特許第6022032号(P6022032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022032
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】締付け機構およびそれを含む用途
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/08 20060101AFI20161027BHJP
   A43B 5/04 20060101ALI20161027BHJP
   A63C 10/00 20120101ALI20161027BHJP
   A45F 3/02 20060101ALN20161027BHJP
   A43B 3/12 20060101ALN20161027BHJP
   A43B 3/02 20060101ALN20161027BHJP
   A63C 9/00 20120101ALN20161027BHJP
【FI】
   A43C11/08
   A43B5/04 K
   A63C10/00
   !A45F3/02 410
   !A43B3/12 Z
   !A43B3/02
   !A63C9/00 C
【請求項の数】27
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2015-500663(P2015-500663)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-516828(P2015-516828A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】US2013032326
(87)【国際公開番号】WO2013138759
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】61/611,418
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/829,601
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ ロバート アール
(72)【発明者】
【氏名】ハンマースラグ ゲイリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン エリク クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ラベット クリストファー カールトン
(72)【発明者】
【氏名】ニッケル マイケル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ソダーバーグ マーク スタンレー
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第7386947(US,B2)
【文献】 米国特許第5177882(US,A)
【文献】 特表2008−525052(JP,A)
【文献】 特開2004−041666(JP,A)
【文献】 特開平05−184403(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0317889(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0092279(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0101061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/08
A43B 5/04
A63C 10/00
A43B 3/02
A43B 3/12
A45F 3/02
A63C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、
第一の部分と第二の部分を有するアッパー
回転可能なノブを含む、該アッパーに結合された締付け機構であって、該ノブが締付け方向に回転することによりアッパーの第一の部分とアッパーの第二の部分が互いに向けて引かれてが締付けられる、締付け機構;ならびに
物体との意図せぬ接触から締付け機構を保護するのに役立つように該アッパーから方に延びかつ該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する隠蔽部であって、
該アッパーの外層の下に配置される圧縮性材料を含み、
該締付け機構の側面を把持することを可能にするために該締付け機構が露出するように、他の区域よりもより少なく外方に延びる区域を含み、
該締付け機構と該アッパーとの間の滑らかなつなぎ部を提供するようにテーパ状であり、
圧縮力が解除されたとき非圧縮位置に弾性的に戻る、隠蔽部。
【請求項2】
前記圧縮性材料が、約10〜約25ショアAのデュロメータを有する発泡体材料を含む、請求項1に記載の
【請求項3】
前記隠蔽部が、該靴の一体部分として形成されている、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記隠蔽部が、側壁の間に延びる凹みを含み、該締付け機構が該凹みを通って配置される、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
さらに該隠蔽部の該凹みの下に配置されたベース層を含む、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
以下を含む、物品:
ベース材;
回転可能なノブを含む、該ベース材に結合された締付け機構であって、該ノブが締付け方向に回転することにより該物品が締付けられる、締付け機構;ならびに
該ベース材から上方に延びかつ該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲し、圧縮性発泡体を含む圧縮性材料を含む、隠蔽部であって、該回転可能なノブの少なくとも一部が該隠蔽部の外面の後方にあり、前記圧縮性発泡体よりも圧縮性が低い第二の材料を含み、該第二の材料が該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する、隠蔽部。
【請求項7】
前記回転可能なノブの大部分が前記隠蔽部の前記外面の後方にある、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記回転可能なノブの実質的に全部が前記隠蔽部の前記外面の後方にある、請求項6に記載の物品。
【請求項9】
前記回転可能なノブの上面が前記隠蔽部の前記外面と実質的に面一である、請求項6に記載の物品。
【請求項10】
前記圧縮性材料が、該隠蔽部の外層の下に配置され、該隠蔽部が該締付け機構と該ベース材との間のつなぎ部を提供する、請求項6に記載の物品。
【請求項11】
前記圧縮性発泡体が、圧縮力が加えられないときに非圧縮形状に戻るように弾性である、請求項6に記載の物品。
【請求項12】
前記隠蔽部が物品の一体部分として形成される、請求項6に記載の物品。
【請求項13】
前記隠蔽部が、該締付け機構がその中に配置される凹みを含む、請求項6に記載の物品。
【請求項14】
前記ベース材が穴を含み、かつ前記締付け機構の少なくとも一部が該ベース材中の該穴を通って延びる、請求項6に記載の物品。
【請求項15】
前記隠蔽部が前記締付け機構を全360°において放射状に包囲する、請求項6に記載の物品。
【請求項16】
前記隠蔽部が、の区域および第二の区域を含み、記回転可能なノブが該第一区域よりも該第の区域においてより多く露出するように、該隠蔽部の該第一区域の高さが該隠蔽部の該第の区域の高さよりも大きい、請求項6に記載の物品。
【請求項17】
以下の工程を含む、物品を製造する方法:
ベース材を提供する工程;
締付け方向に回転することにより該物品が締付けられるように構成されている回転可能なノブを含む締付け機構を該ベース材に結合する工程ならびに
該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲するように隠蔽部を配置する工程であって、該隠蔽部が、圧縮性材料を含み、該ベース材から上方に延び、締付け機構と該ベース材との間の滑らかなつなぎ部を提供するようにテーパ状である、工程。
【請求項18】
前記隠蔽部、前記回転可能なノブの大部分、前記隠蔽部の前記外面の後方になるように配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記隠蔽部、前記回転可能なノブの実質的に全部、前記隠蔽部の前記外面の後方になるように配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮性材料が、該隠蔽部の外層の下に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記圧縮性材料が圧縮性発泡体を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記隠蔽部が、前記圧縮性発泡体よりも圧縮性が低い第二の料をさらに含み、該第二の料が、該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記圧縮性発泡体が、圧縮力が加えられないときに非圧縮形状に戻るように弾性である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記隠蔽部が物品の一体部分として形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記ベース材が穴を含み、かつ前記締付け機構を該ベース材に結合する工程が、該締付け機構の少なくとも一部分が該ベース材中の該穴を通って延びるように該締付け機構を配置することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記隠蔽部が前記締付け機構を全360°において放射状に包囲する、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記隠蔽部が、の区域および第二の区域を含み、記回転可能なノブが該第一区域よりも該第の区域においてより多く露出するように、該隠蔽部の該第一区域の高さが該隠蔽部の該第の区域の高さよりも大きい、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT国際特許出願は、2013年3月14日に出願された「Tightening Mechanisms and Applications Including the Same」と題する米国非仮特許出願第13/829,601号の優先権を主張し、後者出願は、2012年3月15日に出願された「Tightening Mechanisms and Applications Including the Same」と題する米国仮特許出願第61/611,418号の優先権を主張し、これらの出願それぞれの開示が、事実上、本明細書に完全に記載されているごとく、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示のいくつかの態様は、締付けシステム(たとえばレース締めシステム)を使用する物品(たとえば靴、ブーツ、ブレースおよび他の装用可能な物品)に関し、より具体的には、少なくとも部分的に隠蔽または保護される締付け機構を含む物品に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
様々なレース締めシステムが様々な装用可能な物品とともに使用されることができるが、既存のレース締めシステムは様々な欠点を抱えている。たとえば、一部のレース締めシステムは、見栄えがよくない可能性がある、露出したレース締付け機構を含む。また、コンタクトスポーツ中および他の使用中に、露出したレース締付け機構が損傷するか、または意図せずに作動する(たとえば緩む)可能性がある。したがって、隠蔽または保護されたレース締付け機構を含むレース締めシステムの必要性は依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される様々な態様は、ベース材と、ベース材に結合された締付け機構とを含む物品に関する。締付け機構は回転可能なノブを含むことができ、締付け方向へのノブの回転により物品を締め付けることができる。物品は、ベース材から上方に延び、かつ締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲することができる隠蔽部を含むことができる。回転可能なノブの少なくとも一部が隠蔽部の外面の後方または内方にあることができる。いくつかの態様においては、回転可能なノブの大部分が隠蔽部の外面の後方または内方にあることができる。いくつかの態様においては、回転可能なノブの実質的に全部が隠蔽部の外面の後方または内方にあることができる。いくつかの態様においては、回転可能なノブの上面が隠蔽部の外面と実質的に面一であることができる。
【0005】
隠蔽部は圧縮性区域を含むことができ、圧縮性区域が圧縮されることにより隠蔽部の外面が第一の位置から第二の位置へと変位し、第二の位置は第一の位置よりも低い高さを有することができる。圧縮性区域は圧縮性発泡体を含むことができる。隠蔽部は、圧縮性発泡体よりも圧縮性が低い第二の発泡体材料を含むことができ、第二の発泡体材料は、圧縮性発泡体を少なくとも部分的に放射状に包囲することができる。圧縮性発泡体は、弾性であることができ、かつ、圧縮力が加えられないときは第二の位置から第一の位置への外面の戻りを促進することができる。圧縮性区域は、一つまたは複数の圧潰性の凹みを含むことができる。
【0006】
ベース材は穴を含むことができ、締付け機構の少なくとも一部がベース材中の穴を通って延びることができる。
【0007】
いくつかの態様において、隠蔽部は締付け機構を全360°において放射状に包囲することができる。
【0008】
隠蔽部は、締付け機構をはさんで互いに実質的に反対側にある第一および第二の区域ならびに互いに実質的に反対側にある第三および第四の区域を含むことができる。隠蔽部の第一および第二の区域の高さは、隠蔽部の第三および第四の区域の高さよりも大きいことが可能であり、回転可能なノブは、第一および第二の区域よりも第三および第四の区域においてより多く露出することができる。
【0009】
一つの態様において、物品(たとえば靴、ブーツ、アパレルなど)は、ベース材(たとえばヒール、ベロ、アウトソールなど)と、ベース材に結合された締付け機構とを含み得る。締付け機構は回転可能なノブを含み得、該ノブが締付け方向に回転することにより前記物品が締付けられる。圧縮性材料が締付け機構のボディ(たとえばハウジング)に結合され得る。圧縮性材料は、締付け機構のボディとベース材との間のつなぎ部を提供してボディの縁をユーザの視界から隠すために、ベース材の上層の下に配置され得る。隠蔽部がベース材から上方に延び、かつ締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲し得る。ノブの一部またはノブ全体を隠すために、回転可能なノブの少なくとも一部が隠蔽部の外面の後方に配置され得る。
【0010】
一つの態様において、圧縮性材料は、約10〜約25ショアAのデュロメータを有する発泡体材料を含み得る。いくつかの態様においては、相対的に硬質の取付け部品(たとえばバヨネット)が圧縮性材料およびベース材と結合され得る。物品を締め付けるためにノブが締付け方向に回されるとき圧縮性材料のゆがみを制限するために、締付け機構のボディは取付け部品と結合され得る。いくつかの態様において、締付け機構のボディはベース材の一つまたは複数の部品と一緒に一体に形成され得る。特定の態様において、ベース材は、靴またはその一部もしくは部品を含み得、締付け機構および圧縮性材料は靴のヒール部と結合され得る。
[本発明1001]
以下を含む、物品:
ベース材;
回転可能なノブを含む、該ベース材に結合された締付け機構であって、該ノブが締付け方向に回転することにより該物品が締付けられる、締付け機構;
該締付け機構のボディと結合された圧縮性材料であって、該ベース材の上層の下に配置されて、該締付け機構の該ボディと該ベース材との間の移行部を提供し、該ボディの縁をユーザの視界から隠す、圧縮性材料;ならびに
該ベース材から上方に延びかつ該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する隠蔽部であって、該回転可能なノブの少なくとも一部が該隠蔽部の外面の後方にある、隠蔽部。
[本発明1002]
前記圧縮性材料が、約10〜約25ショアAのデュロメータを有する発泡体材料を含む、本発明1001の物品。
[本発明1003]
前記物品が、前記圧縮性材料および前記ベース材と結合した相対的に硬質の取付け部品をさらに含み、前記締付け機構の前記ボディが、該取付け部品と結合して、該物品を締め付けるために前記ノブが締付け方向に回転されるときの該圧縮性材料のゆがみを制限する、本発明1001の物品。
[本発明1004]
前記ベース材が靴を含み、かつ前記締付け機構および圧縮性材料が該靴のヒール部と結合している、本発明1001の物品。
[本発明1005]
前記締付け機構の前記ボディが前記ベース材の一つまたは複数の部品と一体に形成されている、本発明1001の物品。
[本発明1006]
以下を含む、物品:
ベース材;
回転可能なノブを含む、該ベース材に結合された締付け機構であって、該ノブが締付け方向に回転することにより該物品が締付けられる、締付け機構;ならびに
該ベース材から上方に延びかつ該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する隠蔽部であって、該回転可能なノブの少なくとも一部が該隠蔽部の外面の後方にある、隠蔽部。
[本発明1007]
前記回転可能なノブの大部分が前記隠蔽部の前記外面の後方にある、本発明1006の物品。
[本発明1008]
前記回転可能なノブの実質的に全部が前記隠蔽部の前記外面の後方にある、本発明1006の物品。
[本発明1009]
前記回転可能なノブの上面が前記隠蔽部の前記外面と実質的に面一である、本発明1006の物品。
[本発明1010]
前記隠蔽部が圧縮性区域を含み、該圧縮性区域が圧縮されることにより前記隠蔽部の前記外面が第一の位置から第二の位置へと変位し、該第二の位置が該第一の位置よりも低い高さを有する、本発明1006の物品。
[本発明1011]
前記圧縮性区域が圧縮性発泡体を含む、本発明1010の物品。
[本発明1012]
前記隠蔽部が、前記圧縮性発泡体よりも圧縮性が低い第二の発泡体材料をさらに含み、該第二の発泡体材料が該圧縮性発泡体を少なくとも部分的に放射状に包囲する、本発明1011の物品。
[本発明1013]
前記圧縮性発泡体が弾性であり、かつ、圧縮力が加えられないときに該圧縮性発泡体が前記第二の位置から前記第一の位置への前記外面の戻りを促進する、本発明1011の物品。
[本発明1014]
実質的に非圧縮性の防護部材をさらに含む、本発明1011の物品。
[本発明1015]
前記圧縮性区域が圧潰性の凹みを含む、本発明1010の物品。
[本発明1016]
前記ベース材が穴を含み、かつ前記締付け機構の少なくとも一部が該ベース材中の該穴を通って延びる、本発明1006の物品。
[本発明1017]
前記隠蔽部が前記締付け機構を全360°において放射状に包囲する、本発明1006の物品。
[本発明1018]
前記隠蔽部が、前記締付け機構をはさんで互いに実質的に反対側にある第一および第二の区域を含み、該隠蔽部が、互いに実質的に反対側にある第三および第四の区域を含み、かつ、前記回転可能なノブが該第一および第二の区域よりも該第三および第四の区域においてより多く露出するように、該隠蔽部の該第一および第二の区域の高さが該隠蔽部の該第三および第四の区域の高さよりも大きい、本発明1006の物品。
[本発明1019]
以下の工程を含む、物品を製造する方法:
ベース材を提供する工程;
回転可能なノブを含む締付け機構を該ベース材に結合する工程であって、該ノブが締付け方向に回転することにより該物品が締付けられる、工程;ならびに
該締付け機構を少なくとも部分的に放射状に包囲する隠蔽部を提供する工程であって、該隠蔽部が、該回転可能なノブの少なくとも一部が該隠蔽部の外面の後方になるように該ベース材から上方に延びる、工程。
[本発明1020]
前記隠蔽部を提供する工程により、前記回転可能なノブの大部分を、前記隠蔽部の前記外面の後方になるようにする、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記隠蔽部を提供する工程により、前記回転可能なノブの実質的に全部を、前記隠蔽部の前記外面の後方になるようにする、本発明1019の方法。
[本発明1022]
前記隠蔽部を提供する工程により、前記回転可能なノブの上面を、前記隠蔽部の前記外面と実質的に面一になるようにする、本発明1019の方法。
[本発明1023]
前記隠蔽部が圧縮性区域を含み、該圧縮性区域が圧縮されることにより前記隠蔽部の前記外面が第一の位置から第二の位置へと変位し、該第二の位置が該第一の位置よりも低い高さを有する、本発明1019の方法。
[本発明1024]
前記圧縮性区域が圧縮性発泡体を含む、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記隠蔽部が、前記圧縮性発泡体よりも圧縮性が低い第二の発泡体材料をさらに含み、該第二の発泡体材料が、該圧縮性発泡体を少なくとも部分的に放射状に包囲する、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記圧縮性発泡体が弾性であり、かつ圧縮力が加えられないときに該圧縮性発泡体が前記第二の位置から前記第一の位置への前記外面の戻りを促進する、本発明1024の方法。
[本発明1027]
前記圧縮性区域が圧潰性の凹みを含む、本発明1019の方法。
[本発明1028]
前記ベース材が穴を含み、かつ前記締付け機構を該ベース材に結合する工程が、該締付け機構の少なくとも一部分が該ベース材中の該穴を通って延びるように該締付け機構を配置することを含む、本発明1019の方法。
[本発明1029]
前記隠蔽部が前記締付け機構を全360°において放射状に包囲する、本発明1019の方法。
[本発明1030]
前記隠蔽部が、前記締付け機構をはさんで互いに実質的に反対側にある第一および第二の区域を含み、該隠蔽部が、互いに実質的に反対側にある第三および第四の区域を含み、かつ、前記回転可能なノブが該第一および第二の区域よりも該第三および第四の区域においてより多く露出するように、該隠蔽部の該第一および第二の区域の高さが該隠蔽部の該第三および第四の区域の高さよりも大きい、本発明1019の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
様々な態様が例示のために添付図面に示されるが、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
図1】リール式締付けシステムを含む靴の例示的態様の等角図である。
図2】靴の隠蔽部が第一または非圧縮位置にある、図1の靴の側面図である。
図3A】靴の隠蔽部が第二または圧縮位置にある、図1の靴の側面図である。
図3B】隠蔽部が締付け機構の側面に圧縮性部分を有する、靴の別の例示的実施態様を示す。
図3C図3Bの靴の別の図である。
図4】物品に組み込まれ、かつ隠蔽部によって少なくとも部分的に包囲された締付け機構の例示的態様の略断面図である。
図5】物品に組み込まれ、かつ隠蔽部によって少なくとも部分的に包囲された締付け機構の別の例示的態様の略断面図である。
図6図6Aは、物品に組み込まれ、かつ隠蔽部によって少なくとも部分的に包囲された締付け機構の別の例示的態様の略断面図である。図6Bは、ユーザが締付け機構を操作することを可能にするために形成された凹みまたは切欠きを有する隠蔽部の例示的態様を示す略部分断面図である。
図7】ブーツのヒール部に組み込まれた締付け機構を有するブーツの例示的態様の背面図である。
図8図7のブーツの側面図である。
図9】隠蔽部が非圧縮位置にある靴の例示的態様の側面図を示す。
図10A】隠蔽部が圧縮位置にある図9の靴を示す。
図10B】隠蔽部を有する靴の別の例示的実施態様を示す。
図11】締付け機構の分解等角図である。
図12】靴のアッパー材に結合される固定部材を示す。
図13】アッパー材に縫合された固定部材を示す。
図14】固定部材に結合されるハウジングを示す。
図15-16】図15は、係合配置にあるハウジングおよび固定部材を示す。図16は、固定部材とハウジングとの係合部材の詳細図である。
図17】靴のアッパー材に適用されているレースチャネルを示す。
図18】靴のアッパー材に適用されているレースチャネルを示す。
図19】靴のアッパー材に適用されているレースチャネルを示す。
図20】靴のアッパー材に適用されているレースチャネルを示す。
図21】発泡体スペーサが適用されている靴のフォクシング層を示す。
図22】靴に適用されているフォクシング層を示す。
図23図23Aは、発泡体スペーサの断面図を示す。図23Bは、本明細書に説明されるいくつかの態様とともに使用することができる発泡体ピースの別の例示的態様の断面図を示す。図23Cは、本明細書に説明されるいくつかの態様とともに使用することができる発泡体ピースの別の例示的態様の断面図を示す。
図24】非圧縮状態にある隠蔽部によって少なくとも部分的に包囲された締付け機構の例示的態様の略断面図を示す。
図25】隠蔽部が圧縮状態にある締付け機構の略断面図を示す。
図26】隠蔽部が様々なレベルの圧縮性の区域を有する締付け機構の略断面図を示す。
図27】隠蔽部がその中に形成された凹みを有する締付け機構の略断面図を示す。
図28】隠蔽部がその中に形成された溝を有する締付け機構の略断面図を示す。
図29】隠蔽部がその中に形成された空洞を有する締付け機構の略断面図を示す。
図30】遮蔽要素を有する締付け機構の略断面図を示す。
図31】圧縮性材料を包み込む隠蔽部を有する締付け機構の略断面図を示す。
図32A】露出した圧縮性材料を含む隠蔽部を有する締付け機構の略断面図を示す。
図32B】締付け機構および隠蔽部の例示的実施態様を示す。
図32C】締付け機構508および隠蔽部のさらに別の例示的実施態様を示す。
図33】締付け機構の分解等角図である。
図34】靴のアッパー材に結合される固定部材を示す。
図35A】固定部材上に適用されるフォクシング層およびスペーサを示す。
図35B】アッパー材に適用されるレースチャネルを示す。
図35C】バックパート成形されるアセンブリを示す。
図36】固定部材に結合されるハウジングを示す。
図37A】ハウジングに結合されるスプールおよびノブを示す。
図37B】固定部材およびハウジングを組み込む一つのピースを有する例示的態様を示す。
図37C】固定部材およびハウジングを組み込む一つのピース上に適用されるフォクシング層を示す。
図38】遮蔽要素を横切る平面から見た締付け機構および隠蔽部の略断面図である。
図39】隠蔽部が図38の平面よりも低い高さを有する平面から見た締付け機構および隠蔽部の略断面図である。
図40】隠蔽部を圧縮することができる締付け機構および隠蔽部の略断面図である。
図41】締付け機構および隠蔽部の例示的実施態様の分解図である。
図42】アセンブルされた図41の締付け機構および隠蔽部を示す。
図43図41の締付け機構および隠蔽部の側面図である。
図44】締付け機構と、締付け機構を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部とを有する靴の側面図である。
図45】成形部材を、それに取り付けられた締付け機構のハウジングとともに示す。
図46】靴に結合された隠蔽部およびハウジングを示す図44の靴の断面図である。
図47】締付け機構と、締付け機構を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部とを有する靴の側面図である。
図48図47の靴の別の図を示す。
図49図47の隠蔽部の形状を提供するように構成されることができるスペーサを示す。
図50】ブーツのベロに取り付けられた締付け機構と、締付け機構を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部とを有するブーツの等角図である。
図51図50のブーツの側面図である。
図52図50のブーツ上の隠蔽部および締付け機構の詳細図である。
図53図50のブーツの締付け機構を作動させるユーザを示す。
図54】締付け機構と、締付け機構を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部とを有するリストブレースを示す。
図55a】発泡体裏地材料と結合され、その発泡体裏地材料が他方で靴または他のアパレルと結合される、締付け機構のハウジングを示す。
図55b】発泡体裏地材料と結合され、その発泡体裏地材料が他方で靴または他のアパレルと結合される、締付け機構のハウジングを示す。
図55c】発泡体裏地材料と結合され、その発泡体裏地材料が他方で靴または他のアパレルと結合される、締付け機構のハウジングを示す。
図56図56a〜bは、靴のヒールカウンタの一体部品である締付け機構のハウジングを示す。
図57a】締付け機構のハウジングおよびノブの上に配置可能であるカバープレートを示す。
図57b】締付け機構のハウジングおよびノブの上に配置可能であるカバープレートを示す。
図57c】締付け機構のハウジングおよびノブの上に配置可能であるカバープレートを示す。
図57d】締付け機構のハウジングおよびノブの上に配置可能であるカバープレートを示す。
図58】靴のアウトソールと一緒に一体に形成された締付け機構のハウジングを示す。
図59図59a〜bは、靴と結合される外側材料と一緒に一体に形成された締付け機構のハウジングを示す。
図60a】締付け機構の上に配置されて締付け機構の一部をユーザの視界から隠すために靴と結合された材料の可撓性ストリップを示す。
図60b】締付け機構の上に配置されて締付け機構の一部をユーザの視界から隠すために靴と結合された材料の可撓性ストリップを示す。
図60c】締付け機構の上に配置されて締付け機構の一部をユーザの視界から隠すために靴と結合された材料の可撓性ストリップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
図1は、リール式締付けシステムを含む靴100の例示的態様の等角図である。本明細書においては多くの態様が靴または他の履き物に関するものとして説明されるが、本明細書に開示される態様はまた、他のタイプの装用可能な物品、ならびに締めることおよび/または緩めることができる他の物体(たとえばブーツ、帽子、ベルト、サンダル、手袋、ブレース、バックパック、スノーボードビンディング)に関することもできる。図1の靴100は、靴100を締め付ける場合には互いに向けて引くことができ、かつ靴100を緩める場合には互いから離れさせることができる第一の部分102aおよび第二の部分102bを含むことができる。第一および第二の部分102aおよび102bは、離間して間に間隙104を形成することができるか、またはいくつかの態様においては、第一および第二の部分102aおよび102bは、接触する、または重なることができる。レース106のような緊張部材が第一および第二の部分102aおよび102bの間に延びて、レース106の張りの増大が第一および第二の部分102aおよび102bを互いに引き寄せることができ、レース106の張りの低下が第一および第二の部分102aおよび102bを互いから離れさせることができるようになっている。レース106は、靴100を締め付ける、および/または緩めるためにレース106の張りを調節するように構成されている締付け機構108に結合されることができる。靴100は、レース106を靴100の第一および第二の部分102aおよび102bの間のレース経路に沿って送るように構成された一つまたは複数のレースガイド110を含むことができる。多くの態様がレース106を使用するものとして開示されるが、本明細書に開示される様々な態様のために他の緊張部材(たとえばストラップ)を使用することもできる。
【0014】
締付け機構108は、図1に示すように、靴100のヒール部に取り付けることができるか、または靴100の様々な他の部分、たとえば靴100のベロまたは側部に取り付けることができる。靴はまた、レース106を締付け機構108に送るように構成された一つまたは複数のレースチャネル112を含むことができ、レースチャネル112は、レースチャネル112が少なくとも部分的に隠れるよう、少なくとも部分的に靴100の外層の下に配置されることができる。
【0015】
締付け機構108は、締付け機構108を少なくとも部分的に包囲する靴100の隠蔽部114によって少なくとも部分的に隠蔽または保護されることができる。いくつかの態様において、隠蔽部114は、隠蔽部114が、図2に示すような第一の非圧縮位置と、図3Aに示すような第二の圧縮位置との間で移行することを可能にする圧縮性区域を含むことができる。隠蔽部114は、締付け機構108の実質全周囲で圧縮性であることができるし、または締付け機構108の周囲の特定の部分だけで圧縮性であることができる。たとえば、いくつかの態様において、隠蔽部114は、締付け機構108の左右両側で(たとえば3時および9時の位置で)圧縮性であることができ、かつ締付け機構108の下方および/または上方の区域で(たとえば6時および12時の位置で)実質的に非圧縮性であることができる(たとえば図3Bおよび3Cに示すように)。他の態様において、隠蔽部114は、締付け機構108の下方および/または上方の区域で(たとえば6時および12時の位置で)圧縮性であることができ、かつ締付け機構108の左右両側で(たとえば3時および9時の位置で)実質的に非圧縮性であることができる。図2に示す非圧縮位置において、靴100の隠蔽部114は、締付け機構108の少なくとも一部を包囲して、締付け機構108を少なくとも部分的に隠すことができ、それが靴100の外観を改善することができる。たとえば、特定のタイプの装用可能な物品(たとえば一部のゴルフシューズ、ランニングシューズおよびカジュアルシューズ)の場合、露出した締付け機構108の存在は、かさばるように見える、または、そうでなければ、物品のスタイルと調和しない可能性がある。また、いくつかの態様において、露出した締付け機構108の望ましくない見かけは、小さめのサイズの靴の場合にさらに悪化する。靴100の隠蔽部114は、締付け機構108を少なくとも部分的に隠すことにより、靴100の美的魅力を増すことができる。
【0016】
実質的に弾性の隠蔽部114によって締付け機構108を保護する、または部分的に隠すと、締付け機構108と物品との美的に好ましい統合を可能にすることができる。たとえば、靴のサイズが変わると、靴のヒール部における取付け区域に実質的な寸法減少が起こることができる(たとえば靴のサイズが小さくなる)。様々な表面の周囲に実質的に弾性の隠蔽部114を形成して、全体的に硬質の遮蔽機構では不可能であり得る美的に魅力的な最終構造を製造することができる。本明細書の他の箇所で説明されるように、隠蔽部114は、いくつかの硬質部品を組み込みながらも、異なるサイズの区域への適合を可能にすることができる。
【0017】
いくつかの態様において、隠蔽部114は、締付け機構108を損傷および/または意図せぬ作動から保護することができる。たとえば、露出した締付け機構108は、たとえば、コンタクトスポーツ中に締付け機構108が何かと当たった場合、意図せずに作動することがある。いくつかの態様において、締付け機構108の意図せぬ作動は、意図せずにレース106を緩める、または締め過ぎる可能性があり、それが、不快感を生じさせ、かつアスリートの能力を低下させることがある。靴100の隠蔽部114は、締付け機構108を少なくとも部分的に隠すことにより、締付け機構108を意図せぬ作動または損傷から保護することができる。
【0018】
圧縮力(図3Aに矢印によって概略的に示す)が隠蔽部114に加えられると、圧潰性区域が圧潰し、それにより、隠蔽部114が第二または圧潰位置へと移行し、それにより、締付け機構108の露出量を増すことができる。締付け機構108は、軸118を中心に回転可能であるように構成されている回転可能なノブ116を含むことができる。締付け方向への(たとえば右回りの)ノブ116の回転は、たとえば、回転可能なスプール(図示せず)の周囲にレース106を巻き取ることにより、靴100を締め付けることができる。いくつかの態様において、緩め方向への(たとえば左回りの)ノブ116の回転は、たとえば、スプールからレース106を解放することにより、靴100を緩めることができる。いくつかの態様において、レース106をスプールから解放するためには、ノブを緩め方向に60°〜180°回すことができる。いくつかの態様において、ノブ116は、レース106の張りを解くために、軸118の方向に沿って軸方向外側に引かれるように構成されることができる。いくつかの態様において、ノブ116の作動(たとえば緩め方向への回転または軸方向への引き)は、スプールがノブ116から独立して自由に回転することを可能にすることができ、それが、靴100の速やかな緩めを可能にすることができる。これらの迅速緩め態様のいくつかにおいては、偶発的な迅速緩めを生じる可能性がある偶発的作動を防ぐために、ノブ116を保護することが特に有利であるといえる。
【0019】
圧縮位置において、靴100の隠蔽部114は、ユーザがたとえばノブ116を締付け方向もしくは緩め方向に回す、またはノブ116を軸方向外側に引くことによってノブ116を作動させるのに十分なノブ116の部分を露出させることができる。圧縮性区域は、ユーザの指によって加えられる圧力下で圧縮する(たとえば軸118の軸方向に)ように構成されることができ、いくつかの態様において、ノブ116の意図せぬ作動を防護するのに十分な抵抗を有することができる。圧縮性区域は、圧縮力が解除されたとき隠蔽部114が第一または非圧縮位置に戻るように弾性であることができる。
【0020】
物品(たとえば靴100)の隠蔽部114はノブ116の少なくとも一部を放射状に包囲することができる。図4に概略的に示すように、隠蔽部114が非圧縮位置にあるとき、ノブ116の少なくとも一部が、軸118の方向に隠蔽部114の外面120よりも軸方向後方に位置することができる。本明細書において使用される語「後方」とは、一つの物体またはその部分が別の物体またはその部分から後に変位していることを意味するために広く使用され、第一の物体またはその部分が他方の物体またはその部分の直後ろに位置しない場合をも含む。また、多くの場合、語「後方」、「前方」、「内方」、「上方」、「上」、「下」などは、締付け機構が物品または周囲環境に対して有する向きにかかわらず、締付け機構の向きに基づいて位置または方向を表すために使用されることができる。したがって、隠蔽部114がノブ116の上面122を覆わないときでさえ、ノブ116の少なくとも一部は隠蔽部114の外面120よりも軸方向後方に位置することができる。ノブ116の上面122は、たとえば、上から下を見たときノブ116の上面122が見えるよう、覆われない状態であることができる。いくつかの態様において、ノブ116の大部分が隠蔽部114の外面120の後方に位置することができる。いくつかの態様においては、ノブ116の全部または実質的に全部が隠蔽部114の外面120の後方に位置することができる。たとえば、いくつかの態様において、図5に示すように、ノブ116の上面122は隠蔽部114の外面120と実質的に面一であることができる。隠蔽部114は、少なくともノブ116の側面124の頂部まで、または少なくともノブ166の下面を越えて上方に延びることができる。いくつかの態様において、ノブ116の側面124は、部分的に、完全に、または実質的に完全に、隠蔽部114の外面120の後方にあることができる。場合によっては、図6Aに示すように、ノブ116の頂部122の一部が隠蔽部114の外面120よりも前方に延びることができる(たとえば、ノブ116の頂部122の概して切頭円錐状の形、カーブした形状または他の外形により)。様々な構成が可能である。たとえば、いくつかの態様において、回転可能なノブ116の(または締付け機構108全体の)少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%または少なくとも約75%が隠蔽部114の外面120の後方に位置することができる。
【0021】
隠蔽部114は凹み126を有することができ、締付け機構108がその凹み126の中に配置されることができる。いくつかの態様において、凹み126は、物品を部分的に通って延びることができる。たとえば、物品のベース層128が凹み126の底に位置することができ、締付け機構108がベース層128に固定されることができる。締付け機構108のハウジング130が、たとえば縫合、リベット、接着剤または他の適切なやり方でベース層128に取り付けられることができる。隠蔽部114はベース層128に取り付けられることができる。いくつかの態様において、隠蔽部114は、他の点では完成した物品の外側に適用される一つまたは複数の追加の層であることができ、他の態様において、隠蔽部114は、物品の一体部分として形成されることができる。いくつかの態様において、凹み126は物品を通って(たとえば靴100のヒール壁または側壁を通って)延びることができる。
【0022】
図6Bは、ユーザが締付け機構108を操作することを可能にするために形成された凹みまたは切欠きを有する隠蔽部114の例示的態様を示す略部分断面図である。図6Bの左側は、締付け機構108および隠蔽部114の側面図を示す。図6Bの右側は、締付け機構108の中心を通る断面図を示し、図6Bの断面部分は、断面部分を強調するためにクロスハッチを有する状態で示されている。図6Bに見てとれるように、かつ本明細書の他の箇所で説明されるように、隠蔽部114は、隠蔽部114の他の区域114cよりも高く延びる区域114aおよび114bを有することができる。たとえばユーザが締付け機構108の側面を把持することを可能にするために(たとえばシステムを締め付ける、または緩めるとき)、隠蔽部114のより低い区域114cにおいて締付け機構108のより多くが露出することができる。いくつかの態様においては、凹み、切欠きまたは扇形区域などが隠蔽部114のより低い部分114cを形成することができる。いくつかの態様において、隠蔽部114のより高い区域114aおよび114bは、より低い区域114cよりも多くの保護および/または隠蔽を提供することができる。いくつかの態様において、より高い区域114aおよび114bは、締付け機構108の上下に(たとえば6時および12時の位置に)位置することができ、より低い部分114cは、締付け機構108の側方(たとえば3時および9時の位置に)位置することができる。いくつかの態様において、隠蔽部114は、より低い部分114cにおいて圧縮性であることができ、より高い部分114aおよび114bにおいて実質的に非圧縮性であることができる。いくつかの態様において、隠蔽部114(区域114a、114bおよび114cを含む)は実質的に非圧縮性であることができ、より低い部分114cは、隠蔽部114の変位なしでユーザが締付け機構108を作動させることを可能にすることができる。たとえば、硬質材料(たとえば硬質発泡体またはプラスチック)が締付け機構108の少なくとも一部を包囲して隠蔽部114の形を形成することができる。
【0023】
図7は、ブーツのヒール部に組み込まれた締付け機構208を有するブーツ200の例示的態様の背面図である。図8はブーツ200の側面図である。ブーツ200は、靴100または本明細書に記載される他の態様と同様の、または同じ特徴を有することができる。締付け機構208はブーツ200の履き口またはその近くに配置されることができる。隠蔽部214は、図7に示すように、締付け機構208を全360°において完全に包囲することもできるし、または隠蔽部214は、締付け機構208の一部だけ(たとえば少なくとも約90°、少なくとも約180°、少なくとも約270°、少なくとも約300°または少なくとも約330°)を包囲することもできる。いくつかの態様において、隠蔽部114は、締付け機構208のうち、使用中もっとも何かと当たりやすい区域(たとえば、締付け機構208の下方の、締付け機構と靴のソールとの間)を包囲することができる。
【0024】
図9および10は、靴100、ブーツ200または本明細書に開示される他の態様と同様の特徴を有することができる靴300の例示的態様の側面図を示す。図9は、非圧縮位置にある隠蔽部314を示し、図10Aは、圧縮位置にある隠蔽部314を示す。締付け機構308を靴300のヒール部に取り付けることができる。図9に見てとれるように、隠蔽部314は、第一の区域314a(たとえば、締付け機構308の下方または締付け機構308と靴300のソールとの間)および/または第二の区域314b(たとえば、締付け機構308の上方または締付け機構308と靴300の履き口との間)においてノブ316の側面を覆う、または実質的に覆うことができる。第二の区域314bは、締付け機構308をはさんで第一の区域314aとは概して反対側に位置することができる。したがって、いくつかの態様において、軸318を通り、かつ紙面の平面から見た靴300の断面図は、ノブ316および隠蔽部314の配置に関して、図5〜6に類似していることができる。したがって、いくつかの態様において、図5〜6の説明は靴300にも当てはまることができる。
【0025】
図9をさらに参照すると、隠蔽部314は、第三の区域314c(たとえば締付け機構308の左側)および/または第四の区域314d(たとえば締付け機構308の右側(図9では隠れている))においてノブ316の側面の一部だけを覆うことができる。第四の区域314dは、締付け機構308をはさんで第三の区域314cとは概して反対側に位置することができる。したがって、いくつかの態様において、軸318を通り、かつ紙面の平面に対して横向きに見た靴300の断面図は、ノブ316および隠蔽部314の配置に関して、図4に類似していることができる。したがって、いくつかの態様において、図4の説明は靴300にも当てはまることができる。ノブ316の一部がたとえば区域314cおよび314dにおいて右および左側に部分的に露出していることができる。部分的に露出したノブ316は、ユーザがノブ316を作動させるとき、ノブ316の把持を容易にすることができる。
【0026】
図10Aを参照すると、隠蔽部314の少なくとも一部は、ノブ326の露出量を増し、それにより、ユーザがノブ316を作動させるときノブ316の把持を容易にするために、圧縮位置まで圧縮性であることができる。いくつかの態様において、区域314cおよび/または314dは区域314aおよび/または314bよりも圧縮性であることができる。たとえば、いくつかの態様において、区域314aおよび/または314bの一つまたは両方は、たとえば、締付け機構308が区域314aおよび/または314bの近くで何かと当たることから保護するためにその中に配置された硬質保護部材を有することにより、実質的に非圧縮性であることができる。いくつかの態様において、靴300は、静止時、隠蔽部314が圧縮されることのない、図10Bに示す側面開放構造を有するように構成されることができる。いくつかの態様において、隠蔽部314(区域314a〜dを含む)は実質的に非圧縮性であることができる。図10Bに示す態様の少なくとも部分的に開放した側面は、隠蔽部314を変位させることなく、ユーザが締付け機構308を操作することを可能にすることができる。
【0027】
図11は、靴100、ブーツ200、靴300または本明細書に開示される他の態様ととともに使用することができる締付け機構408の分解等角図である。締付け機構408は、ハウジング432、固定部材434、スプール436およびノブ416を含むことができる。スプール436は、スプール436が軸418を中心に回転可能であるようにハウジング432の中に取り付けられることができる。ハウジング432は、レースをハウジング432の中に受けるように構成された一つまたは複数のレース穴438aおよび438bを有することができ、レースをスプール436に結合して、締付け方向へのスプール436の回転がレースをスプール432中のチャネル440の中に集めることができるようになっている。スプール436は、ノブ416の下側の歯(隠れて見えない)と係合するように構成された歯442を含むことができ、ノブ416の回転がスプール436の回転を生じさせ、それにより、ユーザがノブ416を回すことによってレースを締め付けることを可能にすることができるようになっている。ハウジングは、ノブ416の下側の爪(隠れて見えない)と係合するように構成されている歯444を含むことができ、ノブ416が、緩め方向への回転を阻止されかつ締付け方向への回転が可能なようになっている。いくつかの態様において、ノブ416は、ハウジング432から離して軸方向に、レースの緩めを可能にする係合解除位置まで持ち上げられることができる。多くの他の構成を締付け機構408のために使用することができる。
【0028】
次に図12および13を参照すると、固定部材434を物品に固定することができる。たとえば、靴のアッパー材446が、そのヒール部に形成された穴448を有することができる。図12に示すように、固定部材434をアッパー材446の内側からそのヒール部に向けて穴448に挿入することができる。固定部材434は、開口452を包囲する側壁450を有することができる。いくつかの態様において、側壁450は、穴448を通って延びることができ、かつ場合によっては、アッパー材446を伸ばして側壁450の周囲にフィットさせることができる。固定部材434は、アッパー材446の内側に留まることができる固定フランジ454(図13に仮想線で示す)を有することができる。固定フランジ454は、たとえば縫合456またはリベットまたは接着剤または任意の他の適切なやり方によって固定されたアッパー材446であることができる。固定部材は、締付け機構408がアセンブルされたとき張り出してノブ416の側方部分を覆うように構成された遮蔽要素458を含むことができる。遮蔽要素458は、アセンブルされたならばノブ416と靴のソールとの間に位置するよう、締付け機構408の下側に位置することができる。したがって、遮蔽要素458は、ノブ416が下から何かと当たる(たとえば、階段を下りるとき、またはコンタクトスポーツ中に起こり得るように)ことに対する保護を提供することができる。
【0029】
ここで図14〜16を参照すると、ハウジング432を固定部材434に取り付けることができる。たとえば、固定部材434は、ハウジング432上の一つまたは複数の対応する係合部材462aおよび462bと係合するように構成されている一つまたは複数の係合部材460aおよび460bを有することができる。係合部材460aおよび460bは、スナップ嵌め接続、摩擦嵌め接続、クラスプまたは任意の他の適切なやり方によって係合部材462aおよび462bと係合することができる。たとえば、固定部材343上の係合部材460aおよび460bは、ハウジング432中の切欠き462aおよび462bに嵌まり込んでハウジングを固定位置にスナップ嵌めする突起を含むことができる。他の構成が可能である。いくつかの態様において、ハウジング432は、たとえば締付け機構408を修理または交換または清浄しなければならない場合にハウジング432を取り外すことができるよう、固定部材434に取り外し可能に取り付けられることができる。
【0030】
アッパー材446を下から示す図17〜20を参照すると、レースを締付け機構408に送るためのレースチャネル412aおよび412bを設置することができる。レースチャネル412aおよび412bは、靴が完全にアセンブルされたならば隠れるよう、アッパー材446の内側に配置されることができる。たとえば靴の第一および第二の部分の間の間隙の端部でレースを受けるためのレースポート464aおよび464bを配置することができる。レースチャネルチューブ412aおよび412bは、たとえばチューブ412aおよび412bをレースポート464aおよび464bならびにレース穴438aおよび438bに挿入されることにより、レースポート464aおよび464bならびにレース穴438aおよび438bに結合することができる。接着性裏地テープ466をチューブ412aおよび412bの上に配置して、それらを所定の位置に保持することができる。接着剤をレースチャネルチューブ412aおよび412b上(たとえば裏地テープ466上)に適用することができ、パジングストリップ468aおよび468bを接着剤によってレースチャネルチューブ412aおよび412b上に接着することができる。パジングストリップ468aおよび468bは、使用中、チューブ412aおよび412bが装用者の足を押すことによって生じる不快感を減らすことができ、かつまた、チューブ412aおよび412bの形状を隠すことができる。いくつかの態様において、レースチャネル412aおよび412bは、履き口の側方の位置で(たとえば履き口の中間点またはその近くで)レースを出すことができるよう、靴の履き口の一部だけに延びることができる。たとえば、図1〜3Aは、レースが履き口の一部にかけて靴の外に延びたのち、靴材料の下でレースを締付け機構まで誘導するレースチャネルに入る例示的態様を示す。いくつかの態様において、この構成は、履き口の圧縮、アセンブリの簡単化、可撓性を可能にすることができ、かつ圧力点を除くことができる。
【0031】
ここで、図21および22を参照すると、靴の隠蔽部416は、締付け機構408を隠蔽および/または保護するように形成されることができる。いくつかの態様において、フォクシングまたは外層470を、物品(たとえば靴400のヒール部)の輪郭にフィットするのに適した形状にカットすることができる。接着剤、たとえばポリウレタン熱可塑性接着剤(たとえばBemisブランド3206Dポリウレタン熱可塑性接着剤(たとえば6ミル(0.006インチ)、ただし、使用される材料および物品の所期の用途に依存して、他の厚さを使用することができる))を塗布することなどにより、圧縮性材料、たとえば発泡体472を外層470の内面に適用することができる。使用される材料および物品の所期の用途に依存して、他の接着剤を使用することができる。外層470は、たとえば図22に示すように、靴400に適用することができる。接着剤を外層470の内面に適用する(たとえば吹き付ける)ことができ、外層470を、物品の下層部分(たとえばアッパー材446)に押し当てることができる。いくつかの態様においては、外層470の内面への接着剤の一回の適用を使用して、発泡体472を層470に接着し、層470を靴400に接着することができる。他の態様においては、別々の接着剤および/または接着剤の別々の適用を使用して、発泡体472を取り付け、層470を靴400に取り付けることができる。いくつかの態様においては、発泡体472を靴400に直接(たとえばアッパー材446の上に)取り付ける(たとえば接着する)ことができ、場合によっては、その後、層470を発泡体472の上に適用することができる。
【0032】
穴426が、層470および発泡体472を通って延びることができ、かつ層470が靴400に適用されるとき締付け機構408をその中に受けるように構成されることができる。スプレー接着剤を層470の内面に適用するのならば、接着剤の適用中、穴を塞いでおくことができる。また、穴426を包囲する発泡体472および/または層470を、靴400の外観の色および/またはスタイルに似るように着色(たとえば塗装または染色)することができる。発泡体472および/または層470は、靴400の色に似合う、または似る色で用意することもできるし、またはたとえば色素添加物を使用して色を合わせることもできる。また、締付け機構408のノブ416または他の部品が、靴400の外観の色および/またはスタイルと同じ、またはそれに似る色を有することができる(たとえば、締付け機構408の外観を目立たせないために)。層470はまた、靴400に縫合することもできるし、または他の適切なやり方によって靴400に取り付けることもできる。
【0033】
外層470および発泡体472は、様々なサイズおよびスタイルの靴ならびに様々なタイプの物品に関して様々な形状を有することができる。発泡体472は、本明細書に説明するように、ノブ416の側面の一部、大部分、実質的に全部または全部を覆うのに十分である高さだけ外層470を下層446から離して持ち上げるように構成された形状および厚さを有することができる。いくつかの態様において、層470は、ノブ416を回すときユーザの指が層470の表面上で容易に滑ることを可能にする低摩擦ナイロン界面を有することができる、ポリウレタン裏地付きナイロン布、たとえばポリウレタン裏地付きCordura(登録商標)布から作られることができる。他の低摩擦材料も使用することもできる。いくつかの態様においては、締付け機構の周囲に低摩擦界面を付加するために材料を変性させることができる。たとえば、直接射出成形、無線周波数溶接またはエンボス消失加工を使用して低摩擦界面を創製することができる。いくつかの態様においては、カバーピースが、締付け機構の少なくとも一部の周囲に配置され、かつカバー層470の布を(たとえば締付け機構に)固定することができる。たとえば、プラスチック(または他の適切な材料)でできたリングが、締付け機構の少なくとも一部を包囲することができ、いくつかの態様においては、ユーザの指が締付け機構を操作しているとき滑らかに滑ることを可能にするための低摩擦界面を形成することができる。
【0034】
図23Aは、いくつかの態様とともに使用することができる圧縮性部材または発泡体ピース472の例示的態様の断面図である。発泡体ピース472の側方部425aおよび425bは、靴のヒールを巻き、かつ靴の側方部に回り込むように構成されることができる。側方部425aおよび425bは、靴に取り付けられたとき発泡体ピース472の端部で滑らかなつなぎ部を形成するようにテーパ状であることができる。発泡体ピース472は穴426をその中に含むことができる。いくつかの態様において、リングの内側は、靴400のヒールのカーブを考慮するために外方に面取り部を有することができる。発泡体ピース472は、多様な材料、たとえばRubberlite V0525 Viso-Cel(登録商標)スローリバウンド発泡体でできていることができる。他の連続気泡ポリウレタン発泡体および他の圧縮性材料を使用することもできる。図23Bは、本明細書に説明されるいくつかの態様とともに使用することができる発泡体ピースの別の例示的態様の断面図を示す。図23Cは、本明細書に説明されるいくつかの態様とともに使用することができる発泡体ピースの別の例示的態様の断面図を示す。物品の形状およびサイズに依存して様々な形状のスペーサ(たとえば発泡体ピース472)を使用することができる。たとえば、図23Bおよび23Cの態様は、図23Aの態様よりも短い側方部425aおよび45bを有することができ、図23Cの態様は、図23Bの態様よりも薄い端部を側方部425aおよび425bに有することができる。
【0035】
図24は、物品、たとえば靴100、ブーツ200、靴300、靴400または本明細書に開示される他の態様に組み込まれた締付け機構518の例示的態様の断面図である。締付け機構508は、本明細書に記載される締付け機構408と同様に、ハウジング532、スプール536およびノブ516を含むことができる。ハウジング532は、ベース材546、たとえば靴のヒールカウンタまたはアッパー材に取り付けることができる。いくつかの態様において、ハウジング532は、たとえばハウジング532の固定フランジ554における縫合によって、またはリベットによって、または接着剤もしくは他の適切なやり方によってベース材546に直接取り付けることができる(図24に示すように)。いくつかの態様において、ハウジング532は、固定部材(たとえば、本明細書に説明される固定部材434に類似した)を使用して物品に結合することができる。いくつかの態様において、ベース材546は、ハウジング532を受けるための穴をその中に含むことができ、ハウジング532の一部がベース材546の後方に位置し、それにより、締付け機構508がベース材546よりも前方に延びる高さを減らし、それが締付け部材508の隠蔽を促進し、かつ隠蔽区域514の高さを減らすことができ、それが物品の外観を改善することができる。
【0036】
いくつかの態様においては、締付け機構508の後方にパジング574を配置して、装用者に快適さを提供し、かつ締付け機構508が物品と接触する装用者の体の部分を押すことを防ぐことができる。たとえば、締付け機構508は、靴のベロまたはバックパックのパッド入りストラップまたは装用可能な物品の他のパッド入り部分に組み込むことができる。いくつかの態様においては、ライナおよび他の層を締付け機構508の後方に配置することができるが、簡潔に示すため、図24には示されていない。
【0037】
隠蔽部514が締付け機構508を少なくとも部分的に包囲することができる。隠蔽部514は、本明細書に説明するような発泡体材料であることができる圧縮性区域576を含むことができる。図24は、非圧縮位置にある隠蔽部514を示し、図25は、圧縮性区域が(たとえばユーザの指によって加えられる圧縮力によって)圧縮されてノブ516を露出させる圧縮位置にある隠蔽部514を示す。いくつかの態様において、圧縮性区域576は、ベース材546と外層570との間に位置することができる。いくつかの態様において、締付け機構508を包囲する区域のいくらかまたはすべてが実質的に非圧縮性であることができる。たとえば、図24の区域576は実質的に非圧縮性の材料(たとえば硬質プラスチック材料または硬質発泡体材料)を含むことができる。
【0038】
図26において、隠蔽部514は、第二の区域576bよりも圧縮性である第一の区域576aを含むことができる。より圧縮性の区域576aは、より圧縮性が低い区域576bよりも半径方向内側に位置することができる。たとえば、より圧縮性の区域576aは締付け機構508の少なくとも一部を包囲することができ、より圧縮性が低い区域576bはより圧縮性の区域576aの少なくとも一部を包囲することができる。いくつかの態様において、第一の圧縮性区域576aおよび第二の圧縮性区域576bの両方が圧縮性発泡体を含むことができ、第一の圧縮性区域576aの発泡体は、第二の圧縮性区域576bの発泡体よりも低い密度および高い圧縮性を有することができる。いくつかの態様において、第二の区域576bは実質的に圧縮性ではない。第一の圧縮性区域576aは、少なくとも約5mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、約20mm以下、約5mm〜15mmおよび/または約10mmの半径方向幅を有することができる。いくつかの態様において、第一の圧縮性区域576aは、ユーザの指が圧縮力を第二の区域576bに直接加えることなく第一の圧縮性区域576aを押すことを可能にするのに十分な幅を有することができる。いくつかの態様において、第一の圧縮性区域576aは、ユーザの指によって加えられる圧縮力が第一の区域576aおよび第二の区域576bの両方に直接圧縮力を加えるのに十分に小さい幅を有することができる。
【0039】
いくつかの態様において、圧縮性区域576は、圧縮性区域676の圧縮を容易にするように構成された凹み578aを含むことができる。いくつかの態様において、凹み578aは、圧縮性材料(たとえば発泡体)の層の直後に位置することができ、圧縮力が加えられたとき、圧縮性材料の層が凹み578aの中に潰れて締付け機構508を露出させることができるようになっている。いくつかの態様において、凹み578bはテーパ状であることができ(たとえば図27の下寄り部分に示すように)、圧潰性区域576の締付け機構508により近い部分が、圧潰性区域576の締付け機構508から半径方向により遠い部分よりも容易および/または大きく潰れることができるようになっている。いくつかの態様において、凹みは、圧縮性材料中に形成された一つまたは複数の切欠きまたは溝578cを含むことができる(図28に示すように)。圧縮性材料の一つまたは複数の延長部が溝578Cの間に延びることができるように複数の溝578cが含まれることができる。いくつかの態様において、溝578dはテーパ状であることができ(たとえば図28の下寄り部分に示すように)、圧潰性区域576の締付け機構508により近い部分が、圧潰性区域576の締付け機構508から半径方向により遠い部分よりも容易および/または大きく潰れることができるようになっている。いくつかの態様において、凹みは、圧縮性材料(たとえば発泡体)によってすべての側を包囲される容積である空洞578eを含むことができる。いくつかの態様において、凹みは複数の空洞578eおよび578fを含むことができる(図29の上寄り部分に示すような)。いくつかの態様において、複数の空洞578eおよび578fのサイズまたは分布は異なることができ、圧潰性区域576の締付け機構508により近い部分が、圧潰性区域576の締付け機構508から半径方向により遠い部分よりも容易および/または大きく潰れることができるようになっている。説明を簡単にするために図29の上寄り部分は二つの空洞578eおよび578fしか示さないが、いくつかの態様は、圧縮性材料中に形成された、より多数の空洞を含むことができる。いくつかの態様において、一つまたは複数の個々の空洞578gがテーパ状であることができ(たとえば図29の下寄り部分に示すように)、圧潰性区域576の締付け機構508により近い部分が、圧潰性区域576の締付け機構508から半径方向により遠い部分よりも容易および/または大きく潰れることができるようになっている。
【0040】
図27〜29に示す様々な凹みタイプ578a〜578gは、個々に使用されることができるか、または他の凹みタイプ578a〜578gと組み合わされて様々な代替構成を提供することができる。いくつかの態様において、凹み構造578a〜578gは、回転方向に延びて、締付け機構508を少なくとも部分的に包囲するアーチ状の凹みを形成することができる。
【0041】
いくつかの態様において、締付け機構508は一つまたは複数の遮蔽要素558を含むことができる。遮蔽要素558は、たとえば、ハウジング532と一緒に一体に形成されることができるか、または遮蔽要素558は、ハウジング532とは別個の部品であることができる。遮蔽要素558は、ノブ516の側面の少なくとも一部を覆う硬質の延長部であることができる。遮蔽要素558は、本明細書の他の箇所で説明されるように、ノブ516を保護するように構成されることができる。本明細書に開示される様々な態様(たとえば図24〜29および31〜32の態様)は、図30に関連して記載されるものに類似した遮蔽要素558を含むように変形されることができる。いくつかの態様においては、図30に示す遮蔽要素558とは概して反対側にさらなる遮蔽要素を配置することができる。たとえば、遮蔽要素558は、本明細書に説明されるように、締付け機構508の保護を提供するために、約6時および約12時の位置に配置されることができる。
【0042】
いくつかの態様において、圧縮性材料576は包み込まれることができる。たとえば、図31の上寄り部分に示すように、ベース材546が圧縮性材料576を取り巻いて、圧縮性材料567がベース材546の部分の間に挟まれるようになっている。いくつかの態様においては、図31の下寄り部分に示すように、外層570が、圧縮性材料576の周囲に延び、かつベース材546に結合されることができる、またはベース材546が圧縮性材料の周囲に延び、かつ外層570に結合されることができる。ベース材546および外層570は、たとえば縫合またはリベットまたは接着剤または他の適切なやり方によって互いに結合されることができる。いくつかの態様においては、ベース材546および外層570とは別個の層が、圧縮性材料576とノブ516との間で外層570とベース材546との間に延びることができ、その層は、圧潰または変位してノブ516を露出させることができる(たとえばユーザが圧縮力を加えたとき)ように可撓性であることができる。可撓性の層は、圧縮性材料576とノブ516との間に配置され、それにより、ノブ516を圧縮性材料576から切り離すことができ、それが、圧縮性材料576が圧縮状態に撓むとき圧縮性材料576がノブ516と接触することを防ぐことができる。撓んだ圧縮性材料576が回転可能なノブと接触するならば、それはノブ516の回転を妨害し、場合によっては、ノブ516によって挟み潰されることもある。したがって、圧縮性材料576をノブ516から切り離す層は、圧縮性材料576がノブ516の作動を妨害することを防ぐことができる。
【0043】
いくつかの態様において、図32Aに示すように、圧縮性材料576は覆われていないことができる。いくつかの態様においては、低速復元記憶発泡体を可撓性材料576として使用することができるが、様々な他の圧縮性材料を使用することもできる。いくつかの態様においては、圧縮性材料576の頂部が隠蔽部514の外面520を画定することができる。圧縮性材料576の外面520は、物品の色および/またはスタイルと調和するように着色またはパターン付けされ、それにより、隠蔽区域514を目立たせないようにすることができる。
【0044】
本明細書に開示される態様に多くの変形を加えることができる。たとえば、いくつかの態様において、実質的に非圧縮性の防護部材(たとえば硬質プラスチックストリップ)を圧縮性材料の中にインサート成形して、隠蔽部514の特定の区域(たとえば、締付け機構の下方および/または上方の区域)に剛性およびさらなる防護を加えることができる。たとえば、図26を参照すると、いくつかの態様において、締付け機構508を包囲する第一の区域576aは実質的に非圧縮性であることができる。たとえば、第一の区域576aは、たとえば発泡体の中にインサート成形されると、締付け機構508を保護および/または隠蔽する防護を創製することができる防護部材(たとえば硬質プラスチック材料でできた)を含むことができる。
【0045】
図32Bは、図24〜32Aに示す態様と同様の、または同じ特徴を有することができる締付け機構508および隠蔽部514の例示的実施態様を示す。図32Bにおいて、締付け機構508は、図24〜32Aに示すものよりもフラットである固定フランジ554を含むことができる。固定フランジ554のサイズおよび形状ならびに締付け機構508の他の特徴は、締付け機構508が適用される物品のサイズおよび形状に依存して異なることができる。たとえば、図32Bにおいて、ベース材546は、たとえば、靴のヒールカウンタであることができ、ベース材546は、締付け機構508の一部(たとえばハウジング532の底)をその中に受ける穴を有することができる。いくつかの態様において、図32Bに示すように、ベース材546(たとえばヒールカウンタ)はハウジング532の下面とで実質的に面一であることができる。図32Bには示されないが、パジングまたは裏地層を、たとえば締付け機構508の後方に配置して、締付け機構508を装用者から切り離すことができる。図32Bに示す態様は、図24〜32Aに関して示し、説明した特徴を組み込むように変形されることができる。
【0046】
図32Cは、図24〜32Bに示す態様と同様の、または同じ特徴を有することができる締付け機構508および隠蔽部514の別の例示的実施態様を示す。ハウジング532がベース材546(たとえばヒールカウンタ)に取り付けられることができる。いくつかの態様において、ベース材546(たとえばヒールカウンタ)は、ハウジング532の一部をその中に受ける穴を含まない。ハウジング532は、ベース材546の外側に固定(たとえば縫合または接着)されることができる。外側材料570が、本明細書に説明されるように、たとえば発泡体またはプラスチック材料であることができ、かつ圧縮性または実質的に非圧縮性であることができるスペーサ576により、隠蔽部514において持ち上げられることができる。いくつかの態様においては、さらなる発泡体、たとえば靴の履き口部を包囲する履き口発泡体577をスペーサ576の周囲に使用することができる。いくつかの態様においては、グロメット579が締付け機構508の全部または一部を包囲することができる。グロメット579はリングであることができる。グロメット579は、スペーサ576と外側材料570との間に配置されることができる。いくつかの態様において、外側材料570は、グロメット579に縫合、接着または他のやり方で固定もしくは結合することができる。グロメット579は硬質または概して硬質であることができ、ユーザがグロメット579を押し下げると、それが、場合によっては締付け機構508またはその一部を包囲する全360°の区域であることができる、グロメット579の下に位置する隠蔽部514の区域を圧縮するようになっている。
【0047】
図33は、物品(たとえば靴100、ブーツ200、靴300または本明細書に開示される他の態様)とともに使用することができる締付け機構608の分解等角図である。締付け機構608は、ハウジング632、固定部材634、スプール636およびノブ616を含むことができる。スプール636は、スプール636がハウジング632に対して回転可能であるようにハウジング632中に取り付けることができる。レースをスプール636に結合して、締付け方向へのスプール636の回転がレースをスプール636上に巻き取るようにすることができる。スプール636はノブ616と係合して、ノブ616の回転がスプール636の回転を生じさせ、それにより、ノブ616を回すことによってレースを締め付けることができるようなっている。ノブ616は上面622および側面624を含むことができる。いくつかの態様において、スプール636およびノブ616は、上述したスプール436およびノブ416と同様に構成されることができる。締付け機構608のために多くの他の構成を使用することができる。
【0048】
固定部材は、凹み652を包囲する側壁650を有することができる。側壁650は、固定部材634の概して反対側(たとえばその右左の側)に位置することができる第一くぼみ部651aおよび第二のくぼみ部651bを有することができる。一つまたは複数の穴または切欠き641aおよび641bがレースを固定部材634の外側から凹み652の中に通すことができる。たとえば、切欠き641aおよび641bは、側壁650のくぼみ部651aおよび651bの中に形成されることができる。固定部材634は、ハウジング632上の係合特徴(たとえば歯645)と係合してハウジング632を固定部材634に固定する(たとえばスナップ嵌め係合によって)ことを可能にするように構成されることができる係合特徴(たとえばスロット643)を含むことができる。固定部材634は、側壁650のベースから半径方向外側に延びることができる固定フランジ654を含むことができる。いくつかの態様において、固定部材634上に(たとえばその底に)レース穴638aおよび638bが形成され、レースが凹み652に入ることを可能にするレースチャネルがレース穴638aおよび638bから切欠き641aおよび641bまたは穴まで通じることができる。
【0049】
ハウジング632は、側壁655と、固定部材634のくぼみ部651aおよび651bと概して整合することができるくぼみ部657aおよび657bとを含むことができる。いくつかの態様においては、内部側壁647が凹み659を包囲する。側壁655と内部側壁647との間に間隙が形成されることができる。側壁655中には(たとえばくぼみ部657aおよび657bのベースに)一つまたは複数の切欠き649aおよび649bまたは穴が形成されることができ、内部側壁647中には一つまたは複数の切欠き661aおよび661bまたは穴が形成されることができる。切欠きまたは穴は、レースが凹み659の中に通ることを可能にすることができ、たとえば、固定部材634中に形成された穴または切欠き641aおよび641bと整合することができる。
【0050】
図34および35Aを参照すると、固定部材634を物品に(たとえば靴のアッパー材646に)固定することができる。たとえば、固定フランジ654を、アッパー材646に縫合することができるか、または他の適切な固定機構によってそれに固定することができる。アッパー材646は、固定部材634上のレース穴638aおよび638bと整合することができる一つまたは複数のレース穴633aおよび633bを含むことができる。図35Bに示すように、図17〜20に関連して説明したものと同様のレースチャネル612がアッパー材646の内側に適用され、かつレースを、レース穴633aおよび633bならびに固定部材634に送ることができる。いくつかの態様において、締付け機構608はアッパー材646の外側に配置され、アッパー材646は、締付け機構の一部がアッパー材646の後方に配置されることを可能にする穴を含まない。
【0051】
フォクシングまたは外層670を固定部材634の上に配置することができる。スペーサ676を層670の下側に取り付けることができる(たとえば接着剤を使用して)。スペーサ676は、圧縮性材料、硬質材料または半硬質材料であることができる。スペーサ676は、スペーサ676の間隙653aおよび653bまたはより薄い部分によって分けられた第一または上部分676aおよび第二または下部分676bを有することができる。穴が外層670およびスペーサ676を通って延びることができる。スペーサ676は、層670が物品に取り付けられ、スペーサ676中の間隙653aおよび653bが固定部材634上の側壁650のくぼみ部651aおよび651bと整合することができるとき、固定部材634の側壁650の外側の周囲にフィットするように構成されることができる。いくつかの態様において、間隙653aおよび653bは、レースを通すための経路を提供することができる。いくつかの態様において、スペーサ676は、開口626の周囲に全360°延びることができ、間隙653aおよび653bを省略することができる。層670が物品に取り付けられたとき、層670およびスペーサ676を通る穴626は凹み652の上に整合することができる。いくつかの態様において、アセンブリは、たとえば図35Cに示すように、バックパート成形することができる。
【0052】
図36に見てとれるように、ハウジング632を固定部材634に取り付けることができる。いくつかの態様においては、穴626を包囲するフォクシングまたは外層670の一部671が固定部材634の上に延びることができ、ハウジング632が中に挿入されたとき、層670の一部671が固定部材634の凹み652の中に押し下げられるようになっている。いくつかの態様において、層670の一部671はハウジング632と固定部材634との間で挟み潰されるため、フォクシング層670の縁と締付け機構608の縁と間には間隙ができず、それが、屑などが締付け機構608の周囲に空間に入ることを防ぐことができる。
【0053】
上述したように、ハウジング632および固定部材634は、たとえばスナップ嵌め、摩擦嵌めなどによってハウジング632を固定部材634に固定するように構成されている対応する係合特徴を含むことができる。いくつかの態様において、ハウジング632は、ハウジング632が取り外すことができるよう(たとえば修理、交換または清浄のために)、固定部材634に取り外し可能に取り付け可能であることができる。ハウジング632はフォクシング層670の上に挿入されるため、ハウジング632は、フォクシング層670を取り外す、または切ることなく、固定部材634から取り外すことができる。
【0054】
図37Aに示すように、スプール636が、レース606を受けることができ、かつハウジング632の凹み659の中に回転可能に支持されることができる。ノブ616は、ハウジング632上に回転可能に取り付けられることができ、かつノブ616の回転がスプール636を回転させることによってレース606を締め付けることができるように構成されることができる。いくつかの態様において、側壁655および/または側壁650が、ノブ616の側面624の少なくとも一部を包囲することができ、それにより、偶発的な作動からノブ616を保護することができる硬質の遮蔽要素を形成する。くぼみ部657aおよび657bおよび/または651aおよび651bがノブ616の側面624の一部を露出させて、ユーザがノブ616の側面624を把持する(たとえば締め付けるために)ことを可能にすることができる。物品の隠蔽部614がノブ616の側面624を少なくとも部分的に包囲して締付け機構608を隠蔽または保護することができる。たとえば、スペーサ676がフォクシング層670を締付け機構608の周囲に押し当てることができる。いくつかの態様において、隠蔽部614は、締付け機構608を包囲する区域が他の包囲する区域よりも高いことができる。
【0055】
多くの変形が可能である。たとえば、図37Bを参照すると、いくつかの態様において、ハウジング632は、たとえば、物品に直接取り付けることができる一つの一体に形成されたピース632′として固定部材634に組み込まれることができる。ハウジングピース632′は、上述したハウジング632の特徴と固定部材634の特徴とを組み合わせることができる。ハウジングピース632′は一つの一体ピースであることができるため、ハウジング632′においては固定部材634およびハウジング632の係合特徴を省略することができる。図37Cに示すように、外層(たとえばフォクシング)670は、図35Aに関連して説明したやり方と同様なやり方でハウジングピース632′上に適用することができる。
【0056】
図38は、遮蔽要素(たとえば側壁650および/または655)を横切る平面(たとえば垂直平面)から見た締付け機構608および隠蔽部614の略断面図である。側壁650および655の一方または両方が、図38の平面中、少なくともノブ616の側面624まで上方に延びることができ、ノブ616の側面624が隠蔽区域614によって部分的に、大部分、完全にまたは実質的に完全に覆われることができるようなっている(たとえば図4〜6の上記説明と同様に)。いくつかの態様において、固定機構の側壁650およびハウジング632の側壁655はいずれも少なくともノブ側面624の頂部まで(たとえば、図38の右側に示すように、実質的に同じ高さまで)上方に延びることができる。いくつかの態様において、ハウジング632の側壁655は、固定機構634の側壁650よりも高く延びることができる(図38の左側に示すように)。いくつかの態様において、ハウジング632の側壁655は、側壁650の少なくとも一部にかけて半径方向外側に延びるフランジ部663を有することができる。フランジ663はフォクシング層670を側壁650に対して締め付けることができる。
【0057】
図39は、隠蔽部614が図38の平面中よりも低い減少した高さを有する平面から見た締付け機構608および隠蔽部614の略断面図である。たとえば、図39は、くぼみ部657aおよび657bおよび/または651aおよび651bを横切る平面(たとえば水平面)から見たものであることができる。側壁650および655の一方または両方はノブ616の後方の位置まで上方に延びることができ、ノブ616の側面624が側方から部分的に、大部分、完全にまたは実質的に完全に露出することができるようになっている。側壁650および655は実質的に同じ高さまで上方に延びることができる(図39の右側に示すように)。いくつかの態様において、ハウジング632の側壁655は固定機構634の側壁650よりも高く延びることができる(図39の左側に示すように)。フランジ部663がフォクシング層670を側壁650のくぼみ部651aおよび651bに対して締め付けることができ、それが、層670が隠蔽区域614の高さ減少部分を遮ることを防ぐことができる。スペーサ676は、図39の平面におけるスペーサ676の部分よりも図38の平面における部分の場合により大きな高さを有することができる。
【0058】
図40は、ユーザがノブ616を作動させることを可能にするために隠蔽部614を圧縮することができる、締付け機構608および隠蔽部614の略断面図である。たとえば、図40の断面は、くぼみ部657aおよび657bおよび/または651aおよび651bを横切る平面(たとえば水平面)から見たものであることができる。図40に示す構成は、多くの点で、図39の構成と同様または同じであることができる。スペーサ676は、側壁650および/または655の高さよりも大きい高さを有することができる。図40に示すような非圧縮状態において、隠蔽部614は少なくともノブ616の側面624まで上方に延びることができ、ノブ616の側面624が隠蔽区域614によって部分的に、大部分、完全にまたは実質的に完全に覆われることができるようになっている(たとえば図4〜6の上記説明と同様に)。スペーサ676材料は、隠蔽部614を圧縮状態(図示せず)まで圧縮することができるよう、圧縮性であることができる。圧縮状態において、隠蔽部614は、ユーザがノブ616を作動させることができるよう、図39に関連して示し、かつ説明した高さと同様に、減少した高さを有することができる。図40の左側は、上述したように側壁655がフランジ663を含む構成を示し、図40の右側は、フランジ663を含まない構成を示す。いくつかの態様において、隠蔽部614の圧縮性区域は、硬質遮蔽要素(図38に示す)を有する部分を有さずに、締付け機構608の周囲に全360°延びることができる。
【0059】
図41は、本明細書に開示される様々な態様に関連して使用することができる締付け機構708および隠蔽部714の例示的実施態様の分解図である。図42は、アセンブルされた締付け機構708および隠蔽部714を示す。図43は、締付け機構および隠蔽部714の側面図である。締付け機構708は、上記ハウジング432、スプール436およびノブ416と同様の、または同じ特徴を有することができるハウジング732、スプール736およびノブ716を含むことができる。成形部材701をハウジング732の上に配置して、本明細書に説明されるように締付け機構708を隠蔽および/または保護することができる(たとえばノブ716を保護するために)。成形部材701は、締付け機構708を物品の外観に組み込むために、物品(たとえば靴のヒール)のサイズおよび形状にしたがって成形されることができる。いくつかの態様においては、外側材料(たとえばフォクシング)を成形部材701の上に配置して、本明細書に説明されるように成形部材701が外側材料を持ち上げるためのスペーサとして働くようにすることができる。いくつかの態様において、成形部材701は硬質であることができ、かつハウジング732と係合して成形部材701およびハウジング732を物品上の適切な位置に配置するように構成されることができる。いくつかの態様においては、成形部材701の下、たとえば成形部材701とハウジング732との間に空隙が形成されることができる。いくつかの態様において、成形部材701は、たとえば成形部材701が物品の特定の外形に適合することを可能にするために、可撓性またはいくぶん可撓性であることができる。いくつかの態様においては、成形部材701に支持を提供するために(たとえば可撓性成形部材701の形状を維持するために)、支持部材703をハウジング732と成形部材701との間に配置することができる。いくつかの態様においては、支持部材703を省略することができる。いくつかの態様において、成形部材701は、物品の形状に適合するための成形部材701の屈曲を容易にするために、一つまたは複数の切欠き705aおよび705b(たとえばスリット)を含むことができる。いくつかの態様において、本明細書に説明されるように、成形部材701および/または支持部材703は、締付け機構708を包囲するいくつかの位置において、他の位置よりも多く締付け機構708を隠蔽および/または保護するように構成されることができる。隠蔽部714は、本明細書に説明されるように、ノブ716の側面が露出する開口部を提供し、それにより、ユーザがノブ716を作動させることを可能にすることができる凹み、切欠きまたは扇状区域などを有することができる。
【0060】
図44は、締付け機構808と、締付け機構808を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部814とを有する靴の側面図である。いくつかの態様において、締付け機構808は、上述した締付け機構708に類似していることができるが、本明細書に開示される他の態様がそれに関連することもできる。図45は、上述した成形部材701に類似していることができる成形部材801を示し、締付け機構808のハウジング832がそれに取り付けられている。ノブ816は図45には示されていない。図46は、靴および隠蔽部814に取り付けられたハウジング832を示す、図44の靴の断面図である。本明細書における様々な態様に関して説明されるように、隠蔽部814は、ユーザが締付け機構808を作動させることを可能にするのに十分なほど締付け機構808が露出する区域を提供することができる(たとえば側面に)。
【0061】
図47は、締付け機構908と、締付け機構908を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部914とを有する靴の側面図である。図48図47の靴の別の図を示す。図49は、図47および48の隠蔽部914の形状を提供するように構成されることができるスペーサ976を示す。本明細書における様々な態様と関連して説明されるように、隠蔽部914は、ユーザが締付け機構908を作動させることを可能にするのに十分なほど締付け機構908が露出する区域を提供することができる(たとえば側面に)。
【0062】
靴または他の履き物のヒールに取り付けられる締付け機構に関連して多くの態様が説明されているが、多くの他の構成が可能である。図50は、ブーツ1000のベロ1009に取り付けられた締付け機構1008と、締付け機構1008を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部1014とを有するブーツ1000の等角図である。図51はブーツ1000の側面図である。図52は、ブーツ1000上の隠蔽部1014および締付け機構1008の詳細図である。図53は、ブーツ1000の締付け機構1008を作動させるユーザを示す。ベロを有する靴(ハイカット靴およびローカット靴を含む)および他の履き物に関して同様な構成が可能である。また、締付け機構1008は、履き物の他の部分に(たとえばその側面に)取り付けることもできる。
【0063】
上述したように、本明細書に記載される態様は、様々な物品に適用することができる。たとえば、図54は、締付け機構1108と、締付け機構1108を少なくとも部分的に包囲する隠蔽部1114とを有するリストブレース1100を示す。
【0064】
図55a〜cは、発泡体裏地材料のような圧縮性材料1230と結合される締付け機構のボディまたはハウジング1210を示す。裏地材料は、様々な密度および材料の発泡体、たとえばポリウレタンもしくはラテックスゴムであることもできるし、または非発泡性であるが順応性の材料、たとえばポリマーゲルであることもできる。図55bに示す三つのパーツの組み合わせは一般に、アセンブリ後、しかし靴型合わせの前に、様々な潜在的アセンブリ順序でおよび様々なアセンブリ法を使用して靴のアッパーに結合される。具体的には、ボディまたはハウジング1210(以下、ハウジング)は、発泡体裏地1230と結合されたのち、一般には接着剤または縫合またはRF溶接によって靴の後部に取り付けられ得る。取り付けられるとき、上層の間にすでに取り付けられている管材料(図示せず)の端部がハウジング1210上のチューブポートに嵌め込まれ、それを通してレースが靴の前部からハウジング1210に送られ得る。様々な他の態様は、管材料を使用せず、この目的のために設計されたハウジングのチューブポートが、ハウジング1210から来るレースのために靴表面を直接貫通することを可能にすることができ、その後、レースは、ときには中間誘導要素によって靴の外に送られる。一般に、相対的に硬質の取付け部品またはバヨネット1220(以下、バヨネット)が、製靴産業においてはフォクシング1250として知られる織物または成形オーバーレイに接合される。これらの部品は縫合、RF溶接、インサート成形または他の手段によって接合され得る。そして、バヨネット1220とオーバーレイとのこのアセンブリが靴アッパーに取り付けられ、バヨネット1220がハウジング1210の受け要素の中にスナップ嵌めされ得る。しばしば製靴産業において、後続の工程は「バックパート成形」を含み、その中で、織物アッパーを、靴型として知られる足形の型の内側に配置し、次いで加熱し、次いで、この機械中、ヒール形状の周囲に生地を引いて、および/または押して、材料中にヒール形状をいくぶん熱成形する。硬質のバヨネット1220がハウジング1210穴の周囲をフォクシング1250の中に硬く保持して、それが引き抜かれてハウジング1210とフォクシングとの間に見苦しい間隙を残すことがないようにする。これが、フォクシング中の穴のバックパート成形中に変形に抵抗し、かつ、フォクシング1250の材料との間隙が最小限であるきれいな縁貼りを創製するための相対的に硬質のバヨネット1220の主要な目的である。
【0065】
いくつかの態様において、発泡体裏地1230は、発泡体裏地1230とハウジング1210とが一つまたは一体のピースまたは部品に見えるようにハウジング1210上に成形され得る、または他のやり方でハウジング1210と結合(たとえば接着剤で接着またはインサート成形)され得る。発泡体裏地1230は、締付け機構と靴との間のつなぎ部品として、締付け機構を靴に取り付けることから生じ得る任意の視覚的欠陥を隠すために使用され得る。発泡体裏地1230は、締付け機構の任意の下層部品から靴に移行する跡の外観の隠蔽を容易にする相対的に順応性の材料である。発泡体裏地1230は、靴の特定の形状およびサイズに適合することによって部品を隠すことができる。たとえば、相対的に硬質の裏地材料が使用され、かつ靴の材料の表面下に配置された場合、裏地材料の縁が見えてしまい、または硬質材料が靴の材料を腰折れまたは他のやり方で変形させてしまい、それが見苦しく見える可能性がある。靴の中の下層部品が見えてしまうことは一般にゴーストとして知られている。発泡体裏地1230が順応性であり、靴の形状およびサイズに適応し、適合することができるため、ゴーストは大きく減少する。具体的には、発泡体裏地1230はヒールカウンタの形状およびサイズに適合し得る。
【0066】
順応性発泡体裏地1230はまた、様々な異なる形状およびサイズの靴に適応することができる。発泡体裏地のこの適応性が、製造しなければならない裏地部品の数の減少をもたらし、それにより、部品点数を減らす。発泡体裏地1230は、靴の層の間で挿入可能かつ圧縮性であることにより、様々な形状およびサイズの靴に適応可能である。さらに、発泡体裏地1230の順応は、靴の外形、サイズまたは形状にかかわらず、発泡体裏地1230がヒールカウンタまたは靴の別の部品の周囲に容易に巻き付けられることを可能にする。発泡体裏地1230は靴の既存の輪郭に合致し得る。たとえば、発泡体ピースは、継ぎ目のない魅力的な見かけを提供するために、適用物品(たとえば靴)の周囲面に合致するように形成され得る。
【0067】
いくつかの態様において、発泡体裏地1230は、発泡体裏地1230の形状および/またはサイズを、靴の形状およびサイズにフィットするように、たとえば特にソールから履き口までの距離が相応に短めである小さめの靴に適応するように調節することを可能にするトリミング可能なパーツを有し得る。一つの態様において、発泡体裏地1230は、タマネギの層と同様に重ねた配置で結合された複数の材料層を含み得る。各層を剥ぐ、または剥離させると、発泡体裏地1230の全厚さを望みどおりに減らし得る。別の態様において、発泡体裏地1230は、発泡体裏地のサイズを減らすために発泡体裏地1230の区分を望みどおり切り取るまたはちぎり取ることを可能にする穿孔部または領域を有し得る。同様に、発泡体のデュロメータを変化させて発泡体材料の所望の圧縮性を提供してもよい。いくつかの態様において、発泡体裏地1230のデュロメータは約10〜25ショアAの間で変化し得る。発泡体のデュロメータを調節する、区分を除去する、および/または発泡体裏地1230のいくつかの層を剥がす、もしくは剥離させることにより、発泡体裏地1230を、特定に設計された靴に適合するように調節され得る。いくつかの態様において、発泡体裏地1230は、バックパート成形中に加熱および加圧されたとき永久変形に抵抗するために熱硬化性材料を含み得る。
【0068】
別の態様においては、シムを発泡体裏地1230の下に配置して、発泡体裏地1230が様々なサイズおよび形状の靴に適合および/または適応することを支援し得る。たとえば、発泡体裏地1230が大きな靴に結合される場合のように発泡体裏地1230の相対的に大きな厚さが必要とされる、または他のやり方で望まれる場合、シムを発泡体裏地1230の下に配置して発泡体裏地1230の全厚さを増し得る。シムは、望みどおり任意の形状またはサイズを含み得、かつウレタン、ゴム、エラストマーなどのような多様な材料で作られ得る。別の態様において、発泡体裏地1230は、発泡体または別の材料の複数のピースを含んでもよいし、および/またはバヨネット1220に取り付けられなくてもよい。
【0069】
バヨネット1220は、バヨネット1220の周囲の一部または全部に配置されたフランジを含む。フランジは、バヨネット1120を靴または他のアパレルと縫合、接着または他のやり方で結合することを可能にする。ハウジング1210がバヨネット1220と相対的に硬く結合する。いくつかの態様において、ハウジング1210は、ハウジング1210を交換、修理などのために取り外し得るよう、バヨネット1220と取り外し可能に結合されてもよい。一つの態様において、ハウジング1210およびバヨネット1220は、ハウジング1210およびバヨネット1220の嵌合部分をスナップ嵌めすることによって互いに結合され得る。別の態様において、ハウジング1210の開口とスナップ嵌めするかもしくは他のやり方で結合するボスをバヨネット1220が含んでもよいし、またはその逆でもよい。また、くさびを使用してハウジング1210をバヨネット1220と結合してもよいし、あるいは当技術分野において公知の任意の方法を使用して、バヨネット1220をハウジング1210と溶接(たとえば熱、RF、超音波など)、接着または結合してもよい。本明細書に記載される任意の固定手段(たとえばボス、くさび、嵌合部品、溶接、接着剤接着など)を使用するハウジング1210とバヨネット1220との結合または連結は、締付け機構が操作されるとき回転力をハウジング1210からバヨネット1220に伝達することを容易にし得る。バヨネット1220は同様に、そのような力を靴またはアパレルに伝達し得る。このようにして、発泡体裏地1230を変形させ得る(たとえば楕円形などにし得る)および/または靴もしくはアパレルの上層を通して見えるようにし得る回転力は発泡体裏地1230には伝達されない。
【0070】
図56a〜bは、靴のヒールカウンタ1240の一体部品である締付け機構のハウジング1210を示す。図56a〜bは、ハウジング1210がヒールカウンタ1240上に成形されて、ヒールカウンタ1240とハウジング1210とが本質的に一つの部品またはピースであることを除き、図55a〜cに類似している。シングルピースのヒールカウンタ1240とハウジング1210は、その構築中に変形の危険をなくすために一つのユニットとして靴に設置され得る。様々なサイズのものを成形し得る。別の手法においては、ヒールカウンタのウィングが本質的にフラットであり、かつ打抜き型または他の方法によってポストトリミングされたのち、所期の靴のサイズに適切なカーブへと予備熱成形され得る。いくつかの態様において、図55a〜cに関して記載したように、バヨネット1220および発泡体裏地1230は、ハウジング1210の上にフィットさせ、それと結合させ得る。靴1250の材料、たとえばパジング、フォクシングなどをヒールカウンタ1240およびハウジング1210の上に配置して、これらの部品を被覆し得る、および/または靴のためのパジングを提供し得る。このようにして、ハウジング1210を靴と結合し、かつ隠し得る。多くの場合、このヒールカウンタ/ハウジングの組み合わせは、靴の内側裏地材料と靴の腰革との間に挟まれるであろう。
【0071】
次に図57a〜dを参照すると、いくつかの態様において、カバープレート1310を締付け機構のハウジング1210の上に配置し得る。カバープレート1310は、ノブ1212を覆い隠すために締付け機構のノブ1212の上にフィットするように構成されるダイヤルカバー1320を含み得る。いくつかの態様において、ダイヤルカバー1320の両側は、本明細書に記載されるように、ノブ1212の側面が露出して、ユーザがノブ1212を操作してレースを締付け機構のスプール(図示せず)周囲に巻くことを可能にするように開放され得る。いくつかの態様において、カバープレート1310は、本明細書に記載されるようにハウジング1210と結合される発泡体裏地1230およびバヨネット1220の上にフィットされ得る。他の態様においては、発泡体裏地1230および/またはバヨネット1220が使用されなくてもよく、カバープレート1310はノブ1212の上に直接フィットされ得る。
【0072】
ヒールカウンタ1240はボス1242を含み得、このボスが、たとえばボス1242と対応するカバープレート1310の開口1312にスクリューを挿入することによってカバープレート1310をヒールカウンタ1240と結合させることを可能にする。他の態様において、カバープレート1310は、ヒールカウンタ1240に縫合、接着剤接着、溶接(たとえば熱、超音波など)などされてもよい。
【0073】
ダイヤルカバー1320は、カバープレート1320をカバープレート1310に対して横方向に調節することを可能にする相対的に弾性または順応性の部品であり得る。換言するならば、ダイヤルカバー1320は、ダイヤルカバー1320を横方向外側に伸ばすことにより、カバープレート1310に対して横方向に再配置され得る。カバープレート1310に対するダイヤルカバー1320の調節可能性は、本明細書に記載されるように、締付け機構(たとえばノブ1220)が靴に対して軸方向外側に引かれてレースの張りを解き、締付け機構のスプールからレースを解放することを可能にするようにリールの締付けノブに対して作用し得る。このようにして、本明細書に記載されるように、ノブ1220を回してレースを締付け機構のスプールの周囲に巻き取ったのち、軸方向外側に引いてレースをレースから出し得る。いくつかの態様において、ダイヤルカバー1320は、ノブ1220が軸方向外側に引かれるとき軸方向圧力をノブ1220に加えて、ユーザがノブ1220を解放するとき、ノブが軸方向内側に付勢されるかまたは強制され、回転してレースを締付け機構のスプールの周囲に巻くことができるようになっている。別の態様において、ノブ1220は、レースをスプールの周囲に巻くためには第一の方向(たとえば右回り)に回転させ、かつレースをスプールから解放するためには第二の方向(たとえば左回り)に回転させ得る。特定の態様において、第二の方向への既定量(たとえば15〜90°)のスプールの回転が、レースの張りを解き、かつレースをスプールから速やかに解放することを可能にし得る。
【0074】
いくつかの態様において、ダイヤルカバー1320はノブ1212のための軸方向隙間を有し得、側方開口1312を介してノブを把持してノブが軸方向外側かつ解放位置に留まり得るようになっている。そして、かぶされた順応性のダイヤルカバー1320がボタンとして機能し得、ダイヤルカバー1320の上面の軸方向内側への押下が、ダイヤルカバー1322を、ダイヤルカバー1320が靴の外面に隣接する第一の位置と、ダイヤルカバー1320が靴から軸方向にオフセットされて位置する第二の位置との間で軸方向に変位させるようになっている。このようなダイヤルカバー1320の押下はまた、本明細書に記載されるように、ノブ1212を、レースが締付け機構スプールの周囲に巻かれ得る、またはそこから解放され得るいずれかの第一および第二の位置の間で軸方向に変位させ得る。
【0075】
いくつかの態様において、カバープレート1310は、締付けシステムのレースのためのレース経路を画定する、その内面に配置された一つまたは複数のチャネル(図示せず)を含み得る。カバープレート1310の内面のチャネルは、靴の様々な領域または区域の間で、たとえば靴ヒールからベロへとレースを誘導し、取り回すために一般に使用される管材料(図示せず)に取って代わり得る。別の態様においては、管材料(図示せず)が、カバープレート1310の内面または外面と結合(たとえば接着剤接着、スナップ嵌めなど)されるなど、カバープレート1310と一体化されてもよい。カバープレート1310は、様々な靴の形状に適合することを可能にするために20〜50ショアAの範囲のデュロメータで作られ得、かつまた、カバープレート1310が様々な形状およびサイズの靴を受け入れ順応するために撓むことを可能にする一つまたは複数のレリーフカットまたはスロットを含み得る。カバープレート1310は、相対的に硬いプラスチック材料であってもよいし、または相対的に軟らかく、弾性かつ可撓性の材料であってもよい。
【0076】
ここで、図58を参照すると、ハウジング1410を靴と結合する別の態様が示されている。具体的には、ハウジング1410はアウトソール1402と一体に形成され得、その後そのアウトソールが靴のアッパー材1420と結合される。一つの態様において、ハウジング1410はアウトソール1402とともにインサート成形され得る。別の態様において、ハウジングは、アウトソール1402と縫合、接着、溶接などされてもよい。ハウジング1410はアウトソール1402と一体に形成されるため、ハウジング1410を靴と結合するための他の部品(たとえばバヨネットなど)の使用は不要となり得る。同様に、ゴーストおよび/または他の問題があまり顕著に出ないため、発泡体裏地の使用が不要となり得る。別の態様において、ハウジング1410は靴のミッドソールと結合され、そのミッドソールがアッパー材1420および/またはアウトソール1402と結合されてもよい。場合によっては、レースを送るための管材料が、対応するハウジングチューブポートに嵌め込まれてもよい。他の場合には、レースをチャネルに通したのち、靴の外面に沿ってベロまで送ってもよい。他の態様においては、ハウジング1410がアッパーに縫合、結合、接着されてもよく、アウトソール1402が、ハウジング1410を包囲するように直接射出されてもよい。
【0077】
図59a〜bを参照すると、ハウジング1410を靴と結合する別の態様が示されている。具体的には、ハウジング1410は外側材料1430と一体に形成され得、その後その外側材料がこの靴、たとえばヒールカウンタ1404と結合される。この場合、より軽くて薄いヒール型を形成するために、靴側面1431の腰革をヒールカウンタにかぶせるのではなく、側面は切り欠かれ、重ならない。ハウジング1410は、縫合、接着剤接着、成形などによってフォクシングまたは外側材料1430に事前に取り付けられてもよい。この工程中に発泡体裏地をハウジング1410と外側材料1430との間に挟んでもよい。このようにしてハウジング1410を外側材料1430に取り付けると、一つまたは複数の他の部品、たとえばバヨネットなどを使用する必要をなくし得る。ハウジング1410を外側材料1430に取り付けることはまた、ハウジングおよび締付け機構が靴の形状およびサイズに容易に適合することを可能にする。外側材料1430はまた、締付け機構の一つまたは複数の他の部品、たとえば管材料1406を覆い、これらの部品がユーザの視界から隠れるようにする。外側材料1430は、レースが、外側材料1430の下面に配置される管材料1406から、外側材料1430の外面に配置される締付け機構まで通り得るよう、レースが挿入される一つまたは複数の穴(図示せず)および/またはチャネルを含み得る。
【0078】
ここで、図60a〜cを参照すると、締付け機構1510を靴1502と結合する別の態様が示されている。具体的には、締付け機構1510の一部をユーザの視界から隠すために、および/または様々な他の機能的理由のために、たとえば靴のヒールの外形を画定する、または締付け機構1510に軸方向圧力を提供するために、可撓性材料のストリップ1520を締付け機構1510の上に結合し得る。一つの態様において、可撓性材料のストリップ1520は、締付け機構1510の両側が露出し、ユーザによって把持され、回されることができるよう、締付け機構1510の上に配置され得る。いくつかの態様において、可撓性材料のストリップ1520は、レースが締付け機構のスプールから解放され得るように締付け機構1510を軸方向外側に引くことを可能にする弾性材料を含み得る。可撓性材料のストリップ1520は、締付け機構のスプールからレースが解放されたのち、締付け機構1510に軸方向の力を加えて締付け機構1510を靴に対して軸方向内側の位置に戻らせ得る。可撓性材料のストリップ1520は、相対的に好ましい外観を靴に提供すると同時に、本明細書に記載される機能的局面のいずれかを提供し得る。
【0079】
本開示は特定の態様に関して詳細に説明されるが、本開示が、具体的に示され、かつ説明された態様に限定されないということが理解されるべきである。本明細書において態様は例として説明されるものであり、本発明の範囲内で用いられ得る数多くの改変、変形および他の態様がある。本明細書に説明される個々の態様に関して、また、様々な態様の間で、部品が追加、削除および/または再配置されることができる。本開示に関して、特定の局面、利点および新規な特徴が本明細書に記載される。任意の特定の態様にしたがって必ずしもそのような利点のすべてが達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、たとえば、当業者は、本発明が、本明細書に教示または暗示されるような一つの利点または一群の利点を達成するやり方で、本明細書に教示または暗示され得る他の利点を必ずしも達成することなく具現化または実施され得ることを認識するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15-16】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32A
図32B
図32C
図33
図34
図35A
図35B
図35C
図36
図37A
図37B
図37C
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55a
図55b
図55c
図56
図57a
図57b
図57c
図57d
図58
図59
図60a
図60b
図60c