(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023089
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】微小電気機械デバイス及びその製造方法並びにコンピュータ・プログラム製品
(51)【国際特許分類】
B81B 7/02 20060101AFI20161027BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
B81B7/02
B81C1/00
【請求項の数】33
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-553638(P2013-553638)
(86)(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公表番号】特表2014-504963(P2014-504963A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】US2012024886
(87)【国際公開番号】WO2012112452
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年2月12日
(31)【優先権主張番号】13/027,199
(32)【優先日】2011年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507251181
【氏名又は名称】キオニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】ブラックマー,チャールズ,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,スコット,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホッキング,アンドリュー,エス.
(72)【発明者】
【氏名】リンチ,クリスティン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャー,アシシュ,エー.
【審査官】
細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−173719(JP,A)
【文献】
特開2009−290155(JP,A)
【文献】
特開2007−290073(JP,A)
【文献】
米国特許第07728339(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0224565(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0026321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に取り付けられている梁であって、第1の梁部分と第2の梁部分とを有する、梁と、
前記第1の梁部分と前記第2の梁部分との間にある分離継手であって、第1の分離継手部分と、第2の分離継手部分と、第1の中実ブリッジ部分と、を有し、前記ブリッジ部分が前記第1の分離継手部分と前記第2の分離継手部分の間にあり、前記第1の分離継手部分及び前記第2の分離継手部分がそれぞれ、前記各分離継手部分の層間の境界面を有する、分離継手と、を備える、
微小電気機械デバイス。
【請求項2】
前記第1の分離継手部分及び前記第2の分離継手部分が、それぞれ空隙を更に有する、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項3】
前記分離継手が、前記各分離継手部分の層間の境界面を有する追加の分離継手部分と、追加の中実ブリッジ部分と、を更に有する、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項4】
前記第1のブリッジ部分が、前記第1の梁部分及び前記第2の梁部分に隣接し、前記梁の偏向の結果生じたひずみが前記第1の梁部分から前記中実ブリッジ部分を通って前記第2の梁部分まで延びるように前記ブリッジ部分が位置付けられている、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項5】
前記第1の分離継手部分の前記境界面及び前記第2の分離継手部分の前記境界面が、前記梁に対して垂直である、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項6】
前記第1の分離継手部分の前記境界面及び前記第2の分離継手部分の前記境界面が、前記梁に対して平行である、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項7】
前記第1の分離継手部分の前記境界面及び前記第2の分離継手部分の前記境界面が、非線形の形状を有する、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項8】
前記非線形の形状が、T形形状である、請求項7記載の微小電気機械デバイス。
【請求項9】
それぞれの分離継手部分が、誘電体材料を含む、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項10】
前記誘電体材料が、二酸化シリコンである、請求項9記載の微小電気機械デバイス。
【請求項11】
前記分離継手が、それぞれの分離継手部分の空隙内に充填材を更に含む、請求項9記載の微小電気機械デバイス。
【請求項12】
前記充填材が、ドープ又はアンドープ・ポリシリコンを含む、請求項11記載の微小電気機械デバイス。
【請求項13】
前記第1の分離継手部分及び前記第2の分離継手部分が、それぞれ、前記各分離継手部分の層間の境界面を少なくとも2つ含む、請求項1記載の微小電気機械デバイス。
【請求項14】
微小電気機械デバイスを製造する方法であって、前記方法が、
基板内に第1の分離トレンチと第2の分離トレンチを形成することと、
前記基板を熱酸化することにより誘電体材料で前記第1の分離トレンチと前記第2の分離トレンチを充填し、前記基板の層間の境界面を形成することであって、前記基板のうち前記第1の分離トレンチと前記第2の分離トレンチとの間にある第1の部分が酸化物を含む、ことと、
前記基板の表面に対して浮いている梁を形成することであって、前記梁が前記第1の分離トレンチ及び前記第2の分離トレンチの一方の側の第1の梁部分を有し、前記第1の分離トレンチ及び前記第2の分離トレンチのもう一方の側の第2の梁部分を有する、ことと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の分離トレンチ及び前記第2の分離トレンチが、前記梁に対して垂直である、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項16】
前記第1の分離トレンチ及び前記第2の分離トレンチが、前記梁に対して平行である、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項17】
前記基板内に追加の分離トレンチを形成することを更に含む、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項18】
前記第1の分離トレンチ及び前記第2の分離トレンチが、非線形の形状を有する、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項19】
前記非線形の形状が、T形形状である、請求項18記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項20】
前記基板のうち前記第1の分離トレンチと前記第2の分離トレンチとの間にある前記部分が、前記第1の梁部分及び前記第2の梁部分に隣接する、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項21】
前記誘電体材料によって定義された空隙を充填材で充填することを更に含む、請求項14記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項22】
前記充填材が、ドープ又はアンドープ・ポリシリコンである、請求項21記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項23】
計算装置上で実行された場合に、
基板と、
前記基板の表面に取り付けられている梁であって、第1の梁部分と第2の梁部分とを有する、梁と、
前記第1の梁部分と前記第2の梁部分との間にある分離継手であって、第1の分離継手部分と、第2の分離継手部分と、中実ブリッジ部分と、を含み、前記ブリッジ部分が前記第1の分離継手部分と前記第2の分離継手部分の間にあり、前記第1の分離継手部分及び前記第2の分離継手部分がそれぞれ、前記各分離継手部分の層間の境界面を有する、分離継手と、
を備える微小電気機械デバイスを定義する命令を収容するコンピュータ可読記憶媒体を含む、
コンピュータ・プログラム製品。
【請求項24】
基板と、
前記基板の表面に取り付けられている梁であって、第1の梁部分と第2の梁部分とを有する、梁と、
前記第1の梁部分と前記第2の梁部分との間にある分離継手であって、弓形形状又はI形形状を有する、分離継手と、を備える、
微小電気機械デバイス。
【請求項25】
前記分離継手が、誘電体材料を含む、請求項24記載の微小電気機械デバイス。
【請求項26】
前記誘電体材料が、二酸化シリコンである、請求項25記載の微小電気機械デバイス。
【請求項27】
前記分離継手が、前記誘電体材料によって定義された空隙内に充填材を更に含む、請求項25記載の微小電気機械デバイス。
【請求項28】
前記充填材が、ドープ又はアンドープ・ポリシリコンである、請求項27記載の微小電気機械デバイス。
【請求項29】
微小電気機械デバイスを製造する方法であって、前記方法が、
基板内に非線形分離トレンチを形成することであって、前記非線形分離トレンチが、弓形形状又はI形形状を有することと、
誘電体材料で前記非線形分離トレンチを充填することと、
前記基板の表面に取り付けられている梁を形成することであって、前記梁が前記非線形分離トレンチの一方の側の第1の梁部分と前記非線形分離トレンチのもう一方の側の第2の梁部分とを有する、ことと、
を含む、方法。
【請求項30】
誘電体材料で前記非線形分離トレンチを充填することが、前記基板を熱酸化することを含む、請求項29記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項31】
前記誘電体材料によって定義された空隙を充填材で充填することを更に含む、請求項29記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項32】
前記充填材が、ドープ又はアンドープ・ポリシリコンである、請求項31記載の微小電気機械デバイスを製造する方法。
【請求項33】
計算装置上で実行された場合に、
基板と、
前記基板の表面に取り付けられている梁であって、第1の梁部分と第2の梁部分とを有する、梁と、
前記第1の梁部分と前記第2の梁部分との間にある分離継手であって、弓形形状又はI形形状を有する、分離継手と、
を備える微小電気機械デバイスを定義する命令を収容するコンピュータ可読記憶媒体を含む、
コンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般に、微小電気機械システム及びデバイス(MEMSデバイス)を対象とし、詳細には、一体型電気分離構造を有するMEMSデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002] MEMSデバイスは、集積回路の製造において周知の技法を使用して、実質的に顕微鏡的寸法で形成された電気的かつ機械的デバイスである。MEMS技術の現在の商用適用例は、主に、圧力及び慣性感知であり、例えば、無線電話などの手持ち型デバイスに使用される加速度計及びジャイロスコープである。加速度を検出するために使用されるMEMSデバイスの一般的な実現例の1つは、片持ち梁の配列を使用する容量センサ、例えば、米国特許第6,342,430号及び第6,239,473号に記載されているように形成されたMEMSデバイスであり、どちらの特許も参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]
図1は、米国特許第6,342,430号及び第6,239,473号に記載されている方法により形成された梁(beam)200を概略的に示している。梁200は、梁の遠位部分(distal portion)220と近位部分(proximal portion)240との間に分離継手(isolation joint)300を有する。遠位及び近位という用語は、そこから梁が浮いている基板(substrate)(図示せず)との接続部に対する位置を示している。分離継手300は、梁200の遠位部分220と近位部分240との間の電気接続を切断するものである。梁の近位部分240は、直接又は間接的に基板(図示せず)に接続することができる。例えば、梁200は基板の表面の上に片持ち状態にすることができ、それにより梁200が動いたり撓んだりすることができる。上から見ると、分離継手300は線形である。
【0004】
[0004]
図2は、線2−2に沿って取られた
図1の分離継手300の断面図である。分離継手300は、基板、例えば、シリコン・ウェーハ内に線形トレンチをエッチングし、その後、基板を酸化させて、酸化物、例えば、二酸化シリコンを生成することにより、形成することができる。酸化プロセスは二酸化シリコンを形成するためにトレンチのシリコン側壁を消費し、側壁は二酸化シリコンに転換される時に互いに浸食する。典型的に、側壁は、合わせ目(seam)320、即ち、化学的に接合されない境界面で、互いに接触する。トレンチの側面輪郭(side profile)は、内曲したもの又は最上部より最下部の方が広いものにすることができる。製造プロセス中に、内曲した輪郭は、梁200の遠位部分220と近位部分240との間に延び、効果的な電気的分離を妨げると思われるシリコン・ストリンガ(silicon stringer)の形成を防止するのに役立つ可能性がある。内曲した輪郭は最下部より最上部の方が狭いので、分離トレンチの最下部が完全に酸化される前に分離トレンチの最上部は合わせ目320で閉じる。最上部を閉じると、分離継手300の下半分に空隙(void)340を形成させることができる。
【0005】
[0005] 上述のように梁の微細構造を有するMEMSデバイスは様々な環境条件で動作する。例えば、MEMSデバイスは、温度変化、湿潤暴露、及び機械的衝撃を受ける可能性がある。梁と基板との間で電気的に分離されることに加えて、それぞれの梁は、機械的衝撃に曝された時に故障せずに適切に機能するように十分な機械的強度を備えていなければならない。しかし、合わせ目320及び空隙340は、全体として分離継手300及び梁200の機械的性質を損なうものである。合わせ目320及び空隙340は、梁200に力が加えられた時に梁全体が撓むか又は蝶番式に動けるようにするものである。衝撃事象によって生成された力は梁200を偏向させる可能性があり、その結果のひずみによって梁200の破断及びMEMSデバイスの故障を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 従って、機械的衝撃に対してより良好に耐えられる、改良されたMEMSデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 本発明の一実施形態は、機械的衝撃に対してより良好に耐えられる、改良されたMEMSデバイスを提供する。
【0008】
一実施形態では、微小電気機械デバイスは、基板と、梁と、分離継手と、を含むことができる。梁は、基板の表面に取り付けられている状態にすることができる。分離継手は、梁の第1の部分と第2の部分の間に存在することができ、非線形の形状を有することができる。
【0009】
[0008] 1つの実施形態では、非線形分離継手を有する微小電気機械デバイスを製造する方法は、基板内に非線形分離トレンチを形成することと、誘電体材料で分離トレンチを充填することと、基板の表面に取り付けられている梁を形成することと、を含むことができる。
【0010】
[0009] 他の実施形態では、微小電気機械デバイスは、基板と、梁と、分離継手と、を含むことができる。梁は、基板の表面に取り付けられている状態にすることができる。分離継手は、梁の第1の部分と第2の部分の間に存在することができる。分離継手は、第1の部分と、第2の部分と、第1の部分と第2の部分の間のブリッジ部分(bridge portion)と、を有することができる。分離継手の第1及び第2の部分はそれぞれ合わせ目及び空隙を有することができ、ブリッジ部分は中実にすることができる。
【0011】
[0010] 1つの実施形態では、ブリッジ部分を備えた分離継手を有する微小電気機械デバイスを製造する方法は、基板内に第1の分離トレンチと第2の分離トレンチを形成することと、基板を熱酸化することにより誘電体材料で第1の分離トレンチと第2の分離トレンチを充填することと、を含むことができる。基板のうち、第1の分離トレンチと第2の分離トレンチとの間にある部分は、熱酸化後の酸化物である。この方法は、基板の表面に取り付けられている梁を形成することを更に含むことができる。
【0012】
[0011] 一実施形態では、コンピュータ・プログラム製品は、計算装置上で実行された場合に、基板と、基板の表面に取り付けられている梁と、梁の第1の部分と第2の部分との間にある分離継手と、を有する微小電気機械デバイスを定義する命令を収容するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。分離継手は非線形の形状を有することができる。
【0013】
[0012] 他の実施形態では、コンピュータ・プログラム製品は、計算装置上で実行された場合に、基板と、基板の表面に取り付けられている梁と、梁の第1の部分と第2の部分との間にある分離継手と、を有する微小電気機械デバイスを定義する命令を収容するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。分離継手は、第1の部分と、第2の部分と、分離継手の第1の部分と第2の部分の間のブリッジ部分と、を含むことができる。ブリッジ部分は中実にすることができる。
【0014】
[0013] 本発明のその他の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作は、添付図面に関連して以下に詳細に記載されている。本発明は本明細書に記載されている特定の諸実施形態に限定されないことは注目に値する。このような諸実施形態は例示のみのために本明細書に提示されている。追加の諸実施形態は、本明細書に記載されている教示に基づいて当業者にとって自明なものになるであろう。
【0015】
[0014] 添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成するものであり、本発明を例示し、その説明とともに、更に本発明の原理を説明し、当業者が本発明を製造し使用できるようにする働きをするものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0015]既知の分離プロセスにより形成された分離継手を有するMEMSデバイスの梁の斜視図である。
【
図2】[0016]線2−2に沿って取られた
図1の梁の断面図である。
【
図3】[0017]弓形分離継手を有するMEMSデバイスの梁の斜視図である。
【
図4】[0018]I形分離継手を有するMEMSデバイスの梁の斜視図である。
【
図5】[0019]波形分離継手を有するMEMSデバイスの梁の斜視図である。
【
図6A】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6B】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6C】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6D】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6E】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6F】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6G】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図6H】[0020]非線形分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法を示す図である。
【
図7】[0021]基板内に形成された波形形状の分離トレンチの斜視図である。
【
図8】[0022]基板内に形成された弓形分離トレンチの斜視図である。
【
図9】[0023]基板内に形成されたI形分離トレンチの斜視図である。
【
図10】[0024]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスの梁の斜視図である。
【
図11】[0025]線11−11に沿って取られた
図10の梁の断面図である。
【
図12】[0026]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスの他の梁の斜視図である。
【
図13】[0027]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスの更に他の梁の斜視図である。
【
図14】[0028]基板内に形成された2つの線形分離トレンチの斜視図である。
【
図15】[0029]基板内に形成された4つの線形分離トレンチの斜視図である。
【
図16】[0030]基板内に形成された2つのT形分離トレンチの斜視図である。
【
図17A】[0031]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法の一部分を示す図である。
【
図17B】[0031]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法の一部分を示す図である。
【
図17C】[0031]ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイスを製造する模範的な方法の一部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0032] 本発明の特徴及び利点は、全体を通して同様の参照文字が対応する要素を識別する図面に併せて取り上げられた時に、以下に明記されている詳細な説明からより明らかになるであろう。図面では、同様の参照番号は一般に、同一要素、機能上同様の要素、及び/又は構造上同様の要素を示す。
【0018】
[0033] 本明細書において「1つの実施形態」、「一実施形態」、「一実施形態例」などに言及する場合、記載されている実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではないことを示していることは注目に値する。その上、このような語句は必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関して記載されている場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、その他の実施形態に関してこのような特徴、構造、又は特徴を実施することは当業者の知識の範囲内であることが提起される。
【0019】
[0034] 前述の通り、本発明は、機械的衝撃に対してより良好に耐えられるように機械的性質が改善された分離継手を有するMEMSデバイスを対象とする。第1に、本発明の諸実施形態により非線形分離継手を有するMEMSデバイス及びこのようなMEMSデバイスを製造する方法について記載する。第2に、本発明の諸実施形態によりブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイス及びこのようなMEMSデバイスを製造する方法について記載する。第3に、非線形分離継手及びブリッジ部分を有するMEMSデバイス並びにこのようなMEMSデバイスを製造する方法のソフトウェア実現例について説明する。
【0020】
非線形分離継手を有するMEMSデバイス
[0035] 一実施形態では、微小電気機械デバイスは、基板と、梁と、非線形の形状を有する分離継手と、を含むことができる。
図3〜
図6をひとまとめにして参照すると、梁200は、基板(図示せず)の表面の上に浮いている。梁200は遠位部分220と近位部分240とを有することができる。近位部分240は、例えば、片持ち梁式に梁200を支持するように基板に接続することができる。梁200及び基板は、例えば、シリコン又はその他の適切な材料で製造することができる。非線形分離継手は、梁の剛性を増すことにより、梁200の機械的性質を改善することができる。梁の剛性を改善することは、梁の破断を防止するのに役立つ。
【0021】
[0036] 分離継手300は梁200の遠位部分220と近位部分240との間にある。分離継手300は近位部分240から遠位部分220を電気的に分離することができる。分離継手300は合わせ目320と内部空隙(図示せず)とを有することができる。上から見ると、分離継手300は非線形の形状を有する。例えば、分離継手は、(
図3に示されている)弓形形状、(
図4に示されている)I形形状、(例えば、
図5に示されているようにジグザグ又は鋸歯状パターンの)波形形状、曲線形状、及びその他の非線形の形状を有することができる。
【0022】
[0037] 有利なことに、非線形の形状は、
図2に示されている線形分離継手に対して、分離継手300の剛性を増すものである。剛性が増すと、過度のひずみを防止し、最終的に梁200の破断を防止することができる。更に、非線形の形状は、分離継手300の側壁間に追加の機械的連動を提供することができる。
【0023】
[0038] 分離継手は、1つ又は複数の絶縁誘電体材料、例えば、二酸化シリコン又はその他の適切な誘電体材料で製造することができる。
【0024】
[0039] 他の実施形態では、分離継手300の空隙(図示せず)は充填材で充填することもできる。充填材は、例えば、ドープ又はアンドープ・ポリシリコン或いは任意のその他の適切な充填材にすることができる。一例では、分離継手300は、空隙を定義する誘電体材料の薄い層と、空隙を充填する充填材と、を含む。
【0025】
[0040] 非線形分離継手300を有する梁200は、幅W、長さL、高さH、及びセグメント幅W
sという設計パラメータを有することができる。セグメント幅W
sは典型的に約1μm〜2μmである。セグメント幅W
sは1μm〜2μmより大きいか又は小さいものにすることができる。しかし、最小セグメント幅W
sは一般に標準的なリソグラフィ及びエッチング技法の制約により約1μmであり、最大セグメント幅W
sは一般に必要な熱酸化を最小限にするように制限され、それにより製造コストを最小限にする。分離継手300の幅Wは典型的に分離される梁の幅より大きい。
【0026】
[0041]
図3を参照すると、分離継手300の曲率半径は長さLを規定することができる。分離継手300の曲率半径が小さいほど、長さLが大きくなる。曲率半径は、好ましくは、弓形分離継手300の幅Wの少なくとも半分である。
【0027】
[0042] 一実施形態では、非線形分離継手を有する微小電気機械デバイスを製造する方法は、基板内に非線形分離トレンチを形成することと、誘電体材料で分離トレンチを充填することと、基板の表面に対して浮いている梁を形成することと、を含むことができる。誘電体材料で充填された分離トレンチは、第1の梁部分と第2の梁部分との間にある。
【0028】
[0043]
図6A〜
図6Hは、一実施形態により微小電気機械デバイスを製造する模範的な方法を示している。特に、
図6A〜
図6Bは、基板、例えば、シリコン・ウェーハ内に非線形分離トレンチを形成する模範的な方法を示している。(シリコン)ウェーハ102には、誘電体層104、好ましくは、二酸化シリコン(酸化物)を設けることができる。酸化物層104は、その後の分離トレンチ・エッチング中にウェーハ102のシリコン表面を保護するマスキング層である。次に、レジスト106をウェーハ上に塗布し、適切かつ標準的なフォトリソグラフィ技法を使用して、非線形分離トレンチ・パターン110を定義する。反応性イオン・エッチングを使用して、非線形分離レジスト・パターン110をマスク層104に転写し、シリコン表面112を露出する。非線形トレンチ・パターン110は、(
図8に示されている)弓形形状、(
図9に示されている)I形形状、(
図7に示されている)波形形状、曲線形状、又は任意のその他の適切な非線形の形状を有することができる。非線形分離トレンチ・パターン110を定義するために、任意の適切な形式のリソグラフィ、例えば、フォトリソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、インプリント・リソグラフィ、及び任意のその他の適切な形式のリソグラフィを使用することができる。
【0029】
[0044] 次に、任意の適切な形式のエッチングを使用することにより、例えば、所望の深さに到達するまで繰り返されるエッチングと付着の循環シーケンス、高いエッチング速度及び高い選択性を使用する強度反応性イオン・エッチング、又は任意のその他の適切な形式のエッチングを使用することにより、ウェーハ102内に非線形分離トレンチ114を形成することができる。このエッチングは、トレンチの側面輪郭が内曲するか又は先細になるように制御することができ、トレンチの最上部116はトレンチの最下部118より狭くなっている。内曲した輪郭は、シリコン・ストリンガを防止することにより、その後の処理において良好な電気的分離が達成されることを保証する。分離トレンチの例示されている側面輪郭は内曲しているが、非線形分離トレンチ114の側面輪郭は任意の適切な形状にすることができる。非線形分離トレンチ114をエッチングした後、典型的に酸素プラズマ又は湿式化学作用を使用することにより、レジスト層106及びマスク層104を除去する。
【0030】
[0045] 基板102内に非線形トレンチ114を形成した後、トレンチは絶縁誘電体材料、例えば、二酸化シリコン又はその他の適切な絶縁誘電体材料で充填することができる。
図6Cは、非線形トレンチ114内に分離継手120を生成することができ、シリコン・ウェーハ102の上面112上に誘電体材料の層122を付着させ、トレンチの側壁124及び最下部126上に誘電体層を付着させることができる、非線形分離トレンチ114を充填する模範的な方法を示している。シリコン・ウェーハ102は高温で酸化させることができる。この酸化プロセスは基板のシリコン表面を消費して二酸化シリコンを形成する。その結果、このプロセスによる容積膨張により、非線形分離トレンチ114の側壁124が互いに浸食し、最終的に116においてトレンチ開口部を閉じることになる。トレンチ充填中に、非線形分離トレンチ114が不完全に充填され、それにより合わせ目128及び空隙130が非線形分離トレンチ114内に形成されることは一般的なことである。空隙130は
図6Cに示されているが、側壁124間にいかなる空隙も形成できず、合わせ目128が実質的に非線形分離トレンチ114の高さ全体に沿って延びることが企図されている。
【0031】
[0046] 1つの実施形態では、喉部(throat)116の側壁124上の誘電体材料にギャップが全く存在しない。従って、ギャップが全く存在しないことを保証するために、それぞれの誘電体側壁124の厚さは喉部116の幅の半分より厚くなければならない。
【0032】
[0047] 誘電体材料でトレンチを充填するために熱酸化が上述されているが、化学的気相堆積(CVD)技法など、その他の適切な技法を使用することができる。
【0033】
[0048]
図6D〜
図6Gは、基板の表面に対して浮いている梁を形成する前に実行可能な模範的な表面調整ステップ及び金属パターン形成ステップを示している。特に、
図6Dでは、合わせ目128におけるくぼみ132を除去するために、表面を平坦化して、その後のリソグラフィ及び付着ステップのための平面136を形成することができる。
図6Eでは、第2のリソグラフィ・ステップによりビアを開けて、下にあるシリコン102への接点を用意する。この第2のリソグラフィ・ステップは、表面136上のレジストの層142内にビア開口部140のパターンを露光して現像し、下にある誘電体層138内にそのパターンを転写することによって実行される。リソグラフィ後、領域144内にシリコンを注入し、誘電体層138の表面上の金属層とシリコンとの間にオーム接点を形成する。領域144内にシリコンを注入した後、レジスト142を除去する。
【0034】
[0049]
図6Fでは、金属層148、例えば、アルミニウムを付着させる。この金属は、誘電体138の表面136を覆い、分離継手120の上を均一にコーティングする。金属層148はビア140を充填し、領域144でシリコンが注入された領域に接触し、金属をシリコンに電気的に接続してオーム接点を形成する。そうではなければ、金属層148は誘電体層138により基板シリコン102から絶縁される。
図6Gでは、第3のフォトリソグラフィ・ステップ(粗い金属パターン形成)が示されている。レジスト層150を金属層148の上面上に塗布する。金属が望ましくない開口エリア152を設けるためにレジストに対してパターン形成する。ウェット・ケミカル・エッチング又は反応性イオン・エッチングによってレジスト内の開口部152を金属層148に転写する。このエッチングは酸化物層138の表面136で止まる。開口部152における金属の除去により、個々の梁要素の上の金属領域158から金属領域156を分離する。これは、微小機械構造に対して及びその上で複数の相互接続経路が必要である状況において重要である。その他の実施形態では、
図6D〜
図6Gにおける上述のステップのいずれかを省略又は変更することができる。例えば、粗い金属パターン形成が上述されているが、その後に形成すべき梁の幅より小さい幅を有する金属トレースを定義するように金属層148に対してパターン形成しエッチングすることができる。
【0035】
[0050] 最後に、基板の表面に対して浮いている梁を形成することができる。
図6Hは、基板の表面に対して浮いている梁を形成する模範的な方法を示している。
図6Hに示されているように、レジスト層160を使用して最終的な第4のリソグラフィ・ステップを適用することができ、微細構造全体を形成するために接続された梁構造の配列を定義するようにレジスト層に対してパターン形成する。レジスト・パターンは、例えば、反応性イオン・エッチングを使用して金属層148から(粗い金属パターン形成を使用する場合)転写し、次に、例えば、反応性イオン・エッチングを使用して誘電体層138から転写することができる。レジスト、金属(粗い金属パターン形成を使用する場合)、及び誘電体の各層は、他の深いシリコン・トレンチ・エッチングのためのエッチング・マスクとして機能し、分離継手120とともに形成すべき梁構造を取り囲む。基板の表面の上に浮いている梁166を形成(又は放出(release))するために、ウェーハ上及び深い構造トレンチ内に不活性化誘電体層を付着させる。トレンチ・フロアから誘電体層を除去し、等方性シリコン・エッチングを実行してビーム構造をアンダーカットし、梁と基板102との間のシリコン梁166の下に延びる空洞(cavity)168を残す。接点領域144により金属領域又は相互接続156からシリコン梁166の遠位部分まで電気接続を行い、作動及び感知適用例においてキャパシタとして使用するための適切な電気回路にシリコン梁が接続できるようにする。
【0036】
[0051] 他の実施形態では、非線形分離トレンチ114は、非線形分離トレンチ114の誘電体側壁124間に空隙が存在するように、誘電体材料で部分的に充填される。誘電体側壁124間の空隙は、充填材、例えば、ドープ又はアンドープ・ポリシリコン或いは任意のその他の適切な材料で充填することができる。例えば、非線形分離トレンチ114内に薄い誘電体層を形成し、側壁上の誘電体層間に空隙又はトレンチを残すことができる。次に、誘電体側壁間の空隙内にポリシリコンなどの充填材を形成し、分離トレンチ114の残りの部分を充填することができる。
【0037】
[0052]
図3〜
図9は非線形分離継手を取り入れた単一放出梁を示しているが、完全なデバイス機能を提供するように互いに或いは基板に接続された任意の数のこのような梁でMEMSデバイスを製造できることは言うまでもない。
【0038】
ブリッジ部分を備えた分離継手を有するMEMSデバイス
[0053] 他の実施形態では、微小電気機械デバイスは、基板と、梁と、基板から梁の一部分を電気的に分離する分離継手と、を含むことができる。分離継手は、それぞれが合わせ目と空隙とを有する第1の部分及び第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間の中実ブリッジ部分と、を有することができる。梁は、基板の表面の上に浮いている状態にすることができる。中実ブリッジ部分は、梁の剛性を増すことにより、梁の機械的性質を改善することができる。梁の剛性を改善することは、梁の破断を防止するのに役立つ。
【0039】
[0054]
図10〜
図13をひとまとめにして参照すると、これらはブリッジ部分390を備えた分離継手300を有するMEMSデバイス100の模範的な諸実施形態を示し、梁200は基板(図示せず)の表面の上に浮いている状態にすることができる。梁200は遠位部分220と近位部分240とを有することができる。近位部分240は、例えば、片持ち梁式に梁200を支持するように基板に機械的に接続することができる。梁200及び基板は、例えば、シリコン又はその他の適切な材料で製造することができる。
【0040】
[0055] 分離継手300は梁200の遠位部分220と近位部分240との間にある。分離継手300は梁200の近位部分240から並びに基板から遠位部分220を電気的に分離することができる。分離継手300は第1の部分360と第2の部分380とを有することができる。第1の部分360及び第2の部分380はそれぞれ合わせ目320と内部空隙340とを有することができる(線11−11に沿って取られた
図10のMEMSデバイス100の断面図を示す
図11を参照されたい)。また、分離継手300はブリッジ部分390も有することができる。ブリッジ部分390は実質的に中実であり、即ち、ブリッジ部分390は第1及び第2の部分360及び380のような内部空隙又は合わせ目を備えていない。分離継手300は誘電体材料、例えば、二酸化シリコンで製造することができる。例えば、より幅広い梁200が必要な時に、分離継手300は3つ以上の分離継手部分を有することができる。
【0041】
[0056] 1つの実施形態では、ブリッジ部分390は梁200の遠位部分220及び近位部分240に隣接している。有利なことに、梁200が偏向すると、その結果のひずみは近位部分240から中実ブリッジ部分390を通って遠位部分220まで延びる。ひずみは、空隙340を有する第1の部分360又は第2の部分380の代わりにブリッジ部分390を通って延びるので、梁200はより堅くなり、より良好に破断を回避することができる。
【0042】
[0057] 一実施形態では、第1の部分360と第2の部分380の合わせ目は梁に対して垂直である。例えば、
図10は、互いに線形に位置合わせされ、梁200に対して垂直な第1の部分360と第2の部分380とを有する分離継手300を示している。従って、第1の部分360と第2の部分380の合わせ目320も梁200に対して垂直である。他の実施形態では、第1の部分360と第2の部分380の合わせ目320は梁200に対して平行である。例えば、
図12は、梁200が延びる方向に対して平行な4つの合わせ目320を示している。より幅広い梁が必要である時に、追加の分離継手部分を含めることができる。
【0043】
[0058] 1つの実施形態では、分離継手は、合わせ目320を有する3つ以上の部分、例えば、3つの部分、4つの部分、5つの部分などを含むこともできる。例えば、
図12は、第1の部分360と、第2の部分380と、第3の部分362と、第4の部分382と、を有する分離継手300を示している。ブリッジ部分390はそれぞれの部分の間にあり、それぞれの部分は合わせ目320を有する。
【0044】
[0059] 一実施形態では、合わせ目320は、線形又は直線の形状、或いは、非線形の形状、例えば、T形形状、I形形状、弓形形状、波形形状、曲線形状、任意のその他の非線形の形状、若しくは、これらの任意の組み合わせを有することができる。他の実施形態では、合わせ目320は、線形又は非線形の形状の任意の組み合わせにすることができる。例えば、合わせ目320は、2つのT形の合わせ目のフランジ間に1つの線形の合わせ目を含むことができる。
【0045】
[0060]
図13は、非線形の合わせ目320を有する分離継手300の一例を示している。第1の部分360と第2の部分380はどちらもT形の合わせ目320を有し、分離継手300のブリッジ部分390は、合わせ目320のうち、梁200に対して平行な2つの部分の間にある。
【0046】
[0061] 他の実施形態では、分離継手300は、第1の分離継手部分360及び第2の分離継手部分380の空隙内に充填材を含むこともできる。充填材は、例えば、ドープ又はアンドープ・ポリシリコン或いは任意のその他の適切な充填材にすることができる。一例では、分離継手300は、空隙を定義する誘電体材料の薄い層と、空隙を充填する充填材と、を含む。
【0047】
[0062] 一実施形態では、上述のようにブリッジ部分を有する微小電気機械デバイスを製造する方法は、基板内に第1の分離トレンチ及び第2の分離トレンチを形成することと、熱酸化により誘電体材料で第1の分離トレンチ及び第2の分離トレンチを充填することと、基板の表面に対して浮いている梁を形成することと、を含むことができる。基板のうち、第1の分離トレンチと第2の分離トレンチとの間にある部分は、熱酸化後の酸化物を含む。
【0048】
[0063] 一実施形態では、分離トレンチを形成するステップと、熱酸化により誘電体材料で分離トレンチを充填するステップと、基板の表面に対して浮いている梁を形成するステップと、は、少なくとも2つの分離トレンチ114が基板102内に形成されることを除いて、実質的に
図6A〜
図6Hを参照して上述した通りである。例えば、少なくとも2つのトレンチ・パターン110は、例えば、任意の適切なリソグラフィ技法を使用して、レジスト106内に定義され、トレンチ・パターン110はマスク層104に転写され、分離トレンチ114は、例えば、エッチングにより、基板102内に形成される。上から見ると、トレンチ・パターン110は任意の適切な形状、例えば、直線などの線形の形状、或いは、弓形形状、I形形状、波形形状、曲線形状、又は任意のその他の非線形形状などの非線形の形状を有することができる。
図14〜
図16は、基板102内に形成された少なくとも2つの分離トレンチ114を有する模範的な諸実施形態を示している。
【0049】
[0064] 従って、分離トレンチ114が熱酸化により誘電体材料で充填されると、基板のうち、それぞれの分離トレンチ114間の部分115(
図14〜
図16)は、酸化物、例えば、基板がシリコンである時は二酸化シリコンに転換されて、分離継手300のブリッジ部分390を形成する。一実施形態では、線11−11に沿って
図10の分離継手300の断面図を示す
図11に示されているように、基板のうち、それぞれの分離トレンチ114間の部分115全体が酸化物に転換されるので、ブリッジ部分390には合わせ目320又は空隙340がない。それぞれのトレンチ間の幅W
Tは、その後の処理を容易にするためのトポロジも形成しながら、部分115全体が酸化物に転換されるように決定される。幅W
Tが大きい場合、部分115は完全に酸化物に転換するわけではなく、分離継手300は導電性シリコンが残っているために絶縁体として機能しなくなる。しかし、幅W
Tが小さすぎる場合、酸化物の総量が制限され、その後の処理を困難にし、MEMSデバイスを脆弱にするようなトポロジを形成することになる。
【0050】
[0065] 1つの実施形態では、浮いている梁は、分離継手300のブリッジ部分390が梁200の遠位部分220及び近位部分240に隣接するように形成される。例えば、
図6Hで上述した第4のリソグラフィ・ステップでは、分離継手のブリッジ部分390に位置合わせされた梁を定義するようにレジスト層160にパターン形成することができ、この梁のパターンをレジスト層、金属層、及び誘電体層に転写することができる。従って、例えば、等方性シリコン・エッチングにより、梁200が基板から放出されると、ブリッジ部分390は梁200の遠位部分220と梁200の近位部分240の間になる。
【0051】
[0066]
図17A〜
図17Cは、
図12及び
図15に示されているようにMEMSデバイスを製造する時に分離トレンチを形成し、誘電体材料で分離トレンチを充填する一実施形態を示している。
図17Aに示されているように、例えば、任意の適切なリソグラフィ技法を使用して、レジスト106内に4つのトレンチ・パターン110を定義する。このトレンチ・パターン110をマスク層104に転写し、次に、例えば、エッチングにより基板102内に分離トレンチ114を形成する。上から見ると、トレンチ・パターン110は、直線又は線形の形状を有することができ、内曲した側面輪郭又はその他の適切な側面輪郭を有することができる。一実施形態では、それぞれの分離トレンチ114間の部分115はそれぞれのトレンチ114の最下部118まで延び、即ち、それぞれのトレンチの最下部118はそれぞれのトレンチ114間の部分115によって分離される。この分離は、分離トレンチ114間の幅W
Tを増加することによるか又は分離トレンチ114の最下部118の幅が縮小されるようにエッチングを調整することによって達成することができる。次に、
図17Cに示されているように、熱酸化により誘電体材料で分離トレンチ114を充填する。基板102のうち、それぞれの分離トレンチ114間の部分115を二酸化シリコンに転換して、分離継手300のブリッジ部分390を形成する。すべての部分115が分離トレンチ114の最下部118まで延びているので、ブリッジ部分390は分離継手300の高さ全体に延び、それにより分離継手300の全体的な強度を増している。
【0052】
[0067] 1つの実施形態では、分離トレンチ114は、例えば、
図10に示されているデバイス100のように、形成された梁の方向に対して垂直にすることができる。他の実施形態では、分離トレンチ114は、例えば、
図12に示されているデバイス100のように、形成された梁200の方向に対して平行にすることができる。
【0053】
[0068] 一実施形態では、ブリッジ部分を有する分離継手を製造する方法は、誘電体材料によって定義された空隙を充填材で充填することを更に含む。充填材は、例えば、ドープ又はアンドープ・ポリシリコン或いは任意のその他の適切な充填材にすることができる。例えば、分離トレンチ114内に薄い誘電体層を形成し、トレンチの側壁上の誘電体層間に空隙又はトレンチを残すことができる。次に、誘電体側壁間の空隙内にポリシリコンなどの充填材を形成し、分離トレンチ114の残りの部分を充填することができる。
【0054】
ソフトウェア実現例
[0069] 上述のMEMSデバイスのハードウェア実現例に加えて、このようなMEMSデバイスは、例えば、ソフトウェア(例えば、コンピュータ可読プログラム・コード)を記憶するように構成されたコンピュータ使用可能(例えば、可読)媒体内に配置されたソフトウェアで実施することもできる。このプログラム・コードにより、本明細書に開示されたMEMSデバイスの形成を含む、本発明の諸実施形態が使用可能になる。
【0055】
[0070] 例えば、これは、一般的なプログラミング言語(C又はC++など)、Verilog HDL、VHDL、Altera HDL(AHDL)などを含むハードウェア記述言語(HDL)、或いはその他の使用可能なプログラミング及び/又は図式収集ツール(回路収集ツールなど)の使用により達成することができる。プログラム・コードは、半導体、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROMなど)を含む任意の既知のコンピュータ使用可能媒体内に、並びにコンピュータ使用可能(例えば、可読)伝送媒体(搬送波或いはデジタル媒体、光媒体、又はアナログベースの媒体を含む任意のその他の媒体など)に実施されたコンピュータ・データ信号として、配置することができる。このため、このコードは、インターネット及びイントラネットを含む通信ネットワークにより伝送することができる。上述のシステム及び技法により達成される諸機能及び/又は提供される構造はプログラム・コードで実施することができ、MEMSデバイスの生産の一部としてハードウェアに変形できることは言うまでもない。
【0056】
結論
[0071] 本発明の様々な実施形態について上述してきたが、これらは、制限としてではなく、一例としてのみ提示されていることを理解されたい。当業者であれば、特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、形式及び詳細において様々な変更が可能であることを理解するであろう。従って、本発明の幅及び範囲は上述の模範的な諸実施形態のいずれでも制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びそれと同等のものによってのみ定義されるべきである。
【0057】
[0072] 発明の概要及び要約の項ではなく、発明を実施するための形態の項は特許請求の範囲を解釈するために使用されるものであることを認識されたい。発明の概要及び要約の項は本発明者(複数も可)によって企図されたように本発明の模範的な諸実施形態のうちのすべてではなく1つ又は複数について明記することができ、従って、いずれの点においても本発明及び特許請求の範囲を制限するものではない。