(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022046
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】電圧調整器、および車両の乗員保護手段のための制御器
(51)【国際特許分類】
B60R 21/017 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
B60R21/017
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-515447(P2015-515447)
(86)(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公表番号】特表2015-518793(P2015-518793A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2013059874
(87)【国際公開番号】WO2013182386
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2014年12月3日
(31)【優先権主張番号】102012209582.9
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ジーファース,ファルコ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッヒャー,ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】リスト,カルシュテン
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/019588(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0290657(US,A1)
【文献】
特表2009−507461(JP,A)
【文献】
特表平11−506232(JP,A)
【文献】
特開平08−233933(JP,A)
【文献】
国際公開第1992/007321(WO,A1)
【文献】
William Lepkowski,Using the Enable Pin in aLinear Regulator as aVoltage Supervisor,AND8239/D APPLICATION NOTE,2005年,URL,http://www.onsemi.jp/pub_link/Collateral/AND8239-D.PDF
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00−21/13
B60R 21/34−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧(Vin)を所定の値を持つ出力電圧(Vout)に変換する調整トランジスタ(T)と、該調整トランジスタ(T)を制御して前記所定の値を持つ出力電圧(Vout)を生成する、該調整トランジスタ(T)を制御するための制御回路(12)とを備えた、車両の乗員保護手段のための電圧調整器において、
コンフィギュレーション回路(14)が少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)を受信して評価し、この評価に依存して前記調整トランジスタ(T)を非作動状態にさせる
ことを特徴とする電圧調整器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)がピンコンフィギュレーションを用いて生成可能であり、前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)のための第1のロジックシグナルレベル(L)を生成するため、対応する接続ピン(K1)がアースと固定結合され、前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)のための第2のロジックシグナルレベル(H)を生成するため、対応する接続ピン(K1)を開いたままにしておく
ことを特徴とする、請求項1に記載の電圧調整器。
【請求項3】
前記電圧調整器(10)の内部または外部に配置されるプルアップ回路(11)が、開いたままになっている前記接続ピン(K1)を前記第2のロジックシグナルレベル(H)へもたらす
ことを特徴とする、請求項2に記載の電圧調整器。
【請求項4】
前記コンフィギュレーション回路(14)が、前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)を評価するため、該少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)を参照電圧(Vref)と比較する比較器(14.1)を含んでいる
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の電圧調整器。
【請求項5】
前記比較器(14.1)が比較に依存して切換え要素(Toff)を制御して、前記調整トランジスタ(T)を非作動状態にさせる
ことを特徴とする、請求項4に記載の電圧調整器。
【請求項6】
前記コンフィギュレーション回路(14)が前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)の評価をシステム初期化の間に実施する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載の電圧調整器。
【請求項7】
前記コンフィギュレーション回路(14)が前記少なくとも1つのコンフィギュレーション信号(CF)の検知したロジック状態をロックし、ステータスメモリ(16)にファイルする
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載の電圧調整器。
【請求項8】
前記制御回路(12)がフィードバック信号(VFB)に依存して前記調整トランジスタ(T)を制御して、前記所定の値を持つ前記出力電圧(Vout)を生成させる
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の電圧調整器。
【請求項9】
所定の分圧比(R1/R2)を持つ少なくとも1つの統合分圧器(18)が前記フィードバック信号(VFB)を前記出力電圧(Vout)から生成させる
ことを特徴とする、請求項8に記載の電圧調整器。
【請求項10】
車両の乗員保護手段を制御するための制御器であって、該制御器(1)内の少なくとも1つの電圧を調整する調整装置(3)を備えた前記制御器において、
前記調整装置(3)が、請求項1から9のいずれか一つに記載の少なくとも1つの電圧調整器(10)を有している
ことを特徴とする制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の種類の統合調整器、特に車両の乗員保護手段のための電圧調整器、および、独立請求項10の種類の、車両の乗員保護手段を制御するための制御器から出発する。
【背景技術】
【0002】
技術水準から知られている、車両の乗員保護手段を制御するための制御器は、とりわけ、乗員保護システムの作動のために必要なすべての供給電圧を乗員保護システム内部で生成させることを特徴としている。これにより、車両のバッテリー電圧の変動とは関係なく具体的な機能性が与えられるよう保証することができる。使用される電圧調整器はたとえばリニアレギュレータおよび/またはDC/DC切換えコンバータとして実施され、所定の固定出力電圧(たとえば6.7V,5.0V,3.3V)を他のシステム素子(たとえばマイクロコントローラ、センサ、通信用インターフェイス、ランプドライバー等)に直接給電するために使用することができる。
【0003】
小電圧調整器(5.0Vと3.3V)の出力電圧は、システムASIC(ASIC:Anwendungsspezifische Integrierte Schaltung:特定用途向けIC)自体によって監視することができ、出力電圧の監視からリセット信号の開放または発動を誘導することができる。リセット信号も乗員保護システムの開放または起動またはリセットのために利用でき、すなわち乗員保護システムが機能しないような安全な状態に置くために利用できる。すなわち乗員保護システムを完全に機能させるには、監視される電圧を使用せねばならず、しかもこれは許容範囲内になければならない。しかしながら、実際の乗員保護システムでは、電圧調整器を非作動状態にさせる可能性、または、電圧調整器の出力信号の監視を無効にする可能性は存在しない。従って、すべての電圧調整器を精確な外部部品と配線接続し、その結果調整電圧を安定にし、その監視が堅実に機能するようにすることが常に必要である。これは、特殊な乗員保護システムでの調整器の出力電圧(たとえば5.0V)が顧客の要求により全く使用されない場合にも必要である。複数のシステムASICを組み合わせた乗員保護システムの場合も、すべての電圧調整器を必要としないことが可能であるが、乗員保護システムがリセット状態を持続しないことを阻止するには、既存のすべての電圧調整器を精確に配線接続しなければならない。比較可能な、自在に使用可能な乗員保護システム用システムASICも、個々の統合調整器を監視し、リセット信号を生成するために使用する限りにおいては、個々の統合調整器を非作動状態にさせることはできない。
【0004】
特許文献1には、たとえば車両用乗員保護手段を制御するための制御器および方法が記載されている。記載されている制御器は、乗員保護手段を制御するための入力電圧を変換する給電素子を含んでいる。車両供給電圧と給電素子の入力電圧との間に、入力電圧を所定の第1の値に制限する電圧調整器が接続されている。電圧調整器の上流側には、車両供給電圧に依存して電圧調整器をオフにするオフ回路が接続されている。オフ回路は車両供給電圧を第2の値に対しチェックし、この第2の値を越えているときには電圧調整器をオフにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009047480A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対して、独立請求項1の構成を備えた、車両の乗員保護手段のための本発明による統合調整器と、独立請求項10の構成を備えた、このような統合調整器を有する乗員保護手段を制御するための対応する制御器とには、乗員保護システムの個々の統合調整器を、好ましくは電圧調整器を、非作動状態にさせ得るという利点がある。これにより、対応する出力信号の対応する監視および出力信号監視による乗員保護システム用リセット信号の生成に対する影響をも有利な態様でカットオフすることができる。さらに、オフまたは非作動状態にさせる統合調整器を外部部品と配線接続させる必要がなく、その結果部品コストを低減させることができる。本発明による統合調整器のオフまたは非作動状態化は、たとえば適宜制御される別個のコンフィギュレーションピンを介して行う。また、コンフィギュレーションピンで検知したコンフィギュレーションを記憶し、ソフトウェアによる読み出し命令を介して読み出して確認することができる。
【0007】
本発明の主旨は、乗員保護システムのシステムASIC内に設けた個々の統合調整器を、その調整信号がシステム全体内でまったく必要なくなる場合に、或いは、他の統合調整器によって提供される場合に、非作動状態またはオフにさせることができる点にある。非作動状態またはオフにされた調整器はたとえば調整容量部、インダクタンス、オーム抵抗器またはダイオードのような外部部品と配線接続する必要がない。従って不必要なコストを回避できる。さらに、オフにされた統合調整器は非許容信号を生成させることができないので、乗員保護システムの頑強性が向上する。これは、統合調整器を起動させて、調整容量部または他の外部部品のみを減らすまたは除去することができるケースである。というのは、この場合強く変動する出力電圧(振動)が生じて、これが乗員保護システムの他の接続部品に影響し得るからである。これはたとえばシステムASIC内部でのオーバーカップリングの原因になり、および、統合調整器はリセット信号の生成のために監視されているのでリセット信号の生成の原因になり得る。他の利点は、本発明による統合調整器の現時点でのコンフィギュレーションをソフトウェア照会を介して確認でき、これにより誤作動した統合調整器または非作動状態にされた統合調整器を検知でき、その結果一義的なエラー分類が可能な点にある。
【0008】
本発明の実施態様は、入力信号を所定の値を持つ出力信号に変換する調整要素と、該調整要素を制御して前記所定の値を持つ出力信号を生成する制御回路とを備えた統合調整器、特に車両の乗員保護手段のための電圧調整器を提供する。本発明によれば、少なくとも1つのコンフィギュレーション信号を受信して評価し、この評価に依存して前記調整要素を非作動状態にさせるコンフィギュレーション回路が設けられている。
【0009】
さらに、車両の乗員保護手段を制御するための制御器であって、該制御器内の少なくとも1つの電圧を調整する調整装置を備えた前記制御器が提案される。本発明によれば、調整装置は本発明による少なくとも1つの統合調整器を有している。
【0010】
従属項に記載した処置および更なる構成により、独立請求項1に記載した車両の乗員保護手段用統合調整器の有利な改善が可能である。
【0011】
少なくとも1つのコンフィギュレーション信号がピンコンフィギュレーションを用いて生成可能であるのが特に有利である。少なくとも1つのコンフィギュレーション信号のための第1のロジックシグナルレベルを生成するため、対応する接続ピンはアースと固定結合されている。少なくとも1つのコンフィギュレーション信号のための第2のロジックシグナルレベルを生成するため、対応する接続ピンを開いたままにしておく。加えて、統合調整器の内部または外部に配置されるプルアップ回路が、開いたままになっている接続ピンを第2のロジックシグナルレベルへもたらすことができる。このようなプルアップ回路は好ましくはオーム抵抗器を含み、該オーム抵抗器は、好ましくは第2のロジックシグナルレベルを表わす所定の電圧ポテンシャルと結合されている。ピンコンフィギュレーションを介して少なくとも1つのコンフィギュレーション信号を生成することにより、本発明による統合調整器の簡潔でコスト上好ましい実現が可能になるので有利である。制御器内に複数の調整器が統合されている場合には、対応する統合調整器を非作動状態にさせるために、各調整器に対し別個のコンフィギュレーションピンが設けられていてよい。
【0012】
本発明による統合調整器の有利な構成では、コンフィギュレーション回路は、少なくとも1つのコンフィギュレーション信号を評価するため、該少なくとも1つのコンフィギュレーション信号を参照電圧と比較する比較器を含み得る。比較器は比較に依存して切換え要素を、好ましくは切換えトランジスタを制御して、調整要素を非作動状態またはオフにさせ得る。
【0013】
本発明による統合調整器の更なる有利な構成では、コンフィギュレーション回路は少なくとも1つのコンフィギュレーション信号の評価をシステム初期化の間に実施し得る。これにより、ソフトウェアプログラミングの場合よりも著しく早く正確な出力信号が提供される。エラー診断を改善するため、コンフィギュレーション回路は検知したコンフィギュレーション(調整要素を非作動状態またはオフにさせる、または、調整要素を起動または動作可能にさせる)をロックし、ステータスメモリにファイルすることができる。検知したコンフィギュレーションをロックすることにより、作動中に生じたエラーによってコンフィギュレーションの変化が生じ得ることを、たとえばEMV作用によって有利に阻止することができる。
【0014】
本発明による統合調整器の更なる有利な構成では、制御回路はフィードバック信号に依存して調整要素を制御して、所定の値を持つ出力信号を生成させ得る。フィードバック信号は、所定の分圧比を持つ少なくとも1つの統合分圧器によって出力信号から生成させることができるので有利である。
【0015】
図面には、本発明の1実施例が図示され、以下に詳細に説明する。図面では、同一または対応する機能を実施する構成部品または要素には同一の参照符号が付してある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による統合調整器の1実施例を備えた乗員保護手段用制御器の一部分のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
技術水準から知られている統合電圧調整器は、予め固定して設定される種々の出力電圧を生成させる可能性を提供する。従って、多くの電圧調整器の中で、調整すべき出力電圧の点のみ異なっている種々の実施形態が存在するが、各電圧値に対して別個の調整器を使用しなければならない。また、外部分圧器を適合させることによって出力電圧を可変調整できるようにした電圧調整器もある。この場合には、たとえば1.2Vの予め固定して設定される帰還電圧(「フィードバック」電圧)に調整される。このフィードバック電圧は、少なくとも2つの抵抗器を備えた外部分圧器を介して調整器の出力電圧から分割されたものである。この分圧器のバリエーションによって、フィードバック電圧よりも常に大きな調整器の出力電圧を調整することができる。この場合、既存の可変回路は非常にエラーを生じやすいのがほとんどである。外部分圧器抵抗器の1つに個別エラーが生じると、ダイレクトに間違った出力電圧、場合によっては有害な出力電圧を生じさせるかもしれない。エラーの検知はほとんどの場合困難である。というのは、調整器自体が、不正確な過大または過小な抵抗値と意識的に選定された過大または過小な抵抗値との間の区別をできないからである。
【0018】
唯一の図からわかるように、本発明による統合調整器10の図示した実施例は、車両の乗員保護手段のための電圧調整器として実施されており、入力信号V
inを所定の値を持つ出力信号V
outに変換する調整要素Tと、該調整要素Tをフィードバック信号V
FBに依存して制御することで、所定の値を持つ出力信号V
outを生成させる制御回路12とを含んでいる。本発明によれば、少なくとも1つのコンフィギュレーション信号CFを受信して評価し、この評価に依存して調整要素Tを非作動状態またはオフにするコンフィギュレーション回路14が設けられている。
【0019】
唯一の図からさらにわかるように、統合分圧器18は、所定の分圧比R1/R2を有する2つの抵抗器R1,R2,R21でもって、出力信号V
outからフィードバック信号V
FBを生成させる。
【0020】
唯一の図からさらにわかるように、図示した実施例では、統合調整器10は、ASIC素子(ASIC:Anwendungsspezifische Integrierte Schaltung : 特定用途向けIC)として実施され、乗員保護手段用制御器1内の調整装置3の一部分である。図示した実施例では、統合調整器10は、コンフィギュレーションピンK1と、入力信号V
inが印加される入力ピンと、出力信号V
outを出力するための出力ピンとを含み、該出力ピンには外部配線部5が設けられ、該外部配線部は、図示した実施例では容量Cを含んでいる。これに加えて、または、これとは択一的に、外部配線部5は、たとえばインダクタンス、オーム抵抗器、またはダイオードのような別の外部部品または更なる外部部品を有していてよい。しかし、これとは択一的に、本発明による調整器10は乗員保護システムの制御器1のシステムASIC素子(ASIC:Anwendungsspezifische Integrierte Schaltung : 特定用途向けIC)に統合されていてもよい。
【0021】
電圧調整器として実施されている本発明による調整器10は、調整要素Tを非作動またはオフにさせる可能性、或いは、調整要素Tを起動または動作可能にさせる可能性を提供する。所望のコンフィギュレーションの選択は、コンフィギュレーションピンK1を介して行う。コンフィギュレーションピンK1のステータスは、コンフィギュレーションピンK1をアースに外部短絡することによって実現されるロジックローレベル(L)であるか、或いは、コンフィギュレーションピンK1を開くことによって実現されるロジックハイレベル(H)のいずれかである。図示した実施例では、統合調整器10の内部に配置されているプルアップ回路11が開いたままになっているコンフィギュレーションピンK1をロジックハイレベル(H)へもたらす。プルアップ回路11はプルアップ抵抗器R
puを含み、プルアップ抵抗器は、接続部でもって対応するコンフィギュレーションピンK1と接続されているとともに、他の接続部でもってプルアップ電圧V
puと接続され、プルアップ電圧のレベルはロジックハイレベル(H)に略相当している。コンフィギュレーションピンK1のレベルは、コンフィギュレーション信号CFとしてコンフィギュレーション回路14によって読み取られて評価される。その際ステータスの検知は、たとえばコンフィギュレーション信号CFを参照電圧V
refと比較する電圧比較器14.1を用いて行う。図示した実施例では、調整要素Tを非作動状態またはオフにするためにロジックローレベル(L)を使用し、調整要素Tを起動または動作可能にするためにロジックハイレベル(H)を使用する。
【0022】
検知したロジックローレベル(L)は、非作動状態の場合に調整トランジスタTを持続的に遮断または非作動状態にさせるために利用する。これは、図示した実施例では、コンフィギュレーション回路14内に配置された切換え要素T
offによって達成され、該切換え要素は好ましくは電界効果トランジスタとして実施され、インバータ14.2を介して比較器14.1によって制御される。切換え要素T
offは、好ましくは電界効果トランジスタとして実施されている調整要素Tの制御入力部をアースへ短絡させ、その結果調整要素Tは持続的に非作動状態になる。これによって、作動中に統合調整器10の安定化および機能のために必要な外部配線部5を省略することができる。図示したリニアレギュレータ10の場合、外部配線部5として容量Cのみが必要である。DC/DC切換えコンバータのような、図示していない択一的実施例の場合には、これに加えて、または、これとは択一的に、インダクタンス、オーム抵抗器、およびダイオードも必要な場合がある。検知した統合調整器10の現時点でのコンフィギュレーションは、適当な記憶手段16にファイルすることができ、該記憶手段は、図示した実施例では、調整器10内に統合されている。これとは択一的に、記憶手段16を調整器10の外側に位置するように制御器1内に配置してもよい。
【0023】
制御器1内では、非作動状態になっている調整器10の出力信号V
outの監視の停止が行なわれ、その結果非作動状態になっている調整器10の出力電圧V
outは、リセット信号の生成時にはもはや考慮されない。その後、記憶したコンフィギューションをソフトウェアの照会処理によって読み出すことができ、その際エラーが検知されればこれを表示させることができる。コンフィギュレーションピンK1でのコンフィギュレーション信号CFの評価と、これに関連した調整要素Tの起動または非作動とは、頑強性の理由から、本発明による統合調整器10の内部の論理回路が十分給電されたときにして、システム全体がリセット信号によって開放される前に、システムの初期化段階の開始時に行なう。コンフィギュレーションピンK1でのコンフィギュレーション信号CFの最初の読み込みの後、検知したコンフィギュレーションをロックし、その結果ピンステータスがさらに変化しても調整器10へ影響しない。従って、制御器1の正常作動時には、たとえばEMV作用による調整要素Tの望ましくない起動または非作動が生じることはありえない。さらに、検知したコンフィギュレーションピンのステータスは、好ましくはレジスタとして実施される記憶手段16に記憶される。記憶手段16は、その後作動中にたとえばソフトウェアの照会処理によって読み取られ得る。これによって、間違って検知したステータスを認定することができ、エラー表示を行うことができる。
【0024】
本発明による統合調整器の図示していない択一的実施形態では、コンフィギュレーションピンでの検知閾値と電圧供給態様とを、図示した実施例とは異なるように実施することができる。本発明による統合調整器の図示した実施例は、内部プルアップ電圧を持つ統合されたプルアップ回路を利用している。これとは択一的に、外部プルアップ回路を設けてもよく、すなわち統合調整器の外側に配置されるプルアップ回路を設けてもよく、対応する外部プルアップ電圧は開いたコンフィギュレーションピンにハイレベル(H)を生成させるために使用することができる。同様に、異なる論理状態を検知するための異なる電圧レベルも可能であり、たとえばアースGNDへの接続、または、たとえば5.0V,3.3V等のような異なる電圧ポテンシャルへの接続も可能である。同様のことは、ロジックハイレベルおよびロジックローレベルに加えてさらに中間レベルを付加的な電圧比較器を用いて検出できる場合に適用される。本発明による統合調整器の実施形態は、たとえばリニアレギュレータまたはDC/DC切換えコンバータとして実施することができる。
【0025】
乗員保護システムのシステムASIC内または制御器内には、任意の数量の多数の調整器をオフ可能に実施してよい。
【符号の説明】
【0026】
1 制御器
3 調整装置
10 統合調整器
11 プルアップ回路
12 制御回路
14 コンフィギュレーション回路
14.1 電圧比較器
16 記憶手段(ステータスメモリ)
CF コンフィギュレーション信号
H ロジックハイレベル(第2のロジックシグナルレベル)
K1 コンフィギュレーションピン(接続ピン)
L ロジックローレベル(第1のロジックシグナルレベル)
T 調整要素
T
off 切換えトランジスタ(切換え要素)
V
FB フィードバック信号
V
in 入力信号
V
out 出力信号
V
ref 参照電圧