(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
家庭内において省エネルギー化を図るためには、交流電力で駆動し比較的大電力を消費する電気機器(たとえば、冷凍冷蔵庫など)の電力消費を抑える必要がある。たとえば、冷凍サイクル用の冷媒の循環に使用するコンプレッサやモータを駆動して大電力を消費する電気機器では、交流電力を平滑化した直流電力でインバータ回路を駆動する必要がある。そのため、インバータ回路を駆動するときに、交流電力を直流電力に変換するロスが必ず生じることになる。そこで、インバータ回路に直流電力を直接供給することで、交流電力を直流電力に変換するロスを減らし電力消費を抑えることができる。
【0003】
一方、近年、各家庭において太陽光発電システムの設置が進んでいる。この太陽光発電システムでは、直流電力を発電しており、システム内のパワーコンディショナで直流電力を交流電力に変換し、系統に逆潮させたり、家庭内での電気機器の駆動に消費したりしている。
【0004】
しかし、太陽光発電システムで発電した直流電力で電気機器を駆動する場合、太陽光発電システムで発電した直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換し、さらに電気機器内で交流電力を直流電力に変換する必要がある。つまり、電力変換を2回行なう必要があり、変換ロスによる電力消費が大きくなる。
【0005】
そこで、太陽光発電システムで発電した直流電力を電力変換せずに直流電力のまま電力の供給を受け、駆動することが可能な電気機器が開発されている。この電気機器では、交流電源と接続して交流電力を直流電力に変換する回路部と、直流電源と接続して直流負荷を直接駆動する回路部とを備える電源駆動回路を備えている。この電源駆動回路の具体例は、特許文献1および特許文献2に開示してある。この電源駆動回路を用いることで、太陽光発電システムで発電した直流電力で電気機器を直接駆動することができ、変換ロスを減らし電力消費を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交流電源に接続する電源駆動回路は、交流電源50Hz/60Hzの交流電力を直流電力に変換する整流回路と、変換した直流電力を平滑化するための大容量の平滑コンデンサとを備えている。そして、この平滑コンデンサに直流電源を接続して、電気機器のインバータ部などの直流負荷に直流電力を給電する回路構成とすることで、当該電源駆動回路は、直流電源にも接続することができる。つまり、当該電源駆動回路は、たとえば太陽光発電システムからの直流電力が得られる昼間、太陽光発電システムからの直流電力を利用し、太陽光発電システムからの直流電力が得られない夜間、系統の交流電源からの交流電力を利用する。
【0008】
しかしながら、当該電源駆動回路は、大容量の平滑コンデンサを含んでいるので、直流電源に接続して直流電力の供給を開始するときに高い電流値の突入電流が発生し、機器のヒューズを切るなどの故障が起こる場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、突入電流の発生を抑え、機器のヒューズを切るなどの故障を防止することができる電源駆動回路およびそれを備えた電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従った電源駆動回路は、交流電源または直流電源を接続して直流負荷を駆動可能である。本発明に従った電源駆動回路は、前記交流電源と接続し、前記交流電源からの交流電力を直流電力に変換して前記直流負荷に供給する交流回路部と、前記直流電源と接続し、前記直流電源からの直流電力を前記直流負荷に供給する直流回路部とを備えている。前記交流回路部は、前記交流電源からの交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路と接続し、前記整流回路で変換した直流電力の電圧を平滑化する平滑コンデンサとを含んでいる。前記直流回路部は、前記直流電源を接続して前記直流負荷に直流電力を供給する際に、前記平滑コンデンサへ供給される電流を抑制する電流抑制回路を含
み、前記電流抑制回路は、前記平滑コンデンサの一端にアノード電極を接続し、前記直流電源にカソード電極を接続した第1ダイオードと、前記第1ダイオードと並列に接続し、前記整流回路の一端にアノード電極を接続し、前記直流負荷の一端にカソード電極を接続した第2ダイオードと、前記第1ダイオードのアノード電極にカソード電極を接続し、前記第2ダイオードのアノード電極にアノード電極を接続した第3ダイオードとを含んでいる。
【0011】
好ましくは、前記電流抑制回路が、前記平滑コンデンサの一端にアノード電極を接続し、前記直流電源にカソード電極を接続した第1ダイオードと、前記第1ダイオードと並列に接続し、前記整流回路の一端にアノード電極を接続し、前記直流負荷の一端にカソード電極を接続した第2ダイオードと、前記第1ダイオードのアノード電極にカソード電極を接続し、前記第2ダイオードのアノード電極にアノード電極を接続した第3ダイオードとを含む。
【0012】
好ましくは、前記直流電源と前記第3ダイオードのアノード電極との間に接続した抵抗素子をさらに含む。
【0013】
好ましくは、前記直流負荷の他端と前記第1ダイオードのカソード電極との間に接続したコンデンサをさらに含む。
【0014】
好ましくは、前記直流電源と前記コンデンサとの間にチョークコイルをさらに含む。
好ましくは、前記電流抑制回路は、前記平滑コンデンサの一端と、前記直流電源との間に接続したパワーサーミスタである。
【0015】
好ましくは、前記電流抑制回路は、前記パワーサーミスタに対して並列に接続するリレー回路と、該リレー回路を駆動するリレー駆動回路とをさらに含み、前記リレー駆動回路は、前記パワーサーミスタに流れる電流を所定の期間迂回させるようにリレー回路を駆動する。
【0016】
好ましくは、前記電流抑制回路は、前記平滑コンデンサの一端と、前記直流電源との間に接続した抵抗素子と、前記抵抗素子に対して並列に接続するリレー回路と、該リレー回路を駆動するリレー駆動回路とを含み、前記リレー駆動回路は、前記抵抗素子に流れる電流を所定の期間迂回させるようにリレー回路を駆動する。
【0017】
本発明に従った電気機器は、上記に記載の電源駆動回路を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電源駆動回路およびそれを備えた電気機器は、直流電源に接続して、直流負荷に対して直流電力を供給する場合に、平滑コンデンサへ供給される電流を抑制する電流抑制回路を含むことで、突入電流の発生を抑え、機器の安全性を向上させることができる。また、本発明に係る電源駆動回路およびそれを備えた電気機器は、突入電流の発生を抑えることができるので、機器のヒューズを切るなどの故障を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源駆動回路の構成を示すブロック図である。
図1に示す電源駆動回路1は、交流電源2または直流電源3と接続して直流負荷4を駆動するため電源を供給するための回路である。また、電源駆動回路1は、交流回路部10と、直流回路部20とを含んでいる。ここで、直流負荷4は、たとえば、冷凍冷蔵庫やエアコンなどのコンプレッサと、当該コンプレッサを駆動するインバータ回路とを含んでいる。
【0021】
交流回路部10は、交流電源2と接続し、交流電源2からの交流電力を直流電力に変換して直流負荷4に供給する回路である。具体的に、交流回路部10は、交流電力を直流電力に変換する整流回路11と、整流回路11で変換した直流電力の電圧を平滑化する平滑コンデンサ12とを含む。整流回路11は、全波整流形のダイオード整流器を用いており、4つのダイオード11aをブリッジ接続したブリッジ整流器である。平滑コンデンサ12は、整流回路11で整流しても含まれるリップルと呼ばれる変動を平滑化するための平滑回路であり、比較的大電力を消費する電気機器の場合大容量コンデンサとなる。なお、整流回路11および平滑回路は、例示でありブリッジ整流器および平滑コンデンサに限定されず同様の機能を有するのであれば、いずれの構成であってもよい。
【0022】
直流回路部20は、直流電源3と接続し、直流電源3からの直流電力を直流負荷4に供給する回路である。直流回路部20には、交流電源2または直流負荷4からの電流が直流電源3に流れ込まないようにダイオード20aと、直流電源3から大電流が直流負荷4に流れて直流負荷4を破損しないようにヒューズ20bとを設けてある。さらに、直流回路部20は、平滑コンデンサ12へ供給される電流を抑制する電流抑制回路を含んでいる。電流抑制回路は、平滑コンデンサ12の正極にアノード電極を接続し、直流電源3にカソード電極を接続したダイオード21と、ダイオード21と並列に接続し、整流回路11の一端にアノード電極を接続し、直流負荷4の一端にカソード電極を接続したダイオード22と、ダイオード21のアノード電極にカソード電極を接続し、ダイオード22のアノード電極にアノード電極を接続したダイオード23とを含む。電流抑制回路は、3つのダイオード21〜23で構成し、整流回路11から平滑コンデンサ12へ供給される電流を制限せずに、直流電源3から平滑コンデンサ12へ供給される電流を抑制している。
【0023】
電流抑制回路は、ダイオード21〜23により直流電源3から平滑コンデンサ12へ電流を抑制することで、直流電源3から直流電力を給電したときに平滑コンデンサ12を充電するために流れる大電流(突入電流)の発生を抑えることができ、機器の安全性を向上させることができる。また、電流抑制回路は、突入電流の発生を抑えることができるので、機器のヒューズ20bを切る等の故障を防止することができる。また、電流抑制回路は、安価なダイオード21〜23のみで構成されているので、低価格、簡単な構成で突入電流を抑制することができる。
【0024】
図1に示す電流抑制回路では、直流電源3から平滑コンデンサ12への直流電力の給電がほとんど行なわれないように抑制(平滑コンデンサ12を迂回)しており、平滑コンデンサ12の充電が行なわれない。しかし、直流負荷4に並列に接続されてる平滑コンデンサ12が充電されていない状態で、直流電源3から直流負荷4への直流電力の給電が行なわれると直流電流に揺らぎが生じる場合がある。
【0025】
そこで、
図1に示す直流回路部20は、直流電源3とダイオード23のアノード電極との間に接続した抵抗素子24を設け、直流電源3−抵抗素子24−ダイオード23−平滑コンデンサ12の電流経路(図中、破線で示す経路)を有している。そのため、直流電源3から直流負荷4への直流電力の給電が行なわれると、抵抗素子24を介して平滑コンデンサ12が少しずつ充電することができ、直流電源3から直流負荷4へ供給される直流電流の揺らぎを抑え、直流回路部20の安定化を図ることができる。このとき、接続する抵抗素子24は、十分な電力容量を持った抵抗として、突入電流を抑制する働きも有している。そのため、抵抗素子24は、直流電力の給電を開始したとき平滑コンデンサ12への充電を少しずつ行ない、直流電力の給電が安定化したとき平滑コンデンサ12への充電が終わり、直流回路部20の動作を安定化させる。
【0026】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る電源駆動回路1は、ダイオード21〜23で構成される電流抑制回路で直流電源3から平滑コンデンサ12への電流を抑制しているので、突入電流の発生を抑え、機器の安全性を向上させることができる。また、電源駆動回路1は、突入電流の発生を抑えることで、機器のヒューズ20bを切るなどの故障を防止することができる。さらに、電源駆動回路1は、直流電力の給電を開始したとき平滑コンデンサ12への充電を少しずつ行なうための抵抗素子24を含んでいるの、直流電源3から直流負荷4へ供給される直流電流の揺らぎを抑え、直流回路部20の安定化を図ることができる。
【0027】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る電源駆動回路の構成を示すブロック図である。
図2に示す電源駆動回路1aは、
図1に示した電源駆動回路1と同様、交流電源2または直流電源3と接続して直流負荷4を駆動するため電源を供給するための回路である。また、電源駆動回路1aは、交流回路部10と、直流回路部30とを含んでいる。なお、電源駆動回路1aは、本発明の実施の形態1に係る電源駆動回路1と同じ構成要素について、同じ番号を付与して詳細な説明を繰返さない。ここで、直流負荷4は、たとえば、冷凍冷蔵庫などのコンプレッサ4aと、当該コンプレッサ4aを駆動するインバータ回路4bとを含んでいる。
【0028】
直流回路部30は、直流電源3と接続し、直流電源3からの直流電力を直流負荷4に供給する回路である。直流回路部30にも、交流電源2または直流負荷4からの電流が直流電源3に流れ込まないようにダイオード20aと、直流電源3から大電流が直流負荷4に流れて直流負荷4を破損しないようにヒューズ20bとが設けられている。さらに、直流回路部30は、平滑コンデンサ12へ供給される電流を抑制する電流抑制回路を含んでいる。
【0029】
しかし、直流回路部30の電流抑制回路は、3つのダイオード21〜23で構成されているのではなく、平滑コンデンサ12の正極と、直流電源3との間に接続したパワーサーミスタ31を含む構成である。パワーサーミスタ31は、NTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)であり、温度の上昇に対して抵抗が減少するサーミスタである。
【0030】
パワーサーミスタ31は、温度が低いとき(電流が流れていないとき)抵抗が大きいため、出力する電流値を基準値より小さく抑えることができる。そのため、パワーサーミスタ31は、直流電源3から直流負荷4へ直流電力の供給を開始する際、パワーサーミスタ31自体の温度が低いので、直流電源3から平滑コンデンサ12への電流を抑制することができ、突入電流の発生を抑えることができる。そして、パワーサーミスタ31に電流が流れることでパワーサーミスタ31自体が発熱し、温度が高くなり抵抗が小さくなる。そのため、パワーサーミスタ31は、突入電流の発生を抑えた後、温度が高く抵抗が小さくなり、電流損失を少なく直流負荷4に電流を供給することができる。なお、パワーサーミスタ31は、ニッケル、マンガン、コバルト、鉄などの酸化物を混合して焼結し形成することができる。
【0031】
パワーサーミスタ31は、温度が低いとき抵抗が大きいため、出力する電流値を基準値より小さく抑えることができる。しかし、直流電源3から直流負荷4へ直流電力の供給が繰返し行なわれた場合、パワーサーミスタ31の温度が十分に低くなる前(温度が高い状態)に、パワーサーミスタ31に電流が再び供給される。そのため、抵抗値が低い状態でパワーサーミスタ31に電流が流れ、突入電流の発生を制限できないことが考えられる。そこで、
図2に示す直流回路部30は、パワーサーミスタ31に対して並列に接続したリレー回路32と、該リレー回路32を制御するリレー駆動回路33とをさらに含んでいる。
【0032】
リレー駆動回路33は、直流電源3を直流回路部30に接続した当初、リレー回路32をオフ状態にしてパワーサーミスタ31で平滑コンデンサ12へ供給される電流を抑制し、その後の所定の期間、リレー回路32をオン状態にしてパワーサーミスタ31に流れる電流を、リレー回路32を含む経路に迂回させる。これにより、リレー回路32を含む経路に電流を迂回させている間、パワーサーミスタ31に電流が流れず温度が低下するので、直流電源3から直流負荷4へ直流電力の供給が繰返し行なわれた場合でも、パワーサーミスタ31の温度を十分に低下させて突入電流の発生を制限することができる。
【0033】
リレー回路32を設けて直流電源3から直流負荷4へ直流電力の供給経路を切替える場合、パワーサーミスタ31に代えて、抵抗器を設置することで突入電流の発生を抑えることができる。つまり、直流電源3を直流回路部30に接続した当初、リレー回路32をオフ状態にして抵抗器に電流を流して突入電流の発生を抑え、その後、リレー回路32をオン状態にして抵抗器を含む経路に迂回して電流を流す。
【0034】
なお、リレー回路32を設けて直流電力の供給経路へ切替える構成は、リレー駆動回路33へ電力を常時供給する必要があり、リレー回路32を駆動するための電源電圧を生成する回路(図示せず)が必要である(たとえば12V電源、24V電源)。そのため、リレー回路32を設ける構成は、
図1に示したダイオード21〜23を含む電流抑制回路の構成に比べ、別の電源回路が必要となるため、回路構成が増加する。一方、
図1に示したダイオード21〜23を含む電流抑制回路の構成は、回路構成が簡単になり低価格で実現できる。
【0035】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る電源駆動回路1aは、電流抑制回路が、平滑コンデンサ12の一端と、直流電源3との間に接続したパワーサーミスタ31であるので、突入電流の発生を抑え、機器の安全性を向上させることができる。さらに、電流抑制回路は、パワーサーミスタ31に対して並列に接続するリレー回路32と、該リレー回路32を駆動するリレー駆動回路33とをさらに含むことで、リレー駆動回路33が、パワーサーミスタ31に流れる電流を所定の期間、迂回させるようにリレー回路32を駆動することができ、直流電力の供給が繰返し行なわれた場合でも、突入電流の発生を制限することができる。
【0036】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3に係る電源駆動回路の構成を示すブロック図である。
図3に示す電源駆動回路1bは、
図1に示した電源駆動回路1と同様、交流電源2または直流電源3と接続して直流負荷4を駆動するため電源を供給するための回路である。また、電源駆動回路1bは、交流回路部10と、直流回路部40とを含んでいる。なお、電源駆動回路1bは、本発明の実施の形態1に係る電源駆動回路1と同じ構成要素について、同じ番号を付与して詳細な説明を繰返さない。
【0037】
電源駆動回路1bは、交流電力を入力時にも動作することを前提にしているため、たとえばエアコンなどの電気機器では、2000μFもの大容量の電解コンデンサを平滑コンデンサ12として搭載している。そのため、電源駆動回路1bは、この平滑コンデンサ12に直流電源3を接続した場合、大きな突入電流が発生し、ヒューズ20bが切れる等の問題が発生するので、実施の形態1に係る電源駆動回路1と同様に、ダイオード21〜23を含む電流抑制回路を備えている。
【0038】
一方、直流電力の揺らぎは、交流電力を平滑化した電力の揺らぎに比べ小さいが、実施の形態1に係る電源駆動回路1では平滑コンデンサ12を利用して、当該直流電力の揺らぎを抑えている。具体的に、実施の形態1に係る電源駆動回路1では、抵抗素子24を設け、直流電源3を接続した場合に当該抵抗素子24を介して平滑コンデンサ12を充電することで、直流電力の揺らぎを抑えている。
【0039】
しかし、直流電力の揺らぎは、交流電力を平滑化した電力の揺らぎに比べて小さいので、直流電力の揺らぎを抑えるために、平滑コンデンサ12と同じ容量を必要としない。そのため、電源駆動回路1bでは、ダイオード21〜23を含む電流抑制回路で平滑コンデンサ12が直流電源3側から見えないようにしておき、直流回路部40に平滑コンデンサ12に比べ小さいコンデンサ41を設けてある。具体的に、コンデンサ41は、直流負荷の一端とダイオード21のカソード電極との間で、平滑コンデンサ12に対して並列に接続してある。たとえば、平滑コンデンサ12が2000μFの電解コンデンサである場合、コンデンサ41は1μFのフィルムコンデンサとすることができる。コンデンサ41のフィルムコンデンサは、平滑コンデンサ12の電解コンデンサと容量や品種が異なるため、突入電流が数分の一〜数十分の一に低減することができる。そのため、電源駆動回路1bでは、コンデンサ41を直流回路部40に設けても、平滑コンデンサ12による大電流の突入電流は発生せず、ヒューズ20bが切れる等の問題は発生しない。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る電源駆動回路1bは、直流負荷4の一端とダイオード21のカソード電極との間に接続したコンデンサ41をさらに含むので、突入電流の発生によるヒューズ20b切れ等の問題を回避しつつ、直流電力の揺らぎを抑えることができる。
【0041】
(変形例)
直流電源3が太陽光発電システムで、パワーコンディショナーを介して直流回路部40に直流電力が供給される場合、電源駆動回路は、パワーコンディショナーの高周波成分による変動が重畳した直流電力を直流負荷4に供給することになる。そこで、変形例に係る電源駆動回路では、パワーコンディショナなどによる高周波成分による変動を抑えるための回路構成を説明する。
【0042】
図4は、変形例に係る電源駆動回路の構成を示すブロック図である。
図4に示す電源駆動回路1cは、
図3に示した電源駆動回路1bと同様、交流電源2または直流電源3と接続して直流負荷4を駆動するため電源を供給するための回路である。また、電源駆動回路1cは、交流回路部10と、直流回路部40とを含んでいる。なお、電源駆動回路1cは、本発明の実施の形態3に係る電源駆動回路1bと同じ構成要素について、同じ番号を付与して詳細な説明を繰返さない。
【0043】
直流回路部40は、高周波成分による変動を抑えるために、直流電源3の入力側に直列に接続したチョークコイル42を含んでいる。チョークコイル42は、ダイオード20aのカソード電極とコンデンサ41の一端との間に接続してある。そのため、チョークコイル42は、コンデンサ41と組合わせてローパスフィルターを形成し、高周波成分による変動を抑えることができる。なお、チョークコイル42の容量を大きくすることで、コンデンサ41の静電容量を小さくすることがで、発生する突入電流をさらに小さくすることができる。
【0044】
以上のように、変形例に係る電源駆動回路1cは、直流電源3とコンデンサ41との間にチョークコイル42をさらに含むので、コンデンサ41およびチョークコイル42がローパスフィルターを形成し、直流電源3の高周波成分による変動を抑えることができる。
【0045】
なお、本発明の実施の形態1〜3および変形例で説明した電源駆動回路1,1a〜1cは、冷凍冷蔵庫やエアコンなどの電気機器に組込まれることで、電気機器を交流電源2ぬも、直流電源3にも接続することが可能になる。さらに、電源駆動回路1,1a〜1cを組込んだ電気機器は、直流電源3に接続した場合でも、突入電流の発生を抑え、ヒューズ20bを切るなどの故障を防止することができ、安全性が向上する。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。