(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザ端末と、ネットワークを構成するネットワークエンティティを含むネットワーク装置と、前記ユーザ端末の通信相手である所定の通信装置とを有する通信システムであって、
前記所定の通信装置が、
前記ネットワーク装置に対して前記ユーザ端末へ制御メッセージを送信することを要求するリクエストメッセージであって、前記ユーザ端末のアプリケーションを識別するアプリケーション識別情報を含むリクエストメッセージを前記ネットワークへ送信するメッセージ送信部を有し、
前記ネットワーク装置が、
前記リクエストメッセージを前記ユーザ端末の通信相手である前記所定の通信装置から受信したとき、前記リクエストメッセージに基づいて生成された前記アプリケーション識別情報を含む制御メッセージを前記ユーザ端末へ送信する制御メッセージ送信部と、
前記所定の通信装置を識別するための情報と、前記ネットワーク装置が前記制御メッセージを前記ユーザ端末へ送信するよう要求する情報とを含む制御メッセージ送信要求を前記ユーザ端末から受信する制御メッセージ送信要求受信部と、
前記制御メッセージ送信部により前記制御メッセージを前記ユーザ端末へ送信するか否かを判断するためのフィルタ情報として、前記制御メッセージ送信要求を保持する制御メッセージ送信要求保持部とを有し、
前記ユーザ端末が、
前記制御メッセージを前記ネットワークから受信する制御メッセージ受信部と、
前記制御メッセージ受信部で前記制御メッセージを受信したとき、前記アプリケーション識別情報によって特定されるアプリケーションを起動するアプリケーション起動部と、
前記制御メッセージ送信要求を前記ネットワーク装置へ送信する制御メッセージ送信要求部とを有する通信システム。
前記アプリケーション起動部で前記アプリケーションを起動したとき、前記アプリケーションの起動を示す応答メッセージを前記ネットワークへ送信する応答メッセージ送信部を更に有する請求項2に記載のユーザ端末。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示技術の第1〜第4の実施の形態について説明する。本開示技術の第1の実施の形態では、特定のパケットの受信に対して制御メッセージ送信要求を登録しているUEは、制御メッセージを受信した際に、制御メッセージ送信要求に関係するアプリケーションを起動する。さらに、本開示技術の第2の実施の形態では、複数のアプリケーションがUEにインストールされている場合に、ベアラID(EPSベアラID、ベアラ識別子)を用いて起動するアプリケーションを特定する。本開示技術の第3の実施の形態では、サーバが送信するパケットの中に、制御メッセージ送信要求を付加する。本開示技術の第4の実施の形態では、アプリケーションA宛のパケットの受信を監視する常駐アプリを使用し、アプリケーションA宛のパケットの受信を検出したら、アプリケーションAを起動する。
【0013】
(第1の実施の形態)
まず、本開示技術の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本開示技術の第1の実施の形態におけるネットワーク構成の一例を示す図である。
図1には、セルラー通信端末であるUE110と、UE110と通信を行うMTCサーバ(以下、単にサーバと記載することもある)130と、UE110とMTCサーバ130を繋ぐセルラー通信網を形成する3GPPネットワーク(以下、単にネットワークと記載することもある)120と、MTCサーバ130において提供されるサービスの管理や制御を実施するMTCユーザ140が描かれている。なお、MTCサーバ130は、3GPPネットワーク120の中に存在していてもよい。
【0014】
ここでは、UE110上にはアプリケーションAがインストールされており、MTCサーバ130とアプリケーションAを用いた通信を行うものとする。UE110は、ネットワーク120に登録されており、ネットワーク120とUE110との間にはアプリケーションA用のパケットを送受信するのに必要なコネクション(PDPコンテキスト(PDP context)/PDNコネクション(PDN Connection))及びベアラが確立されており、UE110はアイドルモード又はコネクティッドモードのいずれかの状態にある。なお、アイドルモードの状態のUE110は、送信回路の動作を停止させているが、ページングと呼ばれる制御メッセージなどを受信するための受信回路を動作させており、当該制御メッセージの受信によって、通常の通信を行うために送信回路及び受信回路の両方を動作させるコネクティッドモードの状態へ移行する。また、UE110は、アイドルモード及びコネクティッドモードのいずれの状態においてもアプリケーションを常時起動させておく必要はなく、コネクションが確立されていたとしても、アプリケーションの終了及び起動を適宜行うことが可能である。また、UE110がACPU(Application CPU)とCCPU(Communication CPU)により構成されている場合、アプリケーションを終了させることでACPUの動作を停止し、CCPUのみを動作させることで、ACPUの動作に伴う消費電力を削減することが可能である。
【0015】
また、MTCサーバ130はUE110に対して、確立済みのコネクション及びベアラを介してパケット(アプリケーションA用のリクエストメッセージ)を送信することができる。なお、本明細書では、UE110の通信相手である通信装置としてMTCサーバ130を想定して説明しているが、UE110の通信相手はMTCサーバ130に限らず、セルラーネットワーク内のノードや他のUE110であってもよい。また、
図1で示す3GPPネットワーク120としては、LTE/SAE、UMTSやGPRS/GSM(登録商標)、さらにはWiMAX(登録商標)やモバイルWiMAXなどを用いてもよいが、その場合の各種エンティティの名称はその仕様に準ずる。
【0016】
図2は、本開示技術の第1の実施の形態におけるUE110及びネットワーク120、サーバ130の動作の一例を示すシーケンス図である。
図2において、まず、UE110はネットワーク120に対して制御メッセージ送信要求を送信する(ステップS201)。この制御メッセージ送信要求は、ネットワーク120がUE110をあて先とする特定のパケット(アプリケーションA用のリクエストメッセージ)をサーバ130から受信したとき、UE110に対して制御メッセージを送信することを要求するメッセージである。UE110は、アプリケーションAが起動されていない場合に、アプリケーションA用のパケットがサーバ130から送信されていることを制御メッセージとして受信するために制御メッセージ送信要求をネットワーク120へ送信する。例えば、UE110がアプリケーションAを終了しているときや、アプリケーションAを終了したとき、まもなくアプリケーションAを終了する場合などに、この制御メッセージ送信要求のメッセージを送信する。なお、後述するように、サーバ130が送信するパケットはトリガリクエストメッセージ(以下では、トリガメッセージとも呼ぶ)であってもよく、制御メッセージの受信によって行われるUE110の動作は、アプリケーションAの起動だけでなく、データ送信の開始やネットワークへの接続、さらにはコネクションの確立などであってもよい。さらには、アプリケーションAが起動されていたとしてもパケットの受信処理による負荷を減らす必要があるときなどにも、制御メッセージ送信要求を送信してもよい。この場合、UE110の動作を引き起こすためのメッセージをコントロールプレーン(C−plane)上のメッセージとすることができるため、ユーザプレーン上のメッセージによるネットワークへの負荷やUE110の処理負荷を減らすことができる。この制御メッセージ送信要求には、サーバ130からのパケット(アプリケーションA用のリクエストメッセージ)を識別するための情報(パケット識別情報)と、そのパケット識別情報(パケットフィルタ)に該当するパケットを受信した際に制御メッセージをUE110へ送信することを要求する情報(制御メッセージ要求)が含まれている。制御メッセージ送信要求を受信したネットワーク120は、制御メッセージ送信要求に含まれている情報をフィルタ情報として保持する。なお、パケット識別情報は、サーバ130からのパケットであることを特定可能とする情報であり、例えば、サーバ130のアドレスやポート番号、アプリケーションを特定するための情報、APN(Access Point Name)などが利用可能である。なお、ネットワーク120は、サーバ130から受信したパケットに該当するパケットフィルタが存在しない場合に、そのパケットが制御メッセージの送信対象であるパケットであると認識するようにしてもよい。この場合、UE110は、制御メッセージの送信対象であるパケットに関するパケットフィルタを削除するためのメッセージをステップS201において送信する。
【0017】
ネットワーク120は、サーバ130からパケットを受信した場合(ステップS202)、このパケットに対して設定されたフィルタ情報の存在(保持)を確認すると、このパケットをバッファリングするとともに、アプリケーションA用のパケットをサーバ130から受信したこと(すなわち、UE110宛のパケットが存在すること)を通知する制御メッセージ(パケット受信通知)をUE110へ送信する(ステップS203)。パケット受信通知を示す制御メッセージをネットワーク120から受信したUE110は、アプリケーションAを起動するとともに(ステップS204)、応答メッセージをネットワーク120へ送信する(ステップS205)。応答メッセージを受信したネットワーク120は、バッファリングしていたパケットをUE110に対して転送する(ステップS206)。UE110は、既にアプリケーションAを起動しているため、転送されたパケットをアプリケーションAで受信及び処理することができる(ステップS207)。なお、UE110に対して送信する制御メッセージの中にパケットの中の情報を含めることができる場合、UE110は、制御メッセージの中の情報に基づいて特定の動作(アプリケーションの起動、データ送信の開始、ネットワークへの接続、さらにはコネクションの確立など)を行うことができるため、ネットワーク120はパケットのバッファリングや転送を実行する必要はない。
【0018】
また、
図3は、本開示技術の第1の実施の形態において、MTCサーバ130からUE110宛のパケットを受信した際のネットワーク120の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図3の処理は、ネットワーク120が、
図2のステップS202でパケットを受信してから、ステップS203で制御メッセージをUE110へ送信するまでに行われる処理に対応している。
図3において、ネットワーク120は、UE110宛のパケットをサーバ130から受信すると(ステップS301)、そのパケットに該当するフィルタ情報が存在するかどうか(ネットワーク120にフィルタ情報が登録されているかどうか)を確認する(ステップS302)。
【0019】
そのパケットに該当するフィルタ情報が存在する場合は、ネットワーク120は、UE110がコネクティッドモードの状態であったとしても、UE110に対してパケットを送信するのではなく、パケットをバッファリングするとともに制御メッセージをUE110へ送信する(ステップS303)。つまり、UE110宛のパケットを送信するためのベアラが存在しており、かつ、UE110がコネクティッドモードであったとしても、そのベアラを用いてUE110に対してすぐにパケットを送信せずに、制御メッセージを送信する。
【0020】
UE110は、制御メッセージを受信すると、アプリケーションAを起動し、制御メッセージに対する応答メッセージを返す。ネットワーク120は、この制御メッセージに対する応答メッセージを受信し(ステップS304)、バッファリングしていたパケットをUE110に対して転送する(ステップS305)。UE110は、既にアプリケーションAを起動しているため、転送されたパケットをアプリケーションAで受信及び処理することができる。なお、ステップS302においてパケットに該当するフィルタ情報が存在しない場合には、UE110がアプリケーションAを既に起動している状態とみなして、パケットをUE110に対してすぐに転送してもよい。また、例えばステップS304において応答メッセージを受信した場合に、ネットワーク120は、このパケットに該当するフィルタ情報を削除してもよい。
【0021】
また、
図4は、本開示技術の第1の実施の形態において、制御メッセージを受信した際のUE110の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図4の処理は、UE110が、
図2のステップS203で制御メッセージを受信した後に実行される処理に対応している。UE110は、制御メッセージを受信すると(ステップS401)、受信した制御メッセージがパケット受信通知を示す制御メッセージであるか否かを確認する(ステップS402)。パケット受信通知を示す制御メッセージである場合は、UE110はアプリケーションAを起動し(ステップS403)、制御メッセージに対する応答メッセージを返信する(ステップS404)。一方、受信した制御メッセージがパケット受信通知ではない場合には、通常の制御メッセージ応答処理を実行する(ステップS405)。UE110は、登録済みのパケットフィルタが存在する場合に、受信した制御メッセージがパケット受信通知であると判断してもよいし、受信した制御メッセージにパケット受信通知であることを示す情報が含まれている場合に、受信した制御メッセージがパケット受信通知であると判断してもよい。
【0022】
なお、制御メッセージ送信要求としては、デフォルトベアラや専用ベアラ(Dedicated Bearer)などの確立や変更をするためのメッセージ(BEARER RESOURCE ALLOCATION REQUEST、BEARER RESOURCE MODIFICATION REQUEST)や、PDPコンテキスト/PDNコネクションの確立や変更をするためのメッセージ(Activate PDP Context Request、Modify PDP Context Request、PDN CONNECTIVITY REQUEST、PDN DISCONNECT REQUEST)、在圏エリア情報を更新するためのメッセージ(Routing Area Update、Tracking Area Update)、サービス要求メッセージ(Service Request)などの既存の制御メッセージ(NAS(Non-Access Stratum)メッセージやAS(Access Stratum)メッセージ)や、専用のメッセージを用いることができる。また、ネットワーク120がUE110に対して送信する制御メッセージとしては、ページングメッセージやCBS(Cell Broadcast Service)、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)やSMS(Short Message Service)などのUE110へ送信可能なブロードキャスト/マルチキャスト/ユニキャストメッセージを用いることができる。また、ネットワーク120がUE110へ送信する制御メッセージとして、基地局が送信するSIB(System Information Block)などの報知情報を用いることもできる。この場合、UE110は、ページングを受信した際に、ページングの中にSIBの変更の有無を示す情報が含まれている場合は、該当するSIBを確認し、そこにパケット受信通知を示す情報が含まれている場合は、アプリケーションAを起動して、応答メッセージを返す。
【0023】
図5は、本開示技術の第1の実施の形態において、ネットワーク120がUE110に対して送信するパケット受信通知を示す制御メッセージとして、ページングメッセージを用いた場合の処理の一例を示すシーケンス図である。UE110は、制御メッセージ送信要求(ページング送信要求)として、例えば、Bearer Modification Request(ベアラ変更要求)メッセージを送信し(ステップS501)、サーバ130からのメッセージに対してページングを送信することを要求する。Bearer Modification Requestメッセージには、ネットワーク120内にTFT(Traffic Flow Template、トラフィックフローテンプレート)として保持される情報として、サーバ130からのパケットを識別するパケット識別情報を含むパケットフィルタと、該当パケットを送信する際に使用するベアラの識別子(EPS Bearer Identifier、ベアラID)と、ページング送信要求が含まれている。Bearer Modification Requestメッセージを受信したネットワーク120は、メッセージに含まれている情報をTFTとして保持する。
【0024】
そして、ネットワーク120は、UE110宛のパケットを受信した際に(ステップS502)、そのパケットに該当するパケットフィルタがある場合は、そのパケットフィルタに関連付けられたベアラIDから送受信に使用するベアラを特定する。通常は、特定されたベアラを用いてパケットを転送するが、本実施の形態のネットワーク120は、パケットフィルタに対してページング送信要求が付加されている場合には、UE110がコネクティッドモードの状態であったとしても、UE110に対してパケットを送信するのではなく、パケットをバッファリングするとともにページングメッセージを送信する(ステップS503)。ネットワーク120からページングメッセージを受信したUE110は、サーバ130からのパケットを受信及び処理するためのアプリケーションAを起動し(ステップS504)、応答メッセージ(サービスリクエストメッセージ)を送信する(ステップS505)。サービスリクエストメッセージを受信したネットワーク120は、バッファリングしていたパケットをUE110に対して転送する(ステップS507)。なお、このとき、例えばバッファリングしていたパケットのソースアドレスをチェックして、このパケットが、UE110から受信したサービスリクエストメッセージに含まれているパケット識別情報と対応しているかどうかを確認してもよい(ステップS506)。UE110は、ステップS504でアプリケーションAを起動しているため、転送されたパケットを受信することができる(ステップS508)。
【0025】
また、
図6は、本開示技術の第1の実施の形態において、ページングメッセージを受信した際のUE110の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、UE110が、
図5のステップS503でページングメッセージを受信してから、ステップS505でサービスリクエストメッセージを送信するまでの処理に対応している。制御メッセージとしてページングメッセージを用いる場合、コネクティッドモードであるUE110は、登録済みのパケットフィルタが存在するか否かを確認し(ステップS602)、登録済みのパケットフィルタが存在する場合は、制御メッセージであるページングメッセージが、サーバ130からパケットを受信したことを示すパケット受信通知であると判断する。そして、パケット受信通知であると判断した場合は、アプリケーションAを起動し(ステップS603)、サービスリクエストメッセージを送信する(ステップS604)。一方、登録済みのパケットフィルタが存在しない場合は、コネクティッドモードであるUE110は、受信したページングの中にETWS(Earthquake and Tsunami Warning service)フラグやSIB(System Information Block)変更フラグがセットされていない限り受信処理を行わない。なお、
図6において、UE110がアイドルモードである場合も同様に、登録済みのパケットフィルタが存在する場合は、アプリケーションAを起動し、サービスリクエストを送信する。一方、パケットフィルタが存在しない場合は、アプリケーションの起動は行わず、サービスリクエストメッセージを送信する。また、制御メッセージとしてSMSを用いた場合は、コネクティッドモードであるUE110がSMSを受信した際に、そのSMSがパケット受信通知であると判断した場合は、アプリケーションAを起動し、SMS受信応答を返す。一方、UE110がアイドルモードである場合は、ページングを受信し、サービスリクエストを送信した後にSMSを受信する。SMS受信応答は、サービスリクエストに限らず、ネットワーク120又はサーバ130宛てのSMSやIPパケットであってもよい。
【0026】
また、
図7は、本開示技術の第1の実施の形態におけるUE110の構成の一例を示すブロック図である。UE110は、インタフェース701、コネクション管理部702、コンテキスト保持部703、制御メッセージ受信部704、アプリケーション制御部705、アプリケーション706を備えている。コネクション管理部702は、UE110がネットワーク120との間に確立したコネクション/ベアラを管理する機能であり、ベアラID(EPSベアラID)の管理を行うとともに、アプリケーション706のパケットを送受信するためのベアラの確立・維持などを行う。また、コネクション管理部702は、アプリケーション制御部705の指示を受け、アプリケーション706に関するパケットに対して制御メッセージ送信要求を生成し、ネットワーク120へ送信する。また、コンテキスト保持部703は、例えば、ネットワーク120に登録しているパケットフィルタの保持・管理などを行う。また、制御メッセージ受信部704は、コネクション管理部702が制御メッセージ送信要求を送信したあとに受信した制御メッセージの受信処理を行う。受信した制御メッセージが、制御メッセージ送信要求によってネットワーク120へ登録されたフィルタ情報に基づいてネットワーク120が送信した制御メッセージである場合は、制御メッセージ受信部704は、アプリケーション制御部705に対して、アプリケーション706を起動するよう指示する。また、アプリケーション制御部705は、アプリケーション706が停止した場合に、コネクション管理部702に対して、アプリケーション706用のパケットに対して制御メッセージ送信要求を送信するよう指示する。
【0027】
なお、本開示技術の第1の実施の形態を実現するUE110は、例えば、サーバ130などの所定の通信装置から送信されたUE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージが存在することを示す制御メッセージをネットワークから受信する制御メッセージ受信部、制御メッセージを受信したときにリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションを起動するアプリケーション起動部、アプリケーションを起動したときにアプリケーションの起動を示す応答メッセージ(制御メッセージに対する応答)をネットワークへ送信する応答メッセージ送信部、ネットワーク装置がアプリケーション宛のリクエストメッセージを受信したときに制御メッセージをUE110へ送信するよう要求する制御メッセージ送信要求を、例えば特定のアプリケーションを終了する際にネットワークへ送信する制御メッセージ送信要求部、アプリケーション宛のリクエストメッセージを識別するための識別情報を前記制御メッセージ送信要求に付加する識別情報付加部などを有しているとも言える。
【0028】
なお、
図7に図示されている各機能ブロック、あるいは、これらの機能ブロックと同等の機能を有する各処理部は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0029】
また、
図8は、本開示技術の第1の実施の形態におけるネットワーク120の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図8はネットワーク120を構成しているネットワークエンティティの機能を模式的に表すものであり、各ネットワークノードに機能が分散していてもよい。ネットワーク120は、インタフェース801、コネクション管理部802、パケット送信部803、パケット受信部804、制御メッセージ送信判断部805を備えている。コネクション管理部802は、UE110との間に確立されているコネクション/ベアラを管理する機能であり、アプリケーションAのパケットを送受信するためのベアラの確立・維持なども行う。また、制御メッセージ送信判断部805は、パケット受信部804から受信パケットを渡された際に、保持しているフィルタ情報に基づき、受信したパケットに一致するフィルタ情報を特定する。特定したフィルタ情報に、制御メッセージ送信要求が含まれている場合には、制御メッセージ送信判断部805は、コネクション管理部802に対してUE110宛の制御メッセージを送信するよう指示する。一方、制御メッセージ送信要求が含まれておらず、かつコネクティッドモードである場合には、制御メッセージ送信判断部805は、ベアラを用いてパケットを送信するようパケット送信部803へ指示する。また、制御メッセージ送信判断部805は、UE110から登録されたパケットフィルタ(フィルタ情報)を含むTFTの保持・管理なども行う。また、パケット受信部804は、MTCサーバ130からUE110宛に送信されたパケットを受信し、受信したパケットを制御メッセージ送信判断部805へ渡す。また、パケット送信部803は、制御メッセージ送信判断部805からの指示を受け、ベアラを用いてパケットを送信する。
【0030】
なお、本開示技術の第1の実施の形態を実現するネットワーク120(ネットワーク装置)は、例えば、サーバ130などの所定の通信装置から受信したUE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージを格納するバッファ、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージが存在することを示す制御メッセージをUE110へ送信する制御メッセージ送信部、UE110でアプリケーションが起動されたことを示す応答メッセージをUE110から受信すると、バッファリングしているUE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージを転送するメッセージ転送部、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージを受信したときに制御メッセージを送信するよう要求する制御メッセージ送信要求を保持する制御メッセージ送信要求保持部、制御メッセージ送信要求に付加されているUE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージを識別するための識別情報に基づいて、制御メッセージを送信すべきUE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージを特定する制御メッセージ送信対象特定部などを有しているとも言える。
【0031】
なお、
図8に図示されている各機能ブロック、あるいは、これらの機能ブロックと同等の機能を有する各処理部は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0032】
また、
図9は、本開示技術の第1の実施の形態において、ネットワーク120内に存在するエンティティを詳細に表したネットワーク構成の一例を示す図である。ネットワーク120は、IWF(Interworking Function、MTC−IWFやプロキシ、DT−GW(Device Trigger Gateway、DT Functionとも呼ばれる)901、PGW(Packet Data Network Gateway)(又はePDG(evolved Packet Data Network Gateway、GGSN(GPRS Gateway Supporting Node))902、SGW(Serving Gateway)903、SGSN(Serving GPRS Supporting Node)/MME(Mobility Management Entity)904(以下、単にMME904と記載する)、eNB(eNodeB、又はNodeB、RNC(Radio Network Controller))905、HLR(Home Location Register)/HSS(Home Subscriber Server)906によって構成される。なお、MTCサーバ130は、3GPPネットワーク120の中に存在していてもよい。また、MTCサーバ130とIWF901間のインタフェースは一般的にMTCspインタフェースと呼ばれる。
【0033】
例えば、MTCサーバ130から送信されたトリガメッセージ又はパケットは、IWF901又はPGW902によって受信される。
図10は、本開示技術の第1の実施の形態におけるIWF901の構成の一例を示すブロック図である。IWF901は、ネットワークへ接続するインタフェース1001、トリガメッセージ受信部1002、メッセージ変換部1003を有している。トリガメッセージ受信部1002は、MTCサーバ130から送信されたトリガメッセージ(C−planeパケット)を受信する。また、メッセージ変換部1003は、MTCサーバ130から受信したトリガメッセージに応じて、UE110をトリガするための方法を選択し、確立済みのベアラを用いる場合は、C−planeのトリガメッセージをU−planeのIPパケットに変換して送信するエンティティである。また、確立済みのベアラを用いてU−planeパケットを送信するのではなく、制御メッセージを送信すると判断した場合は、MTCサーバ130から受信したトリガメッセージの中の情報を含む制御メッセージに変換する。例えば、メッセージ変換部1003は、MTCサーバ130から受信したトリガメッセージに応じて、SMSを用いることを判断した場合は、SMS−SC/IP−SM−GWなどのSMSの送信を担うエンティティに対して、UE110宛てのSMSの送信を指示する。別の例として、CBSを用いることを判断した場合は、CBC(Cell Broadcast Center)などのCBSメッセージの送信を担うエンティティに対して、UE110宛てのCBSメッセージの送信を指示する。
【0034】
なお、
図10に図示されている各機能ブロック、あるいは、これらの機能ブロックと同等の機能を有する各処理部は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0035】
また、
図11は、本開示技術の第1の実施の形態におけるMTCサーバ130の構成の一例を示すブロック図である。MTCサーバ130は、ネットワークへ接続するインタフェース1101、トリガメッセージ送信部1102、アプリケーション1103を有している。トリガメッセージ送信部1102は、アプリケーション1103の指示を受け、UE110宛のトリガメッセージ(パケット)を送信する。その際に、MTCサーバ130が、UE110のIPアドレスを知っている場合は、UE110宛のU−planeのデータパケットとして送信することで、PGW902によって受信される。一方、UE110のIPアドレスを知らない場合は、UE110のID(IMSI(International Mobile Subscriber Identity)や、URI(Uniform Resource Identifier)など)を用いたC−planeのメッセージとしてIWF901へ送信する。なお、IWF901によって行われるメッセージ変換機能を利用できる場合は、MTCサーバ130がUE110のIPアドレスを知っていたとしてもC−planeのメッセージをIWF901へ送信してもよい。
【0036】
なお、本明細書では、MTCサーバ130からネットワーク120へ送信されるメッセージ(PGW902によって受信されるデータパケット(リクエストメッセージ)、又は、IWF901によって受信されるC−Planeのメッセージ)をまとめて、ユーザ端末のアプリケーション宛のメッセージと呼ぶことがある。
【0037】
なお、
図11に図示されている各機能ブロック、あるいは、これらの機能ブロックと同等の機能を有する各処理部は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0038】
次に、
図9に図示されているネットワーク構成に基づいて、本開示技術の第1の実施の形態に係る動作の一例について説明する。
図12は、本開示技術の第1の実施の形態において、IWF901を介してメッセージを送信した場合の一例を示すシーケンス図である。
図12において、UE110は、制御メッセージ送信要求(ページング送信要求)として、Bearer Modification Request(ベアラ変更要求)メッセージを送信し(ステップS1201)、サーバ130からのメッセージに対して制御メッセージ(ページング)を送信することを要求する。Bearer Modification Requestメッセージには、例えば
図16に模式的に示されているように、ネットワーク120内にTFT(Traffic Flow Template、トラフィックフローテンプレート)として保持される情報として、サーバ130からのパケットを識別するパケットフィルタ(パケット識別情報を含む)と、該当パケットを送信する際に使用するベアラ識別子(ベアラID)と、制御メッセージ送信要求(ページング送信要求)が含まれている。Bearer Modification Requestメッセージは、ネットワーク120のPGW902によって受信され、PGW902は、メッセージに含まれている情報をTFTとして保持する(ステップS1202)。PGW902が保持するTFTによって、例えばパケットの送信に使用するベアラ識別子(ベアラID1)と、パケット識別情報(パケットのソースアドレスがサーバAのアドレス)に一致するパケットを受信した場合には制御メッセージ(ページング)の送信を行うことが示される。
【0039】
ここで、MTCサーバ130が、アプリケーションAに関するパケットをUE110へ送信するとする。ここでは、MTCサーバ130は、UE110のIPアドレスを知らないと想定し、MTCサーバ130は、UE110のIDを含むトリガメッセージをIWF901へ送信する(ステップS1203)。IWF901は、受信したトリガメッセージに基づいてIPパケットを生成する(ステップS1204)。具体的には、IWF901は、受信したメッセージを、メッセージ内のIDから特定したUE110のIPアドレスをあて先アドレスとして設定したIPパケットに変換してPGW902へ転送する(ステップS1205)。
【0040】
例えば、PGW902とSGW903の間のインタフェース(S5/S8)としてGTP(GPRS Tunneling Protocol)プロトコルが用いられている場合は、PGW902は、IWF901からUE110宛のパケットを受信した際に、そのパケットに該当するパケットフィルタを検索し、パケットフィルタの中に含まれているページング要求に従って、パケットにページング要求を付加して(ステップS1206)、ページング要求が付加されたパケットをSGW903へ転送する(ステップS1207)。その際、パケットを含むGTPメッセージのGTPヘッダの中にページング要求を付加することが望ましい。
【0041】
SGW903は、ページング要求が付加されているGTPメッセージを受信すると、UE110がコネクティッドモードであったとしても、MME904に対してDDN(DownLink Data Notification)メッセージを送信する(ステップS1208)。つまり、SGW903は、UE110が接続しているeNB905に関する情報を保持していたとしても、ページング要求が付加されている場合には、パケットをeNB905へ転送する代わりに、MME904に対してページングを送信するよう指示する。なお、SGW903は、UE110の動作モード(コネクティッドモード又はアイドルモード)を把握することが可能である。
【0042】
なお、
図12では、PGWとSGWの間のインタフェース(S5/S8)としてGTPプロトコルが用いられている場合が図示されているが、PGWとSGWの間のインタフェース(S5/S8)でPMIP(Proxy Mobile IP)プロトコルが用いられている場合には、PGW902は、IWF901からUE110宛のパケットを受信した際に、そのパケットにGRE(Generic Routing Encapsulation)ヘッダを付加してSGW903宛に転送する。なお、GTPプロトコルが用いられている場合のPGW902及びSGW903の動作の一例は
図13及び
図14を参照しながら、PMIPプロトコルが用いられている場合のSGW903の動作の一例は
図15を参照しながらそれぞれ後述する。
【0043】
MME904は、SGW903からDDNを受信すると、eNB905に対してページングメッセージを送信し(ステップS1209)、それを受けたeNB905はUE110宛のページングを送信する(ステップS1210)。なお、MME904が、コネクティッドモードのUE110に対するDDNメッセージをエラーとして扱ってしまう場合は、SGW903は、DDNメッセージの中にページング要求を付加することによって、ページングの送信を指示することが望ましい。これにより、MME904は、コネクティッドモードのUE110に対するページングメッセージの送信が求められていることを認識することができる。
【0044】
eNB905からページングメッセージを受信したUE110は、
図6で説明したように、自身がコネクティッドモードである場合は、アプリケーションAを起動して(ステップS1211)、サービスリクエストメッセージをページング応答として送信する(ステップS1212)。サービスリクエストメッセージを受信したMME904は、SGW903に対してDDN応答メッセージを送信する(ステップS1214)。そして、DDN応答メッセージを受信したSGW903は、バッファリングしていたパケットをUE110へ転送する(ステップS1216)。UE110は、既にアプリケーションAを起動しているため、転送されたパケットを受信することができる(ステップS1217)。なお、DDN応答メッセージとしては、Modify Bearer Requestメッセージなどを用いることができる。
【0045】
なお、UE110は、例えば
図17に模式的に示されているように、サービスリクエストメッセージの中に、起動したアプリケーションAのパケットの送受信に用いるベアラのベアラID及び/又はパケット識別情報を含めてもよい。この場合、サービスリクエストメッセージを受信したMME904は、メッセージの中のベアラIDと、SGW903から受信したベアラIDが一致した場合に、そのサービスリクエストメッセージが、そのベアラIDで識別されるベアラを用いてパケットの送受信が行われるアプリケーションを起動したコネクティッドモードであるUE110が送信したメッセージであることを認識することができる。MME904は、ベアラIDを含むサービスリクエストメッセージを受信した際に、ベアラIDのチェックを行って(ステップS1213)、DDN応答メッセージをSGW903へ送信するかどうかを決定してもよい。
【0046】
また、MME904からDDN応答メッセージを受信したSGW903は、DDN応答メッセージの中に含まれているパケット識別情報(例えば、サーバ130のアドレス)が、PGW902から受信したGTPメッセージの中のパケットの情報(例えば、パケットのソースアドレス)と一致している場合に、該当するアプリケーションAを起動したUE110が送信したメッセージに基づき送信されたDDN応答メッセージであることを認識することができる。SGW903は、パケット識別情報を含むDDN応答メッセージを受信した際に、パケット識別情報のチェックを行って(ステップS1215)、パケットをUE110へ転送するかどうかを決定してもよい。
【0047】
また、
図13は、本開示技術の第1の実施の形態において、GTPプロトコルが用いられている場合のPGW902の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図13の処理は、
図12のステップS1206でPGW902によって行われる処理に対応している。PGW902とSGW903の間のインタフェース(S5/S8)としてGTP(GPRS Tunneling Protocol)プロトコルが用いられている場合は、
図13に示すように、PGW902は、IWF901又はサーバ130からUE110宛のパケットを受信した際に(ステップS1301)、そのパケットに該当するパケットフィルタを検索する(ステップS1302)。さらに、該当するパケットフィルタが見つかった場合には、パケットフィルタの中にページング要求が含まれているかどうかを確認する(ステップS1303)。パケットフィルタの中にページング要求が含まれている場合には、パケットにページング要求を付加してSGW903へ転送する(ステップS1304)。その際、パケットを含むGTPメッセージのGTPヘッダの中にページング要求を付加することが望ましい。なお、ステップS1303の確認でパケットフィルタの中にページング要求が含まれていなかった場合には、ページング要求を付加せずに、パケットを含むGTPメッセージを送信する(ステップS1306)。また、ステップS1302でパケットフィルタが見つからなかった場合には、デフォルトベアラでパケットを転送するか、あるいは、パケットを廃棄する(ステップS1305)。
【0048】
また、
図14は、本開示技術の第1の実施の形態において、GTPプロトコルが用いられている場合のSGW903の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図14の処理は、
図12のステップS1207でGTPメッセージを受信した後にSGW903によって実行される処理に対応している。
図14において、SGW903は、PGW902からGTPメッセージを受信すると(ステップS1401)、GTPメッセージにページング要求が付加されているかどうかを確認する(ステップS1402)。PGW902から受信したGTPメッセージにページング要求が付加されている場合には、SGW903は、UE110がコネクティッドモードであったとしても、MME904に対してDDN(Down Link Data Notification)メッセージを送信する(ステップS1403)。つまり、SGW903は、UE110が接続中のeNB905に関する情報を保持していたとしてもページング要求が付加されている場合には、パケットをeNB905へ転送する代わりに、MME904に対してページングを送信するよう指示する。この場合、UE110は、ページングを受信すると、アプリケーションを起動してDDN応答メッセージを送信する。SGW903は、UE110からのDDN応答メッセージを待機及び受信した後(ステップS1404)、パケットをeNB905へ転送する(ステップS1405)。
【0049】
一方、PGW902から受信したGTPメッセージにページング要求が付加されていない場合には、UE110がコネクティッドモードかどうかを確認する(ステップS1406)。UE110がコネクティッドモードであった場合は、SGW903は、パケットをeNB905へ転送する(ステップS1405)。一方、UE110がアイドルモードであった場合は、MME904に対してDDNメッセージを送信し(ステップS1407)、DDN応答メッセージを待機及び受信した後(ステップS1408)、パケットをeNB905へ転送する(ステップS1405)。なお、この場合、UE110は、ページングを受信するとアイドルモードからコネクティッドモードに状態を変更するとともに、アプリケーションを起動してDDN応答メッセージを送信する。
【0050】
また、
図15は、本開示技術の第1の実施の形態において、PMIPプロトコルが用いられている場合のSGWの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図15の処理は、
図12のステップS1207において、SGW903が、GTPメッセージではなくGREパケットを受信した後に実行される処理に対応している。PGW902とSGW903の間のインタフェース(S5/S8)でPMIP(Proxy Mobile IP)プロトコルが用いられている場合には、PGW902は、IWF901又はサーバ130からUE110宛のパケットを受信した際に、そのパケットにGREヘッダを付加してSGW903宛に転送する。SGW903は、GREヘッダが付加されたカプセル化パケット(GREパケット)をPGW902から受信すると(ステップS1501)、受信したパケットに該当するパケットフィルタを検索し(ステップS1502)、見つかったパケットフィルタの中にページング要求が付加されているかどうか確認する(ステップS1503)。ページング要求が付加されている場合には、SGW903は、MME904に対してDDNメッセージを送信する(ステップS1504)。つまり、ここでもSGW903は、UE110が接続中のeNB905に関する情報を保持していたとしても、パケットフィルタの中にページング要求が付加されていた場合には、パケットをeNB905へ転送する代わりに、MME904に対してページングを送信するよう指示する。
【0051】
一方、パケットフィルタの中にページング要求が付加されていない場合には、UE110がコネクティッドモードかどうかを確認する(ステップS1505)。UE110がコネクティッドモードであった場合は、SGW903は、通常通り、パケットをeNB905へ転送する(ステップS1506)。一方、UE110がアイドルモードであった場合は、MME904に対してDDNメッセージを送信し(ステップS1507)、DDN応答メッセージを待機及び受信した後(ステップS1508)、パケットをeNB905へ転送する(ステップS1506)。なお、この場合、UE110は、ページングを受信するとアイドルモードからコネクティッドモードに状態を変更するとともに、アプリケーションを起動してDDN応答メッセージを送信する。また、ステップS1502でパケットフィルタが見つからなかった場合には、デフォルトベアラでパケットを転送するか、パケットを廃棄する(ステップS1509)。
【0052】
また、
図23は、本開示技術の第1の実施の形態において、IWF901がMME904に対して直接ページングの送信を指示する場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図12に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0053】
図23に示すように、UE110は制御メッセージ送信要求をIWF901へ送信することも可能である(ステップS2301)。この場合、IWF901が、UE110のパケットフィルタを保持し(ステップS2303)、サーバ130から受信したトリガメッセージが、保持しているパケットフィルタに該当するパケットであった場合は、トリガメッセージをバッファリングするとともに、MME904に対して、UE110宛てのページングを送信するよう指示する(ステップS2305)。そして、UE110がページング受信に応じてアプリケーションを起動して応答メッセージを返した場合、MME904は、ページング要求応答をIWFへ送信する(ステップS2307)。IWF901は、MME904からページング要求応答を受信した場合、バッファリングしていたサーバ130から受信したトリガメッセージをUE110宛てのパケットに変換して送信する(ステップS2309)。パケットは確立済みのコネクション/ベアラを介してUE110へ転送される。なお、IWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージをUE110宛てのSMSとして送信してもよい。
【0054】
なお、UE110は、ページング要求応答をサーバ130へ送信してもよい。この場合、サーバ130は、UE110からページング要求応答を受信した後、UE110宛てにアプリケーションA用のパケットの送信を行う。また、この場合、IWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージのバッファリングを省略してもよい。また、ページングを受信しアプリケーションを起動したUE110は、ページング要求応答を返さずに、パケットの受信を待機していてもよい。この場合、IWF901又はサーバ130は一定時間経過後に、UE110宛てにパケットを転送する。
【0055】
また、
図29は、本開示技術の第1の実施の形態において、IWF901がSMS−SC(SMS Service Center)/IP−SM−GW(IP Short Message Gateway)に対して制御メッセージとしてSMSの送信を指示する場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図23に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0056】
図29に示すように、IWF901が、UE110のパケットフィルタを保持し、サーバ130から受信したトリガメッセージが、保持しているパケットフィルタに該当するパケットであった場合は、トリガメッセージをバッファリングするとともに、SMS−SC/IP−SM−GW910に対して、UE110宛てのSMSを送信するよう指示する(ステップS2901)。そして、SMS−SC/IP−SM−GW910は、UE110に対してSMSを送信し(ステップS2903)、UE110はSMSの受信に応じてアプリケーションを起動する(ステップS2905)。アプリケーションを起動したUE110は、IWF901に対してSMS受信応答を返す(ステップS2907)。IWF901は、UE110から、SMS受信応答を受信した場合、バッファリングしていたサーバ130から受信したトリガメッセージをUE110宛てのパケットに変換して送信する(ステップS2909)。パケットは確立済みのコネクション/ベアラを介してUE110へ転送される。なお、UE110は、SMS受信応答をサーバ130へ送信してもよい。この場合、サーバ130は、UE110からSMS受信応答を受信した後、UE110宛てにアプリケーションA用のパケットの送信を行う。また、この場合、IWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージのバッファリングを省略してもよい。また、SMSを受信しアプリケーションを起動したUE110は、SMS受信応答を返さずに、パケットの受信を待機していてもよい。この場合、IWF901又はサーバ130は一定時間経過後に、UE110宛てにパケットを転送する。
【0057】
なお、UE110は、PGW902又はIWF901に対して、ページングやSMS、CBSなどの特定の制御メッセージを指定した制御メッセージ送信要求を送信してもよいし、特に指定せずに制御メッセージ送信要求を送信してもよい。後者の場合、PGW902又はIWF901が、サーバ130からパケットを受けた際に、どの制御メッセージを用いてUE110をトリガするかを判断する。
【0058】
また、
図31は、本開示技術の第1の実施の形態において、IWF901がCBC913に対して制御メッセージとしてCBSメッセージ(ブロードキャストメッセージ)の送信を指示する場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図23に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0059】
UE110は、IWF901に対して、サーバ130からのトリガメッセージを受信した際にCBSメッセージをUE110宛てに送信することを要求する(ステップS3101)。IWF901は、UE110宛てのトリガメッセージをサーバ130から受信した際に、受信したトリガメッセージが、UE110からCBSメッセージの送信を要求されたトリガメッセージに該当する場合に、ネットワークに対してCBSメッセージ(ブロードキャストメッセージ)を送信するよう要求する(ステップS3103)。なお、サーバ130から受信したトリガメッセージに、UE110へ通知するべき情報(例えば、起動するアプリケーションのIDやメッセージを特定するための情報、APN、サーバのURIやIPアドレスなどの確立するコネクションに関する情報)が含まれている場合には、IWF901は、それらの情報をCBSメッセージの中に含めるよう指示してもよい。CBSメッセージを送信する具体的な方法としては、CBE(Cell Broadcast Entity)であるIWF901はCBC(Cell Broadcast Center)913に対してUE110宛てのCBSメッセージの送信を要求し、CBC913がRNC914及びNodeB915を介してUE110へCBSメッセージを送信する。また、IWF901は、送信するCBSメッセージの中に、受信するUEを識別するIDとして、UE110のIDのみを含めてもよいし、UE110が属するグループのIDを含めてもよい。
【0060】
なお、サーバ130が、あるグループに属している複数のUEに対してトリガメッセージを送信する場合、ページングの代わりにCBSメッセージを用いることで、ネットワークが送信するメッセージがブロードキャストメッセージ1つになるため、複数のページングやSMSなどを送信する必要がなくなり、ネットワークへの負荷を減らせるという効果が得られる。
【0061】
UE110は、自身宛のCBSメッセージを受けた際に、アプリケーションAを起動してから、IWF901に対してCBSメッセージの受信応答を返す(ステップS3105)。CBSメッセージの受信応答を受信したIWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージに基づいて生成したパケットをUE110宛に送信する(ステップS3107)。IWF901へ受信応答を返す方法の具体的な例としては、UE110は、CBSの受信応答をRNC914(LTE/SAEではeNodeB)へ送信する。それを受けたRNC914は、CBC913に対してReport−Successを送信すると、CBC913からAckがIWF901へ送信される。別の例としては、UE110は、CBS受信応答をSGSN912(LTE/SAEではMME)へ送信し、SGSN912がIWF901へAckを送信してもよい。この場合、SGSN912へ送信するメッセージとして、Service Requestを使用することができる。また、Service Requestには、CBSの受信応答であることをSGSN912へ通知するための情報(Information Element)を含めてもよい。
【0062】
IWF901は、UE110がCBSメッセージを受けてネットワークへ接続したことを示すAckを受信すると、サーバ130から受信したトリガメッセージに基づいてIPパケットを生成し、UE110宛てに送信する。以上によって、UE110は、アプリケーションAを起動した状態でアプリケーションA宛のパケットを受信することができるため、アプリケーションを起動する前にパケットを受信した場合に必要なバッファリング処理も不要となる。
【0063】
さらに、本開示技術の第1の実施の形態で説明した手法は、UE110に対してネットワークへの接続を要求する、及び/又は新たなコネクションの確立を要求するためにも有効である。
【0064】
例えば、サーバ130は、UE110と通信をするために、IWF901に対してUE110宛てのトリガメッセージを送信する際に、UE110とサーバ130が存在するネットワークとの間にまだ適切なコネクションが確立されていないと判断される場合、トリガメッセージに制御メッセージ送信要求を付加する。これは、UE110が確立済みのコネクションを持っていたとしても、そのコネクションは上記のトリガメッセージをデータパケットとして転送するのに適していない、あるいはこれから開始する通信のデータ転送に適していないと判断される場合も含んでいる。適していないという意味は、例えば、既存のコネクションのAPN(Access Point Name)と新たに開始する通信のAPNとが異なる場合や、既存のコネクションのQoS(Quality of Service)が新たな通信に合っていない場合などである。
【0065】
これにより、IWF901が、サーバ130から受信したUE110宛てのトリガメッセージに含まれる制御メッセージ送信要求に従って、制御メッセージを用いてトリガメッセージを転送することで、その通信のデータパケットの転送に使用できるコネクションを確立するようUE110に指示することができる。
【0066】
なお、IWF901は、UE110が制御メッセージに応答したことをネットワークから通知された際に、その通知をサーバに130に転送してもよい。この場合、IWF901が、トリガメッセージを基に生成したパケットをUE110宛てに転送するのではなく、UE110の応答の通知を受けたサーバ130が、UE110に対してパケットを送信する。つまり、サーバ130は、UE110のアプリケーションAを起動、又はUE110によるネットワーク接続やコネクションの確立を要求するためにトリガメッセージを送信し、その結果、UE110が制御メッセージに応答したこと(制御メッセージを受信し、アプリケーションAの起動やネットワーク接続、コネクション確立)の通知を受けた後、UE110に対してデータパケットを送信する。これにより、ネットワーク又はIWF901におけるパケットの生成及びバッファリングによる負荷を減らすことができる。
【0067】
なお、サーバ130は、IWF901へ送信するトリガメッセージの中に、このトリガメッセージが、UE110に対してアプリケーションAの起動やネットワーク接続、コネクション確立を要求するためのトリガメッセージであることを意味する情報を含めてもよい。つまり、上記のような情報がトリガメッセージに含まれている場合は、IWF901は、トリガメッセージに基づいて生成したパケットをUE110宛てに送信する必要がないことを認識することができる。
【0068】
なお、本開示技術の第1の実施の形態で説明した手法は、UE110上のアプリケーションを起動するためだけでなく、UE110からのデータ送信(Mobile Originated Data)を要求するために、UE110に対してダウンリンクデータ(Mobile Terminated Data)を送信することが適切でない場合にも有効である。
【0069】
例えば、UE110上で起動されているアプリケーションがダウンリンクデータの受信に対応していないアプリケーションであった場合に本開示技術の第1の実施の形態で説明した手法を用いることができる。アプリケーションがダウンリンクパケットの受信に対応していない場合、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、及び他のUE110から送られてきたデータパケットはPGW902又はUE110によって廃棄されてしまう。例えば、PGW902が保持するTFTにおいて、当該アプリケーション用のパケットにベアラが関連付けられていない場合、PGW902はそのパケットの転送を行わずに廃棄する。本開示技術の第1の実施の形態で説明した手法を用いることができる別の場合として、ダウンリンクデータを用いてUE110に対してデータの送信を指示する場合、複数のUE110に対して同時に指示する場合などは、データトラフィック量が増加してしまうため、ダウンリンクデータを使わずにUE110に対してデータの送信を指示したい、あるいは指示を受けたい場合なども用いることができる。
【0070】
図26は、本開示技術の第1の実施の形態において、制御メッセージとしてページングを用いてUE110からのデータ送信をトリガする場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図12に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。上記のような場合にUE110は、ダウンリンクデータの受信が適切でないアプリケーションに関するパケットを受信した際に制御メッセージを送信することを要求する制御メッセージ送信要求をPGW902へ送信する(ステップS2601)。PGW902は、IWF901から受信したパケットを基に生成したGTPパケットをSGW903へ転送する(ステップS2602)。このGTPパケットは、SGW903に対してUE110宛てのパケットを転送するためのものではなく、UE110に関するDDNの送信を要求するためのものである。従って、SGW903は、PGW902からGTPパケットを受けてMME904へDDNを送信するが、UE110へのパケットの転送は行わない。そして、UE110がページングを受信した際に、UE110のアプリケーションは、このページングをトリガとして、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータの送信を開始する(ステップS2603)。なお、ページングを受信した際にアプリケーションが起動されていない場合は、UE110はアプリケーションを起動した後、データの送信を開始する。また、ページングを受信した際のUE110の別の動作として、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0071】
また、
図27は、本開示技術の第1の実施の形態において、制御メッセージとしてSMSを用いてUE110からのデータ送信をトリガする場合の一例を示すシーケンス図である。UE110は、制御メッセージ(ここではSMS)を送信することを要求する制御メッセージ送信要求をIWF901へ送信し(ステップS2701)、パケットフィルタはIWF901に登録される(ステップS2703)。IWF901は、サーバ130からトリガメッセージを受信した際に、制御メッセージとしてSMSを用いることを判断し、SMS−SC/IP−SM−GW910に対してSMSを送信するよう要求する(ステップS2705)。これにより、例えばSMS−SC/IP−SM−GW910が、UE110に対してSMSを送信する(ステップS2707)。
【0072】
SMSを受信したUE110のアプリケーションは、このSMSの受信をトリガとして、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータの送信を開始する(ステップS2709)。なお、SMSを受信した際にアプリケーションが起動されていない場合は、UE110はアプリケーションを起動した後、データの送信を開始する。また、サーバ130から受信したトリガメッセージに、UE110へ通知するべき情報(例えば、起動するアプリケーションやメッセージを特定するための情報や、APN、サーバのURIやIPアドレスなどの確立するコネクションに関する情報)が含まれている場合には、IWF901は、その情報がSMSメッセージの中に含まれるようにしてもよい。また、アプリAには、起動された直後に送信するべきメッセージがあらかじめ設定されていてもよい。これにより、ダウンリンクデータを用いずにUE110からのデータ送信を要求することができるため、データトラフィック量の増加を防ぐことができる。また、サーバ130が知っているUE110のIPアドレスが変わっていたとしても、UE110からのデータ送信をトリガすることもできる。なお、SMSを受信した際のUE110の別の動作として、SMSに含まれているコネクション確立に必要な情報を用いて、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0073】
また、
図32は、本開示技術の第1の実施の形態において、制御メッセージとしてCBSを用いてUE110からのデータ送信をトリガする場合の一例を示すシーケンス図である。IWF901は、UE110宛てのトリガメッセージをサーバ130から受信した際に、受信したトリガメッセージが、UE110からCBSメッセージの送信を要求されたトリガメッセージに該当する場合に、ネットワークに対してCBSメッセージ(ブロードキャストメッセージ)を送信するよう要求する(ステップS3201)。なお、サーバ130から受信したトリガメッセージに、UE110へ通知するべき情報(例えば、起動するアプリケーションやメッセージを特定するための情報や、APN、サーバのURIやIPアドレスなどの確立するコネクションに関する情報)が含まれている場合には、IWF901は、それらの情報をCBSメッセージの中に含めるよう指示してもよい。CBSメッセージを送信する具体的な方法としては、CBE(Cell Broadcast Entity)であるIWF901はCBC(Cell Broadcast Center)913に対してUE110宛てのCBSメッセージの送信を要求し、CBC913がRNC914及びNodeB915を介してUE110へCBSメッセージを送信する。また、IWF901は、送信するCBSメッセージの中に、受信するUEを識別するIDとして、UE110のIDのみを含めてもよいし、UE110が属するグループのIDを含めてもよい。
【0074】
そのCBSメッセージを受けたUE110は、アプリケーションAを起動した後、アプリケーションAによるデータパケットをサーバ130に対して送信する(ステップS3203)。また、アプリケーションAには、起動された直後に送信するべきメッセージがあらかじめ設定されていてもよい。また、CBSを受信した際のUE110の別の動作として、CBSに含まれているコネクション確立に必要な情報を用いて、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0075】
なお、3GPPネットワーク120内にUE110の情報を管理するノードを設け、UE110は、そのノードに対してフィルタ情報を登録してもよい。この場合、PGW902又はIWF901は、UE110の情報を管理しているノードに問い合わせ、UE110に対して制御メッセージを送信するべきか否かを判断するようにしてもよい。
【0076】
以上説明したように、本開示技術の第1の実施の形態によれば、UE110は、起動していないアプリケーション宛のパケットが届く前に、パケット受信通知を示す制御メッセージを受信することができるため、UE110は、制御メッセージの受信をトリガにしてアプリケーションの起動を行ってから、パケットの受信をすることが可能となる。これにより、アプリケーションを常時起動しておくことによるCPUのパワー、CPUの動作による消費電力やメモリの消費を削減することができる。
【0077】
(第2の実施の形態)
次に、本開示技術の第2の実施の形態について説明する。本開示技術の第2の実施の形態では、複数のアプリケーションを保持するUE110が制御メッセージを受けた際に、どのアプリケーションを起動するべきかを判断できるようにする方法について説明する。
【0078】
図18は、本開示技術の第2の実施の形態において、UE110とネットワーク120の間で確立されるベアラに対して割り当てるベアラIDの一例を示す図である。通常は、1つのベアラに対して1つのIDのみが割り当てられるが、第2の実施の形態におけるUE110は、アプリケーションごとにベアラIDの割り当てを要求する。例えば、ベアラXを用いるアプリケーションとして2つ存在する場合、アプリケーションAにはベアラID1が割り当てられ、アプリケーションBにはベアラID2が割り当てられる。また、ベアラYを用いるアプリケーションCに対してはベアラID3が割り当てられる。これにより、ベアラIDに基づいて、ベアラIDに対応する特定のアプリケーションを識別することが可能となる。なお、各アプリケーションに割り当てられているアプリケーションIDを用いてベアラIDを生成してもよい。この場合、ベアラIDを用いることは、アプリケーションIDを用いることと同等である。
【0079】
図19は、本開示技術の第2の実施の形態において、アプリケーションAとアプリケーションBに関して制御メッセージ送信要求を登録しているときに、サーバBからアプリケーションB用のメッセージを受けた場合における処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、本開示技術の第1の実施の形態とは異なる動作(
図12に図示されているシーケンス図との相違点)について説明し、本開示技術の第1の実施の形態と同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0080】
UE110は、制御メッセージ送信要求によって、複数のベアラIDに対応したパケットフィルタを登録することが可能である。ここでは、例えば、パケット識別情報(サーバAのアドレス)及びベアラID1のページング送信要求と、パケット識別情報(サーバBのアドレス)及びベアラID2のページング送信要求とを含む制御メッセージ送信要求をPGW902へ送信したとする(ステップS1901)。これによって、PGW902は、ベアラXに関するコンテキストの中に、ベアラID1の情報とベアラID2の情報をTFTとして保持する(ステップS1903)。例えばサーバB130又はIWF901からパケットを受信した場合には、PGW902は、TFTに基づいて、サーバB130からUE110宛のパケットにページング要求を付加してSGW903へ送信する(ステップS1905)。その結果、上述の本開示技術の第1の実施の形態と同様に、UE110は、コネクティッド状態であっても、パケット受信通知を示すページングを受信する(ステップS1907)。
【0081】
UE110は、ページングの受信によってアプリケーションを起動する必要があることは分かるが、どのアプリケーションを起動すべきか(この場合、アプリケーションA、Bのどちらか)を特定することはできない。そこで、UE110はページングを受信した際に、ベアラIDの通知を要求するメッセージを送信し(ステップS1909)、その応答としてベアラID2の通知を受ける(ステップS1911)。その結果、UE110は、
図18に図示されている関係に基づき、ベアラID2はアプリケーションBに割り当てられたIDであることが分かるため、UE110はアプリケーションBを起動して(ステップS1913)、サービスリクエストを返す(ステップS1915)。その結果、UE110は、バッファリングされていたパケットをアプリケーションBで受信することができる。
【0082】
また、UE110が正しいアプリケーションを起動する別の方法として、UE110がページングを受信した時間や、タイミングなどに基づいて最も可能性の高いアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションのベアラIDをサービスリクエストに含めて応答してもよい。この場合、UE110は、ベアラIDの問い合わせを行わず、最も可能性の高いアプリケーションを推定して起動し、サービスリクエストを送信する。MME904は、本開示技術の第1の実施の形態におけるMME904と同様に、サービスリクエストの中のベアラIDが、SGW903から受信したDDNメッセージの中のベアラIDと一致している場合は、UE110が正しいアプリケーションを起動していると判断し、DDN応答メッセージをSGW903へ返す。一方、ベアラIDが異なる場合は、MME904は、UE110に対して異なるアプリケーションの起動を求めるため、サービスリクエストに対する応答(起動すべきアプリケーションに割り当てられたベアラIDを含む)をUE110へ送信する。
【0083】
また別の方法として、UE110はページングメッセージを受信した際に、制御メッセージ通知要求の対象として登録しているアプリケーションの全て(ここでは、アプリケーションA、Bの両方)を起動してページング応答を返してもよい。これにより、アプリケーションA又はアプリケーションBのどちらのパケットが転送されてきたとしても、UE110はそのパケットを受信することができる。
【0084】
また、UE110がベアラIDを知る別の方法として、MME904及びeNB905が送信するページングメッセージの中にベアラIDを入れてもよい。これにより、UE110はページングを受けた際にすぐにベアラIDを知ることができ、適切なアプリケーションを起動することができる。さらに別の方法として、本開示技術の第1の実施の形態において
図29を用いて説明したように、UE110をトリガするための制御メッセージとしてSMSを用いた場合、SMSの中にベアラID及び/又はアプリケーションIDなどを入れてUE110へ送信してもよい。この場合、IWF901は、SMS−SC/IP−SM−GW910へ送信するSMS送信要求の中にベアラID及び/又はアプリケーションIDを入れて送信する。これにより、UE110は、SMSを受信した際に、起動するべきアプリケーションを特定し、適切なアプリケーションを起動することができる。また、UE110をトリガするための制御メッセージとして報知情報(SIB)を用いた場合、該当するSIBの中にベアラID及び/又はアプリケーションIDを入れてもよい。
【0085】
以上のように、本開示技術の第2の実施の形態によれば、UE110は、起動すべきアプリケーションが複数存在する場合でも、パケットの受信に必要なアプリケーションを起動することができる。また、特に、各アプリケーションとベアラIDとを関連付けることで、ベアラIDに基づいて、複数のアプリケーションの中から起動すべきアプリケーションを判断することができる。
【0086】
なお、本開示技術の第2の実施の形態を実現するUE110は、第1の実施の形態の構成に加えて、例えば、アプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うためのアプリケーションを特定するための情報をネットワークへ要求するアプリケーション情報要求部、アプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うためのアプリケーションを特定するための情報をネットワークから受信するアプリケーション情報受信部、制御メッセージを受信したときにアプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うためのアプリケーションを推定し、推定されたアプリケーションを起動するアプリケーション推定部、推定されたアプリケーションを示す情報をネットワークへ通知するアプリケーション通知部、推定されたアプリケーションが、アプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションとして適切ではない場合に、アプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションを特定するための情報をネットワークから受信するアプリケーション情報受信部などを更に有しているとも言える。
【0087】
なお、本開示技術の第2の実施の形態を実現するネットワーク120(ネットワーク装置)は、第1の実施の形態の構成に加えて、例えば、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションを特定するための情報をUE110からの要求に応じて送信する情報送信部、UE110が制御メッセージを受信したときにUE110で起動されたアプリケーションを示す情報を受信するアプリケーション情報受信部、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションがUE110で起動されたかどうかを判断するアプリケーション判断部、UE110で起動されたアプリケーションが、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションとして適切ではない場合に、アプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションを特定するための情報をUE110へ送信するアプリケーション情報送信部、UE110のアプリケーション宛のリクエストメッセージの処理を行うアプリケーションを特定するための情報を制御メッセージに付加するアプリケーション特定情報付加部などを有しているとも言える。
【0088】
(第3の実施の形態)
次に、本開示技術の第3の実施の形態について説明する。本開示技術の第3の実施の形態では、UE110がネットワーク120へ制御メッセージ送信要求を送信してフィルタ情報を登録する代わりに、サーバ130がUE110宛に送信するパケットの中に、制御メッセージ送信要求を付加する方法について説明する。
【0089】
図20は、本開示技術の第3の実施の形態において、サーバ130がIWF901へ送信するトリガメッセージの中に制御メッセージ送信要求としてのページング送信要求を付加した場合の処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、本開示技術の第1の実施の形態とは異なる動作(
図12に図示されているシーケンス図との相違点)について説明し、本開示技術の第1の実施の形態と同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0090】
図20において、サーバ130は、トリガメッセージに、制御メッセージ送信指示としてページング送信要求を付加してIWF901へ送信する(ステップS2001)。IWF901は、受信したトリガメッセージの中にページング送信要求が付加されている場合は、パケットにページング送信要求を付加してPGW902へ送信する(ステップS2003)。IWF901からパケットを受信したPGW902は、ページング送信要求が付加されているパケットである場合は、本開示技術の第1の実施の形態と同様に、GTPメッセージにページング要求を付加して送信する(ステップS2005)。なお、PGW902とSGW903の間のインタフェースでPMIPプロトコルが使用されている場合も、本開示技術の第1の実施の形態と同様に、PGW902は、GREヘッダにページング要求を付加して送信する。その結果、UE110は、コネクティッドモードでページングを受けた場合にアプリケーションAを起動して(ステップS2007)、サービスリクエストを送信する(ステップS2009)。なお、UE110がアイドルモードである場合は常にページングを受信するが、アイドルモードである場合にページングを受信した際にもアプリケーションAを起動してから、サービスリクエストを送信してもよい。
【0091】
図30は、本開示技術の第3の実施の形態において、サーバ130がIWF901へ送信するトリガメッセージの中に制御メッセージ送信要求を含め、IWF901がSMSの使用を選択した場合の処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、本開示技術の第1の実施の形態とは異なる動作(
図29に図示されているシーケンス図との相違点)について説明し、本開示技術の第1の実施の形態と同一又は類似の動作については説明を省略する。
【0092】
図30において、サーバ130は、トリガメッセージに、制御メッセージ送信指示を付加してIWF901へ送信する(ステップS3001)。IWF901は、受信したトリガメッセージの中に制御メッセージ送信指示が付加されている場合に、SMSを使用することを選択し、SMS−SC/IP−SM−GW910に対して、UE110宛てのSMSの送信要求を送信する(ステップS3002)。その結果、UE110は、コネクティッドモードでSMSを受けた場合にアプリケーションAを起動して(ステップS3005)、SMS受信応答を送信する(ステップS3007)。なお、UE110がアイドルモードである場合は、ページングを受信し、サービスリクエストを送信した後SMSを受信する。そして、アプリケーションAを起動してからSMS受信応答を送信する。SMS受信応答は、SMSやIPパケットであってもよい。
【0093】
なお、UE110は、SMS受信応答をサーバ130へ送信してもよい。また、SMS受信応答は、MME904やSMS−SC910、IWF901を介してサーバ130へ送信されてもよい。例えば、UE110が送信したSMS受信応答を受けたMME904がSMS−SC910に対してトリガメッセージの送信が完了したことを示す応答(配送レポート)を送信し、さらにSMS−SC910がIWF901に対してその応答を送信してもよい。さらに、トリガメッセージの応答を受けたIWF901は、トリガメッセージの送信元であるサーバ130に対して、その応答(UE110へのトリガメッセージの送信が完了したことを示すメッセージ)を送信してもよい。この場合、サーバ130は、UE110からSMS受信応答を受信した後、UE110宛てにアプリケーションA用のパケットの送信を行う。また、この場合、IWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージのバッファリングを省略してもよい。また、ページングを受信しアプリケーションを起動したUE110は、ページング要求応答を返さずに、パケットの受信を待機していてもよい。この場合、IWF901又はサーバ130は一定時間経過後に、UE110宛てにパケットを転送する。
【0094】
また、
図22は、本開示技術の第3の実施の形態において、IWF901がMME904に対して直接ページングの送信を指示する場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図20に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。
図20との違いは、IWF901が、サーバ130から受信したトリガメッセージの中にページング送信要求が付加されている場合は、MME904に対して、UE110宛てのページングを送信するよう指示する点である(ステップS2201)。そして、IWF901は、MME904からページング要求応答を受信した場合(ステップS2203)、バッファリングしているサーバ130から受信したトリガメッセージをUE110宛てのパケットに変換して送信する(ステップS2205)。パケットは確立済みのコネクション/ベアラを介してUE110へ転送される。
【0095】
また、
図33は、本開示技術の第3の実施の形態において、サーバ130が、トリガメッセージの中にCBSメッセージを使用することを指示する情報(制御メッセージ送信要求)を含めてIWF901へ送信し、IWF901が、CBSの使用を選択する場合の一例を示すシーケンス図である。
【0096】
サーバ130は、トリガメッセージに、制御メッセージ送信指示(CBS送信要求)を付加してIWF901へ送信する(ステップS3301)。IWF901は、受信したトリガメッセージの中に制御メッセージ送信指示が付加されている場合に、CBSを使用することを選択し、ネットワークに対してCBSメッセージ(ブロードキャストメッセージ)を送信するよう要求する(ステップS3303)。なお、サーバ130から受信したトリガメッセージに、UE110へ通知するべき情報(例えば、起動するアプリケーションのIDやメッセージを特定するための情報、APN、サーバのURIやIPアドレスなどの確立するコネクションに関する情報)が含まれている場合には、IWF901は、それらの情報をCBSメッセージの中に含めるよう指示してもよい。CBSメッセージを送信する具体的な方法としては、CBE(Cell Broadcast Entity)であるIWF901はCBC(Cell Broadcast Center)913に対してUE110宛てのCBSメッセージの送信を要求し、CBC913がRNC914及びNodeB915を介してUE110へCBSメッセージを送信する。
【0097】
UE110は、自身を宛先とするCBSメッセージを受信した場合、アプリケーションAを起動し、CBSメッセージの受信応答を、ネットワークを介してIWF901へ返す(ステップS3305)。CBSの受信応答を受けたIWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージに基づいて生成したパケットをUE110へ送信する。IWF901へ受信応答を返す方法の具体的な例としては、UE110は、CBSの受信応答をRNC904へ送信する。それを受けたRNC914が、CBC913に対してReport−Successを送信すると、CBC913からAckがIWF901へ送信される。別の例としては、UE110は、CBS受信応答をSGSN912へ送信し、SGSN912がIWF901へAckを送信してもよい。この場合、SGSN912へ送信するメッセージとして、Service Requestを使用することができる。このService Requestには、CBSの受信応答であることをSGSN912へ通知するための情報(Information Element)を含めてもよい。
【0098】
IWF901は、UE110がCBSメッセージを受けてネットワークへ接続したことを示すAckを受信すると、サーバ130から受信したトリガメッセージに基づいてIPパケットを生成し、UE110宛てに送信する。以上によって、UE110は、アプリケーションAを起動した状態でアプリケーションA宛のパケットを受信することができるため、アプリケーションを起動する前にパケットを受信した場合に必要なバッファリング処理も不要となる。
【0099】
なお、サーバ130は、IWF901へ送信するトリガメッセージの中に、宛先であるUE110が、制御メッセージの受信に対してデータパケットの送信を行うUEであることを示す情報を含めてもよい。この場合、IWF901は、トリガメッセージに基づいて生成したパケットをUE110宛てに送信する必要がないことを認識することができる。
【0100】
なお、
図20、
図30、
図22、及び
図33において、UE110は、アプリケーションAを停止しているときや、アプリケーションAを停止したとき、まもなくアプリケーションAを停止する場合などに、アプリケーションAが停止されたことをサーバ130へ通知するためのアプリケーションメッセージを送信してもよい。さらには、アプリケーションAが起動されていたとしてもパケットの受信処理による負荷を減らす必要があるときなどにも、その旨をサーバ130へ通知してもよい。
【0101】
また、UE110がネットワーク120へ送信したデータコネクションに関する制御メッセージ(コネクション/ベアラ確立メッセージ、サービスリクエスト)が拒絶されたことなどによって、ネットワーク120で輻輳が発生していることを認識した場合に、UE110はサーバ130に対して、データパケットを送信する代わりにトリガメッセージを送信することを要求するメッセージを送信してもよい。もし拒絶メッセージの中に、メッセージの送信ができない時間間隔を示すバックオフタイマが含まれていた場合は、その値をサーバ130へ送信する通知メッセージの中に含めてもよい。この場合、サーバ130は通知メッセージを受けた後にタイマをスタートし、バックオフタイマの値の時間が経過してから、データパケットを送信する代わりにトリガメッセージをUE110へ送信する。
【0102】
サーバ130は、UE110からアプリケーションAの停止通知を受けた場合には、UE110のアプリケーションAが停止されていることを認識できるため、IWF901に対して、UE110宛ての制御メッセージ(ページング、SMS、CBSなど)の送信を要求する情報を含んだトリガメッセージを送信する。これにより、サーバ130は、UE110と通信を開始するときに、アプリケーションAを停止しているUE110に対しては、アプリケーションAに関するデータパケットを送信する代わりに、UE110宛ての制御メッセージを送信することが可能となる。また、IWF901は、UE110が確立済みのコネクション及びベアラを保持していたとしても、確立済みのコネクションを用いてデータパケットとしてトリガメッセージを転送するのではなく、制御メッセージとしてトリガメッセージを送信するべきと判断することができる。これにより、UE110は、アプリケーションAを停止していても、制御メッセージの受信をトリガとしてアプリケーションAを起動することができるため、実際の通信を開始する前にアプリケーションAを適切なタイミングで起動することが可能となる。
【0103】
なお、UE110がサーバ130へ通知するメッセージには、サーバ130がUE110へ制御メッセージ(トリガメッセージとしての制御メッセージ)を送信する必要があることを認識できるように、UE110の識別情報(UEのIDやアプリケーションIDなど)が含まれていてもよい。これにより、サーバ130は、UE110から通知メッセージを受けた際に、UE110から通知された識別情報に対して制御メッセージ送信要求を意味する情報を関連付けて保持することができる。そして、サーバ130は、UE110と通信を開始する際にこの保持情報を参照し、UE110に対してデータパケットではなく制御メッセージを送信する必要があると判断する。
【0104】
なお、IWF901は、UE110が制御メッセージに応答したことをネットワークから通知された際に、その通知をサーバに130に転送してもよい。この場合、IWF901が、トリガメッセージを基に生成したパケットをUE110宛てに転送するのではなく、UE110が応答したことを示すメッセージ通知を受けたサーバ130が、UE110に対してパケットを送信する。つまり、サーバ130は、UE110のアプリケーションAを起動、又はUE110によるネットワーク接続やコネクションの確立を要求するためにトリガメッセージを送信し、その結果、UE110が制御メッセージに応答したこと(制御メッセージを受信したUE110がアプリケーションAの起動やネットワークへの接続、コネクションの確立などを行ったこと)の通知を受けた後、UE110に対してデータパケットを送信する。これにより、ネットワーク又はIWF901におけるパケットの生成及びバッファリングによる負荷を減らすことができる。
【0105】
なお、サーバ130は、IWF901へ送信するトリガメッセージの中に、このトリガメッセージが、UE110に対してアプリケーションAの起動やネットワーク接続、コネクション確立を要求するためのトリガメッセージであることを意味する情報を含めてもよい。つまり、上記のような情報がトリガメッセージに含まれている場合は、IWF901は、トリガメッセージに基づいて生成したパケットをUE110宛てに送信する必要がないことを認識することができる。
【0106】
また、
図28は、本開示技術の第3の実施の形態において、サーバ130が送信するトリガメッセージを模式的に示したものである。サーバ130から送信されるトリガメッセージには、制御メッセージ送信要求(制御メッセージ送信指示)が含まれる。なお、トリガメッセージに含まれる制御メッセージ送信要求は、どのような形で表現されても構わない。例えば、フラグをセットすることで制御メッセージの送信が要求されていることを示してもよいし、IPパケットへの変換に必要な情報であるアプリケーションに関する情報(ポート番号など)が含まれていない場合は、制御メッセージの送信を指示していることを意味するようにしてもよい。さらには、IWF901が2つのアドレスを持っていて、その一方を制御メッセージ送信要求が含まれているトリガメッセージの宛先とし、他方を制御メッセージ送信要求が含まれていないトリガメッセージの宛先として用いることで、区別できるようにしてもよい。なお、制御メッセージ送信要求とは、UE110とネットワークとの間に既に確立されているコネクション(PDPコンテキスト/PDNコネクション)又は新たに確立するコネクションを用いない方法(ページング、SMS、CBSなど)でトリガメッセージをUE110へ転送することを求めていることを意味している。
【0107】
なお、本開示技術の第2の実施の形態で説明した方法を組み合わせることで、本開示技術の第3の実施の形態においても、UE110上に複数のアプリケーションが存在する場合であっても、パケットの受信に必要なアプリケーションを起動することができる。
【0108】
また、本開示技術の第3の実施の形態で説明した手法は、UE110上のアプリケーションを起動するためだけでなく、UE110からのデータ送信(Mobile Originated Data)を要求するために、UE110に対してダウンリンクデータ(Mobile Terminated Data)を送信することが相応しくない場合にも有効である。
【0109】
例えば、UE110上で起動されているアプリケーションがダウンリンクデータの受信に対応していないアプリケーションであった場合に本開示技術の第3の実施の形態で説明した手法を用いることができる。アプリケーションがダウンリンクパケットの受信に対応していない場合、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、及び他のUE110から送られてきたデータパケットはPGW902又はUE110によって廃棄されてしまう。例えば、PGW902が保持するTFTにおいて、当該アプリケーション用のパケットにベアラが関連付けられていない場合、PGW902はそのパケットの転送を行わずに廃棄する。本開示技術の第3の実施の形態で説明した手法を用いることができる別の場合として、ダウンリンクデータを用いてUE110に対してデータの送信を指示する場合、複数のUE110に対して同時に指示する場合などは、データトラフィック量が増加してしまうため、ダウンリンクデータを使わずにUE110に対してデータの送信を指示したい、あるいは指示を受けたい場合なども用いることができる。サーバ130は、UE110が使用しているアプリケーションが上記のような特徴を有しているとの情報に基づき、UE110に対してダウンリンクデータを送信するべきでないことを認識し、以下に説明するように、制御メッセージ送信要求を付加したトリガメッセージをIWF901へ送信する。
【0110】
さらに、本開示技術の第3の実施の形態で説明した手法は、UE110に対してネットワークへの接続を要求する、及び/又は新たなコネクションの確立を要求するためにも有効である。
【0111】
例えば、サーバ130は、UE110と通信をするために、IWF901に対してUE110宛てのトリガメッセージを送信する際に、UE110とサーバ130が存在するネットワークとの間にまだコネクションが確立されていない場合、トリガメッセージに制御メッセージ送信要求を付加する。これは、UE110が確立済みのコネクションを持っていたとしても、そのコネクションは上記のトリガメッセージをデータパケットとして転送するのに適していない、あるいはこれから開始する通信のデータ転送に適していないと判断される場合も含んでいる。適していないという意味は、例えば、既存のコネクションのAPN(Access Point Name)と新たに開始する通信のAPNとが異なる場合や、既存のコネクションのQoSが新たな通信に合っていない場合(リソースやQoSが不十分である場合)などである。なお、サーバ130は制御メッセージ送信要求であるトリガメッセージの中に、UE110へ通知するデータ(アプリケーションデータ)を含めて送信してもよい。この場合、IWF901はデータを含むトリガメッセージ(SMS,CBS,MBMS,ETWS、NASなど)をUE110へ送信するための処理を行う。
【0112】
また、サーバ130はUE110と通信を開始する際に、制御メッセージを用いてトリガメッセージを送信する手段と、アプリケーションに関するデータパケットを用いてトリガメッセージを送信する手段のどちらが適切であるかを任意の観点(コスト、通信料、トラフィック状態、トラフィック負荷、送信メッセージサイズ、送信メッセージ数、セキュリティ強度、アプリケーションタイプなど)で比較し、より適切であると判断された方の手段を選択してもよい。例えば、トリガメッセージをデータパケットとして送信する場合に比べて、制御メッセージとして送信する方の通信料が安い場合や、送信するメッセージ数が少ない(例えば、1つの制御メッセージに複数のUE110の宛先を含めることができる。複数のUE110が属するグループIDを宛先として指定できる)場合は、制御メッセージを用いたトリガメッセージの送信を要求する。通常IPパケットには1つのIPアドレスしか宛先に設定することができないため、複数のUE110に同時にメッセージを送信したい場合は制御メッセージを用いる方が効率的である。
【0113】
また、UE110へ送信するデータをデータパケットとして送信する場合に比べて、制御メッセージに含めて送信する方の通信料が安い場合は、制御メッセージを用いたトリガメッセージの送信を要求する。UE110へ送信するトリガメッセージとして複数の種類(SMS,CBS,MBMS,NAS)がある場合は、どの種類の制御メッセージが適切であるかをさらに判断し、その結果をIWF901へ送信するトリガメッセージの中に付加してもよい。
【0114】
また、SMSやCBSなどのメッセージはリアルタイムな通知を保証するメッセージではないため、サーバ130は、UE110との間で行う通信が非リアルタイムな通信である場合に制御メッセージを用いてトリガメッセージを送信し、リアルタイムな通信である場合はデータパケットを用いると判断してもよい。さらにまた、サーバ130は、トリガメッセージの内容(宛先、送信元、データなど)が時間の経過によって変化しない場合は、制御メッセージを用いてトリガメッセージを送信すると判断してもよい。また、サーバ130は、UE110に対してデータパケットを送ることでUE110のデータ通信用のコネクションを管理しているゲートウェイ(P−GW、S−GW、ePDG)の切り替えが発生する可能性がある場合は、制御メッセージを用いてトリガメッセージを送信すると判断してもよい。
【0115】
また、サーバ130は、UE110に対して送信したいデータ(アプリケーションデータ)のサイズがある規定値を下回る場合は、UE110宛てにデータパケットを直接送信する代わりに、トリガメッセージとしてデータを含む制御メッセージを送信するようIWF901に対して要求してもよい。この場合の規定値とは、UE110に送信されるトリガメッセージの種類(例えば、Mobile Terminated SMS,CBS、NAS)に応じて、含めることができるデータサイズの上限値であってもよい。なお、UE110に対して送信するデータのサイズは、UE110との通信に使用されるアプリケーションから通知された値を用いてもよい。また、そのアプリケーションは、トリガメッセージを送信する前にUE110から受信したアプリケーションデータに基づいて送信するデータのサイズを決定してもよい。
【0116】
また、サーバ130は、UE110から受信したいデータのサイズがある規定値を下回る場合に、UE110宛てにデータパケットを送信する代わりに、トリガメッセージとして制御メッセージを送信するようIWF901に対して要求してもよい。この場合、トリガメッセージを受けたUE110は、サーバ130へ送信するデータをデータパケットとして送信する代わりに、制御メッセージ(Mobile Originated SMS、NAS)に含めてサーバ130へ送信するべきと判断することができる。
【0117】
また、サーバ130は、ネットワーク120においてデータパケットによる輻輳(U-plane congestion)が発生していることを認識した場合に、トリガメッセージとしてデータを含む制御メッセージを送信するようIWF901に対して要求してもよい。一方、サーバ130は、ネットワーク120において制御メッセージによる輻輳(C-plane congestion)が発生していることを認識した場合に、アプリケーションに関するデータパケットをUE110へ直接送信すると判断してもよい。
【0118】
なお、上記で説明したように、サーバ130がIWFに対して制御メッセージを用いたトリガメッセージの送信を要求するべきか、又はアプリケーションに関するデータパケットを直接UE110へ送信するべきかの判断をする際に参照する情報は、トリガメッセージを送信する前にUE110から通知された情報であってもよい。つまり、UE110は、アプリケーションの状態に応じてサーバ130がトリガメッセージの送信方法を選択する際に参照する情報を通知する。
【0119】
なお、UE110がサーバ130へ通知するメッセージには、サーバ130がUE110へ制御メッセージ(トリガメッセージとしての制御メッセージ)を送信する必要があることを認識できるように、UE110の識別情報(UEのIDやアプリケーションIDなど)が含まれていてもよい。これにより、サーバ130は、UE110から通知メッセージを受けた際に、UE110から通知された識別情報に対して制御メッセージ送信要求を意味する情報を関連付けて保持することができる。そして、サーバ130は、UE110と通信を開始する際にこの保持情報を参照し、UE110に対してデータパケットではなく制御メッセージを送信する必要があると判断する。
【0120】
また、上記説明では、サーバ130によって行われる判断を個別に記述しているが、複数の条件に基づいて判断される場合は、優先度の高い条件に基づく判断の結果に従う。
【0121】
これにより、IWF901が、サーバ130から受信したUE110宛てのトリガメッセージに含まれる制御メッセージ送信要求に従って、制御メッセージを用いてトリガメッセージを転送することで、その通信のデータパケットの転送に使用できるコネクションを確立するようUE110に指示することができる。
【0122】
また、
図24は、本開示技術の第3の実施の形態において、制御メッセージとしてページングを用いてUE110からのデータ送信をトリガする場合の一例を示すシーケンス図である。なお、以下では、主に、上述の
図20に図示されているシーケンス図との相違点について説明し、同一又は類似の動作については説明を省略する。上記のような場合にサーバ130は、UE110に対して送信するトリガメッセージに制御メッセージ送信要求を付加したトリガメッセージをIWF901へ送信する(ステップS2401)。IWF901は、制御メッセージとしてページングを用いることを選択し,MME904に対してページングを送信するよう要求する(ステップS2403)。そして、UE110がページングを受信した際に、UE110のアプリケーションは、このページングをトリガとして、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータの送信を開始する(ステップS2405)。なお、ページングを受信した際にアプリケーションが起動されていない場合は、UE110はアプリケーションを起動した後、データの送信を開始する。また、UE110が送信するデータは、IPパケットとして送信されてもよいし、データを含むSMSとして送信されてもよい。また、UE110がアイドルモードである場合は常にページングを受信するが、アイドルモードである場合にページングを受信した際にもサービスリクエストを送信した後、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータ送信を開始してもよい。また、ページングを受信した際のUE110の別の動作として、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0123】
また、
図25は、本開示技術の第3の実施の形態において、制御メッセージとしてSMSを用いてUEからのデータ送信をトリガする場合の一例を示すシーケンス図である。上記のような場合にサーバ130は、UE110に対して送信するトリガメッセージに制御メッセージ送信要求(SMS送信要求)を付加したトリガメッセージをIWF901へ送信する(ステップS2501)。IWF901は、サーバ130からトリガメッセージを受信した際に、制御メッセージとしてSMSを用いることを判断して、ネットワーク120に対してUE110宛てのSMSを送信するよう要求する。具体的には、IWF901は、SMS−SC/IP−SM−GW910に対してSMSを送信するよう要求し(ステップS2503)、これによって、例えばSMS−SC/IP−SM−GW910がUE110に対してSMSを送信する(ステップS2505)。なお、UE110は、MME904によって送信されるDownLink NAS TransportメッセージによってSMSを受信する。
【0124】
SMSを受信したUE110のアプリケーションは、このSMSをトリガとして、サーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータの送信を開始する(ステップS2507)。なお、SMSを受信した際にアプリケーションが起動されていない場合は、UE110はアプリケーションを起動した後、データの送信を開始する。SMSを受信するレイヤ(Service Capability Layer)がSMSに含まれているアプリケーション情報に基づいて適切なアプリケーションを起動する。また、UE110が送信するデータは、IPパケットとして送信されてもよいし、データを含むSMSとして送信されてもよい。また、UE110がアイドルモードである場合は、ページングを受信し、サービスリクエストを送信した後SMSを受信する。そして、SMSを受信した後、データの送信を開始する。これにより、ダウンリンクデータを用いずにUE110からのデータ送信を要求することができるため、データトラフィック量の増加を防ぐことができる。また、サーバ130が知っているUE110のIPアドレスが変わっていたとしても、UE110に対してメッセージを届けることもできる。また、SMSを受信した際のUE110の別の動作として、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0125】
また、
図34は、本開示技術の第3の実施の形態において、サーバ130が、トリガメッセージの中にCBSメッセージを使用することを指示する情報(制御メッセージ送信要求)を含めてIWF901へ送信し、IWF901が、CBSの使用を選択する場合の一例を示すシーケンス図である。
【0126】
サーバ130は、IWF901へ送信するトリガメッセージの中に、CBSメッセージの使用を指示する制御メッセージ送信指示(CBS送信要求)を含めて送信する(ステップS3401)。IWF901は、サーバ130から受信したトリガメッセージの中に、CBSメッセージの使用を指示する情報が含まれていた場合には、ネットワークに対してCBSメッセージを送信するよう要求する(ステップS3403)。なお、サーバ130から受信したトリガメッセージに、UE110へ通知するべき情報(例えば、起動するアプリケーションやメッセージを特定するための情報や、APN、サーバのURIやIPアドレスなどの確立するコネクションに関する情報)が含まれている場合には、IWF901は、それらの情報をCBSメッセージの中に含めるよう指示してもよい。CBSメッセージを送信する具体的な方法としては、CBE(Cell Broadcast Entity)であるIWF901はCBC(Cell Broadcast Center)913に対してUE110宛てのCBSメッセージの送信を要求し、CBC913がRNC914及びNodeB915を介してUE110へCBSメッセージを送信する。また、IWF901は、送信するCBSメッセージの中に、受信するUEを識別するIDとして、UE110のIDのみを含めてもよいし、UE110が属するグループのIDを含めてもよい。UE110は、自身を宛先とするCBSメッセージを受信した場合、アプリケーションAに関するデータパケットをサーバ130へ送信する(ステップS3405)。なお、アプリケーションAがまだ起動されていない場合は、アプリケーションAを起動してからデータパケットをサーバ130へ送信する。また、CBSを受信した際のUE110の別の動作として、ネットワークに対して新たなコネクションの確立を行ってもよい。
【0127】
なお、
図24、
図25、
図34において、UE110は、アプリケーションAを停止(休止)した際に、アプリケーションAが停止されたことをサーバ130へ通知するためのメッセージ(データパケット)を送信してもよい。サーバ130は、UE110からアプリケーションAの停止通知を受けた後にUE110と通信を開始する場合は、UE110宛てのデータパケットを送信するのではなく、UE110宛ての制御メッセージ(ページング、SMS、CBSなど)の送信を要求する情報を含んだトリガメッセージをIWF901へ送信する。なお、UE110がサーバ130へ送信するメッセージは、コネクションを用いたデータパケットによるトリガメッセージの通知ではなく、コネクションを用いない他の方法でトリガメッセージを通知することを求めていることを示す情報を含むメッセージであればその形式は問わない。例えば、アプリケーションAが生成するアプリケーションデータとして送信されてもよい。これにより、サーバ130は、UE110と通信を開始するときに、アプリケーションAを停止しているUE110に対しては、アプリケーションAに関するデータパケットを送信する代わりに、UE110宛ての制御メッセージの送信を要求することが可能となる。一方、制御メッセージ送信要求を含んだトリガメッセージを受信したIWF901は、UE110が確立済みのコネクション及びベアラを保持していたとしても、確立済みのコネクションを用いてデータパケットとしてトリガメッセージを転送するのではなく、制御メッセージとしてトリガメッセージを送信するべきと判断することができる。また制御メッセージを受けたUE110は、制御メッセージ受信部704及びアプリケーション制御部705が、制御メッセージに含まれている情報(アプリケーションIDなど)を基に適切なアプリケーションAを起動し、起動されたアプリケーションAは必要なデータパケットを送信してサーバ130との通信を開始する。
【0128】
このように、UE110がアプリケーションAを停止している際には、サーバ130から送信されたトリガメッセージをデータパケットとして受けるのではなく、制御メッセージとして受けることができるため、アプリケーションAを起動するなどの適切な処理を実行することができる。なお、上記UE110がサーバ130へ送信するメッセージによって通知される情報がHLR/HSS906に保持されている場合は、IWF901はHLR/HSS906を参照してUE110の情報を取得し、その情報が制御メッセージを使用することを指示している場合は、サーバ130から受けたトリガメッセージを制御メッセージとしてUE110へ送信するべきと判断してもよい。
【0129】
図35は、UE110からのアプリケーションの停止通知を受け、サーバ130がCBS送信要求をトリガメッセージに含めて送信する場合のシーケンスを表したものである。なお、
図35は、
図34に示すシーケンスにおいて、UE110がアプリケーションAを停止した際にアプリA停止通知メッセージを送信することで(ステップS3501)、サーバ130は、UE110のアプリケーションAが停止されていることを認識し、例えば、UE110と通信を開始する際にトリガメッセージを送信することができる場合が図示されている。
図24及び
図25に示すシーケンスにおいても同様に、UE110がアプリケーションAを停止した際にアプリA停止通知メッセージを送信することで、サーバ130が、UE110のアプリケーションAが停止されていることを認識できるため、データパケットとしてトリガメッセージを送信するのではなく、ページング又はSMSとしてトリガメッセージを送信することができる。これにより、UE110は、アプリケーションAを停止していても、制御メッセージの受信をトリガとしてアプリケーションAを起動することができるため、実際の通信を開始する前にアプリケーションAを適切なタイミングで起動することが可能となる。
【0130】
なお、本開示技術の第3の実施の形態においても、本開示技術の第1の実施の形態で説明したように、ネットワーク120がUE110へ送信する制御メッセージとして、基地局が送信するSIB(System Information Block)などの報知情報を用いることもできる。この場合、UE110は、ページングを受信した際に、ページングの中にSIBの変更の有無を示す情報が含まれている場合は、該当するSIBを確認し、そこにパケット受信通知を示す情報が含まれている場合は、アプリケーションAを起動して応答メッセージを返すか、又はサーバ130やセルラーネットワーク内のノード、他のUE110に対してデータの送信を開始する。
【0131】
また、サーバ130は、PGW902又はIWF901に対して、ページングやSMSなどの特定の制御メッセージを指定したトリガメッセージを送信してもよいし、特に指定せずにトリガメッセージを送信してもよい。後者の場合、PGW902又はIWF901が、サーバ130から制御メッセージ送信要求が付加されたトリガメッセージを受けた際に、どの制御メッセージを用いてUE110をトリガするかを判断する。また、サーバ130は、本開示技術の第1の実施の形態におけるUE110のように、PGW902又はIWF901に対してフィルタ情報を登録してもよい。この場合、サーバ130は、トリガメッセージに制御メッセージ送信要求を付加する必要はない。また、3GPPネットワーク120内にUE110の情報を管理するノードを設け、サーバ130は、そのノードに対してフィルタ情報を登録してもよい。この場合、PGW902又はIWF901は、UE110の情報を管理しているノードに問い合わせ、UE110に対して制御メッセージを送信するべきか否かを判断するようにしてもよい。
【0132】
以上説明したように、本開示技術の第3の実施の形態によれば、UE110に対してデータ送信を要求するためのデータパケットが不要となるため、ネットワークトラフィックを削減することができる。また、起動していないアプリケーションに対するデータパケットの送信要求をUE110へ通知することが可能となるため、UE110は、制御メッセージの受信をトリガにしてアプリケーションの起動を行ってから、パケットの送信をすることが可能となる。これにより、アプリケーションを常時起動しておくことによるCPUのパワー、CPUの動作による消費電力やメモリの消費を削減することができる。
【0133】
(第4の実施の形態)
次に、本開示技術の第4の実施の形態について説明する。
図21は、本開示技術の第4の実施の形態において、UE110上に、アプリケーションA宛のパケットが届いたことを検出する常駐アプリケーションを使用する方法の一例を示す図である。
図21に示すように、UE110上にはアプリケーションAで使用するポート番号(例えばポート番号777)を監視するアプリを常駐させる。このポート監視アプリは、監視対象のポート番号宛にパケットが届いたことを検出した場合、そのポート番号を使用しているアプリケーションを起動し、届いたパケットを起動したアプリケーションへ渡す。このポート監視アプリは、他のアプリケーションにも汎用的に使用できるため、個々のアプリケーションを起動する代わりにこのポート監視アプリを起動するだけでよいため、CPUのパワー、CPUの動作による消費電力やメモリの消費を抑えることができる。
【0134】
本開示技術の一態様は、ネットワークを介して、所定の通信装置と通信を行うユーザ端末であって、
前記所定の通信装置から送信されたリクエストメッセージであって、前記ユーザ端末のアプリケーションを識別するアプリケーション識別情報を含むリクエストメッセージに基づいて生成された前記アプリケーション識別情報を含む制御メッセージを前記ネットワークから受信する制御メッセージ受信部と、
前記制御メッセージ受信部で前記制御メッセージを受信したとき、前記アプリケーション識別情報によって特定されるアプリケーションを起動するアプリケーション起動部とを、
有するユーザ端末を含むことができる。
上記の構成により、ユーザ端末は、サーバや他のユーザ端末などの通信相手端末からアプリケーション用のメッセージが送られてくる前に、当該アプリケーション用のメッセージの受信及び処理を行うためのアプリケーションを起動できるようになる。
【0135】
また、本開示技術の一態様では、ユーザ端末は、前記アプリケーション起動部で前記アプリケーションを起動したとき、前記アプリケーションの起動を示す応答メッセージを前記ネットワークへ送信する応答メッセージ送信部を更に有していてもよい。
【0136】
また、本開示技術の一態様では、ユーザ端末は、前記所定の通信装置が前記リクエストメッセージを前記ネットワークに送信するよう要求する制御メッセージ送信要求を前記所定の通信装置へ送信する制御メッセージ送信要求部を更に有していてもよい。
【0137】
また、本開示技術の一態様では、ユーザ端末において、前記ユーザ端末において特定のアプリケーションを終了する際に、前記制御メッセージ送信要求部が、前記制御メッセージ送信要求を前記所定の通信装置へ送信してもよい。
【0138】
また、本開示技術の一態様では、ユーザ端末は、前記ユーザ端末のアプリケーション宛のメッセージを識別するための識別情報を前記制御メッセージ送信要求に付加する識別情報付加部を更に有していてもよい。
【0139】
また、本開示技術の一態様では、ユーザ端末は、前記制御メッセージとしてSMSを利用してもよい。
【0140】
また、本開示技術の一態様は、ネットワークを介して、ユーザ端末と通信を行う通信装置であって、
前記ネットワークを構成するネットワークエンティティを含むネットワーク装置に対して前記ユーザ端末へ制御メッセージを送信することを要求するリクエストメッセージであって、前記ユーザ端末のアプリケーションを識別するアプリケーション識別情報を含むリクエストメッセージを前記ネットワークへ送信するメッセージ送信部を有する通信装置を含むことができる。
上記の構成により、ユーザ端末は、サーバや他のユーザ端末などの通信相手端末からアプリケーション用のメッセージが送られてくる前に、当該アプリケーション用のメッセージの受信及び処理を行うためのアプリケーションを起動できるようになる。
【0141】
また、本開示技術の一態様では、通信装置は、前記制御メッセージの受信に基づいて前記ユーザ端末でアプリケーションが起動されたことを示す応答メッセージを前記ユーザ端末から受信すると、前記アプリケーションに関するデータパケットを前記ユーザ端末へ転送するメッセージ転送部を更に有していてもよい。
【0142】
また、本開示技術の一態様では、通信装置は、前記リクエストメッセージを前記ネットワークに送信するよう要求する制御メッセージ送信要求を前記ユーザ端末から受信したとき、前記制御メッセージ送信要求を保持する制御メッセージ送信要求保持部を更に有し、
前記前記ユーザ端末と通信を開始するとき、前記制御メッセージ送信要求保持部に前記制御メッセージ送信要求が保持されている場合に、前記メッセージ送信部が、前記リクエストメッセージを前記ネットワークへ送信してもよい。
【0143】
また、本開示技術の一態様では、通信装置において、前記メッセージ送信部は、前記ユーザ端末から受信した制御メッセージ送信要求に基づいて、前記リクエストメッセージを前記ネットワーク装置へ送信してもよい。
【0144】
また、本開示技術の一態様では、通信装置は、前記制御メッセージとしてSMSを利用することを要求してもよい。
【0145】
なお、例えば、上記の本開示技術の各態様は適宜組み合わせることが可能である。また、本開示技術の一態様は、通信システム、ユーザ端末、通信装置に加えて、ネットワークを構成するネットワークエンティティを含むネットワーク装置、ユーザ端末や通信装置あるいはネットワーク装置によって実行される方法、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び、このプログラムを記録した記録媒体などによって実現されてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックや各処理部は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせによって実現されてもよい。例えば、
図7、8、10、11などに図示されている各装置に含まれる機能ブロック、あるいは、同等の機能を有する各処理部は、任意のコンピュータのCPU及びメモリなどのハードウェアによって実現されてもよい。また、各機能に係る動作が記述されたプログラムをコンピュータによって実行させることで、各機能ブロックや各処理部が実現されてもよい。
【0147】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適用などが可能性としてあり得る。