特許第6021921号(P6021921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021921
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】信号玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/02 20060101AFI20161027BHJP
   A63F 9/14 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   A63H18/02 C
   A63F9/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-529181(P2014-529181)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(86)【国際出願番号】JP2012070081
(87)【国際公開番号】WO2014024256
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平7−31097(JP,U)
【文献】 実開平7−31098(JP,U)
【文献】 特開平7−96081(JP,A)
【文献】 特開2006−192098(JP,A)
【文献】 特開平10−94675(JP,A)
【文献】 特開2009−34348(JP,A)
【文献】 米国特許第4605229(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 17/26,18/02
A63F 9/00, 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの開始タイミングを報知するための信号玩具であって、
コインを投下するための投下口が上方に向けて開口するとともに、この投下口から投下されたコインを通過させるためのコイン通過路が略鉛直方向に形成された玩具本体と、
前記玩具本体に下部を軸支されて揺動可能に取り付けられたアームと、
前記アームを開き方向に作動させる作動手段と、
を備え、
前記玩具本体の側部には、前記コイン通過路を通過するコインを視認可能とする表示窓が上下に複数配設されており、
前記アームは、前記コイン通過路を遮断する方向に突出した突出部を備え、この突出部が前記コイン通過路を遮断することで前記コイン通過路を通過するコインの落下が妨げられて前記表示窓の位置に留まり、
前記アームが前記作動手段により開き方向に作動させられると、前記突出部が前記コイン通過路から退避することにより落下が妨げられていたコインが落下することを特徴とする、信号玩具。
【請求項2】
前記玩具本体に軸支されて揺動可能に取り付けられるゲート部材を更に備え、
前記ゲート部材は、前記コイン通過路内に突出するコイン受部と、前記コイン受部の逆端側に設けられた遮断部と、を備え、前記コイン通過路を通過するコインの重みが前記コイン受部に加えられたときに揺動して前記遮断部が上動することを特徴とする、請求項1記載の信号玩具。
【請求項3】
前記遮断部は、走行玩具を走行させるための所定の走路を遮断するように配置したときに、走行玩具と対向する面が走行玩具の走行方向及びこの走行方向と直交する方向に傾斜していることを特徴とする、請求項2記載の信号玩具。
【請求項4】
前記突出部の上面は、前記アームの揺動支点を中心とする円弧状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の信号玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行玩具のゲームの開始等を報知するための信号玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行玩具等のゲーム装置においてゲートなどを設け、このゲートを開閉することでゲームの開始を報知することが知られている。例えば、特許文献1には、扉部に永久磁石を設置し、永久磁石と対向する位置に設けられた電磁石に通電を行うことで扉部を開閉する競争ゲーム機器のゲート装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−192098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したようなゲート装置は比較的大がかりであるため、製造コストが嵩み、家庭用の玩具向きではなかった。また、ゲートの開閉が前触れもなく行われるため、遊戯者がゲートの開閉タイミングを予測することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構造かつ低コストで製造可能でありながら、ゲーム開始のタイミングを遊戯者が予測することができ、ゲームの楽しみを増すことができる信号玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0007】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、ゲームの開始タイミングを報知するための信号玩具であって、コインを投下するための投下口が上方に向けて開口するとともに、この投下口から投下されたコインを通過させるためのコイン通過路が略鉛直方向に形成された玩具本体と、前記玩具本体に下部を軸支されて揺動可能に取り付けられたアームと、前記アームを開き方向に作動させる作動手段と、を備え、前記玩具本体の側部には、前記コイン通過路を通過するコインを視認可能とする表示窓が上下に複数配設されており、前記アームは、前記コイン通過路を遮断する方向に突出した突出部を備え、この突出部が前記コイン通過路を遮断することで前記コイン通過路を通過するコインの落下が妨げられて前記表示窓の位置に留まり、前記アームが前記作動手段により開き方向に作動させられると、前記突出部が前記コイン通過路から退避することにより落下が妨げられていたコインが落下することを特徴とする。
【0009】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、前記玩具本体に軸支されて揺動可能に取り付けられるゲート部材を更に備え、前記ゲート部材は、前記コイン通過路内に突出するコイン受部と、前記コイン受部の逆端側に設けられた遮断部と、を備え、前記コイン通過路を通過するコインの重みが前記コイン受部に加えられたときに揺動して前記遮断部が上動することを特徴とする。
【0011】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、前記遮断部は、走行玩具を走行させるための所定の走路を遮断するように配置したときに、走行玩具と対向する面が走行玩具の走行方向及びこの走行方向と直交する方向に傾斜していることを特徴とする。
【0013】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記突出部の上面は、前記アームの揺動支点を中心とする円弧状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、玩具本体の側部には、コイン通過路を通過するコインを視認可能とする表示窓が上下に複数配設されているので、コインが上の表示窓から下の表示窓へと移動していく様を見ることで、コインが落ちきるタイミング(ゲーム開始のタイミング)を遊戯者が予測することができる。なお、コインが単に落下するだけでは落下スピードが速過ぎて遊戯者が視認できないが、アームが徐々に開き方向に作動することで突出部によって落下が妨げられていたコインが徐々に落下していく構造となっているので、アームの作動速度を調整することでコインの落下タイミングを調整することができる。
【0016】
しかも、このような構造を複雑な装置を使用せずに実現できるので、簡易な構造かつ低コストで製造することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記玩具本体に軸支されて揺動可能に取り付けられるゲート部材を更に備え、このゲート部材がコインの重みで作動するので、ゲームの開始タイミングを単に報知するだけではなく、走行玩具の走行などを妨げて、不正なスタートが行われないようにすることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記遮断部は、走行玩具を走行させるための所定の走路を遮断するように配置したときに、走行玩具と対向する面が走行玩具の走行方向及びこの走行方向と直交する方向に傾斜しているので、不正に早くスタートした走行玩具が遮断部に衝突すると、この走行玩具が走路の側方へコースアウトするように形成されている。
【0019】
ここで、遮断部が単に走行玩具の走行を妨げるだけであれば、早めに走行玩具をスタートさせて遮断部に衝突させた方が有利である。すなわち、遮断部に突き当たった状態で前進状態を維持していれば、遮断部が上動したタイミングで走行玩具が動き出すので、ゲームの開始タイミングを予測しなくても速めに走行玩具をスタートさせればよいこととなる。しかしながら、本願発明のように遮断部が傾斜している構成の場合、速めに走行玩具をスタートさせると走路からコースアウトしてしまうため、ゲームの開始タイミングを正確に予測しなければゲームに勝利することができない。このため、ゲームの開始タイミングを予測して駆け引きを行うというゲーム性が生じるので、ゲームの興趣を増すことができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記突出部の上面は、前記アームの揺動支点を中心とする円弧状に形成されているので、アームが作動手段により開き方向に作動させられたときに突出部の上面の高さを一定に維持することができる。言い換えると、突出部の上面に載っているコインの高さ位置を一定に維持することができるので、落下直前まで表示窓から見えているコインの高さ位置が変化せず、落下したコインがあたかも上の表示窓から下の表示窓へと瞬間的に移動したかのような印象を遊戯者にあたえることができ、新規な印象の玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】信号玩具の使用態様を示す図であって、コイン投入前の状態を示す図である。
図2】信号玩具の使用態様を示す図であって、コインを投入してゲームが開始した後の状態を示す図である。
図3】信号玩具の内部構造を示す図である。
図4】信号玩具の内部構造を示す一部拡大図である。
図5】信号玩具の作動を説明する図である。
図6】ゲート部材の(a)正面図、(b)側面図である。
図7】ゲート部材に衝突した走行玩具がコースアウトした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。本実施形態においては、所定の走路21を走行する走行玩具22を使用したゲームを例に挙げて説明する。
【0023】
本実施形態に係る信号玩具10は、ゲームの開始タイミングを報知するためのものであり、図1及び図2に示すように、縦長に形成された玩具本体11と、玩具本体11に下部を軸支されて揺動可能に取り付けられたアーム14と、前記アーム14を開き方向に作動させる作動手段としてのゼンマイ機構15と、前記玩具本体11に軸支されて揺動可能に取り付けられるゲート部材16と、を備えて構成される。
【0024】
(玩具本体11)
玩具本体11は、図1に示すように、コイン20を投下するための投下口11aが上方に向けて開口している。この開口幅はコイン20の横幅と略同じであり、投下されたコイン20が真下に落下するように形成されている。投下口11aの下方には、図3に示すように、両側に配設された通路壁11bによって投下口11aと略同じ幅でコイン通過路11cが形成されている。このコイン通過路11cは、投下口11aから投下されたコイン20を通過させるために略鉛直方向に形成されている。
【0025】
玩具本体11の側部には、図3に示すように、コイン通過路11cを通過するコイン20を視認可能とする表示窓が上下に複数配設されている。本実施形態においては、第1表示窓11d、第2表示窓11e、第3表示窓11f、第4表示窓11gの4つの表示窓が配設されている。このうち、上の3つの表示窓、すなわち、第1表示窓11d、第2表示窓11e、第3表示窓11fの3つは円形で貫通形成されている。また、最下部の表示窓、すなわち、第4表示窓11gは略正方形で貫通形成されている。
【0026】
本実施形態においては、第4表示窓11gにまでコイン20が落下したタイミングをゲームの開始タイミングとしているため、特別な表示窓として他の表示窓と形状を異ならせている。すなわち、投下口11aからコイン20を投下すると、このコイン20はコイン通過路11cに沿って落下していき、第1表示窓11d、第2表示窓11e、第3表示窓11f、第4表示窓11gの順に遊戯者に視認される。そして、コイン20が第4表示窓11gまで落下すると、図2に示すように、ゲート部材16が作動してゲートが開き、ゲームが開始できる状態となる。
【0027】
なお、上記した4つの表示窓は表裏に貫通形成されており、第1表示窓11d、第2表示窓11e、第3表示窓11fの3つはコイン20よりもやや小さめに形成されている。このため、コイン20はこれらの表示窓からコイン通過路11cの外へと脱落することはない。一方、第4表示窓11gは、表裏のうちの少なくともいずれかの開口がコイン20よりも大きく形成されている。このため、第4表示窓11gまで落ちきったコイン20は第4表示窓11gから外部へと取り出し可能である。
【0028】
(アーム14)
アーム14は、図3に示すように、長尺の基部14fの側部に複数の突出部を設けたものであり、本実施形態においては、第1突出部14a、第2突出部14b、第3突出部14cの3つの突出部を備えている。
【0029】
このアーム14は、下部に設けられた揺動支点14eを支点として玩具本体11に揺動可能に軸支されており、玩具本体11に対して開き方向に揺動可能となっている。このアーム14の揺動支点14eは、詳しくは図示しないが、ゼンマイ機構15と連結されており、このゼンマイ機構15によって開き方向へと付勢される。このため、自由状態においては、アーム14は玩具本体11に対して開いた状態となる。しかしながら、アーム14の上端付近には、アーム14を玩具本体11に対して閉じた状態で維持するための被係止部14dが設けられている。
【0030】
この被係止部14dは、玩具本体11に回動可能に設けられた係止部材12と係合可能となっている。係止部材12は、図4に示すように、玩具本体11に軸支される揺動軸12bを挟んで、一方端部に係止爪12aを備え、他方端部に係止解除部12cを備えている。この係止部材12の揺動軸12bにはトーションスプリング13が取り付けられ、このトーションスプリング13によって係止爪12aが被係止部14dと係合する方向に付勢されている。このため、アーム14を閉じ方向に手動で揺動させると、被係止部14dが係止爪12aを押し上げたのちに係止爪12aと被係止部14dとが係合し、アーム14を玩具本体11に対して閉じた状態で維持することができる。なお、係止解除部12cは、第1表示窓11dの上部においてコイン通過路11cを遮断する方向に突出している。
【0031】
前記した複数の突出部は、図3に示すように、コイン通過路11cを遮断する方向に突出している。詳しくは、第1突出部14aは第1表示窓11dと第2表示窓11eとの間においてコイン通過路11cを遮断する方向に突出しており、第2突出部14bは第2表示窓11eと第3表示窓11fとの間においてコイン通過路11cを遮断する方向に突出しており、第3突出部14cは第3表示窓11fと第4表示窓11gとの間においてコイン通過路11cを遮断する方向に突出している。このため、コイン通過路11cを通過するコイン20は、第1突出部14a、第2突出部14b、第3突出部14cによって落下が妨げられるようになっている。そして、第1突出部14aによって落下が妨げられたコイン20は、第1表示窓11dの高さ位置に留まるように形成され、第2突出部14bによって落下が妨げられたコイン20は、第2表示窓11eの高さ位置に留まるように形成され、第3突出部14cによって落下が妨げられたコイン20は、第3表示窓11fの高さ位置に留まるように形成されている。
【0032】
なお、第1突出部14a、第2突出部14b、第3突出部14cの上面は、図3に示すように、アーム14の揺動支点14eを中心とする円弧状に形成されている。言い換えると、第1突出部14aの上面、第2突出部14bの上面、第3突出部14cの上面のそれぞれは、アーム14の揺動支点14eからの距離が略等しくなるように形成されている。このため、アーム14が作動手段により開き方向に作動させられたときに第1突出部14a、第2突出部14b、第3突出部14cの上面の高さを一定に維持することができる。言い換えると、第1突出部14a、第2突出部14b、第3突出部14cの上面に載っているコイン20の高さ位置を一定に維持することができるので、落下直前まで表示窓から見えているコイン20の高さ位置が変化しないように形成されている。
【0033】
(ゲート部材16)
ゲート部材16は、図3に示すように、回動軸部16aを支点として玩具本体11に回動可能に軸支されており、コイン通過路11c内に突出するコイン受部16bと、このコイン受部16bの逆端側に設けられた遮断部16cと、を備えている。なお、コイン受部16bは、最下部の表示窓である第4表示窓11gの直上部においてコイン通過路11cを遮断する方向に突出している。
【0034】
このゲート部材16は、コイン受部16b側よりも遮断部16c側が重く形成されているため、自重により遮断部16c側が下に傾こうとするが、この遮断部16cの底面を下方から支持するゲート支持部11hが玩具本体11に設けられているため、自然状態において略平行を維持している。
【0035】
このゲート部材16は、コイン通過路11cを通過するコイン20の重みがコイン受部16bに加えられたときに揺動し、揺動することで遮断部16cが上動するように形成されている。本実施形態においては、落ちきったコイン20がコイン受部16bを押し下げたままの状態となるため、落ちきったコイン20を取り除くまでは遮断部16cが上がったままの状態を維持するようになっている。そして、コイン20を取り除けば、自重により遮断部16c側が下動し、図3に示すような略平行状態に戻る。
【0036】
玩具本体11の外方に突出した遮断部16cは、図1及び図2に示すように、走行玩具22を走行させるための所定の走路21を遮断するように配置される。これにより、遮断部16cが上動するまでは走行玩具22が走路21を通過できないようにしている。
【0037】
本実施形態に係る遮断部16cは、図7に示すように、所定の走路21を走行する走行玩具22が遮断部16cに衝突したときに、当該走行玩具22が乗り上げ可能かつ走路21の側方へと導かれるように傾斜している。詳しくは、図6に示すように、走行玩具22と対向する衝突面16dが走行玩具22の走行方向(図6(a)において右から左への方向)に従って高くなるように傾斜しており、かつ、この走行方向と直交する方向(図6(a)において手前から奥への方向)にも傾斜している。
【0038】
このため、遮断部16cが上動する前(すなわち、信号玩具10がゲームのスタートを報知する前)に走行玩具22をスタートさせた場合、走行玩具22が遮断部16cに衝突して走路21からコースアウトしてしまうように形成されている。このため、遊戯者は、コイン20が落ち切るタイミングを第1表示窓11d、第2表示窓11e、第3表示窓11fを通過するコイン20を見ながら予測し、遮断部16cに衝突しないぎりぎりのタイミングを狙って走行玩具22をスタートさせる必要がある。
【0039】
(信号玩具10の作動について)
次に信号玩具10の作動について、図5等を参照しつつ説明する。
【0040】
まず、信号玩具10を使用するにあたり、アーム14が開いた状態であれば、アーム14を閉じた状態にセットする。すなわち、アーム14を閉じ方向に手動で揺動させて係止爪12aと被係止部14dとを係合させる。このとき、アーム14を閉じ方向に揺動させることでゼンマイ機構15のゼンマイが巻き上げられるので、係止爪12aと被係止部14dとの係合が外れればアーム14は開き方向に作動する状態である。
【0041】
アーム14を閉じた状態にセットしたら、図5(a)に示すように、コイン20を投下口11aから投下する。
【0042】
投下されたコイン20は、図5(b)に示すように、第1突出部14aに落下を阻止される。落下を阻止されたコイン20は第1表示窓11dから視認できる。このとき、係止部材12の係止解除部12cがコイン20によって押動され、係止爪12aと被係止部14dとの係合が外れるので、ゼンマイ機構15の駆動力によりアーム14は開き方向に作動を開始する。
【0043】
アーム14が開き方向に作動することで、第1突出部14aがコイン通過路11cから退避すると、第1突出部14aによって落下が妨げられていたコイン20が落下する。このとき、第2突出部14bは、第1突出部14aよりも中心に近いために移動距離が小さく、未だコイン通過路11cから退避していない。よって、落下したコイン20は第2突出部14bに落下を阻止される。落下を阻止されたコイン20は、図5(c)に示すように、第2表示窓11eから視認できる。
【0044】
更にアーム14が開き方向に作動すると、第2突出部14bがコイン通過路11cから退避することで、第2突出部14bによって落下が妨げられていたコイン20が落下する。このとき、第3突出部14cは、第2突出部14bよりも中心に近いために移動距離が小さく、未だコイン通過路11cから退避していない。よって、落下したコイン20は第3突出部14cに落下を阻止される。落下を阻止されたコイン20は、図5(d)に示すように、第3表示窓11fから視認できる。
【0045】
そして、アーム14が完全に開ききると、第3突出部14cがコイン通過路11cから退避することで、第3突出部14cによって落下が妨げられていたコイン20が落下する。落下したコイン20は、ゲート部材16のコイン受部16bを押し下げるので、遮断部16cが上がった状態となる。
【0046】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、玩具本体11の側部には、コイン通過路11cを通過するコイン20を視認可能とする表示窓11d〜gが上下に複数配設されているので、コイン20が上の表示窓から下の表示窓へと移動していく様を見ることで、コイン20が落ちきるタイミング(ゲーム開始のタイミング)を遊戯者が予測することができる。なお、コイン20が単に落下するだけでは落下スピードが速過ぎて遊戯者が視認できないが、アーム14が徐々に開き方向に作動することで突出部14a〜14cによって落下が妨げられていたコイン20が徐々に落下していく構造となっているので、アーム14の作動速度を調整することでコイン20の落下タイミングを調整することができる。
【0047】
しかも、このような構造を複雑な装置を使用せずに実現できるので、簡易な構造かつ低コストで製造することができる。
【0048】
また、前記玩具本体11に軸支されて揺動可能に取り付けられるゲート部材16を更に備え、このゲート部材16がコイン20の重みで作動するので、遊戯の開始タイミングを単に報知するだけではなく、走行玩具22の走行などを妨げて、不正なスタートが行われないようにすることができる。
【0049】
また、前記遮断部16cは、走行玩具22を走行させるための所定の走路21を遮断するように配置したときに、走行玩具22と対向する衝突面16dが走行玩具22の走行方向及びこの走行方向と直交する方向に傾斜しているので、早くスタートしてしまった走行玩具22が走路21の側方へコースアウトするように形成されている。このため、ゲームの開始タイミングを予測して駆け引きを行うというゲーム性が生じるので、ゲームの興趣を増すことができる。
【0050】
また、前記突出部14a〜14cの上面は、前記アーム14の揺動支点14eを中心とする円弧状に形成されているので、アーム14が作動手段により開き方向に作動させられたときに突出部14a〜14cの上面の高さを一定に維持することができる。言い換えると、突出部14a〜14cの上面に載っているコイン20の高さ位置を一定に維持することができるので、落下直前まで表示窓11d〜gから見えているコイン20の高さ位置が変化せず、落下したコイン20があたかも上の表示窓から下の表示窓へと瞬間的に移動したかのような印象を遊戯者にあたえることができ、新規な印象の玩具を提供することができる。
【0051】
なお、上記した実施形態においては、所定の走路21を走行する走行玩具22を使用したゲームを例に挙げて説明したが、本発明の信号玩具10の利用形態としてはこれに限るものではなく、開始タイミングを報知する必要のある種々のゲームに適用することができる。
【0052】
また、上記した実施形態においては、アーム14を開き方向に作動させる作動手段としてゼンマイ機構15を使用したが、本発明の実施形態としてはこれに限らない。例えば、バネ機構によりアーム14を開き方向に作動させてもよいし、モータによりアーム14を開き方向に作動させてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 信号玩具
11 玩具本体
11a 投下口
11b 通路壁
11c コイン通過路
11d 第1表示窓
11e 第2表示窓
11f 第3表示窓
11g 第4表示窓
11h ゲート支持部
12 係止部材
12a 係止爪
12b 揺動軸
12c 係止解除部
13 トーションスプリング
14 アーム
14a 第1突出部
14b 第2突出部
14c 第3突出部
14d 被係止部
14e 揺動支点
14f 基部
15 ゼンマイ機構(作動手段)
16 ゲート部材
16a 回動軸部
16b コイン受部
16c 遮断部
16d 衝突面
20 コイン
21 走路
22 走行玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7