【実施例】
【0054】
実施例1:2,9−1MP−DNTTの合成
【化12】
2−メトキシ−6−(1−ヒドロキシ−1−メチルペンチル)ナフタレン(1):n−BuLi(ヘキサン中2.5M、6.2mL、15.5mmol)を、2−メトキシ−6−ブロモナフタレン(3.5g、14.76mmol)のTHF(120mL)中の溶液に、−78℃において窒素下で滴下した。−78℃で2時間攪拌した後、2−ヘキサノン(2.19mL、17.71mmol)を滴下し、得られた溶液を室温まで温め、終夜撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機層を分離した。次に、有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、半固体状の粗化合物を得た。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(1:4、v/v))によって精製して、1を白色固形物(3.0g、79%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.84(d、1H、J=1.5Hz)、7.74(d、1H、J=8.5Hz)、7.72(d、1H、J=8.5Hz)、7.50(dd、1H、J=8.5Hz、1.5Hz)、7.14(m、2H)、3.93(s、3H)、1.90(m、2H)、1.64(s、3H)、1.13〜1.28(m、4H)、0.84(t、3H)。
【0055】
2−メトキシ−6−(1−メチルペンチル)ナフタレン(2):2−メトキシ−6−(1−ヒドロキシ−1−メチルペンチル)ナフタレン(1、0.50g、1.935mmol)のジクロロメタン(15mL)中の溶液に、トリエチルシラン(0.35mL、2.19mmol)を加え、得られた溶液を窒素下で0℃に冷却した。次に、トリフルオロ酢酸(1.49mL、19.34mmol)を30分かけて滴下することで、溶液を処理した。溶液を室温まで温め、3時間撹拌した。反応混合物をNaOH(1M、25mL)で注意深くクエンチして、塩基性混合物(pH約10)を得て、これをジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗化合物を油状物質として得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(2:1、v/v))によって精製して、2を無色油状物質(0.34g、73%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.70(d、1H、J=3.0Hz)、7.68(m、1H)、7.54(d、1H、J=2.0Hz)、7.31(dd、1H、8.5Hz、2.0Hz)、7.12(m、2H)、3.92(s、3H)、2.82(m、1H)、1.65(m、2H)、1.31(d、3H、J=7.0Hz)、1.10〜1.28(m、4H)、0.83(t、3H)。
【0056】
2−メトキシ−3−メチルチオ−6−(1−メチルペンチル)ナフタレン(3):2−メトキシ−6−(1−メチルペンチル)ナフタレン(2、1.37g、5.65mmol)のTHF(25mL)中の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、2.49mL、6.22mmol)を−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を−78℃で15分間撹拌し、室温でさらに1時間撹拌した。溶液を次に−78℃に冷却し、ジメチルジスルフィド(0.61mL、6.88mmol)を滴下した。得られた溶液を室温まで温め、15時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(200mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗化合物を無色油状物質として得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(2:1、v/v))によって精製して、3を無色油状物質(1.20g、74%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.64(d、1H、J=8.0Hz)、7.49(s、1H)、7.43(s、1H)、7.25(m、1H)、7.07(s、1H)、4.00(s、3H)、2.80(m、1H)、2.55(s、3H)、1.63(m、2H)、1.31(d、3H、J=7.0Hz)、1.15〜1.23(m、4H)、0.84(t、3H)。
【0057】
6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフトール(4):BBr
3のジクロロメタン中の溶液(1.0M、3.55mL、3.55mmol)を、2−メトキシ−3−メチルチオ−6−(1−メチルペンチル)ナフタレン(3、0.50g、1.73mmol)のジクロロメタン(5mL)中の溶液に−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を次に室温まで温め、19時間攪拌した。反応混合物を次に氷中に注ぎ、生成物をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮すると、4が無色油状物質として得られ、これは実質的に純粋であり、さらに精製せずに次のステップで使用した(0.44g、93%収率)。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.97(s、1H)、7.63(d、J=8.5Hz、1H)、7.49(brs、1H)、7.31(dd、J=8.5Hz、2.0Hz、1H)、7.30(s、1H)、6.59(s、1H)、2.81(m、1H)、2.43(s、3H)、1.65(m、2H)、1.31(d、3H、J=7.0Hz)、1.16〜1.29(m、4H)、0.85(t、3H)。
【0058】
トリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(5):6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフトール(4、0.86g、3.13mmol)およびピリジン(0.81mL、10.02mmol)のジクロロメタン(20mL)中の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.61mL、3.63mmol)を0℃において窒素下で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に水(10mL)およびHCl(4MのHCl、10mL)で希釈した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗油状生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(9:1、v/v))によって精製して、5を無色油状物質(1.10g、87%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.75(d、1H、J=8.5Hz)、7.70(s、1H)、7.66(s、1H)、7.58(br s、1H)、7.38(dd、1H、J=8.5Hz、1.5hHz)、2.85(m、1H)、2.60(s、3H)、1.67(m、2H)、1.32(d、3H、J=7.0Hz)、1.15〜1.28(m、4H)、0.85(t、3H)。
【0059】
trans−1,2−ビス(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(6):試薬のトリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(5、0.60g、1.48mmol)、trans−1,2−ビス(トリブチルスタンニル)エテン(0.45g、0.74mmol)、およびPd(PPh
3)
4(25.6mg、0.022mmol)を乾燥DMF(20mL)中に窒素下で溶解させ、得られた反応混合物を暗所で100℃に15時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を水で希釈し、クロロホルム(100mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、半固体状の粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(4:1、v/v))によって精製して、6を白色固形物(0.36g、82%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.07(s、2H)、7.79(d、2H、J=8.5Hz)、7.65(s、2H)、7.62(s、2H)、7.53(s、2H)、7.30(dd、2H、J=8.5Hz、1.5Hz)、2.84(m、2H)、2.60(s、6H)、1.68(m、4H)、1.33(d、6H、J=7.0Hz)、1.17〜1.31(m、8H)、0.86(t、6H)。
【0060】
2,9−ビス(1−メチルペンチル)ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−1MP−DNTT):trans−1,2−ビス(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(6、0.80g、1.48mmol)およびヨウ素(12.01g、47.32mmol)のクロロホルム(60mL)中の混合物を19時間還流した。室温まで冷却した後、反応混合物を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(100mL)でクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色粗固形物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(4:1、v/v))によって精製し、続いてヘキサンからの再結晶によって、2,9−1MP−DNTTを黄色結晶固形物(0.31g、41%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.36(s、2H)、8.32(s、2H)、7.97(d、2H、J=8.5Hz)、7.70(s、2H)、7.41(d、2H、J=8.5Hz)、2.90(m、2H)、1.70(m、4H)、1.36(d、6H、J=7.0Hz)、1.12〜1.34(m、8H)、0.89(t、6H)。
13C NMR(CDCl
3):δ14.12、22.30、22.85、30.05、37.98、40.21、119.75、121.94、124.38、125.87、128.26、130.07、131.67、131.80、133.36、140.77、145.56ppm。(C
34H
36S
2)の分析計算値:C、80.26;H、7.13。実測値:C、80.33;H、6.91.m.p.262〜263℃。
【0061】
実施例2:2,9−1MB−DNTTの合成
【化13】
2−メトキシ−6−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)ナフタレン(1):n−BuLi(ヘキサン中2.5M、9.2mL、22.9mmol)を、2−メトキシ−6−ブロモナフタレン(5.2g、21.85mmol)のTHF(100mL)中の溶液に−78℃において窒素下で滴下した。−78℃で1時間撹拌した後、2−ペンタノン(2.79mL、26.22mmol)を滴下し、得られた溶液を室温まで温め、終夜撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機層を分離した。次に、有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮すると、半固体状の粗化合物が得られ、これをさらに精製せずに次のステップで使用した(5.20g、97%収率)。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.83(d、1H、J=1.5Hz)、7.75(d、1H、J=8.5Hz)、7.72(d、1H、J=8.5Hz)、7.52(dd、1H、J=8.5Hz、1.5Hz)、7.12(m、2H)、3.93(s、3H)、1.91(m、2H)、1.64(s、3H)、1.14〜1.29(m、2H)、0.83(t、3H)。
【0062】
2−メトキシ−6−(1−メチルブチル)ナフタレン(2):2−メトキシ−6−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)ナフタレン(1、5.34g、21.86mmol)のジクロロメタン(120mL)中の溶液に、トリエチルシラン(3.90mL、24.70mmol)を加え、得られた溶液を窒素下で0℃に冷却した。次に、トリフルオロ酢酸(16.84mL、218.6mmol)を30分かけて滴下することで、溶液を処理した。溶液を室温まで温め、終夜撹拌した。反応混合物をNaOH(1M、25mL)で注意深くクエンチして、塩基性混合物(pH約10)を得て、これをジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗化合物を油状物質として得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(2:1、v/v))によって精製して、2を無色油状物質(3.20g、64%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.71(d、1H、J=3.0Hz)、7.69(m、1H)、7.54(d、1H、J=2.0Hz)、7.34(dd、1H、8.5Hz、2.0Hz)、7.14(m、2H)、3.93(s、3H)、2.83(m、1H)、1.63(m、2H)、1.31(d、3H、J=7.0Hz)、1.11〜1.29(m、2H)、0.82(t、3H)。
【0063】
2−メトキシ−3−メチルチオ−6−(1−メチルブチル)ナフタレン(3):2−メトキシ−6−(1−メチルブチル)ナフタレン(2、3.00g、13.14mmol)のTHF(60mL)中の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、5.78mL、14.45mmolを−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を−78℃で15分間撹拌し、室温でさらに1時間撹拌した。溶液を次に−78℃に冷却し、ジメチルジスルフィド(1.40mL、15.77mmol)を滴下した。溶液を室温まで温め、終夜撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(200mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗化合物を無色油状物質として得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(3:1、v/v))によって精製して、3を無色油状物質(2.60g、72%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.63(d、1H、J=8.0Hz)、7.52(s、1H)、7.44(s、1H)、7.24(m、1H)、7.08(s、1H)、4.01(s、3H)、2.83(m、1H)、2.54(s、3H)、1.63(m、2H)、1.31(d、3H、J=7.0Hz)、1.16〜1.24(m、2H)、0.83(t、3H)。
【0064】
6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオ−2−ナフトール(4):BBr
3のジクロロメタン中の溶液(1.0M、18.67mL、18.67mmol)を、2−メトキシ−3−メチルチオ−6−(1−メチルペンチル)ナフタレン(3、2.50g、9.11mmol)のジクロロメタン(25mL)中の溶液に−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を次に室温まで温め、20時間攪拌した。反応混合物を次に氷に注ぎ、生成物をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮すると、4が無色油状物質として得られ、これは実質的に純粋であり、さらに精製せずに次のステップで使用した(2.35g、99%収率)。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.98(s、1H)、7.64(d、J=8.5Hz、1H)、7.49(brs、1H)、7.33(dd、J=8.5Hz、2.0Hz、1H)、7.31(s、1H)、6.60(s、1H)、2.82(m、1H)、2.45(s、3H)、1.64(m、2H)、1.32(d、3H、J=7.0Hz)、1.17〜1.30(m、2H)、0.83(t、3H)。
【0065】
トリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(5):6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオ−2−ナフトール(4、2.0g、7.68mmol)およびピリジン(1.99mL、24.58mmol)のジクロロメタン(50mL)中の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.48mL、8.83mmol)を0℃において窒素下で加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に水(10mL)およびHCl(4MのHCl、10mL)で希釈した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗油状生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(8:1、v/v))によって精製して、5を無色油状物質(2.40g、80%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.74(d、1H、J=8.5Hz)、7.71(s、1H)、7.67(s、1H)、7.60(br s、1H)、7.39(dd、1H、J=8.5Hz、1.5hHz)、2.83(m、1H)、2.59(s、3H)、1.68(m、2H)、1.32(d、3H、J=7.0Hz)、1.15〜1.28(m、2H)、0.83(t、3H)。
【0066】
trans−1,2−ビス(6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(6):試薬のトリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(5、1.50g、3.82mmol)、trans−1,2−ビス(トリブチルスタンニル)エテン(1.16g、1.91mmol)、およびPd(PPh
3)
4(66.2mg、0.057mmol)を乾燥DMF(50mL)中に窒素下で溶解させ、得られた反応混合物を暗所で100℃に18時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を水で希釈し、クロロホルム(100mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、半固体状の粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(4:1、v/v))によって精製して、6を白色固形物(0.83g、85%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.10(s、2H)、7.80(d、2H、J=8.5Hz)、7.67(s、2H)、7.63(s、2H)、7.54(s、2H)、7.31(dd、2H、J=8.5Hz、1.5Hz)、2.83(m、2H)、2.61(s、6H)、1.69(m、4H)、1.34(d、6H、J=7.0Hz)、1.18〜1.32(m、4H)、0.85(t、6H)。
【0067】
2,9−ビス(1−メチルブチル)ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2,9−1MB−DNTT):trans−1,2−ビス(6−(1−メチルブチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(6、0.60g、1.17mmol)およびヨウ素(9.5g、37.44mmol)のクロロホルム(40mL)中の混合物を19時間還流した。室温に冷却した後、反応混合物を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(100mL)でクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色粗固形分を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:クロロホルム(4:1、v/v))によって精製し、次にヘキサンからの再結晶によって、2,9−1MB−DNTTを黄色結晶固形物(0.31g、40%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.35(s、2H)、8.32(s、2H)、7.97(d、2H、J=8.5Hz)、7.70(s、2H)、7.41(d、2H、J=8.5Hz)、2.93(m、2H)、1.74(m、4H)、1.37(d、6H、J=7.0Hz)、1.13〜1.35(m、4H)、0.91(t、6H)。
13C NMR(CDCl
3):δ14.23、20.93、22.25、39.94、40.50、119.75、121.93、124.38、125.87、128.26、130.06、131.66、131.79、133.36、140.78、145.51ppm。(C
32H
32S
2)の分析計算値:C、79.95;H、6.71。実測値:C、80.03;H、6.77.m.p.280〜281℃。
【0068】
実施例3:2,9−1MD−DNTTの合成
【化14】
この実施例では、2,9−1MD−DNTT(実施例X)は、実施例1(2,9−1MP−DNTT、R=−CH(CH
3)C
4H
9)および2(2,9−1MB−DNTT、R=−CH(CH
3)C
3H
7)よりも長いアルキル置換基(R=−CH(CH
3)C
11H
23)を有する。より長いアルキル鎖では、アルキル鎖のかみ合いにより薄膜層中の分子配向が向上し、それによって向上した電荷輸送特性を有する高結晶性で連続で均一な膜形態を得ることができると予想される。さらに、より長いアルキル鎖では、効率的な溶液処理のための一般的な有機溶媒に対する半導体の良好な溶解性も得られる。不溶性DNTT半導体の電荷輸送特性に対するアルキル鎖長の影響は、Adv.Mater.2011,23,1222−1225に示されており、蒸着OTFTの場合−n−C
6H
13から−n−C
12H
13になると約5〜10倍の移動度の向上が観察された
【0069】
実施例4:2−1MP−DNTTの合成
【化15】
2−メトキシ−3−メチルチオナフタレン(1):2−メトキシナフタレン(5.00g、31.60mmol)のTHF(30mL)中の溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、13.91mL、34.77mmol)を−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を−78℃で15分間撹拌し、室温でさらに1時間撹拌した。溶液を次に−78℃に冷却し、ジメチルジスルフィド(3.36mL、37.88mmol)を滴下した。得られた溶液を室温まで温め、15時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチし、ジエチルエーテル(200mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗化合物を白色固形物として得た。この粗生成物をヘキサンからの再結晶によって精製して、1を白色固形物(4.64g、71%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.71(d、2H、J=9.0Hz)、7.42(s、1H)、7.38(m、2H)、7.10(s、1H)、4.02(s、3H)、2.56(s、3H)。
【0070】
3−メチルチオ−2−ナフトール(2):BBr
3のジクロロメタン中の溶液(1.0M、37.10mL、37.10mmol)を、2−メトキシ−3−メチルチオナフタレン(1、3.70g、18.11mmol)のジクロロメタン(10mL)中の溶液に−78℃において窒素下で滴下した。得られた溶液を次に室温まで温め、16時間撹拌した。反応混合物を次に氷に注ぎ、生成物をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮すると、2が白色固形物として得られ、これは実質的に純粋であり、さらに精製せずに次のステップで使用した(2.70g、78%収率)。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.98(s、1H)、7.72(m、1H)、7.65(m、1H)、7.41(m、1H)、7.33(s、1H)、7.30(m、1H)、6.62(s、1H)、2.42(s、3H)。
【0071】
トリフルオロメタンスルホン酸3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(3):3−メチルチオ−2−ナフトール(2、3.0g、15.77mmol)およびピリジン(4.08mL、50.45mmol)のジクロロメタン(40mL)中の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(3.05mL、18.16mmol)を0℃において窒素下で加えた。得られた反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に水(30mL)およびHCl(4MのHCl、30mL)で希釈した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗油状生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(5:1、v/v))によって精製して、3を白色固形物(3.50g、69%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.81(m、2H)、7.74(s、1H)、7.70(s、1H)、7.54(m、2H)、2.61(s、3H)。
【0072】
trans−1−(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)−2−(3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(4):試薬のトリフルオロメタンスルホン酸3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(3、0.265g、0.825mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(0.335g、0.825mmol)、trans−1,2−ビス(トリブチルスタンニル)エテン(0.500g、0.825mmol)、およびPd(PPh
3)
4(28.6mg、0.025mmol)を乾燥DMF(20mL)中に窒素下で溶解させ、得られた反応混合物を暗所で100℃に18時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、クロロホルム(200mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、半固体状の粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(2:1、v/v))によって精製して、4を黄色半固形物(0.14g、37%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.11(s、1H)、8.07(s、1H)、7.78(d、1H、J=7.0Hz)、7.79(d、1H、J=8.5Hz)、7.77(d、1H、J=7.5Hz)、7.66(m、3H)、7.62(s、1H)、7.53(s、1H)、7.45(m、2H)、7.31(dd、1H、J=8.5Hz、1.5Hz)、2.85(m、1H)、2.61(s、3H)、2.60(s、3H)、1.67(m、2H)、1.33(d、3H、J=7.0Hz)、1.17〜1.31(m、4H)、0.87(t、3H)。
【0073】
2−(1−メチルペンチル)ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(2−1MP−DNTT):trans−1−(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)−2−(3−メチルチオナフタレン−2−イル)エテン(4、0.130g、0.285mmol)およびヨウ素(2.31g、9.11mmol)のクロロホルム(10mL)中の混合物を23時間還流した。室温に冷却した後、反応混合物を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(30mL)でクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色粗固形物を得た。この粗生成物をシリカゲル(溶離剤としてクロロホルム)のショートプラグに通すことによって精製し、続いてクロロホルムからの再結晶によって、2−1MP−DNTTを黄色固形分(20mg、16.5%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.43(s、1H)、8.37(s、2H)、8.34(s、1H)、8.05(m、1H)、7.97(m、2H)、7.70(s、1H)、7.54(m、2H)、7.42(dd、1H、J=8.5Hz、1.5Hz)、2.91(m、1H)、1.71(m、2H)、1.37(d、3H、J=7.0Hz)、1.11〜1.35(m、4H)、0.87(t、3H).m.p.>300℃。
【0074】
実施例5:1MP−NTTBの合成
【化16】
トリフルオロメタンスルホン酸2−(メチルチオ)フェニル(1):2−(メチルチオ)フェノール(5.0g、35.6mmol)およびピリジン(9.22mL、114.1mmol)のジクロロメタン(40mL)中の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.88mL、41.0mmol)を0℃において窒素下で加えた。得られた反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に水(40mL)およびHCl(4MのHCl、40mL)で希釈した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗油状生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(4:1、v/v))によって精製して、1を無色油状物質(9.40g、96%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:7.36(dd、2H、J=4.5Hz、1.5Hz)、7.25(m、2H)、2.51(s、3H)。
【0075】
trans−1−(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)−2−(2−(メチルチオ)フェニル)エテン(2):試薬のトリフルオロメタンスルホン酸2−(メチルチオ)フェニル(1、1.00g、3.69mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオ−2−ナフチル(naphtyl)(1.50g、3.69mmol)、trans−1,2−ビス(トリブチルスタンニル)エテン(2.24g、3.69mmol)、およびPd(PPh
3)
4(128mg、0.11mmol)を乾燥DMF(90mL)中に窒素下で溶解させ、得られた反応混合物を暗所で100℃に14時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、クロロホルム(300mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、半固体状の粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(5:1、v/v))によって精製して、2を黄色半固形物(0.365g、24%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.03(s、1H)、7.77(d、1H、J=8.0Hz)、7.69(dd、1H、J=8.0Hz、1.5Hz)、7.60(s、1H)、7.58(s、1H)、7.57(s、1H)、7.52(s、1H)、7.31(m、4H)、2.82(m、1H)、2.58(s、3H)、2.50(s、3H)、1.66(m、2H)、1.33(d、3H、J=7.0Hz)、1.17〜1.31(m、4H)、0.85(t、3H)。
【0076】
2−(1−メチルペンチル)ナフト[2,3−b]ベンゾ[1,2−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(1MP−NTTB):trans−1−(6−(1−メチルペンチル)−3−メチルチオナフタレン−2−イル)−2−(2−(メチルチオ)フェニル)エタン(2、0.365g、0.90mmol)およびヨウ素(7.29g、28.72mmol)のクロロホルム(30mL)中の混合物を16時間還流した。室温に冷却した後、得られた反応混合物を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液(60mL)でクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、黄色粗固形分を得た。この粗生成物をシリカゲル(溶離剤としてクロロホルム)のショートプラグに通すことによって精製し、続いてクロロホルムからの再結晶によって、1MP−NTTBを黄色固形物(120mg、36%収率)として得た。
1H NMR(CDCl
3 500MHz):δ:8.34(s、1H)、8.33(s、1H)、7.97(m、2H)、7.89(d、1H、J=8.0Hz)、7.69(s、1H)、7.50(m、1H)、7.44(m、2H)、2.90(m、1H)、1.70(m、2H)、1.36(d、3H、J=7.0Hz)、1.12〜1.37(m、4H)、0.85(t、3H)。MS(MALDI)m/z(M
+.):(C
24H
22S
2)の計算値、374.56;実測値、373.86。(C
24H
22S
2)の分析計算値:C、76.96;H、5.92。実測値:C、76.88;H、5.90。m.p.>210〜211℃。
【0077】
実施例6:2,9−C
n−DNTT(n=6、8、10、12)および2,9−1MP−DNTTの間の溶解性データの比較
C
n−DNTT(C
n=直鎖アルキル鎖)の溶解性は、有機溶媒に対する溶解性が非常に低い(60℃においてトルエンに対して最大約80mg/L)(Adv.Mater.2011,23,1222−1225を参照されたい)。2,9−1MP−DNTTの溶解性は、60℃においてトルエンに対して約50g/Lとなることができ、これは同じ(またはより少ない)炭素原子数を有する対応する直鎖アルキル鎖DNTT化合物の>500倍である。
【0078】
実施例7:デバイスの製造および試験の手順
デバイス製造手順(ボトムゲートトップコンタクト(BGTC)):半導体層として本教示の化合物を使用してBGTC TFTを作製した。3000Åの熱成長二酸化ケイ素層を有するn−ドープシリコンウエハ(100)(Addison Inc.)をデバイス基板として使用した。半導体を堆積する前に、Si/SiO
2表面を特殊なオクタデシルトリクロロシラン(OTS)処理プロセスによって改質した。0.1〜0.5Å/sの堆積速度および30〜120℃の基板温度で物理蒸着(PVD)によって、厚さ約40〜120nmの半導体薄膜を形成した。トランジスターチャンネルを画定するステンシルマスクを介して、300Åの金のソース/ドレイン電極を半導体層の上に蒸着することによって、TFTを完成した。チャンネル長さおよび幅は、それぞれ約50〜200μmおよび約500〜2000μmである。二酸化ケイ素層はゲート絶縁体として機能した。ゲート電極は、ドープシリコンとオーム性接触によって接続された。
【0079】
デバイス製造手順(トップゲートボトムコンタクト(TGBC)):TGBCデバイスの場合、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板(2インチ×2インチ)をUV硬化性ポリマー膜(ActivInk D1400、Polyera Corp.,Skokie,IL)で平坦化した。次に30nmの銀層を熱蒸着によって堆積した。ソースおよびドレイン接点はフォトリソグラフィ法を使用してパターン化し、銀は酸および水の混合物によってエッチングした。半導体は、2000rpmにおいて炭化水素溶液(15mg−mL)からスピンコーティングした。半導体の膜厚は、半導体の溶解性に依存する。2,9−1MP−DNTTの場合、膜は約60nmの厚さだった。残留溶媒を除去するため、これらの膜を次にホットプレート上110℃で10分間ベークした。非晶質フルオロポリマーCYTOP(CTL−809M、Asahi Glass Corporation)を、トップゲート誘電体として5000rpmで約450nmの厚さにスピンコーティングし、ホットプレート上約110℃で10分間ベークした。位置合わせしたAgトップゲートストライプを蒸着することで、デバイス構造を完成した。
【0080】
デバイス製造手順(ボトムゲートボトムコンタクト(BGBC)):BGBCデバイスの場合、Cr/Auゲートストライプを、清浄なPEN基板上に蒸着した。続いて、UV硬化性ポリマー膜(ActivInk D1450、Polyera Corp.,Skokie,IL)をスピンコーティングし(厚さ約500nm)、硬化させて、ボトムゲート誘電体を形成した。次に30nmの銀層を熱蒸着によって堆積した。ソースおよびドレイン接点はフォトリソグラフィ法を使用してパターン化し、銀は酸および水の混合物によってエッチングした。TGBCデバイスの場合と同じ手順により半導体薄膜を形成した。
【0081】
実施例8:トランジスター性能の比較
数種類のデバイスアーキテクチャーで2,9−1MP−DNTTのTFT性能を、C8−DNTT(Org.Lett.2011,13,3430に報告される手順により合成した)のTFT性能と比較した。結果を表1にまとめている。
【化17】
【0082】
【表1】
【0083】
図2は、種々のチャンネル長さ(L)における2,9−1MP−DNTT系OTFTデバイス(トップゲートボトムコンタクト)の代表的な移動プロットを示している。
図3は、2,9−1MP−DNTT系OTFTデバイス(ボトムゲートボトムコンタクト、L=10μm)の代表的な移動プロットを示している。
【0084】
すべてのデバイスは、移動特性および出力特性を求めるために、Keithley 4200 Semiconductor Characterization Systemを使用してSignatone Probe Stationで特性決定を行った。デバイスパラメーターは、標準的なトランジスターの式により移動特性データから求めた。
【0085】
本教示は、その趣旨または本質的特性から逸脱せずに、他の特定形態の実施形態を包含する。従って、前記の実施形態は、あらゆる態様において、本明細書に記載されている本教示を限定するものではなく、例示するものとみなすべきである。従って、本発明の範囲は、前記の説明によるのではなく付随の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲に含まれる全ての変更形態は、本発明の範囲に含まれるものとする。