(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6022960
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】作業指示生成システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20161027BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20161027BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-18661(P2013-18661)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-149730(P2014-149730A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】戸▲崎▼ 信幸
(72)【発明者】
【氏名】菅原 禎生
【審査官】
藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−164213(JP,A)
【文献】
特開2000−090162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B23P 19/00 −21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の入出庫日時を含む入出庫情報を管理する部品入庫管理端末と、作業指示を生成する作業指示計画生成端末と、作業指示情報を表示する作業指示表示端末と、作業の進捗状況に応じて作業指示の順序を再計算する作業指示順序再計算装置をネットワークで接続し、
作業の進捗状況に応じて作業指示を変更する前記作業指示順序再計算装置は、
複数の部品からなる製品の製造工程において、前記製造工程のそれぞれにおける前記部品を使用する作業の進捗状況を作業進捗情報として記憶する作業進捗情報記憶部と、
作業指示情報として製品の製造工程の作業指示順序の情報と、前記製造工程のそれぞれにおいて使用する部品と使用する時刻の情報を含む作業情報を記憶した作業情報記憶部と、
前記部品入庫管理端末が管理する製品に係る部品の前記入出庫情報、及び前記作業情報から前記作業進捗情報を作成し、前記部品の入出庫情報の変更及び前記作業の進捗状況に応じて前記作業進捗情報を更新する作業進捗情報取得手段、及び
前記作業進捗情報と、前記作業情報とに基づいて前記作業指示情報の作業指示順序を再計算する作業指示順序再計算手段
を有することを特徴とする作業指示生成システム。
【請求項2】
前記作業進捗情報取得手段は、
前記作業情報に含まれる使用する部品と使用する時刻についての情報と、前記部品の入出庫情報に含まれる入出庫日時とを比較して、前記作業進捗情報を作成することを特徴とする請求項1記載の作業指示生成システム。
【請求項3】
前記作業進捗情報取得手段は、さらに、
前記部品の入出庫情報に変更があった場合は、前記作業進捗情報の入出庫情報欄を更新し、
前記作業指示表示端末からの前記作業進捗情報に対する入力があった場合は、前記入力に基づいて、前記作業進捗情報の進捗データを更新することを特徴とする請求項2記載の作業指示生成システム。
【請求項4】
前記作業指示順序再計算手段は、
前記作業情報から取得した作業指示順番と、前記作業進捗情報から取得した作業順番とが一致しているかどうかを判定し、
前記作業順番が不一致の場合、あるいは、前記製造工程の進捗に問題が発生した場合、作業指示の順序計算を行って、作業指示を出力することを特徴とする請求項1記載の作業指示生成システム。
【請求項5】
前記作業進捗情報は、作業の進捗状況として、作業の未着手状態を含む進捗データと、作業指示対象の情報を含んでおり、
前記作業指示順序再計算手段は、前記作業指示の順序計算の際に、
前記作業進捗情報の進捗データが作業未着手状態である少なくとも1つの作業工程の項目について、
作業未着手状態の作業工程における前記製品を構成する部品の供給が不可の場合は、当該部品についての前記作業指示対象の情報を作業指示対象外に設定し、
かつ前記作業指示対象外と設定されている部品の関連部品についても作業指示対象外に設定する処理を繰り返し、
前記作業指示対象の情報が作業指示対象外と設定されている項目を前記作業進捗情報から抽出して、元の作業指示順番の関係を維持したまま、前記作業指示対象の情報が作業指示対象となる部品の作業順番の末尾に挿入することを特徴とする請求項4記載の作業指示生成システム。
【請求項6】
部品の入出庫日時を含む入出庫情報を管理する部品入庫管理端末と、作業指示を生成する作業指示計画生成端末と、作業指示情報を表示する作業指示表示端末と、作業の進捗状況に応じて作業指示の順序を再計算する作業指示順序再計算装置をネットワークで接続し、
作業の進捗状況に応じて作業指示を変更する前記作業指示順序再計算装置によって実行される作業指示生成方法は、
複数の部品からなる製品の製造工程において、前記製造工程のそれぞれの進捗状況を記憶した作業進捗情報を記憶し、
複数の部品からなる製品の製造工程において、前記製造工程のそれぞれにおける前記部品を使用する作業の進捗状況を作業進捗情報として記憶し、
作業指示情報として製品の製造工程の作業指示順序の情報と、前記製造工程のそれぞれにおいて使用する部品と使用する時刻の情報を含む作業情報を記憶し、
前記部品入庫管理端末が管理する製品に係る部品の前記入出庫情報、及び前記作業情報から前記作業進捗情報を作成し、前記部品の入出庫情報の変更及び前記作業の進捗状況に応じて前記作業進捗情報を更新し、さらに
前記作業進捗情報と、前記作業情報とに基づいて前記作業指示情報の作業指示順序を再計算する
ことを特徴とする作業指示生成方法。
【請求項7】
前記作業進捗情報の作成の際に、
前記作業情報に含まれる使用する部品と使用する時刻についての情報と、前記部品の入出庫情報に含まれる入出庫日時とを比較して、前記作業進捗情報を作成することを特徴とする請求項6記載の作業指示生成方法。
【請求項8】
前記作業指示生成方法は、さらに、
前記部品の入出庫情報に変更があった場合は、前記作業進捗情報の入出庫情報欄を更新し、
前記作業指示表示端末からの前記作業進捗情報に対する入力があった場合は、前記入力に基づいて、前記作業進捗情報の進捗データを更新することを特徴とする請求項7記載の作業指示生成方法。
【請求項9】
前記作業指示順序の再計算の際に、
前記作業情報から取得した作業指示順番と、前記作業進捗情報から取得した作業順番とが一致しているかどうかを判定し、
前記作業順番が不一致の場合、あるいは、前記製造工程の進捗に問題が発生した場合、作業指示の順序計算を行って、作業指示を出力することを特徴とする請求項6記載の作業指示生成方法。
【請求項10】
前記作業進捗情報は、作業の進捗状況として、作業の未着手状態を含む進捗データと、作業指示対象の情報を含んでおり、
前記作業指示順序再計算における前記作業指示の順序計算の際に、
前記作業進捗情報の進捗データが作業未着手状態である少なくとも1つの作業工程の項目について、
作業未着手状態の作業工程における前記製品を構成する部品の供給が不可の場合は、当該部品についての前記作業指示対象の情報を作業指示対象外に設定し、
かつ前記作業指示対象外と設定されている部品の関連部品についても作業指示対象外に設定する処理を繰り返し、
前記作業指示対象の情報が作業指示対象外と設定されている項目を前記作業進捗情報から抽出して、元の作業指示順番の関係を維持したまま、前記作業指示対象の情報が作業指示対象となる部品の作業順番の末尾に挿入することを特徴とする請求項9記載の作業指示生成方法。
【請求項11】
部品の入出庫日時を含む入出庫情報を管理する部品入庫管理端末と、作業指示を生成する作業指示計画生成端末と、作業指示情報を表示する作業指示表示端末と、作業の進捗状況に応じて作業指示の順序を再計算する作業指示順序再計算装置をネットワークで接続し、作業の進捗状況に応じて作業指示の順序を再計算する作業指示順序再計算装置によって作業指示生成方法を実行するためのプログラムを格納した、計算機で読み取り可能な記憶媒体であって、前記方法は、
複数の部品からなる製品の製造工程において、前記製造工程のそれぞれの進捗状況を記憶した作業進捗情報を記憶し、
複数の部品からなる製品の製造工程において、前記製造工程のそれぞれにおける前記部品を使用する作業の進捗状況を作業進捗情報として記憶し、
作業指示情報として製品の製造工程の作業指示順序の情報と、前記製造工程のそれぞれにおいて使用する部品と使用する時刻の情報を含む作業情報を記憶し、
前記部品入庫管理端末が管理する製品に係る部品の前記入出庫情報、及び前記作業情報から前記作業進捗情報を作成し、前記部品の入出庫情報の変更及び前記作業の進捗状況に応じて前記作業進捗情報を更新し、さらに
前記作業進捗情報と、前記作業情報とに基づいて前記作業指示情報の作業指示順序を再計算する
ことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が複数の部品を組み立てて製品を製造する工程で用いられる作業指示を作業状況にあわせて変更、修正して作業者に提供する作業指示生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が複数の部品を組み立てて所定の製品を製造する多品種少量製品の作業工程において、作業者に対し、その組み立て作業を指示する作業指示図が提示されている。その作業指示図には、所定の組立順序に従って、各組み立て作業工程で必要な部品のリストが示され、さらに、各作業で組み立てられる製造途上の製品の外観図などが示される。
【0003】
これらの作業指示生成方法として、次のような先行技術がある。例えば、特許第4913219号公報に示された方法では、
生産工程に含まれる複数の作業要素を1つ又は複数の作業要素毎に区画することにより複数の工程を編成するための支援を行う工程編成支援システムであり、工程編成の対象とすべき作業内容に対応する作業価値情報と、作業価値情報に対応する複数の作業要素を取得することにより、工程編成の対象とすべき複数の作業要素を特定して、複数の工程を編成することができる工程編成手段が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4913219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの作業指示は、製造作業の計画段階において、新規に工程編成を行う際に有用な支援システムであって、計画時に定めた作業指示の順番に従って、作業指示を作業者に提供するものであった。特に、量産製品ではなく多品種少量製品の製造においては、部品の有無による作業段取りの変更など、製造現場の作業環境や作業状況の変化によって当初の作業指示順序で作業できなくなり、作業者が思考して次の作業を決定しているという状況がある。これにより、大幅な作業遅延などのトラブルが発生する。そのため、当初に計画された作業指示情報を製造現場状況にあわせて変更する必要があった。本発明は上記に鑑みて成されたものであって、多品種少量製品の製造工程において、製造現場状況にあわせて作業指示を変更し、提供できるシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業指示生成システムは、作業情報記憶部に記憶されている当該製品の作業情報と、部品入庫情報記憶部に記憶されている部品入庫情報から、作業進捗情報取得部で作業進捗情報を作成する。次に、作業進捗情報取得部において、作業指示表示端末を監視して、作業進捗情報を更新する。そして、作業指示順序再計算部において、作業指示順序を再計算し、作業情報記憶部に記憶させることで、作業の進捗状況にあわせた作業指示を作業者へ提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業進捗や作業に係る部品の有無などにあわせて、作業指示を変更するシステムを提供できる。これにより、人や設備の作業リソースの有効活用ができる。また、所定の製品の製造工程が大幅に遅延することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図9】作業指示順序再計算処理フローの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を用いて本発明の実施形態について、詳細な説明を行う。
【0010】
(システム構成)
図1は、本発明の実施形態に係る作業指示生成システムの構成例を示した図である。作業指示生成システム1は、作業指示順序再計算装置100と、作業指示順序再計算装置とネットワーク110を介して接続された部品入庫情報記憶部120、部品入庫管理端末130、作業指示計画生成端末140、及び作業指示表示端末150から構成されている。
【0011】
作業指示順序再計算装置100は、作業の進捗状況に応じて作業指示を変更して提供する処理装置であり、各作業工程の作業進捗情報を取得するための作業進捗情報取得部102と、上記作業情報取得部102で取得した作業進捗情報210と、後述の作業情報220とを用いて予め準備された作業指示情報の作業指示順序を再計算する作業順序再計算処理部103とから構成される処理部101と、後述する作業進捗情報210を記憶した作業進捗情報記憶部105と、後述する作業情報220を記憶した作業情報記憶部106とから構成される記憶部104と、入出力部107と、を含んで構成される。
【0012】
本発明を実施する作業指示順序再計算装置100は、CPUとメモリ、さらには記憶装置を有する(いずれも図示せず)処理装置であり、処理部101に含まれる各処理部を実行するためのプログラムがメモリに格納されており、CPUがメモリ内のプログラムを実行する。記憶部104に含まれる各情報は記憶装置に格納されており、プログラムの実行時に、必要に応じてメモリに読み出される。また、上記のプログラムを計算機で読み取り可能な記憶媒体に格納し、これらプログラムをメモリに読み込んで実行することもできる。
【0013】
部品入庫情報記憶部120は、後述する部品入庫管理端末130から出力された部品入庫情報230を記憶する記憶部である。
【0014】
部品入庫管理端末130は、端末処理装置131と、キーボードやマウスからなる入力装置132と、LCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示装置133とから構成され、例えば、部品倉庫(スタッカ)などと連動しており、部品の入庫情報を管理して部品入庫情報記憶部120へ部品入庫情報230を格納する処理端末である。
【0015】
作業指示計画生成端末140は、ある所定の製品製造工程の作業指示順番を決定し、製造現場へ供給する作業指示情報を生成する端末であり、作業指示生成処理装置141と、キーボードやマウスからなる入力装置142と、LCDなどからなる表示装置143とから構成される。
【0016】
作業指示表示端末150は、例えば製造現場に設置され、ある所定の製品製造に係る作業指示情報を作業情報記憶部106より取得し、表示する端末であり、端末処理装置151と、キーボードやマウスからなる入力装置152と、LCDなどからなる表示装置153とから構成される。
【0017】
作業者は入力装置152を用いて当該製品の作業指示情報を取得するための入力を行うとともに、作業の進捗を表す情報、例えば、ある作業工程の「開始」、「完了」や「中断」といった情報を入力する。
【0018】
(各種情報)
本実施形態で、作業進捗情報記憶部105に記憶される作業進捗情報210を
図2、作業情報記憶部106に記憶される作業情報220を
図3、部品入庫情報記憶部120に記憶される部品入庫情報230を
図4のそれぞれを用いて説明する。
図2、
図3及び
図4に示す各種情報は製品ごとに設けられている。
【0019】
図2は、作業進捗情報記憶部105に記憶される作業進捗情報210の構成例を示したものである。作業進捗情報210は、後述する作業進捗情報取得部102の処理によって、後述の作業情報220と部品入庫情報230とから作成されるデータであり、作業No.210a、当該製品を構成する部品の部品名称210b、入庫日時210c、出庫日時210d、進捗データ210e、及び作業指示210fのデータから構成される。また、上述した作業指示表示端末150の入力装置152で入力された、各作業の「開始」、「完了」、「中断」などを表す情報は後述する作業進捗情報取得部102の処理により、進捗データ210eとして記憶する。さらに、当該作業の進捗情報として、作業指示開始時間、作業の経過時間も作業進捗情報取得部102の処理により、記憶されるものとする。
【0020】
図3は作業情報記憶部106に記憶される作業情報220の構成例を示したものである。作業情報220は、作業指示計画生成端末140において作成された作業指示データであり、作業No.220a、当該製品を構成する部品の部品名称220b、親部品220c、子部品220d、関連部品220e、作業指示順番220f、作業要期220g、部品供給予定時刻220h、作業標準時間220iのデータから構成される。親部品220cと、子部品220dと、関連部品220eは、製品の組立工程における各部品の構成関係を示したものであり、
図10、11を用いて後述する。
【0021】
作業者は本情報220を用いて当該製品の製造に必要な作業指示を呼び出して、作業指示表示端末150に表示する。
【0022】
図4は、部品入庫情報記憶部120に記憶される部品の部品入庫情報230の構成例を示したものである。部品入庫情報230は、部品入庫管理端末130によって作成されたデータであり、作業No.230a、当該製品の部品名称230b、型式230c、図面番号230d、入庫日時230e、出庫日時230fのデータから構成される。
【0023】
(処理フロー)
以降、当該製品の製造作業を想定してシステムの処理フローを説明する。
【0024】
作業指示生成システムのシステム処理の全体像を
図5に示す。
【0025】
S100において、作業情報記憶部106に記憶されている当該製品の作業情報220と、部品入庫情報記憶部120に記憶されている部品入庫情報230とから、作業進捗情報取得部102で作業進捗情報210を作成する。作成された作業進捗情報210は作業情報記憶部105に記憶される。次に、S200において、作業進捗情報取得部102が、部品入庫情報230及び作業指示表示端末150を監視して、進捗に問題がある作業進捗情報210を更新する。そして、S300において作業指示順序再計算処理部103によって、作業指示順序を再計算し、作業情報記憶部106に記憶させることで、作業の進捗状況に合わせた作業指示を作業者へ提供可能となる。
【0026】
作業進捗情報取得部102における作業進捗情報作成処理S100、作業進捗情報取得部102における作業進捗情報更新処理S200、作業指示順序再計算部103における作業指示順序再計算処理S300の各処理について
図6、
図7、
図8を用いて詳しく説明する。
【0027】
(作業進捗情報作成S100)
作業進捗情報取得部102における作業進捗情報作成処理S100の処理フローを、
図6を用いて説明する。
【0028】
当該製品の製造作業開始前に、
図2に示したような作業進捗データを記憶する作業進捗情報210を作成する。
【0029】
S101において、作業情報記憶部106から
図3に示したような当該製品の作業情報220を取得する。S102において、部品入庫情報記憶部120より
図4に示したような部品入庫情報230を取得する。
【0030】
S103において作業情報220と部品入庫情報230とを比較して、前述の
図2のような作業進捗情報210を作成する。このとき、進捗情報が格納される箇所には、初期値として「未着手」といった、作業が未着手であることを示すデータが入力される。
【0031】
S104において、作成された前記作業進捗情報210を作業進捗情報記憶部105に格納して、処理終了となる。
【0032】
S100の処理によって作業進捗情報210と部品入庫情報230は、当該製品の部品名称210b、230bや、部品IDなどで連動しており、以降で、部品入庫情報230が更新されると該当する部品の作業進捗情報210が更新される。
【0033】
(作業進捗情報更新S200)
次に、作業進捗情報取得部102における作業進捗情報更新処理S200について
図7を用いて説明する。
【0034】
S201において、部品入庫情報230に変更があるかを判定して、変更がある場合には、S202へ移行する。S202において、部品入庫情報230の再読み込みを行う。作業進捗情報210の入庫情報欄210cに変更を入力して更新する(S203)。変更がない場合には、次にS204の処理を行う。
【0035】
S204において、作業指示表示端末150から作業進捗情報210の入力が行われたかどうかを判定する。作業進捗情報210に入力があった場合には、S205において作業指示表示端末150からデータを取得し、作業進捗情報210の進捗データ210eに入力値を入力する(S206)。作業進捗情報210に入力がない場合には、処理終了となる。
【0036】
(作業指示順序再計算S300)
続いて、作業指示順序再計算処理部103における作業指示順序再計算処理S300について
図8を用いて説明する。
【0037】
S301において、作業情報記憶部106から作業指示情報(作業情報220の内容)を取得する。S302において、作業進捗情報記憶部105より作業進捗情報210を取得する。
【0038】
S303において、前記ステップS301で取得した作業指示情報の作業指示順番と、前記ステップS302で取得した作業進捗情報210の作業開始順番とを比較し、互いに一致しているかを判定する。一致している場合には、S304の処理に移る。一致しない場合は、S305へ移る。S305において、作業指示順番と現在の実施作業が異なることを、作業指示表示端末150に表示させ、S306の作業順番計算の処理へ移行する。このとき作業指示のアラームは、S306の処理の終了により解除される。
【0039】
S304において、後工程の作業要素(部品の有無、設備の稼動状況)に問題があり、作業停滞が発生するかどうかを判定する。例えば判定の要素としては、作業進捗情報210の部品の供給予定時刻210dを用いて、供給時刻までに部品の供給がなされていなければ、作業停滞が発生すると判定される。作業停滞が発生しない場合には、処理を終了し、作業停滞が発生する場合にはS306の作業指示順序計算を実行する。
【0040】
S306において、作業指示の順序を計算し、作業指示を出力する。この処理については
図9を用いて後述する。S307において、S306の処理結果として出力される作業指示情報を作業情報記憶部106へ格納して、処理終了となる。
【0041】
なお、S305で出力される作業指示情報は、
図3に示したような作業情報220と同じ形式のもので、作業指示順番が異なるデータとなる。
【0042】
(作業指示順序計算S400)
S306において、作業指示順序を再計算する処理フローS400を、
図9を用いて説明する。
【0043】
S401において、作業進捗情報210から、進捗データ210eが未着手となっている作業工程の項目(以下、残作業項目とする)を抽出する。S402において、S401で抽出した残作業項目の作業進捗情報210の作業指示210fに作業指示の再計算対象であることを表すデータ、本実施例では「対象」を入力する。
【0044】
S403において、抽出した残作業項目数だけ、S404〜S409の処理を繰り返す。
【0045】
S404において、残作業項目が作業指示(210f)「対象」であるかを判別する。「除外」であればS408へ移る。「対象」であれば、S405を行う。
【0046】
S405において、部品供給ができるかどうかを作業進捗情報210の入庫日付210c、供給日付210dから判定する。部品の供給が可能であれば、そのままS406へ移る。部品供給ができなければ、S407で作業指示を「除外」とする。
【0047】
S406において、作業情報220から、親部品220cを特定し、親部品が供給可能かどうかを判定する。親部品がある場合には、S403の繰り返し処理へ戻り、親部品が無い(供給できない)場合には、S407において、作業指示を「除外」とする。
【0048】
S408において、作業情報220から、構造的に関連を持つ部品情報(関連部品220e)を取得して、関連部品の有無を判定する。関連部品がある場合には、S409において関連部品に係る作業指示を「除外」とする。関連部品が無い場合は、S403の繰り返し処理に戻る。
【0049】
S410において、作業指示(210f)に「除外」が入力されている項目を作業進捗情報210から抽出し、もともとの作業指示順番220fの関係を維持したまま、作業指示(220f)「除外」の部品を、作業指示「対象」の部品の作業順番の末尾に挿入する。
【0050】
以上の処理によって、作業可能な作業項目を抽出して、作業指示情報を作成することができる。
【0051】
(部品の親子関係の判定)
図9に示した処理フローS400のS406において、部品の親子関係(
図3に示した親部品220c、子部品220d)の判定とその方法について具体例を用いて説明する。
【0052】
作業情報220の親部品220c、子部品220d、関連部品220eの項目は、製品の組立工程における各部品の構成関係を示したものであり、
図10を用いて説明する。ただし、本例では説明の簡単化のために3次元モデルを2次元モデルとして示している。
【0053】
親部品220cと子部品220dの定義は、ある部品Bを取り付ける際に、部品Aがないと取り付け作業ができない場合に、部品Aを部品Bの親部品、部品Bを部品Aの子部品とする。このとき、親部品、子部品の判定は3次元モデル設計システムで、少なくとも2つ以上の部品モデルから構成されている3次元モデルにおいて、構造的に少なくともひとつの面が隣接あるいは、合致しているものを抽出し、構造関係から、上記定義において各部品の親部品、子部品を判定する。なお、各部品の詳細は、部品入庫情報230の図面番号230dで管理される図面データに保持されている。
【0054】
図10の部品Dを例に挙げると、部品Dの親部品は部品Cと部品Bであり、部品Dの子部品は部品Eとなる。
【0055】
次に関連部品の考え方について
図11を用いて説明する。ある部品に図の斜線部で示したように取付面を設定し、部品取付面を底面として、破線で示したような直方体、部品取付空間を考え、この直方体の内部に含まれる部品については、関連部品とする。このとき、部品底面の寸法は部品の最大幅よりも大きく設定し、部品を完全に覆える形状とする。例えば、図に示したXYZ座標を用いて説明すると、X方向(部品最大幅+5cm)、Y方向(部品最大幅+4cm)、Z方向(部品最大幅+20cm)の直方体を考える。この直方体内部に部品が含まれ、かつ構造的に隣接していない場合に、その部品は関連部品と判定される。
【0056】
図10の部品Dを例に挙げて関連部品について説明すると、破線で示した部品取付空間内に含まれる関連部品は、部品F、部品G、部品H、及び部品Iとなる。
【0057】
上記のように、親部品又は子部品の一方が入荷しない、あるいは、親部品又は子部品の一方の出来具合に問題がある場合には、他方に関係した作業の進捗に影響を与えるため、作業停滞が発生する。また、
図10に示したように、部品Dの親部品は部品Cと部品Bであり、部品Dの子部品は部品Eとなる場合、部品B、C、部品D、及び部品Eは、親−子−孫の関係にあり、親と孫の関係についても同様な問題が発生する可能性があり、その場合は作業停滞が発生する。
【符号の説明】
【0058】
1:作業指示生成システム、100:作業指示順序再計算装置、101:処理部、102:作業進捗情報取得部、103:作業指示順序再計算処理部、104:記憶部、105:作業進捗情報記憶部、106:作業情報記憶部、107:入出力部、110:ネットワーク、120:部品入庫情報記憶部、130:部品入庫管理端末、140:作業指示計画生成端末、150:作業指示表示端末、210:作業進捗情報、220:作業情報、230:部品入庫情報