(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の発明を実施するための形態では、その一部を構成する添付図面を参照し、図中には、装置、システム及び方法のいくつかの特定の実施形態が実例として示されている。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施され得る点は理解されるはずである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書で使用するすべての科学用語及び専門用語は、特に断らないかぎり、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書において与えられる用語の定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであって、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【0012】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明らかにそうでないことが示されないかぎりは複数の指示物を有する実施形態を包含する。
【0013】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるように、「又は」なる用語は、その内容によって明らかに示されないかぎり、「及び/又は」を含む意味で一般的に用いられる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」等は、制限のない意味で使用されており、一般に、「含むがそれに限らない」ことを意味する。「からなる」及び「から本質的になる」という用語は、「含む(comprising)」等の用語に包含されることが理解されよう。例えば、臭気吸収剤と、シリコーン−アクリル粒子と、バインダー樹脂と、溶媒と、を含むコーティング組成物は、臭気吸収剤、シリコーン−アクリル粒子、バインダー樹脂、及び溶媒からなる、又はこれらから本質的になることができる。
【0015】
組成物、物品、系、器具又は方法に関するとき「から本質的になる」は、組成物、物品、系、器具又は方法が、組成物、物品、系、器具又は方法について列挙した構成要素又は工程のみ、及び所望により、組成物、物品、系、器具又は方法の基本的特性及び新規特性に実質的に影響しない、他の構成要素又は工程を含むことを意味する。例えば、本明細書に記載する装飾シートは、臭気吸収特性を有し、耐擦り傷性である。一部の場合、シートの臭気吸収又は耐擦り傷特性を著しく損なう成分を考慮し、シートの基本的特性及び新規特性に実質的に影響を及ぼしてよい。
【0016】
本明細書において参照されるあらゆる方向、例えば「上部」、「底部」、「左」、「右」、「上側」、「下側」、「上方」、「下方」など並びにその他の方向及び向きは、図を参照して明確にするために本明細書において記載され、実際の装置若しくはシステム、又は装置若しくはシステムの使用を限定するものではない。本明細書に記載される装置、物品又はシステムの多くは、多数の方向及び向きで使用されてもよい。
【0017】
本開示はとりわけ、臭気吸収層を有する耐擦り傷性装飾フィルムについて説明する。これまでは、装飾フィルムへ臭気吸収剤の層を適用すると、不必要に掻き傷及び擦り傷が付きやすいフィルムが製造される傾向がある。本明細書に記載するように、シリコーン−アクリル微粒子を臭気吸収層中に取り込むと、臭気吸収特性に実質的に悪影響を及ぼすことなく、耐擦り傷性を改善できることが判明している。シリコーン−アクリル粒子のシリコーン成分は表面摩擦を低減し、アクリル成分は、臭気吸収剤が分散されるバインダー樹脂内に良好な接着性をもたらすと考えられる。
【0018】
臭気吸収層中のバインダー樹脂の相対量を増やすと、臭気吸収剤の臭気吸収能の低下をもたらすことがわかっている。また、臭気吸収層中のバインダー樹脂の相対量を減らすと、耐擦り傷性の低下をもたらすこともわかっている。様々な実施形態では、バインダー、臭気吸収剤及びシリコーン−アクリル粒子の比を調整し、好適な耐擦り傷性及び臭気吸収特性を実現できる。
【0019】
本明細書に記載する装飾シートは、屋内又は屋外の壁、天井、床などのカバー、アクセント、又はデザイン的特徴が含まれるが、これらに限定されない任意の好適な目的で使用してよい。本明細書に記載する装飾シート中に臭気吸収剤が存在するため、臭気、揮発性有機化合物、又は他の空気中汚染化学物質が存在する環境において、シートを有利に使用できる。
【0020】
ここで
図1を参照すると、剥離ライナー200及び装飾シート100を含む系の概略図が示される。示される実施形態では、装飾シート100は、装飾基層150と、基層150の表面上に配置された接着層140と、基層の接着層140とは反対側の表面上に配置された臭気吸収耐擦り傷性層110と、を含む。実施形態では、臭気吸収耐擦り傷性層110は、臭気吸収剤と、シリコン−アクリル粒子と、を含んでよい。
図1に示されるように、基層150は、1つを超える副層120、130、例えば、1つ以上の高分子フィルムを含んでよい。
【0021】
実施形態では、基層150の1つの副層130は、色付き又は模様付きフィルムであり、基層の別の副層120は透明フィルムである。色付き又は模様付きフィルムは、任意の好適な方法で色又は模様を付けてよい。例えば、着色剤又は染料(die)をフィルム形成材料に混合し、又は色若しくは模様をフィルム表面に印刷して、色付き又は模様付きフィルムを製造できる。使用される場合、透明フィルムは好ましくは透明であり、下層の色付き又は模様付きフィルムの色又は模様が見える。当然のことながら、透明フィルム又はその一部は不透明であってよい。
【0022】
任意の好適な色付き若しくは模様付きフィルム、又は透明フィルムを使用してよい。実施形態では、フィルム120、130、又は基層150は、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂、又は(メタ)アクリル樹脂などの合成樹脂から作られる。ポリ塩化ビニル樹脂は、容易に加工でき、処理しやすく、かつ比較的安価であり、基層150又はその1つ以上の層120、130の形成に対して良い選択肢となる。
【0023】
2つ以上の副層120、130を用いて基層150を形成する場合、エンボスロール加工などの任意の好適なプロセスによって副層を積層してよい。
【0024】
接着層140は、感圧性接着剤などの任意の好適な接着剤を含んでよい。好適な接着剤の例として、アクリル接着剤、ゴム系接着剤及びシリコーン接着剤が挙げられる。任意の好適なプロセスによって、接着剤を基層150に塗布してよい。例えば、剥離層200の表面に接着剤を塗布し、基層150の表面に乾式積層してよい。
【0025】
臭気吸収耐擦り傷性層110は、任意の好適な量で基層150の表面に適用される。実施形態では、基層150のフィルム1平方メートルあたり5グラム〜0.5グラム、例えば、基層フィルム1平方メートルあたり3グラム〜1グラム、又はフィルム1平方メートルあたり約1.8グラムの重量で、臭気吸収耐擦り傷性層110を適用する。好ましくは、臭気吸収耐擦り傷性層110は透明である。
【0026】
本明細書で用いるとき「透明」は、透明物体又は層の向こうに位置する物体が、その透明物体又は層を通してはっきりと見えることを意味する。装飾フィルムに関連して、透明層は、依然として透明であると見なされる一方で、ある程度の量の光を散乱できると理解されるであろう。例えば、基層150の全般的な装飾の特徴が臭気吸収耐擦り傷性層110を通して見える場合、臭気吸収耐擦り傷性層110は、層110が光を散乱するかどうかを問わず、概ね透明であると見なされるであろう。当然のことながら、臭気吸収耐擦り傷性層110の1つ以上の成分が、バルクにおいて透明性はないが、装飾シート100中に存在する厚さにおいて概ね透明であってもよい。
【0027】
実施形態では、臭気吸収耐擦り傷性層110は、不透明又は半透明であってよい。
【0028】
装飾シート100及び種々の層は、任意の好適な厚さであってよい。実施形態では、シート100の厚さは、100マイクロメートル〜275マイクロメートル、150マイクロメートル〜250マイクロメートル、又は約200マイクロメートルである。実施形態では、接着層140の厚さは、20マイクロメートル〜60マイクロメートル、例えば、約40マイクロメートルである。実施形態では、基層150の厚さは、100マイクロメートル〜200マイクロメートル、例えば130マイクロメートル〜190マイクロメートル、又は約160マイクロメートルである。基層150が、2つ以上の副層120、130から形成された場合、副層120、130は、同一の厚さ又は異なる厚さを有してよい。実施形態では、副層120、130は、40マイクロメートル〜160マイクロメートル、例えば、60マイクロメートル〜100マイクロメートル、又は約80マイクロメートルの厚さを有する。多くの場合、臭気吸収耐擦り傷性層110の厚さは、不均一であるため測定が困難であろう。多くの場合、層110の厚さはかなり薄く、一番厚い部分が、使用された耐擦り傷性粒子の直径寸法によって画定される。
【0029】
ここで
図2を参照すると、臭気吸収耐擦り傷性層110は、バインダー112と、臭気吸収剤116と、シリコーン−アクリル微粒子114と、を含んでよい。当然のことながら、他の成分、例えば、可塑剤、安定剤(熱安定剤など)、UV吸収剤などを層に含めてよい。
【0030】
任意の好適な臭気吸収剤116を使用できる。本明細書で用いるとき、「臭気吸収剤」は、有害な又は不快な臭気、揮発性有機化合物、又はその他の好ましくない有害な若しくは健康に害のある空気中化学物質(本明細書では、総じて空気中汚染化学物質と称する)を吸収する剤である。空気中汚染化学物質の例として、アンモニウム、アミン、硫化水素、メルカプタン、アルデヒド、酢酸などが挙げられる。
【0031】
使用できる臭気吸収剤の例として、活性炭又は無機元素、ポリビニルアミン化合物などの脱臭剤(例えば、米国特許第6,521,553号に記載されるもの)、フタロシアニンポリカルボキシレート、ヒドラジド化合物などを含む剤が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、臭気吸収剤として、特開平7−189120号に記載されるものなどの空気中汚染化学物質の酸化分解のための脱臭触媒などが挙げられる。実施形態では、臭気吸収剤として、DAIWA Chemical Industries Co.,Ltd.から入手可能なZaoba Super #100が挙げられる。当然のことながら、任意の好適な既知又は開発された臭気吸収剤を使用してよい。
【0032】
臭気吸収剤は、典型的には、活性炭又は多孔性無機種成分と、脱臭剤化合物と、を含む。多孔性無機種成分の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどから形成された多孔性物質;ゼオライト、シリカゲル、活性炭などの多孔性物質;酢酸塩又はクエン酸塩などの有機酸塩;硫酸塩又は硝酸塩などの無機酸塩、銅、亜鉛、銀、鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ニッケル、コバルトなどといった金属の塩化物、水酸化物、又は酸化物;その他同種のものが挙げられる。脱臭剤化合物と、活性炭又は無機種多孔性成分の相対量は可変であり、当該技術分野において一般的に既知であるような所望の脱臭効果を達成してよい。
【0033】
好ましくは、合成樹脂をバインダーとして用いて、臭気吸収剤116を装飾シート100の基層150表面に保持又は付着させる。任意の好適な樹脂を使用できる。好適な樹脂の例として、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノプラスト樹脂、塩化ビニル系樹脂、フルオロポリマー(fluopolymer)系樹脂、エポキシ系樹脂、グリオキサール系樹脂、エチレン尿素樹脂などが挙げられる。実施形態では、1つ以上の塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーをバインダーとして使用する。使用できる塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーの例として、Dow Chemical Co.(Midland,Michigan)から入手できるVAGH及びVYHHが挙げられる。
【0034】
バインダー112は、耐擦り傷性粒子114の保持にも役立ち得る。任意の好適な耐擦り傷性粒子114を使用できる。シリコーン−アクリル粒子は、耐擦り傷性を向上するのに特に有用であることがわかっている。シリコーン−アクリル粒子の性能は、アクリル粒子より極めて良好であることがわかった(データの提示なし)。シリコーン−アクリル粒子のシリコーン成分は、表面摩擦を低減し、アクリル成分は、特にバインダーが塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂から形成された場合、臭気吸収剤が分散されるバインダー樹脂内に良好な接着性をもたらすと考えられる。
【0035】
シリコーン−アクリル粒子を任意の好適なプロセスに従って製造してよく、又は平均粒径が約30マイクロメートルのChaline R170Sビーズなどのシリコーン−アクリル粒子を販売している、Nissin Chemical Co.,Ltd.(Japan)などの供給元から購入してよい。シリコーン−アクリルビーズは、(i)ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリル酸エステル、(ii)ポリオルガノシロキサン及び(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸エステルと重合可能なモノマーの混合物、(iii)又はその他同種のもののグラフト共重合によって得られる、ポリオルガノシロキサンのアクリル修飾によって形成されてよい。実施形態では、シリコーンアクリル粒子は、特開2000−345125号又は同第2007−224234号に記載されるように形成される。好適なシリコーン−アクリル粒子は、任意の好適な直径寸法を有してよい。実施形態では、粒子の平均直径寸法は、約20マイクロメートル〜約50マイクロメートルであるが、それより小さい又は大きい粒子を使用してもよい。
【0036】
臭気吸収耐擦り傷性層110を、任意の好適な方法で基層150上に配置してよい。実施形態では、グラビアコーターによって基層150上に組成物をコーティングする。
【0037】
実施形態では、臭気吸収耐擦り傷性層110を形成するコーティング組成物は、1種以上のバインダー樹脂と、1種以上の樹脂のための1つ以上の溶媒と、1種以上の臭気吸収剤と、シリコーン−アクリル粒子と、を含む。組成物は、必要又は所望に応じて、1種以上の可塑剤、安定剤(例えば、熱安定剤)、UV吸収剤、又はその他の成分を含んでよい。基層150の表面にコーティングを適用し、乾燥させて溶媒を除去し、臭気吸収耐擦り傷性層110を製造してよい。
【0038】
任意の好適な溶媒を使用できる。当然のことながら、用いる溶媒は用いる樹脂によって変わり得る。例として、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂を用いるとき、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせを用いてよい。
【0039】
バインダー、シリコーン−アクリル粒子、及び臭気吸収剤の、組成物中、つまり層110における割合は、得られる層110の臭気吸収性及び耐擦り傷性に影響し得る。例えば、バインダー樹脂の臭気吸収粒子に対する相対濃度が上がると、臭気吸収性能が低下し得ることが判明している。しかしながら、バインダー樹脂の相対濃度を下げると、耐擦り傷性に対して悪影響を及ぼす場合がある。
【0040】
実施形態では、シリコーン−アクリル粒子に対する臭気吸収剤の重量比は、7:1〜1:1、例えば、3.3:1〜1.25:1、又は約1.5:1である。実施形態では、臭気吸収粒子に対するバインダー樹脂の重量比は、1.5:1〜0.7:1、例えば、1.5:1〜0.7:1、1.3:1〜0.8:1、又は1.1:1〜0.9:1である。実施形態では、シリコーン−アクリル粒子に対するバインダーの重量比は、10:1〜1:1、例えば、3.5:1〜1:1、又は1.8:1〜1.2:1である。
【0041】
実施形態では、層110中のシリコーン−アクリル粒子の重量パーセントは、10%以上、15%以上、20%以上、又は20%〜30%である。本明細書に示す実施例では、約11%のシリコーン−アクリル粒子を有する層によって良好な耐擦り傷性が得られたものの、優れた耐擦り傷性を得るために、層には20%を超えるシリコーン−アクリル粒子を含めた。
【0042】
以下では、非限定的実施例を示し、上述した物品及び方法の様々な実施形態を説明する。
【実施例】
【0043】
以下のように、臭気吸収層を有するフィルムを調製した。簡潔には、表1に記載される材料を用いて5種類の臭気吸収組成物を調製した。表1に記載の材料1〜5(溶媒、可塑剤、及び熱安定剤)は、T.K.HOMO MIXERを用いて、400〜800rpmで攪拌された。得られた溶液に、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂(表1に記載の材料6〜7:Dow ChemicalのVYHH、VAGH)を攪拌しながら加え、その後、T.K.HOMO MIXERを用いて1,000〜1,200rpmで3時間攪拌した。得られる透明溶液に、表1に記載の材料8〜11(溶媒、防臭剤、及びシリコーン−アクリルコポリマー)を加え、T.K.HOMO MIXERを用いて1,000〜1,200rpmで15分間攪拌して、上面層溶液を得た。
【0044】
得られた上面層溶液を、80マイクロメートルの厚さの透明PVCフィルム(Tatsuta chemical Co.,Ltd,[Tokyo,Japan]から入手)上に、グラビアコーターを用いてコーティングし、40℃で1分間乾燥させて上面コーティングしたPVCフィルムを製造した。得られた上面層は、フィルム1平方メートルあたり1.8±0.2グラムの重量を有した。上面層は非常に薄く、シリコン−アクリル粒子が突出しているため、厚さの測定が困難であった。
【0045】
上面コーティングした透明PVCフィルムを、80マイクロメートルの厚さの黒色に着色したPVCフィルム(Bando chemical Co.,Ltd(Kobe,Japan)から入手可能)に、エンボスロールを用いて160〜170℃にて積層した。
【0046】
アクリルPSA(Nippon shokubai[Tokyo,Japan]から入手)を、ナイフコーターを用いて剥離ライナー上にコーティングし、90℃で5分間乾燥させて、ライナー上に接着層(40±4g/平方メートル)を製造した。得られた接着層を、積層化PVCフィルムの裏側に積層して作製し、試験したサンプルを得た。
【0047】
【表1】
MIBK:メチルイソブチルケトン(Sankyo Chemical(Aichi,Japan));MEK:メチルエチルケトン(Sankyo Chemical(Japan));GIZER PN−250:ADEKA(Tokyo,Japan)、TGP:リン酸トリクレシル(Nippon Rika(Tokyo,Japan));SC−12:ADEKA(Tokyo,Japan);VYHH:塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー(Dow Chemical(Midland,Michigan));VAGH:塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー(Dow Chemical(Midland,Michigan));Zaoba Super #100:DAIWA Chemical Industries CO.,LTD.(Osaka,Japan);Chaline R−170S:シリコーン−アクリルコポリマー、Nissin Chemical Industry Co.,Ltd.(Fukui,Japan)。
【0048】
得られたサンプルを、臭気吸収性能及び耐掻き傷性について試験した。簡潔には、臭気吸収性能に対しては、10cm×28cmのサンプル片を3LのTEDLAR BAG(Dupont)に入れ、その中に500mLのアセトアルデヒドガス(80ppm)を注入した。サンプルをアセトアルデヒドと28℃において24時間インキュベーションした後、GASTEC(Kanagawa,Japan)の気体検知管システムにより、袋中のアセトアルデヒドの残留濃度を測定した。臭気吸収%を以下のように計算した。
臭気吸収%=アセトアルデヒドガスの残留濃度(ppm)/80×100
【0049】
耐掻き傷性試験には、感圧性接着剤によってサンプルをアルミニウムプレートに固定した。1kgの荷重をかけたスキージ(PA1:Sumitomo 3M Ltd.(Tokyo,Japan)から入手可能)を用いて、上面に掻き傷を作った(10回前後させた)。掻き傷の量を以下のように目視で判定した。
【0050】
【表2】
【0051】
臭気試験及び耐掻き傷性試験の結果を以下の表2に示す。表2に示すように、上面コーティング中に防臭剤が存在しない場合(比較実施例4)、耐掻き傷性が良好であり、耐掻き傷性粒子を含まずに臭気吸収剤が存在する場合(比較実施例5)、耐掻き傷性が非常に乏しかった(不合格)。しかしながら、耐掻き傷性は、耐掻き傷性粒子の量を増やすと改善される(実施例1〜3)。
【0052】
【表3】
【0053】
以上のように、耐擦り傷性を有する臭気吸収フィルムの実施形態を開示する。本明細書に記載するフィルム、系、装飾シート、組成物、及び方法が、開示されたもの以外の実施形態で実施され得ることは当業者には理解されよう。開示された実施形態は、例証するために提示されるもので、制限するためのものではない。