRPまたはその断片で免疫化され得、得られた抗体は回収され、精製され得、それらが、本明細書に開示される抗体化合物と類似または同様の結合特性および機能特性を有するかどうかの決定が、以下の実施例に開示される方法によって評価され得る。抗原結合断片はまた、従来の方法によって調製され得る。抗体および抗原結合断片を産生し、精製するための方法は当該技術分野において周知であり、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,第5〜8章、および15章、ISBN0−87969−314−2に見出され得る。
【0026】
用語「ヒト遺伝子操作CGRP抗体」とは、本発明に従う結合特性および機能特性を有し、ヒトCGRPに結合し、非ヒト抗体に由来するCDR周囲の実質的にヒトまたは完全にヒトであるフレームワーク領域を有するように作製されおよび/または操作される、モノクローナル抗体を意味する。このようなヒト遺伝子操作抗体の「抗原結合フラグメント」としては、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、および一本鎖Fv断片が挙げられる。「フレームワーク領域」または「フレームワーク配列」とは、フレームワーク領域1〜4のいずれか1つを意味する。本発明に包含されるヒト遺伝子操作抗体およびその抗原結合断片には、フレームワーク領域1〜4のいずれか1つ以上が、実質的にまたは完全にヒトである(すなわち、個々の実質的または完全なヒトフレームワーク領域1〜4の可能な組み合わせのいずれかが存在する)分子が含まれる。例えば、これには、フレームワーク領域1とフレームワーク領域2、フレームワーク領域1とフレームワーク領域3、フレームワーク領域1、2と3などが実質的または完全にヒトである分子が含まれる。実質的にヒトフレームワークは、公知のヒト生殖細胞フレームワーク配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトフレームワークは、公知のヒト生殖細胞フレームワーク配列に対して少なくとも約85%、約90%、約95%、または約99%の配列同一性を有する。
【0027】
完全にヒトフレームワークは、公知のヒト生殖細胞フレームワーク配列と同一のものである。ヒトフレームワーク生殖細胞配列は、ウェブサイトhttp://imgt.cines.frを介してImMunoGeneTics(IMGT)から得られ得るか、またはMarie−Paule LefrancおよびGerard LefrancによるThe Immunoglobulin FactsBook,Academic Press,2001,ISBN 012441351から得られ得る。例えば、生殖細胞の軽鎖フレームワークは、A11、A17、A18、A19、A20、A27、A30、LI、L1I、L12、L2、L5、L15、L6、L8、O12、O2、およびO8からなる群より選択され得る。また、生殖細胞の重鎖フレームワーク領域は、VH2−5、VH2−26、VH2−70、VH3−20、VH3−72、VHI−46、VH3−9、VH3−66、VH3−74、VH4−31、VHI−18、VHI−69、VI−13−7、VH3−11、VH3−15、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH3−48、VH4−39、VH4−59、およびVH5−5Iからなる群より選択され得る。
【0028】
本発明による類似の機能特性を示す、本明細書に開示されるものに加えてヒト遺伝子操作抗体は、いくつかの異なる方法を用いて生成され得る。本明細書に開示される特定の抗体化合物は、さらなる抗体化合物を調製するために鋳型または親抗体化合物として使用され得る。1つのアプローチにおいて、親抗体化合物CDRは、親抗体化合物フレームワークと高い配列同一性を有するヒトフレームワークに移植される。新しいフレームワークの配列同一性は、通常、親抗体化合物における対応するフレームワークの配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一である。この移植により、親抗体のものと比べて結合親和性の減少が生じ得る。この場合、フレームワークは、Queenら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:2869に開示されている特定の基準に基づいて特定の位置にて親フレームワークに復帰突然変異され得る。ヒト化マウス抗体に有用な方法を記載しているさらなる参考文献としては、米国特許第4,816,397号;同第5,225,539号、および同第5,693,761号;Levitt(1983)J.Mol.Biol.168:595−620に記載されているコンピュータプログラムABMODおよびENCAD;ならびにWinterおよび共同研究者の方法(Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら(1988)Nature332:323−327;ならびにVerhoeyenら(1988)Science239:1534−1536が挙げられる。
【0029】
復帰突然変異とみなされる残基の同定は以下のように実施され得る:
アミノ酸が以下のカテゴリーの範囲内にある場合、使用されるヒト生殖細胞配列のフレームワークアミノ酸(「アクセプターフレームワーク」)は、親抗体化合物のフレームワーク(「ドナーフレームワーク」)由来のフレームワークアミノ酸に置換される:
(a)アクセプターフレームワークのヒトフレームワーク領域におけるアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークには稀であるが、ドナー免疫グロブリンにおける対応するアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークに典型的である;
(b)アミノ酸の位置はCDRの1つに直接隣接している;または
(c)フレームワークアミノ酸の任意の側鎖原子は、三次元免疫グロブリンモデルにおいてCDRアミノ酸の任意の原子の約5〜6オングストローム(中心〜中心)内である。
【0030】
アクセプターフレームワークのヒトフレームワーク領域におけるアミノ酸およびドナーフレームワークにおける対応するアミノ酸の各々が、通常、その位置におけるヒトフレームワークに稀である場合、かかるアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークに典型的であるアミノ酸に置換され得る。この復帰突然変異の基準により、親抗体化合物の活性を回復できる。
【0031】
本明細書に開示される抗体化合物と類似の機能特性を示すヒト遺伝子操作抗体を生成するための別のアプローチは、フレームワークを変化させずに移植されたCDR内のアミノ酸をランダムに突然変異し、親抗体化合物のものと同程度か、またはより良い結合親和性および他の機能特性について、得られた分子をスクリーニングすることに関する。単一突然変異はまた、各CDR内の各アミノ酸位置に導入され得、続いて、結合親和性および他の機能特性に対するかかる突然変異の効果を評価する。改良された特性を生じる単一突然変異が組み合わされて、互いに組み合わせたそれらの効果を評価してもよい。
【0032】
さらに、前述のアプローチの両方の組み合わせが可能である。CDR移植後、CDRにおけるアミノ酸変化を導入することに加えて、特定のフレームワーク領域を復帰突然変異してもよい。この方法論は、Wuら(1999)J.Mol.Biol.294:151−162に記載されている。
【0033】
本発明の教示を適用することで、当業者は、一般的な技術、例えば部位特異的突然変異誘発法を使用して、本明細書に開示されているCDRおよびフレームワーク配列内のアミノ酸を置換でき、それによって、本発明の配列に由来するさらなる可変領域アミノ酸配列を生成する。全ての代替の天然に存在するアミノ酸が特定の置換部位に導入されてもよい。本明細書に開示される方法は、次いで、これらのさらなる可変領域アミノ酸配列をスクリーニングするために使用されて、示されるインビボでの機能を有する配列を同定できる。このように、本発明によるヒト遺伝子操作抗体およびその抗原結合部分を調製するのに適切なさらなる配列が同定され得る。好ましくは、フレームワーク内のアミノ酸置換は、本明細書に開示される4本の軽鎖および/または重鎖のフレームワーク領域のうちのいずれか1つ以上の中の1つ、2つまたは3つの位置に制限される。好ましくは、CDR内のアミノ酸置換は、3本の軽鎖および/または重鎖CDRのいずれか1つ以上の中の1つ、2つまたは3つの位置に制限される。上記のこれらのフレームワーク領域およびCDR内の種々の変更の組み合わせもまた、可能である。
【0034】
用語「治療している」(または「治療する」もしくは「治療」)とは、症状、障害、状態、または疾患の進行または重症度を遅延、遮断、阻害、抑制、停止、減少、または反転することに関するプロセスを意味するが、CGRP活性に付随する全ての疾患関連の症状、状態、または障害の全ての除去に関与する必要はない。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「片頭痛」とは、Headache Classification Committee of the International Headache Society(International Headache Society,2004)による「前兆のない片頭痛」(以前は、「普通型片頭痛」)および「前兆のある片頭痛」(以前は、「古典的片頭痛」)を意味する。例えば、「前兆のない片頭痛」は典型的に、拍動の性質、中程度または激しい強度を有すると特徴付けられ得、通常の身体的活動により悪化し、一側性で発生し、吐き気ならびに羞明および音恐怖に関連する。「前兆のある片頭痛」としては、色覚障害、他の感覚障害、一側脆弱性、および一部の場合において発話の困難性が挙げられ得る。
【0036】
本発明のヒト遺伝子操作抗体は、様々な経路によって投与される、ヒト医療における医薬として使用され得る。最も好ましくは、このような組成物は非経口投与用である。このような医薬組成物は、当該技術分野において周知の方法(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(1995),A.Gennaroら,Mack PublishingCo.を参照のこと)によって調製されることができ、本明細書に開示されるヒト遺伝子操作抗体と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【0037】
以下のアッセイの結果により、本発明の例示的なモノクローナル抗体およびその抗原結合断片が骨関節炎を治療するために使用され得ることが実証される。
【実施例】
【0038】
実施例1 抗体の産生
抗体I〜Vを以下のように生成し、精製できる。最適な所定のHC:LCベクター比またはLC(例えば、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31)およびHC(例えば、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35または配列番号36)の両方をコードする単一のベクター系を用いて抗体を分泌するために、HEK293EBNAまたはCHOなどの適切な宿主細胞を発現系に一時的または安定的のいずれかでトランスフェクトする。抗体が分泌されている清澄化した培地を多くの一般的に使用されている技術のいずれかを用いて精製する。例えば、その培地は、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)などの適合性緩衝液で平衡化したタンパク質AまたはGセファロールFFカラムに簡便に付与できる。このカラムを洗浄して、非特異的結合成分を除去する。結合した抗体を例えばpH勾配(例えば、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.8から0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH3.0)により溶出する。抗体画分をSDS−PAGEなどにより検出し、次いでプールする。更なる精製を、目的とする使用に応じて任意選択する。抗体は、一般的な技術を用いて濃縮でき、および/または、滅菌濾過できる。可溶性凝集体および多量体は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む、一般的な技術により効果的に除去できる。これらのクロマトグラフィー工程の後、抗体の純度は99%より高い。生成物は−70℃にて急速に凍結できるかまたは凍結乾燥できる。これらの例示的な抗体に関するアミノ酸配列を以下に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2 ヒト遺伝子操作CGRP抗体についての親和性(Kd)測定
例示した抗体のCGRPに対する結合親和性を、HBS−EP+(GE Healthcare、10mMのHepes(pH7.4)+150mMのNaCl+3mMのEDTA+0.05%界面活性剤P20)ランニング緩衝液を充填し、37℃の分析温度に設定したBiacore T100機器で、表面プラズモン共鳴アッセイを用いて決定する。全て4つのフローセル(Fc)上で固定化したタンパク質A(標準的なNHS−EDCアミンカップリングを用いて生成した)を含有するCM5チップを、捕捉方法を利用するために用いる。抗体サンプルをランニング緩衝液中で希釈することにより2μg/mLで調製する。ヒトCGRPサンプルをランニング緩衝液中で希釈することにより5.0、2.5、1.3、0.63、0.31、および0(ブランク)nMの最終濃度で調製する。新鮮な、単回使用のCGRPのアリコートを各々の複製実験に用いて、複数の凍結溶解サイクルを回避する。各々の分析サイクルは、(1)別個のフローセル(Fc2、Fc3、およびFc4)上で抗体サンプルを捕捉する工程、(2)100μL/分にて全てのFcに350μL(210秒)のCGRPを注入する工程、(3)解離段階をモニターするために10分間、緩衝液フローに戻す工程、(4)グリシン(pH1.5)の5μL(15秒)の注入によりチップ表面を再生する工程、(5)HBS−EP+の5μL(15秒)の注入によりチップ表面を平衡化する工程からなる。各々のCGRP濃度を2連で注入する。データを標準的な二重参照を用いて処理し、Biacore T100評価ソフトウェア、バージョン2.0.1を用いて1:1結合モデルにフィッティングして、会合速度(kon、−1−1単位)、解離速度(koff、s−1単位)、およびRmax(RU単位)を決定する。平衡解離定数(K)を関係K=koff/konからモル単位にて計算する。表2に示す値はn回の実験の平均である。表2により、本発明の例示した抗体が200pM未満の親和性でCGRPに結合することが実証される。
【0042】
【表3】
【0043】
実施例3 MIAモデルにおける疼痛の軽減
モノヨード酢酸(MIA)をラットの膝関節中に注入して急性炎症性損傷を生じさせ、次いで、注入した関節において関節組織の慢性変性を発現させる。関節損傷により生じる疼痛は、インキャパシタンステスタを用いて後肢を支える重量差により測定できる。MIAモデルは文献で十分に説明されており、種々の機構および化合物に関する有効性対疼痛を実証するために用いられている。有効性を、重量分布を部分的に正規化する化合物の能力により定期的に測定する。
【0044】
疼痛を軽減する本発明の例示した抗体の能力を決定するために、MIA注入時にて約8週齢のオスのLewisラット(Harlan,Indianapolis,IN)を使用する。ラットをケージあたり2匹または3匹の群で収容し、一定温度および12時間の明/12時間の暗サイクルを維持する。データ収集の間以外は全ての時間において、動物に食料および水を自由に取らせることができるようにする。全ての実験をEli Lilly Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認されたプロトコルにしたがって実行する。
【0045】
0日目に、各ラットの右膝には50μL生理食塩水中の0.3mgMIAを注入し、左膝には50μL生理食塩水を注入する。MIA後の設定した日に、ヒトIgG4コントロールまたは試験CGRP抗体をPBS中で皮下注射する(1群あたりn=6)。試験CGRP抗体を投与した3日後、MIA処置した膝と生理食塩水を注入した膝との間で後肢を支える重量の差を測定するインキャパシタンス試験を用いて、疼痛を測定する。各測定値はそれぞれ1秒以上測定した3つの別の測定値の平均である。
【0046】
CGRP抗体で処置した群の平均をコントロール抗体群の平均で除算し、この値を1から減算し、この得られた値を100で乗算することによって計算した疼痛の抑制パーセントとして、データを提示する。CGRP処置した群もまた、JMP(バージョン5.1および6)統計分析プログラム(SAS Institute Inc.,Cary,NC)を用いる一元配置平均分析およびダネット検定によりビヒクル群と比較する。P値が0.05より小さい場合、差異は有意であるとみなす。表3に示すように、このデータにより、本発明の例示したCGRP抗体が有意に疼痛を軽減することが実証される。
【0047】
【表4】
【0048】
実施例4 SK−N−MC細胞中のCGRP誘導性cAMP形成の阻害
本発明の抗体の能力を抗体G1(LCVR−配列番号40およびHCVR−配列番号41)と比較するために、SK−N−MC中のCGRP誘導性cAMP形成の阻害を測定する。その受容体に対するCGRPの結合は、cAMP生成の刺激を生じる。CGRP受容体は、受容体成分タンパク質(RCP)に細胞質で(cytoplasmically)結合した、カルシトニン受容体様受容体(CLR、G−タンパク質共役受容体)および受容体活性修飾タンパク質(RAMP)−1からなるヘテロ−三量体複合体である。ヒト神経上皮腫細胞株SK−N−MCは、これら3つの分子を天然に発現し、そのため、シグナル変換事象に対するCGRPの効果を評価するために使用できる。cAMPの生成は、Gタンパク質共役型受容体活性化についての標準的な尺度である。
【0049】
SK−N−MC細胞を、10%FBS、1×MEM非必須アミノ酸、1×100mMのMEMピルビン酸ナトリウム、1×Pen/Strepおよび2mMのL−グルタミンを含有する、MEM中で培養する。収集後、細胞を一度洗浄し、アッセイ緩衝液(0.5mMのIBMXの最終濃度を含有するダルベッコPBSで1:2に希釈した刺激緩衝液(MgおよびCaを含むHBSS、5mMのHEPES、0.1%のBSA、100μMのアスコルビン酸))中に再懸濁し、1ウェルあたり15,000細胞にて96ウェルプレートに播種する。試験抗体またはコントロールヒトIgG4抗体を細胞に加え(アッセイ緩衝液中で連続4倍希釈、10個の濃度)、その後、一定量のヒトα−CGRP(2nM、Bachem H1470)を加えた。プレートを1時間室温にてインキュベートする。cAMPのレベルを、均一時間分解蛍光(HTRF)分析システム(Cisbio)により測定する。
【0050】
種々の濃度の抗体の存在下で2nMのヒトCGRPにより誘導したcAMPの量を、CGRPのみと比較した阻害パーセントとして計算する。cAMP生成(IC50)の50%阻害を生じる抗体濃度を、次いで4パラメータ曲線フィットモデルから計算する。本明細書に記載された手順に従って、抗体III(0.41nMのIC50)は、CGRP誘導性cAMPの量を抗体G1(5.36nMのIC50)よりも非常に多くの程度阻害した。これはおそらく抗体IIIの速いKon速度(Biacoreにより測定したKon速度)に起因する。
【0051】
実施例5 ラット硬膜血漿タンパク質溢出(PPE)モデル
ラットPPEモデルは、片頭痛の治療のための抗CGRP抗体の有効性を評価するのに使用され得る十分に確立された前臨床モデルである。
【0052】
抗CGRP抗体(Ab)の2mg/mL溶液を生理食塩水溶液中で調製する。その後、全ての希釈を生理食塩水で作製する。モノクローナルアイソタイプコントロール抗体(IgG)の2mg/mL溶液も生理食塩水中で調製する。
【0053】
Harlan研究所(250から350g)からのオスのSprague−Dawleyラットをネムブタル(60mg/kg、ip.)で麻酔し、−2.5mmにて切歯バーのセット(incisor bar set)を備える定位フレーム(David Kopf Instruments)内に入れた。正中線矢状頭皮切開(mid−line sagittal scalp incision)の後、2対の両側の穴を頭蓋骨に開ける(3.2mm後方、1.8および3.8mm側方、全座標はブレグマを参照)。先端を除いて絶縁したステンレス鋼刺激電極(Rhodes Medical Systems Inc)の対を、硬膜の下9.2mmの深さまで両方の脳半球中の穴を通して下げる。試験抗体または生理食塩水ビヒクルを、大腿静脈を介して静脈内に投与する(1mL/kg)。8分後、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)色素で標識化したウシ血清アルブミン(BSA)(FITC−BSA、SigmaA9771)(20mg/kg、iv.)の溶液を、タンパク質溢出に関するマーカーとして機能するように大腿静脈中に注入する。試験抗体またはビヒクルを投与してから10分後、左側の三叉神経節をModel S48 Grass Instrument Stimulatorを用いて1.0mA(5Hz、5ms持続時間)の電流の強さにて5分間刺激する。5分間の刺激の後、ラットを40mLの生理食塩水で放血させて殺傷する。放血はまた、血管から残留FITC/BSAを洗い出す。頭蓋骨の先端を、硬膜を収集するために除去する。膜サンプルを両方の脳半球から除去し、水でリンスし、顕微鏡スライド上で平らに広げる。スライドをスライドウォーマー上で15分間乾燥させ、70%グリセロール/水溶液を用いてカバーガラスをかける。
【0054】
回折格子モノクロメータおよび分光光度計を備えた蛍光顕微鏡(Zeiss)を、各硬膜サンプル中のFITC−BSA色素の量を定量するために使用する。顕微鏡はパーソナルコンピュータとインターフェースで接続したモーター駆動ステージを備える。これは、各硬膜サンプル上の25点(500μmステップ)での蛍光測定とともに、コンピュータ制御によるステージの移動を容易にする。三叉神経節の電気刺激により誘導された溢出は、同側効果である(すなわち、三叉神経節が刺激された硬膜側のみに生じる)。これにより、硬膜の他(未刺激)の半分をコントロールとして使用することができる。溢出比(すなわち、未刺激側と比較した刺激側からの硬膜における溢出量の比)を計算する。
【0055】
配列
ACDTATCVTHRLAGLLSRSGGVVKNNFVPTNVGSKAF(配列番号1)
ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF(配列番号2)
【0056】
【表5】
【0057】
はQ、RまたはKであり;
はDまたはPであり;
はDまたはSであり;
はNまたはKであり;そして
はGまたはEである。
【0058】
【表6】
【0059】
は、KまたはDであり;
は、VまたはRであり;
は、DまたはGであり;そして
は、GまたはSである。
【0060】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIK(配列番号17)
【0061】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIK(配列番号18)
【0062】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKDISKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSGYHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGDALPPTFGGGTKVEIK(配列番号19)
【0063】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASRPIDKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIK(配列番号20)
【0064】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSGYHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGDALPPTFGGGTKVEIK(配列番号21)
【0065】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGDTRYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFSYWGQGTLVTVSS(配列番号22)
【0066】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFSYWGQGTLVTVSS(配列番号23)
【0067】
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFADRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTTVTVSS(配列番号24)
【0068】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTLVTVSS(配列番号25)
【0069】
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTTVTVSS(配列番号26)
【0070】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号27)
【0071】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号28)
【0072】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKDISKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSGYHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGDALPPTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号29)
【0073】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASRPIDKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSEYHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGDALPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号30)
【0074】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIDKYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSGYHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGDALPPTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号31)
【0075】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGDTRYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFSYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号32)
【0076】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFSYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号33)
【0077】
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFADRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号34)
【0078】
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号35)
【0079】
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGKTVYIQKFAGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFGYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号36)
【0080】
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKASKRVTTYVSWYQQKPGQAPRLLIYGASNRYLGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCSQSYNYPYTFGQGTKLEIK(配列番号40)
【0081】
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWISWVRQAPGKGLEWVAEIRSESDASATHYAEAVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCLAYFDYGLAIQNYWGQGTLVTVSS(配列番号41)
【0082】
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASXIXYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSXYHSGVPSRFSGSGSGTDFTXTISSLQPEDXATYYCQQGDALPPTFGXGTKXEIK
=Q、K、またはRであり;
=DまたはPであり;
=DまたはSであり;
=KまたはNであり;
=EまたはGであり;
=FまたはLであり;
=IまたはFであり;
=QまたはG;そして
=LまたはVである。(配列番号42)
【0083】
QVQLVQSGAEVKKPGXSVKVSCKASGYTFGNYWMQWVRQAPGQGLEWMGAIYEGTGXTXYIQKFAXRVTXTXDXSTSTXYMELSSLRSEDTAVYYCARLSDYVSGFXYWGQGTX10VTVSS
=AまたはSであり;
=KまたはDであり;
=VまたはRであり;
=GまたはDであり;
=MまたはIであり;
=RまたはAであり;
=TまたはKであり;
=VまたはAであり;
=GまたはSであり;そして
10=LまたはTである。(配列番号43)
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]