(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上層の自由端部には、前記下層、前記上層、及び前記中間層から識別可能な摘み部が備えられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の紙おむつの後処理テープ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
また、本実施形態においては、紙おむつとしてパンツ型使い捨て紙おむつ(以下、「紙おむつ」という。)を例示して説明する。
【0019】
紙おむつ1は、
図1から
図3に示すように、吸収体13を含む吸収性本体10と、この吸収性本体10の外面側に設けられ、着用時に人体の腹側に位置する腹側部F及び背側に位置する背側部Bを有する外装体20と、紙おむつ1の廃棄時に当該紙おむつ1を丸めた状態で保持するための後処理テープ30と、を備えている。
紙おむつ1は、外装体20の腹側部Fと背側部Bとが、その両側端の接合部21、22において融着されることにより腰周り開口部W、左右一対の脚周り開口部Lが形成されるとともに、左右一対の脚周り開口部Lの間に股下部Mが形成されるようになっている。
【0020】
紙おむつ1は、
図2に示すように、外装体20の紙おむつ着用時の身体側となる内面に、吸収性本体10の外面側がホットメルト等の接着剤によって接着されて、吸収性本体10と外装体20が一体化される。そして、外装体20の股下部Mを吸収性本体10とともに折り曲げるようにして外装体20の腹側部Fと背側部Bを折り重ね、左右同士でヒートシール又は超音波シールによって融着することにより、
図1に示す、紙おむつ1に組み立てられる。
ここで、以下の説明において、特に断りが無い場合、「長手方向」とは、吸収性本体10の長手方向を意味し、「幅方向」とは、吸収性本体10の幅方向を意味するものとする。
【0021】
また、紙おむつ1は、
図4に示すように、使用後、汚れた股下部Mが内側となるように丸め込まれ、その状態で後処理テープ30により固定されることで不用意に周囲を汚すことなく廃棄することができるようになっている。
【0022】
(吸収性本体)
吸収性本体10は、
図2、3に示すように、不織布などからなる透液性表面シート11と、ポリエチレン等からなる防水シート12との間に、綿やパルプ等の吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸水性樹脂とが組み合わされて形成された吸収体13を介在させた構造を有しており、体液としての尿等の水様成分を吸収保持するものである。
この吸収性本体10は、外装体20の腹側部Fから背側部Bに亘り、当該吸収性本体10よりも幅方向外側に延出するように形成される股下部Mに備えられており、当該吸収性本体10の幅方向の両端部には、長手方向に延在する左右一対の立体ギャザーBSが備えられている。
【0023】
吸収体13は、例えば、平面視略砂時計形状を有するように成形されており、その幅寸法は着用者の身体に当たる際にゴワ付き感を与えないサイズとなっている。
なお、吸収体13は、形状保持と透液性表面シート11を透過した体液の拡散性の向上のためにクレープ紙によって囲繞することとしても良い。
【0024】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う透液性表面シート11を形成する不織布の素材としては、天然繊維、合成繊維のいずれを用いても良い。天然繊維の例としては、綿、セルロース(木材パルプ)、羊毛、絹等が挙げられる。また合成繊維としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエステル(PET)、アクリル等が挙げられ、またPE/PP混合不織布、PE/PET混合不織布、また、上記素材を適宜組み合わせたバイコンポーネント繊維(混合繊維)も用いることができる。
また、これらの繊維性素材から不織布を製造する方法としては、公知の方法を適宜用いることができ、例えば、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレース等のいずれの方法を用いてもよく、また合成繊維等では、スパンボンド法、メルトブロー法、またこれらと上記の接着方法の組み合わせ等、いずれの方法を用いて製造しても良い。
これらの加工法のうち、スパンレース法による不織布は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法による不織布は嵩高でソフトである点で優れている。
また、透液性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0025】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う防水シート12は、遮水性を有し、吸収体13を通過した水様成分が外装体20側に漏れることを防止する働きをなすものであり、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの不透液性プラスチックシートが用いられる。また、ムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。微多孔性シートであれば、仮にシート厚が同じである場合に、無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点でも勝るものとなる。
かかる防水シート12としては、排便や尿などの褐色が視認しにくいように不透明なものを用いることが好ましい。防水シート12の不透明化としては、オレフィン樹脂やプラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を添加してフィルム化したものが好適に使用される。
【0026】
立体ギャザーBSは、不透液性のギャザー不織布15を二つ折りにしてその基端部にて防水シート12の側縁部を挟みこみ、折り合わされた面を、例えば、ホットメルトや、ヒートシール、超音波シール等により固着させることにより形成されている。折り返しによって二重にされたギャザー不織布15の基端部の上面側には、透液性表面シート11の側縁部が接着されている。
また、ギャザー不織布15は、吸収性本体10の長手方向中間部においては、立体ギャザーBSを形成する自由端部(起立端部)となっており、長手方向前後端部においては、吸収性本体10の上面側に内側に折り畳まれてホットメルト接着剤等により接着された固定部となっている。
【0027】
また、ギャザー不織布15の起立先端部には、複数本の糸状弾性伸縮部材16・・・が配設されている。糸状弾性伸縮部材16・・・は、弾性伸縮力によりギャザー不織布15を起立させて立体ギャザーBSとするためのものである。
【0028】
また、ギャザー不織布15を構成する素材繊維は、上記した透液性表面シート11を形成する不織布と同様の素材から構成され、また、これら不織布の製造方法もほぼ等しくなっているが、特に、ムレを防止するために秤量を抑えて通気性に優れた不織布を用いることが好ましい。さらに、ギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止し且つ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水材などをコーティングした撥水処理不織布を用いてもよい。
【0029】
(外装体)
外装体20は、
図1から
図3に示すように、当該外装体20を形造る外層シート20Aを備えている。外層シート20Aは、上層不織布20aと下層不織布20bとの2枚の不織布を貼着して構成され、上層不織布20a及び下層不織布20bの間には、後述する各種の糸状の弾性部材が配設されて、伸縮性が付与されるようになっている。
また、外層シート20Aの内側(肌当接面側)には、腹側部F及び背側部Bにおいて、上層不織布20aの上面に胴周りシート20B、20Bが備えられ、良好な着用感を実現するようになっている。
この外装体20は、その中間両側部にそれぞれ脚周り開口部Lを設けるための凹状の脚周りカットライン23が形成され、紙おむつ1の着用者の股間周囲を覆う股下部Mと、股下部Mの前端側に位置し着用者の腹部を覆う腹側部Fと、股下部Mの後端側に位置し着用者の背部を覆う背側部Bと、を有しており、その平面形状は全体として擬似砂時計形状を成している。
【0030】
腹側部Fの幅方向両端部には、背側部Bと接合するための接合部21が形成されており、背側部Bの幅方向両端部には、腹側部Fと接合するための接合部22が形成されている。
接合部21、22は、それぞれ腹側部Fと背側部Bにおいて、腰周り開口部Wの開口端部側から脚周りカットライン23を有する脚周り開口部Lに亘る上下方向に所定の幅を有している。
この接合部21と接合部22とは、左右同士でヒートシール又は超音波シールによって接合されている。
【0031】
また、外装体20は、腹側部F及び背側部Bのそれぞれにおいて、腰周り開口部Wの開口端部側(上側)に配置される複数のウエスト弾性部材24・・・と、腹側部F及び背側部Bのそれぞれにおいて、一の接合部21(22)から他方の接合部22(21)に亘り、腰周りに沿う方向に延在するよう配設された複数の腰周り弾性部材25・・・と、腹側部F及び背側部Bのそれぞれにおいて、接合部21、22から脚周り開口部Lの脚周りカットライン23(縁部)に沿って股下部M側に延びるように配設された複数の脚周り弾性部材26・・・と、を備えている。
【0032】
ウエスト弾性部材24は、腹側部Fと背側部Bとが融着される接合部21、22の上下方向の幅である範囲のうち、腰周り開口部Wの近傍において上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部周りを締め付けるように伸縮力を付与し、紙おむつ1を身体に装着するためのものである。
【0033】
腰周り弾性部材25は、腹側部Fと背側部Bとのそれぞれにおいて、ウエスト弾性部材24より股下部M側に上下方向に所定の間隔をおいて互いに略平行に配設された複数条の糸ゴム状の弾性伸縮部材であり、腹側部F及び背側部Bの腰周り部分を締め付けるように伸縮力を付与する。この複数の腰周り弾性部材25・・・は、外装体20に所定の幅、範囲に亘って配設されることにより、腹側部Fや背側部Bの全面を身体により密着させるようになっている。
【0034】
脚周り弾性部材26は、腹側部F及び背側部Bにおいて、腰周り弾性部材25とは別に配設された複数本の糸ゴム状の弾性伸縮部材である。この複数の脚周り弾性部材26・・・は、外装体20に所定の幅、範囲に亘って配設されることにより、外装体20の脚周り部分を身体に密着させる。
具体的には、脚周り弾性部材26は、腹側部F及び背側部Bの一方の側端部21(22)から、ほぼ脚周りカットライン23に沿うように股下部M側に延び、その股下部Mを迂回するようにして、他方側の脚周りカットライン23にほぼ沿いながら他方の接合部22(21)に到達するように配設されている。
【0035】
(後処理テープ)
後処理テープ30は、
図4に示すように、紙おむつ1の廃棄時に、当該紙おむつ1を股下部Mが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するための細帯状の止着テープである。
後処理テープ30は、外装体20の腹側部F外面の幅方向中央部において、腰周り開口部Wの開口端部近傍の位置に取付けられている。
なお、後処理テープ30の取付け位置は、外装体20の背側部B外面であっても良いのは勿論である。
【0036】
後処理テープ30は、
図5〜
図7に示すように、紙おむつ1外面(外層シート20A上)に固定される下層31、止着部を有する上層33、これらを繋ぐ中間層32の3つの帯状部材からなり、これらが3つ折り状態(断面視Z字状)に折り畳まれてその長手方向が紙おむつ1の長手方向と沿うように配されている。
【0037】
なお、
図5〜
図7においては、下層31、中間層32、上層33は、作図上わかり易くするため厚みを有した状態で表示しているが、実際にはこれらは極薄なので、後処理テープ30は全体としてフラットな形状である。
また、
図5、
図6においては、下層31、中間層32、上層33がそれぞれ間隔をあけた状態で表示しているが、実際にはこれらは互いに接触した状態となっている。
【0038】
これら各帯状部材(下層31、中間層32、上層33)は、それぞれテープ基材31a、32a、33aを備えている。
テープ基材31a、32a、33aは、紙おむつ1の外層シート20A側の一面のみが表面改質処理され、粘着剤31b、32b、33bが塗布されて接着剤塗布面31A、32A、33Aが形成されている。
【0039】
ここで、テープ基材31a、32a、33aとしては、例えば、従来各種の用途で使用されている広汎なプラスチックフィルムが使用可能であるが、特に、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレンやポリエチレン等が好ましく、粘着剤31b、32b、33bとしてホットメルト接着剤を用いた際の塗布温度(120〜160℃)を考慮した場合、耐熱性に優れたポリプロピレンがより好ましい。
また、テープ基材31a、32a、33aとしては、必要な強度を担保するため降伏点が14.7N/15m
2以上のものが好ましい。
また、テープ基材31a、32a、33aの厚みは、例えば、30〜100μmの範囲内とすることが好ましい。この範囲とすることで、必要な強度を担保しつつも、後処理テープ30の使用時に好ましい可撓性を実現させることができる。
なお、紙おむつ1外面(外層シート20A)に当接する下層31のテープ基材31aについては、薄い方が紙おむつ1外面の不織布への追随性を良好にできることから、30〜50μmの範囲内とされるのがより好ましい。
これらプラスチックフィルムは一般に発液性が高く、粘着剤に対する表面濡れ性が劣るものであるため、表面改質処理により、表面濡れ性が改良される。
表面改質処理としては、例えば、コロナ放電処理、ブラスト処理、プライマー処理、プラズマ処理などが適用可能であるが、特に、コロナ放電処理が好ましく用いられる。
本実施形態においては、テープ基材31a、32a、33aは、粘着剤31b、32b、33bを塗布する一面のみが表面改質処理されるようになっている。
【0040】
また、粘着剤31b、32b、33bとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン重合体もしくはスチレン−イソプレン−スチレン重合体を主成分としたホットメルト接着剤等を用いることができる。ホットメルト接着剤であれば、有機溶媒が含まれないためテープ基材の表面を傷つける虞がなく、また短時間で接着できるので生産性が良好となる。
また、粘着剤31b、32b、33bの塗布量は、12〜26g/m
2の範囲内とされ、特に好ましくは25g/m
2程度とされる。
即ち、一般的な紙おむつの後処理テープの粘着剤の塗布量が27〜33g/m
2であるのに対し、本実施形態の粘着剤31b、32b、33bの塗布量は少量であり、このため、接着剤塗布面31A、32A、33Aの接着力は従来よりも弱いものとなっている。
これにより、テープ基材31a、32a、33aに粘着剤31b、32b、33bを塗布して接着剤塗布面31A、32A、33Aを形成した後、各帯状部材(下層31、中間層32、上層33)を断裁する際にも、断裁に用いるカッターに粘着剤31b、32b、33bが付着する等の不具合が生じにくくなる。
【0041】
また、粘着剤31b、32b、33bの塗布方法としては、所定の模様や柄を描きつつ対象物(テープ基材31a、32a、33a)に粘着剤を塗布する、所謂パターン塗布と呼ばれる手法が用いられる。
塗布パターンとしては、公知の何れのものであっても適用可能であり、例えば、ストライプ、市松模様、複数の円を所定距離ずらしながら重ねた模様、対象物に対して粘着剤を吹き付けることで形成されるランダムな模様等が適用可能である。
なお、接着剤塗布面31A、32A、33Aの接着力が所定値を満たすものであれば、粘着剤31b、32b、33bの塗布領域はテープ基材31a、32a、33aの一面の全体であっても良いし、一面の一部であっても良い。
さらに、中間層32と、上層33とで、粘着剤32b、33bの塗布領域が重複しないように設定しても、完全に重複するように設定しても良く、更に、その中間状態としても良い。
【0042】
一方、テープ基材31a、32a、33aの他面は、表面改質処理はなされず、接着剤非塗布面31B、32B、33Bが形成されている。
即ち、接着剤非塗布面31B、32B、33Bは、テープ基材31a、32a、33aの材質に由来する剥離性を備えるものとなっている。
【0043】
このような各帯状部材(下層31、中間層32、上層33)は、テープ基材31a、32a、33aに粘着剤31b、32b、33bを塗布した後、所定の寸法でそれぞれ断裁され、組み立てられる。
【0044】
具体的に、下層31は、例えば、長さが約54mm、幅が約15mm程度に断裁される。
下層31の接着剤塗布面31Aは、紙おむつ1外面(外層シート20A上)に対向し、当該下層31ひいては後処理テープ30を、紙おむつ1に固定させている。
下層31の一端部には、接着剤塗布面31Aが外側となる状態で所定長さ(例えば8mm程度)だけ折り返した折返し部31cが形成されている。なお、この折返し部31cの上面にも接着剤塗布面31Aが形成されている。
【0045】
中間層32は、例えば、長さが約66mm、幅が約15mm程度に断裁され、下層31にほぼ重なるように配されるものである。
具体的に、中間層32の一端部寄り中間部の下面には、下層31の折返し部31cが対向するようになっている。即ち、中間層32の一端部寄り中間部の下面において、中間層32の接着剤塗布面32Aと、下層31の折返し部31cの上面の接着剤塗布面31Aとを対向させ接着させている。
このとき、接着剤塗布面同士(接着剤塗布面32A及び接着剤塗布面31A)が接着しているため、中間層32及び下層31は、強固に連結されることなる。以下、この中間層32及び下層31の連結部を第1連結部P1という。
従って、中間層32は、下層31に対して第1連結部P1を起点として屈曲状態から伸展状態に変形可能となっている。
なお、第1連結部P1の接着力は、具体的には、9.8N/15mm以上とされる。
ここで、接着力とは、JIS K 6854−2で規定する、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さであり、幅15mmの下層31及び中間層32を接着し、これを300mm/分のつかみ移動速度で180度剥離方向に引っ張ったときに要する力である。
【0046】
また、中間層32の他端部には、接着剤塗布面32Aが外側となる状態で所定長さ(例えば10mm程度)だけ折り返した折返し部32cが形成されている。なお、この折返し部32cの上面にも接着剤塗布面32Aが形成されている。
【0047】
また、中間層32の第1連結部P1より他端部側の下層31との重なり部分は、接着剤塗布面32Aが下層31の上面の接着剤非塗布面31Bに対向することにより、剥離可能に固定されている。以下、この中間層32及び下層31の剥離可能な重なり部分を第1剥離部P3という。
なお、第1剥離部P3の接着力は、具体的には、2.9N/15mm以下とされる。
ここで、接着力とは、JIS K 6854−2で規定する、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さであり、第1連結部P1の接着力と同様に測定される。
従って、中間層32を下層31から剥離する際に必要な力は2.9N/15mm程度であって、中間層32を下層31から剥離する際に、第1連結部P1の連結が解除されることはない。
【0048】
また、中間層32の第1連結部P1より一端部側の折返し部31cより突出した部分は、接着剤塗布面32Aにより紙おむつ1外面(外層シート20A上)に固定される。これにより、中間層32を下層31に対して伸展させた際に、下層31が紙おむつ1外面から剥がれるのが防止される。
【0049】
上層33は、例えば、長さが約54mm、幅が15mm程度に断裁され、中間層32にほぼ重なるように配されるものである。
具体的に、上層33の一端部の下面には、中間層32の折返し部32cが対向するようになっている。即ち、上層33の長手方向一端部の下面において、上層33の接着剤塗布面33Aと、中間層32の折返し部32cの上面の接着剤塗布面32Aとを対向させ接着させている。
このとき、接着剤塗布面同士(接着剤塗布面33A及び接着剤塗布面32A)が接着しているため、上層33及び中間層32は、強固に連結されることなる。以下、この上層33及び中間層32の連結部を第2連結部P2という。
従って、上層33は、中間層32に対して第2連結部P2を起点として屈曲状態から伸展状態に変形可能となっている。
なお、第2連結部P2の接着力は、具体的には、9.8N/15mm以上とされる。
ここで、接着力とは、JIS K 6854−2で規定する、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さであり、第1連結部P1の接着力と同様に測定される。
【0050】
また、上層33の第2連結部P2より他端部側の中間層32との重なり部分は、接着剤塗布面33Aが中間層32の上面の接着剤非塗布面32Bに対向することにより、剥離可能に固定されている。以下、この上層33及び中間層32の剥離可能な重なり部分を第2剥離部P4という。
なお、第2剥離部P4の接着力は、具体的には、2.9N/15mm以下とされる。
ここで、接着力とは、JIS K 6854−2で規定する、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さであり、第1連結部P1の接着力と同様に測定される。
従って、上層33を中間層32から剥離する際に必要な力は2.9N/15mm程度であって、上層33を中間層32から剥離する際に、第2連結部P2の連結が解除されることはない。
なお、上層33の接着剤塗布面33Aは、止着部として機能し、紙おむつ1を丸め若しくは折り畳んだ状態とし、後処理テープ30を伸展させた際に、その紙おむつ1の任意箇所に止着することにより、紙おむつ1を丸め若しくは折り畳んだ状態が解除されないようにすることができる。
ここで、止着部としては、一般に、9.8N/15mm以上の接着力が要求される。本実施形態の止着部(接着剤塗布面33A)は、上記したように、塗布量12〜26g/m
2の粘着剤33bが塗布されて形成されているため、必要な接着力を担保したものとなっている。
【0051】
また、上層33の他端部の下面には、下層31、中間層32、上層33から識別可能な摘み部34が備えられている。
摘み部34は、例えば、長さが約9mm、幅が15mm程度に形成されている。
摘み部34は、基材シート34aに粘着剤34bを塗布してなり、粘着剤34bを上層33の接着剤塗布面33Aに対向させて、上層33の他端部の下面に固定されている。
この摘み部34は、下層31、中間層32、上層33とは異なる色彩を有し、これにより、摘み部34は、下層31、中間層32、上層33から識別可能となっている。
なお、摘み部34を下層31、中間層32、上層33から識別可能とする手法としては、上記した例に限定されず、例えば、摘み部34に視覚によって認識可能な各種の図柄や文字などを描くこととしても良いし、摘み部34に触覚よって認識可能な凹凸部などを設けることとしても良い。
これにより、後処理テープ30を伸展させる際に、摘み部34の位置を認識し易くすることができる。
【0052】
なお、上記したような後処理テープ30においては、第1連結部P1(中間層32及び下層31の連結部)に加わる引っ張り力の方が、第2連結部P2(中間層32及び上層33の連結部)に加わる引っ張り力より大きいため、第1連結部P1の接着力を、第2連結部P2の接着力より大きくすることが好ましい。
また、後処理テープ30を伸展した際に、この伸展が不十分とならないように、第1剥離部P3(中間層32及び下層31の剥離可能な重なり部分)の接着力を、第2剥離部P4(中間層32及び上層33の剥離可能な重なり部分)の接着力より大きくすることが好ましい。つまり、上層33を、中間層32より小さな引っ張り力で剥離できるようにすることが好ましい。
このような第1連結部P1、第2連結部P2、第1剥離部P3、及び第2剥離部P4の接着力は、粘着剤31b、32b、33bの塗布面積や塗布量によって調整可能である。
【0053】
次に、紙おむつ1の廃棄時の後処理テープ30の伸展動作について説明する。
紙おむつ1の廃棄時においては、紙おむつ1を股下部Mが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、摘み部34を摘まんで引っ張ることで後処理テープ30を直線状に伸展させることができる。
即ち、
図5に示すように、折り畳まれた後処理テープ30の摘み部34を引っ張ると、
図6に示すように、第2連結部P2を起点として上層33が中間層32から剥離し、次いで、
図7に示すように、第1連結部P1を起点として中間層32が下層31から剥離する。
【0054】
このとき、中間層32及び下層31の上面(接着剤非塗布面32B、33B)は表面改質処理しておらず、テープ基材31a、32a、33aの材質に由来する剥離性を備えており、また、上層33及び中間層32の下面(接着剤塗布面33A、32A)は、その接着力が弱いものとなっているため、中間層32及び下層31の上面(接着剤非塗布面32B、33B)にシリコン剤などの剥離剤を塗布しなくても剥離させることができる。
つまり、従来の粘着剤及び剥離剤の塗布された後処理テープにおいては、粘着剤の接着力を100とした場合、剥離剤の接着力を−50に設定し、これらを合わせた粘着・剥離を繰り返す部分(本実施形態の第1剥離部及び第1剥離部)の接着力を50とするのに対して、本実施形態の後処理テープ30においては、粘着剤31b、32b、33bの接着力を50とし、剥離剤を塗布しないことで、第1剥離部及び第1剥離部の接着力を50としている。
【0055】
また、第1連結部P1及び第2連結部P2は、接着剤塗布面31A及び接着剤塗布面32A、接着剤塗布面32A及び接着剤塗布面33Aをそれぞれ対向させているため、後処理テープ30の伸展時に加わる力に耐え得る程度の強固な接着力を有することとなる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、後処理テープ30は、紙おむつ1外面に固定される下層31、丸めた状態の紙おむつ1の任意箇所に止着される止着部を有する上層33、及びこれらを繋ぐ中間層32を備え、下層31、上層33、及び中間層32の各々は、一面のみ表面改質処理されたテープ基材31a、32a、33aを備え、テープ基材31a、32a、33aの一面の全体又は一部には、粘着剤31b、32b、33bを塗布してなる接着剤塗布面31A、32A、33Aが形成されると共に、テープ基材31a、32a、33aの他面には、接着剤非塗布面31B、32B、33Bが形成される。
そして、下層31、上層33、及び中間層32は、下層31の一端部の接着剤塗布面31Aと、中間層32の一端部寄り中間部の接着剤塗布面32Aとを接着させた第1連結部P1、及び中間層32の他端部の接着剤塗布面32Aと、上層33の一端部の接着剤塗布面33Aとを接着させた第2連結部P2により連結されると共に、中間層32の第1連結部P1より他端部側の接着剤塗布面32Aと、下層31の接着剤非塗布面31Bとを剥離可能に接着させた第1剥離部P3、及び上層33の第2連結部P2より他端部側の接着剤塗布面33Aと、中間層32の接着剤非塗布面32Bとを剥離可能に接着させた第2剥離部P4により屈曲状態から伸展状態に変形可能である。
このため、テープ基材31a、32a、33aの一面のみを表面処理すればよく、テープ基材31a、32a、33aの他面には表面改質処理や剥離剤等を塗布する等の各種の処理を行う必要がない。
よって、製造工程を簡略化することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第1連結部P1及び第2連結部P2は、9.8N/15mm以上の接着力を有し、第1剥離部P3及び第2剥離部P4は、2.9N/15mm以下の接着力を有している。
このため、上層33を中間層32から剥離する際、或いは中間層32を下層31から剥離する際に、第1連結部P1及び第2連結部P2の連結が解除されることがない。
【0058】
また、本実施形態によれば、粘着剤31b、32b、33bは、スチレン−ブタジエン−スチレン重合体、又はスチレン−イソプレン−スチレン重合体を主成分としたホットメルト接着剤である。
このため、テープ基材31a、32a、33aの表面を傷つける虞がなく、また短時間で接着できるので生産性が良好となる。
【0059】
また、本実施形態によれば、粘着剤31b、32b、33bは、テープ基材31a、32a、33aの一面に対してパターン塗布される。
このため、粘着剤31b、32b、33bの塗布面積が少なくなることで接着力が弱まるため、下層31、中間層32、及び上層33を裁断する際に、粘着剤31b、32b、33bがカッターに付着し、裁断された部材が当該部材を後続工程へ搬送するための搬送シートに載らない等の不具合を発生しにくくすることができる。
よって、各部材(下層31、中間層32、及び上層33)の断裁時に搬送不具合が生じるのを防止することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、粘着剤31b、32b、33bの塗布量は、12〜26g/m
2の範囲内の値である。
このため、一般的な後処理テープと比較して粘着剤31b、32b、33bの塗布量が少なく接着力が弱まるため、下層31、中間層32、及び上層33を裁断する際に、粘着剤31b、32b、33bがカッターに付着し、裁断された部材が当該部材を後続工程へ搬送するための搬送シートに載らない等の不具合を発生しにくくすることができる。
よって、各部材(下層31、中間層32、及び上層33)の断裁時に搬送不具合が生じるのを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、表面改質処理は、コロナ放電処理である。
このため、プラスチックフィルムからなるテープ基材31a、32a、33aの表面濡れ性を好適に改良することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、上層33の他端部(自由端部)には、下層31、上層33、及び中間層32から識別可能な摘み部34が備えられている。
このため、摘み部34を一目で識別することができるので、後処理テープ30の使い勝手を良好にすることができる。
【0063】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、後処理テープ30として、3つの帯状部材(下層31、中間層32、上層33)を備える構成を例示して説明したが、4層以上としても良い。
【0064】
また、上記実施形態においては、下層31の一端部の接着剤塗布面(折返し部31c)を、中間層32の一端部寄り中間部に接着させる構成を例示して説明しているが、下層31の折返し部31cを、中間層32の一端部に接着させることとしても良い。