特許第6022150号(P6022150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6022150-弦楽器演奏用の指カバー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022150
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】弦楽器演奏用の指カバー
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/16 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   G10D3/16 110
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-223251(P2011-223251)
(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公開番号】特開2013-83776(P2013-83776A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年4月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397043259
【氏名又は名称】株式会社アミューズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】比 嘉 栄 昇
【審査官】 間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5323677(US,A)
【文献】 米国特許第6130374(US,A)
【文献】 米国特許第0566806(US,A)
【文献】 実開昭48−34522(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第2483710(GB,A)
【文献】 登録実用新案第3120261(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3148990(JP,U)
【文献】 実開平1−101522(JP,U)
【文献】 実開昭52−171421(JP,U)
【文献】 実開昭52−148225(JP,U)
【文献】 実開平3−37497(JP,U)
【文献】 実開昭54−177917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の指嵌入部と、
前記指嵌入部に連続すると共に、徐々に先細になっていく先細推移部と、
前記先細推移部の端側を閉じるように前記先細推移部に連続すると共に、略円錐状に尖った先端を有する先端部と、
を備え、
前記指嵌入部と前記先細推移部とは、柔軟な材質からなり、
前記先端部は、硬質の材質からなる
ことを特徴とする弦楽器演奏用の指カバー。
【請求項2】
前記指嵌入部と前記先細推移部とは、一体構造である
ことを特徴とする請求項に記載の弦楽器演奏用の指カバー。
【請求項3】
前記先端部の高さは、前記指嵌入部及び前記先細推移部の合計高さの、3分の1〜10分の1であることを特徴とする請求項1または2に記載の弦楽器演奏用の指カバー。
【請求項4】
前記先端部の高さは、前記指嵌入部及び前記先細推移部の合計高さの、5分の1〜6分の1である
ことを特徴とする請求項に記載の弦楽器演奏用の指カバー。
【請求項5】
前記指嵌入部と前記先細推移部と前記先端部とは、共通の中心軸に対して軸対称である
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の弦楽器演奏用の指カバー。
【請求項6】
前記指嵌入部の底面の中心軸に対して、前記先端部の中心軸がずれている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の弦楽器演奏用の指カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器演奏用の指カバー、特には三線演奏用の指カバー、に関する。
【背景技術】
【0002】
三線は、沖縄文化(琉球文化)を代表する弦楽器として広く知られており、棹(ソー:長細い棒状の部位)と胴(チーガ:太鼓状の部位)とからなる本体に、三本の弦が張設されていて、胴(チーガ)と三本の弦との間に駒(ウマ)が差し込まれた状態で、山羊や水牛の角等からなる爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦がつま弾かれることで、演奏される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の通り、三線は、山羊や水牛の角等からなる爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦がつま弾かれることで、演奏される。爪・撥(チミ・バチ)を用いて弦をつま弾く操作は、爪・撥(チミ・バチ)の端縁を用いて弦をつま弾く操作である。
【0004】
しかしながら、爪・撥(チミ・バチ)の端縁は、通常は直線状ないし弓状であるため、弦に対して「すべり」が生じてしまうことがある。そのような「すべり」が生じると、発音のタイミングがずれて、上手く楽曲を演奏することができない。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、三線を容易に演奏できるような三線演奏用の指カバーを提供することである。また、三線用から発展して、一般の弦楽器に対しても容易に演奏できるような指カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筒状の指嵌入部と、指嵌入部に連続すると共に、徐々に先細になっていく先細推移部と、先細推移部に連続すると共に、略円錐状に尖った先端を有する先端部と、を備えたことを特徴とする弦楽器演奏用の指カバーである。
【0007】
本発明によれば、指嵌入部に演奏者が指を嵌め入れて、先端部の略円錐状に尖った先端によって弦をつま弾くことで、弦楽器を演奏することができる。先端部の先端が略円錐状に尖っていることにより、「線」でなく「点」において弦を捉えることができるため、弦に対する「すべり」の発生を顕著に低減することができ、弦楽器を極めて容易に演奏できる。
【0008】
好ましくは、指嵌入部と先細推移部とは、柔軟な材質からなり、先端部は、硬質の材質からなる。指嵌入部と先細推移部とが柔軟な材質からなることで、装着した感じがソフトでタッチノイズを防止できる一方、先端部が硬質の材質からなることで、弦をしっかりつま弾くことができる。
【0009】
指嵌入部と先細推移部とは、例えば、同一の材質から一体に形成され得る。もっとも、別々に構成されたものが接着等されてもよい。
【0010】
また、好ましくは、先端部の高さは、指嵌入部及び先細推移部の合計高さの、3分の1〜10分の1である。特に好ましくは、先端部の高さは、指嵌入部及び先細推移部の合計高さの、5分の1〜6分の1である。このようなバランスである時に、弦をつま弾く感覚が演奏者により好適に伝わる。
【0011】
また、製造上、指嵌入部と先細推移部と先端部とが、共通の中心軸に対して軸対称であることが好ましい。しかしながら、指嵌入部の底面の中心軸に対して、先端部の中心軸がずれているような態様も、本発明の範囲内のものとして理解されるべきである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指嵌入部に演奏者が指を嵌め入れて、先端部の略円錐状に尖った先端によって弦をつま弾くことで、弦楽器を演奏することができる。先端部の先端が略円錐状に尖っていることにより、「線」でなく「点」において弦を捉えることができるため、弦に対する「すべり」の発生を顕著に低減することができ、弦楽器を極めて容易に演奏できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の指カバーの正面図、断面図及び平面図である。
図2図1の指カバーの使用状態を示す概略図である。
図3】本発明の他の実施の形態の指カバーの正面図、断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る弦楽器演奏用の指カバーの実施の形態を、添付図面に基づいて詳述する。図1(a)は、本発明の一実施の形態の指カバー10の正面図、図1(b)は、図1(a)の指カバー10の断面図、図1(c)は、図1(a)の指カバー10の平面図である。図2は、図1の指カバー10の使用状態を示す概略図である。
【0015】
本実施の形態の弦楽器演奏用の指カバー10は、図1に示すように、筒状の指嵌入部11と、指嵌入部11に連続すると共に徐々に先細になっていく先細推移部12と、先細推移部12に連続すると共に略円錐状に尖った先端を有する先端部13と、を備えており、全体的に弾丸のような形状を呈している。
【0016】
指嵌入部11と先細推移部12とは、柔軟なゴムからなり、先端部13は、硬質のプラスチックからなっている。本実施の形態では、指嵌入部11と先細推移部12とは、同一のゴム材料から一体的に機械加工によって形成されている。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の指嵌入部11は、円筒形状であり、内径が16mm、外径が18mm、高さが7mmとなっている。本実施の形態の先細推移部12は、円錐面よりも外側に凸に膨らんだ曲面形状となっていて、指嵌入部11から滑らかに連続しており、高さは22mmとなっている。本実施の形態の先端部13は、高さが5mmであるが、その内の4mmの部分は先細推移部12に包囲されており、1mmの部分だけが先端として露出している。露出している先端は、略円錐形である。
【0018】
また、図1から明らかなように、指嵌入部11と先細推移部12と先端部13とは、共通の中心軸に対して軸対称となっている。
【0019】
次に、以上のような本実施の形態の作用について説明する。三線のような弦楽器を演奏する際に、演奏者が演奏側の手(例えば右手)の人差し指(親指を含む他の指でもよい)を指嵌入部11に嵌め入れる。そして、図2に示すように、当該指の先端で弦をつま弾くような感覚で、本実施の形態の指カバー10の先端部13によって弦をつま弾くことにより、弦楽器を極めて容易に演奏できる。
【0020】
本実施の形態によれば、先端部13の先端が略円錐状に尖っていることにより、「線」でなく「点」において弦を捉えることができる。このため、弦に対する「すべり」の発生を顕著に低減することができ、三線のような弦楽器を極めて容易に演奏できる。
【0021】
また、本実施の形態によれば、指嵌入部11と先細推移部12とが柔軟なゴムからなるため、装着した感じがソフトでタッチノイズを防止できる一方、先端部13が硬質のプラスチックからなるため、弦をしっかりつま弾くことができ、耐久性も十分である。
【0022】
また、本実施の形態によれば、先端部13の高さが5mmであり、指嵌入部11及び先細推移部12の合計高さは29mmであり、両者の比率は5:29≒1:6である。本件発明者の検討によれば、この比率が、1:5〜1:6の範囲であるとき、弦をつま弾く感覚が演奏者により好適に伝わると言える。この比率が、1:3〜1:10までなら、ある程度はそのような効果を期待できる。
【0023】
なお、略円錐状に尖った先端とは、正確な円錐状に尖った先端の他に、本実施の形態の先細推移部12のように円錐形よりも外側に凸に膨らんだ(円錐形より太った)形状の先端や、逆に、円錐形よりも内側に僅かに凹んだ(円錐形より痩せた)形状の先端をも含む表現である。
【0024】
また、本実施の形態の指カバー10は、指嵌入部11と先細推移部12と先端部13とが、共通の中心軸に対して軸対称となっていた。このような形態は、製造が容易であるために、製造上は好ましい。
【0025】
しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、指嵌入部11’の底面の中心軸に対して、先端部13’の中心軸がずれていてもよい。そのような形態の一例を図3に示す。図3(a)は、そのような実施の形態の指カバー10’の正面図、図3(b)は、図3(a)の指カバー10’の断面図、図3(c)は、図3(a)の指カバー10’の平面図である。
【0026】
このような実施の形態によっても、先端部13’の先端が略円錐状に尖っていることにより、「線」でなく「点」において弦を捉えることができるため、弦に対する「すべり」の発生を顕著に低減することができ、三線のような弦楽器を極めて容易に演奏できる。
【0027】
また、このような実施の形態によれば、嵌め入れた指(例えば人差し指)に対して指カバー10’を回転させることによって、先端部13’の先端の位置を当該指に対して可変にできる。これにより、例えば演奏者の好みに応じて先端部13’の先端の位置を決めることができる。
【0028】
先端部13、13’の材質は、硬質プラスチックの他に、アクリル、黒檀、べっ甲、シリコン等、種々の材質が採用され得る。
【0029】
先端部13、13’のみが、先細推移部12、12’に対して、例えば嵌合式あるいはネジ式に取外可能に構成されることも可能である。その場合、各種の素材の先端部13、13’をオプションとして用意しておくことで、先端部の材質毎の音色の変化を楽しむこともできる。
【符号の説明】
【0030】
10、10’ 指カバー
11、11’ 指嵌入部
12、12’ 先細推移部
13、13’ 先端部
図1
図2
図3