(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021957
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】蒸気タービン発電所に組み込まれた高温バッテリー
(51)【国際特許分類】
F02C 6/00 20060101AFI20161027BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20161027BHJP
F23K 1/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
F02C6/00 E
F23L15/00 A
F23K1/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-561438(P2014-561438)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-517045(P2015-517045A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2013055151
(87)【国際公開番号】WO2013135772
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】102012204210.5
(32)【優先日】2012年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ブルンフーバー、クリスチアン
(72)【発明者】
【氏名】グレーバー、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ツィンメルマン、ゲルハルト
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−6728(JP,A)
【文献】
特開2010−170819(JP,A)
【文献】
特開2008−181853(JP,A)
【文献】
特開2000−111007(JP,A)
【文献】
特開2010−223572(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/102855(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/070006(WO,A1)
【文献】
特開2004−22230(JP,A)
【文献】
特開2001−229961(JP,A)
【文献】
特開2009−187755(JP,A)
【文献】
特開2007−123275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/00
F23C 5/08
F01K 27/00
F23K 1/00 − 1/04
H01M 8/00 − 8/10
H01M 10/39 − 10/44
H01M 12/06 − 12/08
F23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(4)内の燃焼装置により焚かれる蒸気ボイラー(2)と、燃焼室(4)の煙道ガスから熱エネルギを受け取り、この熱エネルギを第1空気流(6)に伝達するのに適した空気予熱器(5)とを含み、この第1空気流(6)の一部が燃焼空気として燃焼室(4)に再び供給される蒸気タービン発電所(1)であって、この蒸気タービン発電所(1)がさらに高温バッテリー(10)を含み、この高温バッテリーにも前記第1空気流(6)からの空気が供給されることを特徴とする蒸気タービン発電所。
【請求項2】
前記高温バッテリー(10)に供給される前記第1空気流(6)からの空気が、前記燃焼装置の通常運転時に、少なくとも250℃を有することを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項3】
前記高温バッテリー(10)に供給される前記第1空気流(6)からの空気が、前記高温バッテリー(10)との熱的な交換作用の後に、微粉炭機(20)に供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項4】
前記第1空気流(6)よりも低い温度を有する第2空気流(9)が前記微粉炭機(20)に供給されることを特徴とする先行する請求項3に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項5】
前記第1空気流(6)と前記第2空気流(9)とが前記微粉炭機に導入される前に互いに混合されることを特徴とする請求項4に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項6】
前記第1空気流(6)と前記第2空気流(9)との混合後の前記微粉炭機(20)内の温度の変動幅が50℃を超えないことを特徴とする先行する請求項5に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項7】
前記微粉炭機(20)への供給前に前記第2空気流(9)が、熱交換器(8)によりコンディショニングされることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の蒸気タービン発電所。
【請求項8】
前記空気予熱器(5)に第1空気流(6)として、次いで前記燃焼室(4)に燃焼空気として供給される前記空気を熱的にコンディショニングするように前記熱交換器(8)が構成されていることを特徴とする請求項7に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項9】
前記高温バッテリー(10)に供給するための前記第1空気流(6)からの空気が、先ず前記高温バッテリー(10)に供給され、そして、この高温バッテリーとの熱的な交換作用の後で、前記燃焼室(4)に燃焼空気として供給されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン発電所。
【請求項10】
前記高温バッテリー(10)が、放電運転中に還元により空気中の酸素を消費する金属・空気バッテリーであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蒸気タービン発電所。
【請求項11】
前記高温バッテリー(10)が、前記燃焼室(4)で燃焼熱により熱的に処理された水蒸気を供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の蒸気タービン発電所。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1つに記載の蒸気タービン発電所(1)の運転方法であって、前記高温バッテリー(10)に運転状態において前記第1空気流(6)からの空気が供給されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記高温バッテリー(10)への前記第1空気流(6)からの空気の供給が、高温バッテリー(10)の運転状態に応じて制御あるいは調節されて行われることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼室内の燃焼装置により焚かれる蒸気ボイラーと、この燃焼室の煙道ガスから熱エネルギを受け取り、この熱エネルギを第1空気流に伝達するのに適した空気予熱器とを含み、この第1空気流の少なくとも一部が燃焼空気として燃焼室に再び供給されるように構成された蒸気タービン発電所に関し、これは請求項1の前文に記載されている。本発明はさらにこの種の発電所の運転方法に関し、これは請求項13の前文に記載されている。
【背景技術】
【0002】
化石燃料焚き蒸気タービン発電所は公的電力供給のとりわけベースロード、すなわち、1日平均で一般的にはこれを下回らない公的電力系統の電力負荷をカバーするために使用されている。この種の発電所として特に石油焚き、または石炭焚き蒸気タービン発電所を挙げることができる。それ以上の電力需要量をカバーするためには、需要に応じて中間ロード発電所ないしピークロード発電所が設置される。
【0003】
石油焚き、または石炭焚き蒸気タービン発電所は、固定運転コストが高く、燃料コストが比較的低いので、ベースロード発電所として運転される。これらは一般的なベースロード運転中は主に高負荷領域で24時間運転される。これらの発電所は同様に、技術的な設計しだいでは比較的有利な始動速度あるいは高速調節の可能性に基づき、中間ロード発電所としても適している。
【0004】
この種の蒸気タービン発電所は主に連続運転で使用されるので、特に電力需要が少ない時には中間貯蔵システムへの供給に適しており、新たに電力需要が生じた時にはこの中間貯蔵システムから電気エネルギを急速に再び供給することができる。
【0005】
このような中間貯蔵システムとは、例えば、発電所の電気エネルギ出力を電気的な形態で貯蔵する状態にある工業的な電気バッテリーである。公的電力系統への電気エネルギ供給に関して、この場合、特に高温バッテリー技術が適していることが分かった。
【0006】
ここで高温バッテリーとは、発電所の電気出力容量を中間貯蔵し、これを需要に応じて公的電力系統へ十分な量だけ再度放出することができるのに適したバッテリーである。さらに、これらの高温バッテリーの作動温度は少なくとも100℃であり、好ましくは250℃を超え、特に好ましくは500℃を超えている。好ましくは、これらの高温バッテリーは上述した作動温度を有する固体電解質バッテリーである。
【0007】
すなわち、より多量の電気エネルギをも中間貯蔵するのに例えばナトリウム硫黄セル(Na−S蓄電池)が適している。これらの電気エネルギはピークロード時に、ないし、公的電力系統の系統安定化のために、非常に短時間で再び放出することができる。ピークロード時の供給に適したもう1つの高温バッテリー技術は、本願出願人により開発された金属・空気バッテリーであり、これは例えば特許文献1に記載されている。この文献の内容を本発明の参考文献として明確に採り上げておく。この金属・空気バッテリーの特徴は、酸化可能な物質、好ましくは金属物質、例えば鉄を使用することにあり、この金属物質はバッテリーの放電時に水蒸気により酸化される。さらに、このバッテリーの出力放出は陰極側のプロセスガス供給に基づいてなされ、プロセスガスとしては通常、空気が供給される。この場合、空気中に存在する酸素は放電状態中に陰極で還元され、陰極と陽極を分離する気密な固体電解質を通って陽極部へ輸送される。そこで、還元された酸素の酸化が行われ、解放された電荷を電気出力として接点を介して取り出すことができる。固体電解質が運転状態でそのイオン電導度を保証することができるためには、金属・空気バッテリーを機能させるための或る最低温度が必要であり、経済的な運転のためにはこれを下回ってはならない。
【0008】
全ての高温バッテリーに共通することは、これらが経済的な運転のために熱エネルギの供給を必要とすることである。これを供給するために、高温バッテリーを作動温度に上昇させ、ないし、作動温度に維持すべく、通常は熱源として電気加熱システムがそれぞれのバッテリーに組み込まれる。しかし、このことは、使用される電力を全体的に捉えると、しばしば経済的には不利となる。というのは、この電気エネルギの供給は発電、供給および中間貯蔵時における望ましくない電力損失をもたらすからである。
【0009】
この電力損失に加えてさらに熱損失も考慮しなければならない。約250℃を超える、あるいは、500℃を超える作動温度は電気エネルギからもたらされる熱エネルギを供給するための高い供給コストを意味するだけでなく、熱損失をできるだけ少なく抑えるための高い熱絶縁コストを必要とするからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009057720A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明の課題は従来技術で知られている欠点を回避することにある。電気エネルギから直接もたらされる熱エネルギの、高温バッテリーへの比較的非効率な供給を避けることが特に本発明の課題である。さらに、この種の高温バッテリーのエネルギ効率の良い運転を可能とする電力供給コンセプトが提案されている。このコンセプトは、高温バッテリーにエネルギを適切に供給するための、蒸気タービン発電所への高温バッテリーの組込みに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は本発明により、請求項1による蒸気タービン発電所、ならびに、このような蒸気タービン発電所の請求項13による運転方法により達成される。
【0013】
この課題は特に、燃焼室内の燃焼装置により焚くことができる蒸気ボイラーと、燃焼室の煙道ガスから熱エネルギを受け取り、この熱エネルギを第1空気流に伝達するのに適した空気予熱器とを含み、この第1空気流の少なくとも一部が燃焼空気として燃焼室に再び供給されるように構成された蒸気タービン発電所であって、この蒸気タービン発電所がさらに高温バッテリーを含み、この高温バッテリーにも前記第1空気流から空気が供給されることによって達成される。
【0014】
同様に本発明の課題はこのような蒸気タービン発電所の運転方法であって、特に高温バッテリーが運転状態で前記第1空気流から空気を供給されることによって達成される。
【0015】
すなわち、本発明によれば、熱エネルギが燃焼室の煙道ガスから取り出され、この熱エネルギの少なくとも一部が第1空気流に伝達され、この熱エネルギが第1空気流から高温バッテリーに供給するために提供される。こうして、高温バッテリーの運転に必要な熱エネルギは全部あるいは少なくとも部分的に煙道ガスから取り出される。これによって、高温バッテリーにおける作動温度に到達するための電気的な加熱装置は不要となるか、あるいは、相対的により低い出力で運転することが可能となる。
【0016】
蒸気タービン発電プロセスに組み込まれた高温バッテリーへの第1空気流からのエネルギの供給は通常は第1空気流から適切な量の空気を取り出すことにより達成される。そこで実施例によれば、例えば、この第1空気流を適切な複数の空気導管を設けることにより分割することが考えられ、この場合、この第1空気流の一部は燃焼空気として燃焼室に再度供給されるが、他の一部は適切な方法で高温バッテリーに供給される。さらに、適切な流体技術的な、および/または、熱的な調節によって、高温バッテリーに供給される熱エネルギの量を適切に調整することができる。
【0017】
さらに、高温バッテリーを発電所系統に組み入れることは、それによって高温バッテリーに供給する際の熱損失もあるいは電力損失も著しく低く抑えることができるので、特に有利であることが分かった。この点で、発電所に組込むという本発明による解決法により非常に改善された効率を見込むことができる。
【0018】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、高温バッテリーに供給される第1空気流からの空気が、燃焼装置の通常の運転時に少なくとも250℃、好ましくは少なくとも300℃の温度レベルを有する。これによって、例えば、通常は250℃から300℃の作動温度を必要とするナトリウム硫黄セルをも有利に運転することが保証される。特に、ナトリウム硫黄セルにとって必要な作動温度に達するための別の加熱装置が不要となる。したがってこのことから、運転時と同様に待機時において必要な加熱装置に関する経費を低減することができる。高温バッテリーを蒸気タービン発電所に組み込むことにより熱損失も比較的小さく抑えることができるので、この実施形態による組み込み解決法は特に有利である。
【0019】
他の好ましい実施形態によれば、高温バッテリーに供給される第1空気流からの空気が、高温バッテリーとの熱的な交換作用の後に、特に、熱的なおよび/または化学的な交換作用の後に、微粉炭機に供給されるように構成されている。この実施形態ではこのための適切な供給手段が備えられている。前記交換作用はこの場合、通常は高温バッテリーの内部で行われ、この空気が次に微粉炭機に導かれる。この場合、この空気からの熱エネルギは特に炭塵の乾燥のため、あるいは不活化のために使用される。さらにこの空気を、適切な方法で炭塵を微粉炭機から燃焼室に輸送するためにも使用することができる。微粉炭機への供給時に温度変動を発生させることができるようにするために、高温バッテリーの運転状態に応じて、異なる熱エネルギ量をこの空気に供給し、あるいはこの空気から取り去ることができる。
【0020】
例えば上述した金属・空気バッテリーに放電状態中に第1空気流からの空気が供給されると、この空気のエネルギ含有量は金属・空気バッテリーの発熱反応によりむしろ高くなる。すなわち、この空気は高温バッテリーから出た後では、高温バッテリーに入る時に比べてより高い温度を有する。しかしながら、高温バッテリーが充電状態の時には、とりわけ熱エネルギを吸収し、その結果、空気のエネルギ含有量が減少する、という別の挙動もありうる。高温バッテリーが待機状態で充電も放電もされない場合には、温度の変化は僅かであると予測することもできる。
【0021】
すなわち、第1空気流からの空気が最初に高温バッテリーに熱エネルギを供給するために使用される場合には、この空気は同時に搬送媒体としての機能をも満たし、例えば熱エネルギを高温バッテリーから排出することができる。この実施形態では、高温バッテリーから排出された、第1空気流の空気は微粉炭機に供給されるので、そこで取り入れられた熱エネルギは次に適切な方法で利用することができる。高温バッテリーからの付加的な熱エネルギがこの空気流によって排出され、微粉炭機に供給される場合には、特に有効な利用が行われる。
【0022】
この実施形態の別の展開によれば、この空気が、運転中の高温バッテリーとの熱的な交換作用の後で、高温バッテリーとの熱的な交換作用の前よりも高い温度レベルを有するように構成することができる。上述したように、このようなより高い温度レベルは上述した金属・空気バッテリーの放電状態で生じうる。
他の実施形態によれば、高温バッテリーから取り出され微粉炭機に供給される空気をその流量に関して制御ないし調節することができ、それによって微粉炭機への熱流入を特に有利にすることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、第1空気流よりも低い温度レベルの第2空気流を微粉炭機に供給することが考えられる。微粉炭機に供給する前に第1空気流と第2空気流を互いに混合するのが望ましい。この場合、この混合は、通常は適切な混合室内で行われるが、代案として、微粉炭機へ供給する前に混合が行われない場合には微粉炭機自身の中で行われる。温度レベルの異なる2つの空気流を供給することによって、微粉炭機へ供給される熱を適切に調整することができる。例えば、微粉炭機により多くの熱エネルギを供給しなければならない場合には、第1空気流からの部分流の比率が大きくされる。同様に、微粉炭機に比較的少量の熱量を供給すべき場合には、第2空気流からの空気の割合を多くする。個々の部分流の適切な選択により、微粉炭機に十分な熱エネルギを供給することができる。同様に、適切な調整により流量を有利に調整することができる。
【0024】
この観点からの別な形態により、第1空気流からの空気と第2空気流からの空気との混合後の微粉炭機内部の温度変動幅が50℃を超えない、好ましくは20℃を超えないことを保証する流れ技術的な調節を行うようにすることができる。このような変動幅の場合には、微粉炭機での炭塵の処理を特に均一に行うことができ、これにより、時間平均で、炭塵燃焼時のより均一な燃焼温度を見込むことができる。
【0025】
本発明の特に有利な1実施形態によれば、この第2空気流が、微粉炭機に供給される前に熱交換器で、特に、蒸気による空気予熱器でコンディショニングされる。この熱交換器は、第2空気流が第1空気流からの空気との混合後に微粉炭機の運転に適した全体温度レベルとなる温度レベルを有するようにするために、第2空気流に十分に熱エネルギを供給するのに特に適している。この熱交換器により熱エネルギを供給することができるので、第1空気流からの空気と第2空気流からの空気との温度レベルの差を有利にバランスさせることができ、これによって、両方の空気流の混合後の低減された変動を見込むことができる。
【0026】
この実施形態の別の観点によれば、この熱交換器は、前記空気予熱器に第1空気流として、そして、次に燃焼室に燃焼空気として供給される空気を熱的にコンディショニングする、特に、予熱するように構成されている。こうして、第1空気流からの空気の熱エネルギ含有量が高められるだけでなく、蒸気タービン発電所の総合熱効率も改善される。
【0027】
蒸気タービン発電所の他の有利な実施形態によれば、高温バッテリーに供給するための第1空気流からの空気は、先ず高温バッテリーに、そして、これとの交換作用の後で、特に、これとの熱的なおよび/または化学的な交換作用の後で燃焼室に燃焼空気として供給される。したがって、高温バッテリーに供給された熱エネルギはもはや燃焼空気には供給されない。他方、高温バッテリーの適切な運転時には第1空気流の空気への熱流入も生じるので、燃焼空気がより高い熱含有量を有することができる。この場合には、第1空気流からの空気は燃焼室への導入時により高い温度レベルを有することになろう。この高められた熱エネルギ含有量は結果的に改善された燃焼効率をも有することができる。しかし、高温バッテリーは運転状態によっては異なった量の熱エネルギを第1空気流の空気から取り入れる、あるいは、これに供給することができ、その結果、空気の温度レベルが変動するので、燃焼空気の適切な熱処理については特に注意を払うべきである。ここで、上述した実施形態と同様に、燃焼室に供給される燃焼空気の温度レベルの変動を調節すべく第1空気流からの空気と混合されるもう1つの空気流とのミキシングも可能である。
【0028】
本発明による蒸気タービン発電所の他の実施形態では、この高温バッテリーは金属・空気バッテリーであり、これは放電運転中に化学的な還元により特に空気中の酸素を消費する。この場合には、第1空気流からの空気は高温バッテリーのために熱エネルギを供給するのに役立つだけでなく、同時に、金属・空気バッテリーの運転状態中にその組成が変化しうるプロセスガスとなることもある。すなわち、第1空気流の空気は2つの有利な機能を満たす。
【0029】
他の有利な実施形態では、燃焼熱により燃焼室で熱的に処理された水蒸気がこの高温バッテリーに供給されるように構成される。この高温バッテリーが金属・空気バッテリーとして実施される場合には特に、この水蒸気は、金属の蓄電材料、例えば金属鉄、あるいは、低原子価の酸化鉄の酸化のための酸化剤を付加的に供給するためにも役立つ。ここでこの水自体はこの酸化過程中に水素に還元される。金属・空気バッテリーに付加的な熱エネルギを供給するために、この水蒸気を第1空気流からの空気の温度レベルよりも高い温度レベルにすることができる。こうして、例えば、水蒸気を300℃を超える温度で、特に500℃を超える温度で蒸気プロセスから取り出し、金属・空気バッテリーに供給することが考えられる。こうして、この実施例では、高温バッテリーに別の熱エネルギを供給することができ、これにより、高温バッテリーの運転効率を向上すると共に、蒸気タービン発電所の総合効率を改善することができる。
【0030】
本発明による方法の好ましい実施形態では、第1空気流からの空気の高温バッテリーへの供給が、高温バッテリーの運転状態に応じて制御あるいは調節されて行われる。例えば、適切なセンサ手段を用いて高温バッテリーの運転状態を検出することができ、引き続き、適切な制御あるいは調節手段を用いて第1空気流からの空気量の適切な制御あるいは調節を行うことができる。高温バッテリーが例えば充電状態に在り、比較的高い熱エネルギの導入が必要な場合には、例えば、高温バッテリーに供給される前記空気流を多くすることができる。他方、高温バッテリーが例えば放電状態に在り、電気化学反応により自分で熱エネルギを発生する場合には、前記空気流を減少し、その結果、熱エネルギを減少することが考えられる。
【0031】
以下、図に基づいて本発明を例示的に説明する。ここで、これらの図は発明の全体的な主題との関連において限定的に見てはならない。また、これらの図は分かり易くし、理解を深めるために単に模式的なものとなっている。当業者であれば、これらの図に示された模式的な構成を具体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による蒸気タービン発電所の第1実施形態の模式的系統図
【
図2】本発明による蒸気タービン発電所の第2実施形態の模式的系統図
【
図3】本発明による蒸気タービン発電所の第3実施形態の模式的系統図
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は本発明による蒸気タービン発電所の第1実施形態の模式的系統図である。ここで蒸気タービン発電所1は、説明も図示もされていない燃焼装置を備えた燃焼室4を含む。この燃焼装置の運転時に高い熱エネルギ量を有する煙道ガスがこの燃焼室4で発生する。この煙道ガスは、例えば適切な煙道ガス配管を用いて脱硝設備30に導かれる。蒸気タービン発電所の運転時に煙道ガスの熱エネルギ含有量をその次の工程で使えるようにするために、この熱エネルギの一部は熱交換器としての再生式の空気予熱器5により第1空気流6の空気に伝達される。熱エネルギを放出した後でこの煙道ガスは、後で周囲環境に放出できるように、例えば排煙集塵機31でさらに処理される。
【0034】
第1空気流6の空気は例えば新鮮空気導入配管18から取り入れることができる。この新鮮空気は空気予熱器5による熱エネルギ伝達によってその熱量がコンディショニングされる。このようにコンディショニングされた空気量の温度レベルは大幅に上昇するので、第1空気流6において少なくとも250℃、好ましくは少なくとも300℃の温度が使用可能となる。第1空気流6の一部は適切な第2空気配管17を通って2次空気として、熱的にコンディショニングされた燃焼空気として燃焼室に再び導かれる。第1空気流6の他の部分は1次空気として適切な第1空気配管16により高温バッテリー10に導かれる。この1次空気に内在する熱エネルギはここで交換作用によって高温バッテリー10に伝達される。しかし、高温バッテリー10の運転状態によっては、この1次空気に高温バッテリー10自身との熱交換作用により付加的な熱エネルギが伝達されることも可能である。高温バッテリー10との熱交換作用の後にこの1次空気は微粉炭機20に導かれ、これにより炭塵処理が可能となる。特に、この空気供給によって炭塵の乾燥、あるいは不活化が行われる。
【0035】
この場合、新鮮空気導入配管18からの新鮮空気は2つの異なった空気流に分割される。1つの空気流は再生式の空気予熱器5から更に熱エネルギを受け取るためのものであり、もう1つの空気流はこれとは異なって微粉炭機20への導入のためである。微粉炭機20に導入される空気量、ないしは、それに含まれている熱を適切な方法で調節するために、
図1に示されているように、適切な複数の調節手段または制御手段、好ましくは弁が設けられている。これらは適切な方法で空気導入配管19に取り付けられている。
【0036】
ここに示された実施形態では、微粉炭機20には2つの別々の空気流が供給され、これらは微粉炭機20に導入される前に互いに混合される。その1つは高温バッテリー10から出てくる空気流
、即ち、第1空気流6の高温バッテリー吐出空気流7である。もう1つの空気流は新鮮空気導入配管18の新鮮空気流から分岐された部分流
としての第2空気流9である。この場合、両方の空気流は通常は異なる熱エネルギ含有量を有する。高温バッテリー10自身の異なる運転状態に基づいて
、前記高温バッテリー吐出空気流7のエネルギ含有量が変動する場合には特に、この変動差を空気導入配管19から取り入れられた空気流
、即ち、第2空気流9によって適切な方法で補償することができる。両方の空気流相互の適切な調節あるいは制御により、微粉炭機20に導入された合計熱エネルギの変動幅を比較的小さく抑えることができる。
【0037】
高温バッテリー10の放電時には、電気エネルギを電力系統回線11に供給することができる。他方、高温バッテリーの充電時には、図示されていない系統から高温バッテリー10に電気エネルギを供給する必要がある。
【0038】
この実施形態のように、この高温バッテリー10が上述した金属・空気バッテリーの場合には、これにさらに蒸気供給配管40を介して水蒸気を供給することができる。この図示によれば、燃焼室4で調整された蒸気が取り入れられる。高温バッテリー10に供給される蒸気量を適切に調節するために、蒸気供給配管40に、模式的に示されているように、複数の適切な制御手段ないし調節手段、特に弁を設けることができる。この水蒸気が高温バッテリー10で、もはやそれ以上は必要ない場合には、あるいは、水蒸気を交換しなければならない場合には、この水蒸気はこの高温バッテリー10から蒸気排出管41を用いて排出することができる。
【0039】
図1の模式図から明らかなように、蒸気タービン発電所に組み込まれた高温バッテリー10を提供することにより、高温バッテリー自身へ煙道ガス配管15の煙道ガスからの熱エネルギを適切に供給することが可能となる。燃焼室4と高温バッテリー10が場所的に近いので、有利なことに第1空気流6からの空気による熱エネルギの供給に際しての熱損失は小さい。高温バッテリー10を蒸気タービン発電所に組み込むことによって特に、この蒸気タービン発電所の総合効率の非常に有利な向上が達成される。
【0040】
図2は本発明による他の実施形態の模式図である。
図1との違いは単に、
図2の実施形態では、再生式の空気予熱器5による熱伝達が新鮮空気導入配管18からのコンディショニングされていない新鮮空気に対してではなく、既に熱的にコンディショニングされた空気に対して行われることである。この実施形態では、この空気は熱的なコンディショニングのために既に熱交換器8、特に好ましくは蒸気による空気予熱器8で、熱を受け取っている。この実施形態では、新鮮空気への熱伝達を行うことができる。
【0041】
図3は本発明による他の実施形態の模式図である。
図3に示された実施形態の
図1との違いは、高温バッテリー10に供給されるのは第1空気配管16からの1次空気ではなく、第2空気配管17からの2次空気であることである。すなわちこの実施形態では、高温バッテリー10は第2空気配管17において燃焼室4の上流側に前置接続されている。これにより、第1空気配管16からの1次空気の全熱量を微粉炭機20での炭塵処理に使用することができるが、高温バッテリー10の運転のための熱エネルギは第2空気配管17の2次空気から取り出される。このことは高温バッテリーの運転において、高温バッテリー10の運転により生じた熱を燃焼空気に付加的に供給することができるという点で有利である。
【0042】
図1から
図3により例として示された本発明の実施例で権利請求される特徴はそれら単独だけでなく、他の特徴と共に全体的に権利請求されるべきものである。
【0043】
その他の実施形態は下位請求項に記載されている。
【符号の説明】
【0044】
1 蒸気タービン発電所
4 燃焼室
5 空気予熱器
6 第1空気流
7
第1空気流の高温バッテリー吐出空気流
8 空気予熱器
9 第2空気流
10 高温バッテリー
15 煙道ガス配管
16 第1空気配管
17 第2空気配管
18 新鮮空気導入配管
20 微粉炭機
40 蒸気供給配管