(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材は、前記第1面と前記第2面のそれぞれに形成された開口部を繋ぐ形態の貫通孔をさらに有し、前記貫通孔の内壁面には接続部材としての導体膜が形成されており、
前記第1導体ピンは、前記第1面に形成された前記開口部から突出する形態で前記貫通孔に固定され、前記第2導体ピンは、前記第2面に形成された前記開口部から突出する形態で前記貫通孔に固定されている請求項1記載の回路基板。
前記第1導体ピンと前記第2導体ピンのうちの一方又は両方は、前記貫通孔の開口端縁に係止することによって前記貫通孔に入り込む長さを制限するストッパーをさらに有している請求項2記載の回路基板。
前記第1導体ピンと前記第2導体ピンのうちの一方又は両方は、前記貫通孔の内部において弾性変形することによる弾性力によって前記貫通孔の内壁面を押圧する弾性変形部をさらに有している請求項2又は請求項3記載の回路基板。
【背景技術】
【0002】
図11は、複数の回路基板を回路基板の厚み方向に積層(スタッキング)する場合の一形態例を表す図である。この例では、複数の回路基板61,62は、少なくとも一部がオーバーラップしている状態で積層されている。互いにオーバーラップしている回路基板61,62の領域には、コネクタ(スタッキングコネクタ)65が設けられている。このコネクタ65は、回路基板61,62を機械的に組み合わせると共に、回路基板61,62にそれぞれ形成されている電気回路63,64を電気的に接続する。
【0003】
図12は、コネクタ65の一構成例(例えば、特許文献1参照)を表すモデル図である。コネクタ65は、雄型部品66と、雌型部品67とを有している。
【0004】
雄型部品66は、ハウジング70と、接続ピン71と、
図13の側面図に示す取付ピン72とを有している。取付ピン72は、ハウジング70から突出している。また、取付ピン72は、導体材料により構成されている。雄型部品66を取り付ける取り付け対象の回路基板61には、取付ピン72に対応するスルーホール(あるいはビアホール)が形成されている。取付ピン72は、そのスルーホール(ビアホール)に圧入(プレスフィット)することによって、スルーホール(ビアホール)に嵌合する構成を有している。このため、取付ピン72は、プレスフィットピンあるいはプレスフィット端子と呼ばれる場合がある。
【0005】
この取付ピン72を回路基板61のスルーホールに圧入にすることによって、雄型部品66を回路基板61に固定することができる。また、取付ピン72を圧入する回路基板61のスルーホールの内壁面には、回路基板61の電気回路63に電気的に接続する導体膜が形成されている。このことから、上記のように、取付ピン72を回路基板61のスルーホールに圧入することにより、取付ピン72は回路基板61の電気回路63に電気的に接続する。
【0006】
接続ピン71は、取付ピン72に一対一に対応して設けられている。この接続ピン71は、導体材料により構成されており、ハウジング70の内部に設けられた接続手段によって、対応している取付ピン72と電気的に接続している。なお、特許文献2に示される構成では、接続ピン71とハウジング70の内部の接続手段と取付ピン72とに相当する部材は、一体化されている。
【0007】
雌型部品67は、
図12および
図13に示されるように、ハウジング74と、取付ピン76とを有している。ハウジング74には、雄型部品66の接続ピン71に一対一に対応する嵌合穴75が形成されている。その嵌合穴75の内部には導体部材が設けられている。嵌合穴75は、接続ピン71が挿入可能な大きさを有し、かつ、挿入した接続ピン71と内部の導体部材とが接触した状態を維持できる構成を備えている。このため、雄型部品66の接続ピン71を雌型部品67の嵌合穴75に挿入することによって、接続ピン71は、嵌合穴75における導体部材と電気的に接続する。
【0008】
取付ピン76はハウジング74から突出している。取付ピン76は、嵌合穴75に一対一に対応している。また、取付ピン76は、導体材料により構成されている。当該取付ピン76は、ハウジング74の内部に設けられた接続部材によって、対応する嵌合穴75の内部の導体部材と電気的に接続している。
【0009】
この取付ピン76は、取付ピン72と同様に、プレスフィットピンあるいはプレスフィット端子とも呼ばれるピンである。つまり、雌型部品67を取り付ける取り付け対象の回路基板62には、取付ピン76に一対一に対応するスルーホールが形成されている。このスルーホールに取付ピン76を圧入することにより、雌型部品67は回路基板62に固定することができる。
【0010】
また、取付ピン76を圧入する回路基板62のスルーホールの内壁面には、回路基板62の電気回路64に電気的に接続する導体膜が形成されている。このため、取付ピン76をそのスルーホールに圧入することによって、取付ピン76は、回路基板62の電気回路64に電気的に接続する。つまり、嵌合穴75の内部の導体部材は、取付ピン76を介して回路基板62の電気回路64に電気的に接続する。
【0011】
雄型部品66と雌型部品67は上記のように構成されている。このため、回路基板61に固定した雄型部品66の接続ピン71と、回路基板62に固定した雌型部品67の嵌合穴75とを嵌合することによって、回路基板61,62を組み合わせると共に、電気回路63,64を電気的に接続できる。換言すれば、回路基板61,62をスタッキングできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、回路基板61の電気回路63は正常に動作するが、回路基板62の電気回路64に不具合があるというように、回路基板61,62のうちの一方側の回路基板に不具合が発生する場合がある。このような場合に、不具合がある回路基板を正常な回路基板から取り外し、当該正常な回路基板に、前記不具合がある回路基板に代わる別の正常な回路基板を取り付けるという修理手法が用いられる場合がある。このことを考慮し、雄型部品66の接続ピン71と、雌型部品67の嵌合穴75とは、嵌合と嵌合解消とが自在となるように設計されている。この設計の際に、接続ピン71と、嵌合穴75の内部の導体部材との電気的な接続(より具体的に述べれば、高周波信号を良好に伝達できる接続)を実現することを考慮し、接続ピン71と嵌合穴75との接続強度が設計される。
【0014】
また、接続ピン71と嵌合穴75との嵌合を解消する際に、雄型部品66と雌型部品67のそれぞれには、部品66,67を回路基板61,62から抜く方向の力が作用する。この力は、上記した接続ピン71と嵌合穴75との接続強度に応じた大きさを持つ力である。このような力が作用しても部品66,67が回路基板61,62から抜けないようにするために、雄型部品66と雌型部品67の取付ピン72,76と回路基板61,62との接続強度等が設計される。
【0015】
上記のような設計事項を考慮して、雄型部品66および雌型部品67におけるハウジング70,74を設計すると、ピン71,72,76を良好に支持するためには、それらハウジング70,74の薄型化は難しいという問題がある。これにより、雄型部品66と雌型部品67を利用して積層(スタッキング)する回路基板61,62間の間隔を狭くすることが難しいという問題が生じる。
【0016】
本発明はそのような課題(問題)を解決するためになされた。つまり、本発明の主な目的は、接続し合う回路基板間の間隔(間隙)をより狭くすることを容易にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の接続部品は、
接続対象の物体に圧入することにより前記接続対象の物体に接続する第1導体ピンと、
前記第1導体ピンが接続する前記接続対象の物体とは異なる別の接続対象の物体に圧入することにより前記別の接続対象の物体に接続する第2導体ピンと、
前記第1導体ピンと前記第2導体ピンを支持する支持部材と
を有し、
前記支持部材は、前記第1導体ピンが突出している第1面と、前記第2導体ピンが突出している第2面と、前記第1導体ピンと前記第2導体ピンとを電気的に接続する接続部材とを備えている。
【0018】
本発明の回路基板は、
上記本発明の接続部品、あるいは、上記本発明の接続部品と当該接続部品における第1導体ピンと第2導体ピンのうちの一方を省略した接続部品とを組み合わせた接続部品を利用して別の回路基板が電気的かつ機械的に接続されている。
【0019】
本発明の回路基板の接続方法は、
上記本発明の接続部品、あるいは、上記本発明の接続部品と当該接続部品における第1導体ピンと第2導体ピンのうちの一方を省略した接続部品とを組み合わせた接続部品における第1導体ピンを回路基板に圧入し、前記接続部品における第2導体ピンを別の回路基板に圧入することによって、前記回路基板同士を電気的かつ機械的に接続する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接続する回路基板間の間隔(間隙)をより狭くすることが容易にできる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の接続部品を簡略化して表す図である。この第1実施形態の接続部品1は、第1導体ピン2と、第2導体ピン3と、支持部材4とを有している。第1導体ピン2は、接続対象の物体6に圧入することによって物体6に接続するピンである。第2導体ピン3は、前記接続対象の物体6とは異なる別の接続対象の物体7に圧入することによって物体7に接続するピンである。
【0024】
支持部材4は、第1導体ピン2と第2導体ピン3を支持する部材である。この支持部材4は、第1導体ピン2が突出している第1面9と、第2導体ピン3が突出している第2面10と、接続部材11とを有している。接続部材11は、第1導体ピン2と第2導体ピン3とを電気的に接続する部材である。
【0025】
上記のような構成を有する第1実施形態の接続部品1は、第1導体ピン2と第2導体ピン3がそれぞれ圧入により、対応する接続対象の物体6,7と接続することによって、物体6,7を電気的かつ機械的に接続する。
【0026】
この第1実施形態の接続部品1は、支持部材4に第1導体ピン2および第2導体ピン3が突出している簡単な構成の部品である。これにより、この第1実施形態の接続部品1の支持部材4は、例えば
図13に示されるような雄型部品66と雌型部品67とを有するコネクタ65のハウジング70,74の合計の厚みよりも薄くできる。このために、接続部品1は、コネクタ65よりも小型化(薄型化)を図ることができる。
【0027】
これにより、少なくとも一部がオーバーラップしている物体6,7を、オーバーラップしている部分において第1実施形態の接続部品1を利用して接続した場合に、物体6,7の間隔をより狭くすることが容易となる。つまり、接続対象の物体6,7を積層した状態で接続(スタッキング)する場合に、それら物体6,7の間隔をより狭くすることが容易となる。これにより、接続部品1は、接続している物体6,7を備える装置の小型化に寄与することができる。また、物体6,7を備える装置において、接続部品1によって、装置を大型化することなく、接続対象の物体6,7の間隔を狭くできた分のスペースが生じる。これにより、そのスペースによって嵩高な部品を利用することができたり、部品を追加する等の展開を図ることが考えられるから、接続部品1は、物体6,7を備える装置の高機能化に寄与することも可能となる。
【0028】
図2は、接続部品1を有する回路基板の一形態例を表す図である。この回路基板15は、接続部品1を利用して別の回路基板16と電気的かつ機械的に接続されている構成を有している。
【0029】
この回路基板15は、例えば
図13に示されるような雄型部品66と雌型部品67とを有するコネクタ65を利用して回路基板16と接続する場合に比べれば、接続部品1を利用することによって、回路基板16との間の間隔を狭くすることができる。これにより、回路基板15は、回路基板15,16を備える装置の小型化に寄与することができる。また、回路基板15は、回路基板15,16を備える装置を大型化することなく、当該装置の高機能化に寄与することも可能になる。
【0030】
(第2実施形態)
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
【0031】
図3は、本発明に係る第2実施形態の接続部品を模式的に表す側面図である。この接続部品20は、第1導体ピン21と、第2導体ピン22と、支持部材23とを有している。
【0032】
支持部材23は、例えば樹脂等の絶縁材料により構成される充実体である。この支持部材23は、互いに対向する第1面である平面24と、第2面である平面25とを有する形状(例えば直方体状)を有している。
図4は支持部材23を導体ピン21(22)と共に表す斜視図である。
図3および
図4に示されるように、この第2実施形態では、支持部材23の平面24,25には、複数の開口部28が形成されている。
図4の例では、それら開口部28は、マトリックス状に配列配置している。
【0033】
支持部材23の内部には、平面24の開口部28と、当該開口部28に一対一に対応する平面25の開口部28とを繋ぐ形態の貫通孔30が形成されている。この貫通孔30の内壁面には導体膜31が形成されている。つまり、貫通孔30はスルーホールの態様を有している。
【0034】
この第2実施形態では、貫通孔30には、平面(第1面)24の開口部28から第1導体ピン21が圧入することによって固定する。また、貫通孔30には、平面(第2面)25の開口部28から第2導体ピン22が圧入することによって固定する。このように貫通孔30に固定された第1導体ピン21と第2導体ピン22は、共通の導体膜31に当接することによって、導体膜31を介して電気的に接続する。つまり、導体膜31は、第1導体ピン21と第2導体ピン22を電気的に接続する接続部材としての機能を有している。
【0035】
この第2実施形態では、第1導体ピン21と第2導体ピン22は、同じ形状および同じ大きさを有している。つまり、第1導体ピン21と第2導体ピン22は、同じ部品である。このため、以下、第1導体ピン21および前記第2導体ピン22をまとめて導体ピン21,22と記すこともある。上記のように、第1導体ピン21と第2導体ピン22が同じ部品であることにより、接続部品20を構成する部品点数を抑制することができる。
【0036】
導体ピン21,22は、前述したように支持部材23の貫通孔30に圧入し、かつ、少なくともその一部は支持部材23の平面24,25から突出する形態でもって支持部材23に固定される。
【0037】
導体ピン21,22は、
図4に示すように、嵌合部33と、突出部34と、張り出し部36とを有している。嵌合部33は、支持部材23の貫通孔30に嵌合(圧入)する部分である。突出部34は、支持部材23の平面24,25から突出する部分である。この第2実施形態では、嵌合部33と突出部34は、同様な形状(プレスフィットタイプのピン形状)を有している。
【0038】
つまり、嵌合部33と突出部34は、それぞれ、弾性変形部35を有している。弾性変形部35には、スリット37が、導体ピン21,22の圧入方向(導体ピン21,22が貫通孔30に圧入する方向)に伸びる態様でもって形成されている。このスリット37によって、弾性変形部35は、スリット37が狭くなる方向に弾性変形可能となっている。この弾性変形部35は、その幅が貫通孔30の直径よりも僅かに大きい大きさを有している。このため、弾性変形部35は、貫通孔30に圧入した状態では、スリット37が狭くなる方向に弾性変形し、これにより、貫通孔30の内壁面を弾性力によって押圧する構成を備えている。
【0039】
張り出し部36は、貫通孔30に圧入する方向の力が導体ピン21,22に作用した場合に、貫通孔30の開口端縁に係止することによって、導体ピン21,22が貫通孔30に入り込む長さを規制するストッパー機能を備えている。
【0040】
この第2実施形態の接続部品20は上記のように構成されている。この第2実施形態の接続部品20は、
図6に示されるように、接続対象の物体である回路基板40,41間を電気的かつ機械的に接続することができる。つまり、回路基板40,41には、それぞれ、
図5の斜視図に示されるように、接続用のスルーホール43,44が形成されている。これらスルーホール43,44は、回路基板40,41に形成されている電気回路に電気的に接続している。
図6の例では、回路基板40のスルーホール43に接続部品20の第1導体ピン21が圧入している。また、回路基板41のスルーホール44に接続部品20の第2導体ピン22が圧入している。これにより、回路基板40,41は、少なくとも一部をオーバーラップした状態で接続部品20によって電気的かつ機械的に接続している。なお、前述したように、導体ピン21,22の突出部34は、嵌合部33と同様な形状、つまり、プレスフィットタイプのピン形状であることから、回路基板40,41に圧入によって強固に固定される。
【0041】
この第2実施形態の接続部品20は、支持部材23に導体ピン21,22が突出しているという簡単な構成の一部品によって、回路基板40,41を接続する(スタッキングする)。このため、接続部品20は、雄型部品と雌型部品を有するコネクタによって回路基板間を接続する場合に比べて、回路基板間の間隔を狭くすることができる。これにより、第1実施形態と同様に、接続部品20は、例えば、回路基板40,41を備える装置の小型化や、大型化することなく装置の高機能化を図ることが可能になるという効果を得ることができる。
【0042】
ところで、
図7(a)、(b)、(c)は、それぞれ、回路基板の平面図である。
図7(b)に示されるような部品46,47が実装されている回路基板50に、新たに部品48を実装する要求が生じたとする。この場合、新規の部品48を実装するスペースが回路基板50に無い場合には、例えば、回路基板50の形状を、
図7(c)に示されるような形状、つまり、部品48を搭載する領域を設けるために拡張した形状に設計変更することが考えられる。しかしながら、回路基板50に形成されている電気回路が複雑であり、回路基板(積層基板)50の積層数が多い場合には、回路基板50を拡張すると、回路基板50の価格が上昇する。
【0043】
これに対し、
図7(a)に示されるように、部品48を実装した程度の簡単な回路を形成した回路基板51を回路基板50とは別に作製し、その基板51を回路基板50に接続することによって、回路基板50の電気回路に部品48を組み込むことが考えられる。このような構成(多段構成の回路基板50)は、
図7(c)に示されるような拡張した回路基板50を利用する場合よりも価格上昇を抑制することができる。しかし、この場合には、回路基板50に回路基板51を積層することから、回路基板50が嵩高となる。このために、回路基板50を配置すべきスペースに、そのような多段構成の回路基板50を配置できないという問題が発生する虞がある。
【0044】
この第2実施形態の接続部品20は、雄型部品と雌型部品を有するコネクタを利用する場合に比べれば、回路基板50に回路基板51を積層する場合に、回路基板50,51間の間隔を狭くすることが可能である。このことから、接続部品20は、回路基板50を配置するスペースの大きさが限られている場合においても、
図7(a)に示されるような多段構成の回路基板50の利用を実現可能とする。つまり、接続部品20は、回路基板50の電気回路において、価格上昇を抑制した設計変更を容易にする。さらに換言すれば、接続部品20は、回路基板50の電気回路の設計変更に対する制限を緩和することができる。
【0045】
さらに、この第2実施形態の接続部品20は、導体ピン21,22を、圧入によって、接続対象の物体や支持部材23に接続(固定)する構成である。つまり、接続部品20においては、導体ピン21,22と、接続対象の物体や支持部材23との嵌合状態を解消することを想定していないことから、接続部品20は、導体ピン21,22を、接続対象の物体や支持部材23に強固に固定する構成を備えている。これにより、接続部品20は、導体ピン21,22と接続対象の物体との電気的接続、および、導体ピン21,22と支持部材23との電気的接続を良好に行うことができる。つまり、接続部品20は、当該接続部品20による回路基板の電気的な接続部分において、高周波信号におけるノイズ比(SN(Signal-Noise)比)の悪化を抑制でき、これにより、高周波信号の品質低下を防止できる。
【0046】
さらに、この第2実施形態では、導体ピン21,22は、樹脂成型技術によって、支持部材23に一体成型するのでなく、支持部材23に圧入によって固定する。これに対し、例えば、仮に、支持部材23に導体ピン21,22を樹脂成型技術によって一体化(固定)するとした場合には、導体ピン21,22の配置位置などを変更しようとすると、支持部材23を作製する金型の設計変更が必要となる。金型の設計変更は、多大な手間と多額の費用を要するから、導体ピン21,22の配置位置などの設計変更は容易ではない。
【0047】
これに対し、この第2実施形態の接続部品20は、前述したように、支持部材23に導体ピン21,22を圧入によって固定する構成である。このことから、支持部材23において、導体ピン21,22を設置することが想定される位置に貫通孔30を設けておけば、支持部材23を設計変更することなく、導体ピン21,22の設置位置や設置数を変更することが容易である。具体例を挙げると、接続部品20は、支持部材23を設計変更することなく、例えば
図4に示す貫通孔30の全てに導体ピン21,22を固定する構成としたり、左端一列の貫通孔30には導体ピン21,22を固定しない構成とするというような変更が容易にできる。
【0048】
さらに、この第2実施形態では、導体ピン21,22は張り出し部36を有している。この構成により、導体ピン21,22を接続対象の物体に圧入する際に、その圧入の反力によって導体ピン21,22が支持部材23の貫通孔30に入り込んでしまう長さを制限することができる。これにより、その圧入の際に、導体ピン21,22が、接続対象の物体ではなく、貫通孔30に押し込まれてしまうことを防止できることから、導体ピン21,22を接続対象の物体に、より確実に圧入することができる。このため、接続部品20は、接続対象の物体との接続に対する信頼性を高めることができる。また、上記のように、接続部品20は、導体ピン21,22と接続対象の物体とをより確実に接続できることから、接続保証のための予備の導体ピン21,22を設けずに済む効果を得ることができる。
【0049】
なお、支持部材23は次のような構成を備える場合がある。すなわち、接続対象の物体間に高周波信号の差動信号が通電する場合には、支持部材23は、差動信号をシールドする構成を備える。つまり、
図8に示されるように、支持部材23には、接地されるグランド対応ピンとして機能する導体ピン21,22が設けられる。また、支持部材23には、差動信号に対応する差動信号対応ピンとして機能する導体ピン21,22が設けられる。さらに、支持部材23には、グランド対応ピンとしての導体ピン21,22と電気的に接続することによって、それら差動信号対応ピンしての導体ピン21,22をシールドするシールド部54が設けられる。
【0050】
(第3実施形態)
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。なお、この第3実施形態の説明において、第2実施形態の接続部品20を構成する構成部分と同一の構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0051】
図9(a)には、第3実施形態における接続部品56が示されている。この第3実施形態における接続部品56は、第2実施形態における接続部品20の第2導体ピン22が省略されている以外は接続部品20と同様な構成を備えている。
【0052】
この接続部品56においては、第2導体ピン22が省略されていることから、支持部材23における貫通孔30の両端のうちの一方の開口部は開放されている状態である。この第3実施形態における接続部品56は、
図9(b)に示されるように、その貫通孔30の開放されている開口部から、接続部品20の導体ピン21,22の一方を圧入することによって、接続部品20と接続できる。これにより、接続部品56は、接続部品20と共に、一つの接続部品57としての態様を採る。
【0053】
この第3実施形態における接続部品56は、上記のように、接続部品20と共に、一つの接続部品57となることによって、次のような効果を得ることができる。すなわち、
図10の側面図に示されるように、接続し合う(スタッキングする)回路基板40,41のオーバーラップしている領域に、接続部品20の支持部材23の厚み(高さ)よりも背高な部品58が配置されているとする。このような場合には、回路基板40,41間の間隔を、その背高な部品58の高さよりも狭くできないことから、回路基板40,41を接続部品20だけで接続することができない。このような場合に、
図9(b)に示されるように、接続部品20に接続部品56を組み合わせることによって、回路基板40,41間の間隔に合った接続部品57を得ることができることから、接続部品57は、回路基板40,41間の接続を可能にする。
【0054】
(その他の実施形態)
なお、本発明は第1〜第3の実施形態に示す態様に限定されることなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第3実施形態では、接続部品20に接続部品56を接続することによって、接続部品57を構成している。これに対し、例えば、回路基板40,41間の間隔が
図9(b)に示される間隔よりも広い場合には、例えば、
図9(b)に示される接続部品56の上方側に別の接続部品56をさらに接続してもよい。これにより、接続部品20に複数の接続部品56を接続することにより構成される接続部品は、回路基板40,41間のより広い間隔に対応できる。さらに、
図9(c)に示されるように、接続部品20の第1導体ピン21と接続部品56とを接続し、かつ、接続部品20の第2導体ピン22と別の接続部品56とを接続することによって、一つの接続部品60が構成されてもよい。さらにまた、接続部品20に3つ以上の接続部品56を接続することによって接続部品を構成してもよい。
【0055】
さらに、そのような接続部品20,56を備える接続部品は、接続部品20に、支持部材23の厚みが互いに異なる複数種の接続部品56を接続している構成としてもよい。つまり、支持部材23の厚みが異なる複数種の接続部品56が用意されており、接続部品20,56を備える接続部品は、接続対象の物体間の間隔に応じて選択された複数種の接続部品56を接続部品20に接続することによって、構成されてもよい。この接続部品は、接続対象の物体間の間隔に、より適切な厚みを持つことができる。
【0056】
さらに、第2と第3の実施形態では、導体ピン21,22は貫通孔30の導体膜31によって電気的に接続している。これに対し、導体ピン21,22を電気的に接続する接続部材は、導体膜31以外の部材であってもよい。