(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記整流器(12)の各スイッチングエレメントは、少なくとも1つのMOSFETトランジスタ(102,472)から成り、前記各MOSFETトランジスタ(102,472)を、少なくとも1つのツェナーダイオードとともに、前記MOSFETトランジスタ(102,472)と前記少なくとも1つのツェナーダイオードとの間で熱的な結合が行われるように、モノリシックに集積する、請求項1または2記載の方法。
前記複数の能動的なスイッチングエレメント(40、42、50、52、60、62)のための制御信号を調整する調整器(78)を含んでいる、請求項4記載の駆動制御回路(14)。
請求項4または5記載の駆動制御回路(14)を有している、複数の能動的なスイッチングエレメント(40、42、50、52、60、62)を有する整流器(12)。
【実施例】
【0014】
本発明を、実施形態に基づいて概略的に図示し、以降で、図面を参照して詳細に説明する。本発明の方法を以下で、三相交流システムに基づいて説明するが、より多くの位相を用いるシステムに容易に転用可能である。
【0015】
図1には、発電機10と、整流器12(この場合にはブリッジ整流器)と、駆動制御信号を形成する駆動制御回路14と、スイッチの駆動制御部16(例えばゲートドライバ)が示されている。
【0016】
発電機10は、3つの位相信号、すなわち位相U20、位相V22と位相W24を形成する。これらの3つの位相20、22および24は、整流器12内に供給される。整流器内には、第1の分岐路30、第2の分岐路32および第3の分岐路34において、プラス極26とマイナス極28との間にスイッチングエレメントが配置されている。
【0017】
ここで、第1の分岐路30は第1のスイッチングエレメント40と第2のスイッチングエレメント42とを含んでおり、第2の分岐路32は第3のスイッチングエレメント50と第4のスイッチングエレメント52と含んでおり、第3の分岐路34は第5のスイッチングエレメント60と第6のスイッチングエレメント62とを含んでいる。これらのスイッチングエレメント40、42、50、52、60、62は、並列接続されたダイオードを有する、それぞれ1つのスイッチを含んでおり、それぞれソース端子とドレイン端子とゲート端子とを備えたMOSFETトランジスタとして形成される。
【0018】
3つの位相U20、V22およびW24は整流器12によって、同じ大きさに変換される。
【0019】
駆動制御信号を形成するための回路14は、3つの位相20、22および24を評価し、制御信号を形成する。この制御信号によって、駆動制御部16がスイッチングエレメント40、42、50、52、60および62のスイッチに対して行う。
【0020】
能動的なスイッチのスイッチオン条件は、MOSFETトランジスタのダイオードないしはインバータダイオードでの電圧の評価を介して生じる。典型的に0.7Vの順方向電圧の場合には、例えば0.35Vの限界値を有するスイッチオン条件の確実な検出が可能である。駆動制御が行われるや否や、この信号はなだれ込む。なぜならこのダイオード順方向電圧は、MOSFETのRDS_ONによってブリッジされるからである。従って、スイッチオフ時点を求めるための電圧測定には問題がある。
【0021】
損失の無い電流測定によって格段に高い信号が得られる、ということに留意されたい。重要なのは、電圧の無損失性である。なぜなら、シャントの導入によって、効率の効用が台なしにされるからである。
【0022】
電圧測定に基づく駆動制御は、電流測定に基づく駆動制御と比べて有利である。なぜなら、このようにして、効率が最適に利用されるからである。
【0023】
図1には、能動的な整流器のための基本的な構造が示されている。駆動制御回路14の正確な実施形態はこの関連において、詳細に記載しない。
【0024】
図2には、
図1の回路構造が、電流経路とともに示されている。ここで発電機10は、3つの固定子コイル巻き線70、72、74によって示されている。さらにこの図は、調整器78、第1の制御部80、第2の制御部82および第3の制御部84を示している。
【0025】
負荷シャットダウン時には、
図2に示された電流経路が生じる。この場合には、例えば、時点が選択され、これは、位相U20およびV22からの正の電流並びに位相W24における負の電流を伴う。位相V22からの余剰電流はここで2つの可能な位相経路を、位相W24に達するために有しており、詳細には、スイッチングエレメント50(ハイサイドV)およびスイッチングエレメント60(ハイサイドW)を介して(経路IIに相応する)、または、スイッチングエレメント52(ローサイドV)およびスイッチングエレメント62(ローサイドW)(経路Iに相応する)を介して達する。
【0026】
2つの電流経路は位相端子Vで始まり、位相端子Wで終わる。これは、位相UおよびWを有している経路IIIおよびIVにも当てはまる。これによってこれらの経路は、対等に外へ向かって延在し、電流はより低い逆電圧を有する経路を占めるだろう。ここで、ハッチングされた矢印90によって印されたクランプ電圧は10桁ぶん、別の矢印92によって印された順方向電圧より高いので、ツェナー電圧によって生じる逆電圧が支配的であり、電流は、より低いクランプ電圧を有する経路を選択するだろう。
【0027】
この作用は、後述する負の温度係数(TK)と組み合わされて、出力段の不均一な負荷を生じさせる。ここで、この不均一性は、負荷低下中に、生じているポジティブフィードバック作用によって強まる。
【0028】
この実施例に関与している、能動的な整流器における6つのスイッチへの、負荷シャットダウンのエネルギーの均一な分布を実現するために、MOSFETトランジスタのしきい値電圧の負の温度係数は、適切な対抗措置によって補償されなければならない。
【0029】
図3には、負荷シャットダウンの処理のためのクランプ回路の典型的な構造が示されている。これは全体として、参照番号100によって表されている。
【0030】
これは、MOSFETトランジスタ102と、ダイオード104と、ツェナーダイオード106と、抵抗108とを含んでいる。
【0031】
図3に示された構造の場合には、ドレインとソースの間に、クランプ電圧U_DSが生じる:
U_DS=U_Z+U_GS
【0032】
MOSFETトランジスタ102は、動作点において、極めて急峻な特性曲線で動かされるので、ここでは、しきい値電圧の小さい変化が極めて強く、MOSFETトランジスタのドレイン電流に作用する。
【0033】
図4はグラフで、ドレイン飽和電流が低い場合の、温度への、しきい値電圧の依存性を示している。ここでは、横軸150において、温度が℃で示され、縦軸152でしきい値電圧がVで示されている。
【0034】
従って
図4は、温度への、しきい値電圧の依存性を示している。MOSFETトランジスタのしきい値電圧は負の温度係数を有しているので、このような回路のクランプ電圧は、温度上昇時に低下する。これによってスイッチング分岐路の不均一な電流負荷が生じ、これは結果として不均一な温度分布を伴う。これは、ポジティブフィードバック作用として示され、個々のMOSFETトランジスタの熱的な過負荷を、結果として有し得る。
【0035】
整流器ダイオードの場合、受動的な整流器が、アバランシェ作用の遮断動作時に支配的である。従って、これらのダイオードは、ブレークダウン電圧の正の温度係数を有する。受動的な整流器の場合には、従って、電圧クランプ時に変換された損失出力はほぼ均一に、関与している分岐路に分配される。
【0036】
図5では、温度への、アバランシェブレーク電圧の依存性が示されている。この場合にはMOSFETトランジスタの例で再現されている。ここでは横軸160において、温度が℃で記載され、縦軸162でブレークダウン電圧がVで示されている。
【0037】
自動車用発電機の場合には、負荷シャットダウンイベントにおいて、励起電流を解体させるのに、約200msから500msの時間期間が必要である、ということに留意されたい。従って相応する時間期間は、負荷シャットダウンイベントにおける整流器のクランプ動作に当てはまる。
【0038】
提示された方法では、上昇するクランプ電圧の作用を、格段に小さい時間スケールで時間制御して、終了させる実施形態が設けられる。ここでは、負荷シャットダウンが、繰り返す事象に類似する、時間経過における正弦半波から成ることが利用される。正弦半波の周波数はここで、使用されている電気機械の現在の回転数の極対数に依存している。ここで、各個々の正弦半波内で、クランプ電圧は固定されたレベルで始まり、例えば、1ミリ秒での間に2Vぶん上昇するべきである。
【0039】
図6には、従来技術に記載されている三相システム用の負荷シャットダウンイベントにおける3つの位相電圧の経過が示されている。ここで、横軸170には時間がmsで示されている。縦軸172には、電圧がVで示されている。従ってこの図は例えば、従来技術に記載されている負荷シャットダウンイベントに対する位相U174、V176およびW178の電圧の経過を示している。
【0040】
図7は、負荷シャットダウンイベント用のスイッチング分岐路電圧の、目標経過を示している。ここで横軸180に時間がmsで示されており、縦軸182には、位相電圧がVで示されている。従って継続的に上昇する、クランプ電圧の経過が設定されている。
【0041】
図8は、三相システム内の負荷シャットダウンに対する、スイッチング分岐路電圧の目標経過を示している。同様に、横軸190には時間がmsで示されており、縦軸192には、3つのスイッチング分岐路での電圧がVで示されている。この図は例えば、位相U194、V196およびW198のローサイドスイッチング分岐路での電圧の経過を示している。ハイサイドスイッチング分岐路には、同じ電圧経過が必要である。
【0042】
図7および8は、上述の方法を明らかにしている。電圧クランプの各半波内の、各スイッチング分岐路におけるクランプ電圧の傾斜路状の変化によって、各スイッチング分岐路のクランプ電圧は各時点で明らかに異なっている。これによって、電流のより多い成分が、常に、目下の低いクランプ電圧を有しているスイッチング分岐路を介して案内される。この方法によって、時間的に平均して、位相電流の複数の周期にわたって、スイッチング分岐路を超えて、損失電力のほぼ均一な分布が実現される。
【0043】
温度にわたって、しきい値電圧の降下を補償することを可能にするために、クランプ電圧の上昇は、極めて正確に選択される、ということに留意されたい。
【0044】
従来技術と比べた利点は:
・負荷シャットダウンイベントにおける電圧クランプ中の損失電力のほぼ均一な分布
・負荷シャットダウンイベントにおけるMOSFETトランジスタのアバランシェ動作の回避
・負荷シャットダウンイベントにおける電圧供給の保持
・熱的に結合され、組み込まれたツェナーダイオードまたは組み込まれた温度センサを伴う複雑なパワー半導体技術の放棄
・負荷シャットダウンイベント内のクランプ電圧の上昇の回避
【0045】
図3に相応する、MOSFETとツェナーダイオードから成る電圧クランプのための回路の図では、例えば、ツェナーダイオードをASICの構成部分として、MOSFETとともに、構造グループ担体上に位置付けることができる。MOSFETと1cmの間隔で、ダイレクトボンディングカッパー(DBC)構成グループ担体上にASICを位置付ける場合には、負荷遮断負荷シャットダウンイベント中に、MOSFETとASICの間に、動的に、比較的高い温度差が生じる。この温度差によって、上述した条件下では、MOSFETしきい値電圧の負の温度係数を、ASIC内に組み込まれているツェナーダイオードの正の温度係数によって補償することはできない。
【0046】
図9は、これに対して、約1cmの空間的な分離時のMOSFETないしはASICでのシミュレートされた温度経過を示している。ここで横軸200には時間がmsで示されており、縦軸202には温度が示されている。6つのMOSFETトランジスタの1つのMOSFETトランジスタのシミュレートされた温度は別の温度と「離れており」、ポジティブフィードバック作用の結果、これらの温度は一体化する、ということが見て取れる。このシミュレーションでは、6つのスイッチング分岐路のうちの1つが200Kまでの加熱を受ける。また、別のスイッチング分岐路は、負荷降下の終了後にはじめて、温度補償によって60Kだけ加熱される。
【0047】
ここで上述したアルゴリズムをASIC内に組み込むと、平均して見て、MOSFETトランジスタは比較的対称に負荷される。個々のFETの温度差は格段に少なくなる。最も高温のMOSFETトランジスタは、シミュレーションに従って90Kの加熱を受け、最も低温のMOSFETトランジスタは50Kの加熱を受ける。従って、
図9のような、個々のスイッチング分岐路の過度の過負荷は生じない。
【0048】
図10には、このアルゴリズムでの、MOSFETトランジスタ内の温度経過が示されている。ここで、横軸210では、時間がmsで示されており、縦軸212で温度が示されている。
【0049】
提示されたアルゴリズムは、MOSFETトランジスタのゲートでの負の電圧経過によって識別される。これは例えば
図11に示されている。この図は、MOSFETトランジスタでのUGSの経過を示している。ここで、横軸220では、時間がmsで示されており、縦軸22で電圧がVで示されている。
【0050】
この負の電圧経過によって、各MOSFETトランジスタは半波の開始時に、高い駆動制御電圧によって、最も高いエネルギーを受け入れ、パルスの経過において、駆動制御電圧の低減によって自身のチャネルをさらに切り離し、この結果、高い抵抗によって、下降するエネルギー受容が生じる。
【0051】
この作用は、択一的に、閉成されている制御機器においても、任意の位相とBat+またはBat−との間で測定される。一定のクランプ電流を有するクランプ動作時には、クランプ電圧の時間に依存した上昇が測定可能である。この測定は、有利には低い電流で、すなわち相当の電力入力を伴わずに行われるべきであり、これによって、測定されたクランプ電圧が温度作用によって影響されないことが保証される。この測定は、既存の発電機で、実験室において、任意のスイッチング分岐路における外部のクランプ電流の入力によって行われる。
【0052】
予期される結果は、
図7に示されている。
【0053】
上述した方法に対して択一的または付加的に、負荷シャットダウンイベントにおける均一な損失電力分布の問題は、
図3に相応する、電源スイッチ内への、MOSFETトランジスタの駆動制御に必要なツェナーダイオードのモノリシックな組み込みによって、改善される。
【0054】
図12には、DBC(direct bonded copper)上の分離されたロジックでの層構造250が示されている。この図は、基本プレート252、放熱グリス(WLP)の第1の層254、銅から成る第2の層256、Al
2O
3から成る第3の層258、銅から成るさらなる層260、はんだから成る第5の層262と、ケイ素から成る、ASIC用の層264と、ケイ素から成る、MOSFET用の層266を示している。さらに、ボンディング接続部270が示されている。
【0055】
ツェナーダイオードを駆動制御回路内に組み込む場合には、これは、MOSFETトランジスタから空間的な分離を有しており、負荷遮断ケースにおいて明らかに加熱されるMOSFETトランジスタからツェナーダイオードまでの温度の流れが時間的に遅くされる。この遅延は、
図12に示されたDBC構造の場合に約100msの領域にある。これによって負荷遮断ケースにおいて、MOSFETトランジスタの負の時間係数が支配的である。対称化はここでは不可能である。パルスは3つのMOSFETトランジスタ上に集中し、ここでMOSFETトランジスタは、最大のエネルギーを、自身の最も低いしきい値電圧(ポジティブフィードバック作用)によって受け入れる。MOSFETトランジスタでの最大温度は330℃に達する。
【0056】
提示された方法では、個々のMOSFETトランジスタ上での電流の対称化が、全体的に見て、正の温度係数によって得られるように構成される。これは次のことによって実現される。すなわち、
図12に示されているように、MOSFETトランジスタ内に、カソードがMOSFETトランジスタのドレインと接続されるようにツェナーダイオードを組み込むことによって実現される。アノードは、MOSFETトランジスタの別個のパッドに導かれ、電気的に駆動制御回路と接続される。これによって、MOSFETトランジスタとツェナーダイオードとの間に直接的な熱接続が生じる。これは
図13に示されている。
【0057】
図13は、MOSFETトランジスタ内に組み込まれているツェナーダイオードを有する層構造300を示している。この図は、基本プレート302、放熱グリス(WLP)の第1の層304、銅から成る第2の層306、Al
2O
3から成る第3の層308、銅から成る第4の層310、はんだから成る第5の層312と、ケイ素から成る、ASIC用の層314と、ケイ素から成る層316を示している。ここでこのケイ素から成る層316はMOSFETトランジスタ用の第1の領域318と、ツェナーダイオード用の第2の領域320とに分けられている。さらに、ボンディング接続部312が示されている。
【0058】
MOSFETトランジスタのしきい値電圧の負の温度係数は、例えば−14mV/Kであるツェナーダイオードの正の温度係数によって過剰補償される。これによって、ネガティブフィードバック作用が生じ、これは、負荷シャットダウンイベントにおける電圧クランプ中の損失出力のほぼ均一な分布を生起させる。これによって、MOSFETトランジスタの最大温度は、
図14に示されているシミュレーションによれば、200℃まで低減される。
【0059】
従って、基本的に、損失出力の均一な分布は、パワー半導体とツェナーダイオードの熱結合によって実現される。
【0060】
図14は、負荷シャットダウンイベントに対する、ツェナーダイオードが組み込まれたMOSFETトランジスタからなる整流器部材のシミュレートされた温度経過を示している。ここで横軸350には時間がmsで記載され、縦軸352には温度が記載されている。
【0061】
図9と比較して、ここでも、損失出力の改善された平均分布と、その結果による、スイッチング分岐路のより均一な加熱が見て取れる。
【0062】
受動的なダイオード整流器に対する利点は、次のことによって得られる。すなわち、クランプ電圧が、全体的な負荷遮断時間にわたって上方へドリフトせず、許容されるクランプ電圧の幅が、受動的な整流器と比べて狭いことによって得られる。なぜなら、関与しているツェナーダイオード内にはほとんど電流が流れず、整流器動作において、僅かな損失出力しか生じないからである。
【0063】
従来技術に対する利点は:
・一般的に、および特別に整流器部材の並列接続に対しても、負荷シャットダウンイベントにおける電圧クランプ中の損失出力のほぼ均一な分布
・負荷シャットダウンイベントにおけるMOSFETトランジスタのアバランシェ動作の回避
・負荷シャットダウンイベントにおける電圧供給の保持
【0064】
図3に相応して、MOSFETトランジスタとツェナーダイオードのモノリシックな組み込みを伴う、MOSFETトランジスタとツェナーダイオードから成る電圧クランプのための回路の図では、MOSFETトランジスタのリーク電流は、ツェナーダイオードのアノード端子を、MOSFETトランジスタのゲートに直接的に接続されていない場合に測定可能である。この場合には、ツェナーダイオードのアノード端子を、後から、ボンディング接続を介して、MOSFETトランジスタのゲート端子と接続することが必要である。この接続を、間接的に、別個の、パワーチップ内に組み込まれていない回路、例えば制御ASICを介して行うこともできる。MOSFETトランジスタでのリーク電流の測定は、製造経過内での機能および信頼性を保証するために要求に応じて必要であろう。
【0065】
MOSFETトランジスタとツェナーダイオードのモノリシック組み込み時の別の実施形態では、ツェナーダイオードのアノードは直接的に、MOSFETトランジスタのゲートとの組み込みの構成部分として接続される。
【0066】
図15は、MOSFETトランジスタとツェナーダイオードのモノリシック組み込みとの関連における、択一的な接続方法を示している。
【0067】
ここでは2つの方法が記載される。これらの方法の使用によって、電圧クランプ中に整流器部材内で変換される損失出力をほぼ均一に分配することができる。以降では、択一的にまたは組み合わせて使用できる、さらなる方法が示されている。
【0068】
図3には、簡易的な調整回路が示されている。これは、クランプ電圧の調整部を有する。この調整回路の目標値は、主に、ツェナーダイオードのブレークダウン電圧と、MOSFETトランジスタのしきい値電圧から成る。ツェナーダイオードとMOSFETトランジスタがモノリシックに組み込まれておらず、それによって、これらのコンポーネント間に比較的低い熱結合が生じている場合には、上述したポジティブフィードバック作用を阻止するために、MOSFETトランジスタのしきい値電圧の負の温度係数を、ツェナーダイオードの正の温度係数によって補償することができない。
【0069】
以降では、クランプ電圧の調整のための改善された方法を記載する。これは、MOSFETトランジスタのしきい値電圧の負の温度係数の影響を明らかに抑圧する。
【0070】
図16は、例として、クランプ電圧の調整のための改善された方法を具体的に示すための基本回路図を示している。図示された調整器は、増幅器470とMOSFETトランジスタ472と加算素子476とを含んでいる。電圧U_Soll470は目標値として用いられる。調整回路の作用によって、MOSFETトランジスタ472のドレイン−ソース電圧は、ほぼ電圧U_Sollに調整される。MOSFETトランジスタ472のドレイン―ソース電圧と電圧U_Sollとの間の差は、増幅器470の増幅が強くなるほど、小さくなる。MOSFETトランジスタ472のしきい値電圧は、増幅が強い場合に、MOSFETトランジスタ472のドレイン−ソース電圧にほぼ影響を与えない。従って電圧クランプのための回路としての使用時には、MOSFETしきい値電圧の負の温度係数の、クランプ電圧への影響は抑圧される。従って電圧クランプ時に、MOSFETトランジスタ472内で変換される損失出力によって、クランプ電圧はほぼ低減されない。これは、電圧クランプのための回路の並列接続の場合に、熱的なポジティブフィードバックをほぼ抑圧する。
【0071】
電圧基規準値U_Soll474はここでは一定であるかまたは時間とともに上昇する。すなわち傾斜路経過特性を有する。U_Sollの傾斜路経過特性を使用することによって、この方法のこの実施形態を、この方法の最初に挙げた実施形態と組み合わせることができる。クランプ電圧調整のためのこの改善された方法の実施およびクランプ電圧のための傾斜路状の目標値の準備も、例えば、直接的な回路としてまたはASIC内へのコンポーネントの組み込みによって、または主にデジタルに、例えばマイクロコントローラまたはFPGAを使用することによって行うことができる。
【0072】
従来技術と比べた利点は:
・負荷シャットダウンイベントにおける電圧クランプ中の損失電力のほぼ均一な分布
・負荷シャットダウンイベントにおけるMOSFETトランジスタのアバランシェ動作の回避
・負荷シャットダウンイベントにおける電圧供給の保持
・熱的に結合され、組み込まれたツェナーダイオードまたは組み込まれた温度センサを有する複雑なパワー半導体技術の放棄
【0073】
記載した措置の有効性は、シミュレーションに基づいて証明される。
【0074】
図17は、負荷シャットダウンイベント用の三相発電機による動作時の、整流器の6つのスイッチング分岐路のMOSFETトランジスタのシミュレートされた温度経過を示している。損失出力の均等分布のための上述した方法は、ここでは使用されない。なぜなら、
図3に示された回路原理が使用されるからである。
図17では、横軸480に、時間がmsで示されており、縦軸482に温度Tが示されている。
【0075】
図18は、負荷シャットダウンイベント用の三相発電機による動作時の、整流器の6つのスイッチング分岐路のMOSFETトランジスタのシミュレートされた温度経過特性を示している。ここでは、
図16に示された回路原理に従った、クランプ電圧調整のための上述した方法が使用される。
図18では、横軸490に、時間がmsで示されており、縦軸492に温度Tが示されている。
【0076】
図18では、上述した、クランプ電圧調整のための方法の使用によって、それ以外は同じ調整条件のもとで、出力段温度の幅が格段に狭くなっていることが見て取れる。これによって、個々のMOSFETトランジスタに対して、より低い最大温度が生じる。