特許第6022182号(P6022182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソンコントロールズ ヒタチ エア コンディショニング テクノロジー(ホンコン)リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6022182-空気調和装置 図000002
  • 特許6022182-空気調和装置 図000003
  • 特許6022182-空気調和装置 図000004
  • 特許6022182-空気調和装置 図000005
  • 特許6022182-空気調和装置 図000006
  • 特許6022182-空気調和装置 図000007
  • 特許6022182-空気調和装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022182
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20161027BHJP
   F16C 35/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   F24F1/00 321
   F16C35/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-72718(P2012-72718)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-204875(P2013-204875A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月26日
【審判番号】不服2015-12036(P2015-12036/J1)
【審判請求日】2015年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】515294031
【氏名又は名称】ジョンソンコントロールズ ヒタチ エア コンディショニング テクノロジー(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平尾 一歩
(72)【発明者】
【氏名】伏見 直之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康治
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 結城 健太郎
【審判官】 鳥居 稔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−164073(JP,A)
【文献】 特開平8−233308(JP,A)
【文献】 特開平7−332703(JP,A)
【文献】 特開平11−191941(JP,A)
【文献】 特開2000−274728(JP,A)
【文献】 特開2011−94817(JP,A)
【文献】 特開2000−274724(JP,A)
【文献】 実開昭56−76914(JP,U)
【文献】 特開2005−164072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F16C 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を仕切板部によって、熱交換器を収容する熱交換室と送風ファンを収容する送風室とに仕切り、
前記送風ファンを駆動するファンモータと、該ファンモータの回転軸を支持する軸受部と、前記送風室内に備え、
前記ファンモータはモータ固定部により上面側板部及び前記仕切板部に固定される空気調和装置において、
前記モータ固定部は、前記ファンモータの回転軸方向における両端を挟むように設けられ前記上面側板部に固定される2つの面と、該2つの面の間に前記ファンモータに対向して設けられ前記仕切板部に固定される面と、を有し、
前記2つの面は、前記上面側板部に沿って前記2つの面の間に対して外側かつ前記回転軸方向に向かって延在する外側延在部を有し、該外側延在部は、前記上面側板部との固定部を有し、
前記上面側板部により前記ファンモータ側にモータ固定部用切起こし部が形成され、該モータ固定部用切起こし部は、前記外側延在部における前記仕切板部の側の面と接触することにより、前記モータ固定部が前記仕切板部側に動かないようにし、
前記上面側板部は前記仕切板部側に凸となるように同一部材で凸部が形成され、
前記仕切板部は、前記凸部における前記ファンモータとの反対側面と接触するように構成されることにより、該仕切板部が前記モータ固定部側に動かないようにすることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和装置において、
前記軸受部は軸受固定部により固定されるとともに、該軸受固定部は前記上面側板部及び前記仕切板部に固定され、
前記上面側板部により前記軸受部側に軸受固定部用切起こし部が形成され、該軸受固定部用切起こし部は、前記軸受固定部における前記仕切板部の側の面と接触することにより、前記軸受固定部が前記仕切板部側に動かないようにすることを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空気調和装置において、
前記軸受固定部用切起こし部は、前記軸受固定部における前記回転軸方向の面と接触することにより、前記軸受固定部が前記回転軸方向に動かないようにすることを特徴とする空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2005−164072号公報(特許文献1)がある。この公報には、「送風装置を構成するファンモータの回転軸が長尺である場合に、回転軸を軸受部で支持することを前提として、軸受部に対する取付け固定を確実化して、回転軸の回転にともなう撓みの発生を防止し、かつ高い芯出し精度が得られ、組立て作業性の向上を図れる空気調和装置を提供しようとするものである。」と記載されている。
【0003】
このように横軸で長尺の回転軸を有する送風装置において、騒音や振動を低減するためには、モータ軸と軸受の中心が一致すること(芯出し)が重要となる。モータ軸はモータ固定部の固定によって精度が決まり、軸受の中心は、軸受部及び軸受固定台の固定によって精度が決まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1には、回転軸の芯出しを高精度に行うための方法として、軸受固定台と軸受部との固定方法及び軸受固定台と上面側板部の固定方法が記載されている。この固定方法は軸受固定台がユニット前方方向に移動しないように固定され、芯出しが精度良く行えることが示されている。
【0006】
しかし、特許文献1においては軸受固定台がユニットの後ろ方向には固定されていないため、芯出しの精度がでない虞がある。また、モータ固定部と軸受固定台との位置関係がずれた場合について、特許文献1では考慮されておらず、これにより芯出し精度が低下する虞もある。
【0007】
そこで本発明の目的は、モータ固定部又は軸受固定台の位置決めを容易とし高い芯出し精度を得るとともに、モータ固定部又は軸受固定台の位置ずれを抑制し、振動・騒音を低減することが可能な空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、内部を仕切板部によって、熱交換器を収容する熱交換室と送風ファンを収容する送風室とに仕切り、前記送風ファンを駆動するファンモータと、該ファンモータの回転軸を支持する軸受部と、前記送風室内に備え、前記ファンモータはモータ固定部により上面側板部及び前記仕切板部に固定される空気調和装置において、前記モータ固定部は、前記ファンモータの回転軸方向における両端を挟むように設けられ前記上面側板部に固定される2つの面と、該2つの面の間に前記ファンモータに対向して設けられ前記仕切板部に固定される面と、を有し、前記2つの面は、前記上面側板部に沿って前記2つの面の間に対して外側かつ前記回転軸方向に向かって延在する外側延在部を有し、該外側延在部は、前記上面側板部との固定部を有し、前記上面側板部により前記ファンモータ側にモータ固定部用切起こし部が形成され、該モータ固定部用切起こし部は、前記外側延在部における前記仕切板部の側の面と接触することにより、前記モータ固定部が前記仕切板部側に動かないようにし、前記上面側板部は前記仕切板部側に凸となるように同一部材で凸部が形成され、前記仕切板部は、前記凸部における前記ファンモータとの反対側面と接触するように構成されることにより、該仕切板部が前記モータ固定部側に動かないようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータ固定部又は軸受固定台の位置決めを容易とし高い芯出し精度を得るとともに、モータ固定部又は軸受固定台の位置ずれを抑制し、振動・騒音を低減することが可能な空気調和装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例の空気調和装置1の斜視図を示す図である。
図2】本実施例の空気調和装置1を横方向(図1の右側方向)から見た断面図を示す。
図3】本実施例の空気調和装置1の内部構造図の例である。
図4】本実施例のモータ固定部7を上面側板部5に取り付けた状態を回転軸方向から見た図である。
図5】本実施例のモータ固定部の斜視図である。
図6】本実施例の軸受固定部9を上面側板部5に取り付けた状態を回転軸方向から見た図である。
図7】本実施例の軸受固定部9の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本実施例の空気調和装置1の斜視図を示す図である。
図2は、本実施例の空気調和装置1を横方向(図1の右側方向)から見た断面図を示す。本実施例の空気調和装置1は、天井に近接した状態で取り付けられる。空気調和装置1は送風ファン4が駆動することにより、吸込口21から空気を吸込み、熱交換器3により熱交換が行われ、吹出口22から熱交換が行われた空気が吹出されることにより、冷暖房運転が行われる。ここで、本実施例では、熱交換器3を収容する空間を熱交換室Aと呼び、また送風ファン4を収容する空間を送風室Bと呼ぶ。これらの熱交換室A、送風室Bは仕切板部2によって仕切られ、仕切板部2と上面側板部5(天板)とで形成されている。
【0013】
図3は、空気調和装置の内部構造図を示す図であり、方向としては図1を下側から見た図を示す。送風室Bは上面側板部5と仕切板部2とで仕切られて構成され、送風ファン4を駆動するファンモータ6を上面側板部5に固定するモータ固定部7(モータ固定台)と、ファンモータ6の回転軸を軸支する軸受部8(軸受固定台)と、この軸受部8を上面側板部5に固定する軸受固定部9とを備えている。なお、図3において上面側板部5は反対側に配置されている。以上に説明したように本実施例の空気調和装置1は、内部を仕切板部2によって、熱交換器3を収容する熱交換室Aと送風ファン4を収容する送風室Bとに仕切り、送風ファン4を駆動するファンモータ6と、該ファンモータ6の回転軸を支持する軸受部8と、送風室B内に備え、ファンモータ6はモータ固定部7により上面側板部5及び仕切板部2に固定される。
【0014】
ここでモータ固定部7や軸受固定部9の前方(図3において下方向)や後方(図3において上方向)への位置ずれや、あるいは、これらの回転軸方向(図3において左右方向)への位置ずれが生じると、回転軸の撓み変形や位置ずれに起因した振動や騒音の原因ともなり得るため、この位置ずれを起こさないことが重要な課題となる。以下においては、この課題を解決するための本実施例の構成について説明する。
【0015】
図4は、本実施例のモータ固定部7を上面側板部5に取り付けた状態を回転軸方向から見た図である。
【0016】
図5は、本実施例のモータ固定部7の斜視図を示す。本実施例では図4図5に示すように上面側板部5は、ファンモータ6側に形成されたモータ固定部用切起こし部10が形成され、モータ固定部用切起こし部10は、モータ固定部7の仕切板部2の側の熱交換器室側移動防止面15で接触する。なお、図5においては図示していないが、仕切板部2が手前側に配置され、上面側板部5が下側に配置される。このようにモータ固定部用切起こし部10を上面側板部5に形成することにより、モータ固定部7が仕切板部2側(図4の上側、図5の手前側)に動かないようにすることができ、ファンモータ6のユニット前方方向(図3の上側)へ位置ずれを防止することができ、さらにこれを用いて位置決めを行うことが可能である。
【0017】
より具体的に説明すると、図5に示すようにモータ固定部7は、ファンモータ6の回転軸方向の両側においてそれぞれ上面側板部5(図示していないが、図5の下側に配置)と固定するように構成されている。モータ固定部用切起こし部10は、回転軸方向の両側においてそれぞれ形成された二つの切起こし部により構成され、これらの切起こし部が回転軸方向の両側において、それぞれ仕切板部2(図示していないが、図5の手前側に配置)の側の面(熱交換器室側移動防止面15)で接触することにより、モータ固定部7が仕切板部2側に動かないようにしたものである。ここでは上面側板部5にモータ固定部用切起こし部10を形成することで別部材を不要としコストの低減を図ったものであるが、モータ固定部用切起こし部10の代わりに溶接等によりファンモータ6側にモータ固定部用凸部を形成し、これによりモータ固定部用切起こし部10と同様の作用を奏することも可能である。
【0018】
ここで、上面側板部5は仕切板部2側に凸となるように凸部11(リブ形状)が形成され、仕切板部2は上面側板部5と接触する箇所をこの凸部11の形状に合わせるように曲げられている。このように仕切板部2がファンモータ6と反対側面で接触するように構成されることにより、仕切板部2がモータ固定部7側(図4の下側)に動かないようにしている。
【0019】
次に軸受固定部9の位置ずれ防止方法において図6図7を用いて説明する。モータ固定部の位置ずれ防止も大事であるが、この軸受固定部9の位置ずれが生じると、やはり芯出し精度が低下し、騒音や振動発生の原因となり得る。そこで本実施例においては、図6図7に示す構成により、この問題解決を図り騒音、振動発生を抑制するものである。
【0020】
図6は、本実施例の軸受固定部9を上面側板部5に取り付けた状態を回転軸方向から見た図である。
【0021】
図7は、本実施例の軸受固定部9の斜視図である。軸受部8は軸受固定部9により固定されるとともに、軸受固定部9は上面側板部5及び仕切板部2に固定される。なお、図7では図示していないが、上面側板部5は下側に配置され、仕切板部2が手前側に配置される。上面側板部5は、軸受部8側に形成された軸受固定部用切起こし部12が形成され、軸受固定部用切起こし部12は、軸受固定部9の仕切板部2(図示していないが図7の手前側に配置)の側の熱交換器室側移動防止面13で接触する。この反対側面とは図7の軸受固定部9の熱交換器室側移動防止面13と軸受固定部用切起こし部12の熱交換器室側移動防止部位17が接触する面である。これにより、軸受固定部9が仕切板部2側に動かないようにする。
【0022】
また、軸受固定部用切起こし部12は、軸受固定部9と回転軸方向の面で接触することにより、軸受固定部9が回転軸方向に動かないようにする。すなわち、図7の軸受固定部9の回転軸方向移動防止面14と軸受固定部用切起こし部12の回転軸方向移動防止部位18が接触するにより、軸受固定部9が回転軸方向に動かないようにするものである。これは軸受固定部9はねじ23により上面側天板5に固定するものであるが、この作業の際に軸受固定部9がねじ23の回転方向、つまり、回転軸方向に移動してしまうことを防止するものである。これにより作業性が向上するとともに位置ずれ防止を図ることが可能となる。
【0023】
以上に説明した本実施例の構成によれば、軸受部8の中心をファンモータ6の回転軸と一致させるように位置決めを行うことができると共に、位置ずれ防止が図ることができるため、高い芯出し精度となり、位置ずれに起因する振動・騒音低減を図ることができる。またモータ固定部7用と軸受固定部9用の切起こしは、同じ部品である上面側板部5によって切起こしが形成されるため、製造時の寸法管理も行いやすい。
【符号の説明】
【0024】
1 空気調和装置
2 仕切板部
3 熱交換器
4 送風ファン
5 上面側板部
6 ファンモータ
7 モータ固定部
8 軸受部
9 軸受固定部
10 モータ固定部用切起こし部
11 凸部
12 軸受固定部用切起こし部
13 熱交換器室側移動防止面(軸受固定部)
14 回転軸方向移動防止面
15 熱交換器室側移動防止面(モータ固定部)
16 仕切板の面
17 熱交換器室側移動防止部位(軸受固定部用切起こし部)
18 回転軸方向移動防止部位
A 熱交換室
B 送風室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7