(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板収納容器を包装する包装体用の収納箱と、包装体を搭載する個別パレットと、包装体と個別パレットの少なくともいずれか一方に接触する緩衝材とを含んでなる基板収納容器の梱包体であって、
包装体の基板収納容器を、複数枚の半導体ウェーハを上下方向に並べて収納可能な容器本体の正面を施錠機構内蔵の蓋体により開閉する総重量が8kgf以上のフロントオープンボックスタイプとし、容器本体の天井には搬送用のフランジが装着されており、
収納箱を、機械搬送用の底部パレットに中空の箱本体を搭載することにより構成し、これら底部パレットと箱本体とを樹脂含有の成形材料により形成し、底部パレットに、フォークリフトのフォークに挿通される搬送挿入口を設けるとともに、この搬送挿入口を底部パレットの前後あるいは左右方向に向け、箱本体の上部と周壁の正面のうち、少なくとも周壁の正面を開口し、この周壁の正面を扉により開閉可能とし、
個別パレットを、緩衝性の発泡材料により、基板収納容器の蓋体が上向きとなるよう包装体を搭載する機械搬送用の台に形成し、この個別パレットに、収納箱の外部から箱本体の周壁の開口した正面を介してロボットアームのフォークに挿通されるアクセス挿入口を設け、
緩衝材を、樹脂含有の成形材料あるいは発泡倍率の大きい発泡材により形成したことを特徴とする基板収納容器の梱包体。
個別パレットのアクセス挿入口を複数とし、緩衝材の位置決め壁の正面側を切り欠いて個別パレットの複数のアクセス挿入口を露出可能とし、緩衝材の位置決め部を個別パレットの複数のアクセス挿入口の間に位置させるようにした請求項10記載の基板収納容器の梱包体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における包装箱は、開口した上面が複数のフラップにより単に開閉される縦開きタイプなので、開口した上部やフラップがロボットアームの接近を妨げるおそれが予想される。また、アルミラミネート袋で包装された基板収納容器は、把持可能な部分が存在せず、取り出しが困難になるので、機械化に支障を来すことが予想される。すなわち、アルミラミネート袋は、基板収納容器を包装すると、形が一定化せず、不安定になり、しかも、基板収納容器のフランジや搬送レールを外部から把握するのを困難にするので、ロボットアームによるハンドリングが非常に困難となり、ハンドリングすると、破断や裂開を招くおそれがある。
【0007】
また、従来の補強材、緩衝材、弾性材は、衝撃や振動の吸収には優れるものの、総重量が8kgf以上の重く大きい基板収納容器の梱包に使用すると、強度が不足するので、基板収納容器や半導体ウェーハの損傷を招くおそれがある。
【0008】
一方、クリーンルームから梱包作業用の準クリーンルーム環境に基板収納容器をパレット等で移した場合、パレットを再度クリーンルームに戻して使用するためには、清浄性を保つ観点から、パレットを洗浄しなければならないという問題が生じる。また、輸送先で梱包に使用した部品(例えば、アルミラミネート袋等)をそのままクリーンルームに持ち込む場合には、アルミラミネート袋が汚れていることがあるので、クリーンルームの汚染を招くおそれがある。さらに、包装した基板収納容器を取り出してクリーンルームに搬入する作業は、基板収納容器やアルミラミネート袋に把持する箇所が少なく、しかも、基板収納容器が重いので、実に困難である。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、ロボット等の接近を妨げることが少なく、総重量が8kgf以上の基板収納容器を自動的に搬送することができ、梱包に必要な強度を確保でき、しかも、包装体の破断や裂開等を防ぐことのできる基板収納容器の梱包体を提供することを目的としている。また、外部環境とクリーン環境との間で包装体を容易に受け渡しすることのできる基板収納容器の梱包体を提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、基板収納容器を包装する包装体用の収納箱と、包装体を搭載する個別パレットと、包装体と個別パレットの少なくともいずれか一方に接触する緩衝材とを含んでなるものであって、
包装体の基板収納容器を、複数枚の半導体ウェーハを上下方向に並べて収納可能な容器本体の正面を施錠機構内蔵の蓋体により開閉する総重量が8kgf以上のフロントオープンボックスタイプとし、容器本体の天井には搬送用のフランジが装着されており、
収納箱を、
機械搬送用の底部パレットに中空の箱本体を搭載することにより構成し、これら底部パレットと箱本体とを樹脂含有の成形材料により形成し、底部パレットに、フォークリフトのフォークに挿通される搬送挿入口を設けるとともに、この搬送挿入口を底部パレットの前後あるいは左右方向に向け、箱本体の上部と周壁の正面のうち、少なくとも周壁の正面を開口し、この周壁の正面を扉により開閉可能とし、
個別パレットを、緩衝性の発泡材料により、基板収納容器の蓋体が上向きとなるよう包装体を搭載する機械搬送用の台に形成し、この個別パレットに、収納箱の外部から箱本体の周壁の開口した正面を介してロボットアームのフォークに挿通されるアクセス挿入口を設け、
緩衝材を、樹脂含有の成形材料あるいは発泡倍率の大きい発泡材により形成したことを特徴としている。
【0011】
なお、
箱本体の上部を開口し、この箱本体の上部を上蓋により被覆し、箱本体の周壁の一側壁に、周壁の正面を開閉する扉を回転可能に支持させることができる。
【0012】
また、
箱本体の上部を開口し、箱本体の周壁の背面壁に、箱本体の上部を開閉する上蓋を回転可能に支持させるとともに、この上蓋に、箱本体の正面上部を開閉する第一の扉を回転可能に支持させ、箱本体の下部に、箱本体の正面下部を開閉する第二の扉を回転可能に支持させることができる。
また、
箱本体の周壁の背面壁に対して一側壁を横方向に回転可能に支持させ、この一側壁に、箱本体の周壁の正面を開閉する扉を回転可能に支持させることもできる。
【0013】
また、
箱本体の周壁の背面壁に一側壁を横方向に回転可能に支持させ、箱本体の周壁の他側壁に、箱本体の周壁の正面を開閉する扉を回転可能に支持させることが可能である。
【0014】
また、個別パレットを、包装体に嵌通される上部パレットと、包装体と上部パレットとを搭載する下部パレットとに分割し、上部パレットと下部パレットとの一方に凹部を、他方に凸部をそれぞれ形成するとともに、これら凹部と凸部とを嵌合可能とすることも可能である。
また、個別パレットを、台の表面に包装体を包囲する包囲壁を形成することで構成し、包囲壁の内周面を傾斜させて上方に向かうにしたがい徐々に広がるようにしても良い。
【0015】
また、
個別パレットの表面周縁部の前部中央、後部、両側部に、包装体を包囲する包囲壁を形成し、前部中央の包囲壁と両側部の包囲壁との間に、ロボットアームのフォーク用の挿通口をそれぞれ区画するとともに、前部中央の包囲壁、後部の包囲壁、両側部の包囲壁に、包装体を搭載する複数の棚片を形成し、
複数の棚片上に包装体が搭載される場合に、包装体と個別パレット表面の間に、挿通口に連通する空隙を区画するようにしても良い。
【0016】
また、
個別パレットの隅部に、天井搬送装置のフックを係止可能なアクセス凹部と、天井搬送装置のフックに係止される貫通口付きのアクセス凸部の少なくともいずれか一方を形成することができる。
【0017】
また、緩衝材を複数の個別パレットに対向可能な大きさに形成し、この緩衝材表面の少なくとも周縁部に、
複数の個別パレットの周縁に接触可能な位置決め壁を形成するとともに、この位置決め壁の正面側を切り欠いて個別パレットのアクセス挿入口を露出可能とし、緩衝材の表面に、複数の個別パレットの間に介在してこれら複数の個別パレットを位置決めする位置決め部を形成することができる。
【0018】
また、個別パレットのアクセス挿入口を複数とし、緩衝材の位置決め壁の正面側を切り欠いて個別パレットの複数のアクセス挿入口を露出可能とし、緩衝材の位置決め部を個別パレットの複数のアクセス挿入口の間に位置させることもできる。
また、緩衝材を複数の個別パレットに対向可能な大きさに形成し、この緩衝材の表面に、個別パレットの底面に嵌挿する嵌挿部を突出形成することが可能である。
さらに、緩衝材の包装体と相対する面に、複数の包装体の上部に嵌合可能な嵌合穴を並べ設けることも可能である。
【0019】
ここで、特許請求の範囲における基板収納容器は、口径450mm以上の半導体ウェーハを収納する重いタイプが主ではあるが、総重量が8kgf以上であれば、口径300mm以上の半導体ウェーハを収納するタイプでも良い。また、通常よりも半導体ウェーハの収納枚数が多い基板収納容器、半導体ウェーハとウェーハフレーム等の治具とを共に収納する基板収納容器、比重の重い材料を収納する基板収納容器等でも良い。「総重量が8kgf」を基準とするのは、この重量以上になると、作業員によるハンドリングを禁止している工場施設があるからである。
【0020】
包装体は、基板収納容器を一枚の袋で包装するものでも良いし、複数枚の袋で多重包装するタイプでも良い。また、収納箱には、基板収納容器を包装する包装体を単数複数収納することができる。収納箱の底部パレットや個別パレットは、二方差しパレット、四方差しパレット、又はけたくくり抜きパレットのいずれでも良い。これらのパレットの表面は、強度や剛性を確保できるのであれば、平坦な構造でも良いし、網目構造等でも良い。また、底部パレットの表面周縁部の少なくとも一部には、箱本体の下部周縁に嵌合する嵌合壁を形成することができる。
【0021】
個別パレットは、クリーン環境用の専用パレットと、外部環境用の専用パレットとに区分けして使用することができる。この個別パレットの包囲壁は、輸送時に包装体が位置ずれ等しないように位置規制できるものであれば、連続的に形成されても良いし、部分的に形成されても良い。棚片は、挿通口と干渉することなく、包装体を支持できるものであれば、形状や数等を適宜変更することができる。また、緩衝材は、例えば1枚〜4枚使用することができる。
【0022】
「回転」という用語には、少なくとも回動や揺動が含まれる。
また、アクセス挿入口は、単数でも良いし、複数でも良い。このアクセス挿入口は、個別パレットの前後方向、左右方向、あるいは前後左右方向に向けることが可能である。
さらに、アクセス凹部は、切り欠き、円形状、長円形状等に形成することができ、必要な各種補強材を設けて耐久性を向上させることが可能である。
【0023】
本発明によれば、基板収納容器を包装した包装体を梱包する場合には、例えば個別パレットに包装体を搭載し、収納箱の箱本体内に包装体を搭載した個別パレットをアクセス挿入口を介し各種搬送装置により収納する。また、箱本体内に個別パレットを収納し、この個別パレットに包装体を各種搬送装置により搭載する。こうして箱本体に包装体を収納したら、包装体の上部等に緩衝材を重ねてその姿勢を安定させ、
箱本体の開口を閉めれば、包装体を梱包することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、
収納箱の開口した正面がロボットアームの接近を妨げることが少ないという効果がある。また、収納箱を樹脂含有の成形材料により形成し、個別パレットを緩衝性の発泡材料により形成するとともに、緩衝材を樹脂含有の成形材料あるいは発泡倍率の大きい発泡材で形成するので、収納箱、個別パレット、及び緩衝材にそれぞれ必要な剛性を付与することができる。したがって、450mmタイプ等、総重量が8kgf以上の重く大きい基板収納容器の梱包に使用しても、強度不足で変形し、基板収納容器や半導体ウェーハが損傷するのを有効に防止することができる。また、包装体をそのまま取り扱うのではなく、運搬性に優れる個別パレットを用いて個別に取り扱うことができるので、ロボットアームによるハンドリングが可能となる。したがって、ハンドリングに伴い、個別パレット上の包装体が破断したり、裂開するおそれが少ない。また、個別パレットに緩衝材の機能を発揮させることができるので、緩衝材を省略したり、緩衝材の数を削減することが可能になる。また、個別パレットのアクセス挿入口にロボットのフォークを挿入して持ち上げることができるので、包装体の自動運搬作業が容易になる。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、収納箱が縦開きではなく、横開きタイプなので、収納箱の開口した正面や扉がロボットアーム等の接近を妨げることが少ない。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、収納箱の構成の多様化を図ることもできる。
【0027】
請求項4、5記載の発明によれば、収納箱の構成の多様化が期待できる。
請求項6記載の発明によれば、個別パレットを、上部パレットと下部パレットとに分割して構成するので、個別パレットに大きく重い包装体を搭載する際の便宜を図ることが可能になる。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、包囲壁の内周面を傾斜させて上方に向かうにしたがい徐々に広げるので、個別パレットに包装体を搭載する際、包装体を容易に位置合わせすることが可能になる。
請求項8記載の発明によれば、包装体のみを取り扱うことができるので、外部環境とクリーン環境との間で包装体を容易に受け渡しすることが可能になる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、
アクセス凹部あるいはアクセス凸部を利用すれば、個別パレットを握持したり、把持したり、又は吊り上げること等ができる。
請求項10記載の発明によれば、緩衝材の位置決め壁により、個別パレットの前後左右方向への位置ずれやがたつきを抑制することができる。また、個別パレットのアクセス挿入口に緩衝材の正面側の位置決め壁が対向せず、隠蔽したり、障害物とならないので、個別パレットのアクセス挿入口に対して
ロボットのフォークを円滑に挿脱することができる。
【0031】
請求項11記載の発明によれば、個別パレットのアクセス挿入口に緩衝材の位置決め部が対向せず、隠蔽したり、障害物にならないので、個別パレットのアクセス挿入口に対するフォークの円滑な挿脱が期待できる。
請求項12記載の発明によれば、緩衝材の位置決め壁、切り欠き、位置決め部等を省略し、緩衝材の構成の簡素化を図ることができる。
【0032】
請求項13記載の発明によれば、収納箱に収納された包装体が上下、前後、左右方向にがたついたり、傾くのを防止することが可能になる。また、包装体の上部に位置する緩衝材の姿勢を安定させたり、位置決めすることができるので、この緩衝材上に他の個別パレットを安定した姿勢で搭載することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器の梱包体は、
図1ないし
図6に示すように、大型の重い基板収納容器を包装する包装体1と、この包装体1を複数収納可能な大型の収納箱2と、各包装体1を搭載する機械搬送用の個別パレット20と、複数の包装体1と個別パレット20とを上下方向から挟持する複数の緩衝材40とを備え、収納箱2を区画する壁7の上部10と周壁12の正面13とをそれぞれ開口し、周壁12の一部である側壁15に、正面13を開閉する横開きの扉16を回転可能に支持させており、各個別パレット20に、収納箱2の外部から正面13を介してアクセス可能なアクセス手段50を設けるようにしている。
【0035】
基板収納容器は、図示しないが、φ450mmの半導体ウェーハを上下方向に並べて整列収納するフロントオープンボックスの容器本体と、この容器本体の開口した正面に着脱自在に嵌合される蓋体と、容器本体の正面に嵌合した蓋体を施錠する施錠機構とを備え、8kgf以上の総重量を有する。
【0036】
容器本体は、その内部両側に半導体ウェーハを水平に支持する支持片が複数対設され、天井の中央部等に、天井搬送装置等に上方から把持される搬送手段であるフランジが装着されており、両側壁の下部には、着脱自在の搬送レールがそれぞれ選択的に装着される。また、蓋体は、施錠機構を内蔵し、包装体1の梱包時に上方に向けられる。このような基板収納容器は、25枚の半導体ウェーハが装填された場合の総重量が約25kgとなる。
【0037】
包装体1は、
図1、
図4、
図5に示すように、例えば基板収納容器を包装する周知のビニール袋と、このビニール袋を外側から密閉して包装する不透明のアルミラミネート袋とを備えた二層構造に形成される。アルミラミネート袋は、意匠性やバリヤー性等を向上させるため、例えば銀色等に着色される。このような包装体1は、個別パレット20に搭載され、この個別パレット20が緩衝材40に複数搭載されることにより、2×2のマトリクスに配列され、収納箱2に上下2段に段積みして合計8個が収納される。
【0038】
収納箱2は、
図1ないし
図3に示すように、機械搬送用の底部パレット3に背の高い中空の箱本体6が着脱自在に搭載されることで構成され、箱本体6の上部10と周壁12の一部である正面13とがそれぞれ開口しており、箱本体6の上部10が上蓋11に被覆されるとともに、周壁12の一部である一側壁15に、周壁12の正面13を開閉する扉16が周壁方向に揺動可能に一体形成される。
【0039】
収納箱2は、耐久性に欠ける段ボール等ではなく、強度を確保しながら量産する観点から、安価な所定の樹脂(例えば、ポリエチレンやポリスチレン等の熱可塑性樹脂やこれらを発泡させた材料等)を含有する成形材料により成形される。この成形材料には、補強用のフィラー等が必要に応じて配合される。
【0040】
底部パレット3は、表面が平坦な平面矩形の台に形成され、周壁にフォークリフト等のフォークに挿通される左右一対の搬送挿入口4が間隔をおき貫通して並設されており、各搬送挿入口4が横長の正面矩形に形成されて前後方向に指向する。この底部パレット3の表面周縁部の少なくとも一部、例えば表面の後部と一側部とには、箱本体6の下部周縁に外側から嵌合する嵌合壁5が突出形成され、この嵌合壁5が箱本体6の位置ずれ、がたつき、脱落を防止するよう機能する。
【0041】
箱本体6は、縦長に形成されてその下部8に底部パレット3に搭載される補強材9が一体形成され、上部10が平面矩形に開口しており、この開口した上部10に平面矩形の上蓋11が着脱自在に嵌合されて補強機能を発揮する。補強材9は、平面矩形に形成され、箱本体6の周壁12の一部である背面壁14や側壁15が撓んで変形するのを防止するよう機能する。
【0042】
箱本体6の正面13は、縦長に開口形成され、一側壁15に支持された同じ縦長の扉16に開閉される。この扉16の側部中央付近には封止用の面ファスナーであるマジックテープ(登録商標)17が縦長に設けられ、このマジックテープ17が箱本体6の他側壁15に着脱自在に係合して扉16の開放を規制する。
【0043】
個別パレット20は、
図1、
図4、
図5に示すように、包装体1を搭載可能な面積を有する台に形成される。この個別パレット20は、例えば収納箱2と同様の成形材料や緩衝能力に優れるポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の発泡材料により平面矩形に形成される。これらの材料には、各種のフィラー等が選択的に配合される。個別パレット20の包装体1を搭載する表面は平坦に形成され、個別パレット20のコーナ部等には、破損を防止して耐久性を向上させるR加工が施されており、個別パレット20の周壁にはアクセス手段50が設けられる。
【0044】
複数の緩衝材40は、
図1や
図4に示すように、上段用の緩衝材40が上蓋11の直下に位置し、中段用の緩衝材40が複数の包装体1に上下方向から挟持されるとともに、下段用の緩衝材40が箱本体6の下部8内面に搭載される。この複数の緩衝材40は、基板収納容器に加わる衝撃を和らげる二次緩衝材40として機能する。
【0045】
各緩衝材40は、所定の材料により2×2のマトリクスに配列された複数の個別パレット20に対向可能な大きさの平面矩形の板に形成され、複数の個別パレット20を並べて搭載したり、配列された複数の包装体1の上部に嵌合した状態で収納箱2内に収納される。緩衝材40の所定の材料としては、十分な強度を得るため、発泡倍率の大きい各種発泡材が使用されるが、収納箱2や個別パレット20と同様の成形材料でも良い。
【0046】
緩衝材40の平坦な表面の周縁部である前部、後部、左右両側部には、配列された複数の個別パレット20の周縁に接触可能な位置決め壁41・42・43がそれぞれ突出形成され、この位置決め壁41・42・43が複数の個別パレット20の前後左右方向への位置ずれ、がたつき、脱落を防止する。位置決め壁41・42・43の内側稜線部には、個別パレット20の出し入れを円滑にする観点から、C面加工やR面加工等の面取り加工が必要に応じて施される。
【0047】
緩衝材40表面の前部(正面側)に位置する位置決め壁41には、複数の切り欠き44が間隔をおいて切り欠かれ、この複数の切り欠き44が前列に並んだ個別パレット20のアクセス手段50に対向し、このアクセス手段50を箱本体6の正面13から外部に露出させる。このような複数の切り欠き44の形成により、緩衝材40の表面前部に位置する位置決め壁41は複数個に分割され、各位置決め壁41が板片に形成される。
【0048】
緩衝材40表面の後部に位置する位置決め壁42の中央部には、前方に伸びて位置決め機能を発揮する位置決め壁45が一体形成され、この位置決め壁45が緩衝材40の表面を左右に二分して一対の搭載領域46を区画する。位置決め壁45の内側稜線部には、個別パレット20を円滑に出し入れするため、C面加工やR面加工等の面取り加工が必要に応じて施される。各搭載領域46は、緩衝材40の前後方向に伸びる平面矩形に形成され、前部周縁に複数の切り欠き44が区画されており、一対の個別パレット20を前後に並べて搭載する。
【0049】
各搭載領域46の中央部付近には、左右方向に伸びる位置決め片47が突出形成され、この位置決め片47が前後一対の個別パレット20の間に介在し、これらの個別パレット20を位置決めする。各位置決め片47は、緩衝材40の表面前部に位置する位置決め壁41に対向し、位置決め壁43・45との間にフォーク挿通用の隙間を形成する。
【0050】
上段用と下段用の緩衝材40の包装体1と相対さない方の面は、複数の包装体1と係合することがないので、略平坦に形成される。これに対し、中段用の緩衝材40は、複数の包装体1に上下方向から挟持されるので、
図6に示すように、包装体1と相対する方の面、すなわち裏面に、複数の包装体1の上部に嵌合可能な嵌合穴48が2×2に並べて穿孔され、各嵌合穴48が平面矩形に形成される。この嵌合穴48の嵌合作用により、中段用の緩衝材40は、傾くことなく水平な姿勢を保ち、表面の各搭載領域46に個別パレット20が安定した姿勢で搭載されることとなる。
【0051】
なお、上段用と下段用の緩衝材40については、中段用の緩衝材40と同様の形のものをそのまま使用することも可能である。
【0052】
アクセス手段50は、ロボットアームのフォークに挿通される左右一対のアクセス挿入口51からなり、この一対のアクセス挿入口51が個別パレット20の周壁に間隔をおき貫通して並設される。各アクセス挿入口51は、横長の正面矩形に形成されて個別パレット20の前後方向に指向するとともに、緩衝材40の切り欠き44に対向して外部に露出し、包装体1の梱包時に箱本体6の前後方向に向けられる。
【0053】
このような一対のアクセス挿入口51は、アクセス挿入口51とアクセス挿入口51との間に緩衝材40の位置決め片47が位置し、この位置決め片47がアクセス挿入口51を隠蔽することなく露出させ、アクセス挿入口51に対するロボットアームのフォークの挿脱を許容する。
【0054】
なお、個別パレット20がロボットアームのフォークと接触する領域とアクセス挿入口51とには、剛性を有するポリカーボネート製の補強部品、ポリスチレン系やポリオレフィン系の保護シート等からなる交換可能な補強部材が必要に応じて設けられる。この補強部材は、個別パレット20とアクセス挿入口51の損傷を防止し、耐久性を向上させるよう機能する。
【0055】
上記において、450mmタイプの基板収納容器を包装した重い包装体1を梱包輸送する場合には、先ず、組み立てた収納箱2の箱本体6の下部8内面に下段用の緩衝材40を手作業により配置し、この緩衝材40の正面を箱本体6の開口した正面13側に向ける。また、複数の個別パレット20を用意し、この複数の個別パレット20上に包装体1をロボットアーム等により順次搭載し、各個別パレット20の表面に基板収納容器の背面壁を包装体1を介して接触させるとともに、基板収納容器の蓋体を上方に向け、基板収納容器の姿勢を安定させる。
【0056】
次いで、緩衝材40の表面に包装体1を搭載した複数の個別パレット20をロボットアームにより順次パレタイザする。この際、ロボットアームは、個別パレット20の一対のアクセス挿入口51にフォークを前方から挿入して持ち上げ、各搭載領域46の後部に個別パレット20を搬送して配置し、個別パレット20のアクセス挿入口51からフォークを後退させて引き抜くこととなる。ロボットアームのフォークは、個別パレット20のアクセス挿入口51と位置決め片47及び位置決め壁41とが対向せず、位置決め片47や位置決め壁41が動作の障害にならないので、アクセス挿入口51から円滑に引き抜かれる。
【0057】
各搭載領域46の後部に個別パレット20を配置したら、ロボットアームは、別の個別パレット20の一対のアクセス挿入口51にフォークを前方から挿入して持ち上げ、各搭載領域46の前部に個別パレット20を搬送して配置し、個別パレット20のアクセス挿入口51からフォークを後退させる。個別パレット20のアクセス挿入口51は、切り欠き44に対向し、前部側の位置決め壁41と対向関係にないので、ロボットアームのフォークがアクセス挿入口51から支障なく引き抜かれる。
【0058】
次いで、複数の包装体1の上部に中段用の緩衝材40の嵌合穴48をそれぞれ手作業で嵌合し、この中段用の緩衝材40の姿勢を水平に調整した後、この緩衝材40の表面に包装体1を搭載した複数の個別パレット20をロボットアームにより上記と同様にパレタイザする。中段用の緩衝材40に複数の個別パレット20をパレタイザしたら、複数の包装体1の上部に上段用の緩衝材40の表面を手作業により重ねて嵌合し、収納箱2の扉16を閉めてマジックテープ17で封止した後、収納箱2の開口した上部10に上蓋11を被せて嵌合すれば、包装体1を梱包することができる。
【0059】
上段用の緩衝材40には、必要に応じてがたつき防止用のスペーサを積層したり、他の緩衝材40を充填したりすることができる。また、収納箱2は、底部パレット3の一対の搬送挿入口4にフォークリフトのフォークが挿入されることにより、持ち上げられ、航空機等に搬入して輸送される。
【0060】
次に、輸送された収納箱2を開梱して包装体1を取り出す場合には、収納箱2の上部10から上蓋11を取り外し、扉16のマジックテープ17を剥離して扉16を開け、複数の包装体1の上部から上段用の緩衝材40を取り外せば、包装体1を搭載した複数の個別パレット20をロボットアームにより順次取り出すことができる。
【0061】
この際、ロボットアームは、個別パレット20の一対のアクセス挿入口51にフォークを前方から挿入して持ち上げ、緩衝材40の各搭載領域46から個別パレット20を収納箱2の外部に搬送し、個別パレット20のアクセス挿入口51からフォークを引き抜くこととなる。ロボットアームのフォークは、個別パレット20のアクセス挿入口51と位置決め壁41とが対向せず、位置決め壁41が障害物にならないので、アクセス挿入口51に対して円滑に挿入される。
【0062】
上記構成によれば、収納箱2が縦開きではなく、横開きタイプなので、収納箱2の開口した正面13や扉16がロボットアームの接近を妨げることがない。また、収納箱2、個別パレット20、緩衝材40にそれぞれ必要な剛性を付与することができるので、450mmタイプ等、総重量が8kgf以上の重く大きい基板収納容器の梱包に使用しても、強度不足で変形し、基板収納容器や半導体ウェーハが損傷するのを有効に防止することができる。
【0063】
さらに、包装体1をそのまま取り扱うのではなく、運搬性に優れる個別パレット20を用いて個別に取り扱うことができるので、基板収納容器のフランジ等が包装体1のアルミラミネート袋で外部から視覚的に把握できなくても、ロボットアームによるハンドリングが可能となる。したがって、ハンドリングに伴い、個別パレット20上の包装体1が破断したり、裂開するおそれがない。
【0064】
次に、
図7ないし10は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、箱本体6の上部10と周壁12の正面13とをそれぞれ開口し、周壁12の背面壁上部に、箱本体6の上部10を開閉する上蓋11を回転可能に支持させるとともに、この上蓋11の前部に、箱本体6の正面上部を開閉する第一の扉16Aを回転可能に支持させ、箱本体6の下部前端には、箱本体6の正面下部を開閉する第二の扉16Bを揺動可能に支持させ、個別パレット20を、包装体1に嵌通される上部パレット21と、包装体1と上部パレット21とを着脱自在に搭載する下部パレット27とに分割形成するようにしている。
【0065】
収納箱2の底部パレット3は、必要に応じて箱本体6よりも幅広に形成され、嵌合壁5が省略される。また、上蓋11の両側部には、箱本体6の両側壁15内面上部に粘着テープ等で粘着固定されるタブ18がそれぞれ揺動可能に形成され、第一、第二の扉16Bの両側部には、箱本体6の両側壁15内面前部に粘着テープ等で粘着固定されるタブ18がそれぞれ揺動可能に形成される。
【0066】
個別パレット20の上部パレット21と下部パレット27とは、緩衝能力に優れるポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の発泡材料によりそれぞれ成形されており、緩衝材40と同様の緩衝機能を発揮する。
【0067】
上部パレット21は、
図9や
図10に示すように、平面視で凸字の中空部22を有する略枠形に形成され、表面の前部二隅部には、他の個別パレット20の積層用の切り欠き23がそれぞれ形成されており、各切り欠き23には、必要に応じてアクセス手段50としての機能が付与される。上部パレット21の裏面の前部二隅部には、切り欠き23の下方に位置する角柱形の第一嵌合凸部24がそれぞれ下方に向けて伸張形成され、裏面の残りの二隅部には、第一嵌合凹部25がそれぞれ切り欠かれる。また、上部パレット21の正面中央部には、正面矩形の位置決め溝26が下方に向けて短く切り欠かれる。
【0068】
下部パレット27は、
図9や
図10に示すように、基本的には平面矩形の板に形成され、表面の前部中央に、上部パレット21の位置決め溝26に嵌合する位置決め突起28が突出形成されるとともに、表面の後部寄りには、横長の穴29が穿孔されており、下部の正面側から背面側にかけて左右一対のアクセス挿入口51が間隔をおきそれぞれ溝形に切り欠かれる。
【0069】
下部パレット27の表面の前部二隅部には、上部パレット21の第一嵌合凸部24に嵌合する第二嵌合凹部30がそれぞれ切り欠かれ、表面の残りの二隅部には、上部パレット21の第一嵌合凹部25に嵌合する第二嵌合凸部31がそれぞれ突出形成される。また、下部パレット27の正面中央部には、アクセス手段50として、位置決め突起28の下方に位置する切り欠き52が下方に向けて短く切り欠かれる。
【0070】
上記において、450mmタイプの基板収納容器を包装した重い包装体1を梱包輸送する場合には
図7や
図8に示すように、先ず、組み立てた個別パレット20の上部パレット21に包装体1を位置決めして搭載し、個別パレット20を箱本体6の下部8内面に収容し、包装体1の上部に緩衝材40を嵌入する。この際、個別パレット20が緩衝能力に優れる発泡材料により形成されているので、下段用の緩衝材40を省略することができる。
【0071】
こうして包装体1の上部に緩衝材40を嵌入したら、第二の扉16Bを起こしてその両側部のタブ18を箱本体6の両側壁15に粘着固定し、箱本体6の開口した上部10を上蓋11により被覆してその両側部のタブ18を粘着固定するとともに、箱本体6の開口した正面上部を第一の扉16Aにより被覆してその両側部のタブ18を箱本体6の両側壁15に粘着固定し、その後、第一、第二の扉16Bの間を粘着テープ等で固定すれば、包装体1を梱包することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0072】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、中段用や下段用の緩衝材40を省略することができるので、部品点数の削減が期待できるのは明らかである。また、発泡材料の使用により、個別パレット20の重量削減も期待できる。また、扉16を第一、第二の扉16A・16Bに二分割し、これら第一、第二の扉16A・16Bを箱本体6の上部10と下部8とに支持させるので、収納箱2の構成の多様化を図ることもできる。
【0073】
次に、
図11は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、箱本体6の上部10を閉じて周壁12の正面13を開口し、箱本体6の背面壁14側部に対して一側壁15を横方向に揺動可能に支持させ、この一側壁15の側部に、箱本体6の正面13を開閉する扉16を横方向に揺動可能に支持させるようにしている。
【0074】
箱本体6の下部8前端には、箱本体6の正面下部を開閉する横長のフラップ19が起伏可能に形成され、このフラップ19に扉16が外側から接触する。フラップ19の両側部には、箱本体6の両側壁15内面に粘着テープ等で粘着固定されるタブ18がそれぞれ揺動可能に形成される。また、箱本体6の一側壁15と扉16の上部には、箱本体6の閉じた上部10に粘着テープ等で粘着固定される横長のタブ18がそれぞれ揺動可能に形成され、扉16の側部には、箱本体6の他側壁15に粘着テープ等で粘着固定される揺動可能なタブ18が形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0075】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、収納箱2の上部10を開口させることができない場合にも、横方向に開口面積の大きい収納箱2を得ることができるので、収納箱2の構成の多様化を図ることができるのは明らかである。
【0076】
次に、
図12は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、箱本体6の上部10を閉じて周壁12の正面13を開口し、箱本体6の背面壁14の側部に一側壁15を揺動可能に支持させ、箱本体6の他側壁15の側部に、箱本体6の正面13を開閉する扉16を揺動可能に支持させるようにしている。
【0077】
箱本体6の下部8前端には、箱本体6の正面下部を開閉する横長のフラップ19が起伏可能に形成され、このフラップ19に扉16が外側から接触する。フラップ19の両側部には、箱本体6の両側壁15内面に粘着テープ等で粘着固定されるタブ18がそれぞれ揺動可能に形成される。箱本体6の一側壁15と扉16との上部には、箱本体6の閉じた上部10に粘着テープ等で粘着固定される横長のタブ18がそれぞれ揺動可能に形成され、扉16の側部には、箱本体6の一側壁15に粘着テープ等で粘着固定される揺動可能なタブ18が形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0078】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、一側壁15に扉16を支持させることができない場合にも、横方向に開口面積の大きい収納箱2を得ることができ、収納箱2の構成の多様化が期待できるのは明白である。
【0079】
次に、
図13は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、個別パレット20を、包装体1を搭載可能な平坦な台の表面周縁部に、包装体1の下部を位置決め嵌合して包囲する平面枠形の包囲壁32を一体的に周設することで構成し、この包囲壁32の内周面上部33を傾斜させて上方に向かうにしたがい徐々に拡開させ、包装体1の位置決め嵌合を容易にするようにしている。
【0080】
個別パレット20の台の裏面には、アクセス手段50として平面略十字形のアクセス挿入口51が形成され、台の裏面四隅部には、アクセス手段50として、図示しない天井搬送装置であるホイストのフックを係止可能なアクセス凹部53がそれぞれ切り欠かれる。また、包囲壁32の表面四隅部には、アクセス手段50としてブロック形のアクセス凸部54がそれぞれ突出形成され、各アクセス凸部54には貫通口55が水平方向に穿孔されており、この貫通口55にホイストのフックが着脱自在に係止される。
【0081】
アクセス凸部54は、例えば個別パレット20よりも剛性の高い材料(例えば、ポリカーボネート等)により一体形成され、貫通口55と共に、あるいは貫通口55の代わりに、ホイストのフックを係止可能な凹み部や突片が選択的に形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0082】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、アクセス挿入口51が平面略十字形に形成されているので、ロボットアームのフォークを用いた受け渡し作業を容易にしたり、受け渡し作業の際の方向転換を省くことができるのは明白である。
【0083】
また、アクセス凹部53、アクセス凸部54の貫通口55、凹み部、突片を利用すれば、個別パレット20を吊持して搬送することができるので、個別パレット20に対するアクセスがロボットアームのみに制約されることがない。したがって、個別パレット20に対するアクセスの拡大が大いに期待でき、しかも、上部10のみが開口した収納箱2を使用しても、機械化に支障を来すのを防ぐことができる。
【0084】
次に、
図14、
図15は本発明の第6の実施形態を示すもので、この場合には、個別パレット20を、包装体1を搭載可能な平坦な台とし、この台の表面周縁部の前部中央、後部、及び左右両側部に、包装体1の下部を位置決め嵌合して包囲する包囲壁32A・32B・32Cをそれぞれ一体形成し、前部中央の包囲壁32Aと両側部の包囲壁32C前端との間に、ロボットアームのフォーク用の挿通口34をそれぞれ横長に区画するようにしている。
【0085】
基板収納容器は、梱包されたり、包装体1が外部環境で輸送される場合には、包装体1に包装されている半導体ウェーハの主面が略垂直になるように個別パレット20に搭載される。これに対し、包装体1がクリーンルームに搬入される場合には、半導体ウェーハの主面が略水平になるように90°反転して扱われることがその後のハンドリングを容易にする観点から好ましい。これは、半導体ウェーハが水平状態になれば、基板収納容器のフランジ等の搬送手段が天井搬送装置等の搬送装置にアクセス可能になるからであり、包装体1の包装袋を開口させ、容器本体のフランジ等を利用すれば、容易に搬送することができる。
【0086】
包装体1は、外部環境からクリーンルームに搬入される場合、2枚以上の包装袋で多重包装され、最外側の包装袋が除去された後、クリーンルームに搬入されることが汚染を防止する観点から好ましい。
【0087】
個別パレット20の台は、例えば緩衝能力に優れるポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の発泡材料により平面矩形に成形され、その正面から背面にかけて、アクセス手段50である左右一対のアクセス挿入口51が並べて穿孔される。アクセス手段50は、一対のアクセス挿入口51のみでも良いが、平坦なコンベヤレール等、アクセスを可能にする他の手段でも良い。例えば、クリーンルーム内では、ローラコンベヤによる搬送が多用されるので、個別パレット20の下面に、相互に対向する一対の対向部を形成し、この一対の対向部をコンベヤレールに接触させることにより、個別パレット20をローラコンベヤで搬送し、一対のアクセス挿入口51を省略するようにしても良い。
【0088】
個別パレット20の前部の包囲壁32A、後部の包囲壁32Bの中央、及び両側部の包囲壁32Cは、例えば断面略L字形にそれぞれ形成され、その水平横方向に伸びる棚片35が台の中心部方向に指向して包装体1を搭載する。この複数の棚片35上に包装体1が搭載される場合、包装体1の下部と個別パレット20の台表面との間に、挿通口34に連通するアクセス用の空隙36が区画される。
【0089】
棚片35は、包装体1を搭載し、アクセス用の空隙36を区画する機能を発揮するのであれば、後部の包囲壁32Bと両側部の包囲壁32Cとの間、又は両側部の包囲壁32C等に適宜形成することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0090】
このような個別パレット20は、クリーンルームで使用されるパレットと、梱包作業用の準クリーンルーム環境や梱包体の輸送が行われる外部環境で使用されるパレットとに区別されるが、クリーンルームと外部環境との間に設置される準クリーンルーム環境において、包装体1のみを受け渡す際に使用されることが汚染源をクリーンルームに持ち込まない観点から好ましい。
【0091】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、個別パレット20が優れた緩衝能力を発揮するので、下段用の緩衝材40を省略することができる。また、包装体1の下部と個別パレット20の台との間にアクセス用の空隙36が区画されるので、この空隙36にロボットアームのフォークを挿通すれば、個別パレット20から包装体1のみを持ち上げてハンドリングすることができ、外部環境とクリーンルームとの間で包装体1をきわめて容易に受け渡しすることができる。
【0092】
また、清浄性を保つため、個別パレット20を洗浄する煩雑な作業を省くこともできる。また、クリーンルームに搬入された包装体1をクリーンルーム用の個別パレット20に搭載すれば、上記と同様にハンドリングすることが可能になる。また、上記ハンドリングにより、包装体1をクリーン度の異なるクリーンルームで受け渡したり、外部環境とクリーンルームとの間で包装体1を汚染させることなく、円滑に受け渡すことが可能になる。さらに、外部環境下の使用により、汚染のおそれのある個別パレット20をクリーンルームに搬入するのを防止し、クリーンな環境をそのまま維持することができるので、包装体1内に収納されている半導体ウェーハの汚染防止が大いに期待できる。
【0093】
次に、
図16は本発明の第7の実施形態を示すもので、この場合には、緩衝材40の位置決め壁43・45の前端部に短い位置決め壁41をそれぞれ接続し、各搭載領域46の前部周縁の切り欠き数を削減するとともに、残存した切り欠き44を左右方向に伸張し、位置決め壁43の内面中央部と位置決め壁45の両面中央部とに位置決め片47をそれぞれ突出形成し、位置決め壁43の位置決め片47と位置決め壁45の位置決め片47とを対向させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0094】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、緩衝材40の構成の多様化を図ったり、個別パレット20のアクセス挿入口51の数を減らして構成の簡素化を図ることができる。
【0095】
次に、
図17は本発明の第8の実施形態を示すもので、この場合には、個別パレット20の底面に嵌挿穴37を穿孔し、緩衝材40の位置決め壁41・42・43・45、切り欠き44、位置決め片47をそれぞれ省略し、緩衝材40の平坦な表面に複数の搭載領域46を区画するとともに、各搭載領域46に、個別パレット20の嵌挿穴37に位置決め嵌挿される嵌挿部49を突出形成するようにしている。
【0096】
個別パレット20には、アクセス手段50であるアクセス挿入口51を設けても良いし、省略しても良い。また、嵌挿穴37の周縁や内面、嵌挿部49の先端部等には、嵌挿穴37と嵌挿部49との嵌挿を容易にする観点から、傾斜加工や面取り加工が必要に応じて施される。例えば、嵌挿部49は、円錐台や角錐台等の錐台形に形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0097】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、位置決め壁41・42・43・45、切り欠き44、位置決め片47の省略により、緩衝材40の構成の簡素化を図ることができるのは明らかである。
【0098】
なお、上記実施形態では底部パレット3の搬送挿入口4を底部パレット3の前後方向に向けたが、左右方向に向けても良い。また、収納箱2の正面13を開口したが、収納箱2の側面や背面を開口しても良い。また、箱本体6の下部8を開口させ、個別パレット20に箱本体6を上方から被せて嵌入し、これら個別パレット20と箱本体6とを係止具、締結具、粘着テープ等により粘着固定しても良い。また、上記実施形態では収納箱2に複数の包装体1を上下2段に段積みしたが、収納箱2に複数の包装体1を1段に積んで合計4個収納することができる。
【0099】
また、底部パレット3の表面周縁部の一部に嵌合壁5を形成したが、底部パレット表面の全周縁部に嵌合壁5を形成することもできる。また、扉16の側部にマジックテープ17を設けたが、扉16の一側部に封止用の凸片を伸長形成し、箱本体6の他側壁15に、凸片と嵌合する嵌合溝孔を穿孔することもできる。また、マジックテープ17の代わりに、凹部と凸部とを配設したり、フックとホックとで嵌合したり、あるいはテープで止めることが可能である。
【0100】
また、上記実施形態では個別パレット20と緩衝材40の位置決め壁41・42・43・45を略同じ高さに形成し、複数の切り欠き44により、個別パレット20の一対のアクセス挿入口51を外部に露出させたが、何らこれに限定されるものではない。例えば、個別パレット20を位置決め壁41・42・43・45よりも高い肉厚に形成し、個別パレット20の周面の上部寄りに一対のアクセス挿入口51を穿孔することにより、一対のアクセス挿入口51を外部に露出させ、切り欠き44を省略することが可能である。また、個別パレット20の表面に、振動吸収機能を有する弱粘着性のエラストマーやゴムからなる弾性緩衝層を接着することも可能である。
【0101】
また、個別パレット20の表面周縁部の少なくとも一部に、包装体1の下部周縁に干渉可能な位置決め壁を形成することも可能である。また、位置決め壁42・43・45には、複数の切り欠き44を間隔をおいて形成しても良い。また、包装体1の上下に緩衝材40を配置しても良いし、個別パレット20の上下に緩衝材40を配置しても良い。また、中段用の緩衝材40の裏面に複数の嵌合穴48を並べて穿孔しても良いが、各緩衝材40の裏面に複数の嵌合穴48を並べて穿孔しても良い。
【0102】
また、個別パレット20のアクセス凸部54やその貫通口55、凹み部、突片には、磁石や磁性体を装着し、磁力を利用してアクセスすることもできる。さらに、個別パレット20の下面に、出没可能な複数のキャスターを配設し、この複数のキャスターを利用して搬送の際の便宜を図るようにしても良い。