特許第6021924号(P6021924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021924
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】蒸気滅菌器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20161027BHJP
   A61B 90/70 20160101ALI20161027BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   A61L2/07
   A61B90/70
   A61C19/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-534589(P2014-534589)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-533984(P2014-533984A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012056472
(87)【国際公開番号】WO2013052287
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】13/252,606
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】302044247
【氏名又は名称】アメリカン ステリライザー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バクジンスキ、ピーター ジェイ.
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−057453(JP,A)
【文献】 特開2010−227485(JP,A)
【文献】 実開昭61−177639(JP,U)
【文献】 実開昭52−016791(JP,U)
【文献】 米国特許第04263258(US,A)
【文献】 特開昭60−222061(JP,A)
【文献】 特開2009−079738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 12/00−12/14
A61B 34/00−90/98
A61C 19/00−19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具および装置を滅菌するための蒸気滅菌器であって、
内壁と外壁とを有していて、前記内壁が滅菌チャンバを画定し、前記外壁が前記内壁から間隔を空けて配置されて前記滅菌チャンバを取り囲む空洞部を画定するようになっている槽体と、
前記空洞部の下方部に配設されていて、前記空洞部内の液体を加熱して蒸気化するようになっている加熱素子と、
前記槽体に接続されていて、前記空洞部へ液体を搬送するようになっており、また前記空洞部内で発生させられた蒸気を前記空洞部から前記滅菌チャンバへ搬送するようになっており、さらに前記滅菌チャンバから蒸気を排出するようになっている流体回路と、
を備えており、
前記流体回路が、
前記滅菌チャンバを前記空洞部と流体的に接続する経路と、
前記空洞部から前記滅菌チャンバへ向かう蒸気の流れを制御するために前記経路内に設けられた弁と、
液体を前記槽体の前記空洞部へ搬送するためのポンプと、
を備えており、
前記空洞部は、滅菌サイクルが実行されているかどうかに関わらず蒸気を加圧状態に維持すること
を特徴とする蒸気滅菌器。
【請求項2】
前記流体回路が、
熱交換器と、
前記滅菌チャンバから蒸気を排出させるようになっており、前記熱交換器を通り抜けて伸びる第1の経路と、
前記ポンプを前記空洞部へ流体的に接続し、前記熱交換器を通り抜けて伸びる第2の経路と、
をさらに備えており、
前記熱交換器において前記第1の経路内の蒸気と前記第2の経路内の液体との間で熱交換が行われること
を特徴とする請求項1に記載の蒸気滅菌器。
【請求項3】
前記流体回路が、
熱交換器と、
前記滅菌チャンバから蒸気を排出させるようになっており、前記熱交換器を通り抜けて伸びる第1の経路と、
自身を通して冷却流体を搬送するようになっており、前記熱交換器を通り抜けて伸びる第2の経路と、
をさらに備えており、
前記熱交換器において前記第1の経路内の蒸気と前記第2の経路内の冷却流体との間で熱交換が行われること
を特徴とする請求項1に記載の蒸気滅菌器。
【請求項4】
前記流体回路が、前記滅菌チャンバから蒸気を取り除くための真空ポンプをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸気滅菌器。
【請求項5】
前記流体回路が、
蒸気を前記空洞部から前記槽体に設けられた封止部へと搬送するようになっており、その一端において前記空洞部と流体的に接続され、他端において前記封止部と流体的に接続された経路
をさらに備えており、
前記封止部は、
開口部が形成された端板と、
前記端板に形成されており前記端板の前記開口部の外周を取り巻いて広がる溝と、
前記溝内に配置された封止材と、
前記端板に取り付けられており前記封止材と気密式に押し付くようになっている扉と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気滅菌器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大まかには滅菌器に関するものであり、より具体的には、内科用、歯科用、外科用の機器向けの蒸気滅菌器であり、特にこれらに関して説明される。
【背景技術】
【0002】
蒸気滅菌器は、病院、実験室、その他の施設において、多くの種類の物品を滅菌するために広く用いられている。一般的な蒸気滅菌器は、滅菌するべき物品を受容するチャンバと、そのチャンバを取り囲むスチームジャケットとを備えている。蒸気滅菌器は、蒸気滅菌サイクル中において、チャンバ内の物品を加熱蒸気に曝す。
【0003】
物品が滅菌されるようにするために、蒸気滅菌サイクルの実効期間の間、蒸気の温度と圧力は特定の要件を満たさなければならない。具体的には、蒸気滅菌サイクルの実効期間の間、チャンバ内の蒸気は予め定められた温度範囲内に保たれなければならない。チャンバ内の蒸気の温度が予め定められた温度範囲を下回ってしまうと、蒸気滅菌器内の物品がしっかりと滅菌されないこともあり得る。
【0004】
蒸気滅菌器のスチームジャケットは、蒸気滅菌サイクルの実効期間の間、チャンバ内の蒸気の温度を予め定められた温度範囲に保つように設計されている。チャンバおよびスチームジャケットは通常、蒸気発生器やその他施設内の蒸気源からの供給を受ける。一般的な蒸気発生器は、水を気化して水蒸気を形成するボイラーを備えている。複数の導管がボイラーを蒸気滅菌器のチャンバやスチームジャケットに接続する。
【0005】
大抵の場合は、ボイラーおよび複数の導管は、断熱材で覆われている。しかし、どれだけ断熱を施しても、幾分かの熱は周囲環境へと失われてしまう。ボイラーおよび複数の導管からの熱損失は、滅菌器のチャンバ内の温度が蒸気滅菌サイクルの実効期間の間に予め定められた温度範囲を下回ってしまう危険性を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より効率的にチャンバを加熱し、かつ蒸気滅菌サイクル中に熱が周囲環境へと失われてしまう可能性を低減させるために、蒸気滅菌器のチャンバを取り囲むスチームジャケット内にて水が気化される蒸気滅菌器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、その内部に配置された器具や装置を滅菌するための蒸気滅菌器が提供される。この滅菌器は、内壁と外壁を有する槽体を備えている。内壁は滅菌チャンバを画定する。外壁は内壁から間隔を空けて配置され、滅菌チャンバを取り囲む空洞部を画定する。空洞部の下方部に水を気化するための加熱素子が配設される。流体回路が槽体と流体的に接続されていて、流体を空洞部へ搬送し、蒸気を空洞部から滅菌チャンバへ搬送し、滅菌チャンバから蒸気を排出するようにしている。この流体回路は、滅菌チャンバを空洞部と流体的に接続する経路を備えている。空洞部から滅菌チャンバへ向かう蒸気の流れを制御するために、経路内に弁が設けられている。槽体の空洞部へ流体を搬送するために、ボイラーポンプが設けられている。
【0008】
本発明の有用性は、医療関係の品物やその類のものを滅菌するための蒸気滅菌器だということである。
【0009】
本発明のもう一つの有用性は、蒸気滅菌器のチャンバを取り囲む空洞部を有する蒸気滅菌器だということである。
【0010】
本発明のもう一つの有用性は、空洞部内に配設された加熱素子を有する、上述したような蒸気滅菌器だということである。
【0011】
本発明のもう一つの有用性は、蒸気滅菌器のチャンバを取り囲む空洞部内で水が気化される、上述したような蒸気滅菌器だということである。
【0012】
本発明のもう一つの有用性は、蒸気滅菌サイクルの実効期間の間に熱が周囲環境へと失われてしまう可能性を低減する、上述したような蒸気滅菌器だということである。
【0013】
これらの利点およびその他の利点は、好ましい実施形態についての以下の説明、付属の図面、添付の特許請求の範囲に基づき、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、特定の部品の物理的形状および部品の配置について、本明細書にて詳細に記載され本明細書の一部を形成する付属の図面に図示される好ましい実施形態をとることができる。
図1】本発明に係る蒸気滅菌器の概略図。
図2】蒸気滅菌器の槽体および蒸気滅菌器の水位計器類を示す拡大断面図。
図3図1に示す蒸気滅菌器用の制御器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで参照する図面は本発明の好ましい実施形態の一例を解説する目的のために図示するものに過ぎず、これと同一の形態に限定するものではなく、図1においては医療器具やその他の物品を滅菌するための蒸気滅菌器10の概略図を図示している。
【0016】
蒸気滅菌器10は、滅菌器10の動作を制御するための、図3にて概略的に図示する制御器12を備えている。滅菌器10が卓上や台の上に置かれていたり、自立式の枠の中に取り付けられたりすることも考えられる。
【0017】
図1に示すように、滅菌器10は主に、槽体20と流体回路150からなる。槽体20は、内壁24と、外壁26と、第1の端板32と、第2の端板34とを備えている。第1の端板32は、内壁24および外壁26の一端に取り付けられている。第2の端板34は、内壁24および外壁26の他端に取り付けられている。内壁24と、第1の端板32と、第2の端板34は、それらの間に滅菌チャンバ22を画定する。外壁26は内壁24から間隔を空けて配置されており、内壁24と、外壁26と、第1の端板32と、第2の端板34とが、滅菌チャンバ22の外周を取り囲む輪状の空洞部28を画定する(図2を参照のこと)。滅菌チャンバ22への進入路を成すように、第1の端板32には開口部36が形成されている。
【0018】
第1の端板32には扉42が取り付けられており、この扉は、チャンバ22への進入を可能とする開放状態と、チャンバ22を周囲環境から隔離する閉鎖状態との間で動くことができるようになっている。ここで示す実施形態においては、扉42および開口部36は概ね長方形の形状になっている。
【0019】
第1の端板32の表面には、開口部36の外周を取り巻いて広がるように溝92が形成されている。溝92は封止材94を受容する寸法になっている。封止材94については、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/414,176号において詳細に説明されている。第1の端板32の底部を貫いてチャネル96が伸びており、溝92の底部と連絡している。
【0020】
滅菌チャンバ22の下方部にはセンサ38が配設されている。センサ38はこの滅菌チャンバ22の下方部に水があるかどうかの合図を発する。
【0021】
ドア42には、ドア42が開放状態にあるか閉鎖状態にあるかの合図を発するセンサ44が付属している。ここで示す実施形態においては、センサ44は近接センサであり、滅菌チャンバ22の外部で開口部36の隣接部または近傍に配設されている。
【0022】
空洞部28の下方部には加熱素子46が配設されている。ここで示す実施形態においては、加熱素子46は槽体20の第2の端板34の下方部を貫いて伸びている。加熱素子46は、空洞部28の下方部に入れてある水を加熱するように動作可能である。加熱素子46は制御器12で制御することができる。ここで示す実施形態においては、加熱素子46は電熱抵抗素子である。
【0023】
図2に示すように、槽体20の外壁26には水位計器類50が取り付けられている。水位計器類50は筐体54と視認管72とを備えている。筐体54は内部の腔部56を画定する。内部の腔部56内には、三基(3つ)の水位センサ58a,58b,58cが配設されている。水位センサ58a,58b,58cは内部の腔部56の水位を示す信号を制御器12へ発信する。水位センサ58aは腔部56の頂近くに配設されている。水位センサ58cは腔部56の底近くに配設されている。水位センサ58bは水位センサ58aと水位センサ58cとの間の中ほどに配設されている。ここで示す実施形態においては、各水位センサ58a,58b,58cは、内部の腔部56内での個々の高さにおける水の存否を示す信号を発信する容量式センサである。
【0024】
導管62が、一端では槽体20内の空洞部28の上方部に接続され、他端では筐体54内の腔部56の上方部に接続されている。導管64が、一端では槽体20内の空洞部28の下方部に接続され、他端では筐体54内の腔部56の下方部に接続されている。
【0025】
視認管72は腔部76を画定する。腔部76内の水位をユーザが観測できるようにするために、視認管72は少なくとも1つの透明な壁を備えている。
【0026】
導管66が、一端では筐体54内の腔部56の上方部に接続され、他端では視認管72の腔部76の上方部に接続されている。導管66には弁68が設けられており、整備のために視認管72内の腔部76を遮断できるようにしている。弁68は手動弁である。導管82が、一端では視認管72内の腔部76に接続され、他端では排水口に接続されている。導管82には弁84が設けられており、整備のために視認管72内の腔部76を排水できるようにしている。弁84は手動弁である。
【0027】
導管86が、一端では筐体54内の腔部56の下方部に接続されており、他端では導管82に接続されている。導管86が導管82と接続されているのは、弁84と視認管72との間の位置である。導管86内には弁88が設けられており、整備のために視認管72内の腔部76を遮断できるようにしている。弁88は手動弁である。
【0028】
ここで、図1について見ると、導管116が一端において外壁26に接続されて、空洞部28の上方部との流体的な連絡が行われるようにしている。導管116の他端には逃し弁118が設けられている。逃し弁118は、予め定められた圧力を超える流体を空洞部28から放出させるように動作可能である。導管116からは分枝導管116aが伸びている。分枝導管116aの端部には圧力計122が配設されている。圧力計122は、空洞部28内の圧力を視覚的に表示する。
【0029】
導管124が、滅菌チャンバ22と流体的に連絡している。ここで示す実施形態においては、導管124は外壁26を貫いて伸びており、一端において内壁24と接続されている。導管124の他端には圧力センサ126が設けられている。圧力センサ126は、滅菌チャンバ22内の圧力を示す信号を制御器12へ発信する。導管124からは分枝導管124aが伸びている。分枝導管124aの端部には圧力計128が配設されている。圧力計128は、滅菌チャンバ22内の圧力を視覚的に表示する。
【0030】
空洞部28に、温度センサ132が流体的に接続されている。温度センサ132は、空洞部28内の温度を示す信号を制御器12へ発信する。ここで示す実施形態においては、温度センサ132を空洞部28の上方部へ流体的に接続するように、導管が設けられている。
【0031】
槽体20への/からの流体の搬送を行うために、滅菌器10の流体回路150が設けられている。流体回路150は水注入系160と、蒸気/空気供給系180と、排出系220と、冷却系250とを備えている。
【0032】
水注入系160は、槽体20を水源へと接続する。水注入系160は概ね、注入経路162、注入弁164、ボイラーポンプ172、熱交換器174からなる。
【0033】
注入経路162は、水源から外壁26へと伸びていて、水源を空洞部28の下方部へ接続するようになっている。ここで示す実施形態においては、水源は、約10psig(重量ポンド毎平方インチゲージ圧)から約50psigの間の圧力で、そして少なくとも140゜Fの温度で、脱イオン水を供給する。
【0034】
注入弁164は注入経路162内に設けられており、滅菌器10に入る水の流れを制御するようになっている。ここで示す実施形態においては、注入弁164は手動弁であり、滅菌器10に入る水の流れを作業者が手動で制御できるようになっている。注入経路162における注入弁164の下流側の位置には、圧力センサ166が配設されている。圧力センサ166は、注入経路162内の水の圧力を示す信号を制御器12へ発信する。注入経路162における圧力センサ166の下流側の位置には、弁168が設けられている。弁168は滅菌器10に入る流体の流れを制御するように動作可能である。弁168は制御器12で制御することができる。
【0035】
注入経路162内にボイラーポンプ172が設けられている。ボイラーポンプ172は予め定められた圧力および流速で滅菌器10へ水を供給するように作られている。ボイラーポンプ172は制御器12で制御することができる。
【0036】
注入経路162の一部は熱交換器174を通り抜けて伸びている。注入経路162におけるボイラーポンプ172と熱交換器174の間の位置に、逆止弁176が設けられている。逆止弁176は、熱交換器174からボイラーポンプ172へと向かう流体を制限するように作られている。
【0037】
蒸気/空気供給系180は、蒸気を空洞部28から滅菌チャンバ22および溝92へ搬送するために、そして空気を滅菌チャンバ22へ搬送するために設けられている。系180は概ね、チャンバ供給経路182、封止部供給経路198、通気経路192、弁186,196,202、フィルタ194からなる。
【0038】
チャンバ供給経路182の第1の端部は空洞部28の上方部に接続される。ここで示す実施形態においては、チャンバ供給経路182の第1の端部は、外壁26の上方部に接続されている。チャンバ供給経路182の第2の端部は滅菌チャンバ22の上方部に接続される。ここで示す実施形態においては、チャンバ供給経路182の第2の端部は、外壁26を貫いて伸びており、内壁24の上方部に接続されている。滅菌チャンバ22内において、チャンバ供給経路182の第2の端部が内壁24の上方部に接続されている位置の直近部には、板184が配置されている。
【0039】
チャンバ供給経路182には弁186が設けられている。弁186は自身を通る流体の流れを制御するように動作することができる。弁186は制御器12で制御することができる。
【0040】
弁186とチャンバ供給経路182の第2の端部との間で、通気経路192がチャンバ供給経路182に接続されている。通気経路192の一端は空気源と連絡している。通気経路192にはフィルタ194が設けられており、通気経路192を通って流れる空気を濾過するようになっている。フィルタ194の下流側には弁196が設けられている。弁196は通気経路192を通る空気の流れを制御するように動作することができる。弁196は制御器12で制御することができる。
【0041】
封止部供給経路198は空洞部28から溝92へと蒸気を供給する。封止部供給経路198の端部の一つは、チャンバ供給経路182の第1の端部と弁186との間の位置でチャンバ供給経路182と接続されている。封止部供給経路198の2つ目の端部は、第1の端板32にあるチャネル96へ接続されている。
【0042】
封止部供給経路198には弁202が設けられている。弁202は自身を通る流体の流れを制御するように動作することができる。弁202は制御器12で制御することができる。
【0043】
チャンバ22および溝92から流体を排出するために、滅菌チャンバ22および蒸気/空気供給系180に、排出系220が接続されている。排出系220は概ね、経路204、一号連通経路222、二号連通経路232、排出タンク242、熱交換器234、真空ポンプ236からなる。
【0044】
経路204の第1の端部は、弁202と封止部供給経路198の第2の端部との間の位置で、封止部供給経路198と接続されている。経路204の第2の端部は滅菌チャンバ22の下方部に接続されている。ここで示す実施形態においては、経路204の第2の端部は、外壁26を貫いて伸びており、内壁24の下方部に接続されている。
【0045】
経路204には弁206が設けられている。弁206は自身を通る流体の流れを制御するように動作することができる。弁206は制御器12で制御することができる。
【0046】
経路204において、弁206と経路204の第2の端部との間に、弁208が設けられている。弁208は自身を通る流体の流れを制御するように動作することができる。弁208は制御器12で制御することができる。
【0047】
経路204において、弁206と経路204の第1の端部との間に、制限器212が設けられている。制限器212は、自身を通って流れ得る流体の流速を制御するべく設けられている。
【0048】
弁208と経路204の第2の端部との間の位置で、温度センサ214が経路204に接続されている。温度センサ214は経路204のその箇所を伝って流れる流体の温度を示す信号を制御器12へ発信する。
【0049】
経路204から排出タンク242へと一号連通経路222が伸びている。具体的には、一号連通経路222の一端が、弁208と経路204の第2の端部との間の位置で経路204と接続されている。一号連通経路222の一部は熱交換器174を通って伸びている。
【0050】
一号連通経路222において、一号連通経路222が経路204と接続している端部と、一号連通経路222が熱交換器174を通り抜けている部分と、の間の位置に、弁224が設けられている。弁224は一号連通経路222を通る流体の流れを制御するように動作することができる。弁224は制御器12で制御することができる。
【0051】
一号連通経路222を通って流れ得る流体の流速を制御するべく、流量制限器226が一号連通経路222に設けられている。流量制限器226は、弁224と熱交換器174との間に設けられている。
【0052】
経路204から排出タンク242へと、排出系220の二号連通経路232が伸びている。具体的には、二号連通経路232の一端が、弁206と弁208との間の位置で経路204に接続されている。二号連通経路232の一部は熱交換器234を通って伸びている。
【0053】
二号連通経路232において、熱交換器234とタンク242との間の位置に真空ポンプ236が配設されている。真空ポンプ236は、二号連通経路232のうち真空ポンプ236の上流側の部分から流体を吸い込むように、そしてその流体をタンク242へ排出するように動作することができる。真空ポンプ236は制御器12で制御することができる。
【0054】
排出タンク242の上方部から排出口(図示せず)へと経路244が伸びている。排出タンク242には温度センサ246が取り付けられている。温度センサ246は、排出タンク242内の流体の温度を示す信号を制御器12へ発信する。
【0055】
排出系220の二号連通経路232に沿って搬送される流体を冷却するために、冷却系250が排出系220に接続されている。冷却系250は概ね、経路252、弁254、導管路256、迂回導管路266からなる。
【0056】
経路252は、一端においては冷却流体源に接続されており、他端においては真空ポンプ236とタンク242との間の位置で排出系220の二号連通経路232に接続されている。ここで示す実施形態においては、冷却流体源は、20〜50psig、15ガロン毎分の水を約70°Fの温度で供給する。経路252の一部は熱交換器234を通って伸びている。
【0057】
経路252には弁254が設けられていて、自身を通る冷却流体の流れを制御するようになっている。ここで示す実施形態においては、弁254は手動弁であり、経路252を通る流体の流れを作業者が手動で制御できるようになっている。
【0058】
経路252と真空ポンプ236の間に導管路256が伸びている。導管路256には弁258が設けられていて、導管路256に沿う冷却流体の流れを制御するようになっている。導管路256における弁258と真空ポンプ236との間の位置に流量制限器262が設けられている。流量制限器262は、導管路256伝いに真空ポンプ236へ向かって冷却流体が流れ得る流速を制御するように作られている。
【0059】
経路252において、導管路256と熱交換器234との間の位置に弁264が設けられている。弁264は自身を通る冷却流体の流れを制御するように動作することができる。弁264は制御器12で制御することができる。
【0060】
経路252には、弁264を迂回するように迂回導管路266が取り付けられている。具体的には、弁264と、導管路256が経路252に接続する位置と、の間の位置で、迂回導管路266の第1の端部が経路252に接続されている。迂回導管路266の第2の端部は、弁264と熱交換器234との間の位置で経路252に接続されている。
【0061】
迂回導管路266には弁268が設けられており、迂回導管路266を伝う流体の流れを制御するようになっている。弁268は制御器12で制御することができる。迂回導管路266における、迂回弁268と迂回導管路266の第2の端部との間の位置に、流量制限器272が設けられている。流量制限器272は迂回導管路266伝いに流れ得る流体の流速を制御するべく設けられている。
【0062】
弁264と、迂回導管路266の第1の端部が経路252に接続する位置と、との間の位置で、経路252に導管274が接続されている。導管274の端部には圧力センサ276が配設されている。圧力センサ276は、導管274内の流体の圧力を示す信号を制御器12へと発する。導管274内には流量制限器278が設けられている。流量制限器278は導管274伝いに流れ得る冷却流体の量を制限するべく設けられている。
【0063】
図3において概略的に図示するように、制御器12は、センサ38,44と、水位センサ58a,58b,58cと、圧力センサ126,166,276と、温度センサ132,214,246と、に対して通信を行っている。制御器12は弁168,186,196,202,206,208,224,258,264,268と接続されており、前述の弁の状態を制御できるようになっている。制御器12は、加熱素子46と、ボイラーポンプ172と、真空ポンプ236と、に接続されており、これらの動作を後述の如く制御するようになっている。
【0064】
滅菌サイクルの開始に先立っては、弁164は開放状態になっており、制御器12は水がボイラーポンプ172へと流れ得るように弁168を開放状態へと動作させることにより空洞部28の充填を始める。そして制御器12は、加圧水が熱交換器174を通って空洞部28の下方部へと搬送されるようにボイラーポンプ172を稼動させる。水が空洞部28を満たすにつれて、水は水位計器類50の腔部56および腔部76をも満たしていく。水位計器類50の腔部56および腔部76内の水位は空洞部28内の水位と同様になる。水位スイッチ58a,58b,58cで検知される腔部56内の水位が予め定められた「満量」の水位に達するまで、水は空洞部28の充填を続ける。その後、制御器12はボイラーポンプ172の稼動をやめさせ、水が空洞部28へ流れ込むのを止めるように弁168を閉鎖状態へと動作させる。
【0065】
制御器12は水位センサ58a,58b,58cを継続的に監視するようプログラムされている。これにより、水位計器類50の腔部56内の水位、すなわち実質的には空洞部28の水位、が予め定められた水位を下回ると、水位センサ58a,58b,58cは、そうした事態を示す信号を制御器12へ発する。すると制御器12は、ボイラーポンプ172を稼動させ、弁168を開放状態に動かすことにより、水が空洞部28および水位計器類50に入り込めるようにする。水位センサ58a,58b,58cで検知される腔部56内の水位が所望の度合いに達したら、制御器12はボイラーポンプ172の駆動をやめ、閉鎖状態に戻るよう弁168を動作させて、水が空洞部28を満たすのを止めるようにする。
【0066】
空洞部28内の水位が所望の「満量」水位になった後、制御器12は蒸気発生フェーズを開始する。制御器12は、空洞部28の下方部にある水が加熱されて気化させられ、蒸気を発生するように、加熱素子46を稼動させる。空洞部28が過剰に加圧されるのを防ぐために、逃し弁118が、空洞部28内の圧力が予め定められた最大圧力を超過したときに開放状態へと動作して空洞部28から蒸気を放出するように作られている。空洞部28は、滅菌サイクルが実行されているかどうかに関わらず蒸気を加圧状態に維持する。空洞部28は日に一度、汚染物質や沈殿物を洗い流すために空にされる。その後、空洞部28は水で再充填され、滅菌サイクルに備えて空洞部28内での蒸気の発生が行われる。
【0067】
ここで、図1図2を参照しながら、チャンバ22内に配置された物品を滅菌することに関して滅菌器10の動作を説明していく。滅菌サイクルの開始に先立って、ユーザは扉42を開き、医療器具および/または滅菌すべき装置を滅菌チャンバ22へ挿入する。その後ユーザは扉42を閉める。センサ44が、扉42が閉鎖状態にあるかどうかを示す信号を制御器12に発信する。扉42が閉鎖状態にあることを制御器12がひとたび検知すると、制御器12は弁202を開放状態へと動作させて、空洞部28から、封止材94と溝92との間に形成される中空部へと、蒸気が搬送されるようにする。加圧蒸気が封止材94を扉42と気密式に押し付くようにし、これにより滅菌チャンバ22は周囲環境から密封される。そして制御器12は滅菌器10を滅菌サイクルにわたって制御する。滅菌サイクルの開始に先立っては、手動弁254は開放状態になっており、制御器12は弁168,186,196,202,206,208,224,258,264,268を閉鎖状態にしておく。制御器12は真空ポンプ236も非稼動状態にしておく。
【0068】
制御器12は、弁208,258を開放状態へと動作させ、真空ポンプ236を稼動させることにより、チャンバ22からの空気抜きを開始する。真空ポンプ236は、経路204および二号連通経路232を通して滅菌チャンバ22から空気を引き込む。そして真空ポンプ236は二号連通経路232を通して排出タンク242へと空気を排出する。真空ポンプ236は、圧力センサ126で測定される滅菌チャンバ22内の圧力が所望の圧力になるまで、空気を滅菌チャンバ22から引き抜き続ける。その後、制御器12は、真空ポンプ236の稼動をやめさせ、弁208,258を閉鎖状態へと動作させる。
【0069】
滅菌チャンバ22内の圧力がひとたび所望の圧力になると、制御器12はチャンバ供給経路182内の弁186を開放状態へと動作させ、これにより蒸気が空洞部28からチャンバ供給経路182を通って滅菌チャンバ22へと搬送されることができるようにする。本発明におけるチャンバ供給経路182は、周囲環境への熱損失量を最小限にするために、できる限り短く作られている。
【0070】
制御器12は、圧力センサ126で測定されるチャンバ22内の圧力が所望の圧力になるまで、蒸気がチャンバ22を充填し続けるようにプログラムされている。蒸気滅菌サイクル中、制御器12は弁224を制御して、所望量の蒸気が蒸気滅菌サイクルにわたって滅菌チャンバ22から放出され得るようにする。これと関連して、経路204内の温度センサ214は滅菌チャンバ22内の蒸気の温度を示す信号を制御器12へ発信する。チャンバ22内の加圧蒸気は、チャンバ22内の器具および/または装置を滅菌するのに十分なだけの所定期間にわたって、予め定められた温度に維持される。センサ38は滅菌チャンバ22の下方部に水があるかどうかを示す信号を制御器12へ発する。センサ38が滅菌チャンバ22の下方部に水があることを検出すると、制御器12は警報を鳴らし、蒸気滅菌サイクルを中断する。
【0071】
蒸気滅菌サイクル全体にわたって、圧力センサと温度センサが滅菌器10の動作状態を監視しており、確実に滅菌器が正常に機能するようにしている。蒸気滅菌サイクルがひとたび完了すると、制御器12は弁186を閉鎖状態へと動作させる。そして制御器12は経路204内の弁208を開放状態へと動作させる。
【0072】
制御器12は、真空ポンプ236を稼動させ、弁258を開放状態へと動作させることで、チャンバ22からの蒸気の除去を開始する。真空ポンプ236はチャンバ22から蒸気を引き込み、そしてその蒸気を、二号連通経路232を通して排出タンク242へと排出する。弁258が、冷却流体を真空ポンプ236の頭部に流れるようにして、真空ポンプ236を冷却するようにしている。
【0073】
制御器は、弁264,268も制御して、冷却流体が熱交換器234を通って搬送され得るようにする。冷却流体の所要量は、チャンバ22から引き込まれる蒸気を水へと凝結させるのに必要な冷却流体の量に基づいて求められる。チャンバ22から蒸気が回収されてからも、そこからの湿気の除去を促進するために、ポンプ236はチャンバ22の真空抜きをするよう動作し続ける。
【0074】
チャンバ22からの真空抜きが行われた後、制御器12は真空ポンプ236の稼動をやめさせて、弁208を閉鎖状態へと動作するようにさせる。そして制御器12は、弁196を開放状態へと動作するようにさせて、チャンバ22へと空気が引き込まれるようにする。具体的には、空気は通気経路192を通って、フィルタ194を抜けて、チャンバ22へと引き込まれる。入ってくる空気はフィルタ194を抜けてきたものであり、濾過された空気のみがチャンバ22から引き抜かれた蒸気と置き換わるようになっている。こうして、フィルタ194は、汚染物質がチャンバ22へと入り込むのを防止する。
【0075】
滅菌チャンバ22内の圧力が予め定められた圧力に達すると、制御器12は、弁206,258,264,268を開放状態へと動作させ、さらに真空ポンプ236を稼動させる。すると封止材94と溝92との間に形成されている中空部内の蒸気は、封止部供給経路198を通り、経路204の一部を経て、二号連通経路232を通じて真空ポンプ236へと引き込まれる。真空ポンプ236は二号連通経路232を通して排出タンク242へと蒸気を排出する。封止材94と溝92との間に形成されている中空部内の蒸気が回収されると、封止材94は扉42から離れる。封止材94が扉42からひとたび離れると、制御器12は真空ポンプ236の稼動を停止させ、弁206,258,264,268を閉鎖状態へと動作させる。こうして制御器12は、チャンバ内に配置された器具および/または装置を取り出すためにユーザがチャンバ22へと立ち入ることができるようにする。
【0076】
以上に詳述したように、本発明は、滅菌チャンバを取り囲む空洞部内に加熱素子が配置された蒸気滅菌器を提供するものである。この加熱素子は、空洞部内の水を気化して蒸気を生成するために設けられたものである。加熱素子により発生させられる熱の一部は、滅菌チャンバ内へと伝導される。このようにして、本発明は、蒸気滅菌サイクル中におけるエネルギーの有効利用をなす蒸気滅菌器を提供する。
【0077】
以上の記載は本発明の具体的な実施形態の一例である。この実施形態は例示のために説明されたものに過ぎず、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で当業者により様々な変更および改良がなされてもよいものであると理解されたい。そうしたあらゆる改良および変更は、それが請求項に係る発明あるいはその均等物の範囲にある限り、本発明に含まれるものであることが企図されている。
図1
図2
図3