特許第6022399号(P6022399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6022399-カステラ用取り板 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022399
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】カステラ用取り板
(51)【国際特許分類】
   A21B 3/07 20060101AFI20161027BHJP
   A21C 15/00 20060101ALI20161027BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20161027BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20161027BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   A21B3/07
   A21C15/00 C
   A47J43/28
   B32B5/18
   B32B27/32
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-101383(P2013-101383)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-221013(P2014-221013A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】513118432
【氏名又は名称】藤田 耕二
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 耕二
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−024681(JP,A)
【文献】 特開平11−056653(JP,A)
【文献】 特開昭60−198231(JP,A)
【文献】 特開昭63−148964(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0175340(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21B 3/07
A21C 15/00
A47J 43/28
B32B 5/18
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼き上げられた直後のカステラを移し替えるカステラ用取り板であって、非発泡ポリエチレンからなる薄板状の芯材の両面にシート状のアルミニウムからなる面材を有し、さらにその両表面に薄板状の樹脂発泡体からなる表層材を有するカステラ用取り板。
【請求項2】
前記樹脂発泡体は、発泡ポリプロピレンまたは発泡ポリエチレンである請求項1記載のカステラ用取り板。
【請求項3】
長さ500mm以上、幅400mm以上、厚さ8mm以上である請求項1または2に記載のカステラ用取り板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き上げられた直後のカステラを移し替えるカステラ用取り板に関する。
【背景技術】
【0002】
カステラの製造現場では、長年木製(合板)の取り板が使用されている。例えば、カステラは釜で約1時間、200℃前後で焼き上げられた後、釜から取り出されてそのまま取り板に移し替えられ、取り板ごと天板ラックに差し込まれて一昼夜成熟させる。
【0003】
ところが、このように長年使用されてきた木製の取り板は、洗浄するたびに端部よりささくれが発生し、それが次第にめくれることにより木屑が脱落し、カステラに混入してしまう危険性がある。また、木製の取り板では、洗浄後の乾燥時間も長くかかってしまうため、カビ等が発生する原因にもなっている。
【0004】
一方、菓子製パン分野では、プラスチックとアルミニウムの複合ボードであるプラスチック取り板(商品名:アルミン)が使用されることもある。このプラスチック取り板は、非特許文献1,2に記載のように、ポリプロピレン、アルミニウム、発泡ポリプロピレン、アルミニウム、ポリプロピレンを順に積層した構造である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“板物・ブロック[取り板[アルミン]]”,[online],住ベ テクノプラスチック株式会社,[平成25年4月25日検索],インターネット<URL:http://www.sumibe.co.jp/products/build_02.html>
【非特許文献2】“アルミン軽量タイプ(プラスチック取り板)”,[online],キッチン工房,[平成25年4月25日検索],インターネット<URL:http://www.kitchen-koubou.com/net5001-01.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、カステラの製造現場で長年使用されている木製の取り板では、脱落した木屑が混入したり、洗浄後の乾燥時間が長くかかったりすることが問題となっており、これに代わる取り板が望まれている。
【0007】
一方、菓子製パン分野で使用されている上記プラスチック取り板は、焼き上げられた菓子製パンを載せるのには適しているが、焼き上げられた直後に表面がしっとりしているカステラを移し替えると、表面のポリプロピレンにカステラが貼り付き、型崩れしてしまう恐れがある。また、釜で焼き上げられた直後のカステラは、長さ500mm以上、幅500mm以上の大きさで、面荷重10kg程度の重さであり、さらに200℃程度の高温であるため、上記プラスチック取り板では変形してしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本発明においては、焼き上げられた直後のカステラを釜から取り出してそのまま移し替えても、貼り付いて型崩れしたり、変形することのないカステラ用取り板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカステラ用取り板は、焼き上げられた直後のカステラを移し替えるカステラ用取り板であって、非発泡ポリエチレンからなる薄板状の芯材の両面にシート状のアルミニウムからなる面材を有し、さらにその両表面に薄板状の樹脂発泡体からなる表層材を有するものである。
【0010】
本発明のカステラ用取り板によれば、非発泡ポリエチレンからなる薄板状の芯材の両面にシート状のアルミニウムからなる面材を有することで、高剛性を確保しているため、長さ500mm以上、幅400mm以上の大きさで、面荷重11kg程度の重さであっても耐えることができ、釜で約1時間、200℃前後の高温で焼き上げられた直後のカステラが移し替えられて、一昼夜成熟させても、反ったり、変形したりすることがない。
【0011】
また、両表面に薄板状の樹脂発泡体からなる表層材を有するため、表面が吸水性を有し、焼き上げられた直後の表面がしっとりしているカステラを移し替えても貼り付くことがなく、型崩れすることがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカステラ用取り板によれば、焼き上げられた直後のカステラを釜から取り出してそのまま移し替えても、貼り付いて型崩れしたり、変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態におけるカステラ用取り板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の実施の形態におけるカステラ用取り板の断面図である。図1において、本発明の実施の形態におけるカステラ用取り板1は、非発泡(発泡でない、無垢の)ポリエチレンからなる薄板状の芯材2の両面に、シート状のアルミニウムからなる面材3を有する。さらに、その両表面には、薄板状の樹脂発泡体としての発泡ポリプロピレンからなる表層材4を有する。
【0015】
表層材4は、緻密な表面層と微少な独立気泡構造を有する発泡倍率3倍程度の発泡ポリプロピレンであり、従来の木製取り板と同等の水分を吸収して呼吸する機能(吸水性)を有する。芯材2、面材3および表層材4は、互いに耐熱性接着剤により接着されている。
【0016】
カステラ用取り板1は、長さ500mm以上800mm以下、幅400mm以上700mm以下、全体の厚さ8mm以上15mm以下である。また、芯材2の厚さは3mm以上8mm以下、面材3の厚さは0.3mm以上3mm以下、表層材4の厚さは3mm以上8mm以下である。
【0017】
このカステラ用取り板1によれば、非発泡ポリエチレンからなる薄板状の芯材2の両面にシート状のアルミニウムからなる面材3を有することで、高剛性を確保しているため、長さ500mm以上、幅400mm以上の大きさで、面荷重11kg程度の重さ(カステラ12斤分8.5kg+焼き上げ用木枠2.5kg)であっても耐えることができ、釜で約1時間、200℃前後の高温で焼き上げられた直後のカステラが移し替えられて、一昼夜成熟させても、反ったり、変形したりすることがない。
【0018】
また、両表面に薄板状の発泡ポリプロピレンからなる表層材4を有するため、カステラ用取り板1の表面が吸水性を有し、焼き上げられた直後の表面がしっとりしているカステラを移し替えても貼り付くことがなく、型崩れすることがない。特に、発泡倍率3倍程度の表層材4では、カステラが乾燥してしまうこともなく、ほどよく乾燥して湿度を保った状態となり、高品質のカステラが得られて丁度良い。なお、表層材4の発泡倍率は、3倍が最も好ましいが、2〜4倍、より好ましくは2.5〜3.5倍とすることも可能である。なお、発泡倍率が2倍未満の場合、表層材4の吸水性が不足し、カステラの表面が水浸しになる可能性がある。一方、4倍を超えた場合、表層材4の表面に疵が入りやすくなり、カステラ表面の平滑性が損なわれる可能性がある。
【0019】
また、このカステラ用取り板1は、従来の木製の取り板のように、ささくれたり、乾燥に時間が掛かることもなく、長期間に渡って使用することが可能である。なお、発泡ポリプロピレンに代えて、表層材4を発泡ポリエチレン等の他の樹脂発泡体により形成することも可能である。要するに、表層材4を樹脂発泡体とすることで、カステラ用取り板1の表面に適度な吸水性を確保し、焼き上げられた直後の表面がしっとりしているカステラを移し替えても貼り付くことがなく、型崩れすることがなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のカステラ用取り板は、焼き上げられた直後のカステラを移し替える取り板として有用であり、特に、焼き上げられた直後のカステラを釜から取り出してそのまま移し替えても、貼り付いて型崩れしたり、変形することのないカステラ用取り板として好適である。
【符号の説明】
【0021】
1 カステラ用取り板
2 芯材
3 面材
4 表層材
図1