特許第6022918号(P6022918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022918
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】動物用トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20161027BHJP
   A01K 1/01 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   A01K23/00 C
   A01K1/01 Z
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-269480(P2012-269480)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-113091(P2014-113091A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148977
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】畑中 忍
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−002052(JP,U)
【文献】 特開2012−040254(JP,A)
【文献】 実開平02−029262(JP,U)
【文献】 特開2008−118897(JP,A)
【文献】 実開平01−072067(JP,U)
【文献】 実開昭59−052859(JP,U)
【文献】 実公昭47−026386(JP,Y1)
【文献】 米国特許第04517920(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01;1/015;23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び側面を有しており、排泄物処理材が敷設される処理部と、
前記処理部と区画されて設けられ、底面及び側面を有しており、芳香剤が収容される香り部と、
底面及び側面を有しており、前記処理部及び前記香り部を収容する本体部と、を備え、
前記香り部は、前記処理部の前記側面と前記本体部の前記側面との間に配置されることを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレにおいて、
前記処理部の前記側面は、前記香り部に収容される前記芳香剤からの芳香を通過させる内部通気孔を有する動物用トイレ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部の前記側面は、前記香り部に収容される前記芳香剤からの芳香を通過させる外部通気孔を有する動物用トイレ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
前記処理部及び前記香り部は、前記本体部から引出可能に設けられている動物用トイレ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の動物用トイレにおいて、
尿を通過させる通水孔を有する仕切板を備え、
前記処理部は、前記仕切板の上側に位置する第1の処理部と、前記仕切板の下側に位置する第2の処理部とを有する動物用トイレ。
【請求項6】
請求項5に記載の動物用トイレにおいて、
前記香り部は、前記第1の処理部と連通している動物用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載の動物用トイレは、上部空間と下部空間とに区画されている。上部空間には粒状物が敷設され、下部空間には吸液シートが敷設されている。上部空間の底面には、複数の開口が形成されている。上部空間の粒状物に吸収されなかった尿は、上記開口を通じて、下部空間に落下する。下部空間に落下した尿は、吸液シートに吸収される。
【特許文献1】特開2009−11181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この動物用トイレにおいては、動物が排泄した後の粒状物や吸液シートから悪臭が発生し、その悪臭がトイレの外部空間に放出されるという問題がある。動物用トイレは屋内に設置されるのが通常であるため、このような悪臭の放出は、ユーザ(動物の飼い主等)に対して不快感を与えるものである。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが快適に使用することのできる動物用トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による動物用トイレは、排泄物処理材が敷設される処理部と、上記処理部と区画されて設けられ、芳香剤が収容される香り部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この動物用トイレにおいては、芳香剤が収容される香り部が設けられている。この香り部に芳香剤を配設しておくことにより、トイレの外部空間に芳香を漂わせることができる。これにより、動物の排泄後に発生した悪臭がトイレの外部空間に放出されてしまった場合であっても、ユーザの不快感を緩和することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが快適に使用することのできる動物用トイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の動物用トイレのII−II線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[構成]
【0010】
図1は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。動物用トイレ1は、猫や犬等の動物が排泄時に用いるトイレであって、排泄物処理材が敷設される処理部10,20、及び芳香剤が収容される香り部30を備えている。
【0011】
図2は、処理部10,20にそれぞれ粒状の排泄物処理材50,60が敷設されるとともに、香り部30に芳香剤70が収容された状態を示している。また、同図は、処理部10,20及び香り部30が後述する本体部40に収容された状態を示している。
【0012】
処理部10(第1の処理部)は、仕切板12を有している。仕切板12は、処理部10の底面を構成している。仕切板12は、尿を通過させる通水孔12aを有する。本実施形態において仕切板12は、簀子状をしている。すなわち、仕切板12には、格子状に並んだ多数の通水孔12aが存在する。各通水孔12aは、平面視で円形をしている。各通水孔12aは、排泄物処理材50を通過させない程度の大きさをしている。
【0013】
処理部10は、この底面(仕切板12)に加えて、側面14を有する。処理部10は、底面と4つの側面14とからなる略直方体の形状をしている。側面14の1つには、取手16が取り付けられている。
【0014】
一対の側面14(取手16が取り付けられた面と交差する面)は、内部通気孔14aを有する。内部通気孔14aは、香り部30に収容される芳香剤70からの芳香を通過させる。本実施形態において側面14には、格子状に並んだ多数の内部通気孔14aが形成されている。各内部通気孔14aは、平面視で円形をしている。各内部通気孔14aは、排泄物処理材50及び芳香剤70の何れをも通過させない程度の大きさをしている。
【0015】
処理部20(第2の処理部)は、仕切板12の下側に位置しており、その上側に位置する処理部10と共に動物用トイレ1における処理部を構成している。処理部20は、通水孔12aを通過した尿を受ける。この処理部20は、底面22と4つの側面24とからなる直方体の形状をしている。側面24の1つには、取手26が取り付けられている。
【0016】
香り部30は、底面32、4つの側面34、及び上面38からなる直方体の形状をしている。本実施形態においては、2つの香り部30が設けられている。これらの香り部30は、処理部10の両側に設置される。各香り部30において、側面34の1つには、取手36が取り付けられている。
【0017】
一対の側面34(取手36が取り付けられた面と交差する面)は、通気孔34aを有する。通気孔34aは、香り部30に収容される芳香剤70からの芳香を通過させる。処理部10側の側面34においては、内部通気孔14aに対応する位置に、通気孔34aが形成されている。各通気孔34aは、排泄物処理材50及び芳香剤70の何れをも通過させない程度の大きさをしている。
【0018】
上面38は、開閉可能に設けられており、香り部30の蓋として機能する。すなわち、上面38を開けることにより、香り部30内に芳香剤70を出し入れすることができる。
【0019】
処理部10,20及び香り部30は、本体部40に収容される。本体部40は、底面42及び4つの側面44を有する。側面44の1つには、開口部44a,44bが形成されている。これらの開口部44a,44bは、本体部40の高さ方向に沿って配列されている。
【0020】
開口部44aは、開口部44bよりも高い位置に形成されている。この開口部44aを通じて、処理部10及び香り部30を本体部40に出し入れすることが可能である。同様に、開口部44bを通じて、処理部20を本体部40に出し入れすることが可能である。すなわち、処理部10,20及び香り部30は、本体部40から引出可能に設けられている。
【0021】
一対の側面44(開口部44a,44bが形成された面と交差する面)は、外部通気孔44cを有する。外部通気孔44cは、香り部30に収容される芳香剤70からの芳香を通過させる。上述の通気孔34aは、上記側面44側の側面34において、外部通気孔44cに対応する位置に形成されている。各外部通気孔44cは、排泄物処理材50及び芳香剤70の何れをも通過させない程度の大きさをしている。外部通気孔44cが形成された、これらの側面44は、香り部30と動物用トイレ1の外部とを隔てる隔離面である。
【0022】
図2に示すように、本体部40の一対の側面44(開口部44a,44bが形成された面と交差する面)の内側には、処理部10,20及び香り部30の挿入方向に沿って延在する支持部45が形成されている。支持部45は、開口部44aの底辺と略同じ高さに形成されており、本体部40内に収容された処理部10及び香り部30を支持する。
【0023】
支持部45の上面には、処理部10,20及び香り部30の挿入方向に沿って延在する突条45aが形成されている。この突条45aによって、処理部10及び香り部30の位置決めがなされる。具体的には、突条45aと側面44との間に香り部30が配置されるとともに、2つの突条45aの間に処理部10が配置される。
【0024】
また、処理部10の一対の側面14(取手16が取り付けられた面と交差する面)における底面付近は、突条45aと嵌合するように、窪んだ形状をしている。これにより、処理部10と香り部30とは、本体部40内において互いに略隙間なく配置されている。
【0025】
香り部30は、処理部10,20と区画されて設けられている。ただし、上述のとおり側面14及び側面34にはそれぞれ内部通気孔14a及び通気孔34aが形成されており、これらの内部通気孔14a及び通気孔34aを通じて、香り部30は処理部10と連通している。同様に、香り部30は、外部通気孔44c及び通気孔34aを通じて、動物用トイレ1の外部と連通している。
【0026】
処理部10には、通水孔12aを覆うように排泄物処理材50が敷設されている。排泄物処理材50は、透水性を有しており、水分を殆ど吸収しない。処理部20には、排泄物処理材60が敷設されている。排泄物処理材60は、吸水性を有する。これらの排泄物処理材50,60は、何れも抗菌作用及び消臭作用を有することが好ましい。
【0027】
排泄物処理材60は、ポリマー等の接着性材料を含有している。本実施形態において接着性材料の含有率は、排泄物処理材60の1重量%以上5重量%以下(好ましくは3重量%以上5重量%以下)である。これにより、排泄物処理材60は、弱いながらも固まり性を有する。すなわち、吸水した複数の排泄物処理材60は、接着性材料の作用により互いに付着し、塊状化する。
【0028】
排泄物処理材60は、複層構造であってもよい。具体的には、排泄物処理材60は、粒状芯部と、それを覆う被覆層部とを備えた構造であってもよい。この場合、接着性材料は、被覆層部に含有されることが好ましい。
[作用効果]
【0029】
動物用トイレ1においては、芳香剤70が収容される香り部30が設けられている。この香り部30に芳香剤70を配設しておくことにより、動物用トイレ1の外部空間に芳香を漂わせることができる。これにより、動物の排泄後に発生した悪臭が動物用トイレ1の外部空間に放出されてしまった場合であっても、悪臭が芳香によってマスキングされるため、ユーザの不快感を緩和することができる。したがって、本実施形態においては、ユーザが快適に使用することのできる動物用トイレ1が実現されている。
【0030】
処理部10の側面14は、内部通気孔14aを有している。これにより、香り部30内の芳香剤70からの芳香が、処理部10に放出され易くなる。このため、処理部10内で悪臭が発生した場合や、処理部20内で発生した悪臭が通水孔12aを通じて処理部10に放出された場合に、かかる悪臭を効率良くマスキングすることができる。
【0031】
本体部40の側面44は、外部通気孔44cを有している。これにより、香り部30内の芳香剤70からの芳香が、動物用トイレ1の外部空間に放出され易くなる。このため、芳香がユーザに届き易くなり、ユーザの不快感がより効果的に緩和される。
【0032】
処理部10,20が、本体部40から引出可能に設けられている。このため、排泄物処理材50,60の交換を容易に行うことができるとともに、処理部10,20の清掃も容易に行うことができる。同様に、香り部30も、本体部40から引出可能に設けられている。このため、芳香剤70の補充を容易に行うことができるとともに、香り部30の清掃も容易に行うことができる。
【0033】
動物用トイレ1における処理部は、処理部10と処理部20とからなる二段構造を有している。動物の排尿は、仕切板12の通水孔12aを通じて、処理部10から処理部20に落下する。ここで、尿が落下した処理部20内から悪臭が発生した場合であっても、仕切板12により、処理部20の外部への悪臭の放出が抑制される。
【0034】
香り部30は、処理部10及び処理部20のうち処理部10と連通している。処理部10は、動物用トイレ1において最上段に位置し、動物用トイレ1の外部空間に開放されている。それゆえ、香り部30が処理部20と連通している場合に比して、芳香剤70からの芳香が動物用トイレ1の外部空間に放出され易くなる。
【0035】
香り部30には、蓋として機能する上面38が設けられている。これにより、動物が香り部30内の芳香剤70を誤って食べてしまうのを防ぐことができる。
【0036】
処理部10に、通水孔12aを覆うように排泄物処理材50が敷設されている。動物が排泄した尿は、排泄物処理材50を透過し、通水孔12aを通じて処理部20に落下する。このように排泄物処理材50が敷設されていることにより、通水孔12aを通じて処理部20から処理部10に悪臭が漏出するのを遮断することができる。
【0037】
処理部20に、排泄物処理材60が敷設されている。通水孔12aを通じて処理部20に落下した尿は、この排泄物処理材60により吸収される。これにより、処理部20内に尿が溜まりにくくなるため、処理部20内からの悪臭の発生が抑制される。
【0038】
排泄物処理材60が抗菌作用及び消臭作用を有する場合、尿を吸収した排泄物処理材60からの悪臭の発生を抑制することができる。排泄物処理材50が抗菌作用及び消臭作用を有する場合、通水孔12aを通じて処理部20から処理部10へ悪臭が漏出するのをより効果的に防ぐことができる。
【0039】
排泄物処理材60が接着性材料を含有していることにより、尿を吸収した排泄物処理材60が塊状化する。このため、処理部20内に敷設された多数の排泄物処理材60の中から、使用済みのものだけを容易に取り除くことができる。さらに、排泄物処理材60における接着性材料の含有量を5重量%以下としている。このように塊状化機能が得られる範囲内で接着性材料の含有量をできるだけ少なくすることにより、比較的高価な接着性材料(ポリマー等)の使用量を減らすことができ、製造コストの低減につながる。
[他の実施形態]
【0040】
本発明による動物用トイレは、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、二段構造の上段にのみ香り部30が設けられた例を示した。しかし、香り部30は、下段にのみ設けられてもよいし、上段及び下段の双方に設けられてもよい。
【0041】
上記実施形態においては、香り部30の両側面34に通気孔34aが設けられた例を示した。しかし、通気孔34aは、1つの側面34にのみ設けられてもよい。また、芳香剤70からの芳香が香り部30の外部に放出される構造となっている限り、通気孔34aを設けることは必須ではない。
【0042】
上記実施形態においては、粒状の排泄物処理材50,60を例示した。しかし、処理部10,20に敷設される排泄物処理材は、シート状であってもよい。
【0043】
上記実施形態においては、処理部が、処理部10と処理部20とからなる二段構造である例を示した。しかし、処理部は、一段構造であってもよいし、三段以上の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 動物用トイレ
10 処理部
12 仕切板
12a 通水孔
14 側面
14a 内部通気孔
16 取手
20 処理部
22 底面
24 側面
26 取手
30 香り部
32 底面
34 側面
34a 通気孔
36 取手
38 上面
40 本体部
42 底面
44 側面
44a 開口部
44b 開口部
44c 外部通気孔
45 支持部
45a 突条
50 排泄物処理材
60 排泄物処理材
70 芳香剤
図1
図2