特許第6023085号(P6023085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6023085工具位置を感知する感知手段を備えた製造デバイス及びセットアップ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023085
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】工具位置を感知する感知手段を備えた製造デバイス及びセットアップ方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   B21D5/02 F
   B21D5/02 G
【請求項の数】24
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-552061(P2013-552061)
(86)(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公表番号】特表2014-504555(P2014-504555A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】AT2012050014
(87)【国際公開番号】WO2012103565
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】A129/2011
(32)【優先日】2011年2月1日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100182660
【弁理士】
【氏名又は名称】三塚 武宏
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】アルフレット ハゼルボーク
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−001437(JP,A)
【文献】 特開平09−295064(JP,A)
【文献】 特開2004−280529(JP,A)
【文献】 特開2009−285713(JP,A)
【文献】 特開2005−074446(JP,A)
【文献】 特開2009−113082(JP,A)
【文献】 特開平03−208585(JP,A)
【文献】 特開昭57−199522(JP,A)
【文献】 特開平07−108324(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0042339(US,A1)
【文献】 特開平09−052124(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01600257(EP,A1)
【文献】 実開平03−111412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B25J 9/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定式のベンチ梁(8)及びベンチ梁(8)に対して移動可能なプレス梁(9)の曲げ工具(13)間において曲げ成形されたワークピースを製造する曲げプレス機(2)と、
工具マガジン(4)と、
前記曲げ工具(13)を把持する把持デバイス(17)を有する取扱デバイス(3)と、
少なくとも1つの移動可能な多軸式の停止フィンガー(28)を有する停止デバイス(23)と、
制御監視デバイス(24)と、を備える製造デバイス(1)であって、
前記停止デバイス(23)は、前記制御監視デバイス(24)のコンパレータ回路(46)に接続されて前記曲げ工具(13)の実際の位置データを決定する測定センサシステム(44)及び少なくとも1つの測定手段(43)を備え
基準位置(34)に移動された前記曲げ工具(13)が、前記停止フィンガー(28)の少なくとも1つとの接触に基づいて検出されることによって、前記実際の位置データが検出され、前記停止フィンガー(28)が前記曲げ工具(13)に対して移動される、製造デバイス(1)。
【請求項2】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、測定手段(43)として前記停止フィンガー(28)に付与された少なくとも1つの力測定センサを備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項3】
前記力測定センサは、前記停止フィンガーの少なくとも1つの接触面(47,48)に組み込まれた圧電素子の形態で設けられる、請求項2に記載の製造デバイス(1)。
【請求項4】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、測定手段(43)として前記停止フィンガー(28)に付与された少なくとも1つの近接センサを備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項5】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、測定手段(43)として前記停止デバイス(23)の駆動手段(45)に付与された少なくとも1つの電流測定センサを備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項6】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、測定手段(43)として前記停止デバイス(23)の駆動手段(45)に付与された少なくとも1つの力測定センサを備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項7】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、前記停止デバイス(23)のフィンガー移送部(27)又は停止フィンガー(28)に配置されて前記測定手段(43)を形成する少なくとも1つのレーザビーム測定デバイスを備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項8】
前記停止デバイス(23)の前記測定センサシステム(44)は、少なくとも1つのカメラ(55)をフィンガー移送部(27)又は停止フィンガー(28)に備える、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項9】
前記カメラ(55)がCCDカメラである、請求項8に記載の製造デバイス(1)。
【請求項10】
前記停止フィンガー(28)は、互いに垂直に延在する3つの自由度の回りに枢動可能になるように、前記停止デバイス(23)のフィンガー移送部(27)に取り付けられる、請求項1に記載の製造デバイス(1)。
【請求項11】
前記測定センサシステム(44)の測定手段(43)は、各々の自由度について前記停止フィンガー(28)に付与される、請求項10に記載の製造デバイス(1)。
【請求項12】
前記曲げ工具(13)がコード(53)を備える、請求項10に記載の製造デバイス(1)。
【請求項13】
前記曲げ工具(13)は、前記曲げ工具(13)の前記コード(53)を内蔵するマイクロチップを備える、請求項12に記載の製造デバイス(1)。
【請求項14】
前記曲げ工具(13)の前記コード(53)を読み取る読取デバイスが、前記工具マガジン(4)のマガジン空間(31)に設けられる、請求項12に記載の製造デバイス(1)。
【請求項15】
前記取扱デバイス(3)の前記把持デバイス(17)は、前記曲げ工具(13)の前記コード(53)を読み取る読取デバイスを備える、請求項12に記載の製造デバイス(1)。
【請求項16】
前記曲げ工具(13)の前記コード(53)を読み取る読取デバイスが、前記停止デバイスのフィンガー移送部(27)又は停止フィンガー(28)に配置される、請求項12に記載の製造デバイス(1)。
【請求項17】
曲げ成形されたワークピースを製造する曲げ工具(13)と、
工具マガジン(4)と、
前記工具マガジン(4)と、固定式のベンチ梁(8)及びベンチ梁(8)に対して移動可能なプレス梁(9)の少なくともいずれか一方の工具保持部(11,12)との間において前記曲げ工具を搬送する把持デバイス(17)を有する取扱デバイス(3)と、
前記ベンチ梁(8)に対して平行に延在するガイド装置(22)において移動可能である少なくとも1つの多軸式の停止フィンガー(28)を有する停止デバイス(23)と、
制御監視デバイス(24)と、を備える曲げプレス機(2)をセットアップするセットアップ方法であって、
前記制御監視デバイス(24)のデータ記憶部に格納された曲げ工具データに基づいて、前記曲げ工具データに対応する曲げ工具(13)を、前記取扱デバイス(3)の前記把持デバイス(17)によって前記工具マガジン(4)から取り出し、
その後に、前記データ記憶部(30)に格納された工具位置データに基づいて、前記曲げ工具(13)を、前記把持デバイス(17)によって基準位置(34)に移動させ、
前記曲げ工具(13)の実際の位置(35)の実際の位置データを検出するとともに、前記実際の位置データを、前記制御監視デバイス(24)のコンパレータ回路(46)において、所望の位置(32)についての所望の位置データと比較し、
その後に、前記実際の位置データと前記所望の位置データとの間のデータの差分に基づいて、前記取扱デバイス(3)の駆動手段(45)向けの制御信号を、前記制御監視デバイス(24)の経路制御モジュール(36)において生成し、
前記曲げ工具(13)を前記実際の位置(35)から前記工具保持部(11,12)における前記所望の位置(32)に移動させるとともに、前記曲げ工具(13)を前記所望の位置(32)に固定することを含んでおり、
前記基準位置(34)に移動された前記曲げ工具(13)の前記実際の位置(35)についての前記実際の位置データが、前記コンパレータ回路(46)に接続された前記停止デバイス(23)の測定センサシステム(44)の測定手段(43)によって決定される、セットアップ方法。
【請求項18】
前記基準位置(34)に移動された前記曲げ工具(13)が、前記停止フィンガー(28)の少なくとも1つとの接触に基づいて検出されることによって、前記実際の位置データが検出され、
前記停止フィンガー(28)が前記曲げ工具(13)に対して移動される、請求項17に記載のセットアップ方法。
【請求項19】
前記基準位置(34)に移動された前記曲げ工具(13)が、前記停止フィンガー(28)の少なくとも1つとの接触に基づいて検出されることによって、前記実際の位置データが決定され、
前記曲げ工具(13)が前記取扱デバイス(3)によって前記停止フィンガー(28)に対して移動される、請求項17に記載のセットアップ方法。
【請求項20】
前記コンパレータ回路(46)において決定される前記実際の位置データと前記所望の位置データとの間のデータの差分が、前記データ記憶部(30)に格納された前記曲げ工具データ及び工具位置データに加えて、前記取扱デバイス(3)の経路を制御する制御パラメータとして検出される、請求項17に記載のセットアップ方法。
【請求項21】
前記基準位置(34)において決定される前記曲げ工具(13)の前記実際の位置の前記実際の位置データ(35)が、前記曲げプレス機(2)のX軸方向において決定される、請求項17〜20のいずれか1つに記載のセットアップ方法。
【請求項22】
前記基準位置(34)において決定される前記曲げ工具(13)の前記実際の位置の前記実際の位置データ(35)が、前記曲げプレス機(2)のZ軸方向において決定される、請求項17〜20のいずれか1つに記載のセットアップ方法。
【請求項23】
前記基準位置(34)において決定される前記曲げ工具(13)の前記実際の位置の前記実際の位置データ(35)が、前記曲げプレス機(2)のR軸方向において決定される、請求項17〜20のいずれか1つに記載のセットアップ方法。
【請求項24】
セットアップ操作用に準備された前記曲げ工具(13)を保持する前記工具マガジン(4)のマガジン空間(31)の割り当てが、マガジン空間(31)の空き状況に基づいて、前記制御監視デバイス(24)のマガジン割り当てモジュールによって無秩序に体系化され、
割り当てられたマガジン空間(31)が、前記制御監視デバイス(24)の前記データ記憶部(30)に記憶される、請求項17に記載のセットアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部分において概説された種類の製造デバイス、及び請求項17の導入部分において概説された製造デバイスの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、曲げ工具をプレス梁の工具保持部に正確に挿入するのに要する時間を短縮する曲げデバイスを開示している。曲げデバイスによって、NC制御装置モードを使用した挿入操作が実行される。互いに垂直に延在する3つの空間方向に移動可能な後方停止装置のスキャナ素子において工具寸法を検出する複数のセンサは、必須の工具データをバーコードによって受信する。また、後方停止装置はバーコード読取機を有する。これにより、プレス梁の工具保持部における曲げ工具の正確な位置決めが達成されうる。
【0003】
特許文献2は、曲げ工具保持部に組み込まれて曲げプレス機のプレス梁に取り付けられる位置検出システムを開示している。工具保持部の長さ部にわたって延在して曲げ工具を支持する支持面において、曲げ工具保持部は容量式の検出センサを有する。それら検出センサによると、曲げ工具が工具保持部において重なり位置に挿入されるときの重なりの程度から算出される工具の長さに基づいて、工具保持部の長手延在方向における工具の正確な位置が検出される。それにより、予め定められた所望の位置に従って、工具保持部における曲げ工具の位置を固定することも可能になる。
【0004】
特許文献3は、曲げプレス機における後方停止装置を開示している。工具の一部が後方停止装置に対して配置されると、曲げ工具間において曲げ操作を行えるようになる。後方停止装置は、互いに垂直に延在する3つの空間方向に移動可能なNC調節デバイスの停止フィンガーを有する。また、後方の停止装置は測定及び制御システムを備える。測定及び制御システムによると、プログラムされた所定の位置を達成するのに必要となりうる停止部の最終的な位置補正が、測定システムにより決定された曲げ工具の輪郭の関数として成形操作が実行されるのに先立って実施されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−052124号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1600257号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0471848号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、曲げプレス機のプレス梁が、以後の補正処置を不要にする自動化された方式によって正確に位置決めされた器具とともにセットアップされうるような製造デバイス、及び製造デバイスの操作方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴的な部分に定められた特徴によって達成される。
本発明により提案される解決策の利点は、所定の成形操作を実行するのに必要な曲げ工具を備えた製造デバイスの曲げ機械がセットアップされる迅速かつ自動化されたセットアップ工程であり、曲げ工具は、プログラム型の工程パラメータに従って、対応するプレス梁の工具保持部において高精度に位置決めされる。それにより、誤ったセットアップ工程が回避される。また、非生産的な時間が最小化され、高い工程品質が達成され、さらに、セットアップ及び製造の時間と加工費とが削減されることによって、製造デバイスの高い生産性が達成される。
【0008】
この点においては、請求項2から請求項9に定められる実施形態もまた有利である。それら実施形態によると、中断のない長期間の使用を目的とする複数の高品質かつ立証された解決策が提供される。それら解決策の各々は、それぞれの適用例に具体的に適合しうる。
ただし、請求項10及び請求項11に定められる実施形態は、高い品質要求を満足する停止デバイスの非常に小型のデザインをもたらすので、これら実施形態もまた有利である。
【0009】
最後に、請求項12から請求項16に定められる実施形態によると、曲げ工具の管理及び移送が完全に自動化されうることに加えて、例えば曲げ工具のメンテナンスに不可欠でありうる挿入時間や成形操作等の正確なデータが利用可能になるので、これら実施形態もまた有利である。
【0010】
本発明の目的は、請求項17に定められた特徴によっても達成される。これによる利点は、曲げ工具の異なる重量及び機械的に誘発される他の影響に起因して、プレス梁の自動化されたセットアップ操作を目的とする取扱デバイスの操作中に位置の変動(variance)が生じることが避けられないものの、曲げ工具の所望の位置に先立つ基準位置における曲げ工具の実際の位置を検出することによって、取扱デバイスの経路を制御する制御パラメータが取得されることである。それにより、予め定められた所望の位置データに従って、曲げ工具を工具保持部に高い位置決め精度で挿入することが可能になるとともに、以降の製造工程を中断なしに開始することが可能になる。
【0011】
考えられうる他の有利な特徴が請求項18に定められている。それによると、停止デバイスの僅かな調節を施すだけで、実際の位置の正確な位置検出が基準位置において達成されるとともに、少し手間を加えるだけで、既に運転中である製造デバイスが、本発明によって提案される手段を実行するように続けてセットアップされうる。
【0012】
請求項19に定められる有利な特徴もまた可能である。それによると、基準位置における準備の間の接触に基づいて変動量を検出して曲げ工具の実際の位置データを検出するサイクル時間が短縮される。
【0013】
請求項20に定められる特徴によると、製造デバイスの制御監視デバイスは、曲げ工具を予め定められた所望の位置に位置決めするのに必要な制御パラメータを即座にコンパイルするので、この特徴もまた有利である。
【0014】
他の有利な特徴が請求項21から請求項23に定められている。それによると、それぞれのタスクに適した実際の位置データが最大で3つの軸方向において検出される。
ただし、最後に、請求項24に定められる特徴によると、工具マガジンをセットアップすることを目的とする曲げ工具の移送の間の非生産的な時間だけでなく、曲げ工具を取り外すことを目的とするアクセス時間が最小化されるので、この特徴もまた有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明により提案される製造デバイスを示す簡略図である。
図2】本発明により提案される製造デバイスの詳細を示す、図3におけるII−II線に沿った断面図である。
図3】本発明により提案される製造デバイスの詳細を示す、図2における矢印IIIによる矢視図である。
図4】曲げ工具の実際の位置が基準位置においてどのように検出されるかを示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
より明確な理解が提供されるように、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
これら図面は概略的かつ簡略化された図面である。
最初に、異なる実施形態に記載された同一の部材が、同一の符号と同一の構成要素名とによって示されており、また、同一の符号又は同一の構成要素名を有する同一の部材に与えられる意味に関して、詳細な説明にわたって記載された開示内容が置き換えられうることが指摘されるべきである。さらに、詳細な説明の目的のために選択された位置、例えば、頂部、底部、及び側部等は、具体的に説明された図面に関連しており、それら位置は、別の位置が説明されるときには新たな位置に与えられる意味に関して置き換えられうる。個々の特徴、又は例示され説明された異なる実施形態の特徴の組み合わせは、それら自体で、独立した発明的な解決策、又は本発明により提案される解決策と解釈されうる。
【0017】
詳細な説明における数値範囲に関する全ての数量は、それらがあらゆる部分的範囲を含むことを意味すると解釈されるべきである。この場合において、例えば、1から10の範囲は、下限値である1から始まって上限値である10に至る全ての部分的範囲、すなわち、下限値である1又はそれより大きい数値で始まって上限値である10又はそれより小さい数値で終わる全ての部分的範囲、例えば、1から1.7、3.2から8.1、5.5から10の範囲を含んでいると理解されるべきである。
【0018】
図1から図3は、曲げ成形されたワークピースを製造する製造デバイス1を示している。製造デバイス1は、曲げプレス機2と、取扱デバイス3と、工具マガジン4とを備える。原則的に、曲げプレス機2の機枠5は、相互に離間された2つの側板7と、側板7に連結されたベンチ梁8とを備える。それら側板7は、図示しない横材によって連結されて互いに平行に配置されており、固定表面6に対して垂直をなす垂直平面において延在している。側板7のガイド装置には、プレス梁9が配置される。プレス梁9は、固定表面6に垂直な方向においてベンチ梁8に対して移動可能であるとともに、側板7又は機枠5に配置された駆動手段10、例えば、流体圧シリンダ及び電気式スピンドル駆動装置等に、駆動手段10と動力伝達関係を有するように連結される。
【0019】
締付デバイスを備える反対向きの工具保持部11,12には、それぞれの曲げ操作のデフォルト設定と、成形されるべきワークピースとに対応する曲げ工具13、例えば、ベンチ梁8の工具保持部11における曲げダイ14、及びプレス梁9の工具保持部12における曲げスタンプ15が装着される領域が配置される。
【0020】
特定の製造工程において製造されるべきワークピースと、曲げ工具13に対して実行されるべきメンテナンスとに応じて、曲げ工具13を再装着して曲げ工具13を異なる時間間隔で交換する必要がある。
【0021】
ワークピース及び工具の自動化された移送の目的のために、製造デバイス1は、取扱デバイス3、例えば、多軸ロボット16を備えており、多軸ロボット16は、多機能の把持デバイス17、例えば、ペンチ式の把持部や吸引式の把持部等を、多軸ロボット16の末端アーム18に備えている。多軸ロボット16は、ベンチ梁8の前面20に対して平行な方向に移動可能な移動装置19に配置されている。
【0022】
ベンチ梁8の背面21に沿って、つまり、機枠5の内側かつ側板7どうしの間に、リニアガイド装置22に沿った停止デバイス23が配置されている。リニアガイド装置22は、ガイド装置22においてZ軸方向に互いに独立して移動可能であり曲げプレス機2の制御監視デバイス24を介して起動される2つの停止キャリッジ25を備えることが好ましい。
【0023】
停止キャリッジ25は、リニアガイド装置において駆動されるフィンガー移送部27の取付部を提供する。フィンガー移送部27は、停止キャリッジ25の移動方向に対して垂直に延在していて双方向矢印26により示される方向、すなわちR軸方向において、フィンガー移送部27に配置された停止フィンガー28とともに移動可能である。フィンガー移送部27のガイド装置において、停止フィンガー28は、フィンガー移送部27の移動方向に対して垂直に延在していて双方向矢印29により示される方向、すなわち、X軸方向に移動可能になるようにモータ駆動される。
【0024】
停止キャリッジ25のZ軸方向の駆動部、フィンガー移送部27のR軸方向の駆動部、及び停止フィンガー28のX軸方向の駆動部は、プログラムのデフォルト設定と、データ記憶部30に格納されたデータとによって一元的に起動される。
【0025】
製造デバイス1が工具マガジン4を取扱デバイス3の把持範囲内に備えることもまた利点である。工具マガジン4は曲げ工具13が格納されるマガジン空間31を有する。また、曲げ工具13の取出し及び片付けの無秩序な体系に基づいて、工具マガジン4をそのマガジン空間31とともに制御監視デバイス24において制御することは有用である。
【0026】
この目的のために、マガジン空間31は、それらが利用可能である限りは、曲げ工具13に自由に割り当てられることができる。マガジン空間31の各々は固有かつ一義的なコードを有する。曲げ工具13のコードは、曲げ工具13に付与されたバーコード又は電子式の記憶媒体による自動化された読取操作の目的のために取得される。制御監視デバイス24の管理システム、及びそれぞれの曲げ工具13へのマガジン空間31の割り当てによって、取扱デバイス3は、成形工程用に計画されたデフォルト設定に従って具体的に必要とされる工具マガジン4内の曲げ工具13にアクセスできるようになる。それにより、曲げプレス機2がセットアップされるとともに、曲げ工具13が把持デバイス17によって工具マガジン4から取り出される。
【0027】
セットアップ工程を実行すること、例えば、曲げダイ14をベンチ梁8の工具保持部11に挿入することに関連する他の工程が図2及び図3に示される。これら図面を参照して、セットアップ工程について以下に詳細に説明する。
【0028】
説明された操作が、プレス梁9の工具保持部12への曲げスタンプ15の挿入にも適していることが指摘されるべきである。この目的のために、移動可能なプレス梁は、駆動手段によって所定の位置、好ましくは上端の位置に配置される。
【0029】
把持デバイス17、例えばペンチ式の把持部(pince gripper)によって取り上げられた曲げダイ14は、制御監視デバイス24のデータ記憶部30に格納された取扱デバイス3の経路制御のデフォルト値によって制御されるとともに、X座標、Z座標、及びR座標の少なくともいずれか1つに基づいて、工具保持部11の保持溝33における要求された所望の位置32のごく近傍の仮想的な基準位置34に移動される。仮想的な基準位置34は破線によって示される位置に対応している。基準位置34は、実際の位置35の変動に起因して曲げダイ14と工具保持部11との間で衝突が発生しないことを保証する。実際の位置35は、曲げダイ14が現実に占めていた位置であり実線によって示されている。基準位置34は、曲げ工具13が依然として保持溝33の外側に位置するような、換言すると、曲げ工具13が、R軸方向においては工具保持部11,12の僅かに上方又は下方に配置されるものの、X軸及びZ軸方向においては予め定められた所望の位置に従って予め定められた通りになるような、曲げ工具13の位置であることが好ましい。このことは、変動が発生した結果として行われる再位置決めの距離が短いまま維持されることを意味する。
【0030】
これら変動は、取扱デバイス3に作用する機械的な影響、例えば、曲げ工具13の異なる重量、並びに温度の影響、及び取扱デバイス3のガイド部と駆動部の公差等の結果として、理論的に有効化された基準位置34に対して占められた実際の位置35によって引き起こされる。
【0031】
仮想的な基準位置34に関連する位置データと、以下に詳細に説明される態様で決定される事実上かつ実際の位置35に関連する位置データと、制御監視デバイス24の経路制御モジュール36に格納された所望の位置32についての必須データとに基づいて、実際の位置35から要求された所望の位置32への工具位置の位置調整が、取扱デバイス3の経路制御部によって実施される。それにより、工具保持部11への挿入が必須かつ所望の位置32において正確に実行されて曲げダイ14が工具保持部11に固定されるとともに、曲げダイ14が把持デバイスから解放されることによってセットアップ操作が終了される。
【0032】
考えられうる1つの実施形態において、曲げダイ14の実際の位置35についての位置データは、X座標、Z座標、及びR座標の少なくとも1つに基づいて、運転中の停止デバイス23によって検出される。従って、停止キャリッジ25が双方向矢印40により示されるZ軸方向に移動され、フィンガー移送部27が双方向矢印41により示されるR軸方向に移動され、また、停止フィンガー28が双方向矢印42により示されるX軸方向に移動されることによって、停止フィンガー28が、曲げ工具13の基準面、例えば、互いに垂直にそれぞれ方向付けされた3つの工具面37,38,39と接触するように配置される。
【0033】
測定手段43、例えば、停止フィンガー28の近接センサ、又は停止フィンガー28、フィンガー移送部27、及び停止キャリッジ25を移動させる駆動手段45のモータ電流測定センサを内蔵する停止デバイス23の測定センサシステム44によって決定された曲げ工具の実際の位置データは、データ記憶部30に格納された制御監視デバイス24のコンパレータ回路46に格納された所望の位置データと比較される。また、取扱デバイス3の経路を制御する経路制御モジュール36における制御パラメータが、変動量に基づいて算出され、その後に、曲げ工具13が工具保持部11における予め定められた所望の位置32に位置決めされる。
【0034】
最後に、本方法では、必ずしも曲げ工具13が前述したR、X、及びZの3つの軸方向において位置決めされる必要はないことが指摘されるべきであり、その代わりに、曲げ工具13が1つ若しくは2つの軸方向のみにおいて、又は前述した3つの軸方向において位置決めされることも当然に可能である。
【0035】
また、一旦、曲げ工具13が保持溝33に挿入されたら、曲げ工具が保持溝において停止デバイス23又は測定センサシステム44によって締め付けられた後に、変動量を感知する別の位置感知操作が特にZ軸方向において実行されうるし、感知された位置データが予め定められた所望の位置データと比較されることが指摘されるべきである。変動量の存在が確認された場合、それら変動量は、制御監視デバイス24に適用される補正値として使用されうるし、又は修正済みの所望の位置データとしてデータ記憶部にそのまま格納されうる。そして、それら変動量は、他の曲げ工具13のセットアップ操作の目的、又はワークピースの成形操作を準備するときに取扱デバイス3の経路を制御する目的のために考慮されうる。
【0036】
図4は、曲げ工具13の基準位置データを検出する停止フィンガー28を備えた停止デバイス23の考えられうる1つの実施形態を示している。本実施形態では、有効化された基準位置からの変動量がデバイスによって導き出されたら、停止フィンガー28の運動部分を、互いに垂直に方向付けされた工具基準面49、例えば、双方向矢印29,40により示される端面50及び側面51に接触させることによって、X及びZの位置データを、図示しない取扱デバイスによって実際の位置35にセットアップ操作の目的で保持された曲げ工具13から、測定センサシステム44と、互いに垂直に延在する接触面47,48において停止フィンガー28に組み込まれた測定手段43とを用いて決定している。
【0037】
この実施形態において、測定手段44は、例えば、圧電素子や近接センサ等であり、測定手段の信号は測定センサシステム44に伝達される。停止デバイス23のNC制御測定システム52によって、曲げ工具13が現実に占めていた実際の位置のX及びZの位置データが評価されるとともに、それに基づいて、図示しない工具保持部への挿入操作に必要である曲げ工具13の所望の位置への位置補正が行われる。
【0038】
この実施形態では、図4からも分かるように、コード53、例えばバーコード54が曲げ工具に付与されており、停止フィンガーは、例えば工具を監視するカメラ55を有している。それにより、特定の成形操作に適さない曲げ工具13による誤ったセットアップ操作が防止されることを保証している。
そのような通信手段は、工具マガジンの管理、並びに取扱デバイスによる工具の取外し、及び工具マガジンへの工具の格納にも使用されうる。
【0039】
図4からも分かるように、例えば、双方向矢印56により示されるR軸方向における曲げ工具13の実際の位置を検出することも可能である。この目的のために、例えば、停止フィンガー28の頂面57及び底面58の少なくともいずれか一方に、別の測定手段43が設置される。別の測定操作では、停止フィンガー28を、端面50及び側面51の平面に対して垂直に延在する平面、例えば、曲げ工具13の底面59に接触させる操作によって、曲げ工具13の位置が次いで決定される。
【0040】
停止フィンガー28を曲げ工具13の基準面に接触させる操作によって、1つ、2つ、又は3つの空間方向における曲げ工具13の位置を決定する別の選択肢は、停止フィンガー28を対応する空間方向に移動させるのに使用する停止デバイス23のそれぞれの駆動手段45におけるモータ電流の量を測定することである。この目的のために、電流測定センサ60が駆動手段45に付与される。停止フィンガー28を曲げ工具13に接触させる操作に起因して電流が増大したら、電流測定センサ60が位置信号を測定センサシステム44又はNC制御測定システム52に送信する。また、実際の位置を構成するそれぞれの座標がそれから算出されうる。
【0041】
上記の説明では、把持デバイスによって実際の位置に保持された曲げ工具13に対して移動する停止デバイス23又は停止フィンガー28に基づいて、曲げ工具13の実際の位置データが決定されている。
【0042】
しかしながら、曲げ工具13を工具保持部に挿入するための正確な所望の位置を取得する目的のために、停止デバイス23の少なくとも1つの停止フィンガー28を曲げ工具13の基準位置に対応する位置に位置決めすることも可能であり、また、曲げ工具13がX軸方向、Z軸方向、及びR軸方向の少なくともいずれか1つの方向において停止フィンガー28と接触するように、取扱デバイス3を用いて曲げ工具13を移動させて実際の位置データを出力データとして設定することも可能であることが指摘されるべきである。デバイスによって導き出された変動量がその出力データから取り除かれると、曲げ工具13を取扱デバイスによって工具保持部における予め定められた所望の位置に移送できるようになる。
【0043】
例示された実施形態は、本発明により提案される方法を実行する製造デバイスの考えられうる変形を表している。また、本発明が具体的に示された変形に特に限定されることはなく、その代わりに、特許請求の範囲に記載される限りにおいて、種々の組み合わせも本発明の範囲に含まれることが現段階で指摘されるべきである。
【0044】
秩序立ての目的のために、最後に、本発明により提案される方法を実行する製造デバイスの構造がより明確に理解されるように、製造デバイス及びその構成部品が、正確な縮尺から幾分外れて、かつ拡大縮小されて示されているか、又は正確な縮尺から幾分外れて、若しくは拡大縮小されて示されていることが指摘されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
1 製造デバイス
2 曲げプレス機
3 取扱デバイス
4 工具マガジン
5 機枠
6 固定表面
7 側板
8 ベンチ梁
9 プレス梁
10 駆動手段
11 工具保持部
12 工具保持部
13 曲げ工具
14 曲げダイ
15 曲げスタンプ
16 多軸ロボット
17 把持デバイス
18 末端アーム
19 移動装置
20 前面
21 背面
22 ガイド装置
23 停止デバイス
24 制御監視デバイス
25 停止キャリッジ
26 双方向矢印
27 フィンガー移送部
28 停止フィンガー
29 双方向矢印
30 データ記憶部
31 マガジン空間
32 所望の位置
33 保持溝
34 基準位置
35 実際の位置
36 経路制御モジュール
37 工具面
38 工具面
39 工具面
40 双方向矢印
41 双方向矢印
42 双方向矢印
43 測定手段
44 測定センサシステム
45 駆動手段
46 コンパレータ回路
47 接触面
48 接触面
49 工具基準面
50 端面
51 側面
52 制御測定システム
53 コード
54 バーコード
55 カメラ
56 双方向矢印
57 頂面
58 底面
59 底面
60 電流測定センサ
図1
図2
図3
図4