(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
カーボンナノ素材は、素材の形状に応じてフラーレン(Fullerene)、カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube;CNT)、グラフェン(Graphene)、グラファイトナノプレート(Graphite Nano Plate)などがあり、この中、カーボンナノチューブは、1つの炭素原子が3つの他の炭素原子に結合した六角形のハニカム状の黒鉛面がナノサイズの直径をもって丸く巻かれており、大きさや形態によって独特の物理的性質を有する巨大分子である。カーボンナノチューブは、中空状で軽く、電気伝導度は銅と同じようで、熱伝導度はダイヤモンドに負けなく、引張力は鉄鋼に劣らない。巻かれている形態に応じて、単層壁カーボンナノチューブ(Single−Walled Carbon Nanotube;SWCNT)、多層壁カーボンナノチューブ(Multi−Walled Carbon Nanotube;MWCNT)、ロープ型カーボンナノチューブ(Rope Carbon Nanotube)に分けられる。
【0003】
このようなカーボンナノチューブは、優秀な物理的特性によって、帯電防止用高分子複合素材、電磁波遮蔽用高分子複合素材、放熱高分子複合素材、及び高強度高分子複合素材などの様々な高分子複合素材のフィラーとして最も脚光を浴びており、カーボンナノチューブを用いた高分子複合素材を商用化するための様々な研究と開発が盛んである。
【0004】
しかし、多くの研究及び開発にもかかわらず、カーボンナノチューブを高分子複合素材に利用する場合、カーボンナノチューブ粉末の低い見かけ密度による飛散問題とそれによる人体有害性問題がある。
【0005】
また、カーボンナノチューブなどのナノ素材を活用するために、一般的にはカーボンナノ粉末と高分子ペレットを混合して使用するが、この際、カーボンナノ素材粉末を高分子ペレットと共に押出機に投入する場合、カーボンナノ素材粉末と高分子ペレットとの大きな密度差による層分離現象とそれによるカーボンナノ素材の分散問題が生じるため、カーボンナノ素材の大量使用に対する障害物になっている。それだけでなく、カーボンナノ素材メーカーとしては、粉末として製造されるカーボンナノ素材の低い見かけ密度によって増加する包装費及び物流費が負担になっている。
【0006】
現在、特許文献に開示しているカーボンナノ素材、特にカーボンナノチューブの見かけ密度を向上させる方法は次のような技術が挙げられる。
【0007】
特許文献1の「ナノカーボンを含む固形体の製造方法」によれば、ナノカーボン、金属(酸化物及びイオンを含む)、及び樹脂を含むナノカーボン固形体を開示している。しかし、この方法で製造されたナノカーボン固形体は、固形体の成形のための結合力を増加させるために金属及び樹脂を含んでおり、高分子複合素材に適用する場合にマトリックスとして用いた高分子とナノカーボン固形体に含まれている金属及び樹脂との反応性または相溶性によって高分子複合素材に使用できなくなるか、ナノカーボンの重要な物性発現が低下することもあるという困難があり、ナノカーボンと金属及び樹脂との混合、分離、成形、乾燥という様々な段階の製造工程が必要であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の「ナノカーボン固形体の製造方法、これを用いたナノカーボン固形体、ナノカーボン分散液、ナノカーボン素材の製造方法」では、ナノカーボンの切断段階、ナノカーボンと分散剤及び溶媒を混合し、分散器で該ナノカーボンを分散するナノカーボンの分散段階、分散されたナノカーボン液に凝集剤をさらに添加してナノカーボンをスラッジ化するナノカーボンの凝集段階、ナノカーボンスラッジから液相成分を除去し、粉砕または破砕してナノカーボン粉末を製造するナノカーボンの粉末化段階、及びナノカーボン粉末を一定の形状に製作・乾燥して固形体を製造するナノカーボンの固形化段階を含むナノカーボン固形体の製造方法を開示する。しかし、この方法では、ナノカーボン固形体が金属及び樹脂を含んでいないとしても、製造過程で用いた分散剤及び凝集剤がナノカーボン固形体に残留することにより、高分子複合素材の製造に利用する場合に予測できなかった副作用を誘発する問題があり、この方法も様々な段階の製造工程が必要であるという問題がある。
また、御国色素株式会社の特許文献3の「カーボンナノチューブの造粒物及びその製造方法」では、カーボンナノチューブを、気液もしくは液液界面を利用して造粒することを特徴とするカーボンナノチューブ造粒物の製造方法であって、カーボンナノチューブ:溶剤の重量比率が1:3以上であることを特徴とするカーボンナノチューブ造粒物の製造方法を開示する。しかし、このような方法によるカーボンナノチューブの高密度化は、造粒物に微粒のカーボンナノチューブ粉末が含まれているため、飛散問題が解決できなく、製造工程に混合、脱気、及び乾燥の過程が必要であるため、大量生産には向いていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点、すなわちカーボンナノ素材粉末を固形化する過程中に添加される金属及び樹脂または分散剤の残留によって、高分子複合素材に利用する場合、所望しない添加物が入ってカーボンナノ素材の優れた物性が低下する問題と、カーボンナノ素材粉末の低い見かけ密度による飛散問題及びそれによる人体有害性問題、そして高分子ペレットと共に押出機に投入する時、カーボンナノ素材粉末と高分子ペレットの大きな密度差による層分離現象などを解決するために絶えず研究に努めた結果、カーボンナノ素材を所定の条件でペレット化すると、簡単な工程でこのような従来の深刻な問題を解決できるということを見出して本発明を完成した。
したがって、本発明は、上記問題を解決するために、溶媒や添加剤を含有することなく、包装及び物流条件に優れた所定の大きさと高い見かけ密度を有するカーボンナノ素材のペレットを提供することに目的がある。
また、本発明は、高分子複合素材に適用する場合、カーボンナノ素材粉末の固有物性がそのまま保たれるため、カーボンナノ素材の活用性を極大化できる炭素素材ペレットを提供することに目的がある。
また、本発明は、カーボンナノ素材粉末を簡単で経済的な工程でペレッと化するカーボンナノ素材のペレットの製造方法を提供することに目的がある。
また、本発明は、カーボンナノ素材粉末を、溶媒や添加剤に添加することなく、ペレッと化する方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した本発明の課題を解決するために、本発明は
、カーボンナノ素材粉末を、溶媒や添加剤に混合することなく、ロータリー打錠機に注入して100〜700kg/cm
2の圧力を加えてペレット直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLを有するペレットの形態に成形し、前記カーボンナノ素材粉末は、平均粒径0.05〜100μm、見かけ密度0.01〜0.20g/mL、及び安息角10°〜70°であることを特徴とするカーボンナノ素材のペレットの製造方法である。
また、本発明は、ロータリー打錠機は、パンチサイズが1〜8mmであるものを用い、ターンテーブルの回転速度は10〜60rpmにして成形することを特徴とするカーボンナノ素材のペレットの製造方法である。
また、本発明は、
溶媒や添加剤を含んでおらず、直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLのペレットであり、前記ペレットは、平均粒径の大きさが0.05〜100μm、見かけ密度が0.01〜0.20g/mL、安息角が10°〜70°であるカーボンナノ素材粉末が成形されたカーボンナノ素材のペレットと、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、非結晶性ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサン変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン単量体、ポリ乳酸、液晶高分子、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/シクロヘキサン変性ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/液晶高分子、ポリスルホン/変性ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリカーボネート/ポリ乳酸またはこれらの1つ以上の混合物から選択された高分子を用いてカーボンナノ素材/高分子複合素材を製造する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるカーボンナノ素材のペレットには、溶媒や金属、樹脂、分散剤などのような添加剤が全く含まれていないため、高分子複合素材に所望しない添加剤による物性低下や人体有害性などの問題が生じないだけでなく、高分子との複合素材を製造する時、粉末をそのまま用いた場合と同じような効能が得られ、高分子ペレットとの層分離や物性低下の問題のない優れた効果がある。
【0013】
また、本発明のペレット製造方法を使用する場合、カーボンナノ素材粉末に溶媒や添加剤を全く使用することなく、単純に打錠機だけを使用してペレット化するため、製造工程が非常に簡単である。
【0014】
また、本発明により製造されたペレットを利用することによって、カーボンナノ素材粉末の使用による飛散問題と粉末の包装と物流条件を画期的に改善でき、製品の製造及び供給過程で経済的かつ衛生的な効果が得られる。
【0015】
よって、これら本発明の結果は、カーボンナノ素材粉末の使用を経済的に、かつ最も効果的に極大化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明は一実施例を挙げて詳細に説明する。
本発明は、カーボンナノ素材成分以外に、何の溶媒や添加剤を含有することなく、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLであるカーボンナノ素材のペレットを特徴とする。
このような本発明のカーボンナノ素材のペレットは、カーボンナノ素材粉末をロータリー打錠機を用いてペレット形態に成形するペレット化方法で製造される。
特に、本発明では溶媒や添加剤を混合することなく、カーボンナノ素材粉末をそのままロータリー打錠機に注入して圧力を加えてペレット形態に成形する。
本発明で用いられるカーボンナノ素材は、カーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維、グラフェン、及びグラファイトナノプレートから選択された何れか1つまたは2つ以上の混合物の形態にすることができるが、好ましくはカーボンナノチューブを用いる。
【0018】
このようなカーボンナノ素材粉末は、平均粒径0.05〜100μm、見かけ密度0.01〜0.20g/mL、及び安息角10°〜70°の特性を持つものが好ましい。特に、平均粒径0.1〜85μm、見かけ密度0.01〜0.20g/mL、及び安息角20°〜60°の特性を持つものがさらに好ましい。このような粉末の条件から外れる場合はペレットが成形できなくなるか、ペレット化過程で成形不良が生じる虞がある。
【0019】
本発明に用いられるロータリー打錠機は、通常、医薬品または食品などのタブレット(tablet)などの製造に用いられる打錠機を用いることができる。
本発明のペレット化過程において、押着は、カーボンナノ素材粉末に加えられる圧力を100〜700kg/cm
2の範囲に調節することが好ましく、さらに好ましくは300〜500kg/cm
2の範囲が良い。その圧力が弱すぎるとペレットがつぶれやすくなり、強すぎるとペレット化は容易であるが、過度な圧力によりカーボンナノ素材のペレットを高分子複合素材の製造に使用する場合にカーボンナノ素材の物性が低下することがある。
【0020】
本発明のペレット化過程では、溶媒や添加剤を混合することなく、ロータリー打錠機のパンチサイズとターンテーブルの回転速度を適切に選択して所定の大きさと見かけ密度を有するペレットを製造する。このようなペレット形状は、
図1及び
図2に示すような円筒形に製造されるが、この際、好ましいペレットの形態はペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度は0.05〜0.60g/mLに製造することが好ましく、さらに好ましくはペレットの直径2〜6mm、厚さが2〜5mm、見かけ密度0.1〜0.5g/mLである。直径が大きすぎると、カーボンナノ素材のペレットと高分子ペレットとの大きさの差による層分離が再び問題になり、小さすぎると、ロータリー打錠機を用いたペレットの製造時に生産性が低下して経済性に劣り、また、層分離問題も生じる。厚さが厚すぎる場合もカーボンナノ素材のペレットと高分子ペレットとの大きさの差による層分離が問題になり、薄すぎると、ペレットの製造時に成形性が悪くなり、ペレットがつぶれやすくなる。見かけ密度は、高分子複合素材に用いる場合に発現するカーボンナノ素材の物性とペレット化による包装及び物流に影響を与えるが、大きすぎると、高分子複合素材に適用時に物性が低下する問題があり、小さすぎると、ペレット化による包装費及び物流費の低減効果が低いため、カーボンナノ素材のペレット化による経済的利点がなくなる。その他、ペレット化に用いるカーボンナノ素材粉末の安息角は10°〜70°となるように製造することがロータリー打錠機を用いたペレットの成形に好ましい。
【0021】
このような本発明によるペレットを製造するために、ロータリー打錠機の適用条件は好ましくはパンチサイズが1〜8mm、好ましくは2〜6mmであるものを用い、ターンテーブルの回転速度は10〜60rpm、好ましくは20〜50rpmにすることがロータリー打錠機を用いたペレットの生産性及びペレットの直径、厚さ、見かけ密度などの特性の側面で適当である。
【0022】
このような本発明によるカーボンナノ素材粉末のペレット化工程は、別途の溶媒や樹脂または添加剤がカーボンナノ素材をペレット形状化するに不要であり、複雑でない簡単な工程でペレット化が可能となる。
【0023】
本発明により製造されたカーボンナノ素材のペレットは上述したように製造され、溶媒や添加剤などが全く含まれておらず、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLのカーボンナノ素材のペレット形態であり、好ましくはペレット化に用いたカーボンナノ素材粉末の安息角は10°〜70°である。この際、安息角はロータリー打錠機を用いたペレット化の側面で好ましい範囲である。
【0024】
本発明によれば、カーボンナノ素材はペレットの体積と見かけ密度が同じ条件を満足すると、
図1の円筒形だけでなく、球形、楕円球形、楕円柱型、四角柱型、五角柱型、六角柱型、三角柱型、四面体などで製造されてもよい。
一方、本発明は、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLのカーボンナノ素材のペレットを用いてカーボンナノ素材/高分子複合素材を製造する方法を含み、このように製造されたカーボンナノ素材/高分子複合素材を含む。
【0025】
この際、高分子素材は、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、非結晶性ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサン変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン単量体、ポリ乳酸、液晶高分子、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/シクロヘキサン変性ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/液晶高分子、ポリスルホン/変性ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリカーボネート/ポリ乳酸またはこれらの1つ以上の混合物から選択されたものを使用でき、カーボンナノ素材のペレットと高分子素材の使用比率は高分子100重量部に対してカーボンナノ素材のペレットは0.1〜20重量部を使用することができる。
【0026】
このような本発明によるカーボンナノ素材のペレットは、通常、見かけ密度が非常に低い粉末状のカーボンナノ素材に比べて高い見かけ密度によって同じ体積の包装容器に多量のカーボンナノ素材を入れることができ、ペレットを包装容器に入れる場合は粉末の飛散問題がないという点で包装及び物流条件で経済的で、取り扱いやすいという優れた効果がある。
【0027】
一方、本発明によるカーボンナノ素材のペレットを高分子複合素材に用いることは、通常、電気的及び機械的特性を向上させるためにカーボンナノ素材粉末を高分子複合素材の製造に適用することと同じ方式で高分子複合素材の製造に活用される。
【0028】
特に、本発明によるカーボンナノ素材のペレットを使用すると、ペレットの形態的特徴により、高分子素材と複合素材を製造する場合にカーボンナノ素材のペレットの大きさと高分子ペレットの大きさがほぼ同様であるため、均一によく混合分散されることになって分散効果に優れ、高分子素材と同じ形態を有するため物性面で分散性が向上され、それによって、複合素材の物性に及ぼす影響が粉末に比べて優れた場合も期待することができる。
【0029】
本発明によるカーボンナノ素材はペレット化されたものであるため、粉末の飛散問題を根本的に解消でき、それだけでなく、カーボンナノ素材と混合される高分子素材が主にペレット形態であるため、カーボンナノ素材/高分子複合素材の製造時にペレットの直径と厚さ、及び見かけ密度に応じて高分子ペレットと共に押出機に投入する時に発生する大きさの差または密度差による層分離問題や、ペレットの投入が円滑に行われないという問題がなく、カーボンナノ素材を高分子複合素材に使用する最も主な目的である複合素材の電気伝導度、機械的特性などの物性がカーボンナノ素材を粉末として用いた場合に比べて低下することがないという点で非常に効果的である。
【0030】
また、高分子複合素材に使用する場合、カーボンナノ素材粉末の低い見かけ密度による飛散問題とそれによる人体有害性問題、そして高分子ペレットと共に押出機に投入する時にカーボンナノ素材粉末と高分子ペレットの大きな密度差による層分離現象を解決することができる。
以下、本発明を実施例を挙げて説明する。本発明によるカーボンナノ素材粉末のペレットとその製造方法は下記の実施例に示されているが、このような実施例は本発明を制限することはない。
【0031】
<実施例1>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が0.1μm、見かけ密度が0.06g/mL、安息角が23°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径2mmのパンチを用いてペレットの厚さが3mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が2mm、厚さが3mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.41g/mLであった。製造されたペレットは
図1の通りである。
【0032】
<実施例2>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が0.1μm、見かけ密度が0.06g/mL、安息角が23°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径3mmのパンチを用いてペレットの厚さが3mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が3mm、厚さが3mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.36g/mLであった。
【0033】
<実施例3>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が83μm、見かけ密度が0.02g/mL、安息角が58°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが2mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが2mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.12g/mLであった。
【0034】
<実施例4>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が83μm、見かけ密度が0.02g/mL、安息角が58°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが3mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが3mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.09g/mLであった。
【0035】
<実施例5>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が67μm、見かけ密度が0.034g/mL、安息角が45°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが4mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが4mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.18g/mLであった。
【0036】
<実施例6>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が67μm、見かけ密度が0.034g/mL、安息角が45°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが5mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが5mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.16g/mLであった。
【0037】
<実施例7>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が15μm、見かけ密度が0.042g/mL、安息角が31°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径5mmのパンチを用いてペレットの厚さが4mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が5mm、厚さが4mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.24g/mLであった。
【0038】
<実施例8>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が15μm、見かけ密度が0.042g/mL、安息角が31°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径6mmのパンチを用いてペレットの厚さが4mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が6mm、厚さが4mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.21g/mLであった。
【0039】
<比較例1(ペレット直径の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が15μm、見かけ密度が0.042g/mL、安息角が31°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径1.5mmのパンチを用いてペレットの厚さが4mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が1.5mm、厚さが4mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.27g/mLであった。
【0040】
<比較例2(ペレット直径の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が15μm、見かけ密度が0.042g/mL、安息角が31°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径7mmのパンチを用いてペレットの厚さが4mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が7mm、厚さが4mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.19g/mLであった。
【0041】
<比較例3(ペレット厚さの超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が83μm、見かけ密度が0.02g/mL、安息角が58°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが0.8mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが0.8mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.16g/mLであった。
【0042】
<比較例4(ペレット厚さの超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が83μm、見かけ密度が0.02g/mL、安息角が58°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径4mmのパンチを用いてペレットの厚さが7mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が4mm、厚さが7mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.06g/mLであった。
【0043】
<比較例5(ペレット見かけ密度の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が83μm、見かけ密度が0.02g/mL、安息角が58°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径6mmのパンチを用いてペレットの厚さが6mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が6mm、厚さが6mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.04g/mLであった。
【0044】
<比較例6(ペレット見かけ密度の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が0.1μm、見かけ密度が0.08g/mL、安息角が20°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、直径2mmのパンチを用いてペレットの厚さが1mmとなるように設定し、ロータリー打錠機のターンテーブル回転速度を20rpmにし、直径が2mm、厚さが1mmのカーボンナノチューブペレットを製造した。製造されたカーボンナノチューブペレットの見かけ密度は0.70g/mLであった。
【0045】
<比較例7(粉末平均粒径の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が0.04μm、見かけ密度が0.12g/mL、安息角が63°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
【0046】
<比較例8(粉末平均粒径の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が114μm、見かけ密度が0.017g/mL、安息角が43°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
【0047】
<比較例9(粉末見かけ密度の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が90μm、見かけ密度が0.008g/mL、安息角が56°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
【0048】
<比較例10(粉末見かけ密度の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が0.08μm、見かけ密度が0.21g/mL、安息角が54°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
【0049】
<比較例11(粉末安息角の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が95μm、見かけ密度が0.15g/mL、安息角が8°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
【0050】
<比較例12(粉末安息角の超過)>
ロータリー打錠機のホッパーに溶媒や添加剤を混合することなく、平均粒径が6μm、見かけ密度が0.013g/mL、安息角が75°のカーボンナノチューブ粉末を投入し、ロータリー打錠機を用いてペレットを製造しようとしたが、ペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造することができなかった。
前記実施例と比較例により製造されたカーボンナノチューブペレットの製造結果は、
図1の写真に示すように製造され、次の表1と表2にそれぞれ示す。
【0054】
前記表1から3に示したように、本発明の製造方法を利用すると、多様な直径、厚さ及び見かけ密度を有するカーボンナノチューブ粉末のペレットを、溶媒や添加剤を混合することなく、ロータリー打錠機だけを用いた1つの工程だけで製造できることを確認した。
【0055】
また、比較例7から12のように、平均粒径0.05〜100μm、見かけ密度0.01〜0.20g/mL、及び安息角10°〜70°の特性を満たさないカーボンナノチューブ粉末を使用する場合は本発明の特徴であるペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲内のペレットを製造できなかったことを確認した。
【0056】
<製造実施例1>
前記実施例1で製造されたカーボンナノチューブペレットと錦湖石油化学のポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(PC/ABS)のコムパウンド製品(HAC−8265)の混合量をカーボンナノチューブが3重量%となるように調節し、均一に配合するために小型のタンブラーミキサーで十分に混合し、Φ=30mm、L/D=36の2軸押出機で押出温度240〜290℃範囲で押出して冷却、固化してペレット形態にした後、80℃の循環熱風乾燥器で4時間乾燥し、160トンの射出機で射出温度を250〜300℃に変化させ、金型温度を65℃にして高分子複合素材の試片を製作した。
【0057】
<製造実施例2>
前記実施例2で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0058】
<製造実施例3>
前記実施例3で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0059】
<製造実施例4>
前記実施例4で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0060】
<製造実施例5>
前記実施例5で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0061】
<製造実施例6>
前記実施例6で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0062】
<製造実施例7>
前記実施例7で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0063】
<製造実施例8>
前記実施例8で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0064】
<製造比較例1>
前記比較例1で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0065】
<製造比較例2>
前記比較例2で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0066】
<製造比較例3>
前記比較例3で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0067】
<製造比較例4>
前記比較例4で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0068】
<製造比較例5>
前記比較例5で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0069】
<製造比較例6>
前記比較例6で製造されたカーボンナノチューブペレットを用いたことを除いては前記製造実施例1と同じ方法で実施した。
【0070】
<製造比較例7>
前記実施例または比較例で製造されたカーボンナノチューブペレットを使用せず、平均粒径15μm、見かけ密度0.042g/mL、安息角31°のカーボンナノチューブ粉末を直接使用して前記製造実施例1と同じ方法で高分子複合素材の試片を製造した。この際、カーボンナノチューブ粉末の含量はコムパウンド製品量の3重量%で、前記製造実施例1と同様である。
【0071】
<実験例>
前記製造実施例と製造比較例で製造されたカーボンナノ素材/高分子複合素材の物性を確認するために、前記製造実施例と製造比較例で製作された試片に対してアイゾット衝撃強度(IZOD impact)テスト方法はASTM D256(1/8インチ)によって測定し、表面抵抗は横100mm、縦50mm、厚さ2mmの試片を射出成形し、表面抵抗器(TRUSTAT−Worksurface tester)でそれぞれ測定した。その結果は次の表4及び表5に示す。
【0074】
前記表4及び表5に示した実験結果のように、本発明によるペレットの直径は2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLのカーボンナノチューブ粉末として製造されたペレットをカーボンナノチューブ/高分子複合素材の製造に利用する場合(製造実施例1〜8)、カーボンナノチューブ粉末の飛散問題と大きな密度差によるカーボンナノ素材粉末と高分子ペレットの層分離問題を解決することができる。また、このように製造されたカーボンナノチューブ/高分子複合素材のアイゾット衝撃強度及び表面抵抗のような物性がカーボンナノチューブを粉末として用いた場合(製造比較例7)とほぼ同様であるか、少し向上することを確認することができる。この際、製造実施例が少し向上したことは、本発明によるペレットの形態的特徴が粉末とは異なり、特定形態を有することに基づくと評価される。また、本発明の特徴とするペレットの直径2〜6mm、厚さ1〜6mm、見かけ密度0.05〜0.60g/mLの範囲に含まれていないカーボンナノチューブ粉末のペレットをカーボンナノチューブ/高分子複合素材の製造に利用する場合(製造比較例1〜6)、カーボンナノチューブ粉末の飛散問題及び高分子ペレットとの層分離問題を全く解決できなくなり、このように製造されたカーボンナノチューブ/高分子複合素材のアイゾット衝撃強度及び表面抵抗のような物性がカーボンナノチューブを粉末として用いた場合(製造比較例7)と比較して低下することを確認できるため、単純なペレット形態を形成することだけでなく、ペレットの大きさと見かけ密度も重要な因子であることを確認することができる。