(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの外観等を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの固定体および可動体を分解したときの分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの固定体および可動体をさらに分解したときの分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの光軸方向後側の構成を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る光学ユニットにおける作用等を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの説明図である。
【
図10】本発明の実施の形態4に係る光学ユニットの説明図である。
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、光学ユニットとして撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、Z軸方向(光軸方向)のうち、被写体側を「前側」とし、被写体側とは反対側を「後側」として説明する。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側))には+Zを付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)には−Zを付して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【0020】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体3を固定体200内で揺動可能に支持した状態とするとともに、可動体3、固定体200、あるいは固定体200の外側に設けたジャイロスコープ等の振れ検出センサ170(振れ検出手段)によって手振れを検出した結果に基づいて、可動体3を揺動させて振れを補正する振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。
【0021】
光学ユニット100では、振れ補正用駆動機構への給電等を行うためのフレキシブル配線基板420が引き出されており、フレキシブル配線基板420は、固定体200の外側に設けられた駆動制御部900に電気的に接続されている。
【0022】
(可動体3の全体構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの外観等を示す斜視図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側(光軸方向前側)からみたときの斜視図、および光学ユニットを被写体側からみたときの分解斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの固定体および可動体を分解したときの分解斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの固定体および可動体をさらに分解したときの分解斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの光軸方向後側の構成を示す説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)は、光学ユニットを光軸方向後側からみたときの分解斜視図、光学ユニットをさらに分解して光軸方向後側からみたときの分解斜視図、およびプレート19の斜視図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの断面図であり、
図6(a)、(b)は、光学ユニットのYZ断面図、およびXZ断面図である。
【0023】
図2、
図3および
図4において、可動体3は、鋼板等の強磁性板からなる矩形箱状の角形ケース14と、角形ケース14に対して光軸方向後側に設けられたプレート19と、角形ケース14から引き出されたフレキシブル配線基板410とを備えており、フレキシブル配線基板410は、撮像ユニット1から信号を出力する機能等を担っている。角形ケース14の内側には、レンズ1a(
図1参照/光学素子)を備えた撮像ユニット1が保持されている。本形態において、撮像ユニット1は、角形ケース14の内側に、レンズ1aを保持するレンズホルダ、レンズホルダを保持する円筒状のスリーブ、レンズホルダをフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動機構、撮像素子1b(
図1参照)、撮像素子1bを支持する素子ホルダ1c等を備えており、素子ホルダ1cは、角形ケース14の光軸方向後側端部から張り出している。角形ケース14は、撮像ユニット1の外周部分を構成しているとともに、ヨークとして機能している。
【0024】
角形ケース14は、可動体3の前面部31を構成する端板部141、および角筒状胴部142を備えており、角筒状胴部142の外面には板状の永久磁石520が接着剤等により固定されている。また、端板部141において光軸Lが通る部分には開口部141aが形成されている。本形態において、撮像ユニット1の光軸方向前側端部が開口部141aから光軸方向前側に突出している。
【0025】
本形態においては、可動体3の前面部31(角形ケース14の端板部141)には、
図6を参照して後述する理由から、可動体3の前面部31の角3a、3b、3c、3d(端板部141の角)に光軸方向後側に凹んだ凹部3fが形成されている。本形態において、凹部3fは、前面部31と平行な底部3gを備えた段差からなり、凹部3fの底部3gは、可動体3において最も光軸方向前側に位置する部分より光軸方向後側に位置する。
【0026】
可動体3の後面部39は、角形ケース14の光軸方向後側に設けられたプレート19によって構成されている。プレート19は、金属板に対するプレス加工品であり、
図4に示すように、略矩形の底板部191と、底板部191の外周縁から前側に向けて起立して撮像ユニット1の後端部(素子ホルダ1c)に連結される4つの連結板部192とを備えている。ここで、プレート19の底板部191と撮像ユニット1の後端部(素子ホルダ1c)との間には隙間が空いており、かかる隙間には、フレキシブル配線基板410の端部411が配置されている。端部411には剛性基板413が貼付されており、端部411は、撮像ユニット1に対して電気的に接続されている。また、剛性基板413が貼り付けられずに端部411自体が剛性基板でもよい。
【0027】
図5に示すように、フレキシブル配線基板410の端部411は、フレキシブル配線基板410をY軸方向の他方側−Yで一方側+Yに折り曲げた部分からなり、フレキシブル配線基板410において端部411に対してプレート19を挟んでZ軸方向で重なる部分412は、Y軸方向に延在する切り欠き412aによって、光軸Lが通る部分をX軸方向の両側で挟む細幅の帯状部分412bになっている。このため、プレート19の底板部191の中央部分は、Y軸方向に延在する切り欠き412aによって光軸方向後側に向けて露出した状態にあり、かかる露出した部分を利用して、後述する揺動支点180が可動体3の後面部39に当接するようになっている。
【0028】
より具体的には、プレート19の底板部191において切り欠き412aから露出する部分は、底板部191において光軸方向後側に突出した座部193として形成されており、座部193は、切り欠き412aと同様、Y軸方向に延在する長円形状を有している。かかる座部193のうち、Y軸方向の中央部分からなる矩形領域は、揺動支点180が当接する受け部193aになっており、座部193のうち、受け部193aをY軸方向の両側で挟む部分は、受け部193aより光軸方向後側に向けて突出した凸状底部193bになっている。本形態では、
図5(c)から分かるように、受け部193aと凸状底部193bとはテーパ面193cを介して繋がっており、座部193においてY軸方向の両側に位置する円弧状の円端部はテーパ面193dになっている。
【0029】
(固定体200の構成)
再び
図2、
図3および
図4において、光学ユニット100は、可動体3が固定体200に変位可能に支持された状態とするバネ部材600と、可動体3と固定体200との間で可動体3を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。
【0030】
固定体200は上カバー250および下カバー700等を備えており、上カバー250は、可動体3の周りを囲む角筒状胴部210と、角筒状胴部210の前側を塞ぐ前板部220とを備えている。上カバー250において、角筒状胴部210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)の端部が開放端になっており、前板部220には、被写体からの光が入射する開口部220aが形成されている。本形態において、開口部220aは、光軸Lが通る位置を中心とする円形の孔220bに対して、X軸方向の両側およびY軸方向の両側に矩形の穴220cを繋げた形状を有している。
【0031】
(揺動支点180の構成)
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する3つの側板部720とを備えている。下カバー700の底板部710には、その中央位置(光軸Lが通る位置)に揺動支点180が構成されている。本形態において、揺動支点180は、下カバー700の底板部710に形成された穴710aに固定された揺動支点用部材182からなる。かかる揺動支点用部材182は、底板部710に重なる円板部183と、円板部183からZ軸方向の他方側−Zに突出した揺動支点用の半球状凸部184とを備えており、揺動支点180(半球状凸部184)は、可動体3のプレート19に形成した受け部193a(
図5参照)に当接する。揺動支点用部材182はゴム等からなる。
【0032】
(永久磁石アセンブリ75の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、撮像ユニット1の角形ケース14の外周面を囲む矩形枠状のホルダ7と、矩形枠状のストッパ部材8とを備えており、ストッパ部材8はホルダ7の光軸方向後側の面に溶接等の方法で固定されている。ホルダ7は、光軸方向前側に位置する矩形枠状の第1ホルダ部材71と、光軸方向後側で第1ホルダ部材71に対向する矩形枠状の第2ホルダ部材72とからなる。本形態において、第1ホルダ部材71と第2ホルダ部材72との間には、振れ補正用駆動機構500に用いた平板状の永久磁石520が保持されている。より具体的には、永久磁石520において光軸方向前側の面には第1ホルダ部材71が固定され、永久磁石520において光軸方向後側の面には第2ホルダ部材72が固定されており、永久磁石520、第1ホルダ部材71および第2ホルダ部材72によって角筒状の永久磁石アセンブリ75が構成されている。このため、角筒状の永久磁石アセンブリ75の内側に撮像ユニット1を挿入した後、撮像ユニット1を内側に保持した角形ケース14の外周面と、永久磁石アセンブリ75の内周面(永久磁石520の内面)とを接着剤により固定すれば、永久磁石520、第1ホルダ部材71、第2ホルダ部材72、ストッパ部材8、角形ケース14、プレート19および撮像ユニット1を一体化して可動体3を構成することができる。
【0033】
(バネ部材600の構成)
バネ部材600は、固定体200側に連結される矩形枠状の固定側連結部610と、可動体3側に連結される可動側連結部620と、可動側連結部620と固定側連結部610の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動側連結部620および固定側連結部610に繋がっている。かかるバネ部材600を可動体3と固定体200とに接続するにあたって、本形態では、可動側連結部620がストッパ部材8の光軸方向後側端面に溶接等の方法で固定されている。また、固定側連結部610は、上カバー250の切り欠き218、219内に嵌った状態で、上カバー250の切り欠き218、219の前側端面に溶接等の方法で固定されている。かかるバネ部材600は、銅合金や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
【0034】
ここで、バネ部材600の可動側連結部620を可動体3に連結する一方、固定側連結部610を固定体200に固定すると、可動体3は、揺動支点180によって光軸方向前側に押し上げられた状態となる。このため、バネ部材600において、可動側連結部620は固定側連結部610よりも光軸方向前側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、可動体3を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体3は、バネ部材600によって揺動支点180に向けて付勢された状態になり、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態で固定体200に支持された状態となる。
【0035】
(振れ補正用駆動機構の構成)
本形態の光学ユニット100では、コイル560と、コイル560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520とによって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、可動体3において角形ケース14の4つの外面には平板状の永久磁石520が各々固定されており、固定体200では、上カバー250の角筒状胴部210の内面にコイル560が設けられている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸L方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル560と対向する側の面が光軸方向で異なる極に着磁されている。また、コイル560は、四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。また、永久磁石520は1個の磁石を光軸方向において2極の異なる極がコイル560の有効辺と対向するように着磁されていてもよい。
【0036】
図4および
図6に示すように、永久磁石520およびコイル560のうち、可動体3をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル560はY側振れ補正用駆動機構500yを構成しており、
図6(a)に矢印Y0で示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3をY軸方向に揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル560はX側振れ補正用駆動機構500xを構成しており、
図6(b)に矢印X0で示すように、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3をX軸方向に揺動させる。
【0037】
かかるY側振れ補正用駆動機構500yおよびX側振れ補正用駆動機構500xを構成するにあたって、本形態では、上カバー250の4つの内面に沿って延在するフレキシブル配線基板420の帯状部分425の内面および外面に、コイル560を支持する基板550およびポリイミド製の補強プレート428を各々貼付したものが用いられている。コイル560は、導電配線技術を利用して微細な銅配線を基板550上に形成した構造を有しており、複数層の銅配線(コイル560)が絶縁膜を介して多層に形成されている。また、銅配線(コイル560)の表面も絶縁膜で覆われている。かかるコイル560としては、例えば、旭化成エレクトロニクス株式会社製のFPコイル(ファインパターンコイル(登録商標))を挙げることができる。
【0038】
フレキシブル配線基板420の帯状部分425のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する部分にはフォトリフレクタ580が実装され、X軸方向の一方側+Xに位置する部分にはフォトリフレクタ590が実装されている。かかるフォトリフレクタ580、590は、基板550に形成された穴を介して可動体3の側面(角形ケース14の側面)に対向している。本形態では、可動体3の側面(角形ケース14の側面)のうち、フォトリフレクタ580、590と対向する位置には反射シート581、591が貼付されている。
【0039】
(ストッパ機構の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態で固定体200に支持された状態にある。従って、外部から大きな力が加わって撮像ユニット1が大きく変位すると、バネ部材600のアーム部630が塑性変形するおそれがある。そこで、本形態では、可動体3では、ホルダ7の光軸方向後側端面に矩形枠状のストッパ部材8が溶接等の方法により固定されている。かかるストッパ部材8は、矩形枠状の本体部分810と、本体部分810の角で外側に向けて突出した凸部81を備えており、かかる凸部81は、永久磁石520より外側に突出している。ここで、凸部81は、固定体200の側に設けられた基板550と狭い隙間を介して対向している。従って、凸部81および基板550は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間において、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構を構成している。なお、凸部81が当接する箇所は、基板550のうち、コイル560が構成されていない箇所に設定されている。
【0040】
(振れ補正動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニット100における作用等を示す説明図であり、
図7(a)、(b)、(c)は可動体3の前面部31側の構成を示す説明図、光学ユニット100を対角線に沿って切断した様子を模式的に示す説明図、および可動体3が光軸方向前側に変位したときの様子を模式的に示す説明図である。
【0041】
図1〜
図6を参照して説明した光学ユニット100では、以下に説明する振れ補正が行われる。振れ補正を実行するタイミングは、光学ユニット100の外部(光学機器本体)からの指令信号により規定される。具体的なタイミングとしては、シャッタボタン等の撮影開始スイッチが半分だけ押し込まれた時に指令信号が出力される場合、撮影開始スイッチが半分だけ押し込まれ、オートフォーカス動作が行われて完了した時に指令信号が出力される場合、撮影開始スイッチが深く押し込まれた時に指令信号が出力される場合がある。また、カメラによって取り込まれた映像がモニター部に表示されている間、常時、手振れ補正が実行される場合もある。
【0042】
本形態では、
図1に示す光学機器1000および光学ユニット100が手振れ等によって振れると、かかる振れは振れ検出センサ170によって検出され、駆動制御部900は、振れを打ち消すような駆動電流を振れ補正用駆動機構500に供給する。その結果、振れ補正用駆動機構500は、揺動支点180を中心に可動体3(撮像ユニット1)を揺動させ、振れを補正する。より具体的には、
図6(b)に示すX側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をY軸周りに揺動させ、X方向の振れを補正し、
図6(a)に示すY側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をX軸周りに揺動させ、Y方向の振れを補正する。また、撮像ユニット1のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すれば、可動体3を全方位に向けて揺動させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。かかる可動体3に対する駆動の際、可動体3の揺動は、フォトリフレクタ580、590によって監視される。
【0043】
ここで、可動体3では、
図7(a)、(b)に示すように、前面部31の角3a、3b、3c、3dに光軸方向後側に凹んだ凹部3fが形成されている。このため、
図7(b)に一点鎖線で示すように、対角方向に可動体3を揺動させた際、前面部31の天面部31sが固定体200の前板部220に当接する前に角3a、3cや角3b、3dが前板部220に当接するという事態が発生しない。従って、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間に光軸方向で広い隙間を設けなくても可動体3の揺動可能な角度範囲θが広い。
【0044】
また、
図7(c)に示すように、外部からの衝撃で可動体3が光軸方向前側に変位したときには、可動体3の前面部31(天面部31s)が固定体200の前板部220に当接し、それ以上の変位が阻止される。ここで、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間の光軸方向の距離が比較的短いので、可動体3が光軸方向前側に変位可能な距離が短い。従って、可動体3が光軸方向前側に変位したときでも、
図4等に示すバネ部材600に塑性変形が発生することを防止することができる。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100では、可動体3は、永久磁石520の固定等が容易なように角形形状であるが、可動体3において固定体200の前板部220と対向する前面部31には、前面部31の角3a、3b、3c、3dを光軸方向後側に凹ませる凹部3fが形成されている。このため、可動体3が揺動した際、揺動支点180からの半径距離が長い故に可動体3の前面部31において最も変位が大きな角3a、3b、3c、3dが前板部220に当接しにくい。従って、可動体3の天面部31sが固定体200の前板部220に当接する前に可動体3の角3a、3b、3c、3dが前板部220に当接するという事態が発生しない。それ故、固定体200の前板部220と可動体3の前面部31とを光軸方向で大きく離間させなくても、可動体3が揺動可能な角度範囲θを大きく確保することができる。よって、可動体3が揺動可能な角度範囲θを狭めなくても、光学ユニット100の光軸方向の寸法を短くすることができる。
【0046】
また、本形態において、凹部3fは、可動体3に用いた角形ケース14の端板部141の角に対して、前面部31に平行な底部3gを有するように形成された段部からなる。このため、角形ケース14の内側に撮像ユニット1を構成する各種部品を配置する際、凹部3fの底部3gを基準とすることができるので、可動体3の組み立てが容易である。
【0047】
さらに、凹部3fは、前面部31の角3a、3b、3c、3dのみに形成されており、凹部3fが必要最小限なサイズに構成されている。それ故、可動体3に搭載する部品を小型化する必要がない等の利点がある。
【0048】
また、
図5(c)等を参照して説明したように、可動体3の後面部39には、固定体200の揺動支点180(半球状凸部184)が当接する受け部193aより光軸方向後側(底板部710)に向けて突出した凸状底部193bが形成されており、かかる凸状底部193bは、受け部193aを中心とする円弧部を、受け部193aを間に挟む両側に備えた平面形状になっている。このため、可動体3がいずれの方向に揺動した場合でも、可動体3の後側では、角が下カバー700の底板部710から離間するように凹んだ状態にある。従って、可動体3が揺動した際、可動体3の後面部39において最も変位が大きな角が底板部710に当接しにくい。それ故、固定体200の底板部710と可動体3の後面部39とを光軸方向で大きく離間させなくても、可動体3の揺動範囲を大きく確保することができる。それ故、光学ユニット100の光軸方向の寸法を短くすることができる。
【0049】
しかも、受け部193aと凸状底部193bとはテーパ面193cを介して繋がっている。また、座部193においてY軸方向の両側に位置する円弧状の円端部はテーパ面193dになっている。従って、受け部193aと凸状底部193bとの間や、座部193の周りに角張った段部が存在しないので、可動体3と底板部710との間にフレキシブル配線基板410等の配線材が位置する場合でも、かかる配線材が引っ掛かりにくいという利点がある。
【0050】
なお、本形態では、凸状底部193bが受け部193aを中心とする円弧部を、受け部193aを間に挟む両側に備えた平面形状を備えていたが、受け部193aを中心とする円形の平面形状を有するように凸状底部193bを構成してもよい。
【0051】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニット100の説明図であり、
図8(a)、(b)、(c)は可動体3の前面部31側の構成を示す説明図、光学ユニット100を対角線に沿って切断した様子を模式的に示す説明図、および可動体3が光軸方向前側に変位したときの様子を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成、および以下に説明する実施の形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0052】
実施の形態1では、可動体3の角3a、3b、3c、3dのみに凹部3fを設けたが、本形態では、
図8(a)に示すように、凹部3fは、光軸Lが通る位置を囲む円形の内周縁を有する環状に形成されている。このため、前面部31には、凹部3fの径方向内側に円形の天面部31tが形成されている。また、本形態では、開口部141aから撮像ユニット1が突出しておらず、可動体3において最も光軸方向前側に位置するのは、天面部31tである。
【0053】
このように構成した光学ユニット100においても、実施の形態1と同様、
図8(b)に一点鎖線で示すように、対角方向に可動体3を揺動させた際、前面部31の天面部31tが固定体200の前板部220に当接する前に角3a、3cや角3b、3dが前板部220に当接するという事態が発生しない。従って、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間に光軸方向で広い隙間を設けなくても可動体3の揺動可能な角度範囲θが広い。よって、光学ユニット100の光軸方向の寸法を短くすることができる。
【0054】
また、
図8(c)に示すように、外部からの衝撃で可動体3が光軸方向前側に変位したときには、可動体3の前面部31(天面部31t)が固定体200の前板部220に当接し、それ以上の変位が阻止される。ここで、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間の光軸方向の距離が比較的短いので、可動体3が光軸方向前側に変位可能な距離が短い。従って、可動体3が光軸方向前側に変位したときでも、
図4等に示すバネ部材600に塑性変形が発生することを防止することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0055】
また、本形態では、可動体3が揺動した際に固定体200の前板部220に当接するのは、光軸Lを中心とする円環状の天面部31tである。このため、可動体3がいずれの方向に揺動したときでも、可動体3が揺動可能な角度範囲が等しいとともに、天面部31tと前板部220とが当接した際に可動体3が受ける力の方向や大きさが同等である。
【0056】
[実施の形態3]
図9は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニット100の説明図であり、
図9(a)、(b)、(c)は可動体3の前面部31側の構成を示す説明図、光学ユニット100を対角線に沿って切断した様子を模式的に示す説明図、および可動体3が光軸方向前側に変位したときの様子を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成、および以下に説明する実施の形態の基本的な構成は、実施の形態1、2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0057】
図9(a)に示すように、本形態でも、実施の形態2と同様、凹部3fは、光軸Lが通る位置を囲む円形の内周縁を有する環状に形成されている。このため、前面部31には、凹部3fの径方向内側に円形の天面部31tが形成されている。また、本形態では、開口部141aから撮像ユニット1が突出しておらず、可動体3において最も光軸方向前側に位置するのは、天面部31tである。
【0058】
ここで、天面部31tは、内周側に位置する内周側天面部31taと、内周側天面部31taの外周側に位置する外周側天面部31tbとからなり、内周側天面部31taと外周側天面部31tbとは同心円状である。また、外周側天面部31tbは、内周側天面部31taより光軸方向後側に位置する。
【0059】
このように構成した光学ユニット100においても、実施の形態1、2と同様、
図9(b)に一点鎖線で示すように、対角方向に可動体3を揺動させた際、前面部31の外周側天面部31tbが固定体200の前板部220に当接する前に角3a、3cや角3b、3dが前板部220に当接するという事態が発生しない。従って、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間に光軸方向で広い隙間を設けなくても可動体3の揺動可能な角度範囲θが広い。よって、光学ユニット100の光軸方向の寸法を短くすることができる。
【0060】
また、
図9(c)に示すように、外部からの衝撃で可動体3が光軸方向前側に変位したときには、可動体3の前面部31(外周側天面部31tb)が固定体200の前板部220に当接し、それ以上の変位が阻止される。ここで、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間の光軸方向の距離が比較的短いので、可動体3が光軸方向前側に変位可能な距離が短い。従って、可動体3が光軸方向前側に変位したときでも、
図4等に示すバネ部材600に塑性変形が発生することを防止することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0061】
また、本形態では、可動体3が揺動した際に固定体200の前板部220に当接するのは、光軸Lを中心とする円環状の外周側天面部31tbである。このため、可動体3がいずれの方向に揺動したときでも、可動体3が揺動可能な角度範囲が等しいとともに、天面部31tと前板部220とが当接した際に可動体3が受ける力の方向や大きさが同等である。
【0062】
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係る光学ユニット100の説明図であり、
図10(a)、(b)、(c)は可動体3の前面部31側の構成を示す説明図、光学ユニット100を対角線に沿って切断した様子を模式的に示す説明図、および可動体3が光軸方向前側に変位したときの様子を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成、および以下に説明する実施の形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0063】
図10(a)に示すように、本形態でも、実施の形態2,3と同様、凹部3fは、光軸Lが通る位置を囲む円形の内周縁を有する環状に形成されている。このため、前面部31には、凹部3fの径方向内側に円形の天面部31tが形成されている。また、本形態では、開口部141aから撮像ユニット1が突出しておらず、可動体3において最も光軸方向前側に位置するのは、天面部31tである。
【0064】
ここで、天面部31tは、実施の形態2、3に比して小径である。このため、
図10(b)に一点鎖線で示すように、対角方向に可動体3を揺動させた際、固定体200の前板部220に角3a、3cや角3b、3dが当接することになる。この場合でも、角3a、3cや角3b、3dが天面部31tより光軸方向後側に位置するため、可動体3の前面部31と固定体200の前板部220との間に光軸方向で広い隙間を設けなくても可動体3の揺動可能な角度範囲θが広い。よって、光学ユニット100の光軸方向の寸法を短くすることができる。
【0065】
また、
図10(c)に示すように、外部からの衝撃で可動体3が光軸方向前側に変位したときには、可動体3の前面部31(凹部3f)が固定体200の前板部220に当接し、それ以上の変位が阻止される。従って、可動体3が光軸方向前側に変位したときでも、
図4等に示すバネ部材600に塑性変形が発生することを防止することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0066】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、振れ検出手段として、ジャイロスコープからなる振れ検出センサ170を用いたが、撮像素子1bによって得られた画像のシフトによって振れを検出するシステムを振れ検出手段として用いた光学ユニット100に本発明を適用してもよい。
【0067】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることもできる。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0068】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。