(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6022095
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】追い炊き用配管の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20161027BHJP
B08B 9/032 20060101ALI20161027BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
F24H1/00 602L
B08B9/032 323
B08B9/032 325
B08B3/08
F24H1/00 602M
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-22317(P2016-22317)
(22)【出願日】2016年2月9日
【審査請求日】2016年2月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507308887
【氏名又は名称】株式会社イースト
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】植田 文夫
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−054175(JP,A)
【文献】
特開2004−257604(JP,A)
【文献】
特開2002−102811(JP,A)
【文献】
特開平10−080610(JP,A)
【文献】
特開2011−112293(JP,A)
【文献】
特開昭64−022390(JP,A)
【文献】
特開昭60−082181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
B08B 3/08
B08B 9/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と浴槽とを接続する追い炊き用の配管の洗浄方法であって、
前記追い炊き用の配管を、前記給湯器に対する接続部位で接続解除する第1ステップと、
前記第1ステップ後に、追い炊き用の配管のうち前記給湯器から接続解除された部位に対して洗浄用配管を接続する第2ステップと、
前記第2ステップ後に、前記洗浄用配管を介して前記追い炊き用配管内に洗浄液を供給して、該追い炊き用配管内を洗浄する第3ステップと、
前記第3ステップ後に、洗浄後の前記追い炊き用配管に対する前記洗浄用配管の接続を解除する第4ステップと、
前記第4ステップ後に、前記追い炊き用配管を再び前記給湯器に接続する第5ステップと、
を備え、
前記第3ステップでの洗浄が、洗剤を含む洗浄水による洗浄を行った後、オゾンを含む洗浄水による洗浄によって行われ、
前記第3ステップでの洗浄が、前記浴槽内にあらかじめ水を貯溜しておいた状態で行われて、洗浄により前記追い炊き用配管内から該浴槽内に排出される洗浄液および汚物を該浴槽内に一時的に貯溜しておき、
前記追い炊き用配管の洗浄終了後に、前記浴槽の排出口を開いて、該浴槽内に貯溜されていた前記汚物を含む液体を該浴槽外へ排出する、
ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管とをそれぞれ前記給湯器に対する接続部位で接続解除し、
前記第5ステップでは、それぞれ洗浄後の前記送り側配管と前記戻り側配管とを前記給湯器に接続する、
ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第3ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管とのうちいずれか一方の配管の洗浄を先に行った後に、他方の配管の洗浄を行う、ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記第3ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管との両方に対して同時に洗浄を行う、ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第3ステップでの洗浄が、洗浄水のみにより洗浄を行う第1の洗浄と、第1の洗浄後にオゾンを含む洗浄水による洗浄を行う第2の洗浄と、第2洗浄後に洗剤を含む洗浄水による洗浄を行う第3の洗浄と、第3の洗浄後にオゾンを含む洗浄水による洗浄を行う第4の洗浄と、によって行われる、ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記第3ステップでの洗浄が、洗浄液を0.3MPa以下の圧力でもって前記追い炊き用配管内に圧送することにより行われる、ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【請求項7】
請求項3において
前記第3ステップでの洗浄が、複数工程で行われるようにされ、
前記第3ステップでの洗浄が、前記戻り側配管と送り側配管とのいずれか一方の配管について前記複数工程での洗浄を行った後、他方の配管について該複数工程での洗浄を行う、
ことを特徴とする追い炊き用配管の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追い炊き用配管の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽の追い炊きのために、追い炊き機能を有する給湯器と浴槽とが追い炊き用配管によって接続される。この追い炊き用配管は、浴槽内の湯水を給湯器へ流すための送り側配管と、給湯器からの加温された湯水を浴槽へ向けて流すための戻り側配管との2本の配管によって構成される。
【0003】
追い炊き用配管は、場合によっては10m程度と相当に長くされると共に、その内径は10mm程度とかなり細径とされている。このため、長期の使用によって、汚物が追い炊き用配管の内壁に付着して、湯水の流れを少なからず阻害することになる。また、追い炊きを行った際に、追い炊き用配管の内壁に付着していた汚物が一部剥離して、剥離した汚物が浴槽内へと流れ込んで、入浴者に対して不快感を与えてしまうこともある。そして、追い炊き用配管の内壁への汚物付着は、浴槽内に各種の入浴剤が混入されることが多くなっていることから、より促進される傾向にある。
【0004】
このため、追い炊き用配管を洗浄すること、つまり追い炊き用配管の内壁に付着した汚物を除去することが望まれる。このため、特許文献1には、浴槽内に貯溜した清浄な湯水を、ポンプによって戻り側配管を介して給湯器に向けて圧送して、給湯器(の内部配管)を通過した湯水を送り側配管から浴槽へと戻す、といういうように、浴槽と給湯器との間での循環回路をそのまま利用した洗浄を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−106643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように、2本の配管からなる追い炊き用配管を介して構成される浴槽と給湯器との間での循環回路をそのまま利用して洗浄を行うことは、洗浄水の供給を容易に行うという点では好ましいものである。
【0007】
しかしながら、浴槽と給湯器との間に構成される追い炊き用の循環回路を構成したまま洗浄するのは、給湯器を損傷させる大きな原因となり、好ましくないものである。すなわち、給湯器内には、通常、追い炊き用に湯水を循環させるためのポンプエンペラや流量計が装備されているが、洗浄水からの大きな圧力を受けて、ポンプエンペラや流量計を損傷させてしまいやすいものとなる.特に、給湯器内の洗浄水の通過をスムーズに行うために、給湯器を運転しながら行うことも考えられるが、この場合は、ポンプが想定している回転数よりも過回転となり、ポンプ損傷ばかりでなく、ポンプを制御する制御系の部品(例えばインバータ)をも損傷させてしまうことがある。このように、洗浄によって給湯器内部の部品が損傷されると、事実上給湯器そのものを交換せざるを得ないものである。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、給湯器になんら悪影響を与えることなく、追い炊き用配管を洗浄できるようにした追い炊き用配管の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
給湯器と浴槽とを接続する追い炊き用の配管の洗浄方法であって、
前記追い炊き用の配管を、前記給湯器に対する接続部位で接続解除する第1ステップと、
前記第1ステップ後に、追い炊き用の配管のうち前記給湯器から接続解除された部位に対して洗浄用配管を接続する第2ステップと、
前記第2ステップ後に、前記洗浄用配管を介して前記追い炊き用配管内に洗浄液を供給して、該追い炊き用配管内を洗浄する第3ステップと、
前記第3ステップ後に、洗浄後の前記追い炊き用配管に対する前記洗浄用配管の接続を解除する第4ステップと、
前記第4ステップ後に、前記追い炊き用配管を再び前記給湯器に接続する第5ステップと、
を備
え、
前記第3ステップでの洗浄が、洗剤を含む洗浄水による洗浄を行った後、オゾンを含む洗浄水による洗浄によって行われ、
前記第3ステップでの洗浄が、前記浴槽内にあらかじめ水を貯溜しておいた状態で行われて、洗浄により前記追い炊き用配管内から該浴槽内に排出される洗浄液および汚物を該浴槽内に一時的に貯溜しておき、
前記追い炊き用配管の洗浄終了後に、前記浴槽の排出口を開いて、該浴槽内に貯溜されていた前記汚物を含む液体を該浴槽外へ排出する、
ようにしてある。
【0010】
上記解決手法によれば、給湯器が追い炊き用配管から切り離された状態でもって、追い炊き用配管の洗浄を行うので、洗浄によって給湯器が悪影響を受けてしまうことを完全に防止することができる。また、洗浄液の追い炊き用配管内での流れは、浴槽内へと向かう一方向の流れのみとなるので、追い炊き用配管から排出される汚物が再び追い炊き用配管内に戻ってしまうということもなく、追い炊き用配管を効果的に洗浄する上で好ましいものとなる。さらに、追い炊き用配管から排出される洗浄液や汚物は、浴槽内に排出されるため、洗浄の状況や洗浄効果を目視によって確認することができる。
以上に加えて、追い炊き用配管の洗浄を十分に行う上で好ましいものとなり、特に、洗剤洗浄による高い洗浄効果を得ることができ、その後のオゾン洗浄によって追い炊き用配管内に残存する洗剤を十分に除去しつつ除菌、消臭を行うことができる。さらに、洗浄液や汚物を排出を容易に行う上で好ましいものとなり、特に、洗浄液や汚物が、あらかじめ浴槽に貯溜されていた水によって薄められるので、浴槽の排出口からの排出をスムーズに行うことができる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記第1ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管とをそれぞれ前記給湯器に対する接続部位で接続解除し、
前記第5ステップでは、それぞれ洗浄後の前記送り側配管と前記戻り側配管とを前記給湯器に接続する、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、送り側配管と戻り側配管とをそれぞれ、給湯器に対する接続および接続解除を同時期にまとめて行うようにして、作業を効率的に行う上で好ましいものとなる。
【0012】
前記第3ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管とのうちいずれか一方の配管の洗浄を先に行った後に、他方の配管の洗浄を行う、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、送り側配管と戻り側配管との洗浄状況や洗浄効果を、各配管毎に個別に確認することができ、各配管を十分に洗浄する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記第3ステップでは、前記追い炊き用配管を構成する送り側配管と戻り側配管との両方に対して同時に洗浄を行う、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、洗浄作業を効率的に行う上で好ましいものとなる。
【0014】
【0015】
前記第3ステップでの洗浄が、洗浄水のみにより洗浄を行う第1の洗浄と、第1の洗浄後にオゾンを含む洗浄水による洗浄を行う第2の洗浄と、第2洗浄後に洗剤を含む洗浄水による洗浄を行う第3の洗浄と、第3の洗浄後にオゾンを含む洗浄水による洗浄を行う第4の洗浄と、によって行われる、ようにしてある(請求項
5対応)。この場合、請求項5に対応した効果を得つつ、より十分に洗浄を行うことができる。
【0016】
【0017】
前記第3ステップでの洗浄が、洗浄液を0.3MPa以下の圧力でもって前記追い炊き用配管内に圧送することにより行われる、ようにしてある(請求項
6対応)。この場合、洗浄液の圧送による洗浄効果の向上と、圧送圧力による追い炊き用配管の損傷やシール漏れの防止とを共に満足させることことができる。
【0018】
前記第3ステップでの洗浄が、複数工程で行われるようにされ、
前記第3ステップでの洗浄が、前記戻り側配管と送り側配管とのいずれか一方の配管について前記複数工程での洗浄を行った後、他方の配管について該複数工程での洗浄を行う、
ようにしてある(請求項
7対応)。この場合、各配管について複数工程での洗浄を行ったのち、他方の配管について複数工程での洗浄を行うので、請求項3に対応した効果を十分に得る上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、給湯器になんら悪影響を与えることなく、追い炊き用配管を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】浴槽と給湯器とを追い炊き用配管によって接続した状態を示す系統図。
【
図2】追い炊き用配管と洗浄装置との接続関係を示す系統図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、1は浴槽、2は追い炊き機能を有する給湯器である。浴槽1と給湯器2とは、追い炊き用配管11、12を介して接続されている。配管11は送り側配管であり、配管12は戻り側配管である。すなわち、浴槽1内に湯水が所定水位以上存在する場合に、給湯器2の追い炊き用の運転を行うことにより、浴槽1内の湯水が送り側配管11から給湯器2へと吸い込まれて、吸い込まれた湯水は給湯器2内の加熱器で加熱された後、戻り側配管12から浴槽1へと戻ることになる。
【0022】
図1中、浴槽1の排出口が符号1aで示され、この排出口1aを施蓋する栓体が符号1bで示される。なお、排出口1aからの湯水は、排出用配管3を介して外部へと排出される。また、
図1において、浴槽1内に貯溜されている湯水が符号4で示されるが、
図1では、後述する配管11、12の洗浄のために水位が低いものとされている(配管11、12の浴槽1内への開口部位と同じ程度か若干低い水位)。
【0023】
給湯器2と追い炊き用配管11、12とは、接続部位21、22を介して着脱自在に接続されている。すなわち、接続部位21においては、給湯器2に設定された例えば雄ねじ部からなる接続部21Aと、送り側配管11の端部に設けた例えば雌ねじ部からなる接続部21Bとによって構成されて、この接続部21Aと21Bとが着脱自在に接続されている。
【0024】
同様に、接続部位22においては、給湯器2に設定された例えば雄ねじ部からなる接続部22Aと、戻り側配管12の端部に設けた例えば雌ねじ部からなる接続部22Bとによって構成されて、この接続部22Aと22Bとが着脱自在に接続されている。配管11、12を洗浄する際には、上記接続部位21、22での接続が解除される。
【0025】
図1、
図2において、Kは洗浄装置を示す。
図2に示すように、接続解除された各配管11、12の接続部21B、22Bに対して、洗浄装置Kにおける洗浄用配管30のうち、2本に分岐された分岐配管31あるいは32が着脱自在に接続される。すなわち、分岐配管31の先端部には、送り側配管11における接続部21Bに着脱自在に接続される接続部31Aが構成されている(給湯器2の接続部21Aに対応)。同様に、分岐配管32の先端部には、戻り側配管12における接続部22Bに着脱自在に接続される接続部32Aが構成されている(給湯器2の接続部22Aに対応)。
【0026】
図2において、洗浄用配管30は、2本の分岐配管31、32の上流側で合流する1本の共通配管33を有する。そして、分岐配管31、32と共通配管33との分岐部に、切替弁34が配設されている。この切換弁34の切換により、共通配管33が、分岐配管31または32のいずれか一方のみに選択的に接続されるようになっている。
【0027】
上記共通配管33には、ポンプ41が接続される。ポンプ41は、洗浄タンク42内の洗浄水を吸気弁34側に向けて供給(圧送)するためのものとなっている。洗浄タンク42は、その内部の洗浄水をポンプ41に供給、供給停止するための開閉弁42aを有している。
【0028】
共通配管33には、接続配管43を介してオゾンを貯溜したタンク44が接続され、接続配管43には開度調整式の開閉弁45が接続されている。共通配管30内の洗浄水のオゾン濃度が、濃度計46によって計測、表示されるようになっている。
【0029】
共通配管33には、接続配管43よりも下流側において、接続配管47を介して洗剤を貯溜したタンク48が接続されている。この接続配管47には、開度調整式の開閉弁49が接続されている。なお、洗剤としては、配管洗浄に従来から用いられているものと同じものを使用できる。さらに、共通配管33には、圧送される洗浄液の圧力を計測、表示する圧力計50が接続されている。
【0030】
上記各種機器類は、ケース60内に配設される。ただし、各弁34、42a、45、49はケース60の外部から操作可能とされ、また濃度表示計46や圧力計50の表示面はケース60の外部から目視可能とされている。なお、ポンプ41の運転等の制御を行う操作部(図示略)もケース60の外部から操作可能となっている。このように、ケース60は、その内部の機器類や外部に延びる洗浄用配管30と共に、洗浄装置Kとしてコンパクトに構成されて、容易に搬送できるようにされている(例えば車輪付き)。
【0031】
次に、本発明による洗浄方法について、
図3の工程図をも参照しつつ説明する。まず、工程SBにおいて、浴槽1内に水4が低水位でもって貯溜される(
図1参照)。次に、工程S1において、2本の配管11、12と給湯器2とが、接続部位21、22でもって接続解除される。
【0032】
工程S2では、給湯器2から接続解除された2本の配管11、12に対して、
図2に示すように、洗浄配管30(の分岐配管31、32)が接続される。すなわち、送り側配管11の接続部21Bに対して、分岐配管31の接続部31Aが接続される。また、戻り側配管12の接続部22Bに対して、分岐配管32の接続部32Aが接続される。
【0033】
工程S3では、後述するように、追い炊き用配管11、12内に洗浄液が供給されてその洗浄が行われるが、洗浄後の洗浄液や洗浄に伴なって除去された汚物は、浴槽1内に貯溜されることになる。
【0034】
洗浄は、次のようにして行われる。まず、切換弁34を操作して、送り側配管11と戻り側配管12とのいずれか一方を、共通配管33と接続する。
【0035】
以下の説明では、送り側配管11を洗浄する場合について説明する。開閉弁42aを開いた状態でポンプ41を運転して、まず洗浄水のみが送り側配管11内に供給(圧送)されて、その内壁面が十分に洗浄水によって濡れた状態とされる(第1洗浄)。この後、開閉弁45を開いて、洗浄水にオゾンを溶け込ませたオゾン洗浄が行われる(第2洗浄)。この後、開閉弁45を閉弁する一方開閉弁49を開いて、洗浄水に洗剤を溶け込ませた洗剤洗浄が行われる(第3洗浄)。洗剤洗浄を行った際は、浴槽内には、泡だった洗浄液が排出される。この後、開閉弁49を閉弁する一方、開閉弁45を開いて、再度オゾン洗浄が行われる(第4洗浄)。このように、実施形態では、送り側配管11の洗浄が、水のみによる洗浄、1回目のオゾン洗浄、洗剤洗浄、2回目のオゾン洗浄というように、合計4回行うようにしてある。
【0036】
送り側配管11をオゾン洗浄する際には、濃度計46で表示される洗浄液のオゾン濃度が所定範囲内となるように、開閉弁49の開度が調整される。また、ポンプ41による洗浄液の圧送圧力が、所定範囲内(実施形態では0.2〜0.3MPa)となるようにポンプ41の運転が制御される。洗浄液の圧送圧力は、高いほど洗浄効果が高くて好ましいものであるが、圧力が高すぎると、送り側配管11の損傷やシール漏れを生じることがあるので、0.3MPa以下の圧力とするのが好ましい。また、洗浄効果を向上させるために、0.2MPa以上の圧力とするのが好ましい。
【0037】
送り側配管11の洗浄が終了した後は、切換弁34を操作して、戻り側配管12を共通配管33に接続する。この後は、前述した送り側配管11の洗浄の場合と同様の洗浄が行われる(4工程での洗浄の実行)。なお、戻り側配管12を先に洗浄し、その後送り側配管11を洗浄するようにしてもよい。
【0038】
戻り側配管12の洗浄が終了した後は、
図3の工程S4で示すように、送り側配管11と分岐配管31との接続を解除し、また戻り側配管12と分岐配管32との接続を解除する.この後、工程S5で示すように、送り側配管11の接続部21Bを、給湯器2の接続部21Aと接続し、同様に、戻り側配管12の接続部22Bを、給湯器2の接続部22Aと接続する(
図1の状態に復帰)。
【0039】
最後に、工程S6で示すように、浴槽1の栓体1bを抜いて、浴槽1内に貯溜されていた水と洗浄液と汚物とが混合した混合液を、排出口1aを通して浴槽1の外部へ排出する。浴槽1の底壁面等に残存した汚物は、シャワー等を利用して、排出口1aに向けて流せばよい。
【0040】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。送り側配管11と戻り側配管12との洗浄をそれぞれ同一の複数工程で行う場合に、1つの洗浄工程毎に、一方の配管と他方の配管との洗浄を順次行うようにしてもよい。具体的には、例えば洗浄工程が前述した第1洗浄〜第4洗浄の4工程で構成する場合に、第1洗浄を配管11と12とについて順次行い、第2洗浄を配管11と12とについて順次行い、第3洗浄を配管11と12とについて順次行い、第4洗浄を配管11と12とについて順次行うようにしてもよい。また、上記第1洗浄〜第4洗浄の各洗浄を、2本の配管11と12とについて同時に行うようにしてもよく(第1洗浄を配管11と12とについて同時に行い、第2洗浄を配管11と12とについて同時に行う形態)、この場合切換弁34が不用となる。
【0041】
分岐配管31、32を設けることなく、共通配管33を配管11と12とに選択的に接続して、その洗浄を行うようにしてもよい。この場合、洗浄を複数工程で行う場合は、配管11と12との一方について複数工程での洗浄を行い、その後、他方の配管について複数工程での洗浄を行うのが好ましい。
【0042】
浴槽1内での低水位での水張りは、少なくとも配管11、12に洗浄液を供給する前に行われていればよいものであり、例えば配管11、12を洗浄用配管30に接続した後に行う等、適宜に時期を選択でき
る。浴槽1からの汚物が混入した洗浄液の排出は、配管11、12の洗浄を終了した後であれば、適宜の時期に行うことができ、例えば配管11、12を給湯器2に接続する前に行うこともできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、追い炊き用配管の洗浄方法として好適である。
【符号の説明】
【0044】
1:浴槽
1a:排出口
1b:栓体
2:給湯器
3:排出用配管
4:貯溜水
11:送り側配管(追い炊き用配管)
12:戻り側配管(追い炊き用配管)
21:接続部位
21A:接続部(給湯器側)
21B:接続部(送り側配管側)
22:接続部位
22A:接続部(給湯器側)
22B:接続部(戻り側配管側)
30:洗浄用配管
31:分岐配管
31A:接続部
32:分岐配管
32A:接続部
33:共通配管
34:切換弁
41:ポンプ
42:タンク(洗浄水)
42a:開閉弁
44:タンク(オゾン)
45:開閉弁
46:濃度計(オゾン濃度表示)
48:タンク(洗剤)
49:開閉弁
50:圧力計
60:ケース
K:洗浄装置
【要約】
【課題】給湯器になんら悪影響を与えることなく、追い炊き用配管を洗浄できるようにする。
【解決手段】第1ステップでは、追い炊き用の配管11,12の接続部21B、22Bを、給湯器2の接続部21A、22Aから接続解除する。第2ステップでは、配管11,12の接続部21B、22Bに対して、洗浄用配管30(における分岐配管31,32)の接続部31A、32Aを接続する。第3ステップでは、洗浄用配管30を介して配管11、12内に洗浄液を供給して洗浄する。第4ステップでは、配管11,12の接続部21B、22Bと洗浄用配管30の接続部31A、32Aとの接続を解除する。第5ステップでは、配管11,12の接続部21B、22Bを、再び給湯器2(の接続部21A、22A)に接続する。
【選択図】
図1