【文献】
LG Electronics,Specification impact of reduced power ABS[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-113978,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-113978.zip>,2011年11月 8日,Pages 1-3
【文献】
Qualcomm Incorporated,On the need for signaling enhancements for feICIC[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-114424,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-114424.zip>,2011年11月21日,Pages 1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る無線通信システム、無線基地局、端末装置及び無線通信制御方法は、次世代無線通信システムの1つであるLTE/LTE−Aシステムに適用可能である。最初に、LTE/LTE−Aシステムの概要について説明する。
【0016】
図1は、下りリンクで移動通信が行われる際の周波数使用状態を説明するための図である。なお、以下の説明では基本周波数ブロックをコンポーネントキャリアとして説明する。
図1に示す例は、複数のコンポーネントキャリアで構成される相対的に広いシステム帯域を持つLTE−Aシステムと、相対的に狭い(ここでは、一つのコンポーネントキャリアで構成される)システム帯域を持つLTEシステムが併存する場合の周波数使用状態を示している。
【0017】
LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信し、LTEシステムにおいては、20MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つの基本周波数領域(コンポーネントキャリア:CC)となっている。このように複数の基本周波数領域を一体として広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【0018】
例えば、
図1においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を一つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。
図1においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzのシステム帯域を持ち、UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)のシステム帯域を持ち、UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)のシステム帯域を持つ。
【0019】
図2にHetNetの概要が示されている。
図2に示すように、HetNetは、既存のマクロセルC1(大規模セル)に加え、ピコセルC2やフェムトセル等(小規模セル)の様々な形態のセルをオーバレイした階層型ネットワークである。このHetNetにおいては、相対的に広いエリアをカバーするマクロセルC1の無線基地局装置(以下、一曲又はマクロ基地局という)B2は、相対的に狭いエリアをカバーするピコセルC2の無線基地局装置(以下、基地局又はピコ基地局という)B1よりも下り送信電力が大きく設定されている。
【0020】
HetNetのような階層型ネットワークでは、ピコセルC2のセルエッジにいる移動端末装置(以下、UE又は移動局という)は、ピコ基地局B1と近い位置にいるにも関わらず、ピコセルC2に接続できないといった問題が生じる。すなわち、ピコセルC2のセルエッジは、ピコ基地局B1の送信電力よりもマクロ基地局B2の送信電力が大きい。その結果、ピコセルC2のセルエッジにいるUEは、ピコセルC1のピコ基地局B1からの無線フレームを捕えることができず、より送信電力が大きいマクロ基地局B2からの無線フレームを捕えてマクロセルC1に接続する。これは、ピコセルC2の本来のエリアがマクロ基地局B2によって浸食されて縮小していることを意味する。
【0021】
マクロ基地局からピコ基地局への干渉を低減するための干渉コーディネーション技術として、LTEで仕様化されたMBSFNサブフレームを利用することが考えられる。具体的には、Het Net構成における時間領域の干渉コーディネーション技術として、MBSFNサブフレームを利用して、マクロ基地局が送信する無線フレームに、無送信電力区間となるサブフレーム(ABS)を設け、ピコセルのセルエッジ付近にいる移動局装置(移動局)に対してABS区間の無線リソースを割り当てることが検討されている。上記したように、ピコセルのセルエッジ付近にいるUEに対してABS区間の無線リソースを割り当てることにより、当該UEは、ABS区間ではマクロ基地局からの送信電力の影響を受けないでピコセルに接続することが可能になる。
【0022】
図3は、LTE−A(Release10 LTE)の無線フレームを構成するサブフレーム種別の説明図である。LTE−A(Release10 LTE)において、ABSを適用する場合、無線フレームは、
図3に示す3種類のサブフレームで構成されることができる。具体的には、1)半静的に通常のサブフレーム(ノーマルサブフレーム)として設定されるサブフレームと、2)半静的にABSとして設定されるサブフレームと、3)動的に切り替えてノーマルサブフレーム又はABSとして設定されるサブフレームとで構成される。
【0023】
図3に示す無線フレームにおいては、ノーマルサブフレーム及びABSが9サブフレーム毎に設定され、これらのノーマルサブフレーム及びABS以外のサブフレームにノーマルサブフレーム又はABSが設定される(
図5参照)。すなわち、1)ノーマルサブフレーム及び2)ABS以外のサブフレームでは、動的に切り替えてノーマルサブフレーム又はABSが設定される。
【0024】
このような無線フレームを受信すると、UEは、各サブフレームの受信品質を測定し、測定したチャネル品質情報を基地局にフィードバックする必要がある。ノーマルサブフレーム及びABSにおける適切なチャネル品質情報のフィードバックを実現するため、基地局からは、受信品質を測定すべきサブフレームを指示するMeasurement resource1、2がUEに通知される。Measurement resource1は、受信品質を測定するノーマルサブフレームのサブフレーム位置を指示するビットマップであり、Measurement resource2は、受信品質を測定するABSのサブフレーム位置を指示するビットマップである。これらのMeasurement resourceは、上位制御信号(例えば、ハイヤレイヤシグナリング)によりUEに通知される。
【0025】
図4は、基地局から通知されるMeasurement resourceの説明図である。
図4Aは、基地局から通知されるMeasurement resource1を示し、
図4Bは、基地局から送信されるMeasurement resource2を示す。
図4A、Bに示すように、Measurement resourceは、受信品質を測定するサブフレーム位置に対応づけて「1」が設定され、その他のサブフレーム位置に「0」が設定されたビットマップで構成される。
【0026】
Measurement resource1では、
図4Aに示すように、受信品質を測定する特定のノーマルサブフレームに「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置には「0」が設定される。同様に、Measurement resource2では、
図4Bに示すように、受信品質を測定する特定のABSに「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置に「0」が設定される。移動局は、Measurement resource1で指定された特定のノーマルサブフレームで受信品質を測定する。また、移動局は、Measurement resource2で指定された特定のABSで受信品質を測定する。
【0027】
図5は、
図4A、Bに示すMeasurement resourceで受信品質の測定が指示される無線フレームの一例を示している。なお、
図5Bにおいては、横軸に時間を示し、縦軸に送信電力を示している。また、
図5Aにおいては、各サブフレームで送信される参照信号(Cell specific reference signal(CRS)を省略し、
図5Bにおいては、当該参照信号(CRS)を
図5Aに示す無線フレームに付加して示している。
【0028】
図5Aに示す無線フレームにおいては、
図4Aに示すMeasurement resource1で受信品質の測定が指示されるサブフレーム(例えば、
図5における左端から1番目、9番目、17番目のサブフレーム)にノーマルサブフレームが割り当てられている。また、
図4Bに示すMeasurement resource2で受信品質の測定が指示されるサブフレーム(例えば、
図5における左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム)にABSが割り当てられている。なお、
図5においては、動的に切り替えてノーマルサブフレーム又はABSが設定されるサブフレーム(例えば、
図5における左端から3番目〜8番目、11番目〜16番目、19番目〜24番目のサブフレーム)において、ノーマルサブフレーム又はABSが適宜選択された場合について示している。
【0029】
各サブフレームで送信されるCRSの送信電力は、
図5Bに示すように、ABSが割り当てられたサブフレームにおいても、ノーマルサブフレームの送信電力(より具体的には、ノーマルサブフレームに割り当てられたPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の送信電力)と同レベルに設定されている。これは、UEにおいては、ABSが割り当てられたサブフレームにおいても、ハンドオーバ等のために基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)を測定する必要があるためである。
【0030】
LTE−A(Release10 LTE)においては、ノーマルサブフレームのみにPDSCHが割り当てられ、ABSにPDSCHが割り当てられない。このため、UEは、ノーマルサブフレームのみにおいて、PDSCHの復調が要求される。PDSCHの復調には、CRSの送信電力に対するPDSCHの送信電力の比(以下、「CRS/PDSCH電力比」という)を把握する必要がある。このCRS/PDSCH電力比は、ハイヤレイヤシグナリングで通知されており、適切にPDSCHを復調できる。
【0031】
一方、LTE−A(Release11 LTE)においては、LTEにて無送信電力区間として設定されるサブフレーム(ABS)に、ノーマルサブフレームよりも小さい送信電力の割り当てを許容して、送信電力の減じられたPDSCHを配置することが検討されている。このようにABSに送信電力の減じられたPDSCHを配置するサブフレームは、Non−zero transmit power ABS(以下、「Non−zero power ABS」という)と呼ぶことができる。つまり、LTE−A(Release11 LTE)においては、ノーマルサブフレームのみならず、ABSでもPDSCHが送信される。
【0032】
図6は、
図5Bに示す無線フレームにおけるABSをNon−zero power ABSに置換した場合の無線フレームの説明図である。
図6に示す無線フレームにおいては、
図4Bに示すMeasurement resource2で受信品質の測定が指示されるサブフレーム(例えば、
図5における左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム)にNon−zero power ABSが割り当てられている。
【0033】
図6に示すように、Non−zero power ABSには、一定の送信電力が割り当てられており、PDSCHの送信に利用される。このため、LTE−A(Release11 LTE)においては、ノーマルサブフレームのみならず、Non−zero power ABSでもPDSCHの復調が要求される。LTE(Release8 LTE)からノーマルサブフレームのCRSに対する電力比が規定されていたが、今回Non−zero power ABSに対して新たに電力比を規定する必要が生じた。
【0034】
本発明者らは、LTE−A(Release11 LTE)においては、PDSCHの復調に際して新たにNon−zero power ABSのCRS/PDSCH電力比をUE側で把握する必要ある点に着目し、本発明に至った。すなわち、本発明の骨子は、各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比をそれぞれ示す電力比パターンを決定し、その電力比パターンにしたがって各サブフレームの電力比を識別するための識別情報を含んだ下りリンク信号を基地局からUEへ送信し、UEで受信した下りリンク信号に含まれた識別情報にしたがってサブフレーム内のCRS/PDSCH電力比を導出することにある。
【0035】
本発明によれば、CRS/PDSCH電力比をそれぞれ示す電力比パターンを識別するための識別情報がUEに送信されることから、UEで各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を把握できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。この結果、Non−zero power ABSに割り当てられたPDSCHでデータ通信を行うことができるので、HetNetのような階層型ネットワークにおける干渉低減を確保しながら、システム全体のスループット特性を改善することが可能となる。
【0036】
本発明の第1の態様においては、上述したMeasurement resource1、2のシグナリングに加え、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比のパターン(以下、適宜「CRS/PDSCH電力比パターン」又は「電力比パターン」という)を識別するための識別情報をビットマップベースでシグナリングする。CRS/PDSCH電力比を識別するための識別情報としてUE側に上位制御信号(例えば、RRCシグナリングなどのハイヤレイヤシグナリング)でUE個別に送信することが可能である。なお、以下においては、2種類の電力比パターンのビットマップを送信する場合について説明するが、3種類以上の電力比パターンのビットマップを送信する態様としてもよい。
【0037】
図7は、本発明の第1の態様に係るCRS/PDSCH電力比パターンの説明図である。
図7Aは、基地局から通知されるMeasurement resource1のビットマップを示し、
図7Bは、基地局から送信されるMeasurement resource2のビットマップを示す。
図7Cは、LTE−A(Release11 LTE)でPDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比パターンを示す。この電力比パターンは、
図7A、Bに示すMeasurement resource1、2に基づいて求められる。
【0038】
図7Aに示すように、Measurement resource1では、品質測定すべき特定のノーマルサブフレーム位置に「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置に「0」が設定される。Measurement resource2では、
図7Bに示すように、品質測定すべき特定のNon−zero power ABS位置に「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置に「0」が設定される。
【0039】
図7Cに示す電力比パターンにおいては、
図7Aに示すMeasurement resource1で受信品質の測定が指示されるサブフレームに対応するビット情報(例えば、
図7における左端から1番目、9番目、17番目のビット情報)に、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比を示す「1」が設定されている。また、
図7Bに示すMeasurement resource2で受信品質の測定が指示されるサブフレームに対応するビット情報(例えば、
図7における左端から2番目、10番目、18番目のビット情報)に、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比を示す「0」が設定されている。
【0040】
なお、
図7Cにおいては、動的に切り替えてノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSが設定されるサブフレームに対応するビット情報(例えば、
図7における左端から3番目〜8番目、11番目〜16番目、19番目〜24番目のビット情報)において、ノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSが適宜選択された場合について示している。
【0041】
ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比、並びに、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比は、基地局(マクロ基地局、ピコ基地局)とUEとの間で予め把握するため、上記ハイヤレイヤシグナリングで通知する。なお、
図7Cに示す電力比パターンのビットマップを送信する際に、これらの第1、第2のCRS/PDSCH電力比を個別に送信する。また、これらのパターンを共通として報知チャネルで通知してもよい。
【0042】
本発明の第1の態様によれば、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比パターンのビットマップが、電力比パターンを識別するための識別情報としてUEに送信されることから、UEで各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を導出できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。この結果、Non−zero power ABSに割り当てられたPDSCHでデータ通信を行うことができるので、HetNetのような階層型ネットワークにおける干渉低減を確保しながら、システム全体のスループット特性を改善することが可能となる。
【0043】
第1の態様においては、
図7Cに示すCRS/PDSCH電力比パターンをUE毎に決定することができる。基本的に、マクロ基地局が干渉を与えるピコ基地局の状況(主にユーザ数)に応じて無線フレームのうちどの程度をABSに割り当てるかを決定する。この場合、ノーマルかABSかを動的に制御するが、UEには準静的に制御することを特徴とする。つまり、リソース割当て対象となるUEを半分程度に分けて、動的に制御したいサブフレームにおいて、どちらにするかを決定した後、無線リソースを割り当てるUEを選択する。例えば、マクロ基地局が、隣接マクロ、ピコ基地局からの制御信号から、どの程度のリソースをABSとするかを決定する。また、動的な切り替えを実現するために、ノーマル、ABSを仮定するUEがほぼ同程度となるようにパターンを決定する。その際に各UEからフィードバックされるチャネル品質情報や、各UEに対して送信するためにバッファされたバッファ情報に応じてCRS/PDSCH電力比パターンを設定してもよい。
図8は、第1の態様で複数のUE(UE#A、UE#B)に設定したCRS/PDSCH電力比パターンの説明図である。
図8Aは、UE#Aに設定したCRS/PDSCH電力比パターンを示し、
図8Bは、UE#Bに設定したCRS/PDSCH電力比パターンを示す。
【0044】
なお、
図8A、Bに示す電力比パターンにおいては、動的に切り替えてノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSが設定されるサブフレームに対応するビット情報(例えば、
図8A、Bにおける左端から3番目〜8番目、11番目〜16番目、19番目〜24番目のビット情報)において、ノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSが適宜選択された場合について示している。
【0045】
特に、
図8A、Bに示す電力比パターンにおいては、UE#AとUE#Bとで異なる電力比パターンが設定される場合について示している。例えば、
図8A、Bにおける左端から3番目、4番目のサブフレームにおいては、UE#Aに対してノーマルサブフレーム(「1」)が割り当てられるのに対し、UE#Bに対してNon−zero power ABS(「0」)が割り当てられている。また、
図8A、Bにおける左端から5番目、6番目においては、UE#Aに対してNon−zero power ABS(「0」)が割り当てられるのに対し、UE#Bに対してノーマルサブフレーム(「1」)が割り当てられている。
【0046】
ここで、UE#A、#Bに対して
図8A、Bに示す電力比パターンが決定された場合における無線フレームに対するユーザ(UE)割り当てについて
図9を参照しながら説明する。
図9は、
図8A、Bに示す電力比パターンがUE#A、#Bに対してそれぞれ決定した場合における無線フレームに対するユーザ割り当ての説明図である。
図9Aにおいては、
図8A、Bに示す電力比パターンに対応する無線フレームに割り当てられたノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSの一例を示す。
図9Bにおいては、
図9Aに示す無線フレームに対して割り当てられたUEの一例を示す。
【0047】
今、
図9Aに示すように、サブフレーム単位で瞬時的にノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSが割り当てられたものとする。例えば、基地局は、他セルの干渉を考慮して、無線フレームに対してサブフレーム単位でノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSを割り当てる。
【0048】
具体的には、
図9Aに示す無線フレームにおいては、半静的に設定されるサブフレーム(
図9Aにおける左端から1番目、9番目、17番目のサブフレーム)にノーマルサブフレームが設定されると共に、半静的に設定されるサブフレーム(
図9Aにおける左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム)にABSが設定されている。また、動的に切り替えて設定されるサブフレーム(
図9Aにおける左端から3番目〜8番目、11番目〜16番目、19番目〜24番目のサブフレーム)において、左端から3番目〜6番目、11番目、13番目、16番目、20番目、22番目、24番目のサブフレームにノーマルサブフレームが設定され、7番目、8番目、12番目、14番目、15番目、19番目、21番目、23番目のサブフレームにNon−zero power ABSが設定されている。
【0049】
このように、サブフレーム種別がスケジューリングされた無線フレームに対して、ユーザ割り当てを行う際、基地局は、まずノーマルもしくはABSかを決定する。その後、そのサブフレームを決定したノーマル(もしくはABS)として復調可能なUEをピックアップして、プロポーショナルフェアスケジューリングを適用する。ここでは、プロポーショナルフェアスケジューリングを用いてユーザ割り当てを行う場合について説明するが、ユーザ割り当てに用いられるスケジューリング方式については適宜変更して適用可能である。
【0050】
図8に示すように、半静的に設定されるサブフレーム(
図8に示す左端から1番目、9番目、17番目のサブフレーム、並びに、
図8に示す左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム)では、UE#A、UE#Bとで共通のサブフレーム種別とされることから、UE#A、UE#Bに対してノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSが公平に割り当てられるようにユーザ割り当てが行われる。
【0051】
図9Bにおいては、左端から1番目、9番目、17番目のサブフレーム(ノーマルサブフレーム)にて、それぞれUE#B、UE#A、UE#Aが割り当てられた場合について示している。また、左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム(Non−zero power ABS)にて、それぞれUE#B、UE#B、UE#Aが割り当てられた場合について示している。
【0052】
動的に切り替えて設定されるサブフレーム(
図9Aに示す左端から3番目〜8番目、11番目〜16番目、19番目〜24番目のサブフレーム)においては、スケジューリングされた無線フレームのサブフレーム種別(ノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABS)と同一種別のサブフレームが電力比パターンに設定されているUEを割当てる。
【0053】
図9Aに示す無線フレームのようにサブフレーム種別がスケジューリングされている場合、左端から3番目〜6番目にノーマルサブフレームが設定されていることから、
図8に示す電力比パターンで該当するサブフレーム位置にノーマルサブフレームが設定されているUEが選択される。すなわち、
図9Bに示すように、左端から3番目、4番目のサブフレームではUE#Aが選択され、左端から5番目、6番目のサブフレームではUE#Bが選択されてユーザ割り当てが行われる。
【0054】
同様に、
図9Aに示す無線フレームにおいては、左端から7番目、8番目にNon−zero power ABSが設定されていることから、
図8に示す電力比パターンで該当するサブフレームにNon−zero power ABSが設定されているUEが選択される。すなわち、
図9Bに示すように、左端から7番目、8番目のサブフレームではUE#Bが選択されてユーザ割り当てが行われる。
【0055】
同様の要領で、
図9Aに示す左端から11番目〜16番目、19番目〜24番目のサブフレームに割り当てられるUEが選択される。ここでは、ユーザ割り当て対象となるUEが2つのUE#A、UE#Bで構成される場合について説明している。ユーザ割り当て対象となるUEが3つ以上のUEで構成される場合においては、各サブフレーム位置において同一のサブフレーム種別が決定されている複数UEのグループを形成し、グループ単位でUEを割り当てても良い。または、決定した電力比パターンが同じUEのグループを形成し、グループ単位でUEを割り当てても良い。
【0056】
このように本発明の第1の態様においては、CRS/PDSCH電力比パターンをUE個別に決定できることから、基地局でサブフレームにUEを割り当てる際の自由度を高くできる。各サブフレームで良好なチャネル状態を有するUEを優先的に割り当てることができ、システム全体のスループット特性を改善することが可能となる。
【0057】
本発明の第2の態様においては、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比又はその種別を、CRS/PDSCH電力比を識別するための識別情報としてUE側に制御信号を用いて送信する。少なくとも2種類のCRS/PDSCH電力比等を送信する制御信号としては下りリンク制御信号の一つであるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、以下においては、2種類のCRS/PDSCH電力比を送信する場合について説明するが、3種類以上のCRS/PDSCH電力比を送信する態様としてもよい。
【0058】
下りリンク制御信号を用いて2種類のCRS/PDSCH電力比等を送信する第1の方法は、2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を示すビット情報を下りリンク制御信号に追加する方法である。第1の方法においては、例えば、PDCCHに含まれるDCIフォーマットを構成するビット情報に、2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を示す1ビット(以下、「電力比種別ビット」という)を追加することが考えられる。もしくは、すでに定義されているビットを代用してもよい。さらに、UEにUE−IDを2種類付与することによって、どちらのUE−IDで割り当てが行われたかによって判別してもよい。
【0059】
この電力比種別ビットにおいては、例えば、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比の種別を通知するために「1」が設定され、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比の種別を通知するために「0」が設定される。PDCCHを受信したUEは、DCIフォーマットの電力比種別ビットの解析結果から各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比の種別を把握できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。
【0060】
なお、第1の方法において、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比、並びに、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比は、基地局(マクロ基地局、ピコ基地局)とUEとの間で把握するため、上記ハイヤレイヤシグナリングで通知する。
【0061】
また、第1の方法において、電力比種別ビットを、DCIフォーマットに含まれる他のビット情報と共用することは実施の形態として好ましい。この場合には、DCIフォーマットに新たにビット情報を追加する必要がないので、電力比種別ビットの定義など最小限のシステム変更で2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を送信することが可能となる。
【0062】
下りリンク制御信号を用いて2種類のCRS/PDSCH電力比等を通知する第2の方法は、各UEに予め2つのUE−IDを割り当てると共に、これらのUE−IDを2種類のCRS/PDSCH電力比に関連付ける方法である。第2の方法において、UEに割り当てられるUE−IDは、例えば、PDCCHに含まれるDCIの一部のビット情報をマスクすることによって、PDCCHに含ませることができる。
【0063】
第2の方法においては、例えば、1つのUE当たり2つのUE−ID(UE−ID#1、UE−ID#2)を割り当てておき、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比を通知する際にUE−ID#1がPDCCHに設定され、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比を通知する際にUE−ID#1がPDCCHに設定される。
【0064】
PDCCHを受信したUEは、DCIフォーマットに指定されるUE−IDから各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比の種別を把握できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。
【0065】
なお、第2の方法において、UEに割り当てられる2つのUE−IDと、2種類のCRS/PDSCH電力比との関係は、例えば、上位制御信号(例えば、RRCシグナリング)によりUEに通知することができる。また、基地局(マクロ基地局、ピコ基地局)とUEとの間で把握するため、上記ハイヤレイヤシグナリングで通知する。この場合には、UE−IDとCRS/PDSCH電力比との関係を個別に通信する必要がないので、通信量を低減しながらUEに2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を送信することが可能となる。
【0066】
上述した第1、第2の方法では、制御信号で電力比の種別を送信するものであり、第1、第2のCRS/PDSCH電力比自体(電力比の数値)は、予め基地局(マクロ基地局、ピコ基地局)とUEとの間で把握するため、上記ハイヤレイヤシグナリングで通知する。制御信号を用いて2種類のCRS/PDSCH電力比等を通知する第3の方法は、2種類のCRS/PDSCH電力比自体を制御信号に設定する方法である。第3の方法においては、例えば、PDCCHに含まれるDCIフォーマットに、CRS/PDSCH電力比を設定可能なビットフィールド(以下、「電力比設定フィールド」という)を設定する。
【0067】
この電力比設定フィールドにおいては、例えば、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比を指定するためのビット情報が設定され、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比を指定するためのビット情報が設定される。PDCCHを受信したUEは、DCIフォーマットの電力比設定フィールドのビット情報の解析結果から各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を導出できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。
【0068】
このように本発明の第2の態様によれば、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比又はその種別が、電力比パターンを識別するための識別情報としてUEに通知されることから、UEで各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を導出できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。この結果、Non−zero power ABSに割り当てられたPDSCHでデータ通信を行うことができるので、HetNetのような階層型ネットワークにおける干渉低減を確保しながら、システム全体のスループット特性を改善することが可能となる。
【0069】
上述した第1、第2の態様においては、それぞれ上位制御信号、制御信号を用いてPDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比に関する情報をUE側に送信する。本発明の第3の態様においては、基地局側からのCRS/PDSCH電力比に関する情報の送信を必要とすることなく、上述したMeasurement resource1、2からCRS/PDSCH電力比を求める。
【0070】
図10は、本発明の第3の態様において、UEで求められるCRS/PDSCH電力比パターンの説明図である。
図10Aは、基地局から通知されるMeasurement resource1を示し、
図10Bは、基地局から送信されるMeasurement resource2を示す。
図10Cは、UEで求められるCRS/PDSCH電力比パターンを示す。
【0071】
図10Aに示すように、Measurement resource1では、品質測定すべきノーマルサブフレームのサブフレーム位置に「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置に「0」が設定される。Measurement resource2では、
図10Bに示すように、品質測定すべきNon−zero power ABSのサブフレーム位置に「1」が設定され、それ以外のサブフレーム位置に「0」が設定される。
【0072】
第3の態様において、基地局からMeasurement resource1、2の通知を受けると、UEは、Measurement resource2に基づいて、2種類のCRS/PDSCH電力比を示す電力比パターンを生成する。具体的には、Measurement resource2で受信品質の測定が指示されるサブフレーム位置(例えば、
図10Cにおける左端から2番目、10番目、18番目のサブフレーム)に、Non−zero power ABSに対応する第2のCRS/PDSCH電力比を示す「0」を設定する。そして、これ以外のサブフレーム位置に、ノーマルサブフレームに対応する第1のCRS/PDSCH電力比を示す「1」を設定する。これにより、UEは、2種類のCRS/PDSCH電力比パターンを得る。
【0073】
本発明の第3の態様によれば、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比パターンを、基地局から通知されるMeasurement resource2に基づいてUEで求めることができることから、UEで各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を把握できるので、LTE−A(Release11 LTE)において、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。この結果、Non−zero power ABSに割り当てられたPDSCHでデータ通信を行うことができるので、HetNetのような階層型ネットワークにおける干渉低減を確保しながら、システム全体のスループット特性を改善することが可能となる。
【0074】
ここで、本発明の実施例に係る無線通信システムについて詳細に説明する。
図11は、本実施例に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、
図11に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする複数の基本周波数ブロックを一体としたキャリアアグリゲーションが用いられている。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4Gと呼ばれても良い。
【0075】
図11に示すように、無線通信システム1は、基地局装置20A、20B、20Cと、この基地局装置20A、20B、20Cと通信する複数の移動端末装置10(10
1、10
2、10
3、・・・10
n、nはn>0の整数)とを含んで構成されている。基地局装置20A、20B、20Cは、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。移動端末装置10は、セルC1、C2、C3において基地局装置20A、20B、20Cと通信を行うことができる。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0076】
本発明の実施例に係る無線通信システム1は、HetNetに代表される階層型ネットワークに適用可能である。HetNetの場合、例えば、基地局装置20Aがカバーエリアが広くて送信電力の大きいマクロ基地局であり、基地局装置20Bが基地局装置20Aのカバーエリアに配置され、マクロ基地局よりも送信電力が小さくカバーエリアの小さいピコ基地局である。
【0077】
各移動端末装置(10
1、10
2、10
3、・・・10
n)は、LTE端末及びLTE−A端末を含むが、以下においては、特段の断りがない限り移動端末装置10として説明を進める。また、説明の便宜上、基地局装置20A、20B、20Cと無線通信するのは移動端末装置10であるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。
【0078】
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用されるが、上りリンクの無線アクセス方式はこれに限定されない。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0079】
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置10で共有される下りデータチャネルとしてのPDSCHと、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、送信データ及び上位制御情報が伝送される。PDCCHにより、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
【0080】
上りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、送信データや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、参照信号(CSI−RS,CRS)を用いた受信品質情報であるCSI、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
【0081】
図12を参照しながら、本実施の形態に係る基地局装置20の全体構成について説明する。なお、基地局装置20A(例えば、マクロ基地局)、20B(例えば、ピコ基地局)、20Cは、同様な構成であるため、基地局装置20として説明する。基地局装置20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(通知部)203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより基地局装置20から移動端末装置10に送信される送信データは、上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
【0082】
ベースバンド信号処理部204において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、送信データの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われる。
【0083】
また、ベースバンド信号処理部204は、報知チャネルにより、同一セルに接続する移動端末装置10に対して、各移動端末装置10が基地局装置20との無線通信するための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための報知情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACH(Physical Random Access Channel)におけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)等が含まれる。
【0084】
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に周波数変換する。アンプ部202は、周波数変換された送信信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。
【0085】
一方、上りリンクにより移動端末装置10から基地局装置20に送信される信号については、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
【0086】
ベースバンド信号処理部204は、上りリンクで受信したベースバンド信号に含まれる送信データに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行う。復号された信号は伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
【0087】
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、基地局装置20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0088】
次に、
図13を参照しながら、本実施の形態に係る移動端末装置10の全体構成について説明する。LTE端末もLTE-A端末もハードウエアの主要部構成は同じであるので、区別せずに説明する。移動端末装置10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(受信部)103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
【0089】
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクの送信データは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
【0090】
一方、上りリンクの送信データは、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、マッピング処理、再送制御(HARQ)の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理を行う。送受信部103は、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部102で増幅されて送受信アンテナ101より送信される。
【0091】
図14を参照して、基地局装置20が有するベースバンド信号処理部204の機能ブロックについて説明する。なお、
図14に示す機能ブロックは、本発明を説明するために簡略化したものであり、基地局装置が備えるベースバンド信号処理部において通常備える構成は備えているものとする。
【0092】
図14に示すように、基地局装置20が有するベースバンド信号処理部204は、ノーマルサブフレーム/Non−zero power ABSパターン決定部(Normal/ABSパターン決定部)2041と、スケジューラ2042と、制御信号生成部2043と、データ信号生成部2044と、上位制御信号生成部2045と、信号多重部2046とを含んで構成されている。
【0093】
Normal/ABSパターン決定部2041は、パターン決定部を構成するものであり、無線フレームを構成する各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比をそれぞれ示す電力比パターンを決定する。Normal/ABSパターン決定部2041は、隣接セルからの信号に基づき制御を行う。また、各移動端末装置10からフィードバックされるチャネル品質情報や、各移動端末装置10に対して送信するためにバッファされたバッファ情報に応じてCRS/PDSCH電力比パターンを決定する。なお、Normal/ABSパターン決定部2041は、第2、第3の態様が適用される場合には省略することができる。
【0094】
スケジューラ2042は、例えば他セルの干渉を考慮して、無線フレームの各サブフレームの種別(ノーマルサブフレーム又はNon−zero power ABS)の割り当てを決定する。そして、第1の態様が適用される場合、スケジューラ2042は、Normal/ABSパターン決定部2041で決定された電力比パターンに従ってユーザ割り当てを行う。例えば、スケジューラ2042は、プロポーショナルフェアスケジューリングを用いてユーザ割り当てを行う。
【0095】
制御信号生成部2043は、スケジューラ2043により各サブフレームへの割り当てが決定された移動端末装置10に対する制御信号を生成する。第2の態様における第1の方法が適用される場合、制御信号生成部2043は、DCIフォーマットを構成するビット情報に、2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を示す1ビット(電力比種別ビット)が追加されたPDCCHを生成する。また、第2の方法が適用される場合、制御信号生成部2043は、DCIフォーマット内に2種類のCRS/PDSCH電力比に関連付けられたUE−IDが設定されたPDCCHを生成する。さらに、第3の方法が適用される場合、制御信号生成部2043は、DCIフォーマットに、RS/PDSCH電力比を設定可能なビットフィールド(電力比設定フィールド)が設定されたPDCCHを生成する。
【0096】
データ信号生成部2044は、スケジューラ2042により各サブフレームへの割り当てが決定された移動端末装置10に対するデータ信号(PDSCH)を生成する。データ信号生成部2044により生成されるデータ信号には、上位制御信号生成部2045により生成された上位制御信号(例えば、Measurement resourceやCRS/PDSCH電力比パターン)が含まれる。
【0097】
上位制御信号生成部2045は、Measurement resourceなどを含む上位制御信号を生成する。第1の態様が適用される場合、上位制御信号生成部2045は、2種類のCRS/PDSCH電力比パターンを生成する。上位制御信号生成部2045で生成された上位制御信号は、データ信号生成部2044に出力され、データ信号(PDSCH)に組み込まれる。
【0098】
信号多重部2046は、制御信号生成部2043で生成された制御信号と、データ信号生成部2044で生成されたデータ信号と、不図示の参照信号生成部で生成された参照信号(例えば、CRS)とを多重して送信信号を生成する。信号多重部2046で生成された送信信号は、送受信部203に出力され、アンプ部202及び送受信アンテナ201を介して移動端末装置10に送信される。
【0099】
このように本実施例に係る基地局装置20によれば、上位制御信号又は制御信号でPDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比又はその種別を移動端末装置10に送信することができるので、移動端末装置10に各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を導出させることができる。この結果、移動端末装置10に、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調させることが可能となる。
【0100】
次に、
図15を参照して、移動端末装置10が有するベースバンド信号処理部104の機能ブロックについて説明する。なお、
図15に示す機能ブロックは、本発明を説明するために簡略化したものであり、移動端末装置が備えるベースバンド信号処理部において通常備える構成は備えているものとする。
【0101】
図15に示すように、移動端末装置10が有するベースバンド信号処理部104は、信号分離部1041と、制御信号復調部1042と、CRS/PDSCH電力比決定部(以下、「電力比決定部」という)1043と、データ信号復調部1044と、受信品質測定部1045とを含んで構成されている。
【0102】
信号分離部1041は、送受信部103を介して基地局装置20から受信した受信信号を、制御信号、データ信号及び参照信号に分離する。信号分離部1041により分離された制御信号、データ信号及び参照信号は、それぞれ制御信号復調部1042、データ信号復調部1043及び受信品質測定部1045に出力される。
【0103】
制御信号復調部1042は、信号分離部1041から入力された制御信号を復調する。そして、復調した制御信号から自装置に対するデータ信号(PDSCH)の割り当ての有無を判定する。第2の態様における第1の方法が適用される場合、制御信号復調部1042は、PDCCH内のDCIフォーマットに含まれる電力比種別ビットから2種類のCRS/PDSCH電力比種別を判定する。同様に、第2の方法が適用される場合、制御信号復調部1042は、PDCCH内のDCIフォーマットに含まれるUE−IDから2種類のCRS/PDSCH電力比の種別を判定する。また、第3の方法が適用される場合、制御信号復調部1042は、PDCCH内のDCIフォーマットに含まれる電力比設定フィールドから2種類のCRS/PDSCH電力比を判定する。
【0104】
電力比決定部1043は、各サブフレームに設定されているCRS/PDSCH電力比を決定する。第1の態様が適用される場合、電力比決定部1043は、事前に上位制御信号で通知されたCRS/PDSCH電力比パターンに基づいて、各サブフレームに設定されているCRS/PDSCH電力比を決定する。また、第2の態様が適用される場合、電力比決定部1043は、制御信号復調部1042による復調結果に基づいて、各サブフレームに設定されているCRS/PDSCH電力比を決定する。なお、第1、第2の態様が適用される場合において、電力比決定部1043は、それぞれ上位制御信号で通知されたCRS/PDSCH電力比パターン、制御信号復調部1042による復調結果と、予め記憶しておいたCRS/PDSCH電力比、或いは、別途基地局装置20から通知されるCRS/PDSCH電力比とを用いて各サブフレームに設定されているCRS/PDSCH電力比を決定する。第3の態様が適用される場合、電力比決定部1043は、基地局装置20から通知されるMeasurement resource2に基づいて、2種類のCRS/PDSCH電力比パターンを生成し、生成した電力比パターンに従って各サブフレームに設定されているCRS/PDSCH電力比を決定する。電力比決定部1043により決定されたCRS/PDSCH電力比は、データ信号復調部1044に出力される。
【0105】
データ信号復調部1044は、電力比決定部1043により決定されたCRS/PDSCH電力比を用いて各サブフレームに割り当てられたデータ信号(PDSCH)を復調する。データ信号復調部1044でデータ信号を復調することにより、基地局装置20から送信された送信信号が再生される。なお、データ信号に含まれる上位制御信号は、アプリケーション部105に出力される。
【0106】
受信品質測定部1045は、信号分離部1041から入力された参照信号に基づいて受信品質を測定する。受信品質測定部1045により測定された受信品質は、送受信部103に出力され、アンプ部102及び送受信アンテナ101を介して基地局装置20に送信(フィードバック)される。
【0107】
このように本実施例に係る移動端末装置10によれば、基地局装置20から上位制御信号又は制御信号でPDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比又はその種別を受信でき、或いは、基地局装置20から通知されるMeasurement resource2に基づいてCRS/PDSCH電力比パターンを生成できるので、各サブフレームにおけるCRS/PDSCH電力比を導出することができる。この結果、ノーマルサブフレーム及びNon−zero power ABSで送信される2種類の送信電力を有するPDSCHを適切に復調することが可能となる。
【0108】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、様々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明における、PDSCHの復調に必要となる2種類のCRS/PDSCH電力比の生成方法、送信方法については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。