特許第6021950号(P6021950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6021950レールを固定するシステム用のプレート構成部材、レール用の固定構造、並びにプレート構成部材を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021950
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】レールを固定するシステム用のプレート構成部材、レール用の固定構造、並びにプレート構成部材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/68 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   E01B9/68
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-558013(P2014-558013)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-508133(P2015-508133A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2012053028
(87)【国際公開番号】WO2013123987
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514214036
【氏名又は名称】フォスロー−ヴェアケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vossloh−Werke GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー コッホ
(72)【発明者】
【氏名】マーク カウフマン
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038319(JP,A)
【文献】 特開昭64−080517(JP,A)
【文献】 特開2004−044113(JP,A)
【文献】 特開2001−205735(JP,A)
【文献】 米国特許第3315893(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 1/00−26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎(U)にレール(S)を固定するシステム用のプレート構成部材であって、該プレート構成部材(7;20)は、互いに重ねられ解離不能に互いに結合された少なくとも2つの層(10a,10b;21a,21b)を有しており、これらの層のうち第1の層(10a;21a)は第1の材料から成っていて、第2の層は、少なくとも1つの機械的な特性に関して前記第1の層(10a;21a)の材料とは異なっている材料から成っている、プレート構成部材において、
前記層(10a,10b;21a,21b)の間に、熱作用により少なくとも溶融を開始する1つの中間層(10c;21c)が設けられており、該中間層の少なくとも溶融を開始する材料は、前記中間層に隣接する前記両層(10a,10b;21a,21b)の材料に材料接続的に結合することを特徴とする、基礎(U)にレール(S)を固定するシステム用のプレート構成部材。
【請求項2】
一方の前記層(10a;21a)は弾性的に可撓性であって、他方の前記層(10b;21b)は形状剛性的である、請求項1記載のプレート構成部材。
【請求項3】
前記形状剛性的な層(10b;21b)は、繊維強化された硬質プラスチックから成っている、請求項2記載のプレート構成部材。
【請求項4】
前記硬質プラスチックはポリアミド材料である、請求項3記載のプレート構成部材。
【請求項5】
前記形状剛性的な層(10b;21b)は金属材料から成っている、請求項2記載のプレート構成部材。
【請求項6】
前記弾性的な層(10a;21a)は微細孔質のエチレンプロピレンジエンモノマーから成っている、請求項2から5までのいずれか1項記載のプレート構成部材。
【請求項7】
前記中間層(10c;21c)はポリエチレン材料から成っている、請求項1から6までのいずれか1項記載のプレート構成部材。
【請求項8】
前記層(10a,10b;21a,21b)は、前記材料接続的な結合に加えて付加的に、形状接続的に又は摩擦接続的に互いに連結されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のプレート構成部材。
【請求項9】
前記層の一方(21b)は、それぞれ他方の層(10a;21a)に側方で接触する少なくとも1つの部分(23,24)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のプレート構成部材。
【請求項10】
固定すべきレール(S)の脚部(F)と基礎(U)との間に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のプレート構成部材(7;20)を有していることを特徴とする、基礎(U)へのレール(S)の固定構造
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項記載のプレート構成部材(7;21)を製造する方法であって、以下の作業ステップ、即ち、
第1の層(10a;21a)と、第2の層(10b;21b)と、熱作用下で溶融し溶融状態で前記層(10a,10b;21a,21b)に付着する材料から成るフォイル(11)とを重ねて、該フォイル(11)が前記両層(10a,10b;21a,21b)の間に位置している1つの積層体(12)を形成するステップと、
前記積層体(12)を、前記フォイル(11)が少なくとも溶融し始めて、該フォイル(11)に接触する前記層(10a,10b;21a,21b)に解離不能に材料接続的に結合する中間層(10c;21c)を形成する温度まで加熱するステップと、を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のプレート構成部材(7;21)を製造する方法。
【請求項12】
積み重ねる前に、前記層(10a,10b;21a,21b)の、少なくとも前記フォイル(11)に面した表面を粗面加工する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
加熱期間及び加熱温度を、前記フォイル(11)が完全に溶融するように規定する、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記加熱中、前記積層体に、フォイルが位置する平面に対して法線方向に方向付けられた圧力負荷を加える、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎にレールを固定するシステム用のプレート構成部材であって、該プレート構成部材は、互いに重ねられ解離不能に互いに結合された少なくとも2つの層を有しており、これらの層のうち第1の層は第1の材料から成っていて、第2の層は、少なくとも1つの機械的な特性に関して前記第1の層の材料とは異なっている材料から成っている、プレート構成部材に関する。
【0002】
さらに本発明は、レールが基礎に固定されている、このようなプレート構成部材を使用して形成される固定点に関する。
【0003】
さらに本発明は、本発明によるプレート構成部材を製造する方法及び本発明によるプレート構成部材の使用に関する。
【0004】
上記の形式のプレート構成部材は、レールを固定するシステムにおいて、このようなシステムを使用して形成される固定点に、重力方向で所定の弾性的な可撓性を与えるために使用される。その弾性的な支持によりレールは、基礎が全く可撓性を有していない、又は最小限の可撓性しか有していない場合であっても、各固定点の上を走行する際に重力方向で生じる負荷を、長い耐用サイクルにわたって確実に吸収することができる。このような特性は典型的には、直接には比較的大きなコンクリートプレートの部分である、又はこのようなプレート上に載置されているコンクリートまくらぎ上にレールを取り付けるいわゆる「堅固な軌道」で用いられる。
【0005】
レール車両用のレールを支持するために使用されるプレート構成部材に加えられる荷重は相当なものである。従って、プレート構成部材には、レールのレール脚部が載置される載置面の領域で、ここで不可避的に生じる相対運動により、高い摩耗が生じる危険がある。同時に一方では、プレート構成部材の良好な継続的な弾性が必要とされ、他方では、レールから生じる荷重をできるだけ均等に、プレート構成部材の弾性層に分配させることが所望される。
【0006】
これらの様々な荷重や要求を考慮するために、異なる特性を備えた少なくとも2つの層から成るプレート構成部材が開発された。一方の層は必要な耐摩耗性と形状安定性を保証しており、他方の層は継続的な弾性に関して最適化されている。これらの層を互いに解離不能に結合することにより、公知のプレート構成部材はその多層性にも関わらず問題なく組み付けることができる。両層の間の解離不能な結合はこの場合、通常、プレート構成部材の層の互いに対応する面に、適当な接着剤を面状に塗布し、次いで互いに重ね合わせ、これにより互いに堅固に接着することにより形成される。
【0007】
上述した形式の公知のプレート構成部材では、不都合な天候条件の場合に、若しくは不都合な組み込み状態又は高い横方向力の結果生じることがある剪断力が加えられた場合に問題が生じる。このような横方向力は特に高速で通過されるカーブ区間の領域で生じることがある。
【0008】
天候的影響又は剪断荷重により、プレート構成部材の層が互いに剪断する恐れがある。これにより、層はまず互いに完全に分離し、次いで固定点で作用する動力学的な力のもとで動き始め、固定点が通過される際には、このとき生じる高い運動エネルギを伴う空気運動により、固定点からはね飛ばされる恐れもある。層の1つが硬質の形状安定的な材料から成る場合、このようなことは特に危険であろう。
【0009】
上述したような先行技術を背景として、本発明の課題は、安価に製造することができると同時に、高い安全性により、プレート構成部材の層が不都合な運転条件下であっても互いに結合を維持することが保証されるような、レール固定用のプレート構成部材並びにレール用の固定点を提供することである。また、このようなプレート構成部材を安価に製造することができる方法を提供すべきである。
【0010】
プレート構成部材に関して、この課題は本発明によれば、プレート構成部材が、請求項1に記載の特徴を有していることにより解決される。
【0011】
レール用の固定点に関して、上記課題は、本発明によるプレート構成部材を使用して固定点を形成することにより解決される。
【0012】
本発明によるプレート構成部材を安価に製造するための、本発明により少なくとも遂行されたい作業ステップは請求項11に記載されている。
【0013】
本発明による、基礎にレールを固定するシステム用のプレート構成部材は、互いに重ねられ解離不能に互いに結合された少なくとも2つの層を有しており、これらの層のうち第1の層は第1の材料から成っていて、第2の層は、少なくとも1つの機械的な特性に関して前記第1の層の材料とは異なっている材料から成っている。特に、第2の層の材料は、第1の層の材料よりも高い耐摩耗性又は強度及び形状安定性を有している。本発明によればこの場合、プレート構成部材の複数の層の間に、熱作用により少なくとも溶融を開始する1つの中間層が設けられており、該中間層の少なくとも溶融を開始する材料は、前記中間層に隣接する前記両層の材料に材料接続的に(材料の分子、原子間の結合力に基づき)結合する。
【0014】
プレート構成部材の互いに重ねられた複数の層が互いに接着されている先行技術とは異なり、本発明によるプレート構成部材では、互いに重ねられた層は、溶接の形式で解離不能に材料接続的に互いに結合される。この場合、溶接は、熱供給により、プレート構成部材の層の間に配置されたフォイルを利用して行われる。この場合、フォイルは溶接補助材として働く。フォイルは供給された熱により少なくとも部分的に溶融し、これにより層の間の結合を形成する。
【0015】
プレート構成部材の個々の層の間の、このような溶接により形成される結合は、不都合な天候条件のもとでも、不都合な動的荷重のもとでも、従来の接着よりも極めて耐性があり、継続負荷可能であることを示している。本発明により行われる溶接では、中間層を形成する材料を、互いに結合させたい層の材料に適合させて、当該材料の類似性又は、材料の所定の成分の一致により、層の材料と中間層の材料との間の最良の結合を形成することができる。
【0016】
本発明の特別な利点は、本発明により、所望のように設けられた中間層を利用して、プレート構成部材の層の溶接が行われることにより、各機能に最良に適合させられた異なる特性を有する材料を問題なく結合させることができることにある。本発明によれば簡単に、一方の層が弾性的に可撓性であって、他方の層が形状剛性的かつ硬質であって、これにより摩耗に対して高い耐性を有しているプレート構成部材を提供することができる。このために、形状剛性的な層は例えば硬質プラスチックから製造することができる。この層は、必要な耐荷重性を保証するために付加的に繊維強化することができる。形状安定的な層のために適したプラスチックとしては、ポリアミドプラスチック、又はポリエチレンプラスチック、又はポリプロピレンプラスチックが挙げられ、これらは必要ならばガラス繊維又は高性能繊維によって強化される。
【0017】
選択的に又は付加的に、本発明によるプレート構成部材の層の1つを金属材料から製造することもできる。従って、実際に摩耗にさらされ、レールの脚部に配設される、本発明によるプレート構成部材の層を例えば鋼板材料から成形することができる。
【0018】
勿論、本発明による1つのプレート構成部材の層の数は2つとは限らない。むしろ、本発明によるプレート構成部材は、3つ以上の層を有することができる。この場合も、これらの層の少なくとも2つが本発明によれば互いに、中間層により溶接されていて、好適には、各層が、それぞれ接触している層に、本発明による形式で中間層を介して溶接されている。
【0019】
弾性的な層は例えば、十分に微細な多孔性を有するエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から成っている。同様に例えば、弾性的な層は、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリウレタン(PU)、及び類似のものから成っていて良い。
【0020】
本発明によるプレート構成部材の層を溶接するために使用されるフォイルと、これに伴い、完成したプレート構成部材に存在する中間層とは、ポリエチレン材料から成っていて良い。
【0021】
本発明によるプレート構成部材の層の持続的な堅固な結合は、層が、材料接続的な結合に加えて付加的に、形状接続(嵌め合いなどの形状的関係に基づく結合又は束縛)により又は摩擦接続(摩擦力)により互いに連結されていることにより助成される。形状接続的な結合は例えば、層の一方が、それぞれ他方の層に側方で接触する少なくとも1つの部分を有していることにより得られる。実際には、一方の層がこのような部分を複数有しているならば有利であり、複数のこのような部分は、一方の層の位置を他方の層に関して少なくとも2つの自由度で固定するのに十分である。
【0022】
上述した説明に相応して、本発明による、基礎にレールを固定する固定点は、基礎と、固定すべきレールの脚部との間に配置されている、少なくとも1つの本発明によるプレート構成部材を有している。このような本発明による固定点は、コンクリート又は同等の堅固な材料から成るまくらぎまたはプレート上に固定が行われる堅固な軌道上にレールを固定するのに特に適している。
【0023】
本発明によるプレート構成部材を製造する本発明による方法は以下の作業ステップを有している:
第1の層と、第2の層と、熱作用下で溶融し溶融状態で前記層に付着する材料から成るフォイルとを重ねて、該フォイルが前記両層の間に位置している1つの積層体を形成するステップ、
該積層体を、前記フォイルが、該フォイルに接触する前記層に解離不能に材料接続的に結合する中間層を形成しながら少なくとも溶融し始める温度まで加熱するステップ。
【0024】
互いに結合すべき層の間に位置するフォイルを溶融させる熱供給の形式は、自体公知のように、その都度処理される材料に合わせることができる。この場合、層とフォイルとの間の十分均等な接触状態で十分な熱供給が保証されるような従来のあらゆる方法が考慮される。
【0025】
一方の層がEPDM材料から、他方の層がポリアミドから成っている場合は特に、本発明によるプレート構成部材の層の溶接には、ポリエチレンはEPDMの成分であるので、ポリエチレン材料から成るフォイルが適している。
【0026】
本発明により行われる溶接により形成される結合を最良のものとするために、互いに結合させたい層の少なくとも互いに対応する表面に、この表面を粗面化する前処理を施すことができる。この場合、粗面は、化学的に、又は例えば機械的な加工により物理的に形成することができる。同様に、該当する層を製造する工具内に既に、各表面の領域に合わせて、所定の粗さを調整することが考えられる。表面の粗面加工により溶接のための作用面が拡大されるので、各層の中間層への、ひいてはそれぞれ別の層への結合が全体として改善される。
【0027】
基本的には、中間層を形成するフォイルは溶融が開始されるだけで、即ち熱供給により完全に溶融されなくても、プレート構成部材の層の本発明による溶接のためには十分である。この場合、その都度の熱の導入、若しくは溶融の程度は、加熱継続期間及び加熱温度を介して制御することができる。これは勿論、必要であれば、フォイルが完全に溶融し、完全にフォイルの材料から成る、場合によっては、プレート構成部材の隣接する層の溶融し始めた材料からも成る中間層が形成されるように調節することができる。
【0028】
本発明によるプレート構成部材の層の、フォイルを介して行われる材料接続的な互いの結合の均等性は、プレート構成部材を形成する積層体に、加熱中、フォイルが位置する平面に対して法線方向に向けられた圧力負荷を加えることにより付加的に助成される。この場合、圧力分布は、構成部分の形に応じて、圧力負荷がフォイルの全面にわたって均等に延在するように最適に行われる。
【0029】
以下に、本発明を実施態様につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】レール用の固定点を部分的に断面して示した側面図である。
図2】プレート構成部材の斜視図である。
図3図2に示したプレート構成部材を製造するために準備された積層体を部分的に断面して示した斜視図である。
図4図3の積層体の分解図である。
図5】プレート構成部材の選択的な構成を示した斜視図である。
【0031】
図1に示した、不動の基礎Uを成すまくらぎ上にレールSが固定されている固定点Bは、2つの締結クランプ1,2と、2つのガイドプレート3,4と、各締結クランプ1,2を締結するための締結手段として必要な2つの締結ボルト5,6と、平面図で見てほぼ矩形に形成された下敷きプレートとして使用されるプレート構成部材7とを含んでいる。
【0032】
プレート構成部材7は、その狭幅側に接して、長手方向で突出する部分を有しているので、プレート構成部材7は平面図で「I」の形状又は2つのT字形状を有している。
【0033】
締結クランプ1,2のうちの一方、ガイドプレート3,4のうちの一方、締結ボルト5,6のうちの一方はそれぞれレールSの長手方向面の一方に配置されていて、プレート構成部材7は、レールSの脚部Fと基礎Uとの間に位置している。従ってレールSの脚部Fは、プレート構成部材7の対応する上面8の上に位置していて、プレート構成部材7の下面9は、基礎Uの平らな載置面上に位置している。
【0034】
ガイドプレート3,4はこの場合、従来のアングル状ガイドプレートの形式で形成されていて、基礎Uに対応配置されるその下面側に、レールSの長手方向で測定した幅を越えて延びる段部を有している。この段部は、ガイドプレート3,4の組み付け状態でそれぞれ、基礎U内に成形された配設された対応する溝内に嵌まっている。さらに、ガイドプレート3,4は組み付け位置でそれぞれ、レールSとは反対の背面で、同様に基礎Uに形成された肩部に支持されている。ガイドプレート3,4は、レール脚部Fに配設された、前記背面よりも幅の広い前面にそれぞれ1つの当接面を有しており、この当接面にレール脚部Fの長手方向縁部が支持されている。これによりレール車両(図示せず)によって走行される際にレールSから生じる横方向力Qがガイドプレート3,4によって吸収され、側方で各肩部に向けられて、基礎Uへと導出される。
【0035】
ガイドプレート3,4はその上面に、各ガイドプレート3,4上にそれぞれ取り付けられた締結クランプ1,2をガイドするための成形エレメント(詳しくは図示せず)と、上面から基礎Uへと通じている貫通孔(同様に図示せず)とを有しており、この貫通孔を通って、各締結クランプ1,2を締結するために使用される締結ボルト5,6が延在している。この場合、締結ボルト5,6はそれぞれ、基礎U内に設けられた埋込み栓(図示せず)内にねじ込まれている。
【0036】
固定点Bにおいて下敷きプレートとして使用されるプレート構成部材7は、固定点Bの規定された弾性的な可撓性を鉛直方向Vで保証する。この目的で、プレート構成部材7は、取付け位置で基礎U上に位置する第1の層10aを有している。この第1の層10aは、弾性持続性の圧縮可能な微細孔質のEPDM材料から成っている。
【0037】
第1の層10a上には、ガラス繊維強化されたポリアミドから成る第2の層10bが位置している。第2の層10bは、固定点Bをレール車両が走行する際に生じる重力方向に作用する負荷を確実に吸収し、弾性的な第1の層10aへと均等に分配することができる高い形状剛性を有している。この場合、第2の層10bは摩耗に対して高い抵抗を有しているので、第2の層10bと、固定点Bで第2の層10b上にあるレール脚部Fとの間の何らかの相対運動が、第2の層10bの長い耐用期間を損なうことはない。
【0038】
プレート構成部材7の第1の層10aと第2の層10bとの間には中間層10cが存在していて、この中間層10cを介して両層10a,10bは互いに解離不能に材料接続的に溶接されている。
【0039】
中間層10cはフォイル11から成っていて、このフォイル11は、プレート構成部材7を製造する際に層10aと10bとの間に配置される。フォイル11はポリエチレン材料から成っている。層10a,10bとフォイル11との溶接を補助するために、層10a,10bの、フォイル11に配設された表面10d,10eはそれぞれ粗面加工された。
【0040】
溶接のために、層10a,10bの間にフォイル11が位置している積層体12を、層10a,10bとフォイル11とから形成する。この場合、フォイル11の形状は、層10a,10bの対応する表面10d,10eの形状に正確に相当しているので、層10a,10bの表面10d,10eは完全にフォイル11によって覆われている。
【0041】
積み重ねた後、積層体12をプレス装置(図示せず)内へと置き、プレス装置内で積層体12を、フォイル11に対して法線方向に配向した方向Nから所定の圧力をかけて保持する。この圧力は、弾性的な第1の層10aが僅かにだけ圧縮されるが、両層10a,10bを全面でフォイル11に接触した状態で保持するように調節されている。次いでプレス装置内で積層体12を、フォイル11が溶融する温度にもたらす。この温度で積層体12を、フォイル11が完全に溶融し、フォイル11の材料が、隣接する層10a,10bの表面10d,10eに材料接続的に結合するまで保持する。
【0042】
積層体12の冷却後、層10aと10bとの間には、両層10a,10bを堅固に解離不能に互いに結合させる中間層10cが存在している。
【0043】
図5に示された、固定点Bのための下敷きプレートとして同様に使用可能なプレート構成部材20の選択的な構成は、プレート構成部材7と全く同様に、2つの層21a,21bと1つの中間層21cとから製造されている。中間層21cは、中間層10cと同様に、層21a,21bの間に位置するフォイルから成っている。
【0044】
基礎Uに配設される第1の層21aは、プレート構成部材7の第1の層10aと同じ材料から成っている。しかしながらプレート構成部材7とは異なり、プレート構成部材20では第2の層21bが鋼板から成形されている。
【0045】
プレート構成部材20はその四隅の領域に、プレート構成部材7と同様に、その狭幅側に隣接する、長手方向面の方向で突出する部分22を有している。この部分22は第1の層21aと第2の層21bとで同様に配置されている。上側の第2の層21bでは、この部分22からそれぞれ側方の縁部領域23,24が突出している。これらの縁部領域23,24は、下方に向かって第1の層21aの方向に曲げられていて、これによりこれらの縁部領域は側方で、第1の層21aの突出する部分22の狭幅側に接触している。このようにして、上側の第2の層21bには、一種の収容部が形成されていて、この収容部内に、下側の第1の層21aが形状接続的に保持されている。
【0046】
縁部領域23,24が90°の角度を超えて、下側の第1の層21a内へと屈曲されることにより、下側の第1の層21aを付加的に上側の第2の層21bによってクランプ固定することができる。この場合、プレート構成部材20の層21a,21bは中間層21cによって材料接続的に、かつ、第1の層21aを少なくとも部分的に把持する上側の層の縁部領域23,24を介して付加的に形状接続的かつ摩擦接続的に互いに堅固に結合されている。
【符号の説明】
【0047】
1,2 締結クランプ
3,4 ガイドプレート
5,6 締結ボルト
7 プレート構成部材
8 プレート構成部材7の上面
9 プレート構成部材7の下面
10a プレート構成部材7の第1の層
10b プレート構成部材7の第2の層
10c プレート構成部材7の中間層
11 フォイル
12 積層体
20 プレート構成部材
21a プレート構成部材20の第1の層
21b プレート構成部材20の第2の層
21c プレート構成部材20の中間層
22 プレート構成部材20の側方の突出する部分22
23,24 第2の層21bの縁部領域
B 固定点
F レールの脚部
N フォイル11に対して垂直な方向
Q 横方向力
S レール
U 基礎
V 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5