(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
防食対象の金属部材と、この金属部材に電気的に導通して取り付けた温度制御可能な犠牲陽極と、前記犠牲陽極の温度を制御する温度制御装置とを備え、前記防食対象の金属部材と前記犠牲陽極を電解質中に配置したことを特徴とする電気防食システム。
前記犠牲陽極を少なくとも加熱または冷却する加熱・冷却部を前記犠牲陽極は有し、前記犠牲陽極の温度を測定する第1の温度検出器を前記犠牲陽極に付設し、前記温度制御装置はこの第1の温度検出器が測定した温度に基づいて前記犠牲陽極が有する加熱・冷却部を用いて前記犠牲陽極温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の電気防食システム。
前記犠牲陽極を少なくとも加熱または冷却する加熱・冷却部を前記犠牲陽極は有し、前記犠牲陽極の温度を測定する第1の温度検出器を前記犠牲陽極に付設し、電解質の温度を測定する第2の温度検出器を電解質中に配置し、前記温度制御装置は、前記第1の温度検出器および前記第2の温度検出器が測定した温度の差が予め定めた範囲になるように前記加熱・冷却部を用いて前記犠牲陽極の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の電気防食システム。
前記犠牲陽極は当該犠牲陽極を少なくとも加熱または冷却する加熱・冷却部を有し、前記犠牲陽極の温度を測定する第1の温度検出器を前記犠牲陽極に付設し、前記犠牲陽極と金属部材間に流れる電流値を測定する電流検出器を設け、前記温度制御装置に前記第1の温度検出器の検出温度に対する前記電流検出器の検出電流の許容範囲の関係を記憶させておき、前記温度制御装置はこの検出温度と検出電流の関係を用いて、前記電流検出器が測定した電流値が許容範囲に入るように、前記加熱・冷却部を制御することを特徴とする請求項1に記載の電気防食システム。
前記電解質が海水であり、前記防食対象の金属部材の材質がステンレス鋼であり、前記犠牲陽極の材質が亜鉛合金であり、前記犠牲陽極の温度を30℃以上であって50℃以下に温度制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気防食システム。
前記電解質が海水であり、前記防食対象の金属部材の材質がステンレス鋼であり、前記犠牲陽極の材質が炭素鋼であり、前記犠牲陽極が前記金属部材よりも低温となるよう前記温度制御装置が前記加熱・冷却部を温度制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気防食システム。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気防食システムを有するポンプ装置であって、前記防食対象の金属部材はこのポンプ装置のケーシングであり、前記ケーシングが電解質に浸漬する部分に前記ケーシングと導通状態で前記犠牲陽極を取り付けたことを特徴とする電気防食システムを有するポンプ装置。
前記電解質が海水であり、前記ケーシングの材質がステンレス鋼であり、前記犠牲陽極の材質が亜鉛合金であり、前記温度制御装置が前記犠牲陽極の温度を30℃以上であって50℃以下に温度制御することを特徴とする請求項7に記載の電気防食システムを有するポンプ装置。
前記電解質が海水であり、前記ケーシングの材質がステンレス鋼であり、前記犠牲陽極の材質が炭素鋼であり、前記犠牲陽極の温度が前記ケーシングの温度よりも低温となるよう前記温度制御装置が前記犠牲陽極の温度を温度制御することを特徴とする請求項7に記載の電気防食システムを有するポンプ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
金属材料を海水中のような腐食が発生しやすい環境下で使用する機器、例えば海水淡水化ポンプ設備の取水ポンプのケーシング材として使用する場合には、金属材料に腐食の発生を抑制する対策として、犠牲陽極方式の電気防食法や外部電源方式の電気防食法、表面被覆法、高耐食性材料法のいずれかを主として用いている。この中で、犠牲陽極方式の電気防食法は、比較的設置が容易で、材料コスト等も廉価な犠牲陽極を対象物に接触させるもので、近年多く使用されている。
【0013】
電気防食法は、腐食作用における電子移動を制御する防食方法である。犠牲陽極方式の電気防食法では、防食の対象となる機器の構造部材として用いられる金属材料に、標準電極電位が低い、すなわちより電位が卑な金属材料を接触させる。標準電位が卑な金属材料は、溶液環境中で防食対象の金属材料と同じ電位になるように金属イオンを溶出し、電子を防食対象の金属材料側に移送する。その際、防食対象の金属材料は、電子供給を受けてアノード溶解反応が減少するカソード側に電位を移動させ、アノード腐食反応を抑制する。この金属材料に接触させる標準電位が低い卑な金属材料が犠牲陽極である。
【0014】
防食対象の金属材料は、鋳鉄や圧延鋼、機械構造用炭素鋼、ダイス鋼、ニッケル鋳鉄等の鉄鋼材料、青銅や黄銅等の銅合金、キュプロニッケルやモネルなどのニッケル基合金である。また、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼、二相系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼等のステンレスの圧延鋼または鋳造鋼も防食対象となる。一方、犠牲陽極の材料としては、炭素鋼やアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれ非鉄金属を主成分とする合金が用いられる。なお、犠牲陽極は溶出反応にともない消耗する。また、構造部材は腐食する可能性を有しているので、防食の対象となる海水ポンプのインペラ等では、標準電位が卑でかつ大面積を有する犠牲陽極に接触させて、腐食を抑制する。
【0015】
このような犠牲陽極を用いた防食システムおよび防食システムを有するポンプ装置の例を、以下図面を用いて説明する。
図1は、海水淡水化システム80を示す図であり、
図1(a)は海水淡水化システム80の一実施例のブロック図である。
図1(b)は、
図1(a)のX部拡大図である。海水淡水化システム80は、ポンプ装置として海水取水ポンプ30を備えている。
【0016】
海水淡水化システム80では、導水路41を通じて海水5を海岸40近くに設けた吸込み槽42に導いている。吸込み槽42には、ポンプ装置30の吸込み部を含む主要部が浸漬されている。ポンプ装置30の吐出側には吐出配管43が接続されており、吐出配管43はポンプ装置30が吸込んだ海水中の砂等の異物をろ過する二層ろ過器44に導かれている。
【0017】
二層ろ過器44で濾過された海水5は、ろ過海水槽45に導かれる。そして、ろ過海水槽45に備えられたポンプ46により、保安フィルタ47に供給される。保安フィルタ47で鉄粒などの異物が除去された海水は、動力回収タービン50が接続された高圧ポンプ49に送られる。高圧ポンプ49で加圧された海水は、配管48を経由してRO膜(逆浸透膜)モジュール52に供給され、塩分等を除去されて真水となって配管53を経て生産水槽54に蓄えられる。一方、RO膜モジュール52で水分を減少させて濃縮された濃縮水は、配管51から動力回収タービン50に導かれ、高圧ポンプ49を駆動する動力の一部として回収される、動力回収タービン50で動力回収されて低圧となった濃縮水は、配管55からこの海水淡水化システム80外に送られる。
【0018】
ここで、詳細を後述するように、ポンプ装置30の揚水管の内外面は海水に浸漬する。また、高圧ポンプ49やポンプ46の内面は、海水に接している。そのため、腐食が発生しやすい環境下にある。さらに、高圧ポンプ49から下流の配管部分は金属配管が用いられており、5MPa以上の内圧で海水が流動している。これらの金属配管では、塩濃度に依存する腐食現象が時間経過とともに発生し、特に、配管結合部であるフランジ部や、表面組織と表面粗さが不均一となる溶接部では反応速度が大きな腐食が進展する場合がある。これらの腐食の発生を防止するために、本発明に係る防食システム70が必要となっている。
【0019】
ポンプ装置30である海水取水ポンプは、本実施例では立軸ポンプであり、先端部に吸込みベルマウス34が取り付けられている。吸込みベルマウス34には、ポンプケーシング33がフランジ接続されており、ポンプケーシング33は下流側で案内羽根32とフランジ接続されている。案内羽根32のさらに下流側には揚水管(コラムパイプ)31がフランジ35でフランジ接続されている。揚水管31の軸方向中間部には、海水取水ポンプ30を固定するためのフランジ39が取り付けられており、フランジ39は吸込み槽42の上部を覆うベース板42aに固定される。吸込みベルマウス34及びポンプケーシング33、案内羽根32、揚水管31は、ケーシングを構成する。
【0020】
一方、ケーシング内部では、回転軸36が鉛直方向に延びており、回転軸36の最下端部には羽根車38が取り付けられており、羽根車ナット等で回転軸36に固定されている。案内羽根32の内周側には案内羽根流路を形成するために下流に行くに従い小径となる案内羽根内壁部37が配置されている。計測部20は、犠牲陽極3や加熱・冷却部11を有している。海水取水ポンプ30に設けた防食システム70の詳細は、後述する。
【0021】
次に、犠牲陽極の消耗量に関する重要な指標である分極曲線について、説明する。以下に、上記犠牲陽極及び陰極となる構造材料のいくつかについて、分極曲線を測定した結果を示す。海水中における金属の電位と電流密度は、固有の分極曲線で定まる。2種の金属が海水中で接すると、2種の分極曲線の交点の電位(混成電位)となり、交点の電流密度で防食電流が流れる。金属の分極は、電解質と金属の界面での電気化学反応に起因する。この電気化学反応が温度に依存するので、分極曲線も温度に依存する。すなわち、温度を制御パラメータとして、他の影響を考慮しながら最適な電気防食システムを設計することが可能になる。
【0022】
図2〜
図5に各材料について、分極特性を測定した結果を示す。分極特性の測定に当たっては、海水として人工海水(八洲薬品製アクアマリン)を使用した。また試験条件は、溶存酸素を大気飽和とし、海水の流速VをV=0(m/s)、pHを8.2に調整した。電気伝導度ECはEC=5(S/m)とした。
【0023】
図2は、ステンレス鋼SUS316Lのカソード分極特性を対数近似したグラフであり、海水温度をパラメータとして測定した結果である。ステンレス鋼SUS316Lは、
図1に示した海水取水ポンプ30の揚水管31等に従来から使用されている材料であり、防食対象の金属候補として試験した。電気防食システムを使用するステンレス鋼SUS316L製の配管の電位、および配管に付設した犠牲陽極の電位から、配管と犠牲陽極間の電流は、
図2に示したカソード分極曲線と後述する犠牲陽極のアノード分極曲線の交点から求まる。
【0024】
ステンレス鋼SUS316Lのカソード分極は、電流密度が10
1(μA/cm
2)程度までは海水温度の違いによる分極電圧の違いはわずかであるが、電流密度が10
1〜10
2(μA/cm
2)間で温度依存性が高くなると共に、その分極電圧の変化量も大きくなる。そして、電流密度が10
2(μA/cm
2)を超えると分極電圧の温度依存性は残るが、変化量は比較的少なくなる。
【0025】
図3に、配管材料の他の候補材である二相ステンレス鋼S31803について、
図2と同様に試験した結果を、カソード分極特性を対数近似したグラフで示す。海水温度をパラメータとした。二相ステンレス鋼S31803は、より耐食性を求められる海水ポンプの材料として利用が進んでいる。この
図3においても、分極電圧は、電流密度が10
1〜10
2(μA/cm
2)間で温度依存性が高くなると共に、その分極電圧の変化量も大きい。また、
図2、
図3のいずれにおいても、分極電圧の変化が大きい電流密度が10
1〜10
2(μA/cm
2)間で、海水温度が40℃の場合に、最も分極電圧が大きくなる。換言すれば、同一の電圧条件では、電流密度が最も小さくなる。
【0026】
図4に、犠牲陽極の候補材である亜鉛合金について、アノード分極特性を対数近似したグラフを示す。海水温度をパラメータとして試験した結果である。試験条件は、カソード分極特性の試験と同じである。亜鉛合金としては、三井住友金属伸銅製のZAP−A(EL)(以下、亜鉛合金と称す)を使用した。この亜鉛合金は、純亜鉛にアルミニウムを合金元素として添加した組成を有している。
【0027】
図4において、同一の電位で比較すると、海水温度が40℃の場合に電流密度が最低になり、海水温度が30〜50℃の場合には、海水温度が20〜25℃の場合に比べ、大幅に電流密度が減少している。したがって、亜鉛合金製の犠牲陽極の場合には、犠牲陽極に接する海水温度が30〜50℃となるようにすれば、犠牲陽極を長寿命化できる可能性があることが分かる。さらに、40℃であれば最も長寿命を期待できる。
【0028】
図5に、犠牲陽極の他の候補材としての炭素鋼のアノード分極特性を対数近似したグラフを示す。海水温度をパラメータにして示している。試験条件は
図4の試験と同じである。炭素鋼として、SS400を使用した。
図5に示した炭素鋼の場合、
図4に示した亜鉛合金の場合と異なり、同一の電位で比較すると、炭素鋼はこの炭素鋼が接する海水温度が低ければ低いほど電流密度が減少している。したがって、炭素鋼を犠牲陽極に使用する場合には、炭素鋼に接する海水温度できるだけ低くすることにより、長寿命化が期待できる。
【0029】
次に上記結果を参照して、陰極材としてオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS316Lを、犠牲陽極として亜鉛合金を使用した例について、発生する電流密度の海水温度による変化を求める具体的な方法を
図6を用いて説明する。
図6は、
図2と
図4を組み合わせることにより得られる。図が煩雑になるのを避けるため、ステンレス鋼SUS316Lの25℃におけるカソード分極の対数近似曲線100と、亜鉛合金の25℃におけるアノード分極の対数近似曲線101を、代表して示す。
【0030】
海水温度25℃、犠牲陽極(亜鉛合金)温度25℃の条件でSUS316Lと亜鉛合金を海水中で短絡させたときの電位と電流密度は、図の交点から−1.074Vと97.0μA/cm
2となる。同様に、亜鉛合金の20℃、30℃、40℃、50℃のアノード分極の対数近似曲線との交点を求めると、カソード曲線100上に記載した黒丸の位置となる。これらの各温度における両曲線の交点から、各温度における電位と電流密度が求まる。
【0031】
ここで、近似式を用いると、計算により速やかに防食時の電位と電流密度を見積もることができる。例えば、25℃におけるカソード曲線100とアノード曲線101の交点付近を、カソード曲線100については下記式1で、アノード曲線101については下記式2で近似する。この両式を、連立方程式として解けば、交点における電位と電流密度が求まる。
【0032】
近似方法としては対数近似のほか、線形近似、多項式近似、指数近似などの方法を使用できる。また、これらの近似式を用いることで有限要素法や境界要素法などの既知の手段により電位分布および電流密度分布をシミュレーションにより求め、設計することができる。なお、分極曲線を近似しないで使用してもよく、その場合高精度に防食時の電位と電流密度を見積もることができる。
【0033】
ここで、犠牲陽極方式の電気防食システムでは、防食対象の金属部材と犠牲陽極の電解質中での電位差を駆動力として電流が発生する。電解質としては、海水以外に淡水、汽水、食塩水、塩水などでもよい。一般に、塩化ナトリウム濃度で区分すると0.05%未満が淡水、0.05%以上0.35%未満が汽水、0.35%以上0.5%未満が食塩水、0.5%以上が塩水と呼称される。海水の塩化ナトリウム濃度は0.24%から2.96%程度であり、海域により濃度差がある。一方、電解質として、任意のイオン種を含む水溶液を適用可能である。
【0034】
上記
図2ないし
図6においては、海水温度と犠牲陽極及び構造材である陰極材の温度がすべて同じである条件で、犠牲陽極に発生する電流密度を求めている。本発明では、犠牲陽極の消耗量を抑制するために、犠牲陽極のみ温度を調整可能にしている。以下に、犠牲陽極の温度を海水温度に対して変化させた場合の試験結果について説明する。
【0035】
図7に、海水取水ポンプを模擬した電気防食システムの試験装置を模式図で示す。
図7(a)は第1の試験装置61の図であり、
図7(b)は第2の試験装置62の図である。双方の試験装置61、62では、陰極材である模擬配管1と犠牲陽極3の双方の表面を、人工海水6に接するようにした。
【0036】
すなわち、第1の試験装置61では、水7が収容されたウォーターバス8内に人工海水6が所定量だけ蓄えられた容器21を設置する。容器21内には、ケーブル15eを支持手段に兼用して配管模擬部材1の試片が吊り下げられている。同様に犠牲陽極3が、ケーブル15fを支持手段に兼用して、容器21内に吊り下げられている。犠牲陽極3の一方の面には、熱伝導シート10を介して加熱・冷却部11が取り付けられている。加熱冷却部11は、ケーブル15bにより制御部13に接続されている。犠牲陽極には、温度検出器12aが付設されており、温度検出器12aが検出した温度情報はケーブル15cを介して制御部13に入力される。制御部13は、ケーブル15aにより電源14に接続されている。配管模擬部材1と犠牲陽極3は、無抵抗電流計9を介して、ケーブル15e、15fで接続されている。
【0037】
第2の試験装置62は、上記第1の試験装置61と同じ構成要素を備えると共に、さらに第2の温度検出器12bも備えている。第2の温度検出器12bは、人工海水6の温度を検出するもので、第2の温度検出器が検出した温度情報は、ケーブル15を用いて制御部13に入力される。
【0038】
なお、上記試験装置61、62では、模擬配管1と犠牲陽極3とを無抵抗電流計9とケーブル15e、15fとを用いて電気的に導通させているが、模擬配管1と犠牲陽極3とを導電性のボルト4で固定したり、直接、模擬配管1と犠牲陽極3を接触させたりすることもできる。これらの構成により、犠牲陽極3は、模擬配管1を模擬配管材料自身の浸漬電位より低くすることができる。
【0039】
第1、第2の試験装置61、62では、温度制御装置17を設け、犠牲陽極3の人工海水6に接している部分の温度を制御できるようにした。温度制御装置17は、犠牲陽極3に付設する計測部20と海水取水ポンプ設置部を模擬した部分に配置される制御部16とを有している。計測部20は、加熱・冷却部11および温度検出器12a、12bで構成され、制御部16は制御部13と電源14で構成される。
【0040】
加熱・冷却部11には、直接人工海水6に触れないようシールした電熱線を用い、犠牲陽極3と熱的に接触する場所に設置した。なお加熱・冷却部11には、ペルチェ素子や熱交換器などを用いることもできる。加熱・冷却部11と犠牲陽極3との間の熱抵抗を減少させるために、図に示すように、熱伝導シート10で接着するのがよい。または、熱伝導グリスを用いてもよい。
【0041】
温度検出器12a、12bには、シース入りの熱電対を用いた。シース入り熱電対の代わりに、シース無しの熱電対や抵抗式温度計など、種々の方法を用いることができる。温度検出器12a、12bで測定した温度情報を制御部13に入力して、フィードバック制御により犠牲陽極3の表面温度を所定の温度に制御した。
【0042】
温度情報は、制御部16に設けた図示しない画像処理装置に付設した表示装置で可視化して表示した。この温度情報は、犠牲陽極3の表面温度を監視するのに使用した。なお、温度情報を記録装置に記録した後、情報として出力することもできるようにした。温度検出器12は、犠牲陽極3が人工海水6と接する部分の温度を測定できるよう、犠牲陽極3が人工海水6と接する面に配置した。この場合、温度検出器12a、12bの面積をできるだけ小さくする。
【0043】
制御部13は、温度検出器12a、12bからの情報に基づき加熱・冷却部11の出力を制御する。電源14は、犠牲陽極3及び制御部13に電力を供給する。制御部13および電源14は、上記試験装置61、62のように犠牲陽極3から離れた部分に設置するのがよく、直接人工海水6に触れない場所に設ける。
【0044】
図8に、第1の試験装置61を用いて防食試験をする際に、温度制御装置17を制御する手順を、フローチャートで示す。なお、第1の試験装置61では、犠牲陽極3が人工海水6に接している部分に、犠牲陽極3の温度を測定する第1の温度検出器12aを設置した。
【0045】
ステップS110で、使用する犠牲陽極3の材質に応じて予め求めた試験範囲の最小値(加熱・冷却部11として加熱手段を用いる場合)または最大値(加熱・冷却部11として冷却手段を用いる場合)となる設定温度T
0を、制御部13から入力する。次に、犠牲陽極3が海水に接している部分に取り付けた第1の温度検出器12aを用いて、犠牲陽極の温度T
1を測定する(ステップS120)。制御部13は加熱・冷却部13を用いて2つの温度T
0、T
1の偏差が少なくなるように温度制御する(ステップS130)。続いて、第1の温度検出器12aを用いて、犠牲陽極の温度T
1’を測定する(ステップS140)。設定温度T
0とT
1’とをステップS150で比較する。2つの温度T
0,T
1’の差が許容温度範囲であれば、フローを終了し、次の温度計測点に移行する。温度差が許容温度範囲外であれば、ステップS120に戻る。全ての計測点での計測が終わったら、試験を終了する。
【0046】
図7(b)に示した第2の試験装置62では、
図7(a)に示した第1の試験装置の構成に加え、犠牲陽極3の近傍の人工海水温度T
2を測定する第2の温度検出器12bを設置した。第2の温度検出器12bには、第1の温度検出器12aと同様のものを用いた。2つの温度検出器12a、12bが検出した温度信号を、制御部13に入力した。この第2の試験装置62を用いた試験では、検出温度の差(絶対値)が所定範囲内になるように、犠牲陽極3の温度を制御部13が制御した。
【0047】
図9に、第2の試験装置62を用いた試験方法を、フローチャートで示す。すなわち、ステップS210で、海水温度T
2を25、30、40、50℃のいずれかにし、使用する犠牲陽極3の材質に応じて予め求めた試験範囲の最小値(加熱・冷却部11として加熱手段を用いる場合)または最大値(加熱・冷却部11として冷却手段を用いる場合)となる温度T
1との差ΔTを、制御部13から入力する。次に、犠牲陽極3の近傍の海水温度T
2を測定する第2の温度検出器12bを用いて海水温度T
2を測定する(ステップS220)。
【0048】
犠牲陽極3が海水に接している部分に取り付けた第1の温度検出器12aを用いて、犠牲陽極の温度T
1を検出する(ステップS230)。制御部13は、加熱・冷却部を用いて、2つの温度T
2、T
1の温度差ΔTが予め定めた値に近づくように温度制御する(ステップS240)。続いて、第1の温度検出器12aを用いて、犠牲陽極3の温度T
1’を測定する(ステップS250)。
【0049】
第2の温度検出器12bが検出した海水温度T
2と犠牲陽極の温度T
1’とを、ステップS260で比較する。2つの温度T
2、T
1’の差が予め定めた温度差ΔTの許容範囲であればフローを終了し、次の温度差ΔTが得られる温度計測点に移行する。2つの温度T
2、T
1’の差が設定温度許容温度範囲外であれば、ステップS230に戻る。全ての計測点での計測が終わった(ステップS260)ら、試験を終了する。
【0050】
以上説明した2つの試験装置及び2つの試験方法を用いて、陰極の配管部材としてステンレス鋼SUS316Lおよび二相ステンレス鋼S31803を、犠牲陽極材として亜鉛合金及び構造用炭素鋼SS400を用いて試験した結果を以下に説明する。
【0051】
(A系列)
陰極材となる模擬配管1にステンレス鋼SUS316Lを、犠牲陽極3に亜鉛合金を用いた場合である。第1の試験装置61及び第1の試験方法を用いて、海水温度T
2を25〜50℃の間で変化させ、犠牲陽極3の温度T
1を20〜50℃の間で変化させた。模擬配管1と犠牲陽極3の間を無抵抗電流計で接続し、模擬配管1と犠牲陽極3間に流れる電流密度を測定した。なお、以下の一連の試験では、ポンプ内部の海水が羽根車から与えられる動力により温度上昇する場合を考慮して、海水温度T
2が50℃まで上昇する場合も試験した。
【0053】
この試験結果をまとめたのが、表2である。表2で「×」印は、犠牲陽極3の動作温度として不適であることを示しており、「〇」印は犠牲陽極3の動作温度として適切であることを、「◎」は犠牲陽極3の動作温度として特に効果が優れていることを示している。犠牲陽極3の動作温度の適/不適は、犠牲陽極3の温度T1を20~50℃の間で変化させた場合に、電流密度が小さくなった範囲を適と判断した。
【0055】
表1に示した通り、試験番号A1〜A20の範囲では、犠牲陽極3の温度T
1が30℃以上であって50℃以下になると、犠牲陽極3の温度T
1が20℃または25℃の場合と比較して、ステンレス鋼SUS316Lの模擬配管1と犠牲陽極の間の電流密度が小さくなった。本陰極材料と陽極材料の組み合わせでは、犠牲陽極3の温度T
1を所定温度よりも高い温度に温度制御すれば、犠牲陽極3の長寿命化を期待できることが分かった。
【0056】
(B系列)
陰極材となる模擬配管1にステンレス鋼SUS316Lを、犠牲陽極に構造用炭素鋼SS400を用いた場合である。第2の試験装置62及び第2の試験方法を用いて、海水温度T
2を25〜50℃の間で変化させ、犠牲陽極3の温度T
1を、冷却手段としてペルチェ素子を用いて10〜50℃の間で変化させた。ここで、犠牲陽極3の温度T
1を検出する第1の温度検出器12aと、海水温度T
2を検出する第2の温度検出器12bが検出した温度信号に基づき、犠牲陽極3の温度T
1を海水温度T
2より低くなるよう温度制御した。さらに、模擬配管1と犠牲陽極3の間を無抵抗電流計で接続し、模擬配管1と犠牲陽極3間に流れる電流密度を測定した。
【0058】
試験結果をまとめて、表4に示す。表4で「×」印は、犠牲陽極3の動作温度として不適であることを示しており、「〇」印は犠牲陽極3の動作温度として適切であることを、「◎」は犠牲陽極3の動作温度として特に効果が優れていることを示している。なお、「−」は、効果が得られないことが予測できたので、試験しなかったことを示している。犠牲陽極3の動作温度の適/不適は、海水温度T
2と犠牲陽極3の温度T
1とが同一であるときの電流密度を基準に、それよりも電流密度が低下していれば適と判断した。
【0060】
表3に示した通り、試験番号B1〜B18において、犠牲陽極3の温度T
1が海水の温度T
2より低い場合は、犠牲陽極3の温度T
1が海水の温度T
2に等しい場合よりも、ステンレス鋼SUS316Lの模擬配管1と犠牲陽極3の間の電流密度が小さくなった。本陰極材料と陽極材料の組み合わせでは、犠牲陽極3の温度T
1を海水の温度T
2よりも低くなるよう温度制御すれば、犠牲陽極3の長寿命化が期待できることが判明した。
【0061】
(C系列)
陰極材となる模擬配管1に二相ステンレス鋼S31803を、犠牲陽極に亜鉛合金を用いた場合である。第1の試験装置61及び第1の試験方法を用いて、海水温度T
2を25〜50℃の間で変化させ、犠牲陽極3の温度T
1を、20〜50℃の間で変化させた。模擬配管1と犠牲陽極3の間を無抵抗電流計で接続し、模擬配管1と犠牲陽極3間に流れる電流密度を測定した。
【0063】
試験結果をまとめて、表6に示す。表6で「×」印は、犠牲陽極3の動作温度として不適であることを示しており、「〇」印は犠牲陽極3の動作温度として適切であることを、「◎」は犠牲陽極3の動作温度として特に効果が優れていることを示している。
【0065】
表1に示した通り、試験番号C1〜C20の範囲では、犠牲陽極3の温度T
1が30℃以上であって50℃以下になると、犠牲陽極3の温度T
1が20℃または25℃の場合と比較して、二相ステンレス鋼S31803の模擬配管1と犠牲陽極3の間の電流密度が小さくなった。本陰極材料と陽極材料の組み合わせでは、犠牲陽極3の温度T
1を所定温度、例えば30℃よりも高い温度に温度制御すれば、犠牲陽極3の長寿命化を期待できることが分かった。
【0066】
(D系列)
陰極材となる模擬配管1に二相ステンレス鋼S30803を、犠牲陽極に構造用炭素鋼SS400を用いた場合である。第2の試験装置62及び第2の試験方法を用いて、海水温度T
2を10〜50℃の間で変化させ、犠牲陽極3の温度T
1を20〜50℃の間で変化させた。犠牲陽極3の温度T
1を、冷却手段を用いて10〜50℃の間で変化させた。ここで、犠牲陽極3の温度T
1を検出する第1の温度検出器12aと、海水温度T
2を検出する第2の温度検出器12bが検出した温度信号に基づき、犠牲陽極3の温度T
1を海水温度T
2より低くなるよう温度制御した。模擬配管1と犠牲陽極3の間を無抵抗電流計で接続し、模擬配管1と犠牲陽極3間に流れる電流密度を測定した。
【0068】
試験結果をまとめて、表8に示す。表8で「×」印は、犠牲陽極3の動作温度として不適であることを示しており、「〇」印は犠牲陽極3の動作温度として適切であることを、「◎」は犠牲陽極3の動作温度として特に効果が優れていることを示している。「−」は、効果が得られないことが予測できたので、試験しなかったことを示している。
【0070】
表7に示した通り、試験番号D1〜D18において、犠牲陽極3の温度T
1が海水温度T
2より低い場合は、犠牲陽極3の温度T
1が海水温度T
2に等しい場合よりも、二相ステンレス鋼S31803と犠牲陽極3の間の電流密度が小さい。本陰極材料と陽極材料の組み合わせでは、犠牲陽極3の温度T
1を海水温度T
2よりも低い温度に温度制御すれば、犠牲陽極3の長寿命化を期待できることが分かった。特に犠牲陽極の温度を10℃まで低下させれば、電流密度が最も小さくなり、犠牲陽極3の長寿命化のために最も好ましい結果が得られた。
【0071】
上記模擬配管1を使用した試験装置61、62は、そのままポンプ装置30の防食システムに適用できる。また、温度制御方法についても、人工海水温度の代わりに海水温度を測定しておけば、犠牲陽極3の温度を設定でき、修正して最適温度制御に使用できる。
【実施例1】
【0072】
以上の第1、第2試験装置61、62を用いた模擬配管1と犠牲陽極との組み合わせ試験結果を反映して、実際のポンプ装置30への応用を考慮した防食システムを、
図10に示す。
図10は、実機に転用可能な防食システムの第3の試験装置63の正面断面図である。
【0073】
図11に、試験装置63を用いた試験方法をフローチャートで示す。まず、
図11(a)に示した、犠牲陽極3を冷却する場合について説明する。すなわち、ステップS310で、使用する犠牲陽極3の材質に応じて予め求めた試験範囲の最小値T
maxおよび最大値T
minを設定し、制御部13から入力する。以降、温度制御ループを開始する。ループの回数はn回目としてカウントし、初期値はn=0とする(ステップS320)。まず、電流検出器9で電流i
0を検出し、第1の温度検出器12aで犠牲陽極3の温度T
0を検出する(ステップS330)。次に、加熱・冷却部11で犠牲陽極を冷却した上で(ステップS340)、n+1回目、すなわち1回目のループに入り(ステップS350)、電流検出器9で電流i
1を検出し、第1の温度検出器12aで犠牲陽極温度T
1を検出する(ステップS360)。i
0とi
1を比較し(ステップS370)、i
1が小さければT
1とT
minを比較し(ステップS380)、T
1の方が高ければ再度加熱・冷却部11で冷却(ステップS340)、T
1の方が低ければ所定の温度範囲に戻すため加熱・冷却部11で加熱(ステップS390)した上で、それぞれn+1回目、すなわち2回目のループに入り(ステップS350)、温度制御を同様に繰り返していく。また、i
1とi
0を比較し(ステップS400)、両者の差が許容温度範囲であれば電流値が最小となったと判断し、犠牲陽極3の温度T
1を維持し(ステップS410)、温度制御フローを終了し、次の温度計測点に移行する。i
1が大きければ冷却過剰と判断し、加熱・冷却部11で加熱した上で(ステップS390)、n+1回目、すなわち2回目のループに入り(ステップS350)、温度制御を同様に繰り返していく。全ての計測点での計測が終わったら、試験を終了する。
なお、
図11(b)に示した、犠牲陽極3を加熱する場合は、
図11(a)の説明における加熱と冷却を逆に読み換えて実施すればよい。但し、ステップS381においては、T
nとT
maxを比較し、T
nの方が低ければ加熱・冷却部11で加熱(S341)、T
nの方が高ければ所定の温度範囲に戻すため加熱・冷却部11で冷却(ステップS391)した上で、それぞれn+1回目のループに入り(ステップS350)、温度制御を同様に繰り返していく。
【0074】
模擬配管1の材料をステンレス鋼SUS316Lとし、犠牲陽極3を亜鉛合金とした(試験番号E1)。犠牲陽極3と模擬配管1の電流値を測定する無抵抗電流計9が検出した電流値がより小さくなるように、加熱・冷却部11を用いて犠牲陽極3の温度を制御する。25℃〜50℃の人工海水6の温度範囲では、犠牲陽極3の温度が30℃〜50℃になると電流密度がより小さくなる。そして、犠牲陽極3の温度が40℃において、電流密度が最小値を示す。
【0075】
模擬配管1の材料をステンレス鋼SUS316Lとし、犠牲陽極3を炭素鋼とした(試験番号E2)。その他の構成は、試験番号E1と同じである。25℃〜50℃の人工海水6の温度範囲では、犠牲陽極3の温度を人工海水6の温度より低い温度とした場合に電流密度がより小さくなる。そして、犠牲陽極3の温度が10℃において、電流密度が最小値を示す。
【0076】
模擬配管1の材料としてステンレス鋼SUS316Lと鋳鉄FC200の2種を用い、犠牲陽極3を亜鉛合金とした(試験番号E3)。ステンレス鋼にはすきま治具を接触させ。すきま部を設けた。さらに、白金電極を用いた外部電源方式の電気防食を組み合わせた。ステンレス鋼と炭素鋼は外部電源に対し電気的に並列で接続し、どちらも防食対象となるようにした。鋳鉄FC200の表面の電流密度が5〜100μA/cm
2となるよう制御して全面腐食を抑制する。ステンレス鋼SUS316Lのすきま部の電流密度が5〜100μA/cm
2となるよう制御して、すきま腐食を抑制する。
【実施例2】
【0077】
図1に示したポンプ装置30に本発明に係る防食システムを適用した場合について、以下に説明する。上記第1の試験装置61を実機に適用する場合である。
図1(b)に示すように、陰極材であるコラムパイプ31と犠牲陽極3の双方の表面を、海水に接するようにする。また、コラムパイプ31と犠牲陽極3には、海水に接していない部分で、導電性のボルト4で固定する。犠牲陽極3は、コラムパイプ31をコラムパイプ材料自身の浸漬電位より低くする。
【0078】
犠牲陽極3の海水に接している部分の温度を制御するために、犠牲陽極3に付設する計測部20と海水取水ポンプ設置部に配置される制御部16とを有する温度制御装置を設ける。計測部20は、加熱・冷却部11および温度検出器12を有し、制御部16は制御部13と電源14とを有している。本実施例で特徴的なのは、コラムパイプ31と犠牲陽極3の電気的導通部における電流値を測定する電流検出器22を有していることである。
【0079】
海水取水用ポンプ30では、コラムパイプ31の外周面部に犠牲陽極3が配設されている。犠牲陽極3は、導電性固定具4でコラムパイプ31と電気的に導通されるとともに固定されている。犠牲陽極3に密着させた熱伝導シート10を介して、加熱・冷却部11が配設されている。
【0080】
さらに、犠牲陽極3の側面には、温度検出器12が配設されている。加熱・冷却部11と温度検出器12は、それぞれケーブル15b、15cで制御部13に接続されている。ケーブル15b、15cは、信号の送受信と電力供給の機能を有する。制御部13は、ケーブル15aで電源14に接続されている。これら加熱・冷却部11、および温度検出器12、制御部13、電源14、ケーブル15a〜15cを総称して温度制御装置と呼ぶ。
【0081】
なお、コラムパイプ31の内面部にも、犠牲陽極3と計測部20を設置する。このとき、ポンプ30内の流れに影響を与えないため、および犠牲陽極3を含む計測部20の脱落を防ぐために、コラムパイプ31の内面に凹部を設け、その内側に犠牲陽極3を含む計測部20を配設する。さらに、凹部のスペースを無駄にしないために、犠牲陽極3の表面とコラムパイプ31の内壁面が同一面上となるようにする。
【0082】
もしくは、コラムパイプ31の内周面に凹部を設ける代わりに、コラムパイプ31に孔を開けて開口部を形成する。そして、この開口部にフランジを配設し、フランジと計測部20を一体としてもよい。この場合、コラムパイプ31とフランジと犠牲陽極3の間を、電気的に導通させる。コラムパイプ31の外周面部と内周面部に電極を設置し、コラムパイプ31と電極間に電圧を印加する外部電源方式電気防食とすることもできる。この場合、コラムパイプ31と電極の間を、絶縁する。
【0083】
以上、本発明について詳述したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能である。