特許第6022472号(P6022472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022472
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】エナミンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/06 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   C07D207/06
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-542061(P2013-542061)
(86)(22)【出願日】2011年11月23日
(65)【公表番号】特表2014-505023(P2014-505023A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】US2011061983
(87)【国際公開番号】WO2012074860
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/419,300
(32)【優先日】2010年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ブランド,ダグラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】トイザン,トッド ウィリアム
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0004457(US,A1)
【文献】 特表2010−534659(JP,A)
【文献】 特表2010−518077(JP,A)
【文献】 米国特許第03865791(US,A)
【文献】 米国特許第03074940(US,A)
【文献】 特開2008−281785(JP,A)
【文献】 特開2009−251103(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/007460(WO,A1)
【文献】 特表2014−514242(JP,A)
【文献】 特許第2927200(JP,B2)
【文献】 特表2014−505024(JP,A)
【文献】 第5版 実験化学講座14 有機化合物の合成II −アルコール・アミン−,丸善株式会社,2005年 8月31日,385-387頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)溶媒を含む反応ゾーンにおいて、アミン及びカルボニルを反応させて、エナミン及びHOを生成するステップであって、
(1)前記アミンが、ピロリジンであり、
(2)前記カルボニルが3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドであり、
(3)前記反応が、前記反応ゾーンにおいて、
(a)100パスカル(Pa)〜60,000Paの圧力及び
(b)前記反応の際に前記エナミンの熱分解温度よりも低い温度
を含む蒸留条件下で実施され、且つ
(4)前記溶媒が、非極性高沸点液、極性高沸点液を最初に含み、次に前記エナミンを生成する前記アミンと前記カルボニルの縮合により生成されるHOを更に含み、非極性高沸点液は芳香族炭化水素液であり、極性高沸点液はアセトニトリルまたはエタノールであり、
(5)アミンのカルボニルに対するモル比が、1を超えるが1.1未満である、
ステップと、
(B)前記反応ゾーンから気相を取り出すステップと
を含み、前記気相がHOを含み、
前記エナミンが、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンである、エナミンの製造方法。
【請求項2】
等モル量の前記アミン及び前記カルボニルが方法において使用され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がベンゼンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がトルエンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がキシレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応が、前記極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
反応が、前記極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がエタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応が、1000Pa〜60,000Paの圧力及び10℃〜80℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、2500Pa〜30,000Paの圧力及び20℃〜70℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応が、5000Pa〜15,000Paの圧力及び25℃〜65℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンの熱分解温度を下回る温度で1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンが生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記HOが共沸条件下で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
乾燥剤がHOの除去に使用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(A)溶媒を含む反応ゾーンにおいて、ピロリジン及び3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドを反応させて、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジン及びHOを生成するステップであって、前記反応が、前記反応ゾーンにおいて、
(1)5000パスカル(Pa)〜15,000Paの圧力及び
(2)25℃〜65℃の温度
を含む蒸留条件下で実施され、
前記溶媒が、トルエン及びアセトニトリルを最初に含み、次に、前記1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンを生成する前記ピロリジンと前記3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドとの縮合により生成されるHOを更に含み、
ピロリジンの3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドに対するモル比が、1を超えるが1.1未満である、ステップと、
(B)前記反応ゾーンから気相を取り出すステップと
を含み、前記気相がHOを含む、エナミンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年12月3日に出願した米国特許仮出願第61/419,300号の優先権を主張する。この仮出願の全ての内容はここで参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本明細書中に開示されている発明は、エナミンの調製方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
エナミンは非常に有用な分子である。これらは、例えば求電子置換及び付加、酸化及び還元、並びに付加環化などの多種多様な反応に使用されてきた(J. Kang, Y. R. Cho及びJ. H. Lee, Bull. Korean Chem Soc. Vol. 13, No.2, 1992)。
【0004】
エナミンを調製する初期の方法は、アルデヒド及びケトンと第二級アミンとの縮合を伴う(C. Mannich及びH. Davidsen, Ber., 69, 2106 (1936))。Mannich及びDavidsenは、アルデヒドと第二級アミンとの縮合反応を炭酸カリウム(KCO)の存在下、0℃近くの温度で実施できるが、ケトンと第二級アミンとの縮合反応には酸化カルシウム(CaO)及び高温が必要であることを発見した。後に、Herr及びHeylは、この種類の縮合反応を、ベンゼンとの共沸蒸留の際に水(HO)を除去することにより改善できることを発見した(M.E. Herr及びF. W. Heyl, J. Am. Chem. Soc., 74, 3627 (1952); F. W. Heyl及びM.E. Herr , J. Am. Chem. Soc., 75, 1918 (1953); M.E. Herr及びF. W. Heyl, J. Am. Chem. Soc., 75, 5927 (1953); F. W. Heyl及びM.E. Herr , J. Am. Chem. Soc., 77, 488 (1955))。これらの出版物以降、多数の変更が開示されてきた。通常、これらの変更は、KCO、CaO、p−トルエンスルホン酸、(TsOH)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、(BF−OEt)、酢酸(AcOH)、硫酸マグネシウム(MgSO)、水素化カルシウム(CaH)、四塩化チタン(TiCl)及びモレキュラーシーブなどの脱水試薬の使用に基づいている(上記のJ. Kangを参照のこと)。他の変更は、水を、縮合反応の間に他のものに化学的に変換することに取り組んでいる(上記のJ. Kangを参照のこと)。エナミンを調製する膨大な数の方法の広範囲にわたる概要が、「ENAMINES, Synthesis, Structure, and Reactions」、第2版、A. G. Cook編、第2章、(1988年)において考察されている。エナミンを調製する方法の特定の例を、以下において見出すことができる。
米国特許第3,074,940号(特定のアルデヒドが水と共沸混合物を形成し、これを使用して、特定のエナミン縮合反応の際に形成される反応水を除去できることを開示する)、
米国特許第3,530,120号(不活性雰囲気下で特定のアルシン分子と特定のエナミン縮合反応を実施することを開示する)、
米国特許第5,247,091号(水性媒質において特定のエナミン縮合反応を実施することを開示する)、
S. Kaiser、S. P. Smidt及びA. Pfaltz、Angew. Int. Ed. 2006年、45、5194-5197(10〜11頁の支援情報を参照のこと)、及び
WO2009/007460A2(13頁、実施例1.aを参照のこと)。
【0005】
1−(3−チオブタ−1−エニル)ピロリジンのようなエナミンは、特定の新たな殺虫剤の調製のために有用な中間体である(例えば、米国特許出願公開第2005/0228027号及び同第2007/0203191号を参照のこと)。このようなチオエナミンを調製する現在知られている方法は、このようなエナミンの生成において様々な理由で効率的ではなく−チオエナミン熱分解の防止において問題がある。また、炭酸カリウムの使用は有効な乾燥剤であるが、実験室規模より大きい製造の間にはこのような乾燥剤の濾過が問題となる。したがって、固体乾燥剤を使用することも、このようなエナミンの熱分解を促進する温度条件を使用することもなく、これらの種類の縮合反応の間に水を除去する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一般に、本明細書中に開示されている方法は、スキーム1として例示することができる。
式1
【0007】
【化1】
【発明を実施するための形態】
【0008】
一般に、本発明は、
(A)溶媒を含む反応ゾーンにおいて、アミン及びカルボニル反応させて、エナミン及びHOを生成するステップであって、
(1)前記アミンが、下記式
【0009】
【化2】
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか又はR4及びR5は、Nと一緒になって、5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和環を表する]
を有し、
(2)前記カルボニル(すなわち、アルデヒド又はケトン)が、下記式
【0010】
【化3】
[式中、
(a)R1及びR2は、それぞれ独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ1つ以上のS−R6で独立して置換されており、各R6は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、
(b)R3は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される]
を有し、
(3)前記反応が、前記反応ゾーンにおいて、
(a)約100パスカル(Pa)〜約120,000Paの圧力及び
(b)前記反応の際に前記エナミンの熱分解温度よりもほぼ低い、好ましくは低い温度
を含む蒸留条件下で実施され、且つ
(4)前記溶媒が、非極性高沸点液、極性高沸点液を最初に含み、次に前記エナミンを生成する前記アミンと前記カルボニルの縮合により生成されるHOを更に含む
ステップと、
(B)前記反応ゾーンから気相を取り出すステップと
を含み、前記気相がHOを含む、方法である。
【0011】
およそ等モル量の前記アミン及び前記カルボニルを方法に使用することができるが、一方又は他方を過剰量で用いてもよい。アミンとカルボニルのモル比は、約0.9〜約1.2でありうるが、カルボニルに対して、例えば1を超えるが約1.1未満のモル比などの僅かにモル過剰量のアミンが好ましい。
【0012】
この反応は、最初に
(1)炭化水素液、最も好ましくは、例えばベンゼン、トルエン又はキシレンなどの芳香族炭化水素液などの非極性高沸点液(現在、トルエンが好ましい液体である)と、
(2)アセトニトリル、エタノールなどの極性高沸点液と
を含み、次いで
(3)前記エナミンを生成する前記アミンと前記カルボニルの縮合により生成されるH
を更に含む
溶媒の存在下で実施される。
【0013】
本発明の別の実施形態において、前記反応は、約1000Pa〜約60,000Paの圧力及び約10℃〜約80℃の温度を含む蒸留条件下で実施される。
【0014】
本発明の別の実施形態において、前記反応は、約2500Pa〜約30,000Paの圧力及び約20℃〜約70℃の温度を含む蒸留条件下で実施される。
【0015】
本発明の別の実施形態において、前記反応は、約5000Pa〜約15,000Paの圧力及び約25℃〜約65℃の温度を含む蒸留条件下で実施される。本発明の別の実施形態において、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンを生成するとき、前記反応の際に1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンの熱分解温度をほぼ下回る温度が好ましい。
【0016】
Oが共沸条件下で除去されることがこのような方法において好ましい。HOの除去に乾燥剤を使用しないことも好ましい。
【0017】
本発明の別の実施形態において、R1及びR2は、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルであり、これらはそれぞれ1つ以上のS−R6で独立して置換されており、ここで各R6はC〜Cアルキルから独立して選択される。
【0018】
本発明の別の実施形態において、R3はHである。
【0019】
本発明の別の実施形態において、R4及びR5は、それぞれ独立してC〜Cアルキル及びC〜Cシクロアルキルから選択される。本発明の別の実施形態において、R4及びR5は、Nと一緒になって、5員又は6員の飽和又は不飽和環を表す。
【0020】
本発明の別の実施形態において、前記アミンはピロリジンであり、前記カルボニルは3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドである。本発明の別の実施形態において、前記エナミンは、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンである。
【実施例】
【0021】
実施例は、例示の目的であり、本書類に開示されている発明を、これらの実施例に開示されている実施形態だけに限定すると解釈されるべきではない。
【0022】
比較例
1−(3−メチルチオブタ−1−エニル)ピロリジンの調製
短経路蒸留ヘッドを備えた250mLの三つ口丸底フラスコを、ドライアイスアセトン冷却器を含有する受けフラスコに連結した。この反応容器に、19.8g(0.28モル)のピロリジン、続いて70mLのトルエンを投入した。混合物を、反応ポットの内部温度が約3℃になるまで氷水浴で冷却した。次いで、真空(約3300Pa)を系に適用し、次に94.4g(0.14モル)の3−メチルチオブタナールをトルエン中17.5重量%溶液として、反応混合物にシリンジを介して1時間かけて連続的に加えた。内部反応温度は、アルデヒド溶液の添加の間に3℃から18℃まで上昇した。留出物もアルデヒド添加の間に収集した。3−メチルチオブタナール溶液の添加が完了すると、蒸留を、ポットの内部温度が26℃に達するまで更に50分間(min)続けた。この時点で、真空を約2400Paに調整し、蒸留を、ポットの内部温度が24℃に達するまで更に2.0分間続けた。蒸留を停止させ、反応容器に窒素を詰め込んだ。反応性蒸留残液を単離して、74.91gの1−(3−メチルチオブタ−1−エニル)ピロリジンを得て、黄色のトルエン中28重量%溶液であった。溶液混合物のプロトン(H)NMR分光アッセイ(内部標準として酢酸ベンジルを使用する)は、84%のポット内収率を示した。
【実施例1】
【0023】
1−(3−メチルチオブタ−1−エニル)ピロリジンの調製
機械式撹拌機、短経路蒸留ヘッド及び窒素詰め込みを備えた3リットルの三つ口丸底フラスコに、61g(0.86モル)のピロリジン、続いて100mLのトルエン及び200mLのアセトニトリル(アセトニトリル中33%v/vのトルエン)を投入した。混合物を氷水浴で冷却し、次に558g(0.78モル)のトルエン溶液中16.5重量%の3−メチルチオブタナールを、添加漏斗を介して130分間かけて連続的に加えた。内部反応温度を、アルデヒド添加の間、7℃未満に維持した。氷水浴を取り外し、約6600Paの圧力を系に加えた。反応混合物を15℃(ポット温度)まで加熱し、この時点で留出物がオーバーヘッドに収集され始めた。内部反応温度を、ポット温度が33℃に達するまで加熱した。蒸留の合計時間は約1時間であった。反応混合物に窒素を詰め込み、次に周囲温度まで冷却した。合計282.4gのオーバーヘッド留出物を収集した。反応蒸留残液を収集して、トルエン溶液中約25.0重量%の1−(3−メチルチオブタ−1−エニル)ピロリジンを得た(収率は、内部標準として酢酸ベンジルを使用するH NMR分光法に基づいておよそ89%であった)。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。

[1] (A)溶媒を含む反応ゾーンにおいて、アミン及びカルボニルを反応させて、エナミン及びHOを生成するステップであって、
(1)前記アミンが、下記式
【化4】
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか又はR4及びR5は、Nと一緒になって、5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和環を表する]
を有し、
(2)前記カルボニル(すなわち、アルデヒド又はケトン)が、下記式
【化5】
[式中、
(a)R1及びR2は、それぞれ独立してC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、これらはそれぞれ1つ以上のS−R6で独立して置換されており、各R6は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、
(b)R3は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、C〜C12アリールアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される]
を有し、
(3)前記反応が、前記反応ゾーンにおいて、
(a)約100パスカル(Pa)〜約120,000Paの圧力及び
(b)前記反応の際に前記エナミンの熱分解温度よりもほぼ低い、好ましくは低い温度
を含む蒸留条件下で実施され、且つ
(4)前記溶媒が、非極性高沸点液、極性高沸点液を最初に含み、次に前記エナミンを生成する前記アミンと前記カルボニルの縮合により生成されるHOを更に含む
ステップと、
(B)前記反応ゾーンから気相を取り出すステップと
を含み、前記気相がHOを含む、方法。
[2]
およそ等モル量の前記アミン及び前記カルボニルが方法において使用され得る、[1]に記載の方法。
[3]
アミンとカルボニルのモル比が約0.9〜約1.2である、[1]に記載の方法。
[4]
アミンとカルボニルのモル比が、1を超えるが約1.1未満である、[1]に記載の方法。
[5]
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がベンゼンである、[1]に記載の方法。
[6]
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がトルエンである、[1]に記載の方法。
[7]
反応が、前記非極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がキシレンである、[1]に記載の方法。
[8]
反応が、前記極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がアセトニトリルである、[1]に記載の方法。
[9]
反応が、前記極性高沸点液を最初に含む溶媒の存在下で実施され、前記液体がエタノールである、[1]に記載の方法。
[10]
前記反応が、約1000Pa〜約60,000Paの圧力及び約10℃〜約80℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、[1]に記載の方法。
[11]
前記反応が、約2500Pa〜約30,000Paの圧力及び約20℃〜約70℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、[1]に記載の方法。
[12]
前記反応が、約5000Pa〜約15,000Paの圧力及び約25℃〜約65℃の温度を含む蒸留条件下で実施される、[1]に記載の方法。
[13]
1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンの熱分解温度をほぼ下回る温度で1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンが生成される、[1]に記載の方法。
[14]
前記HOが共沸条件下で除去される、[1]に記載の方法。
[15]
乾燥剤がHOの除去に使用されない、[1]に記載の方法。
[16]
前記R1及びR2が、独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルであり、これらはそれぞれ1つ以上のS−R6で独立して置換されており、各R6がC〜Cアルキルから独立して選択される、[1]に記載の方法。
[17]
R3がHである、[1]に記載の方法。
[18]
R4及びR5が、それぞれ独立してC〜Cアルキル及びC〜Cシクロアルキルから選択される、[1]に記載の方法。
[19]
R4及びR5が、Nと一緒になって、5員又は6員の飽和又は不飽和環を表す、[1]に記載の方法。
[20]
前記アミンがピロリジンであり、前記カルボニルが3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドである、[1]に記載の方法。
[21]
前記エナミンが、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンである、[1]に記載の方法。
[22]
(A)溶媒を含む反応ゾーンにおいて、ピロリドン及び3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドを反応させて、1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジン及びHOを生成するステップであって、前記反応が、前記反応ゾーンにおいて、
(1)約5000パスカル(Pa)〜約15,000Paの圧力及び
(2)約25℃〜約65℃の温度
を含む蒸留条件下で実施され、
前記溶媒が、トルエン及びアセトニトリルを最初に含み、次に、前記1−(3−メチルスルファニル−ブタ−1−エニル)−ピロリジンを生成する前記ピロリジンと前記3−メチルスルファニル−ブチルアルデヒドとの縮合により生成されるHOを更に含むステップと、
(B)前記反応ゾーンから気相を取り出すステップと
を含み、前記気相がHOを含む、方法。