(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6022093
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
A45D34/04 525Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-7740(P2016-7740)
(22)【出願日】2016年1月19日
【審査請求日】2016年3月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510300762
【氏名又は名称】ウイントレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−080277(JP,A)
【文献】
特公昭47−047410(JP,B1)
【文献】
特開昭59−000016(JP,A)
【文献】
特開2001−080269(JP,A)
【文献】
特開2001−180179(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/123416(WO,A1)
【文献】
実開平04−033592(JP,U)
【文献】
特開2014−024284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に収納される芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する液状塗布材吸収体と、
前記ボディ内において前記塗布部材の後端側につき、穿設された貫挿孔を貫挿させて保持すると共に、該後端側を、貯留部側へ露出させてなり、前記貫挿孔の形状は、前記液状塗布材の粘性や材質に対応して、前記貫挿孔と貫挿する塗布部材との間の隙間の幅が調整でき、液状塗布材吸収体側に浸潤する液状塗布材の量を調整できる四角状あるいは六角形状などの異なった形状にしてなるプラグと、
前記ボディの長手方向いずれの箇所にも取り付け可能とされ、前記貯留部の領域を変更できる止栓と、を備え、
前記貯留部は、前記止栓の取り付け位置の変更により液状塗布材の貯留領域が増減可能に構成され、前記液状塗布材吸収体は、前記塗布部材につき、前記プラグの取り付け位置より先端側に取り付けられ、前記液状塗布材の含浸量を増減可能にすべく、切断によって長さや大きさを変更可能に構成され、
粘性や材質の異なる前記液状塗布材が複数種類存在する場合や前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量が異なる場合にあって、同じ形状で同じ大きさの塗布具で前記複数種類存在する液状塗布材や前記貯留量の異なる場合に対応できる、
ことを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記芯状をなす塗布部材は、繊維部材で構成され、前記液状塗布材が毛細管現象により含浸できるよう構成された、
ことを特徴とする請求項1記載の塗布具。
【請求項3】
前記貯留部内には、撹拌用のボールが設けられた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアイライナーやアイブローのような化粧用具、あるいは頭髪や眉毛などの部分白髪染め具など内部に貯留した液状塗布材を塗布部に浸潤させ、これを先端塗布部より塗布あるいは描画して使用する塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アイライナーなど内部に液状塗布材を貯留し、これを繊維部材などからなる芯材により構成された塗布部材により吸収、浸潤させて、該塗布部材の先端塗布部によって塗布あるいは描画する塗布具が一般に知られている(
図4参照)。
【0003】
これら塗布具については、内部に貯留されている液状塗布材のバルク出量調整をするため、通常、前記芯材を覆う
液状塗布材吸収体7が設けられており、この
液状塗布材吸収体7により、芯材に送出される液状塗布材6の出量を調整するものとしていた。
【0004】
従来は、
図4に示す様に、この
液状塗布材吸収体7は一般的に外周面を蛇腹状の凹凸面に形成した樹脂成形品によって作製されており、その設計には多くの調整が必要で、また高額な金型費用が必要とされていた。
また、内部に液状塗布材を貯留する貯留部12の領域も確定していて、この領域を変更できる構成にはなっていなかった(
図4参照)。
【0005】
ところで、前記液状塗布材6は、使用の態様によって、その粘性や材質が多数異なっており、また前記貯留部12に貯留させる液状塗布材6の貯留量も様々異なるものである。
【0006】
よって、上記のように、複数種類存在する液状塗布材6に対応させ、しかもその貯留量の異なる場合も含めて同じ形状で同じ大きさの構造をなす塗布具や内部の
液状塗布材吸収体7を使用することは困難なこととされていた。
【0007】
すなわち、長さなどを変更した樹脂成形品からなる
液状塗布材吸収体7を別々に作製することは、高額な金型費用を必要とし、また、前記貯留量を変更するには塗布具の大きさそのものを変更しなければならないとの課題があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−48678号公報
【特許文献2】特開2013−102910号公報
【特許文献3】特開2004−344858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かくして、本発明による塗布具は、前記従来の課題を解決するために創案されたものであって、内部に貯留させる液状塗布材につき、その粘性や材質の異なるものが複数種類存在し、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものであったとしても、この複数種類存在する液状塗布材に対応でき、しかもその貯留量の異なる場合も含めて同じ形状で同じ大きさの塗布具で対応できる塗布具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による塗布具は、
略円筒状をなすボディと、該ボディ内に収納される
芯状をなす塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する液状塗布材吸収体と、
前記ボディ内において前記塗布部材の後端側につき、穿設された貫挿孔を貫挿させて保持すると共に、該後端側を、貯留部側へ露出させてなり、前記貫挿孔の形状は、前記液状塗布材の粘性や材質に対応して、前記貫挿孔と貫挿する塗布部材との間の隙間の幅が調整でき、液状塗布材吸収体側に浸潤する液状塗布材の量を調整できる四角状あるいは六角形状などの異なった形状にしてなるプラグと、
前記ボディの長手方向いずれの箇所にも取り付け可能とされ、前記貯留部の領域を変更できる止栓と、を備え、
前記貯留部は、前記止栓の取り付け位置の変更により液状塗布材の貯留領域が増減可能に構成され、前記液状塗布材吸収体は、前記塗布部材につき、前記プラグの取り付け位置より先端側に取り付けられ、前記液状塗布材の含浸量を増減可能にすべく、切断によって長さや大きさを変更可能に構成され、
粘性や材質の異なる前記液状塗布材が複数種類存在する場合や前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量が異なる場合にあって、同じ形状で同じ大きさの塗布具で前記複数種類存在する液状塗布材や前記貯留量の異なる場合に対応できる、
ことを特徴とし、
または、
前記芯状をなす塗布部材は、繊維部材で構成され、前記液状塗布材が毛細管現象により含浸できるよう構成された、
ことを特徴とし、
または、
前記貯留部内には、撹拌用のボールが設けられた、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明による塗布具であれば、内部に貯留させる液状塗布材につき、その粘性や材質の異なるものが複数種類存在し、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものであったとしても、この複数種類存在する液状塗布材に対応でき、しかもその貯留量の異なる場合も含めて同じ形状で同じ大きさの塗布具で対応できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による塗布具の構成を説明する説明図である。
【
図2】他の実施例による塗布具の構成を説明する説明図である。
【
図4】従来の塗布具の構成を説明する説明図である。
【
図5】従来の
液状塗布材吸収体の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明による塗布具1の構成を示す構成説明図である。本発明による塗布具1は、略円筒状をなすボディ2を有している。また、キャップ3及びインナーキャップ4を有している。
【0015】
ボディ2内には芯状をなす塗布部材5が保持されている。当該塗布部材5は通常繊維部材で構成され、後述する液状塗布材6が毛細管現象などによって徐々に含浸できるように構成されている。
【0016】
符号7は、
液状塗布材吸収体を示す。
図1から理解出来る様に、当該
液状塗布材吸収体7は、外周面に何らの凹凸形状も施さない円柱状に構成され、その軸方向中心部には、軸方向に向かって伸びる貫通孔8が設けられている。
【0017】
そして、この貫通孔8に前記塗布部材5が貫挿して取り付けられている。従来この
液状塗布材吸収体7は、
図4、
図5に示すように、外周が蛇腹状の凹凸面として構成された樹脂成形品で作製されていたが、前記したように、金型費用が高額であり、そのため複数種類の形態をなす異なった
液状塗布材吸収体7を作製すると塗布具自体のコストが高価となってしまうとの課題がある。
【0018】
しかして、本発明の
液状塗布材吸収体7はポリウレタンなどの含浸力を有する柔軟部材で構成されており、その大きさや長さを簡単に切断することにより変更できるものとなっている。
【0019】
符号9はノーズピースであり、前記芯状をなす塗布部材5の先端側を保持して、ボディ2の先端部に固着している。尚、前記塗布部材5の先端側は描画部材10が被嵌して取り付けられており、該描画部材10により含浸した液状塗布材6を使って、描画あるいは塗布するように構成されている。
【0020】
次に、符号11は、プラグであり、ボディ2内において塗布部材5の後端側を貫挿させて保持すると共に、その後端部を隣に形成された貯留部12側へ露出させている。尚、
図3から理解されるように、プラグ11は前述のように、塗布部材5の後端側につき、貫挿孔16内を貫挿させて塗布部材5を保持しているが、この貫挿孔16の形状は四角状あるいは六角形状など異なった形状にしてある。これは液状塗布材6の粘性や材質に対応して貫挿孔16とこれを貫挿する塗布部材5との間の隙間の幅を調整し、
液状塗布材吸収体7側に浸潤する液状塗布材6の量を調整しようとしたものである。ここで、前記貯留部12には液状塗布材6が貯留されるものとなる。
【0021】
また、符号13は、前記貯留部12を形成するための止栓を示す。しかして、該止栓13はボディ2の長手方向においていずれの箇所にも取り付け可能とされており、もって、貯留部12の領域は簡単に変更できるものとなっている。
【0022】
符号14はボールであり、貯留部12に液状塗布材6を貯留した後、当該ボール14を該貯留部12に入れることにより、液状塗布材6の塗布部材5への含浸を促進でき、最後まで無駄なく液状塗布材6を使用できるものとなっている。尚、ボールを有しないタイプの塗布具1も存在する。
【0023】
以上において、塗布具1の組立につき説明すると、まず、ボディ2内に先端側にノーズピース9を介して描画部材10が取り付けられ、後端側には、所望の長さにカットされた
液状塗布材吸収体7とプラグ11が取り付けられた芯状の塗布部材5を取り付けられる。
【0024】
その後、ボディ2の後端開口15から液状塗布材6を、所望の領域空間とした貯留部12内に充填し、止栓13により蓋をして液状塗布材6を貯留部12内に貯留する。その後、尾栓17でボディ2の後端に蓋をして組立は終了する。
【符号の説明】
【0025】
1 塗布具
2 ボディ
3 キャップ
4 インナーキャップ
5 塗布部材
6 液状塗布材
7
液状塗布材吸収体
8 貫通孔
9 ノーズピース
10 描画部材
11 プラグ
12 貯留部
13 止栓
14 ボール
15 後端開口
16 貫挿孔
17 尾栓
【要約】
【課題】本発明による塗布具は、従来の課題を解決するために創案されたものであって、内部に貯留させる液状塗布材につき、その粘性や材質の異なるものが複数種類存在し、また前記貯留部に貯留させる液状塗布材の貯留量も様々異なるものであったとしても、この複数種類存在する液状塗布材に対応でき、しかもその貯留量の異なる場合も含めて同じ形状で同じ大きさの塗布具で対応できる塗布具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は略円筒状をなすボディと、該ボディ内に収納される塗布部材と、塗布部材に含浸する液状塗布材を貯留する貯留部と、前記塗布部材への液状塗布材の含浸量を調整する液状塗布材吸収体とを備え、前記貯留部は液状塗布材の貯留領域が増減可能に構成されたことを特徴とする。
【選択図】
図1