特許第6022900号(P6022900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022900
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】包装シート及び包装飯塊
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20161027BHJP
   B65D 65/10 20060101ALI20161027BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   A23L7/10 F
   B65D65/10 A
   B65D85/50 E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-244265(P2012-244265)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-90706(P2014-90706A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591154751
【氏名又は名称】鈴木 允
(73)【特許権者】
【識別番号】598157096
【氏名又は名称】鈴木 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100066728
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100141841
【弁理士】
【氏名又は名称】久徳 高寛
(74)【代理人】
【識別番号】100119596
【弁理士】
【氏名又は名称】長塚 俊也
(74)【代理人】
【識別番号】100100099
【弁理士】
【氏名又は名称】宮野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100114
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 伸泰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 允
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 栄一
【審査官】 原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−292483(JP,A)
【文献】 特開2009−007007(JP,A)
【文献】 特開2010−013117(JP,A)
【文献】 特開平07−132057(JP,A)
【文献】 特開2003−034381(JP,A)
【文献】 特開昭61−127462(JP,A)
【文献】 特開2006−051981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/104
B65D 65/00−65/46
85/50−85/84
WPIDS/WPIX/CAplus/FSTA/FROSTI(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態にて、長方形の外フィルム(2)と該外フィルム(2)の裏面側に配備された内フィルム(3)との間にシート状食品(5)を挟み、外フィルム(2)と内フィルム(3)は、シート状食品(5)の外周を溶着して一体化された包装シートであって、
外フィルム(2)は分断可能部(21)を有し、
内フィルム(3)は前記分断可能部(21)と平行に全長に亘って複数の切込みを断続的に形成したミシン目切断部(32)を有し、
前記内フィルム(3)と前記シート状食品(5)との間には、前記内フィルム(3)のミシン目切断部(32)にて内縁が重なる一対の第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)を有し、
前記第1フィルム片(40)は、内縁が前記内フィルム(3)と第2フィルム片(42)との間に位置し、前記ミシン目切断部(32)を覆って、ミシン目切断部(32)よりも先端側に位置する内縁がミシン目切断部(32)と略平行に全長に亘って前記内フィルム(3)と連続して熱溶着(36)され、
前記第2フィルム片(40)は、前記第1フィルム片(40)と前記内フィルム(3)との熱溶着(36)を覆っており、
前記内フィルム(3)、第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)及び外フィルム(2)は、シート状食品(5)の外周にて熱溶着(11)が施され一体化されている、
ことを特徴とする包装シート。
【請求項2】
前記内フィルム(3)、第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)及び外フィルム(2)は、シート状食品(5)の外周にて全長に亘って熱溶着(11)が施されている、請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の包装シートによって飯塊(6)を包装してなる包装飯塊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内フィルムと外フィルムとの間にシート状食品を挟んで形成し、飯塊を包装することのできる包装シート及び包装飯塊に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売されている棒状飯塊やおにぎりなどの包装用シートとして、外フィルムと内フィルムとの間にシート状海苔を挟んで形成した、三重構造のシートが広く知られている。
【0003】
外フィルムは、幅方向の中央又は長手方向の中央に分断するための分断可能部を有しており、内フィルムは2枚のフィルム片からなり、夫々外フィルムの外周近傍で熱溶着され、フィルム片の内端どうしは外フィルムの分断可能部上で重ねている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記包装シートによって棒状飯塊やおにぎりを包装した包装飯塊は、分断可能部によって外フィルムを2分し、分断された外フィルムの一方を外側に引っ張ることで、この外フィルムに熱溶着された内フィルムの一方のフィルム片が一緒に引っ張り出される。
また、同様に、他方の外フィルムを外側に引っ張って、残された内フィルムのフィルム片と共に引っ張り出すことで、シート状食品が直に巻き付いた飯塊を得ることができ、これを食することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−101832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内フィルムは、フィルム片の内端どうしを単に重ねただけであるから、水分を多く含有する飯塊と長時間接していると、フィルム片どうしの重なり部から水分が包装シート内に入り込み、シート状食品が湿ってしまうことがあり、食感が悪くなる。
【0007】
本発明の目的は、飯塊を包装した状態でも、シート状食品が湿気らない包装シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装シート(1)は、
展開状態にて、長方形の外フィルム(2)と該外フィルム(2)の裏面側に配備された内フィルム(3)との間にシート状食品(5)を挟み、外フィルム(2)と内フィルム(3)は、シート状食品(5)の外周を溶着して一体化された包装シートであって、
外フィルム(2)は分断可能部(21)を有し、
内フィルム(3)は前記分断可能部(21)と平行に全長に亘って複数の切込みを断続して形成したミシン目切断部(32)を有し、
前記内フィルム(3)と前記シート状食品(5)との間には、前記内フィルム(3)のミシン目切断部(32)にて内縁が重なる一対の第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)を有し、
前記第1フィルム片(40)は、内縁が前記内フィルム(3)と第2フィルム片(42)との間に位置し、前記ミシン目切断部(32)を覆って、ミシン目切断部(32)よりも先端側に位置する内縁がミシン目切断部(32)と略平行に全長に亘って前記内フィルム(3)と連続して熱溶着(36)され、
前記内フィルム(3)、第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)及び外フィルム(2)は、シート状食品(5)の外周にて熱溶着(11)が施され一体化されている。
【0009】
また、本発明に係る包装飯塊は、上記包装シートによって飯塊(6)を包装してなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る包装シート(1)は、内フィルム(3)のミシン目切断部(32)に切込みが形成されているが、該切込みは、第1フィルム片(40)によって覆われ、第1フィルム片(40)は、周縁が内フィルム(3)と熱溶着(11)(36)されているので、切込みからシート状食品(5)への水分の侵入や透過を阻止することができる。従って、シート状食品(5)は湿気ることはなく、シート状食品(5)の乾燥状態を維持できる。
【0011】
本発明ではさらに、第1フィルム片(40)の内縁及び第1フィルム片(40)と内フィルム(3)との間の熱溶着部(36)に、第2フィルム片(42)が被さっているから、例え、熱溶着部(36)に熱溶着の際に孔などが形成されたとしても、シート状食品(5)への水分の侵入や透過を阻止することができ、シート状食品(5)の乾燥状態を維持できる。
【0012】
本発明の包装シート(1)により飯塊(6)を包装してなる包装飯塊は、乾燥状態のシート状食品(5)が飯塊(6)に直に巻かれた状態であるから、包装を解いた後の見た目もよく、また、食感にもすぐれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る包装シートの分解斜視図である。
図2図2は、棒状飯塊を本発明に係る包装シートに載せた斜視図である。
図3図3は、図2のA−A線に沿う断面図である。
図4図4は、本発明に係る包装シートにより飯塊を包装してなる包装飯塊の斜視図である。
図5図5は、本発明に係る包装飯塊の包装を解く手順を示す斜視図である。
図6図6は、図5に続く包装を解く手順を示す斜視図である。
図7図7は、図6に続く包装を解く手順を示す斜視図である。
図8図8は、包装が解かれて直にシート状食品が棒状飯塊に被さった状態の斜視図である。
図9図9は、本発明の包装シートの異なる実施形態を示す断面図である。
図10図10は、本発明の包装シートにより三角おにぎりを包装してなる包装飯塊の斜視図である。
図11図11は、本発明の包装シートにより三角おにぎりを袋状に包装してなる包装飯塊の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の包装シート(1)及び該包装シート(1)により飯塊(6)を包装してなる包装飯塊について説明する。
【0015】
図1に示すように、包装シート(1)は、長方形で透明な外フィルム(2)と、シート状食品(5)、内縁が重なった第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)、内フィルム(3)を重ねて構成される。外フィルム(2)、第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)及び内フィルム(3)は、シート状食品(5)の周縁、図2では外フィルム(2)の外周に熱溶着(11)が施されて一体化している。
【0016】
前記外フィルム(2)は、長さ約20cm、幅長さ約12cmの矩形のフィルムから構成することができる。
外フィルム(2)の長さは、包装される飯塊が棒状の飯塊(6)である場合、その周長の1.4乃至1.7程度、幅長さは、棒状飯塊(6)長さに約2cmを加えた長さである。
【0017】
外フィルム(2)は、幅方向又は長手方向の略中央に、外フィルム(2)を全長に亘って方向に裂くことのできる分断可能部(21)を有している。
【0018】
図1の実施例の分断可能部(21)は、カットテープ(22)を外フィルム(2)の幅方向略中央の裏面に全長に亘って接着したものである。カットテープ(22)の一端を引っ張ると外フィルム(2)をテープ方向に沿って裂くことができる。
【0019】
外フィルム(2)の一方の端部(25)には、カットテープ(22)の左右両側に、図1及び図4に示すように、カットテープ(22)に接近してカットテープ(22)と平行に短く平行に切込み(23)(23)が施されている。該切込み(23)(23)間を摘んでカットテープ(22)を引っ張るため、切込み(23)(23)側が外フィルム(2)の分断を開始する側の端部(以下「分断開始端(25)」と称する)となる。
【0020】
内フィルム(3)は、外フィルム(2)の分断可能部(21)と平行に全長に亘って断続的な切込みを形成してなるミシン目切断部(32)を有する。内フィルム(3)は、ミシン目切断部(32)に対して略垂直な方向に引っ張ることで切込みどうしが繋がって、左右に切断することができる。なお、本明細書において、平行とは、略平行、実質的に平行を含むものとする。また、例えば、カットテープが直線状ではなく曲線状に貼り付けられて分断可能部(21)を構成する場合、分断を開始する端部と分断の終端とを結ぶ線に対して平行であればよい。
【0021】
内フィルム(3)は、飯塊(6)からの乖離性の高い材料を用いることが望ましく、また、凹部と凸部が均一に分布したエンボスフィルムを用いることもできる。これにより、飯塊(6)に当接する内フィルム(3)に飯粒が付着することを防止でき、スムーズに包装を解くことができる。
【0022】
棒状の飯塊(6)を包装する場合、図1乃至図3に示すように、飯塊(6)の端面を覆う端部包み部(33)(33)を内フィルム(3)に形成することができる。端部包み部(33)(33)は、外フィルム(2)の分断開始端(25)とは逆側の端部に近い側面に形成する。
端部包み部(33)(33)は、例えば、図1乃至図3に示すように内フィルム(3)の長手方向に沿う側縁から互いに外向きにはみ出して形成することができるが、端部包み部(33)(33)を別部材として内フィルム(3)又は次に説明する第1フィルム片(40)及び第2フィルム片(42)に熱溶着したり、第1フィルム片(40)及び第2フィルム片(42)と一体に形成することもできる。
【0023】
端部包み部(33)(33)のはみ出し高さは、棒状飯塊(6)の直径の1.3倍程度である。
【0024】
内フィルム(3)の内側、すなわち、シート状食品(5)側には、図1乃至図3に示すように、第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)を有する。
【0025】
第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)は、同形の2枚のフィルム片で構成することができ、前記内フィルム(3)のミシン目切断部(32)にて内縁が重なるように配置される。第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)の重なり幅は、ミシン目切断部(32)を跨いで2〜3cm程度とすることができ、重なり部分の略中央にミシン目切断部(32)が位置することが望ましい。
第1フィルム片(40)と第2フィルム片(42)は、重なり部分で重ねた状態で、外形が外フィルム(2)と略一致する長方形となるようにしている。
【0026】
より詳細には、第1フィルム片(40)は、内縁が内フィルム(3)と第2フィルム片(42)の内縁との間に挟まれるように配置され、第1フィルム片(40)の内縁は、内フィルム(3)のミシン目切断部(32)を覆う。また、第1フィルム片(40)は、ミシン目切断部(32)よりも先端側に位置する内縁が、内フィルム(3)に熱溶着(36)されている。熱溶着(36)は、ミシン目切断部(32)に対して略平行に、全長に亘って連続して線状に施されている。熱溶着(36)は、内フィルム(3)と第1フィルム片(40)を重ねて、加熱されたコテ、回転丸刃、ローラなどにより行なうことができる。
【0027】
上記熱溶着(36)によって、内フィルム(3)と第1フィルム片(40)の内縁は水密に接合されるから、ミシン目切断部(32)の切込みから水分が包装シート(1)の内部に侵入したとしても、第1フィルム片(40)よりも内側への水分や湿気が侵入を阻止することができる。
【0028】
第2フィルム片(42)は、図2に示すように、内縁が第1フィルム片(40)のように熱溶着は施されておらず、第1フィルム片(40)と単に重なっているだけである。
【0029】
シート状食品(5)は、シート状海苔を例示できるが、おぼろ昆布をシート状に形成したもの、鯣を薄く伸したもの等、包装シート(1)の巻付けに支障とならない薄手の食品であればよい。
シート状食品(5)は、長さ約15cm、幅長さ約10cmであって、長さは前記棒状飯塊(6)の周長の1倍強(約1.2倍)、幅長さは棒状飯塊(6)の長さと略同じである。
【0030】
内フィルム(3)に第1フィルム片(40)の内縁を熱溶着(36)し、図1乃至図3に示す如く、外フィルム(2)の上に、シート状食品(5)、第2フィルム片(42)、第1フィルム片(40)、内フィルム(3)を重ねて、シート状食品(5)の周縁を熱溶着(11)して一体化することで、包装シート(1)を得ることができる。熱溶着(11)は、フィルム間からの水分の侵入を阻止するために、包装シート(1)の外周に全周に亘って連続して施すことが好適である。熱溶着部(11)からの水分の侵入やフィルムどうしの剥離を効果的に防止するために、図2及び図3に示すように2条の熱溶着(11)を施すことが望ましい。もちろん、熱溶着(11)は1条でも構わない。
【0031】
さらに、包装シート(1)には、収容されたシート状食品(5)がずれないように、シート状食品(5)を囲むように複数箇所で点溶着(12)又は線溶着を施しておくことが望ましい。
【0032】
上記により得られた包装シート(1)により、飯塊(棒状飯塊)(6)が包装される。
【0033】
棒状飯塊(6)は、直径約4cm、長さ約10cmとすることができる。棒状飯塊(6)は白米やかやくご飯など円柱状の塊であり、部分的或いは全体に胡麻等の振掛け食品を振り掛けておいてもよい。
【0034】
飯塊(6)の包装は、以下の手順により行なうことができる。
まず、図2に示す如く、内フィルム(3)を上にした包装シート(1)に飯塊(6)を載せる。棒状の飯塊(6)は、内フィルム(3)の端部包み部(33)(33)側に倒れ状態で外フィルム(2)の分断可能部(21)(21)と直交し、両端がシート状食品(5)からはみ出さないように中央付近に載せることができる。
【0035】
次に、図2の矢印Bで示すように、内フィルム(3)の両端部包み部(33)(33)で棒状飯塊(6)の両端部を包み、図4に示すように包装シート(1)を棒状飯塊(6)の外周に巻き付けることで、包装飯塊を得ることができる。
【0036】
棒状飯塊(6)を包装した後、図4に示すように、外フィルム(2)の巻き終わり側となる分断開始端(25)側を止着手段(7)により封止することができる。図示の実施例では、分断可能部(21)を挟んで2枚の止着手段(7)を貼着している。
【0037】
包装飯塊は、内フィルム(3)のミシン目切断部(32)に第1フィルム片(40)が被さっており、さらに、第1フィルム片(40)の内縁は内フィルム(3)と連続して熱溶着(36)されているから、飯塊(6)を包装したときに、飯塊(6)の水分や水蒸気が切込みから侵入したとしても、第1フィルム片(40)によりシート状食品(5)側への侵入は阻止される。加えて、本発明の包装シート(1)は、第1フィルム片(40)の内縁及び熱溶着部(36)を覆うように第2フィルム片(42)を重ねて配しているから、万一溶着不良等により、熱溶着部(36)に孔が開いてしまったり、部分的に剥離してしまったとしても、第2フィルム片(42)により水分の侵入を阻止できる。このため、従来の包装シートに比して可及的にシート状食品(5)の乾燥状態を維持できる。
【0038】
上記構成の包装飯塊について、飯塊(6)を包装した後、24時間放置して、シート状食品(5)の湿り具合を観察したところ、包装前と殆んど変わらず、乾燥状態を維持できていることが確認された。
【0039】
図4に示すように包装された包装飯塊は、以下の要領でその包装を解くことができる。
まず、図5に示すように、止着手段(7)を剥がすと、包装シート(1)は、分断開始端(25)側が立ち上がる。この状態から、包装シート(1)の飯塊(6)への巻きを少し緩めて、分断可能部(21)であるカットテープ(22)の分断開始端(25)側の端部を指先で摘んで引っ張り、図6に示すように、外フィルム(2)をカットテープ(22)に沿って分断する。最後までカットテープ(22)を引くことで、外フィルム(2)は、完全に左右に分断された状態となる。
【0040】
次に、分断された外フィルム(2)の一方を飯塊(6)ごと掴んで、図7に示すように、他方の外フィルム(2)及び内フィルム(3)を一緒に指で摘み、矢印方向に引っ張る。図示では、第1フィルム片(40)側を引っ張って、第2フィルム片(42)側を掴んでいる。
【0041】
この引張りにより、内フィルム(3)には、ミシン目切断部(32)に略垂直方向の引張り力が作用するから、ミシン目切断部(32)は、切込みどうしがが繋がって切断される。
【0042】
一方で第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)は、夫々外フィルム(2)と内フィルム(3)の外周にて熱溶着(11)されて一体化しているから、内フィルム(3)が切断されることで、第1フィルム片(40)は、指で摘まれた外フィルム(2)と内フィルム(3)と共に引っ張られる。
【0043】
この引張りにより、第1フィルム片(40)は、ミシン目切断部(32)を跨いで延びた内縁と内フィルム(3)との熱溶着(36)が剥離して、シート状食品(5)を残して一体に引き出される(図7参照)。
【0044】
次に、露出したシート状食品(5)に包まれた飯塊(6)を掴み、残りの外フィルム(2)と内フィルム(3)を指で摘んで反対側に引っ張ることで、前記飯塊(6)に残った外フィルム(2)、第2フィルム片(42)及び内フィルム(3)はシート状食品(5)を残して一体に引き出され、図8に示すように、シート状食品(5)が直に巻かれた飯塊(6)を得ることができる。
【0045】
上記では、第1フィルム片(40)側を摘んで引っ張っているが、第1フィルム片(42)側を掴んで、第2フィルム片(42)側を引っ張っても構わない。
【0046】
本発明の包装シート(1)により飯塊(6)を包装した包装飯塊は、シート状食品(5)が乾燥した状態が維持されているから、包装を解く際に外フィルム(2)や第1フィルム片(40)、第2フィルム片(42)に貼り付いて破れてしまうことはなく、スムーズ且つ容易に包装を解くことができる。
【0047】
得られた飯塊(6)は、乾燥したシート状食品(5)が巻かれているから、食感がよく、また、シート状食品(5)が乾燥しているから手で掴んでもべた付くこともない。
【0048】
図9は、本発明の異なる包装シート(1)の斜視図及び断面図である。上記と同じ符号は同じ又は同等の部材を示し、説明を適宜省略する。
【0049】
図9に示す包装シート(1)は、外フィルム(2)の分断可能部(21)をカットテープに代えて、内フィルム(3)と同様に複数の切込みを断続して形成した実施例である。
分断可能部(21)である切込みからの水分の侵入を防止するために、外フィルム(2)は、分断可能部(21)に沿う内側に短冊状のカバーフィルム(26)を熱溶着(27)等により接合し、切込みを覆うようにすることが望ましい。
【0050】
図10に示す包装シート(1)を用いて包装された包装飯塊では、カットテープを解く必要がないから、一方の外フィルム(2)を引っ張るだけで、その包装を解くことができる。
【0051】
なお、この場合、飯塊(6)に包装シート(1)を緊密に巻き付けると、上手く包装を解けないことがある。このような場合には、止着手段(7)を剥がして、少し包装シート(1)の巻きを緩めることで、スムーズに包装を解くことができる。
【0052】
図10は、図1に示した内フィルム(3)から左右に突出した端部包み部(33)(33)を取り去って、長方形形状とした包装シート(1)により三角おにぎり(飯塊(6))を包み込むように包装した実施例である。飯塊(6)の底面中央から頂点に向けて分断可能部(21)が延びるように包装している。
【0053】
図11は、図1に示した内フィルム(3)から左右に突出した端部包み部(33)(33)を取り去って、長方形形状とした包装シート(1)により三角おにぎり(飯塊(6))を袋状に包装し、上端に熱溶着(15)を施した実施例である。飯塊(6)の底面中央から頂点に向けて分断可能部(21)が延びるように包装している。
【0054】
何れの実施例においても、シート状食品(5)は乾燥した状態を維持しているから、包装を解く際に外フィルム(2)や内フィルム(3)に貼り付いて破れてしまうことはない。また、得られた飯塊(6)は、乾燥したシート状食品(5)が巻かれているから、食感がよく、また、シート状食品(5)が乾燥しているから手で掴んでもべた付くこともない。
【0055】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0056】
例えば、飯塊(6)は、棒状、三角形状だけでなく、扁平丸形、俵型、直方体型などとすることができる。
【0057】
外フィルム(2)の分断可能部(21)も、上記実施例には限定されず、例えば、カットテープ(22)を2列に形成することもできる。この場合、内フィルム(3)のミシン目切断部(32)は、2列に形成されたカットテープ(22)(22)間、望ましくは中央に形成されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0058】
(10) 包装シート
(11) 熱溶着部
(2) 外フィルム
(21) 分断可能部
(3) 内フィルム
(32) ミシン目切断部
(36) 熱溶着部
(40) 第1フィルム片
(42) 第2フィルム片
(5) シート状食品
(6) 飯塊
図1
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図5
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図11