(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両周囲が撮影された撮影画像に基づいて前記車両周囲の俯瞰画像を生成し、前記俯瞰画像から直線を抽出し、前記抽出した直線に基づいて前記車両周囲が撮影された撮影画像において直線を探索するための探索領域を設定し、前記車両周囲が撮影された撮影画像から前記探索領域を用いて直線を抽出することを特徴とする画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、車両に搭載されて使用されるものであり、俯瞰画像生成部11と、第一の直線抽出部12と、探索領域設定部13と、第二の直線抽出部14と、直線状態認識部15とを備える。画像処理装置10は、不図示のコンピュータに所定の画像処理プログラムを実行させることにより、これらの各部の機能を実現している。各部の機能の内容については、後で詳しく説明する。
【0010】
画像処理装置10には、4つのカメラ20a〜20dが接続されている。カメラ20a〜20dは、車両の周囲をそれぞれ異なる撮影範囲で撮影する電子式カメラであり、車両のボディ、バンパー、ドアミラー等の各部に設置されている。これらの各カメラの撮影範囲は、合わせて車両の全周囲をカバーできるように定められている。本実施形態では、カメラ20aは車両前方の撮影範囲を、カメラ20bは車両左側方の撮影範囲を、カメラ20cは車両右側方の撮影範囲を、カメラ20dは車両後方の撮影範囲をそれぞれ撮影するものとして説明する。カメラ20a〜20dにより所定のフレームレート間隔でそれぞれ取得された撮影画像は、画像処理装置10へ出力される。
【0011】
図2は、画像処理装置10全体の処理内容を示すフローチャートである。なお、ここでは、各ステップの概要を説明し、各ステップの詳細の内容については、後で詳しく説明する。
図2に示す処理は、たとえば、車速が時速0〜40kmである場合に、所定の処理周期ごとに繰り返し実行される。
【0012】
ステップS1において、俯瞰画像生成部11は、カメラ20a〜20dから入力された各撮影画像に基づいて、車両の全周囲を俯瞰した様子を示す俯瞰画像(アラウンドビュー画像)を生成する。俯瞰画像生成部11により生成された俯瞰画像は、第一の直線抽出部12へ出力される。
【0013】
次のステップS2において、第一の直線抽出部12は、ステップS1で生成された俯瞰画像から車両の走行面に描かれた直線を抽出する。車両の走行面に描かれた直線とは、道路上に描かれた各種の道路標示線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、横断歩道等)や、駐車場に描かれた駐車枠線などである。第一の直線抽出部12による直線抽出結果は、探索領域設定部13へ出力される。
【0014】
次のステップS3において、探索領域設定部13は、カメラ20aによる車両前方の撮影画像において、車両の走行面に描かれた直線を探索するための探索領域を設定する。この探索領域の設定は、第一の直線抽出部12による直線抽出結果に基づいて行われる。また、本実施形態では、車両の前後方向に延びる直線(以下、縦線と呼ぶ)が抽出されるように探索領域が設定される。なお、縦線には、車両の前後方向と完全に平行な線だけでなく、車両の前後方向に対して斜めの線も含まれるものとする。探索領域設定部13による探索領域の設定結果は、第二の直線抽出部14へ出力される。
【0015】
次のステップS4において、第二の直線抽出部14は、カメラ20aによる車両前方の撮影画像において、ステップS3で設定された探索領域からエッジを抽出し、車両の走行面に描かれた縦線を抽出する。第二の直線抽出部14による縦線の抽出結果は、直線状態認識部15へ出力される。
【0016】
次のステップS5において、直線状態認識部15は、ステップS4で抽出された縦線の状態(長さ、幅、および多重度)を認識する。なお、多重度とは、直線が何重線であるか(たとえば、一重線か、二重線か、三重線か…)を示すものである。直線状態認識部15による縦線の状態の認識結果は、たとえば、画像処理装置10と接続されている車両制御装置(不図示)へ出力され、車両の駐車支援や走行制御等に利用される。
【0017】
次に、上述したステップS1の処理の内容について、具体例を挙げて説明する。
図3は、カメラ20a〜20dによってそれぞれ撮影された撮影画像21a〜21dの一例と、これらの撮影画像21a〜21dにより生成される俯瞰画像23の一例とを示す図である。俯瞰画像生成部11は、カメラ20a〜20dによってそれぞれ撮影された撮影画像21a〜21dに基づいて、車両24の前方、左側方、右側方および後方にそれぞれ対応する4つの画像領域22a〜22dを作成する。そして俯瞰画像生成部11は、これら4つの画像領域22a〜22dを繋ぎ合わせることにより、俯瞰画像23を生成する。
【0018】
また、上述したステップS2〜S5の処理の内容について、別の具体例を挙げて説明する。
図4(a)は、俯瞰画像30の一例を示し、
図4(b)は、この俯瞰画像30の生成に用いられた、カメラ20aによる車両前方の撮影画像31の一例を示す。
図4(b)に示すカメラ20aの撮影画像31には、2本の縦線32、33が写っており、
図4(a)に示す俯瞰画像30には、この2本の縦線32、33の一部が含まれている。
【0019】
上述したステップS2において、第一の直線抽出部12は、俯瞰画像30からエッジを抽出するエッジ抽出処理を行う。エッジとは、画像中で輝度値が急激に変わる点である。このエッジ抽出処理では、俯瞰画像30を横方向(車両の左右方向)に探索して、輝度値の変化が所定のしきい値以上である点をエッジとして抽出する。第一の直線抽出部12は、抽出したエッジの位置関係に基づいて、俯瞰画像30から縦線32、33を抽出する。
【0020】
上述したステップS3において、探索領域設定部13は、
図5(a)に示すように、俯瞰画像30の座標系において、ステップS2で抽出された縦線32、33を車両の前方に延長した仮想縦線36、37を設定する。この仮想縦線36、37は、ステップS2で抽出された縦線32、33の始点(車両側の端点)から所定の長さで、且つ俯瞰画像30の撮影範囲外まで延びるように設定される。そして、探索領域設定部13は、各仮想縦線36、37において、各仮想縦線36、37に直交し、且つ所定の長さの探索線38a〜38f、39a〜39fを設定する。探索線38a〜38f、39a〜39fは、仮想縦線36、37の方向において、所定間隔ごとに設定され、且つ、仮想縦線36、37が探索線38a〜38f、39a〜39fの中心を通るように設定される。
【0021】
そして、探索領域設定部13は、
図5(b)に示すように、俯瞰画像30の座標系において設定した探索線38a〜38f、39a〜39fの座標値を、カメラ20aの撮影画像31の座標系における座標値に変換する。これにより、カメラ20aの撮影画像31上に探索線38a〜38f、39a〜39fが投影される。すなわち、カメラ20aの撮影画像31において、探索線38a〜38f、39a〜39fが設定される。なお、本説明では、カメラ20aの撮影画像に設定される探索線38a〜38f、39a〜39fをまとめて探索領域と呼ぶ。
【0022】
上述したステップS4において、第二の直線抽出部14は、カメラ20aの撮影画像において、ステップS3で設定された各探索線上での輝度値の変化を表す輝度プロファイルを生成する。この輝度プロファイルは、ブレゼンハム(Bresenham)のアルゴリズムにより生成される。
図6(a)は、この輝度プロファイルの一例を示す図である。第二の直線抽出部14は、この生成した輝度プロファイルを微分し、微分結果に基づいて、カメラ20aの撮影画像からエッジを抽出する。
図6(b)は、
図6(a)に示す輝度プロファイルの微分結果を示す図である。
図6(b)に示す微分結果には、輝度値が暗から明に急変する点、すなわち直線に入るエッジに対応するピーク40と、輝度値が明から暗に急変する点、すなわち直線から出るエッジに対応するピーク41とが含まれている。ピーク40に対応するエッジからピーク41に対応するエッジまでの間が、車両の走行面に描かれた直線の幅に対応する。第二の直線抽出部14は、ピーク40およびピーク41を見つけることにより、車両の走行面に描かれた直線のエッジを抽出する。
【0023】
そして、第二の直線抽出部14は、抽出したエッジの位置関係に基づいて、カメラ20aの撮影画像から直線を抽出する。
図7は、エッジの抽出結果を示す図である。第二の直線抽出部14は、エッジ42a〜42eをつないだ線と、エッジ43a〜43eをつないだ線との組み合わせから、
図4(b)に示したカメラ20aの撮影画像に写る縦線32を抽出する。また、第二の直線抽出部14は、エッジ44a〜44fをつないだ線と、エッジ45a〜45fをつないだ線との組み合わせから、
図4(b)に示したカメラ20aの撮影画像に写る縦線33を抽出する。なお、第二の直線抽出部14は、縦線を構成するエッジの一部が抽出されなくても、周囲のエッジをつなぐことで縦線を抽出することができる。たとえば、エッジ44cが抽出されなかった場合でも、第二の直線抽出部14は、エッジ44a、44b、44d、44e、44fをつないで縦線を抽出することができる。
【0024】
上述したステップS5において、直線状態認識部15は、第二の直線抽出部14により抽出された各縦線32、33の長さ、幅、および多重度を認識する。縦線32の長さについては、たとえば、エッジ42aからエッジ42eまでの距離を用いて求める。また、縦線32の幅については、たとえば、エッジ42aからエッジ43aまでの距離を用いて求める。また、縦線32の多重度については、たとえば、一本の探索線において検出されたエッジの数を用いて求める。たとえば、一本の探索線において検出されたエッジの数が2点であれば一重線と判断し、4点であれば二重線と判断する。
【0025】
直線状態認識部15による縦線の状態の認識結果は、たとえば、車両制御装置(不図示)に出力される。車両制御装置では、たとえば、縦線の幅や多重度の認識情報に基づいて、縦線の種類(たとえば、道路標示線なのか、駐車枠線なのか)を判定することができる。また、車両前方に延びる道路標示線が途中で途切れている場合には、その前方に停止線が存在することが想定される。したがって、車両制御装置は、縦線の長さの認識情報に基づいて、縦線の長さが所定値よりも短い場合には、前方に停止線が存在すると判定することができる。そして、車両制御装置は、このような縦線の判定情報を用いて、車両の駐車支援や走行制御等を行うことができる。たとえば、車両制御装置は、縦線が駐車枠線であると判定した場合には、駐車時のブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いにより急激なアクセル操作が行われても車両の急加速を禁止するような走行制御を行う。
【0026】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)画像処理装置10において、俯瞰画像生成部11は、カメラ20a〜20dにより車両周囲が撮影された撮影画像に基づいて、車両周囲の俯瞰画像を生成する。第一の直線抽出部12は、俯瞰画像生成部11により生成された俯瞰画像から直線を抽出する。探索領域設定部13は、第一の直線抽出部12により抽出された直線に基づいて、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像において直線を探索するための探索領域(探索線)を設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像から、探索領域設定部13により設定された探索領域を用いて直線を抽出する。このように、画像処理装置10は、俯瞰画像から抽出した直線に基づいて、カメラ20aの撮影画像の中の直線を探索する領域を特定し、この探索領域において直線を抽出する画像処理を行うので、カメラ20aの撮影画像の全領域に対して直線を抽出する画像処理が不要となる。したがって、画像処理装置10は、処理負荷を抑えながら、カメラ20aの撮影画像の解像度で直線を抽出できるので、車両の走行面に描かれた直線を精度よく抽出できる。
【0027】
(2)画像処理装置10において、直線状態認識部15は、第二の直線抽出部14により抽出された直線の状態(長さ、幅および多重度)を認識するようにした。これにより、画像処理装置10は、直線の状態の認識情報を、車両の駐車支援や走行制御等に用いることができる。
【0028】
(3)画像処理装置10において、カメラ20aの撮影画像において直線を探索するための探索領域は、俯瞰画像の範囲外の領域を含むようにした。俯瞰画像には、車両近傍(例えば車両から2〜3m程度)の範囲しか含まれないが、カメラ20aの撮影画像では、俯瞰画像よりも遠方の範囲が含まれる。このため、画像処理装置10は、カメラ20aの撮影画像から、俯瞰画像に含まれていない遠方の直線を抽出することができる。
【0029】
(4)画像処理装置10において、第一の直線抽出部12は、俯瞰画像生成部11により生成された俯瞰画像から縦線を抽出する。探索領域設定部13は、第一の直線抽出部12により抽出された縦線に対して直交するように探索領域を設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像において、探索領域設定部13により設定された探索領域からエッジを抽出し、エッジの抽出結果に基づいて直線を抽出する。これにより、画像処理装置10は、カメラ20aの撮影画像から、縦線(車両の前後方向に延びる線)を抽出することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、画像処理装置10の構成は、第1の実施の形態の構成(
図1)と同様であるため説明を省略する。
【0031】
図8は、第2の実施の形態による画像処理装置10全体の処理内容を示すフローチャートである。ステップS11〜S12の処理は、第1の実施の形態のステップS1〜ステップS2の処理と同様である。すなわち、俯瞰画像生成部11は、カメラ20a〜20dから入力された各撮影画像に基づいて俯瞰画像を生成する。第一の直線抽出部12は、生成された俯瞰画像から車両の走行面に描かれた直線を抽出する。
【0032】
次のステップS13において、探索領域設定部13は、カメラ20aによる車両前方の撮影画像において、車両の走行面に描かれた直線を探索するための探索領域を設定する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、車両の左右方向に延びる直線(以下、横線と呼ぶ)が抽出されるように、探索領域が設定される。なお、横線には、車両の左右方向と完全に平行な線だけでなく、車両の左右方向に対して斜めの線も含まれるものとする。
【0033】
次のステップS14の処理において、第二の直線抽出部14は、カメラ20aによる車両前方の撮影画像において、ステップS13で設定された探索領域からエッジを抽出し、車両の走行面に描かれた横線を抽出する。
【0034】
次のステップS15において、直線状態認識部15は、ステップS14で抽出された横線の状態(長さおよび幅)を認識する。直線状態認識部15による横線の状態の認識結果は、たとえば、画像処理装置10と接続されている車両制御装置(不図示)へ出力され、車両の駐車支援や走行制御等に利用される。
【0035】
次に、上述した処理の内容について、具体例を挙げて説明する。
図9(a)は、俯瞰画像50の一例を示し、
図9(b)は、この俯瞰画像50の生成に用いられた、カメラ20aによる車両前方の撮影画像51の一例を示す。
図9(b)に示すカメラ20aの撮影画像51には、3本の縦線52〜54と、1本の横線55とが写っており、これらの直線52〜55は、駐車枠線であるとする。
図9(a)に示す俯瞰画像50には、カメラ20aの撮影画像51に写る縦線52、53の一部が含まれているが、縦線54および横線55は含まれていない。
【0036】
上述したステップS12において、第一の直線抽出部12は、第1の実施の形態のステップS2と同様に、俯瞰画像50を横方向(車両の左右方向)に探索してエッジを抽出する。そして、第一の直線抽出部12は、抽出したエッジの位置関係に基づいて、俯瞰画像30から縦線52、53を抽出する。
【0037】
上述したステップS13において、探索領域設定部13は、
図9(a)に示すように、俯瞰画像50の座標系において、探索線58a〜58o(探索領域)を設定する。この探索線58a〜58oは、俯瞰画像50から抽出された縦線52、53が駐車枠の縦線である場合に、その前方にあると想定される駐車枠の横線が探索できるように設定される。
【0038】
駐車枠は、一般的には、1台分が縦5m×横2.5mの枠である。本実施形態では、この駐車枠を横に3台分つなげたものを駐車枠モデル59として想定する。ここで、俯瞰画像50から抽出された縦線52、53の端点と、駐車枠モデル59の真ん中2本の縦線における手前側の端点とを合わせて、縦線52、53と駐車枠モデル59とを重ねた状態を想定する。この状態で、駐車枠モデル59の横線が抽出されるように、探索線58a〜58oが設定される。なお、駐車枠モデル59と異なる大きさの駐車枠にも対応できるよう、探索線58a〜58oはある程度の幅を持って設定される。
【0039】
以上をふまえ、本実施形態において、探索線58a〜58oは、具体的に以下の通り設定される。なお、ここでの説明で記載する数値は、俯瞰画像50の座標系での長さではなく、実際の長さである。探索線58a〜58oは、俯瞰画像50から抽出された縦線52、53と平行に4mの長さで設定される。また、探索線58a〜58oにおいて、縦線52、53の車両側の端点から車両前方に2m離れた位置が始点とされ、縦線52、53の車両側の端点から車両前方に6m離れた位置が終点とされる。また、探索線58a〜58oは、縦線52、53と直交する方向において、左側の縦線52から左に2.5mの範囲内と、右側の縦線53から右に2.5mの範囲内と、左側の縦線56から右側の縦線57までの範囲内とにおいて、所定間隔ごとに設定される。俯瞰画像50の撮影範囲は、車両の近傍(たとえば2〜3m)の範囲なので、探索線58a〜58oは、俯瞰画像50の撮影範囲外にはみ出して設定される。
【0040】
このようにして、探索領域設定部13は、俯瞰画像50の座標系において探索線58a〜58oを設定すると、
図9(b)に示すように、探索線58a〜58oの座標値を、カメラ20aの撮影画像51の座標系における座標値に変換する。これにより、カメラ20aの撮影画像51上に探索線58f〜58oが投影される。なお、
図9(b)では、探索線58a〜58eについては、カメラ20aの撮影画像51に含まれない範囲であるため、投影されていない。このようにして、カメラ20aの撮影画像51において、探索線58f〜58oが設定される。
【0041】
上述したステップS14において、第二の直線抽出部14は、第1の実施の形態と同様にして、カメラ20aの撮影画像51において、ステップS13で設定された各探索線58f〜58oからエッジを抽出する。そして、第二の直線抽出部14は、抽出したエッジの位置関係に基づいて、カメラ20aの撮影画像から横線55を抽出する。このように、第2の実施の形態の画像処理装置10では、俯瞰画像50に含まれていない横線55を、抽出することができる。
【0042】
上述したステップS15において、直線状態認識部15は、ステップS14で抽出された横線の状態(長さ・幅)を認識し、この認識結果を、たとえば、車両制御装置(不図示)に出力する。車両制御装置では、たとえば、横線の幅の認識情報に基づいて、横線の種類(たとえば、道路標示線なのか、駐車枠線なのか)を判定することができる。
【0043】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
画像処理装置10において、第一の直線抽出部12は、俯瞰画像生成部11により生成された俯瞰画像から縦線を抽出する。探索領域設定部13は、第一の直線抽出部12により抽出された縦線に対して平行となるように探索領域を設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像において、探索領域設定部13により設定された探索領域からエッジを抽出し、エッジの抽出結果に基づいて直線を抽出する。これにより、画像処理装置10は、処理負荷を抑えながら、カメラ20aの撮影画像から、横線(車両の左右方向に延びる線)を抽出することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態においても、画像処理装置10の構成は、第1の実施の形態の構成(
図1)と同様であるため説明を省略する。
【0045】
図10は、第3の実施の形態による画像処理装置10全体の処理内容を示すフローチャートである。ステップS21〜S22の処理は、第1の実施の形態のステップS1〜ステップS2の処理と同様である。すなわち、俯瞰画像生成部11は、カメラ20a〜20dから入力された各撮影画像に基づいて俯瞰画像を生成する。第一の直線抽出部12は、生成された俯瞰画像から車両の走行面に描かれた直線を抽出する。
【0046】
次のステップS23〜S25の処理と、ステップS26〜S28の処理は、たとえば、並行に実行される。ステップS23〜S25の処理は、第1の実施の形態のステップS3〜S5の処理と同様である。すなわち、探索領域設定部13が、カメラ20aの撮影画像において、車両の走行面に描かれた縦線を抽出するための探索領域(探索線)を設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aの撮影画像において、設定された探索線上でエッジを抽出し、縦線を抽出する。直線状態認識部15は、抽出された縦線の状態(長さ、幅、および多重度)を認識する。
【0047】
また、ステップS26〜S28の処理は、第2の実施の形態のステップS13〜S15の処理と同様である。すなわち、探索領域設定部13が、カメラ20aの撮影画像において、車両の走行面に描かれた横線を抽出するための探索領域(探索線)を設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aの撮影画像において、設定された探索線上でエッジを抽出し、横線を抽出する。直線状態認識部15は、抽出された縦線の状態(長さおよび幅)を認識する。
【0048】
このように、第3の実施の形態では、カメラ20aの撮影画像から縦線と横線の両方を抽出する。なお、
図10では、縦線を抽出する処理と、横線を抽出する処理とを並行して行う例について示したが、いずれかを先に行うようにしてもよい。
【0049】
そして、ステップS29において、直線状態認識部15は、カメラ20aの撮影画像から抽出された縦線と横線との交差角を認識する。なお、縦線と横線の交差角は、たとえば、カメラ20aの撮影画像から抽出された縦線と横線を、俯瞰画像の座標系における座標値に変換したうえで算出される。
【0050】
直線状態認識部15による縦線と横線の交差角の認識結果は、たとえば、車両制御装置(不図示)に出力される。たとえば、縦線および横線の交差角が略90度である場合には、抽出された縦線および横線が道路標示線または駐車枠線であると想定される。しかしながら、縦線および横線の交差角が略90度ではない場合には、抽出された縦線および横線が道路標示線または駐車枠線ではないと想定される。したがって、車両制御装置は、縦線と横線の交差角の情報に基づいて、抽出された縦線および横線が道路標示線または駐車枠線であるか否かを判定することができる。
【0051】
以上説明した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
画像処理装置10において、第一の直線抽出部12は、俯瞰画像生成部11により生成された俯瞰画像から縦線を抽出する。探索領域設定部13は、第一の直線抽出部12により抽出された縦線に対して直交する探索領域(第一の探索領域)と、上記縦線に対して平行である探索領域(第二の探索領域)とを設定する。第二の直線抽出部14は、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像において、上記第一の探索領域からエッジを抽出し、エッジの抽出結果に基づいて縦線を抽出する。また、第二の直線抽出部14は、カメラ20aにより車両前方が撮影された撮影画像において、上記第二の探索領域からエッジを抽出し、エッジの抽出結果に基づいて横線を抽出する。これにより、画像処理装置10は、処理負荷を抑えながら、カメラ20aの撮影画像から、縦線と横線の両方を抽出することができる。
【0052】
(変形例1)
上述した実施の形態では、4つのカメラ20a〜20dが上記のような各撮影範囲をそれぞれ撮影する例について説明したが、車両に搭載されるカメラの個数および撮影範囲はこれに限定されない。また、各カメラを合わせた撮影範囲は、必ずしも車両の全周囲をカバーしていなくてもよい。車両の周囲を適切な範囲で撮影できれば、任意の個数のカメラを用いて、任意の撮影範囲について撮影画像を取得することができる。
【0053】
(変形例2)
上述した実施の形態では、4つのカメラ20a〜20dによる撮影画像が画像処理装置10に入力される例について説明したが、全てのカメラ20a〜20dの撮影画像が入力されなくてもよい。いずれか1つのカメラの撮影画像が画像処理装置10に入力されるようにしてもよい。この場合、俯瞰画像生成部11は、入力されたカメラの撮影画像のみで俯瞰画像を生成する。
【0054】
(変形例3)
上述した実施の形態では、カメラ20aによる車両前方の撮影画像から、車両の走行面に描かれた直線を抽出する例について説明したが、直線を抽出する撮影画像はこれに限定されない。カメラ20b〜20dによる車両左側方、右側方、後方の撮影画像から、それぞれ、上述した実施の形態と同様にして、直線を抽出するようにしてもよい。
【0055】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。