特許第6022291号(P6022291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022291
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   F24F11/02 101D
   F24F11/02 101L
   F24F11/02 101M
   F24F11/02 101G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-223079(P2012-223079)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-74564(P2014-74564A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】薄田 治
(72)【発明者】
【氏名】武藤 哲平
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−229662(JP,A)
【文献】 特開平08−271016(JP,A)
【文献】 特開平09−243210(JP,A)
【文献】 特開2006−292240(JP,A)
【文献】 特開昭60−144548(JP,A)
【文献】 特開昭64−075842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、室内に配される室内熱交換器と、冷媒を減圧する膨張弁と、室外に配される室外熱交換器とを環状に接続した冷凍サイクルと、該冷凍サイクルの途中に設置され冷媒の流動方向を変更する流路切替手段と、室内の空気を前記室内熱交換器に供給する室内ファンと、室外の空気を前記室外熱交換器に供給する室外ファンと、前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交センサと、室内の温度を検出する室温センサと、所望の室内温度となるように設定温度を設定するリモコンと、該リモコンで設定された設定温度となるように前記室内ファン及び前記室外ファンを駆動させ、前記圧縮機を駆動させて前記室内熱交換器へ冷媒を流動させる暖房運転を行うと共に、前記室外熱交センサで第1除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記室内ファン及び前記室外ファンを停止させ、前記流路切替手段により前記暖房運転時と逆方向に冷媒を流動させる除霜運転を制御する制御部とを備えた空気調和機において、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下で、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より所定値だけ高い前記第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続して、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より所定値だけ高い前記第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始することを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
冷媒を圧縮する圧縮機と、室内に配される室内熱交換器と、冷媒を減圧する膨張弁と、室外に配される室外熱交換器とを環状に接続した冷凍サイクルと、該冷凍サイクルの途中に設置され冷媒の流動方向を変更する流路切替手段と、室内の空気を前記室内熱交換器に供給する室内ファンと、室外の空気を前記室外熱交換器に供給する室外ファンと、前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交センサと、室内の温度を検出する室温センサと、所望の室内温度となるように設定温度を設定するリモコンと、該リモコンで設定された設定温度となるように前記室内ファン及び前記室外ファンを駆動させ、前記圧縮機を駆動させて前記室内熱交換器へ冷媒を流動させる暖房運転を行うと共に、前記室外熱交センサで第1除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記室内ファン及び前記室外ファンを停止させ、前記流路切替手段により前記暖房運転時と逆方向に冷媒を流動させる除霜運転を制御する制御部とを備えた空気調和機において、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態であれば、所定時間における前記室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、前記変化率が負の所定値以下であれば前記除霜運転を開始することを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続していれば、所定時間における前記室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、前記変化率が負の所定値以下であれば前記除霜運転を開始することを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、暖房運転を行うと共に除霜運転を行う空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、冷凍サイクル中の圧縮機で高温にされた冷媒を室内熱交換器に流入し、室内ファンで室内空気を室内熱交換器に供給して暖房運転を行う空気調和機があり、暖房運転中に外気温が低下して低温の冷媒が流動する室外熱交換器に着霜が発生し室外熱交センサでの検出温度が除霜開始温度以下になると、室内ファンと室外ファンとを停止させ、冷媒を逆方向に流動させることで室外熱交換器の除霜を実施する除霜運転を行っていた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−78065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来のものでは、一般にリモコンで設定された設定温度以上に室温が到達したと判断したら、暖房運転を中断させて室温が上がりすぎないようにしているが、暖房運転時の設定温度を低くしたことや他の暖房器具を併用して室内を加熱している等により、暖房負荷が小さい状態で外気温が低い場合、室温が設定温度以上に上昇したことにより暖房運転を一時中断し、その後、室温が低下して暖房運転を再開すると、暖房運転再開後すぐに室外熱交換器の温度が低下して除霜開始温度に到達し除霜運転が開始され、再び暖房運転が中断されることがあるため、暖房運転が頻繁に断続されることで使用者の暖房感が喪失することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、冷媒を圧縮する圧縮機と、室内に配される室内熱交換器と、冷媒を減圧する膨張弁と、室外に配される室外熱交換器とを環状に接続した冷凍サイクルと、該冷凍サイクルの途中に設置され冷媒の流動方向を変更する流路切替手段と、室内の空気を前記室内熱交換器に供給する室内ファンと、室外の空気を前記室外熱交換器に供給する室外ファンと、前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交センサと、室内の温度を検出する室温センサと、所望の室内温度となるように設定温度を設定するリモコンと、該リモコンで設定された設定温度となるように前記室内ファン及び前記室外ファンを駆動させ、前記圧縮機を駆動させて前記室内熱交換器へ冷媒を流動させる暖房運転を行うと共に、前記室外熱交センサで第1除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記室内ファン及び前記室外ファンを停止させ、前記流路切替手段により前記暖房運転時と逆方向に冷媒を流動させる除霜運転を制御する制御部とを備えた空気調和機において、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始するものである。
【0006】
また、請求項2では、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下で、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より所定値だけ高い前記第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続して、かつ、前記室外熱交センサで前記第1除霜開始温度より所定値だけ高い前記第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記除霜運転を開始するものである。
【0008】
また、請求項4では、冷媒を圧縮する圧縮機と、室内に配される室内熱交換器と、冷媒を減圧する膨張弁と、室外に配される室外熱交換器とを環状に接続した冷凍サイクルと、該冷凍サイクルの途中に設置され冷媒の流動方向を変更する流路切替手段と、室内の空気を前記室内熱交換器に供給する室内ファンと、室外の空気を前記室外熱交換器に供給する室外ファンと、前記室外熱交換器の温度を検出する室外熱交センサと、室内の温度を検出する室温センサと、所望の室内温度となるように設定温度を設定するリモコンと、該リモコンで設定された設定温度となるように前記室内ファン及び前記室外ファンを駆動させ、前記圧縮機を駆動させて前記室内熱交換器へ冷媒を流動させる暖房運転を行うと共に、前記室外熱交センサで第1除霜開始温度以下の温度を検出したら、前記室内ファン及び前記室外ファンを停止させ、前記流路切替手段により前記暖房運転時と逆方向に冷媒を流動させる除霜運転を制御する制御部とを備えた空気調和機において、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態であれば、所定時間における前記室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、前記変化率が負の所定値以下であれば前記除霜運転を開始するものである。
【0009】
また、請求項5では、前記制御部は、前記暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を前記室温センサが検出し、かつ、前記暖房運転時における前記圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続していれば、所定時間における前記室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、前記変化率が負の所定値以下であれば前記除霜運転を開始するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、暖房運転時に前記リモコンで設定した設定温度以上の値を室温センサが検出し、かつ、室外熱交センサで第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、除霜運転を開始するので、室温が設定温度以上となって暖房要求がない状態の時に除霜運転を行うことで、暖房運転の実施時間を削ることなく室外熱交換器の除霜を行うことができ、使用者の暖房感の喪失が防止できると共に、室外熱交換器の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜時間も短縮することができる。
【0011】
また、請求項2によれば、暖房運転時にリモコンで設定した設定温度以上の値を室温センサが検出し、かつ、暖房運転時における圧縮機の出力が所定値以下で、かつ、室外熱交センサで第1除霜開始温度より所定値だけ高い第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、除霜運転を開始するので、室温が設定温度以上となって暖房要求がなく、かつ、圧縮機の出力が低く暖房負荷が小さい状態であれば除霜開始温度を上げて早期に除霜運転を行うようにしたことで、室温が十分に暖まっている時に除霜運転を行うことができ、使用者の暖房感の喪失が防止できると共に、室外熱交換器の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜時間も短縮することができる。
【0012】
また、請求項3によれば、暖房運転時にリモコンで設定した設定温度以上の値を室温センサが検出し、かつ、暖房運転時における圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続して、かつ、室外熱交センサで第1除霜開始温度より所定値だけ高い第2除霜開始温度以下の温度を検出したら、除霜運転を開始するので、室温が設定温度以上となって暖房要求がなく、かつ、圧縮機の出力が低く暖房負荷が小さい状態が所定時間以上継続しており室温が安定していれば、除霜開始温度を上げて早期に除霜運転を行うようにしたことで、室温の変動が少なく除霜運転によって室温が過度に低下するおそれがない時に除霜運転が行うことができ、使用者の暖房感の喪失が防止できると共に、室外熱交換器の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜時間も短縮することができる。
【0013】
また、請求項4によれば、暖房運転時にリモコンで設定した設定温度以上の値を室温センサが検出し、かつ、暖房運転時における圧縮機の出力が負の所定値以下の状態であれば、所定時間における室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、変化率が所定値以下であれば除霜運転を開始するので、室温が設定温度以上となって暖房要求がなく、かつ、圧縮機の出力が低く暖房負荷が小さい状態において外気温が低下し、室外熱交センサの検出温度が急激に低下したことにより除霜運転を開始することで、室温が十分に暖められた状態で室外熱交換器の着霜量が増加する前に除霜運転を行うことができ、使用者の暖房感の喪失が防止できると共に、室外熱交換器の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜時間も短縮することができる。
【0014】
また、請求項5によれば、暖房運転時にリモコンで設定した設定温度以上の値を室温センサが検出し、かつ、暖房運転時における圧縮機の出力が所定値以下の状態が所定時間以上継続していれば、所定時間における室外熱交センサで検出された温度の変化した割合である変化率を算出し、変化率が負の所定値以下であれば前記除霜運転を開始するので、室温が設定温度以上となって暖房要求がなく、圧縮機の出力が低く暖房負荷が小さい状態が所定時間以上継続して室温が安定している時に外気温が低下し、室外熱交センサの検出温度が急激に低下したことにより除霜運転を開始することで、室温の変動が少なく除霜運転によって室温が過度に低下するおそれがない時に室外熱交換器の着霜量が増加する前に除霜運転を行うことができ、使用者の暖房感の喪失が防止できると共に、室外熱交換器の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜時間も短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図
図2】同発明の第1実施形態の制御ブロック図
図3】同発明の第1実施形態の動作を説明するフローチャート
図4】同発明の第2実施形態の制御ブロック図
図5】同発明の第2実施形態の動作を説明するフローチャート
図6】同発明の第3実施形態の制御ブロック図
図7】同発明の第3実施形態の動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
次にこの発明を適用した空気調和器の一実施形態を図に基づいて説明する。
1は室内に設置された室内機、2は室外に設置された室外機であり、室内機1と室外機2とを配管で接続した冷凍サイクル3内を冷媒が流動することで、冷房運転や暖房運転が可能な空気調和機を構成している。
【0017】
4は複数のパイプ内を冷媒が流動する室内熱交換器、5は前記室内熱交換器4に室内の空気を供給する室内ファンとしてのクロスフローファン、6は室内の温度を検出するための室温センサで、それぞれ前記室内機1内に備えられており、高温や低温の冷媒を室内熱交換器4に流通させ、室内空気をクロスフローファン5を駆動させて室内熱交換器4に供給することで、室内機1が備えられた部屋の空調を行う。
【0018】
7は冷媒を圧縮させて高温高圧にする圧縮機、8は冷媒の流動方向を変化させる流路切替手段としての四方弁、9は冷媒を膨張させて低温低圧にする膨張弁、10は内部に備えられた複数のパイプ内を冷媒が流動する室外熱交換器、11は前記室外熱交換器10に向けて外気を供給する室外ファンとしての送風ファン、12は前記室外熱交換器10の温度を検出する室外熱交センサで、それぞれ前記室外機2内に備えられている。
【0019】
13は室内機1による運転モードや設定温度を設定するリモコンであり、運転の開始及び停止を指示する運転ボタン14と、暖房運転や冷房運転等の各運転モードの切替を行う運転切替ボタン15と、各運転モードにおける設定温度を変更する温度設定ボタン16と、室温や設定温度、現在時刻等を表示するディスプレイ17とが備えられている。
【0020】
18は前記室外機2内に備えられ各機能装置に指示を与えるマイコンで構成された制御部であり、四方弁8の向きを切り替えることで冷房運転と暖房運転の切替を可能とし、室温センサ6で検出された室温や室外熱交センサ12で検出された室外熱交換器10の温度と所定値とを比較する温度比較手段19が備えられている。
【0021】
次に、この発明の一実施形態における具体的な動作について説明する。
リモコン13上に設置された運転切替ボタン15で暖房運転が選択されると、四方弁8が図1の実線で示した方に切り替わって圧縮機7が駆動し、圧縮機7で圧縮され高温高圧となった冷媒が図1中の実線の矢印方向へ向けて流動して、室内熱交換器3が凝縮器として働くことで、クロスフローファン5で供給された室内空気が加熱され、室内に温風が送風される。
【0022】
室内熱交換器3から流出した冷媒は膨張弁9で膨張され低温低圧となって室外熱交換器10に流入し、蒸発器として働く室外熱交換器10に流入した冷媒は送風ファン11で供給された室外空気によって蒸発し、ガス冷媒に状態変化して圧縮機7に流入する。このように冷凍サイクル3内を冷媒が流動することで暖房運転が可能となる。
【0023】
また、リモコン13上に設置された運転切替ボタン15で冷房運転が選択されると、四方弁8が図1中の破線で示した方に切り替わって圧縮機7が駆動開始するので、圧縮機7で圧縮され高温高圧となった冷媒が破線の矢印方向に流動して室外熱交換器10内に流入し、凝縮器として働く室外熱交換器10に流入した冷媒は送風ファン11で供給された室外空気によって凝縮する。
【0024】
室外熱交換器10から膨張弁9に流入した冷媒は膨張され低温低圧となり、蒸発器として働く室内熱交換器4に冷媒が流入してクロスフローファン5で供給された室内空気の熱を吸熱してガス冷媒に状態変化し圧縮機7に流入する。このように冷凍サイクル3内を冷媒が流動することで冷房運転が可能となる。
【0025】
また、暖房運転及び冷房運転において、リモコン13の温度設定ボタン16で設定された設定温度に室温が近づくと、圧縮機7の出力を低下させて過度な室温の上昇や低下を防止することで、室温を設定温度近傍に維持することができる。
【0026】
また、冷房運転もしくは暖房運転を行っている最中に、制御部18は、リモコン13の温度設定ボタン16で設定された設定温度と室温センサ6で検出された室温とを温度比較手段19で比較し、室温が設定温度に達していると判断したら、圧縮機7とクロスフローファン5と送風ファン11とを駆動停止させ、冷房運転もしくは暖房運転を一時的に停止する温調停止を行う。その後、室温センサ6で検出された室温が設定温度から離れたと判断したら、再度冷房運転もしくは暖房運転を再開するので、室内の過度な冷暖房を防止し消費電力の増加を防止する。
【0027】
次に、室外熱交換器10の着霜を取り除く除霜運転の第1実施形態について図3のフローチャートに基づいて説明する。
リモコン13上に設置された運転切替ボタン15で暖房運転が選択され、温度設定ボタン16で設定温度を20℃に設定して、運転ボタン14が操作され暖房運転を開始したら(ステップS101)、制御部18は、室外熱交センサ12で検出された温度と所定の第1除霜開始温度(例えば−10℃)とを温度比較手段19で比較し(ステップS102)、室外熱交センサ12での検出値が−10℃以下であれば、室外熱交換器10の温度が低く着霜量が多いとして、四方弁8を切り替えて圧縮機7で高温高圧となった冷媒を室外熱交換器10に流入して着霜を溶かす除霜運転を開始する(ステップS103)。
【0028】
ここで除霜運転について説明すると、室外熱交センサ12で検出された温度が−10℃等の所定値以下である場合、室外熱交換器10の温度が低く着霜量が増加しており、このまま暖房運転を継続すると更に着霜量が増加して暖房効率が低下するため、制御部18は、四方弁8の弁方向を切り替えて冷房運転時と同じ方向に冷媒を流動させることで、圧縮機7で高温高圧に加熱された冷媒を室外熱交換器10に流入して着霜を溶かす除霜を行う。
【0029】
一方、ステップS102で室外熱交センサ12での検出値が−10℃よりも高ければ、制御部18は、室温センサ6で検出された室温を確認し(ステップS104)、検出された室温が設定温度である20℃以上か温度比較手段19で比較して(ステップS105)、検出された室温が20℃以上であれば、圧縮機7とクロスフローファン5と送風ファン11とを停止させる温調停止を行い(ステップS106)、検出された室温が20℃未満であれば、再度ステップS102で室外熱交センサ12での検出値を確認する。
【0030】
ステップS106で温調停止したら、制御部18は、室外熱交センサ12で検出された温度と前記第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度(例えば−5℃)とを温度比較手段19で比較し(ステップS107)、室外熱交センサ12で検出された温度が−5℃以下であれば、四方弁8の弁方向を切り替えてから圧縮機7を駆動させて除霜運転を開始する(ステップS108)。
【0031】
以上のように、温調停止時に室外熱交センサ12で検出された温度が第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度以下となったら除霜運転を開始することで、外気温が低くかつ、暖房運転時の設定温度が低めであったり、ファンヒータ等の室内機1以外の暖房器具を併用して室内の暖房を行っている等により、着霜する条件下でありながら空気調和機の暖房負荷が小さい場合において、温調停止が終了して暖房運転を再開した後に除霜運転の開始条件に至るまでの時間を延ばすことができ、暖房運転時間を長くすることが可能となるため、使用者の暖房感の喪失を防止し、室外熱交換器10の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜運転時間も短縮することができる。
【0032】
次に、この発明の第2実施形態について図4の制御ブロック図に基づいて説明する。
20は冷房運転及び暖房運転中に駆動する圧縮機7の出力と所定値とを比較する出力比較手段、21は暖房運転開始から所定時間である20分間における圧縮機7の平均値を常時算出して更新する平均出力算出手段であり、それぞれ制御部18に備えられ、その他の構成要素に関しては前記第1実施形態と同一なので説明を省略する。
【0033】
次に、第2実施形態の室外熱交換器10の着霜を取り除く除霜運転について図5のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS101からステップS106までは前記第1実施形態と同様の制御なので説明を省略する。
ステップS106で温調停止したら、制御部18は、温調停止する直前の圧縮機7の出力を確認し(ステップS201)、温調停止直前の出力と所定値である30Hzとを出力比較手段20で比較して(ステップS202)、温調停止直前の圧縮機7が30Hz以下の低出力で駆動していたと判断したら次のステップに進み、温調停止直前の出力が30Hzを超えていれば制御を終了する。
【0034】
ステップS202で温調停止直前の圧縮機7の出力が30Hz以下だと判断したら、制御部18は、温調停止する前の20分間における圧縮機7の平均出力について平均出力算出手段21での算出結果を確認し(ステップS203)、算出結果の平均出力と所定値である35Hzとを出力比較手段20で比較して(ステップS204)、圧縮機7の平均出力が35Hz以下の低出力で駆動していたと判断したら次のステップへ進み、平均出力が35Hzを超えていれば制御を終了する。
【0035】
ステップS204で圧縮機7の平均出力が35Hz以下だと判断したら、制御部18は、室外熱交センサ12で検出された温度と前記第1除霜開始温度より高い第2除霜開始温度(例えば−5℃)とを温度比較手段19で比較し(ステップS205)、室外熱交センサ12での検出温度が−5℃以下であれば除霜運転を開始する(ステップS206)。
【0036】
以上のように、温調停止直前の圧縮機7の出力が所定値以下で、温調停止前の20分間における圧縮機7の平均出力が所定値以下であれば、暖房負荷が小さく温調停止前の室内が十分に暖まっている状態だと判断して、第1除霜開始温度より所定値だけ高い第2除霜開始温度以下となったら除霜運転を開始することで除霜運転が早期に開始され、除霜運転の所要時間を短縮させて室温の低下を最小限に抑えることができ、使用者の暖房感の喪失を防止し、室外熱交換器10の着霜量が少ない状態で除霜が行われるため、除霜運転時間も短縮することができる。
【0037】
次に、この発明の第3実施形態について図の制御ブロック図に基づいて説明する。
22は室外熱交センサ12の所定時間である10分間における温度の変化値から温度の変化した割合である変化率aを式(1)で常時算出して更新する変化率算出手段であり、その他の構成要素に関しては前記第1実施形態及び前記第2実施形態と同一なので説明を省略する。
(1)変化率a=温度の変化値/所定時間
【0038】
次に、第3実施形態の室外熱交換器10の着霜を取り除く除霜運転について図のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS101からステップS106、及びステップS201からステップS204までは前記第1実施形態及び前記第2実施形態と同様の制御なので説明を省略する。ステップS204で圧縮機7の平均出力が35Hz以下だと判断したら、制御部18は、温調停止する前の10分間における室外熱交センサ12で検出された温度の変化率aについて変化率算出手段22で算出された数値を確認する(ステップS301)。
【0039】
ステップS301で変化率aを確認したら、制御部18は、変化率aと所定値(例えば−0.2)とを比較し(ステップS302)、変化率aが所定値である−0.2以下であれば除霜運転を開始する(ステップS303)。
【0040】
暖房運転時に室外の温度が急激に低下すると、室外熱交換器10の温度が早期に低下し着霜量の増加が懸念されるが、室外熱交センサ12で検出された温度の10分間における変化値から算出される変化率に基づいて除霜運転を開始することで、室外熱交換器10の着霜が今後増加するおそれがあるとして除霜運転を早期に開始するため、短時間で室外熱交換器10の除霜を完了することができ、除霜残りの発生が防止可能な効率のよい除霜を可能とする。
【0041】
以上のように、温調停止直前の圧縮機7の出力が所定値以下で、温調停止前の20分間における圧縮機7の平均出力が所定値以下で、所定時間における室外熱交センサ12で検出された温度の変化値から算出した変化率が所定値以下であれば除霜運転を開始するので、暖房負荷が小さく室温が設定温度の近傍で安定している時に室外の温度が急激に低下し、室外熱交換器10の着霜量が増加するおそれがあることを変化率に基づいて判断し、早期に除霜運転を開始することで、除霜運転の所要時間を短縮して室温の低下を最小限に抑えることができ、使用者の暖房感の喪失を防止できる。
【0042】
なお、前記実施形態では温調停止直前の圧縮機7の出力と温調停止前の20分間における圧縮機7の平均出力に基づき、除霜開始温度を上げたり室外熱交センサ12で検出された温度の変化率で除霜運転を開始する制御を実施しているが、これに限らず例えば、室温センサ6で検出された室温の所定時間における平均値が設定温度近傍であれば、室温が安定しており除霜運転によって室温低下するおそれが低いと判断して、除霜開始温度を所定値上げることや室外熱交センサ12で検出された温度の変化率によって除霜運転を開始する制御でもよいものである。
【0043】
また、今回の実施形態では、第1除霜開始温度を−10℃、第2除霜開始温度を−5℃とし、更に、除霜開始温度を上げたり室外熱交センサ12で検出された温度の変化率による除霜開始の条件について、温調停止直前の出力を30Hz以下、圧縮機7の温調停止してから20分間の平均出力を35Hz以下、10分間における室外熱交センサ12で検出された温度の変化率を−0.2以下としたが、ここで示した数値に限らず、本発明の内容から逸脱しない範囲で数値を変更してもよいものである。
【符号の説明】
【0044】
1 室内機
2 室外機
3 冷凍サイクル
4 室内熱交換器
5 クロスフローファン
6 室温センサ
7 圧縮機
8 四方弁
9 膨張弁
10 室外熱交換器
11 送風ファン
12 室外熱交センサ
13 リモコン
18 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7