特許第6022877号(P6022877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022877
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】再剥離性粘着シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20161027BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20161027BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J133/00
   C09J201/00
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-217066(P2012-217066)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70142(P2014-70142A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】戸田 航介
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−011209(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/104235(WO,A1)
【文献】 特開2009−275231(JP,A)
【文献】 特開平11−021524(JP,A)
【文献】 米国特許第04645783(US,A)
【文献】 特開平05−171118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面基材と、剥離シートの剥離面側に形成された粘着剤層とを、ニップロールを用いて貼合する工程を有する、再剥離性粘着シートの製造方法であって、
前記粘着剤層が、球状粘着剤及びアクリルエマルション型粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記粘着剤組成物の固形分の質量比(球状粘着剤:アクリルエマルション型粘着剤)が、100:75〜100:250であり、
前記表面基材と粘着剤層とを貼合するときの線圧が、10〜90N/cmであり、
前記球状粘着剤の40℃における損失正接(tanδ)が、0.15〜0.40であることを特徴とする、再剥離性粘着シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性、基材密着性及び再貼付性に優れる再剥離性粘着シートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流管理用ラベルや事務用品として、再剥離性粘着シート(粘着シートを被着体に貼付後、所定の時間が経過した後に剥離が可能な粘着シート)が多用されている。
このような再剥離性粘着シートには、通常、粘着性と剥離性という、相反する性能の両立が求められる。例えば、その使用時には、ダンボールのような粗面に対しても十分な粘着性を発揮し、簡単には剥がれないことが求められる。そして、再剥離性粘着シートを被着体から剥離するときには、糊残りや被着体の破損等の問題がなく、きれいに剥離できることが求められる。
また、貼付と剥離が複数回繰り返される場合など、用途によっては、上記の性能に加え、剥離時に粘着シートにカールなどを生じることなく剥がすことができ、再貼付できることも求められる。
【0003】
従来、球状の微粒子を粘着剤層に含有させることで、これらの性能を有する再剥離性粘着シートを得る試みが行われてきた。例えば、特許文献1には、基材とそれに結合した結合剤とを含み、該結合剤は、その中に粘着性のエラストマー状共重合体微球体を有し、該微球体は、結合剤中に部分的に埋められ、かつ、その露出表面から突き出していること等を特徴とする感圧シート状材料が提案されている。
また特許文献1には、感圧シート材料に球状の微粒子を粘着剤層に含有させることで、粘着剤層の表面が凹凸になるため、粘着剤層を被着体に接触させたときに接着面積が大きくなり過ぎず、結果として、再貼付性と粘着性とを両立することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭50−2736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
剥離シート付き粘着シートの製造方法として、剥離シート表面に粘着剤層を形成した後、その粘着剤層と基材とを貼合して、剥離シート付き粘着シートを製造する転写法が知られている。転写法は、異なる基材を用いて、多種類の粘着シートを量産する際に有利な方法である。また、基材上で粘着剤層を形成する必要がないため、基材が熱や溶媒等で変質することがなく、さらに、カールも発生しにくくなるという利点もある。
【0006】
このように、転写法は工業的に有利な方法ではあるが、上記のような球状の微粒子を粘着剤層に含有させて粘着剤層を形成する場合には、以下の理由により、転写法を利用することが難しかった。
すなわち、転写法においては、球状の微粒子を含有する粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するため、剥離シートに接する側(すなわち、使用時に被着体に貼付される側)の粘着剤層面に凹凸を形成することが困難である。またこの方法では、基材に接する側の粘着剤層面に凹凸が形成され、基材と粘着剤層との間の密着性が低下し易かった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、接着性、基材密着性及び再貼付性のすべてに優れる再剥離性粘着シートを、転写法によって製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、表面基材と、特定の組成からなる粘着剤組成物を用いて剥離シート上に形成された粘着剤層とを、特定範囲の線圧をかけて貼合することで、目的の特性を有する再剥離性粘着シートを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明によれば、下記(1)、(2)の再剥離性粘着シートの製造方法が提供される。
(1)表面基材と、剥離シートの剥離面側に形成された粘着剤層とを、ニップロールを用いて貼合する工程を有する、再剥離性粘着シートの製造方法であって、
前記粘着剤層が、球状粘着剤及びアクリルエマルション型粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成されたものであり前記粘着剤組成物の固形分の質量比(球状粘着剤:アクリルエマルション型粘着剤)が、100:75〜100:250であり、
前記表面基材と粘着剤層とを貼合するときの線圧が、10〜90N/cmであることを特徴とする、再剥離性粘着シートの製造方法。
(2)前記球状粘着剤の40℃における損失正接(tanδ)が、0.15〜0.40である、(1)に記載の再剥離性粘着シートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接着性、基材密着性及び再貼付性のすべてに優れる再剥離性粘着シートを転写法においても製造することができる。
したがって、多種類の再剥離性粘着シートを効率よく製造することができる。
特に、直塗法で製造するときは取り扱いが困難であった感熱紙、熱や溶媒で変質しやすいフィルムおよび伸縮性の高いフィルム等を基材とする再剥離性粘着シートを、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の再剥離性粘着シートの製造方法は、表面基材と、剥離シートの剥離面側に形成された粘着剤層とを、ニップロールを用いて貼合する工程を有するものであって、前記粘着剤層が、球状粘着剤及びアクリルエマルション型粘着剤を含有し、それらの固形分の質量比(球状粘着剤:アクリルエマルション型粘着剤)が、100:75〜100:250である粘着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記表面基材と粘着剤層とを貼合するときの線圧が、10〜90N/cmであることを特徴とする。
【0012】
(1)表面基材
本発明に用いる表面基材としては、再剥離性粘着シートにおいて、粘着剤層を担持できるものであれば特に制限されず、再剥離性粘着シートの表面基材として公知のものが挙げられる。
【0013】
このような表面基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートして得られるラミネート紙;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリカーボネートフィルム;アルミ箔、ステンレス箔等の金属箔;これらの基材を1種以上含む積層シート;等が挙げられる。
これらの表面基材は、印刷性を付与するために、粘着剤層とは反対側の面に、各種印刷方式に対応するインク受理層を設けたものであってもよい。
【0014】
表面基材の厚みは特に限定されず、再剥離性粘着シートの用途に応じて適宜選定することができる。表面基材の厚みは、通常、10〜250μm、好ましくは20〜200μmである。
【0015】
(2)剥離シート
本発明に用いる剥離シートは、粘着剤層を担持でき、粘着剤層との間で剥離性を有するものであれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。
このような剥離シートとしては、例えば、剥離シート基材表面に、シリコーン樹脂等からなる剥離剤を用いて剥離剤層を形成したものが挙げられる。
剥離シート基材としては、表面基材として先に例示したものと同様のものが挙げられる。
【0016】
剥離シートの厚みは特に限定されない。剥離シートの厚みは、通常、10〜250μm、好ましくは20〜200μmである。
【0017】
(3)粘着剤層
粘着剤層は、球状粘着剤及びアクリルエマルション型粘着剤を含有する粘着剤組成物から形成することができる。
【0018】
球状粘着剤とは、球状の微小な粒子からなる粘着剤をいう。本発明において球状粘着剤の種類は特に限定されず、再剥離性粘着シートの粘着剤層を形成する際に通常用いられる公知のものを用いることができる。
このような球状粘着剤としては、アクリル系球状粘着剤やゴム系球状粘着剤が挙げられる。なかでも、再剥離性や粘着性を制御し易いことから、アクリル系球状粘着剤が好ましい。
【0019】
アクリル系球状粘着剤は、アクリル系重合体からなる球状粘着剤である。アクリル系重合体としては、アクリル系単量体の一種を重合させることで得られるアクリル系単独重合体、アクリル系単量体の二種以上を重合させることで得られるアクリル系共重合体、及び、アクリル系単量体とその他の単量体を重合させることで得られるアクリル形共重合体が挙げられる。アクリル系重合体一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド類;メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸モノ又はジアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0021】
その他の単量体としては、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソブレン、クロロブレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体等が挙げられる。
【0022】
アクリル系球状粘着剤を構成する重合体は、内部架橋剤や外部架橋剤によって架橋されていてもよい。
内部架橋剤とは、重合時に、重合体分子内に架橋構造を導入し得る反応性単量体をいう。一方、外部架橋剤とは、重合体分子内に存在する架橋性官能基と反応して架橋構造を導入し得る化合物をいう。
【0023】
内部架橋剤としては、多官能性エチレン性不飽和単量体、ケト基含有エチレン性不飽和単量体、アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0024】
多官能性エチレン性不飽和単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0025】
ケト基含有エチレン性不飽和単量体としては、ジアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0026】
アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
【0027】
内部架橋剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
内部架橋剤を用いる場合、内部架橋剤を単量体混合物中に配合する。内部架橋剤の配合量は、単量体成分100質量部に対して、5質量部以下が好ましい。
【0028】
外部架橋剤としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、アジリジン(エチレンイミン)系化合物、ヒドラジド系化合物、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、尿素系化合物、ジアルデヒド系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられる。
外部架橋剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
外部架橋剤を用いる場合、外部架橋剤を、得られた重合反応溶液または分散液に配合する。外部架橋剤の配合量は、重合体100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
【0029】
アクリル系球状粘着剤は、懸濁重合法や、溶液重合後水中に懸濁させる方法などの従来公知の方法によって球状粘着剤の水懸濁液として得ることができる。
【0030】
重合反応を行う際に用いる重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド(過酸化ベンゾイル)、ラウロイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニ(トリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート等が挙げられる。
重合開始剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して0.1〜1.2質量部が好ましく、0.2〜1.0質量部がより好ましい。
【0031】
重合反応は、懸濁安定剤の存在下に行うことが好ましい。懸濁安定剤を用いることで、懸濁重合反応を安定に行うことができる。
懸濁安定剤としては、ポリアクリル酸、ゼラチン、デンプン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性ポリマー;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキレンジスルホン酸ジナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、メラミン樹脂スルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤;等が挙げられる。
懸濁安定剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
懸濁安定剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜15質量部がより好ましい。
【0032】
重合反応は、連鎖移動剤の存在下に行うことができる。
連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。
連鎖移動剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましい。
【0033】
球状粘着剤の粒子の平均粒径は特に制限されない。平均粒径の範囲は、通常、10〜110μm、好ましくは20〜80μmである。平均粒径が10μm以上の球状粘着剤を用いることで、再貼付性に優れる再剥離性粘着シートを得ることができる。一方、平均粒径が110μm以下の球状粘着剤を用いることで、接着性に優れる再剥離性粘着シートを得ることができる。
【0034】
球状粘着剤の粒子の平均粒子径は、例えば、粒子の電子顕微鏡写真からランダムに100個程度の粒子を選び、それらの粒子径を測ってその平均値を算出することで求めることができる。また、粒子が真球でない場合は、長径と短径を求め、その平均値をその粒子の粒子径と仮定すればよい。
【0035】
球状粘着剤の40℃における損失正接(tanδ)は、好ましくは0.15〜0.40、より好ましくは0.18〜0.35である。40℃における損失正接が0.15以上の球状粘着剤を用いることで、表面基材と粘着剤層との密着に優れる再剥離性粘着性シートを得ることができる。一方、40℃における損失正接が0.40以下の球状粘着剤を用いることで、接着性や再貼付性に優れる再剥離性粘着性シートを得ることができる。
【0036】
球状粘着剤の40℃における損失正接は、JIS K 7244−6:1999(ISO 6721−6:1996)に準じて、球状粘着剤を板状に成膜して得られた試料を用いて、動的粘弾性測定を行うことで求めることができる。具体的には、約2mm厚の板状に成膜した球状粘着剤を40℃、周波数1Hzで剪断変形させ、そのときに得られる損失弾性率と貯蔵弾性率の比(損失弾性率/貯蔵弾性率)を計算することで、損失正接を求めることができる。
【0037】
アクリルエマルション型粘着剤とは、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含有するエマルションを主成分とする粘着剤をいい、バインダー粘着剤としての役割を担う。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、通常のアクリル系粘着剤において使用される(メタ)アクリル酸エステル系重合体の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
このような(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、アクリル酸エステル系単量体一種以上を重合させることで得られる単独重合体若しくは共重合体、またはアクリル酸エステル系単量体とその他の単量体を重合させることで得られる共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する際に用いる単量体としては、アクリル系球状粘着剤の中で示したものと同様のものが挙げられる。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、内部架橋剤や外部架橋剤によって架橋されていてもよい。
内部架橋剤や外部架橋剤としては、先に球状粘着剤の説明の中で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0040】
アクリル系エマルション型粘着剤の固形分含有量は特に制限されない。その固形分含有量は、通常、15〜75質量%である。
【0041】
アクリル系エマルション型粘着剤は、公知の方法によって製造することができる。
例えば、乳化剤を含む水性媒体中に、所定の単量体を加えて乳化処理を行い、重合開始剤の存在下に乳化重合を行うことで、アクリル系エマルション型粘着剤を製造することができる。
乳化処理としては、高圧ホモジナイザー処理や超音波処理等が挙げられる。
重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、過硫酸塩、各種レドックス系触媒等の乳化ラジカル重合において通常使用される重合開始剤が挙げられる。
重合反応温度は、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましい。
アクリルエマルション型粘着剤の平均粒径は特に制限されない。平均粒径の範囲は、通常、100〜2000nm、好ましくは120〜1500nm、特に好ましくは150〜500nmである。
【0042】
用いる粘着剤組成物に含まれる球状粘着剤とアクリルエマルション型粘着剤の固形分の質量比(球状粘着剤:アクリルエマルション型粘着剤)は、100:75〜100:250、好ましくは100:80〜100:220である。
アクリルエマルション型粘着剤の固形分の含有量が、球状粘着剤の固形分100質量部に対して75質量部未満の粘着剤組成物を用いると、表面基材と粘着剤層との密着性に劣る再剥離性粘着シートが得られ易くなる。一方、アクリルエマルション型粘着剤の固形分の含有量が、球状粘着剤の固形分100質量部に対して250質量部を超える粘着剤組成物を用いると、再貼付性に劣る再剥離性粘着シートが得られ易くなる。
【0043】
粘着剤組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲内で、所望により、公知の各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、染料、顔料、香料等が挙げられる。
これら添加剤の含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して、通常、10質量部以下、好ましくは、1〜5質量部である。
【0044】
粘着剤組成物は、上記の球状粘着剤の水懸濁液、アクリルエマルション型粘着剤、添加剤等を混合することで得ることができる。
【0045】
粘着剤層は、粘着剤組成物を剥離シートの剥離面上に塗布し、得られた塗膜を加熱乾燥することで形成することができる。この方法によれば、剥離シート付粘着剤層が得られる。
【0046】
粘着剤組成物を塗布する方法は制限されず、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーター、マイヤーバーなどを用いる公知の塗布方法を利用することができる。
粘着剤組成物の塗布量は、乾燥後において、通常、0.5〜50g/m、好ましくは1〜30g/m、特に好ましくは3〜20g/mとなる量である。
【0047】
(4)表面基材と粘着剤層とを貼合する工程
本発明においては、上記の表面基材と粘着剤層(剥離シート付粘着シートの粘着剤層)とをニップロールを用いて貼合する。
貼合時の線圧は、10〜90N/cm、好ましくは15〜85N/cmである。
線圧が10N/cm未満のときは、表面基材と粘着剤層との密着性に劣る再剥離性粘着シートが得られ易くなる。一方、線圧が90N/cmを越えると、接着性や再貼付性に劣る再剥離性粘着シートが得られ易くなる。
【0048】
(5)再剥離性粘着シート
本発明によって得られる再剥離性粘着シートは、上記の粘着剤組成物を使用し、かつ、ニップロールを用いて、10〜90N/cmの範囲の線圧で貼合することで得られるものである。かかる方法で得られる再剥離性粘着シートは、転写法によって製造されるものではあるが、剥離シート側の粘着剤層の表面に十分な凹凸を生じさせ、表面基材側の粘着剤層の表面を比較的平らにすることができる。
この結果、接着性、基材密着性及び再貼付性のすべてに優れる再剥離性粘着シートを得ることができる。
【0049】
本発明によって得られる再剥離性粘着シートは、剥離シートを剥離した後、表出する粘着剤層を被着体に貼着することで、一般のラベルなどの用途の他、貼付と剥離が複数回繰り返される用途にも好適に用いることができる。
本発明により得られる再剥離性粘着シートは、被着体から再剥離するときに、糊残りや被着体の破損等の問題がなく、きれいに剥離できる。
また、剥離シートを剥がした後、複数枚の再剥離性粘着シートを重ねて積層体にすることで、粘着メモシートを得ることもできる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
【0051】
(化合物)
各例で用いた化合物を以下に示す。
モノマー(1):2−エチルヘキシルアクリレート
モノマー(2):アクリル酸
懸濁安定剤(1):メチルセルロース
懸濁安定剤(2):ポリアクリル酸(重量平均分子量10,000)
懸濁安定剤(3):ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル
重合開始剤(1):過酸化ベンゾイル
内部架橋剤(1):ポリエチレングリコールジメタクリレート
連鎖移動剤(1):n−ドデシルメルカプタン
分散剤(1):カルボキシルメチルセルロース
【0052】
(損失正接の測定)
製造例1〜3で得られた球状粘着剤(1)〜(3)の損失正接の測定方法を以下に示す。
各製造例で得た球状粘着剤を脱イオン水にて希釈し、次いで、濾紙(東洋濾紙社製、定性濾紙No.101)を用いて濾過分離した。これを用いて、約2mm厚の板状に成膜して測定試料を作製した。
動的粘弾性測定装置(オリエンテック製 RHEOVIBRONDDV−25FP)を用いて、上記試料を40℃、周波数1Hzで剪断変形させ、損失弾性率と貯蔵弾性率の比を求めた。
【0053】
〔製造例1〕球状粘着剤(1)の製造
モノマー(1)98部、モノマー(2)2部、懸濁安定剤(1)4部、懸濁安定剤(2)2部、懸濁安定剤(3)4部、重合開始剤(1)1部、内部架橋剤(1)0.1部、連鎖移動剤(1)0.02部を、イオン交換水260部中に加え、80℃で5時間懸濁重合を行うことで、平均粒径40μm、固形分濃度30%の球状粘着剤(1)を得た。球状粘着剤(1)の損失正接は0.27であった。
【0054】
〔製造例2〕球状粘着剤(2)の製造
製造例1において、連鎖移動剤(1)を用いなかったことを除き、製造例1と同様の方法により球状粘着剤(2)を製造した。球状粘着剤(2)の損失正接は0.20であった。
【0055】
〔製造例3〕球状粘着剤(3)の製造
製造例1において、内部架橋剤(1)を用いなかったことを除き、製造例1と同様の方法により球状粘着剤(3)を製造した。球状粘着剤(3)の損失正接は0.37であった。
【0056】
〔製造例4〕粘着剤組成物(1)の調製
製造例1で得た球状粘着剤(1)の固形分100部に対して、アクリル系エマルション型粘着剤(東洋インキ製造社製、商品名「オリバインBPW5320」、固形分58.5%)171部、及び、分散剤(1)2部をイオン交換水65質量部に溶解して得られた溶液を加え、混合することで、粘着剤組成物(1)を得た。
【0057】
〔製造例5〕粘着剤組成物(2)の調製
製造例4において、アクリル系エマルション型粘着剤を342部用いたことを除き、製造例4と同様の方法により粘着剤組成物(2)を得た。
【0058】
〔製造例6〕粘着剤組成物(3)の調製
製造例4において、球状粘着剤として、製造例2で得た球状粘着剤(2)を用いたこと、及び、アクリル系エマルション型粘着剤を342部用いたことを除き、製造例4と同様の方法により粘着剤組成物(3)を得た。
【0059】
〔製造例7〕粘着剤組成物(4)の調製
製造例4において、球状粘着剤として、製造例3で得た球状粘着剤(3)を用いたことを除き、製造例4と同様の方法により粘着剤組成物(4)を得た。
【0060】
〔製造例8〕粘着剤組成物(5)の調製
製造例4において、アクリル系エマルション型粘着剤を85部用いたことを除き、製造例4と同様の方法により粘着剤組成物(5)を得た。
【0061】
〔製造例9〕粘着剤組成物(6)の調製
製造例4において、アクリル系エマルション型粘着剤を513部用いたことを除き、製造例4と同様の方法により粘着剤組成物(6)を得た。
【0062】
〔実施例1〕
製造例4で得た粘着剤組成物(1)を、剥離シート(リンテック社製、商品名:SP−8Kアオ、シリコーン樹脂で剥離処理したグラシン紙)の剥離面上に、ロールナイフコーターを用いて、乾燥後の塗布量が10g/mになるように塗工し、次いで、90℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。
次いで、粘着剤層上に、坪量64g/mの上質紙を重ね、ニップロール〔直径25cmの表面がクロムメッキ処理された金属ロール/直径25cmの硬度85°のシリコーンゴムロール〕を用いて、線圧65N/cmで貼合して、再剥離性粘着シート(1)を得た。
【0063】
〔実施例2〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例5で得た粘着剤組成物(2)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(2)を得た。
【0064】
〔実施例3〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例6で得た粘着剤組成物(3)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(3)を得た。
【0065】
〔実施例4〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例7で得た粘着剤組成物(4)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(4)を得た。
【0066】
〔比較例1〕
実施例1において、貼合時の線圧を130N/cmにしたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(5)を得た。
【0067】
〔比較例2〕
実施例1において、貼合時の線圧を5N/cmとしたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(6)を得た。
【0068】
〔比較例3〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例8で得た粘着剤組成物(5)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(7)を得た。
【0069】
〔比較例4〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例9で得た粘着剤組成物(6)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(8)を得た。
【0070】
〔比較例5〕
実施例1において、粘着剤組成物(1)の代わりに製造例9で得た粘着剤組成物(6)を用いたことと、貼合時の線圧を130N/cmにしたことを除き、実施例1と同様の方法により再剥離性粘着シート(9)を得た。
【0071】
実施例1〜5、比較例1〜5で得た再剥離性粘着シート(1)〜(9)について、以下の試験を行った。評価結果を第1表に示す。
【0072】
〔接着性〕
再剥離性粘着シート(1)〜(9)を、それぞれ、25mm×50mmの大きさに切断して試験片を作製した。次いで、各試験片の剥離シートを剥がして、ダンボール(王子製紙製、K7ライナー)に貼り、その上を2kgローラーで一往復させて圧着した。これを、40℃、乾燥条件下に7日間静置し、試験片の状態を観察し、以下の基準で接着性を評価した。
(評価基準)
○:浮きがない。
△:一部で浮きが発生している。
×:試験片が剥がれて落下している。
【0073】
〔基材密着性〕
再剥離性粘着シート(1)〜(9)を、それぞれ、25mm×50mmの大きさに切断して試験片を作製した。次いで、各試験片の剥離シートを剥がして、ダンボール(王子製紙製、K7ライナー)に貼り、その上を2kgローラーで一往復させて圧着した。これを、40℃、相対湿度80%条件下に7日間静置した後、試験片をダンボールから剥離した。ダンボール表面への粘着剤の転着を観察し、以下の基準で基材密着性を評価した。
(評価基準)
○:粘着剤の転着がない。
△:一部で粘着剤の転着が発生している。
×:全面で粘着剤の転着が発生している。
【0074】
〔再貼付性〕
再剥離性粘着シート(1)〜(9)を、それぞれ、25mm×50mmの大きさに切断して試験片を作製した。次いで、各試験片の剥離シートを剥がして、上質紙(日本製紙製)に貼り、その上を2kgローラーで一往復させて圧着した。圧着直後に試験片を上質紙から剥離し、試験片のカールの程度を観察し、以下の基準で再貼付性を評価した。
(評価基準)
○:カールがほぼない。
△:ややカールがあるが、再貼付可能である。
×:カールが大きく、再貼付ができない。
【0075】
【表1】
【0076】
第1表から以下のことがわかる。
実施例1〜4で得られた再剥離性粘着シート(1)〜(4)は、接着性、基材密着性及び再貼付性のいずれも良好な評価結果を与え、これらのバランスに優れる再剥離性粘着シートである。
一方、比較例1,2では、実施例1と同じ粘着剤層を形成しても、調合時の線圧が適切な範囲内にないため、比較例1の再剥離性粘着シート5は再貼付性に劣り、比較例2の再剥離性粘着シート6は基材密着性に劣る結果となった。
また、比較例3〜5では、粘着剤組成物の組成が適切ではない。このため、剥離性粘着シート7〜9は、接着性、基材密着性、再貼付性のバランスに欠けたものになっている。