(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022467
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】自動車用電子制御パネル
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20161027BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20161027BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20161027BHJP
B60K 37/06 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
B60R16/02 630L
G06F3/041 422
B60K35/00 Z
B60K37/06
B60R16/02 640K
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-538247(P2013-538247)
(86)(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公表番号】特表2014-502230(P2014-502230A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】FR2011000595
(87)【国際公開番号】WO2012062979
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年10月29日
(31)【優先権主張番号】10/04401
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】タン、デュ、ウイン
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/064545(WO,A1)
【文献】
特開2010−044492(JP,A)
【文献】
特表2003−503265(JP,A)
【文献】
特開2003−202960(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/032515(WO,A1)
【文献】
特表平09−505163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
B60K 37/06
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の電子制御パネル(1)であって、
第1の静電容量技術からなるタッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)と、
前記第1の静電容量技術と異なる第2の静電容量技術からなり、前記タッチセンシティブディスプレイスクリーンと連続したタッチセンシティブ制御表面(5)と、
前記タッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)および前記タッチセンシティブ制御表面(5)の共通支持体(33)と、
を備え、
前記タッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)および前記タッチセンシティブ制御表面(5)は、前記電子制御パネルがオフ状態であるときに均質、均一、および略連続した制御面を規定するように前記共通支持体(33)上に配置されて同一レベルで連結されることを特徴とする、電子制御パネル。
【請求項2】
前記タッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)が、無反射ワニスでコーティングされた透明なポリカーボネート部品(11)で被覆されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項3】
前記タッチセンシティブ制御表面(5)が、透明なポリカーボネート部品(13)を備え、前記ポリカーボネート部品(13)が、ユーザ(2)と対面するように構成された面とは反対の面上が黒色塗装され、かつ、機能的ピクトグラム(17)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項4】
前記ピクトグラム(17)が、レーザスクラッチングによって作成されることを特徴とする、請求項3に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項5】
前記タッチセンシティブ制御表面(5)が、ユーザ(2)と対面するように構成された面とは反対の面に接合された静電容量フィルム(19)を備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項6】
前記タッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)が、前記タッチセンシティブ制御表面(5)に囲まれることを特徴とする、請求項3または4に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項7】
前記タッチセンシティブディスプレイスクリーン(3)が、略垂直面に見て、前記タッチセンシティブ制御表面(5)の上方に配置されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項8】
前記タッチセンシティブ制御表面(5)が曲線状であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動車用の電子制御パネル。
【請求項9】
前記タッチセンシティブ制御表面(5)が、前記表面(5)を通過する少なくとも1つの回転制御ボタン(31)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車用の電子制御パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電子制御パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車のインストルメントパネルは、パネル中央に、ディスプレイスクリーン、例えば、TFTタイプのスクリーンを備え、垂直面に見て下方に、さまざまな機能、例えば、ラジオ、エアコンなどの機能の制御パネルがある。
【0003】
これらのゾーンは、現行では分離され、機能的に接続されていない。
【0004】
さらに、このように分離されると、多くの場合、一体感のある美観が得られない。特に、現在では、車両がオフに切り換えられるとき、インストルメントパネルおよびすべての制御パネルが類似するように、一方では均質であり、他方では滑らかな制御表面を得ることが望まれている。
【0005】
現行の技術では、この外観は得られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に、スイッチオフ状態において、均質であり、車両に最大限の制御機能性を与えうる電子制御パネルを提案することによって、前述した欠点を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のことから、本発明の主題は、自動車用の電子制御パネルであって、
クラッチセンシティブスクリーンと、
前記クラッチセンシティブスクリーンと連続したタッチセンシティブ制御表面と、
タッチセンシティブスクリーンおよびタッチセンシティブ制御表面の共通支持体と、
を備え、
タッチセンシティブスクリーンおよびタッチセンシティブ制御表面が、略連続した制御面を規定するように同一レベルで連結する共通支持体に配置されることを特徴とする電子制御パネルである。
【0008】
したがって、特に、車両がオフに切り換えられるとき、均質かつ滑らかな外観の制御パネルを得ることができる。
【0009】
この制御パネルは、以下の特徴の1つ以上を単独で、または組み合わせて備えてもよい。
【0010】
タッチセンシティブスクリーンは、無反射ワニスでコーティングされた透明なポリカーボネート部品で被覆可能である。これにより、スクリーンがオフに切り換えられると、見た目が非常に美しい光沢のある黒色効果が得られる。
【0011】
別の態様によれば、タッチセンシティブ制御表面は、透明なポリカーボネート部品を備え、この部品は、ユーザと対面するように構成された面とは反対の面上が黒色塗装され、かつ、機能的ピクトグラムを備える。これにより、車両がオフに切り換えられると、スイッチオフ状態の外面の光沢のある外観と完全に適合するつや消し黒色効果が得られる。
【0012】
また、著しい精度の生産を可能にするタッチセンシティブ制御表面に対してレーザスクラッチングによって作成されたピクトグラムが設けられる。
【0013】
一実施形態によれば、タッチセンシティブ制御表面は、ユーザと対面するように構成された面とは反対の面に接合された静電容量フィルムを備える。
【0014】
これは、単純かつ低コストの解決策である。
【0015】
タッチセンシティブスクリーンがタッチセンシティブ制御表面に囲まれる場合、有用な相乗効果を得ることができる。したがって、スクリーンおよびタッチセンシティブ表面の情報およびタッチセンシティブコントロールを組み合わせることができる。
【0016】
別の実施形態によれば、略垂直面に見て、タッチセンシティブ制御表面の上方に配置されたタッチセンシティブスクリーンが設けられる。
【0017】
さらなる別の展開例によれば、タッチセンシティブ制御表面は曲線状である。
【0018】
次に、ある制御に対して、例えば、ラジオの音量調節の場合、タッチセンシティブ制御表面はまた、前記表面を通過する少なくとも1つの回転制御ボタンを備える。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に対して、本質的に制限することなく、一例として与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
すべての図において、同じ要素は同じ参照番号を有する。
【0022】
図1は、本発明による電子制御パネル1の側面断面図を示す。ユーザ2の目も図示されている。
【0023】
このパネルは、例えば、自動車のインストルメントパネル、特に、パネル中央に組み込み可能である。
【0024】
この制御パネルは、主に、2つの部分、略垂直面に見られる上部PHおよび下部PBを備える。このように、例えば、運転者が座席から顔の向きをわずかに変えると、視線が上部PHに向けられ、引き続き、顔をわずかに下に向けると、視線は下部PBに向けられる。
【0025】
上部PHは、タッチセンシティブスクリーン3を備え、下部PBは、本発明を良好に説明するように図に誇張して表示した接合箇所Jで前記タッチセンシティブスクリーンと連続したタッチセンシティブ制御表面5を備える。
【0026】
タッチセンシティブスクリーン3は、例えば、情報データまたは制御ディスプレイスクリーン7と、ユーザによるコマンド入力用制御表面を有する静電容量タッチセンシティブフェースプレート9とを重ね合わせたものによって形成されてもよい。
【0027】
スクリーン7は、例えば、(「薄膜トランジスタ」技術を使用したTFTディスプレイを備える。
【0028】
静電容量タッチセンシティブフェースプレート9は、スクリーン7上に配置されるように透明であり、かつ、入力手段としての役割を果たす。静電容量タッチセンシティブフェースプレート9は、例えば、ITO技術により作られ、すなわち、例えば、ガラス製のものであり、例えば、良好な電導率および光透過性の両方を備えた薄層に、ITO(インジウムスズ酸化物)材料を備える。
【0029】
静電容量タッチセンシティブフェースプレート9により、ユーザが制御表面上を指で押す点の座標を決定することができる。ユーザが指を動かしたり、指で押したりすると、この制御表面に沿って、接触状態にある指の場所および移動に伴って変動する信号が生じる。
【0030】
この実施例によれば、タッチセンシティブスクリーン3は、無反射ワニスでコーティングされた透明なポリカーボネート部品11で被覆される。これにより、スクリーン7がオフに切り換えられると、見た目が非常に美しい光沢のある黒色効果が得られる。
【0031】
スクリーン7の背面上には、例えば、マイクロプロセッサ12と、車載コンピュータとの接続性要素C、例えば、ADCタイプの接続要素とを支持するプリント回路基板10が配置される。
【0032】
以下、
図1および
図2を参照しながら、下部PBについてより詳細に記載する。
【0033】
タッチセンシティブ制御表面5は、例えば、ユーザ2と対面するように構成された面とは反対の面15に黒色顔料がコーティングされた薄い透明なポリカーボネート部品13を備える。
【0034】
機能的ピクトグラム17、例えば、エアコン機能やオーディオ機能の制御用ゾーンのような特定の制御ゾーンを示すための機能的ピクトグラムは、部品13上にレーザスクラッチングによって作成可能であるので、高い生産精度が得られる。
【0035】
誘電接着剤によって、ユーザ2と対面するように構成された面とは反対の塗装面15に静電容量フィルム19が接合されることで、制御表面から静電容量フィルム19への電荷伝達が可能になる。
【0036】
このような静電容量フィルムは、国際公開第02/084876号パンフレットから知られている。このフィルムは、同様に、透明または不透明でありうる。
【0037】
これは、単純かつ低コストの解決策である。
【0038】
プリント回路基板21上には、ポリカーボネート部品13のピクトグラムのバックライト用発光ダイオード23が配置される。
【0039】
プリント回路基板21とポリカーボネート部品13との間のスペーサ25により、効果的な機械的接続を得るだけでなく、発光ダイオード23の照明ゾーンを区切ることができる。
【0040】
また、プリント回路基板21は、プリント回路基板の背面で、静電容量フィルム19用の制御回路27を支持し、電気リンク29によって静電容量フィルム19に接続される。
【0041】
次に、ある制御に対して、例えば、ラジオの音量調節の場合、タッチセンシティブ制御表面は、前記制御表面5を通過する少なくとも1つの回転制御ボタン31を備える。
【0042】
したがって、電子制御パネル1により、少なくともオフ状態において、ユーザにとって均質かつ均一な外観を提示しながら、2つの異なる静電容量技術を用いて大きな静電容量制御表面を有することが可能であることを理解されたい。
【0043】
詳細には、車両がオフに切り換えられるとき、電子制御パネル1は、下部PBに対して、スイッチオフ時にタッチセンシティブスクリーン3の光沢のある外観と完全に適合するつや消し黒色効果を与える。
【0044】
タッチセンシティブスクリーン3およびタッチセンシティブ制御表面5の両方は、適当なアタッチメント手段によって、例えば、成形によってプラスチックで作られた共通支持体33に取り付けられる。この支持体は、例えば、タッチセンシティブスクリーン3およびタッチセンシティブ表面5と、ねじ留め、スナップ嵌合および/または接合によるアタッチメント手段とを受け入れるための形状を与える。
【0045】
タッチセンシティブスクリーン3およびタッチセンシティブ制御表面5は、略連続した制御面を規定するように、同一レベルのJで連結する共通支持体7上に配置される。
【0046】
図3には、略図的斜視図が示される。したがって、これにより、電子制御パネル1に設ける必要がある機能性に応じて、自動車メーカーの需要に容易に適応可能である魅力的な電子制御パネルが得られる。
【0047】
図1から
図3の実施例によれば、タッチセンシティブ制御表面5は平坦である。しかしながら、図示していない別の展開例において、タッチセンシティブスクリーン3とタッチセンシティブ制御表面5との間にこのような表面の連続性を維持しながら、タッチセンシティブ制御表面を曲線状にすることができる。
【0048】
図4は、
図1から
図3の実施形態とは異なり、タッチセンシティブスクリーン3がタッチセンシティブ制御表面5に囲まれている別の実施形態を示す。
【0049】
したがって、これにより、タッチセンシティブスクリーン3の下方だけでなく、タッチセンシティブスクリーン3の横および上方にも、低コストのさらなるタッチセンシティブ制御表面が得られる。
【0050】
したがって、タッチセンシティブスクリーン3およびタッチセンシティブ表面5の情報およびタッチセンシティブコントロールを組み合わせることができる。