【実施例1】
【0027】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0028】
図1は、実施例1の換気構造を備えた建物1の概略構成を示している。
【0029】
この建物1は、
図1に示したように、片傾斜した屋根Yを有している。
【0030】
この実施例1の換気構造の要部は、
図2に示したように、この片傾斜した屋根Yの水下側に構成されている。
【0031】
この建物1では、
図2に示したように、軒部Nを構成する溝形鋼の軒梁3のウェブ部の長手方向に沿って、桟材4を介して、建物1の外方に突出した外樋5が設けられている。
【0032】
なお、この外樋5の水下側(紙面手前側)には、図示省略の下部が下水道に繋がった縦樋が連通して設けられ、外樋5内に溜まった雨水が排水可能とされている。
【0033】
また、桟材4と外樋5との間には、上部に建物1の外方に向いた水返し部61を有し、下部に建物1の内方に向いた水返し部62を有する断面略Z字状の水返し部材6が挟み込まれて設けられている。
【0034】
さらに、軒梁3は、フランジ部間に防水パッキン7を介して、溝形鋼の屋根梁8で支持されている。
【0035】
また、屋根梁8の上側フランジ部と外壁9の上端部との間には、防水シート19が貼設されている。
【0036】
さらに、片傾斜した屋根Yを構成する野地板10の下面は、垂木11,・・・で支持されている。
【0037】
ここで、最下部の垂木11を受ける断面略L字状の垂木受材12の立ち上がり部と軒梁3の上側フランジ部との間には、断面略V字状の支持材13が設けられている。
【0038】
この支持材13は、屋根Yの大きな荷重を軒梁3へ伝達でき、しかも、換気経路も確保できるように、軒梁3の長手方向に沿って所定の間隔をあけて、複数個設けられている。
【0039】
また、野地板10の上面には、屋根材14が敷設されて、片傾斜した屋根Yが構成されている。
【0040】
この屋根材14の下端部には、フック部14aが形成されており、このフック部14aには、フック部15aが係合されて、クリップ部材15が設けられている。
【0041】
このクリップ部材15と野地板10の下端部との間に水切り材16の上端部を挟み込んで固定することにより、水切り材16が屋根Yの軒先から延設されている。
【0042】
この水切り材16の下端部16aは、水返し部材6の水返し部61の先端部から間隔をあけて、外樋5の上側の中央部寄りから外樋5の外側上縁部よりも若干下方に位置するまで垂下している。
【0043】
これにより、この実施例1の換気構造の換気口Eが形成されている。
【0044】
ここで、換気口Eの入口近傍には、軒部Nの長手方向に延びる複数のスリット孔が形成された防鳥・防水板部17が設けられている。
【0045】
そして、矢印Wで示したように、換気口Eから給気された空気は、換気空間としての屋根裏空間2へと入り、屋根裏空間2内を換気した後、屋根Yの水上側の軒部に形成された図示を省略した換気口から排気される。
【0046】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0047】
このような実施例1の換気構造は、建物1の軒部Nの長手方向に沿って、その外方に突出した外樋5が設けられており、建物1の換気空間としての屋根裏空間2とその外部とを連通させる建物1の軒先に形成された換気口Eが、外樋5の上側に位置するように構成されている。
【0048】
こうした構成なので、外樋5の下面により換気口Eの下方向からの風雨の浸入が抑止されるため、換気性能に優れているうえに、雨仕舞い性能にも優れている。
【0049】
ここで、換気口Eの外側面は、建物1の屋根Yの端部から延設した水切り材16で形成されている。
【0050】
このため、こうした換気口Eを簡易に形成することができる。
【0051】
また、換気口Eの入口は、外樋5の外側上縁部よりも下方に位置するように設定されている。
【0052】
このため、外樋5の外側面により、換気口Eの横方向から回り込んでの風雨の浸入が抑制されるため、より雨仕舞い性能に優れたものとすることができる。
【0053】
さらに、換気口E内には、換気経路を確保する長さで建物1の内側から建物1の外側に向かって突出する水返し部61が設けられている。
【0054】
このため、この水返し部61により、万一換気口Eから雨水が上ってきても排除できるので、さらにより雨仕舞い性能に優れたものとすることができる。
【0055】
また、換気口E内の入口近傍には、軒部Nの長手方向に延びるスリット孔が形成された防鳥・防水板部17が設けられている。
【0056】
このため、この防鳥・防水板部17により、鳥などが侵入したり巣を作ったりするのを防止することができるうえに、さらにより雨仕舞い性能に優れたものとすることができる。
【0057】
このような実施例1の建物1は、上記した実施例1の換気構造を備えた構成とされている。
【0058】
こうした構成なので、上記した実施例1の換気構造の作用効果を奏する建物を構築することができる。
【0059】
ここで、建物1は片傾斜した屋根Yを有し、換気空間は、屋根Yの下側に形成された片傾斜した屋根裏空間2であり、屋根Yの水下側の軒先に、換気口Eが給気用の換気口として形成されているとともに、屋根Yの水上側の軒部には屋根裏空間2と連通する図示を省略した排気用の換気口が形成されている。
【0060】
このため、屋根裏空間2内は建物1の外側に比べて暖かいので、給気用の換気口Eから給気された換気用の空気は、屋根裏空間2内の上昇気流にのって図示を省略した排気用の換気口から排気され、効率の良い換気が行える。
【実施例2】
【0061】
次に、実施例2について説明する。
【0062】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0063】
図3は、実施例2の換気構造の概略構成を示している。
【0064】
この実施例2の換気構造では、野地板10の下端部と水返し部材6との間に、立ち上がり部において軒部Nの長手方向に延びる複数のスリット孔が形成された断面略逆L字状の防水部材18が設けられていることが実施例1の換気構造と主に異なる。
【0065】
このため、防水部材18を設けた分、さらにより雨仕舞い性能に優れたものとすることができる。
【0066】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0067】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1,2に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0068】
例えば、上記した実施例1,2では、片傾斜した屋根Yを有する建物1で実施したが、これに限定されず、平屋根の建物などで実施してもよい。
【0069】
また、上記した実施例1,2では、換気空間を屋根裏空間として実施したが、これに限定されず、例えば、換気空間をバルコニーの床下空間などにして実施してもよい。