(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電磁流量計の励磁コイルに対して励磁用電源電圧に基づき励磁電流を供給する回路として用いられて、一定周期で繰り返される正期間/負期間ごとに当該励磁電流を正極性/負極性に切り替えるとともに、これら正期間および負期間の開始時点からの高電圧期間に励磁用電源電圧を高電圧に切り替え、開始時点の一定時間経過後からの低電圧期間に励磁用電源電圧を低電圧に切り替える励磁回路であって、
前記正期間にオンし前記負期間にオフすることにより前記励磁電流を正極性に切り替えて供給する第1および第4のスイッチング素子と、
前記正期間にオフし前記負期間にオンすることにより前記励磁電流を負極性に切り替えて供給する第2および第3のスイッチング素子と、
前記励磁電流を一定値に制御する定電流回路とを備え、
前記第1〜第4のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、共通駆動用電圧により充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路が、それぞれ個別に接続されており、前記正期間/前記負期間に合わせてオンする際、それぞれの電圧保持回路から出力される駆動用電圧により動作し、
前記第1のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、当該第1のスイッチング素子のターンオンを遅延させる第1の遅延用容量素子が接続されており、
前記第3のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、当該第3のスイッチング素子のターンオンを遅延させる第2の遅延用容量素子が接続されている
ことを特徴とする励磁回路。
電磁流量計の励磁コイルに対して励磁用電源電圧に基づき励磁電流を供給する回路として用いられて、一定周期で繰り返される正期間/負期間ごとに当該励磁電流を正極性/負極性に切り替えるとともに、これら正期間および負期間の開始時点からの高電圧期間に励磁用電源電圧を高電圧に切り替え、その後の前記励磁電流の立ち上がりに応じて励磁用電源電圧を低電圧に切り替える励磁回路であって、
前記正期間にオンし前記負期間にオフすることにより前記励磁電流を正極性に切り替えて供給する第1および第4のスイッチング素子と、
前記正期間にオフし前記負期間にオンすることにより前記励磁電流を負極性に切り替えて供給する第2および第3のスイッチング素子と、
前記励磁電流を一定値に制御する定電流回路とを備え、
前記第1〜第4のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、共通駆動用電圧により充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路が、それぞれ個別に接続されており、前記正期間/前記負期間に合わせてオンする際、それぞれの電圧保持回路から出力される駆動用電圧により動作し、
前記第1のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、当該第1のスイッチング素子のターンオンを遅延させる第1の遅延用容量素子が接続されており、
前記第3のスイッチング素子は、制御端子と出力端子との間に、当該第3のスイッチング素子のターンオンを遅延させる第2の遅延用容量素子が接続されている
ことを特徴とする励磁回路。
【背景技術】
【0002】
一般に、導電性を有する流体の流量を測定する電磁流量計では、測定管内を流れる流体の流れ方向に対して磁界発生方向が垂直となるよう配置された励磁コイルへ、極性が交互に切り替わる励磁電流を供給し、励磁コイルからの発生磁界と直交して測定管内に配置された一対の電極間に生じる起電力を検出し、この電極間に生じる起電力を増幅した後、サンプリングして信号処理することにより、測定管内を流れる流体の流量を測定している。
【0003】
従来、励磁コイルに励磁電流を供給する励磁回路において、励磁極性切り替え時の励磁電流の立ち上がりを早くするため、予め高電圧と低電圧の2つの電源を用意しておき、励磁電流立上げ時は高電圧で励磁し、定常時は低電圧で励磁する方法が従来より行われている(例えば、特許文献1など参照)。
【0004】
図14は、従来の電磁流量計の構成を示すブロック図である。
この電磁流量計9において、電源回路91では、商用交流電力ACINを整流した後にスイッチング制御回路で高周波に変換してトランスの一次側巻線に供給し、トランスの二次側巻線に設けた整流回路で整流し、さらにはその整流出力を電圧レギュレータで安定化させ、制御回路92および励磁回路93に、各種の直流電圧を供給している。
【0005】
図15は、従来の励磁回路を示す回路図である。
図16は、従来の励磁回路の動作を示す信号波形図である。
この励磁回路93は、電源回路91から供給された励磁用電源電圧VexH,VexLの極性を、パワーMOSFETやアナログスイッチからなるスイッチング素子Q1〜Q4により切り替えて、励磁コイルLexに供給するものとなっている。
【0006】
励磁用電源電圧は、高電圧のVexH(例えば30V)とVexHより低電圧のVexL(例えば15V)からなり、制御回路92内のCPU(図示せず)から電圧切替信号EXHLで切替スイッチSWを切り替えることにより、VexH,VexLのいずれか一方を選択できるようになっている。
また、励磁コイルLexへの励磁極性については、CPUからの極性切替信号EXD1,EXD2のどちらかをLowレベルにすることで、スイッチング素子Q1〜Q4のうち、Q1とQ4を正極性ペアとして同期させてオン/オフさせるとともに、Q2とQ3を逆極性ペアとして正極性ペアとは逆位相で同期させてオン/オフさせることにより、励磁極性を切り替えられるようになっている。
【0007】
図16に示すように、励磁極性切り替え直後は、励磁用電源電圧を高電圧のVexHにしておくことにより励磁電流Iexの立ち上がりを早め、励磁極性切り替えから一定時間経過後、励磁用電源電圧を低電圧のVexLに切り替えて消費電力を下げることにより、定電流回路CCSのうち、パワーMOSFETなどからなるトランジスタQ5の発熱を押さえている。なお、
図16では、励磁電流Iexの立ち上がりに関係なく励磁用電源電圧の高電圧期間THと低電圧期間TLの比率を50:50とした例が示されている。
【0008】
スイッチング素子Q1〜Q4のうち、Q1がオンしている正期間TPにおいて、接地電位VexCOMを基準(0V)としたとき、B点すなわちQ1のソース電位VBは、
図16に示した通り、励磁用電源電圧が高電圧VexHの高電圧期間THにおいて約30Vとなり、低電圧VexLの低電圧期間TLは約15Vに変化する。これは、Q3がオンしている負期間TNでのC点すなわちQ3のソース電圧VCも同様である。
【0009】
一方、Q2がオンしている負期間TNにおいて、D点すなわちQ2のソース電位VDは励磁電流Iexが立ち上がるまでは0V、その後、定電流回路CCSによる励磁電流制御(例えば100mA一定)が働き、励磁用電源電圧が高電圧VexHの高電圧期間THは15〜30Vに変化し、低電圧VexLの低電圧期間TLは0〜15Vに変化する。これは、Q4がオンしている正期間TPにおいても同様である。なお、VDの中心電圧は励磁コイルLexの抵抗値によって変化する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電磁流量計1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示すブロック図である。
【0025】
この電磁流量計1は、導電性を有する流体の流量を測定する機能を有している。一般に、導電性を有する流体の流量を測定する電磁流量計では、測定管内を流れる流体の流れ方向に対して磁界発生方向が垂直となるよう配置された励磁コイルへ、極性が交互に切り替わる励磁電流を供給し、励磁コイルからの発生磁界と直交して測定管内に配置された一対の電極間に生じる起電力を検出し、この電極間に生じる起電力を増幅した後、サンプリングして信号処理することにより、測定管内を流れる流体の流量を測定している。
【0026】
図1に示すように、電磁流量計1には、主な構成として、電源回路11、制御回路12、励磁回路13、検出器14、および設定・操作器15が設けられている。
【0027】
電源回路11は、交流電源ACINから各種電源を生成して、制御回路12および励磁回路13に供給する機能を有しており、主な回路部として、整流回路11A、スイッチング制御回路11B、トランス11C、整流回路11D,11F、電圧レギュレータ11E,11G,11Hが設けられている。
【0028】
整流回路11Aは、交流電源ACINを整流してスイッチング制御回路11Bへ直流電圧を出力する。スイッチング制御回路11Bは、整流回路11Aからの直流電圧を高周波でスイッチングしてトランス11Cの2つの一次側巻線へそれぞれ供給する。整流回路11Dは、トランス11Cの一方の二次側巻線から出力された高周波信号を整流して直流のアナログ信号処理用の動作電圧VmA(24V)と接地電位VmCOM(0V)を生成して制御回路12へ供給する。電圧レギュレータ11Eは、VmAからデジタル信号処理用の動作電圧VmD(5V)を生成して制御回路12へ供給する。
【0029】
また、整流回路11Fは、トランス11Cの他方の二次側巻線から出力された高周波信号を整流して直流の励磁用電源電圧VexH(30V),VexL(15V)と接地電位VexCOM(0V)を生成して励磁回路13へ供給する。電圧レギュレータ11Gは、VexLから定電流回路用の動作電圧VexCC(5V)を生成して励磁回路13へ供給する。電圧レギュレータ11Hは、VexLからスイッチング素子を駆動するための共通駆動用電圧VexG(10V)を生成して励磁回路13へ供給する。
【0030】
制御回路12は、CPU、信号処理回路、伝送I/F回路などを含み、励磁回路13の制御、検出器14の電極から検出した起電力に基づく流量の算出、および上位装置に対する流量信号出力を行う機能を有している。
【0031】
励磁回路13は、制御回路12からの制御に基づき、検出器14の励磁コイルLexに対して、一定周期で極性が切り替えられる励磁電流を供給する機能とを有している。この際、励磁回路13は、従来技術と同様、励磁極性切り替え時の励磁電流の立ち上がりを早くするため、予め高電圧と低電圧の2つの電源を用意しておき、励磁電流立上げ時は高電圧で励磁し、定常時(励磁電流立ち上がり後)は低電圧で励磁する。
【0032】
検出器14は、流量測定対象となる流体が流れる測定管Pexと、この測定管Pexに対して励磁回路13からの励磁電流により磁界を発生させる励磁コイルLexと、測定管Pexの内側面に設けられた1対の検出電極とを有している。
設定・操作器15は、作業者の設定操作入力を検出して制御回路12へ出力する機能と、制御回路12からの表示出力をLEDやLCDで表示する機能とを有している。
【0033】
次に、
図2〜
図3を参照して、本実施の形態にかかる励磁回路13について説明する。
図2は、第1の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
図3は、第1の実施の形態にかかる励磁回路の動作を示す信号波形図である。
【0034】
本実施の形態にかかる励磁回路13は、前述の
図15に示した従来の励磁回路と比較して、スイッチング素子駆動用の動作電源として、励磁回路13内の接地電位VexCOMとは絶縁された絶縁電源を全く必要としない点が異なる。
【0035】
励磁回路13には、一定周期Tex(=TN+TP)のうち正期間TPと負期間TNとで励磁極性を切り替える際に、正期間TPにオンするとともに負期間TNにオフすることにより励磁電流Iexを正極性に切り替えて供給するスイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子),スイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子)と、負期間TNにオンするとともに正期間TPにオフすることによりIexを負極性に切り替えて供給するスイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子),スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子)が設けられている。
【0036】
これに加えて、励磁回路13には、励磁極性切替直後からの高電圧期間THに高電圧VexH(30V)を励磁用電源電圧VexHLとして切替出力し、励磁極性切り替えから一定時間経過後からの低電圧期間TLに低電圧VexL(15V)を励磁用電源電圧VexHLとして切替出力する切替スイッチSWと、励磁電流Iexの電流値を規定値(100mA)に制御する定電流回路CCSとが設けられている。
【0037】
そして、Q1〜Q4の制御端子と出力端子との間に、共通駆動用電圧VexG(10V)により充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS1〜VS4が、それぞれ個別に接続されており、正期間TP/負期間TNに合わせてオンする際、それぞれの電圧保持回路VS1〜VS4から出力される駆動用電圧により動作するようにしたものである。
【0038】
なお、本発明では、Q1〜Q4としてNチャネルのパワーMOSFETを用いた場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。例えば、電源電位を入れ替えるなどしてPチャネルのパワーMOSFETを用いてもよく、パワーMOSFETに代えてパワートランジスタなど他のスイッチング素子を用いてもよい。
また、本発明では、励磁電流Iexの立ち上がりに関係なく高電圧期間THと低電圧期間TLの比率を50:50とした場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、励磁電流Iex立ち上がり時間に応じてこの比率を適宜変更してもよい。
【0039】
本実施の形態にかかる励磁回路13の具体的な回路構成は、次の通りである。
すなわち、Q1において、ドレイン端子がVexHLに接続され、ソース端子がLexの一端N1に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、共通駆動用電圧VexG(10V)により充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路(第1の電圧保持回路)VS1、遅延用容量素子(第1の遅延用容量素子)C1、および、正期間TPでオフし負期間TNでオンするフォトカプラ(第1のフォトカプラ)PC1の出力が並列接続されている。
【0040】
また、電圧保持回路VS1は、ダイオードD1、抵抗素子R11、および容量素子C11からなり、D1のアノード端子がVexGに接続され、カソード端子がR11を介してQ1のゲート端子に接続されているとともに、C11を介してQ1のソース端子に接続されている。
【0041】
また、Q2において、ドレイン端子がLexのN1に接続され、ソース端子がCCSの入力端子N3に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路(第2の電圧保持回路)VS2、および、正期間TPでオンし負期間TNでオフするフォトカプラ(第2のフォトカプラ)PC2の出力が並列接続されている。
また、電圧保持回路VS2は、ダイオードD2、抵抗素子R21、および容量素子C21からなり、D2のアノード端子がVexGに接続され、カソード端子がR21を介してQ2のゲート端子に接続されているとともに、C21を介してQ2のソース端子に接続されている。
【0042】
また、Q3において、ドレイン端子がVexHLに接続され、ソース端子がLexの他端N2に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路(第3の電圧保持回路)VS3、遅延用容量素子(第2の遅延用容量素子)C2、および、正期間TPでオフし負期間TNでオンするフォトカプラ(第3のフォトカプラ)PC3の出力が並列接続されている。
また、電圧保持回路VS3は、ダイオードD3、抵抗素子R31、および容量素子C31からなり、D3のアノード端子がVexGに接続され、カソード端子がR31を介してQ3のゲート端子に接続されているとともに、C31を介してQ3のソース端子に接続されている。
【0043】
また、Q4において、ドレイン端子が励磁コイルLexのN2に接続され、ソース端子がCCSのN3に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路(第4の電圧保持回路)VS4、および、正期間TPでオンし負期間TNでオフするフォトカプラ(第4のフォトカプラ)PC4の出力が並列接続されている。
また、電圧保持回路VS4は、ダイオードD4、抵抗素子R41、および容量素子C41からなり、D4のアノード端子がVexGに接続され、カソード端子がR41を介してQ4のゲート端子に接続されているとともに、C41を介してQ4のソース端子に接続されている。
【0044】
なお、PC1において、制御側ダイオードは、アノード端子が抵抗素子R1を介して制御回路12からの動作電圧Vmに接続され、カソード端子がPC4の制御側ダイオードのアノード端子に接続されている。また、PC3において、制御側ダイオードは、アノード端子が抵抗素子R2を介してVmに接続され、カソード端子がPC2の制御側ダイオードのアノード端子に接続されている。また、PC4の制御側ダイオードは、カソード端子がCPUからの極性切替信号(第1の極性切替信号)EXD1に接続されており、PC2の制御側ダイオードは、カソード端子がCPUからの極性切替信号(第2の極性切替信号)EXD2に接続されている。
【0045】
また、定電流回路CCSのU1は、動作電圧VexCCと接地電位VexCOMで動作するオペアンプであり、非反転入力端子が、VexCCとVexCOMの電圧差が励磁電流設定用の抵抗素子R51,52で分圧された電位に接続されている。また、U1の出力端子は、能動素子Q5(パワーMOSFET)のゲート端子に接続され、Q5のドレイン端子がCCSのN3に接続され、Q5のソース端子がU1の反転入力端子に接続されているとともに、励磁電流検出用の抵抗素子R5を介してVexCOMに接続されている。また、CCSは励磁電流Iexを一定に制御する際、励磁コイルLexに供給する電力(Vex×Iex)以外の余剰電力をQ5が消費するように働くため、Q5にはヒートシンク等による放熱機能を持たせてある。
【0046】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる動作について説明する。なお、
図3のVA〜VDは、
図2でのA点〜D点の電位であり、接地電位VexCOMを基準(0V)としている。
【0047】
正期間TPの開始時刻T1において、極性切替信号EXD1はHighレベルに、極性切替信号EXD2はLowレベルに切り替えられるため、フォトカプラPC1,PC4はオフとなり、PC2,PC3はオンとなる。なお、本発明において、EXD1,EXD2は、従来技術の
図16と逆論理である。
図3において、VexはN1−N2間に印加される励磁電圧である。
【0048】
正期間TPにおいて、励磁極性の切替直後は高電圧期間THであり、切替スイッチSWから励磁用電源電圧VexHLとして高電圧VexHが出力されるが、励磁コイルLexのインダクタンスにより、励磁電流Iexはすぐには立ち上がらない。
これに応じて、定電流回路CCSのオペアンプU1は最大電圧(約5V≒VexCC)を出力し、Q5は完全にオンした状態(ドレイン−ソース間抵抗RDS≒0Ω)となる。
【0049】
このため、CCSの入力端子N3、すなわちD点の電位はほぼ0Vとなり、ダイオードD4を介してC41が共通駆動用電圧VexGにより充電されて、駆動用電圧(約10V)が保持される。このC4に保持された駆動用電圧が抵抗素子R41を介してQ4のゲート−ソース間に印加され、Q4がオンする。
また、Q4がオンしたときにC点の電位もほぼ0Vとなるため、ダイオードD3を介してC31が共通駆動用電圧VexGにより充電されて、駆動用電圧(約10V)が保持されるが、開始時刻T1ではフォトカプラPC3がオンしているため、Q3はオフ状態を継続する。
【0050】
したがって、開始時刻T1において、前回Q1がオフであった負期間TNに、予め共通駆動用電圧VexGによりC11が充電されて駆動用電圧が保持されているため、フォトカプラPC1のターンオフに応じて、C11の駆動用電圧がR11を介してQ1のゲート−ソース間に印加され、Q1がオンする。ただし、C1が入っている分、Q1オンのタイミングはQ4オンのタイミングよりも少し遅れる。
この際、Q1がオンすると、B点の電位は約30Vまで上昇するが、D1が入っているので、C1の電圧がVexG側に逆流することはなく、Q1のゲート−ソース間電圧VGS1の約10Vは維持される。
【0051】
このようにして、正期間TPでは、Q1とQ4のオンにより、Lexの端子N1−N2間に約30Vが印加され、N1からN2へ正極性の励磁電流Iexが流れる。
この後、励磁電流Iexが設定値(例えば100mA)に達したら、定電流回路CCSによる励磁電流制御が働き、D点の電位が15V以上に上昇するが、ダイオードD4が入っているので、C4の電圧がVexG側に逆流することはなく、Q4のゲート−ソース間電圧VGS4の約10Vは維持される。
【0052】
続いて、正期間TPのうち高電圧期間THが終了し、電圧切替信号EXHLがLowレベルになると、低電圧期間TLとなって、切替スイッチSWにより励磁用電源電圧VexHLが低電圧VexLに切り替わって、Q1,Q4のソース電位も低下するが、これらのゲート−ソース間電圧VGS1,VGS4には影響しない。
また、励磁用電源電圧VexHLが低電圧VexLに切り替わったことにより、定電流回路CCSの消費電力が低下し、Q5の発熱が押さえられる。
【0053】
この後、負期間TNの開始時刻T2の到来に応じて、励磁極性切替のタイミングになったら、極性切替信号EXD1はLowレベル、極性切替信号EXD2はHighレベルとなり、フォトカプラPC1,PC4はオン、PC2,PC3はオフとなって、Q1,Q4はオフになる。
以後、前述したQ1,Q4の動作とQ2,Q3の動作が入れ替わり、励磁コイルLexの端子N1−N2間に約−30Vが印加され、N2からN1へ負極性の励磁電流Iexが流れる。
【0054】
続いて、負期間TNのうち高電圧期間THが終了し、電圧切替信号EXHLがLowレベルになると、低電圧期間TLとなって、切替スイッチSWにより励磁用電源電圧VexHLが低電圧VexLに切り替わって、Q2,Q3のソース電位も低下するが、これらのゲート−ソース間電圧VGS2,VGS3には影響しない。
これ以降、前述したように正期間TPにおける動作と負期間TNにおける動作とが、交互に繰り返される。
【0055】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、一定周期で繰り返される正期間TP/負期間TNごとに当該励磁電流Iexを正極性/負極性に切り替えるとともに、これら正期間TPおよび負期間TNの開始時点からの高電圧期間THに励磁用電源電圧VexHLを高電圧に切り替え、開始時点の一定時間経過後からの低電圧期間に励磁用電源電圧VexHLを低電圧に切り替える励磁回路であって、正期間TPにオンし負期間TNにオフすることにより励磁コイルLexに対して正極性の励磁電流Iexを供給するスイッチング素子Q1,Q4(パワーMOSFET)と、正期間TPにオフし負期間TNにオンすることにより励磁コイルLexに対して負極性の励磁電流Iexを供給するスイッチング素子Q2,Q3(パワーMOSFET)と、励磁電流Iexを一定値に制御する定電流回路CCSとを備えるようにしたものである。
【0056】
そして、Q1〜Q4の制御端子と出力端子との間に、共通駆動用電圧VexG(10V)により充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS1〜VS4が、それぞれ個別に接続されており、正期間TP/負期間TNに合わせてオンする際、それぞれの電圧保持回路VS1〜VS4から出力される駆動用電圧により動作するようにしたものである。
【0057】
より具体的には、Q1において、ドレイン端子がVexHLに接続され、ソース端子がLexの一端N1に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、共通駆動用電圧VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS1、および、正期間TPでオフし負期間TNでオンするフォトカプラPC1の出力がそれぞれ並列接続されており、Q2において、ドレイン端子がN1に接続され、ソース端子がCCSの入力端子N3に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS2、および、正期間TPでオンし負期間TNでオフするフォトカプラPC2の出力がそれぞれ並列接続されているものである。
【0058】
さらに、Q3において、ドレイン端子がVexHLに接続され、ソース端子がLexの他端N2に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS3、および、正期間TPでオンし負期間TNでオフするフォトカプラPC3の出力がそれぞれ並列接続されており、Q4において、ドレイン端子がN2に接続され、ソース端子がN3に接続され、ゲート端子とソース端子との間に、VexGにより充電された駆動用電圧を保持出力する電圧保持回路VS4、および、正期間TPでオフし負期間TNでオンするフォトカプラPC4の出力がそれぞれ並列接続されているものである。
【0059】
これにより、正期間TPの開始時点にPC1,PC4がオンする際、それまでの負期間TNに共通駆動用電圧VexGにより充電された駆動用電圧がVS1からQ1のゲート端子に供給されるとともに、それまでの負期間TNに共通駆動用電圧VexGにより充電された駆動用電圧がVS4からQ4のゲート端子に供給される。
また、負期間TNの開始時点にPC2,PC3がオンする際、それまでの正期間TPに共通駆動用電圧VexGにより充電された駆動用電圧がVS2からQ2のゲート端子に供給されるとともに、それまでの正期間TPに共通駆動用電圧VexGにより充電された駆動用電圧がVS3からQ3のゲート端子に供給される。
【0060】
したがって、Q1〜Q4を駆動するための駆動用電源として、別個の絶縁電源を必要とすることなく、正期間および負期間の切り替えに合わせて、Q1〜Q4ごとに設けられたVS1〜VS4で保持しておいた駆動用電圧によりQ1〜Q4を駆動することができる。このため、電源回路11において、トランス11Cの二次側巻線数と二次側の整流回路を増やして、複数の絶縁電源を生成して、励磁回路13に供給する必要がなくなり、電源回路11のコストアップを避けることができる。
【0061】
また、本実施の形態において、Q1のゲート端子とソース端子との間に、Q1のターンオンを遅延させる遅延用の容量素子C1を接続し、スイッチング素子Q3のゲート端子とソース端子との間に、Q3のターンオンを遅延させる遅延用の容量素子C2を接続するようにしてもよい。
【0062】
図4は、第1の実施の形態にかかる励磁回路の他の動作(短絡故障時)を示す信号波形図である。
励磁コイルLexが正常なときは、そのインダクタンスによりIexの立ち上がりが遅れるため、前述した通り励磁極性切替え時にD点の電位VDがほぼ0Vになる期間が必ず存在し、C11〜C14の充電が確実に行われる。
しかし、Lexが短絡故障を起こした場合には、そのインダクタンスがゼロとなり、励磁電流Iexが瞬時に立ち上がるため、C11〜C14の充電が不完全となりQ1〜Q4のゲート−ソース間電圧が足りず、完全なオン状態(ドレイン−ソース間抵抗RDS≒0Ω)にならない可能性がある。
【0063】
ここで、Q1〜Q4のドレイン−ソース間抵抗RDSが大きくなると、RDS×Iexの電力を消費して異常発熱を起こしてしまう。特に、Q1〜Q4には、定電流回路CCSのQ5のようにヒートシンクによる放熱機能は持たせていないため、継続すると最悪は焼損する恐れがある。
【0064】
したがって、Q1,Q3のゲート−ソース間に遅延用の容量素子C1,C2を入れてオン・ディレイ時間を持たせ、Iexが確実にゼロになる励磁電流停止期間TSを発生させればよい。このTSにより、CCSのU1が最大電圧(約5V)を出力し、Q5が完全にオンした状態(ドレイン−ソース間抵抗RDS≒0Ω)となり、D点の電位が約0Vになるので、前述と同様の原理で、C1〜C4の充電が確実に行われることになる。これより、万一Lexが短絡故障したときでも異常動作が防止できる。
【0065】
なお、Q1,Q3のオン・ディレイ時間はCCSの制御応答時間(上記、U1が最大電圧を出力し、Q5が完全にオンするまでの時間)よりも十分に長く、かつ励磁電流立ち上がり時間(Lex正常時)よりも十分に短くしておくのが望ましい。これにより、Lex正常時の励磁電流の立ち上がりを遅らせてしまうことがなく、Lexが短絡故障したときでもC1〜C4の充電が確実に行われ、異常動作が防止できる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、
図5〜
図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電磁流量計1について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示すブロック図である。
図6は、第2の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
図7は、第2の実施の形態にかかる励磁回路の動作を示す信号波形図である。
【0067】
第1の実施の形態では、スイッチング素子Q1,Q3のオンディレイを遅延用の容量素子C1,C2により行う場合を例として説明した。本実施の形態では、CPUからの極性切替信号EXD1,EXD2に加えて、極性切替信号EXD3,EXD4を増やして各スイッチング素子Q1〜Q4をそれぞれ独立に制御できるものとし、このうちQ1,Q3用の極性切替信号EXD1,EXD3の切替タイミングを制御することにより、Q1,Q3のオン・ディレイをCPUで制御する場合について説明する。
【0068】
図6に示すように、本実施の形態にかかる励磁回路13において、フォトカプラPC1〜PC4は、それぞれ個別に設けられた極性切替信号EXD1〜EXD4により、正期間TP/負期間PNに合わせてそれぞれオン/オフが切り替えられる。
この際、EXD1は、正期間TPの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してHighレベルに切り替わるようCPUから出力され、EXD3は、負期間TNの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してHighレベルに切り替わるようCPUから出力される。
【0069】
したがって、PC1は、EXD1により正期間TPの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオフし、これに応じてQ1も正期間TPの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオンする。
また、PC3は、EXD3により負期間TNの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオフし、これに応じてQ3も負期間TNの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオンする。
【0070】
[第2の実施の形態]
このように、本実施の形態は、フォトカプラPC1〜PC4が、それぞれ個別に設けられた極性切替信号EXD1〜EXD4により正期間TP/負期間TNに合わせてそれぞれオン/オフが切り替えられ、このうち、PC1は、EXD1により正期間TPの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオフ(Q1はターンオン)し、PC3は、EXD3により負期間TNの開始時点に所定遅延時間Δtだけ遅延してターンオフ(Q3はターンオン)するようにしたものである。
【0071】
これにより、励磁電流Iexの極性切替時に、Iexが確実にゼロになる励磁電流停止期間TSを発生させることができる。このTSにより、定電流回路CCSのオペアンプU1が最大電圧(約5V)を出力し、Q5が完全にオンした状態(ドレイン−ソース間抵抗RDS≒0Ω)となり、D点の電位が約0Vになるので、前述と同様の原理で、容量素子C1〜C4の充電が確実に行われることになる。これにより、万一励磁コイルLexが短絡故障したときでも異常動作が防止できる。
【0072】
[第3の実施の形態]
次に、
図8〜
図10を参照して、本発明の第3実施の形態にかかる電磁流量計1について説明する。
図8は、第3の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示すブロック図である。
図9は、第3の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
図10は、第3の実施の形態にかかる励磁回路の動作を示す信号波形図である。
【0073】
第1および第2の実施の形態では、励磁用電源電圧VexHLとして、高電圧VexH(30V)と、低電圧VexL(15V)とを電源回路11で生成して励磁回路13へ供給し、これを励磁回路13において、CPUからの電圧切替信号EXHLに基づき切替スイッチSWで切替制御する場合を例として説明した。
本実施の形態では、励磁用電源電圧VexHLの切り替えは行わず、VexHLとしてVexLのみを用い、励磁コイルLexで発生する逆起電力を利用して高電圧VexHを発生させるようにした場合について説明する。
【0074】
図9に示すように、本実施の形態にかかる励磁回路13において、切替スイッチSWに代えて、充電用容量素子CVと逆流防止用ダイオードDVが設けられている。
CVは、一端がスイッチング素子Q1,Q3のドレイン端子のそれぞれに共通して接続されて、他端が接地電位VexCOM(0V)に接続されている。
DVは、アノード端子がVexLに接続され、カソード端子がCVの一端、すなわちQ1,Q3のドレイン端子のそれぞれに共通して接続されている。
【0075】
通常、Lexには、Iexの極性切替時に高い逆起電力が発生する。また、Q1〜Q5としてパワーMOSFETを用いた場合、N1−N2間に発生した逆起電力(VB>VC)は、Q1〜Q5のドレイン−ソース間に存在する寄生ダイオードおよびR5を介してVexHL側に逆流して吸収される。
【0076】
一方、本実施の形態では、逆流防止用ダイオードDVによりVexL側への逆流が防止されるため、負期間TNから正期間TPに切り替わるときにN1−N2間に発生した逆起電力(VB>VC)は、Q1,Q4,Q5のドレイン−ソース間に存在する寄生ダイオードおよびR5を介して充電用容量素子CVに充電される。また、正期間TPから負期間TNに切り替わるときにN1−N2間に発生した逆起電力(VB<VC)は、Q2,Q3,Q5のドレイン−ソース間に存在する寄生ダイオードおよびR5を介してCVに充電される。
【0077】
したがって、Iexの極性切替直後から、高電圧に代えてCVの充電電圧VexCがVexHLとしてQ1,Q3のドレイン端子に供給される。その後、VexCの低下に応じて、ダイオードDVを介してVexLがVexHLとしてQ1,Q3のドレイン端子に供給される。
なお、この逆起電力によりA点,B点、C点の電位VA,VB,VCは100V程度まで大きく上昇するが、Q1〜Q4のゲート−ソース間電圧には全く影響しない。
【0078】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、Q1,Q3の入力端子のそれぞれに共通して接続された充電用容量素子CVで、Iexの極性切替時にLexで発生した逆起電力を充電し、得られた充電電圧VexCを高電圧としてこれらQ1,Q3のドレイン端子に供給し、アノード端子が低電圧VexLに接続され、カソード端子がQ1,Q3のドレイン端子のそれぞれに共通して接続された逆流防止用ダイオードDVで、VexLに対する逆起電力の逆流を防止するとともに、VexCの低下に応じてVexLをこれらQ1,Q3のドレイン端子に供給するようにしたものである。
【0079】
これにより、CVに充電したVexCがVexHLとして再利用されるため、電源回路11から励磁用電源電圧VexHLとしてVexLのみを励磁回路13に供給するだけで、Iexの立ち上がり遅れの発生を回避することができる。また、CVを適切な容量値とすることにより、第1および第2の実施の形態より、Iexの立ち上がりを早めることも可能である。
【0080】
[第4の実施の形態]
次に、
図11〜
図13を参照して、本発明の第4実施の形態にかかる電磁流量計1について説明する。
図11は、第4の実施の形態にかかる電磁流量計の構成を示すブロック図である。
図12は、第4の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
図13は、第4の実施の形態にかかる励磁回路の動作を示す信号波形図である。
【0081】
第1および第2の実施形態では、励磁電流Iexの立ち上がりに関係なく高電圧期間THと低電圧期間TLの比率を一定(50:50)とした場合を例として説明した。
本実施の形態では、高電圧期間TH開始後、励磁電流の立ち上がりを検出時して低電圧期間TLに切り替えるようにした場合について説明する。
【0082】
本実施の形態では、
図11に示すように、制御回路から励磁回路への電圧切り替え信号EXHLは使用せず、代わりに
図12に示すように、励磁電流の立ち上がりを検出する励磁電流検出回路DETが設けられている。
【0083】
DETのU2は、動作電圧VexCCと接地電位VexCOMで動作するコンパレータであり、非反転入力端子が、VexCCとVexCOMの電圧差が抵抗素子R61,R62で分圧された電位に接続されており、反転入力端子が、U1の出力端子に接続されている。U2の出力端子は、インバータ素子U3の入力端子に接続され、抵抗素子R63を介してVexCCに接続されるとともに、容量素子C61を介してVexCOMに接続されている。また、インバータ素子U3の出力端子は、切替スイッチSWに接続され、VexH,VexLのいずれか一方が選択されるようになっている。
【0084】
[第4の実施の形態の動作]
正期間TPにおける励磁極性切り替え直後の時刻T1では、励磁コイルLexのインダクタンスにより、すぐには励磁電流Iexの極性が切り替わらないので、CCSのU1の出力(C点)は最大電圧(約5V≒VexCC)となり、Q5は完全にオンした状態(ドレイン−ソース間抵抗RDS≒0Ω)となる。このため、DETのU2の出力端子、すなわちD点の電位はほぼ0Vとなり、インバータ素子U3の出力がHighレベルとなって、励磁用電源電圧が高電圧VexHとなり、励磁電流Iexの立ち上がりを早められる。
【0085】
この後、Iexが徐々に増して設定値に達するまでの期間では、U1の出力(C点)は最大電圧(約5V≒VexCC)を維持しており、U2の出力(D点)はLowレベルで励磁用電源電圧は高電圧VexHの状態を継続する。
【0086】
次に、時刻T2において、Iexが設定値に達すると、U1とQ5による定電流制御が働くので、C点の電位VCが低下し、U2の出力(オープンコレクタ)が反転してハイ・インピーダンス状態となるが、R63およびC61からなる遅延回路によりインバータ素子U3の出力はHighレベルを維持し、励磁用電源電圧は高電圧VexHの状態を継続する。これにより、Iexが設定値に達して十分に安定するまで遅延回路により、励磁用電源電圧は高電圧VexHのまま待機する。
【0087】
続いて、時刻T3において、C61が充電されてD点の電位VDが上昇し、インバータ素子U3の出力が反転したら励磁用電源電圧は低電圧VexLに切り替わる。
その後、励磁極性切替タイミングである時刻T4に負期間TNが到来するまで、低電圧期間TLが継続される。
これ以降、前述したように正期間TPにおける動作と負期間TNにおける動作とが、交互に繰り返される。
【0088】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、高電圧期間TH開始後、励磁電流の立ち上がりを検出し、安定時間が経過するまで待機してから低電圧期間TLに切り替えているので、励磁電流の立ち上がりを遅らせることがなく、また最短時間で低電圧期間TLに切り替えるようにしたので、第1および第2の実施形態のときよりも定電流回路CCSのQ5の発熱が押さえられ、ヒートシンク等の放熱器を小型化することが可能となる。
また、故障等で励磁コイルLexを交換する場合でも、交換後のLexのインダクタンス値や直流抵抗値に応じて高電圧期間THと低電圧期間TLを再調整する必要がないという効果も得られる。
【0089】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。