特許第6022446号(P6022446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アップル インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000002
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000003
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000004
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000005
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000006
  • 特許6022446-振動閉じ込めシステム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022446
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】振動閉じ込めシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 7/18 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   H04R7/18
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-513393(P2013-513393)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-531430(P2013-531430A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011039161
(87)【国際公開番号】WO2011153490
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】12/794,508
(32)【優先日】2010年6月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン クレイトン
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−187096(JP,A)
【文献】 特表2002−521940(JP,A)
【文献】 実開昭63−140792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ダイアフラム領域から外側ダイアフラム領域に延び、前記外側ダイアフラム領域は前記内側ダイアフラム領域に対して所定の角度で屈曲するダイアフラムと、
フレームと、
前記ダイアフラムの下に配置され、前記ダイアフラムに構造的支持を与える音声コイル巻型であって、該音声コイル巻型上縁が前記内側ダイヤフラム領域と外側ダイヤフラム領域との間でダイアフラムと界面接続し、前記内側ダイアフラム領域が音声コイル巻型の内側に配置され、前記外側ダイアフラム領域が前記音声コイル巻型の外側に配置される音声コイル巻型と、
内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延び、前記外側サスペンション領域は前記フレームに取り付けられ、前記内側サスペンション領域は前記外側ダイアフラム領域と重なって取り付けられて、前記内側ダイアフラム領域に対して前記所定の角度に向けられた振動閉じ込め部を形成する、サスペンション材と、を備え
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の配向は、前記内側ダイアフラム領域を、前記外側サスペンション領域からのスプリアス屈曲波から隔離する、
ことを特徴とするラウドスピーカ。
【請求項2】
前記内側サスペンション領域及び前記外側ダイアフラム領域は、接着剤により界面において取り付けられ、
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の前記向きが、前記界面上に一次剪断荷重を誘起させ、それによって前記界面が強化される、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項3】
前記所定の角度は約90度である、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項4】
前記フレームは水平面内に取り付けリングを含み、
前記外側サスペンション領域は前記取り付けリングに取り付けられる、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項5】
前記外側ダイアフラム領域を通る下向きの平面は、約45度で前記水平面と交差する、
請求項4に記載のラウドスピーカ。
【請求項6】
前記内側サスペンション領域を通る上向きの平面は、約45度で前記水平面と交差する、
請求項5に記載のラウドスピーカ。
【請求項7】
前記内側サスペンション領域及び前記外側サスペンション領域の少なくとも1つはフランジを含む、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項8】
前記内側ダイアフラム領域は凹形状ドーム及び凸形状ドームのいずれか1つを含む、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項9】
前記内側ダイアフラム領域は円錐形状を含む、
請求項1に記載のラウドスピーカ。
【請求項10】
内側ドーム域から外側環状域に延び、前記外側環状域は前記内側ドーム域に対して所定の角度で屈曲する、ダイアフラムと、
前記ダイアフラムの下に配置され、前記ダイアフラムに構造的支持を与え、底縁から上縁に延び、前記上縁は前記内側ドーム域と前記外側環状域との間で前記ダイアフラムと界面接続する、音声コイル巻型であって、前記内側ドーム域が前記音声コイル巻型の内側に配置され、前記外側環状域が前記音声コイル巻型の外側に配置されている音声コイル巻型と、
内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延び、前記内側サスペンション領域は前記外側環状域と重なって取り付けられて、前記内側ドーム域に対して前記所定の角度に向けられた振動閉じ込め部を形成する、サスペンション部材と、を含み、
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の配向が、前記内側ドーム域を、前記外側サスペンション領域からのスプリアス屈曲波から隔離する、
ことを特徴とするラウドスピーカ。
【請求項11】
前記内側サスペンション領域及び前記外側環状域は、接着剤により界面において取り付けられ、
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の前記配向が、前記界面上に剪断荷重を誘起させ、それによって前記界面が強化される、
請求項10に記載のラウドスピーカ。
【請求項12】
前記所定の角度は約90度である、
請求項10に記載のラウドスピーカ。
【請求項13】
前記内側サスペンション領域及び前記外側サスペンション領域の少なくとも1つはフランジを含む、
請求項10に記載のラウドスピーカ。
【請求項14】
前記ダイアフラムの内側ドーム域は凹形状のドーム及び凸形状のドームのいずれか1つを含む、
請求項10に記載のラウドスピーカ。
【請求項15】
前記ダイアフラムの内側ドーム域は円錐形状を含む、
請求項10に記載のラウドスピーカ。
【請求項16】
水平面内に取り付けリングを有するフレームと、
内側凹状ドーム領域から外側環状領域に延び、前記外側環状領域は前記水平面に対して所定の角度で下向きに延びる、ダイアフラムと、
内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延び、前記外側サスペンション領域は前記フレームの前記取り付けリングに取り付けられ、前記内側サスペンション領域は、前記ダイアフラムの外側環状領域と重なって取り付けられて、前記水平面に対して前記所定の角度に向けられた振動閉じ込め部を形成する、サスペンション部材とを含み、
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の方向付けは、前記ダイアフラムの内側凹状ドーム領域を、前記外側サスペンション領域からのスプリアス屈曲波から隔離する、
ことを特徴とするラウドスピーカ。
【請求項17】
前記内側サスペンション領域及び前記外側環状領域は、接着剤により界面において取り付けられ、
前記所定の角度における前記振動閉じ込め部の前記方向付けが、前記界面上に剪断荷重を誘起させ、それによって、前記界面が強化される、
請求項16に記載のラウドスピーカ。
【請求項18】
前記所定の角度は約45度である、
請求項16に記載のラウドスピーカ。
【請求項19】
前記ダイアフラムに構造的支持を与える音声コイル巻型をさらに含む、
請求項16に記載のラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ラウドスピーカの分野に関し、より詳細には、ラウドスピーカのドライバと関連する振動の閉じ込めに関する。
(関連出願の相互参照)
この国際特許出願は、2010年6月4日に出願された米国特許出願第12/794508号に対する優先権を主張するものであり、この全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカのための音響変換器又はドライバには多くの型式がある。ドライバの機能は、従来の直接放射器のようであり、例えば、剛性のダイアフラム及びサスペンションシステムに結合された、静磁場に浸された移動音声コイルを含む。
【0003】
ラウドスピーカのモータシステムは、磁場を方向づけ形成するスチール部品により囲まれた永久磁石を含む。また、ラウドスピーカは、音声コイル巻型と呼ばれることがある非導電性のボビンの周りに巻かれた、音声コイルワイヤと呼ばれることがある導電性ワイヤ(例えば、銅被覆アルミニウム)とすることができる、音声コイルを含む。音声コイル巻型は、機械的安定性及びコイルの力をダイアフラムに伝達するためのプラットフォームを与えることができる。
【0004】
ダイアフラムは、典型的に、剛性で軽量であり、「崩壊」状態又は他の不良な挙動が最小化された状態で、空気を正確に運動させる。理想的には、ダイアフラムは、完璧にピストン状の運動を示す。ダイアフラムは、その形状により、時にはドームと呼ばれ、高剛性、低質量、及び高変形性を示し、これにより深い形状が形成できる、アルミニウム或いは類似の材料、又はこれらの複合材から形成することができる。
【0005】
サスペンションシステムは、一般に、復元力を与え、コイルを正しい位置に維持する。サスペンションは、制御された軸方向の動きを可能にする一方で、コイルがモータの構成部品に当たることがある横方向の動き又は傾斜を大幅に防止する。サスペンションの剛性対撓みは、音声コイル及びモータシステムの力対撓み特性に適合するよう慎重に設計される。サスペンションは、ポリウレタン発泡材料などから形成された部材を含み、熱及び圧力によって型の中に圧縮して成形することができる。しかしながら、サスペンション部材をダイアフラムに取り付ける際に多くの問題が生じる。例えば、サスペンション部材とダイアフラムとの取り付けにより、サスペンションシステムからのスプリアス振動をダイアフラムの表面にわたって伝達させ、結果として周波数応答の歪み及び誤りをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの周知の手法は、ダイアフラムをサスペンション部材から分離させ、それによって、ダイアフラムを、サスペンションシステムにおける高周波振動から隔離することを含む。しかしながら、かかる手法及び設計によるラウドスピーカは、製造が困難であることがあり、結果として、ラウドスピーカが、脆弱で、耐久性及び信頼性を欠くものとなる。従って、ダイアフラムを、サスペンションシステムと関連する振動から隔離する一方で、製造が簡単であり、堅牢で信頼性のあるラウドスピーカ技術に対する必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示される態様のうちのいくつかの態様の基本的な理解を与えるために、以下に、単純化された概要を提示する。この概要は包括的な概略ではなく、主要な又は重要な要素を特定することも、又はそのような態様の範囲を限定することも意図するものではない。この目的は、以下に提示される、より詳細な説明への前置きとして、単純化された形態で、説明される特徴のいくつかの概念を提示することである。
【0008】
1つ又はそれ以上の態様及びそれに対応する開示によると、振動閉じ込め及び応力管理のための改善されたラウドスピーカ設計と関連して種々の態様が説明される。本明細書に記載される技術は、ダイアフラムの内側領域を、サスペンションシステムと関連する振動から隔離する一方で、製造が簡単で信頼性のあるラウドスピーカを提供することを可能にする。1つの実施形態において、内側ダイアフラム領域(例えば、凹形状又は凸形状のドーム)から外側ダイアフラム領域に延びるダイアフラムを含み、外側ダイアフラム領域は、内側ダイアフラム領域に対して所定の角度(例えば、約90度)で屈曲する、ラウドスピーカが提供される。ラウドスピーカは、フレームと、内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延びるサスペンション部材とをさらに含み、内側サスペンション領域は外側ダイアフラム領域と重なって取り付けられ、それにより内側ダイアフラム領域に対して所定の角度で振動閉じ込め部が形成される。外側サスペンション領域は、フレームに取り付けることができる。1つの実施形態において、所定の角度は約45度乃至約135度とするのがよい。関連する態様において、所定の角度(例えば、直角)における振動閉じ込め部の方向付けは、内側ダイアフラム領域を、外側サスペンション領域からのスプリアス屈曲波又は振動から隔離する。
【0009】
関連する態様において、フレームは、水平面内に、例えば、環状平坦面等の取り付けリングを含むのがよい。外側サスペンション領域は、取り付けリングに取り付けることができる。外側ダイアフラム領域を通る下向き平面は、例えば、約15度から約60度までの間といった所与の角度で、水平面と交差するのがよい。1つの特定の実施例において、所与の角度は、約45度とするのがよい。同様に、内側サスペンション領域を通る上向き平面は、同じ所与の角度又は類似の角度で、水平面と交差するのがよい。
【0010】
さらなる関連する態様において、ラウドスピーカは、ダイアフラムの下に配置され、該ダイアフラムに構造的支持を与える音声コイル巻型をさらに含むことができる。さらに別の関連する態様において、内側サスペンション領域及び/又は外側サスペンション領域は、フランジを含むことができる。
【0011】
さらに別の関連する態様において、内側サスペンション領域及び外側ダイアフラム領域は、接着剤により界面において取り付けられる。所定の角度における振動閉じ込め部の方向付けは、界面上に剪断荷重を誘起し、それにより界面が強化される。
【0012】
本明細書に記載される実施形態の1つ又はそれ以上の態様によれば、(a)内側ドーム域から外側環状域に延び、外側環状域が内側ドーム域に対して所定の角度(例えば、約45度から約135度までの間)で屈曲する、ダイアフラムと、(b)ダイアフラムの下に配置され、該ダイアフラムに構造的支持を与え、底縁から上縁まで延び、上縁は、内側ドーム域と外側環状域との間でダイアフラムと接続する、音声コイル巻型と、を含むラウドスピーカが提供される。
【0013】
関連する態様において、ラウドスピーカは、内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延びる環状サスペンション部材をさらに含み、内側サスペンション領域はダイアフラムの外側環状域と重なって取り付けられる。
【0014】
本明細書に記載される実施形態の1つ又はそれ以上の態様によれば、(a)水平面内に取り付けリングを有するフレームと、(b)内側凹状ドーム領域から外側環状領域に延び、外側環状領域が、水平面に対して所定の角度(例えば、約45度)で下向きに延びる、ダイアフラムと、(c)内側サスペンション領域から外側サスペンション領域に延び、内側サスペンション領域はダイアフラムの外側環状領域と重なって取り付けられて、水平面に対して所定の角度に向けられた振動閉じ込め部を形成する、サスペンション部材と、を含むラウドスピーカが提供される。所定の角度における振動閉じ込め部の方向付けは、ダイアフラムの内側凹状ドーム領域を、外側サスペンション領域からのスプリアス屈曲波から隔離する。1つの実施形態において、所定の角度は、約15度から約60度までの間とするのがよい。
【0015】
上記の及び関連する目的の実現ために、1つ又はそれ以上の態様は、以下に完全に説明され、特許請求の範囲において特に指摘される特徴を含む。以下の説明及び添付図面は、一定の例示となる態様を詳細に述べるが、これらの態様の原理を用いることができる種々の方法のうちの幾つかを示すに過ぎない。他の利点及び新規な特徴は、以下の詳細な説明を図面と共に考慮したときに明らかとなり、開示される態様は、全てのそのような態様及びそれらの均等物を含むことを意図している。
【0016】
本開示の特徴、性質、及び利点は、同様な参照符号が全体を通して対応して識別される図面と併せて、以下に述べられる詳細な説明を読むことで、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的なラウドスピーカの等角図を示す。
図2図1に示す例示的なラウドスピーカの側面図を示す。
図3図2に示す例示的なラウドスピーカの断面図である。
図4図3に示す例示的なラウドスピーカの円で囲んだ部分の拡大図である。
図5図4に示す例示的なラウドスピーカの円で囲んだ部分の別の拡大図である。
図6図5に示す円で囲んだ部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、図面を参照して、種々の態様を説明する。以下の説明においては、説明目的で、1つ又はそれ以上の態様の完全な理解を与えるために、多くの特定の詳細を説明する。しかしながら、種々の態様は、これらの詳細なしで実施できることが明らかである。
【0019】
図1を参照すると、ラウドスピーカ100の等角図が示される。ラウドスピーカ100は、円形周縁部104と取り付けリング106(例えば、環状平坦面)とを含むフレーム102を含む。ラウドスピーカ100は、フレーム102内にドーム又はダイアフラム120を含む。ラウドスピーカ100は、フレーム102の上に配置されたサスペンションつまりサラウンドシステム130を含む。
【0020】
図2を参照すると、ラウドスピーカ100の側面図が示される。サスペンションシステム130は、フレーム102の取り付けリング106から上向きに延びる。フレーム102は、複数のバットレスブロック108と、フレーム102のカップ形状の底部とすることができるポット110とをさらに含む。バットレスブロック108及び/又はポット110は、金属又は類似の材料で形成することができる。磁極をポット110の最下部に組み込むことができる。フレーム102の構成部品及び/又は他のラウドスピーカの構成部品を互いに固定するための締付け具200も示される。
【0021】
図3を参照するとラウドスピーカ100の断面図が示される。ポット110内には、台座300が示される。台座300の上には、ラウドスピーカと共に用いるのに適したいずれかの周知の材料の永久磁石とすることができる磁石310が配置される。磁石310の上には、典型的には磁気的に軟らかい鉄又はスチールなどから形成される上部プレート320が配置される。音声コイル巻型332と音声コイルワイヤ334とを含む音声コイル330がさらに示される。音声コイルワイヤ334は、コイル巻型332の周りに巻くことができる。ラッパーつまりカバーを音声コイル330の周りに配置できることに留意されたい。本明細書に記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、フレーム102、台座300、磁石310、及び/又は音声コイル330の他の構成を用い得ることにさらに留意されたい。
【0022】
続けて図3の実施形態を参照すると、ダイアフラム120は、凹形状を有する。しかしながら、示されたドライバ構成は、例えば、凸形状などの他の形状のダイアフラムと共に用いることができる。前述のようにダイアフラム120は、例えば、チタン、アルミニウム、又は他の金属、又は非金属材料(例えば、プラスチック、含侵紙/強化紙等)などの剛性を与えるいずれかの好適な材料から形成することができる。
【0023】
本明細書に記載される1つ又はそれ以上の実施形態によれば、振動閉じ込め及び応力管理について改善されたラウドスピーカ設計が提供される。図4の実施形態を参照すると、図3に示した例示的ラウドスピーカの円で囲んだ部分(円A)の拡大図が示される。具体的には、図4においては、ダイアフラム120の、サスペンションシステム130のサスペンション部材132への取り付けが示される。ダイアフラム120は、例えば、ドーム形状又は円錐形状とすることができる内側ダイアフラム領域122から、下向き/上向きに延びてサスペンション部材132に取り付けることができる外側ダイアフラム領域124に向かって延びる。ある状況においては、内側ダイアフラム領域122は、ドーム、ドーム形状本体、内側ドーム域、及び凹状ドーム領域と呼ぶこともできる。
【0024】
サスペンション部材132は、音声コイル・ダイアフラム組立体の自由な軸方向運動を可能にするのに十分なだけ軟らかくかつ可撓性であることが好ましく、内側サスペンション領域134(リップを含むことができる)から外側サスペンション領域136に延びる。ダイアフラム120は、できるだけ幅広い周波数範囲にわたりピストン性であるのに十分なだけ軽量かつ剛性であることが好ましい。示された実施形態において、ダイアフラム120とサラウンドつまりサスペンション部材132との間の界面は、ダイアフラム120の形状で水平面に対しておよそ45度の屈曲を有し、円筒形の音声コイル巻型332によって下から支持される。内側ダイアフラム領域122に対する外側ダイアフラム領域124のおよそ90度の屈曲は、結果として、水平面に対しておよそ45度のダイアフラム120における屈曲をもたらすことができる。その結果、外側ダイアフラム領域124及び内側サスペンション領域134は、互いに重なって取り付けられ、共に、図5に示す取り付け領域140を形成する。本実施例において、外側ダイアフラム領域124及び内側サスペンション領域134の両方、並びに、結果としてもたらされる取り付け領域140は、内側ダイアフラム領域122を通る上向きの平面と直交する(すなわち、直交領域は、内側ダイアフラム領域122に対しておよそ90度で交差する)。
【0025】
軸方向に非常に剛性の巻型332と、内側ダイアフラム領域122に対する取り付け領域140の直交方向の組み合わせは、サスペンション部材132の望ましくない振動が、ダイアフラム120の内側ダイアフラム領域122から効率的に隔離されることを意味する。換言すれば、非ピストン性の振動は、音声コイル330の外部の領域に閉じ込められ、音声コイル330の内部の内側ダイアフラム領域122には、純粋なピストン性の運動が残る。
【0026】
続けて図4図5を参照すると、内側サスペンション領域134は、外側ダイアフラム領域124と重なって取り付けられ、それによって振動閉じ込め部510を形成する。外側サスペンション領域136は、接着剤/のり又は他の周知の好適な技術により、フレーム102(例えば、取り付けリング106において)に取り付けることができる。取り付け領域140において、外側ダイアフラム領域124のリップを、所与の角度(例えば、水平面に対して約45度)で下向きに傾斜させ、一方で、サスペンション部材132のサスペンション領域134のリップを上向き(例えば、水平面に対して約45度)で傾斜させて、リップの形状を力の方向と整合させることにより、サスペンション部材132におけるピーク応力が、1/5より低く低減されると考えられる。この幾何学的形状は、いかなる剥離型荷重も減少させるという更なる利点を与える一方、材料/接着剤の界面上において、一次的に剪断荷重を誘起するが、材料及び接着剤の両方ともこれに対してかなり堅牢であるので、接合部は強い耐亀裂伝播性をもつ。材料/接着剤の界面は、典型的には剪断に強く、しかも上述の取り付け領域140における傾斜されたリップの幾何学的形状は、結果として、主として剪断における荷重経路をもたらすことに留意されたい。別の実施形態(図示せず)においては、例えば、内側ダイアフラム領域122が凸形状のドームを含む場合などに、外側ダイアフラム領域124のリップを上向きに傾斜させ、一方で内側サスペンション領域134のリップを下向きに傾斜させて、ピーク応力を低減させることができる。
【0027】
関連する態様において、ラウドスピーカ100又はラウドスピーカドライバは、内側サスペンション領域134から、フレーム102に取り付けられた外側サスペンション領域136に延びるサスペンション部材132を含み、内側サスペンション領域134は外側ダイアフラム領域124と重なって取り付けられ、内側ダイアフラム領域122に対して所定の角度に向けられた振動閉じ込め部510を形成する。所定の角度における振動閉じ込め部510の方向付けは、内側ダイアフラム領域122を、サスペンション部材132からのスプリアス屈曲波から隔離する。
【0028】
図6を参照すると、外側ダイアフラム領域124は、それ自体に対して直角の屈曲運動を受けやすいが、面内の運動は受けづらいことに留意されたい。結果としてもたらされるダイアフラム120の材料の表面の屈曲運動は、外側ダイアフラム領域124上に重畳された正弦波610のように見える。外側ダイアフラム領域124の終点620(すなわち、ダイアフラムの屈曲の又はその近くの終点620)における運動は、外側ダイアフラム領域124の表面に対して直角となる。同様に、内側ダイアフラム領域122もまた面内の運動の点では非常に剛性であるが、面外の力の点では可撓性である。その結果、内側ダイアフラム領域122及び外側ダイアフラム領域124における力が組み合わされた場合、外側ダイアフラム領域124の運動の弱い方向は、内側ダイアフラム領域122の運動の強い方向に対応し、外側ダイアフラム領域124により内側ダイアフラム領域122に対して伝達される屈曲波成分はほとんどないか又は全くない。
【0029】
本明細書に記載される方法により、内側サスペンション領域134のリップをダイアフラム120に取り付けると、接合部の堅牢性、並びに、製造公差を増大させ、一方で、サスペンション部材132を直接ダイアフラム120に取り付ける場合に関する応力を低減させる。
【0030】
ラウドスピーカ装置における課題は、剛性変動に対する感応性であり、これはコイルが傾斜してモータに当たるロッキング状態をもたらすことがある。剛性変動の1つの主要な原因は、コイル330に対してサラウンド132が非平面的に取り囲んでいること又は非平面的に取り付けられていることである。本明細書に記載される技術は、サラウンド132に対する取り付け構造として非常に剛性かつ寸法が安定したダイアフラム120の金属支持構造を与えることにより、そのような剛性変動又は非対称性を大幅に減少させる。結果として得られる剛性非対称性の最小化は、ラウドスピーカ100に対して、より高い歩留まり率、より高いパワー処理及び広い可動域につながる。
【0031】
本明細書に記載される実施形態の1つ又はそれ以上の態様によれば、図3図4は、フレーム102、並びに、内側ダイアフラム領域122から外側ダイアフラム領域124に延びるダイアフラム120を含む例示的な装置100(例えば、ラウドスピーカ又はドライバ)を示す。外側ダイアフラム領域124は、内側ダイアフラム領域122に対して所定の角度で屈曲するのがよい。また、装置は、内側サスペンション領域134から外側サスペンション領域136に延びるサスペンション部材132も含む。内側サスペンション領域134は、外側ダイアフラム領域124と重なって、これに取り付けることができ、外側サスペンション領域136はフレーム102に取り付けることができる。1つの実施形態において、所定の角度は、約45度から約135度までの間とするのがよい。例えば、所定の角度は、約90度とするのがよい。
【0032】
関連する態様において、フレーム102は水平面内に取り付けリング106を含み、外側サスペンション領域136を取り付けリング106に取り付けることができる。外側ダイアフラム領域124を通る下向きの平面は、所与の角度(例えば、約15度から60度までの間)で、取り付けリング106の水平面と交差する。例えば、所与の角度は、約45度とするのがよい。同様に、内側サスペンション領域134を通る上向きの平面は、例えば、約10度から約70度までの間といった所与の角度(例えば、図4の実施形態に示されるように、約45度)で、水平面と交差する。
【0033】
さらなる関連する態様において、音声コイル330は、ダイアフラム120の下に配置され、該ダイアフラム120に構造的支持を与えることができる。さらに別の関連する態様において、内側サスペンション領域134及び/又は外側サスペンション領域136は、フランジを含むのがよい。さらにまた別の関連する態様において、内側ダイアフラム領域122は、凹形状のドーム又はその変形を含む。別の実施形態(図示せず)において、内側ダイアフラム領域122は、凸形状のドーム又はその変形を含む。ダイアフラム120は、特定の用途又はラウドスピーカの設計に応じて、いずれかの好適な形状、構成、又は寸法を含むことができることに留意されたい。
【0034】
本明細書に記載される実施形態の1つ又はそれ以上の態様によれば、続けて図3図4を参照すると、装置100は、内側ダイアフラム領域122(例えば内側ドーム域)から外側ダイアフラム124(例えば、外側環状域)に延びるダイアフラム120を含む。外側ダイアフラム領域124は、内側ダイアフラム領域122に対して所定の角度で屈曲する。装置100は、ダイアフラム120の下に配置され、該ダイアフラム120に構造的支持を与える音声コイル330をさらに含み、音声コイル330は、底縁から上縁に延び、上縁は、内側ダイアフラム領域122と外側ダイアフラム領域124との間で、ダイアフラム120と界面接続する。1つの実施形態において、所定の角度は約45度乃至約135度(例えば、約90度)とするのがよい。
【0035】
関連する態様において、装置100は、内側サスペンション領域134から外側サスペンション領域136に延びる環状サスペンション部材132をさらに含み、内側サスペンション領域134は、ダイアフラム120の外側ダイアフラム領域124と重なって取り付けられる。さらなる関連する態様において、内側サスペンション領域134及び/又は外側サスペンション領域136は、フランジを含む。本実施例において、内側ダイアフラム領域122は、凹状のドームを含む。しかしながら、内側ダイアフラム領域122は、特定の用途に応じて、いずれかの好適な形状(例えば、凸状ドーム、円錐形状等)、構成、又は寸法からなることができることを理解されたい。
【0036】
本明細書に記載される実施形態の1つ又はそれ以上の態様によれば、続けて図3図4を参照すると、装置100は、水平面内に環状平坦面を有するフレーム102、並びに、内側ダイアフラム領域122(例えば、内側凹状ドーム領域)から外側ダイアフラム領域124(例えば、外側環状領域)に延びるダイアフラム120を含み、外側ダイアフラム領域124は、水平面に対して所定の角度(例えば、約15度から約60度までの間)で(例えば、下向き又は上向きに)屈曲する。装置100は、内側サスペンション領域134から外側サスペンション領域136に延びるサスペンション部材132をさらに含み、内側サスペンション領域134は、外側ダイアフラム領域124と重なり、これに取り付けることができ、外側サスペンション領域136は、フレーム102の取り付けリング106の環状平坦面に取り付けることができる。関連する態様において、装置100は、ダイアフラム120に構造的支持を与える、上向きに延びる音声コイル巻型332をさらに含むのがよい。
【0037】
図3図4の実施例において、所定の角度はおよそ45度であるが、ダイアフラム120の外側ダイアフラム領域124は、他の好適な角度で屈曲することができることを理解されたい。同様に、内側サスペンション領域134は、ダイアフラム120における屈曲の所定の角度と比較して、同じ又は類似の角度で上向きに延びることができる。
【0038】
本発明が、特に好ましい実施形態により図示され説明されたが、それにより本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。当業者には明らかであるように、上記の方法及び装置のいずれの特徴も他のものに置換する又は加えることができる。本発明の原理を組み込む、本明細書に記載される特定の実施形態の変更が、当業者には想起され、それも本発明の範囲内に入ることも理解すべきである。
【符号の説明】
【0039】
100:ラウドスピーカ
102:フレーム
104:周縁部
106:取り付けリング
108:バットレスブロック
110:ポット
120:ダイアフラム
122:内側ダイアフラム領域
124:外側ダイアフラム領域
130:サスペンションシステム
132:サスペンション部材
134:内側サスペンション領域
136:外側サスペンション領域
140:取り付け領域
200:締付け具
300:台座
310:磁石
320:上部プレート
330:音声コイル
332:音声コイル巻型
334:音声コイルワイヤ
510:振動閉じ込め部
610:正弦波
620:終点
図1
図2
図3
図4
図5
図6