特許第6023093号(P6023093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023093
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】2段可変力ソレノイド
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20161027BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20161027BHJP
   F16D 25/12 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   H01F7/16 R
   F16K31/06 385A
   F16K31/06 385C
   F16D25/12 Z
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-556741(P2013-556741)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-509718(P2014-509718A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】US2012026445
(87)【国際公開番号】WO2012118698
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年12月2日
(31)【優先権主張番号】61/447,414
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ガレット・アール・ホームズ
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−9250(JP,A)
【文献】 実開平3−57579(JP,U)
【文献】 実開平1−156379(JP,U)
【文献】 特開昭56−116968(JP,A)
【文献】 米国特許第3949645(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
F16K 11/07
F16D 25/12
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)であって、
単一のバルブ本体(12)に形成されたバルブ制御ポート(20)を通して流量増幅流体通路(18)と流体連通する計量ランド(16)を含むパイロット流体通路(14)を有する単一のバルブ本体(12)と、
パイロットバルブ部材(22)のソレノイド動作式の作動に応じて前記バルブ制御ポート(20)を加圧流体供給ポート(26)におよび戻り排気ポート(28)に選択的に接続するために、前記計量ランド(16)に対する移動と協働するように動作可能な計量オリフィス(24)を有する前記パイロット流体通路(14)に配置されたソレノイド動作式パイロットバルブ部材(22)と、
前記パイロットバルブ部材(22)を通して制御された流体圧力に応じて荷重制御ポート(32)を前記加圧流体供給ポート(26)におよび前記戻り排気ポート(28)に選択的に接続するために、一端(30a)の前記バルブ制御ポート(20)と流体連通する前記流量増幅流体通路(18)に配置された流量増幅スプールバルブ部材(30)と、
を備える2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)。
【請求項2】
前記バルブ本体(12)が、
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)の往復運動のために、前記パイロットバルブ部材(22)および前記流量増幅スプールバルブ部材(30)を収容する単一の細長いバルブ本体(12)をさらに備える請求項1に記載の制御バルブ(10)。
【請求項3】
前記単一の細長いバルブ本体(12)の共通の軸線に沿って移動可能な前記パイロットバルブ部材(22)および前記流量増幅スプールバルブ部材(30)をさらに備える請求項2に記載の制御バルブ(10)。
【請求項4】
前記パイロット流体通路(14)に隣接する前記パイロットバルブ部材(22)に接続されたソレノイドアクチュエータ(34)であって、前記ソレノイドアクチュエータ(34)が、供給された電気エネルギーの大きさに応じて前記パイロットバルブ部材(22)を移動させるように動作可能であるソレノイドアクチュエータ(34)をさらに備える請求項1に記載の制御バルブ(10)。
【請求項5】
前記パイロットバルブ部材(22)を所定のパイロットバルブ位置に向かって付勢して、ゼロパイロット圧力を提供するためのパイロットバルブ付勢部材(36)をさらに備える請求項1に記載の制御バルブ(10)。
【請求項6】
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)を所定のスプールバルブ位置に向かって付勢して、パイロット段圧力よりも小さくオフセットされた第2段の制御圧力を提供するスプールバルブ付勢部材(38)をさらに備える請求項1に記載の制御バルブ(10)。
【請求項7】
流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)であって、
バルブ本体(12)に形成されたバルブ制御ポート(20)を通してパイロット流体通路(14)と流体連通する計量ランド(16)および流量増幅流体通路(18)を有する前記パイロット流体通路(14)を有する単一の細長いバルブ本体(12)であって、前記バルブ本体(12)が、前記パイロット流体通路(14)におよび前記流量増幅流体通路(18)に接続された加圧流体供給ポート(26)、前記流量増幅流体通路(18)に接続された荷重制御ポート(32)、および前記流量増幅流体通路(18)におよび前記パイロット流体通路(14)に接続された戻り排気ポート(28)を含む単一の細長いバルブ本体(12)と、
前記パイロット流体通路(14)に隣接する前記バルブ本体(12)に接続できるソレノイド(34)と、
前記バルブ本体(12)の前記パイロット流体通路(14)に配置されかつ前記ソレノイド(34)に接続されたパイロットバルブ部材(22)であって、前記ソレノイド(34)が、供給された電気エネルギーの大きさに応じて前記パイロットバルブ部材(22)を移動させるように動作可能であり、前記パイロットバルブ部材(22)が、前記ソレノイド(34)の作動に応じて前記加圧流体供給ポート(26)と前記戻り排気ポート(28)との間で流体連通する前記バルブ制御ポート(20)を選択的に接続するために、前記バルブ本体(12)の前記計量ランド(16)に対する移動と協働するように動作可能な計量オリフィス(24)を有するパイロットバルブ部材(22)と、
一端(30a)と前記バルブ制御ポート(20)との間の膨張可能なチャンバーを画定するために、前記バルブ本体(12)の前記流量増幅流体通路(18)に配置され、かつ前記一端(30a)の前記パイロットバルブ部材(22)の前記計量ランド(16)と関連する前記バルブ制御ポート(20)と流体連通する流量増幅スプールバルブ部材(30)であって、前記流量増幅スプールバルブ部材(30)が、前記パイロットバルブ部材(22)を通して制御される前記膨張可能なチャンバー内の流体圧力に応じて前記加圧流体供給ポート(26)と前記戻り排気ポート(28)との間で流体連通する荷重制御ポート(32)を選択的に接続するためのものである流量増幅スプールバルブ部材(30)と、
を備える2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)。
【請求項8】
前記パイロットバルブ部材(22)を所定のパイロットバルブ位置に向かって付勢して、ゼロパイロット圧力を提供し、ソレノイド(34)との接触を維持するためのパイロットバルブ付勢部材(36)と、
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)を所定のスプールバルブ位置に向かって付勢して、パイロット段圧力よりも小さくオフセットされた第2段の制御圧力を提供するスプールバルブ付勢部材(38)と、
前記ソレノイドを所定のソレノイド位置に向かって付勢するためのソレノイド付勢部材(40)と、
をさらに備える請求項7に記載の制御バルブ(10)。
【請求項9】
前記流量増幅バルブ部材(30)が、
前記荷重制御ポート(32)と前記戻り排気ポート(28)との間の流体連通を開閉するために、前記バルブ制御ポート(20)を通して作用する流体圧力に応じて前記バルブ本体(12)に対する移動と協働するように動作可能な第1のランド(42)であって、前記第1のランド(42)が前記バルブ制御ポート(20)と前記戻り排気ポート(28)とを分離する第1のランド(42)と、
前記加圧流体供給ポート(26)と前記戻り排気ポート(28)とを分離するために前記バルブ本体(12)に対する移動と協働するように動作可能な第2のランド(44)と、
前記荷重制御ポート(32)と前記加圧流体供給ポート(26)との間の流体連通を開閉するために、前記バルブ制御ポート(20)を通して作用する流体圧力に応じて前記バルブ本体(12)に対する移動と協働するように動作可能な第3のランド(46)であって、前記第3のランド(46)が、前記荷重制御ポート(32)と、フィードバック圧力オリフィス(50)を通して前記荷重制御ポート(32)に流体連通するフィードバック圧力チャンバー(48)とを分離する第3のランド(46)と、
をさらに備える請求項7に記載の制御バルブ(10)。
【請求項10】
加圧流体供給ライン、戻り排気ライン、および荷重制御ラインを含む流体処理システムにおいて、流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)であって、
単一のバルブ本体(12)であって、前記バルブ本体(12)に形成されたバルブ制御ポート(20)を通して流量増幅流体通路(18)と流体連通する計量ランド(16)を含むパイロット流体通路(14)を有する単一のバルブ本体(12)と、
パイロットバルブ部材(22)のソレノイド動作式の作動に応じて、前記バルブ制御ポート(20)を、加圧流体供給ポート(26)を通して加圧流体供給ラインに、および戻り排気ポート(28)を通して戻り排気ラインに選択的に接続するために、前記計量ランド(16)に対する移動と協働するように動作可能な計量オリフィス(24)を有する前記パイロット流体通路(14)に配置されたソレノイド動作式パイロットバルブ部材(22)と、
一端(30a)の前記バルブ制御ポート(20)と流体連通する前記流量増幅流体通路(18)に配置されかつ前記一端(30a)と前記バルブ制御ポート(20)との間の膨張可能なチャンバーを画定する流量増幅スプールバルブ部材(30)であって、前記流量増幅スプールバルブ部材(30)が、前記パイロットバルブ部材(22)を通して制御される前記膨張可能なチャンバー内の流体圧力に応じて、荷重制御ポート(32)を通して荷重制御ラインを前記加圧流体供給ポート(26)におよび前記戻り排気ポート(28)に選択的に接続するためのものである流量増幅スプールバルブ部材(30)と、
を備える流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【請求項11】
前記バルブ本体(12)が、
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)の往復運動のために、前記パイロットバルブ部材(22)および前記流量増幅スプールバルブ部材(30)を囲む単一の細長いバルブ本体(12)をさらに備える請求項10に記載の流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【請求項12】
前記単一の細長いバルブ本体(12)の共通の軸線に沿って移動可能な前記パイロットバルブ部材(22)および前記流量増幅スプールバルブ部材(30)をさらに備える請求項11に記載の流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【請求項13】
前記パイロット流体通路(14)に隣接する前記パイロットバルブ部材(22)に接続されたソレノイドアクチュエータ(34)であって、前記ソレノイドアクチュエータ(34)が、ばね部材(40)により前記パイロットバルブ部材(22)に向かって付勢され、供給された電気エネルギーの大きさに応じて前記パイロットバルブ部材(22)を移動させるように動作可能であるソレノイドアクチュエータ(34)をさらに備える請求項10に記載の流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【請求項14】
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)から離れる方向に前記パイロットバルブ部材(22)を付勢して、ゼロパイロット圧力を提供し、アーマチュア(52)との接触を維持するためのばね部材(36)をさらに備える請求項10に記載の流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【請求項15】
前記流量増幅スプールバルブ部材(30)を前記バルブ制御ポート(20)に向かって付勢して、パイロット段圧力よりも小さくオフセットされた第2段の制御圧力を提供するばね部材(38)をさらに備える請求項10に記載の流体圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブ(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖要素の明確な所定の動きにより通路を閉じるかまたは通路を制限することによって通路内の流体圧力を調整するためのバルブおよびバルブ作動であって、電気エネルギーを使用して、移動可能な要素、すなわちバルブの位置を変化させ、通路または開口部を通る流動材料の流量を調整または制御するバルブアクチュエータの形態の手段と、供給された電気エネルギーの大きさに応じる力によってバルブを移動させるための、または供給された電気エネルギーの大きさに応じて圧力を調整するための手段とを有するバルブおよびバルブ作動に関し、ならびに作動手段を有する単一のバルブを用いて流体圧力を制御するための流体処理システムであって、単一のバルブが、3つ以上の圧力ラインとの連通を制御し、荷重制御ラインの相対圧力を決定するように配置されたアクチュエータを有し、単一のバルブが、パイロットバルブによって制御される流体圧力手段によって作動され、ここで、パイロットバルブが電力手段によって動作される流体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソレノイド動作式バルブを自動車に使用して、クラッチ機構または他の伝達構成要素等の多数の装置、または実質的に任意の他の液圧作動式車両システムを制御することができる。直動式のソレノイド動作式バルブを使用して、制御圧力に抗するバルブのパイロット圧力を制御することができる。これらのパイロットバルブは、多くの場合、装置のバルブ本体部分内で移動するスプールまたはピンバルブ部材の使用を取り入れることができる。スプールまたはピンバルブ部材は、ピンバルブ部材の中空部分に対してバルブ部材の供給ポートと制御ポートと排気ポートとの間の流体接続を提供するための通路を有する中空穴を有することができる。スプールまたはピンバルブ部材は、ポートから一方の方向への流体の流入を阻止することができかつ流体がバルブ部材の縁部と他のポートとの間で流れることを可能にするように僅かに開くことができる縁部を有することができる。このようにして、バルブ部材を通る流体流量の計量はピンバルブ部材の縁部および供給ポートで行うことができる。通常、直動式のソレノイド動作式圧力制御パイロットバルブからの制御された出力パイロット圧力は、適切なパイプまたは導管によって、制御されるべき第2段のバルブに接続される。このタイプの形態は、システムに割り当てられるべき追加の車内空間を必要とし、追加の材料重量を車両に加え、製造、輸送、保管および組み立てられるべきより多数の部品を組み込んでおり、そして車両を作りおよび/または点検修理するのに必要な組立時間および労力を増大させる。さらに、パイロットバルブと第2段のバルブとの間のパイプ長さに関連する荷重装置への圧力の到達に時間遅延を導入することによって、パイロットバルブと第2段のバルブとの間の可変のパイプ長さがシステムの性能に悪影響を与えることがある。その上、パイロットバルブと第2段のバルブとの間のパイプ長さに沿った漏れの可能性を大きくすることによっても、システムの性能に悪影響を与えることがある。空気ポケットの圧縮性による圧力過渡現象および効果的でない圧力送出を導入することによって、パイプ長さのあらゆる空気ポケットがシステムの性能に悪影響を与えることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上述の現在の組立体と関連する課題を解決するために、圧力を調整するための2段可変力ソレノイド制御バルブを提供することが望ましいであろう。2段可変力ソレノイド制御バルブは、計量ランドを含むパイロット流体通路を有するバルブ本体を含むことができる。パイロット流体通路は、バルブ本体に形成された流量増幅バルブ制御ポートを通して流量増幅流体通路と流体連通することができる。バルブ本体は、パイロット流体通路におよび流量増幅流体通路に動作可能に接続された加圧流体供給ポートを含むことができる。荷重制御ポートは流量増幅流体通路に動作可能に接続することができ、戻り排気ポートは流量増幅流体通路におよびパイロット流体通路に動作可能に接続することができる。ソレノイドは、パイロット流体通路に隣接するバルブ本体に動作可能に接続することができる。パイロットバルブ部材は、バルブ本体のパイロット流体通路に配置されることができ、ソレノイドに動作可能に接続することができる。パイロットバルブ部材は、ソレノイドの作動に応じて加圧流体供給ポートと戻り排気ポートとの間で流体連通する流量増幅バルブ制御ポートを選択的に接続するために、バルブ本体の計量ランドと協働するように動作可能な計量オリフィスを有することができる。流量増幅バルブ部材は、バルブ本体の流量増幅流体通路に動作可能に配置されることができ、供給ポートと排気ポートとの間で流体連通する荷重制御ポートを選択的に接続するために一端のパイロットバルブ部材の流量増幅バルブ制御ポートと流体連通することができる。
【0004】
本概念は、制御システムの性能を向上させて制御システムのコストを低減する既存のソレノイド技術の改良物である。この設計は、直動式の比例制御ソレノイドおよびパイロットタイプの2段比例ソレノイドの属性を1つの単一のソレノイド動作式バルブパッケージに組み合わせる。2つの属性を組み合わせ、単一のオリフィスパイロット調整器を用いて流量増幅バルブを制御することにより、改良物が提供される。この組み合わせは、漏れを最小にし、パイロットチャネル長さを低減し、パイロット回路における空気の捕捉を最小にする。結果として得られた組み合わせは、動的な液圧応答を改善し、下流荷重、調整バルブ、クラッチ等の制御能力を向上させ、既存の制御システムに必要な他の制御バルブを潜在的に排除する。その組み合わせは、パイロットバルブと第2段のバルブとの間の先のパイプ接続と関連する可変のサイズ、長さ、制限、および容積を排除することにより、パイロットバルブの動作に応じてバルブ制御ポートと流量増幅バルブ部材との間で画定される流量増幅バルブ制御通路および関連の膨張可能なチャンバーに関する正確な寸法制御および予測可能な挙動を可能にする。この組み合わせは、パイロットバルブと第2段のバルブとの間の先のパイプ接続と関連するあらゆる時間遅延、漏れ、圧力過渡現象、および効果的でない圧力送出を排除することもできる。望むならば、本設計は第2段のバルブの圧力利得の包含を許容する。
【0005】
本発明を実施するために考慮される最良の形態の以下の説明を添付図面と関連して読むとき、本発明の他の用途が当業者に明らかになるであろう。
【0006】
複数の図の全体にわたって同様の参照番号が同様の部分を指す添付図面を参照して、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による通常高いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブの出力圧力が非通電時に高く、印加された電流の増大に従って減少される本発明による通常高いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブの側面図である。
図2図1の通常高いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブの断面図である。
図3】通常低いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブの出力圧力が非通電時に低く、印加された電流の増大に従って増大される通常低いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図1および図2を参照すると、流体圧力を調整するための通常高いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブ10は、バルブ本体12に形成されたバルブ制御ポート20を通して流量増幅流体通路18と流体連通する計量ランド16を含むパイロット流体通路14を有するバルブ本体12を含むことができる。パイロット流体通路14に配置されたソレノイド動作式パイロットバルブ部材22は、パイロットバルブ部材22のソレノイド動作式の作動に応じてバルブ制御ポート20を加圧流体供給ポート26におよび戻り排気ポート28に選択的に接続するために、計量ランド16と協働するように動作可能な計量オリフィス24を含むことができる。流量増幅スプールバルブ部材30は、パイロットバルブ部材22を通る加圧流体流量に応じて荷重制御ポート32を加圧流体供給ポート26におよび戻り排気ポート28に選択的に接続するために、一端30aのバルブ制御ポート20と流体連通する流量増幅流体通路18に配置することができる。パイロットバルブ部材22は、バルブ制御ポート20と流量増幅スプールバルブ部材30の一端30aとの間に画定された膨張可能なチャンバー内の流体圧力を制御する。圧力を制御して、流量増幅スプールバルブ部材30の端部30aに隣接する関連の膨張可能なチャンバーをパイロットバルブ部材22により膨張および収縮させることによって、流量増幅流体通路18内における流量増幅スプールバルブ部材30の往復運動に応じて、流量増幅流体通路18から出力された流体圧力全体の制御が行われる。
【0009】
バルブ本体12は、流量増幅スプールバルブ部材30の往復運動のために、パイロットバルブ部材22および流量増幅スプールバルブ部材30を収容する単一の細長いバルブ本体12によって規定することができる。パイロットバルブ部材22および流量増幅スプールバルブ部材30は、単一の細長いバルブ本体12の共通の軸線に沿って移動可能であることができる。ソレノイドアクチュエータ34は、パイロット流体通路14に隣接するパイロットバルブ部材22に動作可能に接続することができる。ソレノイドアクチュエータ34は、供給された電気エネルギーの大きさに応じてパイロットバルブ部材22を移動させるように動作可能であることができる。パイロットバルブ付勢部材36はパイロットバルブ部材22を所定のパイロットバルブ位置に向かって付勢することができる。一例であり、限定的なものではないが、図2に示すように、パイロットバルブ部材22はソレノイドアクチュエータ34と接触するように付勢される。スプールバルブ付勢部材38は流量増幅スプールバルブ部材30を所定のスプールバルブ位置に向かって付勢することができる。一例であり、限定的なものではないが、図2に示すように、荷重制御ポート32と加圧流体供給ポート26と戻り排気ポート28との間の流体連通を閉じるために、スプールバルブ部材30がバルブ制御ポート20に向かって付勢される。ソレノイド付勢部材40はソレノイドアーマチュア52をアーマチュア52の所定のソレノイド位置に向かって付勢することができる。一例であり、限定的なものではないが、図2に示すように、ソレノイドアーマチュア52はパイロットバルブ部材22と接触するように付勢される。通常高いタイプの制御バルブ10は、ソレノイド34の非通電時に、高い流体圧力を維持して制御ポート20に荷重を加える。
【0010】
流量増幅スプールバルブ部材30は、荷重制御ポート32と戻り排気ポート28との間の流体連通を開閉するために、バルブ制御ポート20を通して作用する流体圧力に応じてバルブ本体12に対する移動と協働するように動作可能な第1のランド42を含むことができる。第1のランド42はバルブ制御ポート20と戻り排気ポート28とを分離することができる。スプールバルブ部材30の第2のランド44は、スプールバルブ部材30の移動範囲全体を通して加圧流体供給ポート26と戻り排気ポート28とを分離するために、バルブ本体12と協働するように動作可能であることができる。スプールバルブ部材30の第3のランド46は、荷重制御ポート32と加圧流体供給ポート26との間の流体連通を開閉するために、バルブ制御ポート20を通して作用する流体圧力に応じてバルブ本体12に対する移動と協働するように動作可能であることができる。第3のランド46も、荷重制御ポート32と、フィードバック圧力オリフィス50を通して荷重制御ポート32に流体連通するフィードバック圧力チャンバー48とを分離することができる。
【0011】
2段可変力ソレノイド制御バルブは、加圧流体供給ライン、戻り排気ライン、および圧力を調整するための荷重制御ラインを含む流体処理システムに組み込むことができる。流体処理システムは、クラッチ機構、または他の伝達構成要素、または実質的に任意の他の液圧作動式車両システムであることができる。より詳細に上述したように、バルブ本体12は、バルブ本体12に形成されたバルブ制御ポート20を通して流量増幅流体通路18と流体連通する計量ランド16を含むパイロット流体通路14を有することができる。パイロット流体通路14に配置されたソレノイド動作式パイロットバルブ部材22は、パイロットバルブ部材22のソレノイド動作式の作動に応じてバルブ制御ポート20を、加圧流体供給ポート26を通して加圧流体供給ラインに、および戻り排気ポート28を通して戻り排気ラインに選択的に接続するために、計量ランド16と協働するように動作可能な計量オリフィス24を有することができる。流量増幅スプールバルブ部材30は、パイロットバルブ部材22を通る加圧流体流量に応じて、荷重制御ポート32を通して荷重制御ラインを加圧流体供給ポート26におよび戻り排気ポート28に選択的に接続するために、一端30aのバルブ制御ポート20と流体連通する流量増幅流体通路18に配置することができる。
【0012】
単一の細長いバルブ本体12は、流量増幅スプールバルブ部材30の往復運動のために、パイロットバルブ部材22および流量増幅スプールバルブ部材30を囲むことができる。パイロットバルブ部材22および流量増幅スプールバルブ部材30は、単一の細長いバルブ本体12の共通の軸線に沿って移動可能であることができる。ソレノイドアクチュエータ34は、パイロット流体通路14に隣接するパイロットバルブ部材22に動作可能に接続することができる。ソレノイドアクチュエータ34は、ばね部材40によりパイロットバルブ部材22に向かって付勢されることができ、供給された電気エネルギーの大きさに応じてパイロットバルブ部材22を移動させるように動作可能であることができる。ばね部材36は、流量増幅スプールバルブ部材30から離れる方向にパイロットバルブ部材22を付勢して、ゼロパイロット圧力を提供し、アーマチュア52との接触を維持することができる。一方、ばね部材38は、流量増幅スプールバルブ部材30をバルブ制御ポート20に向かって付勢して、パイロット段圧力よりも小さくオフセットされた第2段の制御圧力を提供し、出力された利得線形性を向上させてシステム流体汚染感度を低減することができる。
【0013】
2段可変力ソレノイド制御バルブ10は、閉じられたバルブ位置および完全に開いたバルブ位置に対応する位置の間における、電磁コイル58への印加電流に応じた往復運動のために、中空の円筒形状ボビン56のアパーチャまたは穴54の中にあるアーマチュア52の反対側端部の低ばね定数のばね36、40によって吊り下げられた強磁性でロッド状の中実な円筒形状アーマチュア52を含むことができる。アーマチュア52の位置は、アーマチュア52を付勢してパイロットバルブ部材22に係合させてパイロットバルブ部材22を閉鎖位置に向かわせる圧縮コイルばね40の力に対して、電磁コイル58の電磁場の可変力を均衡させることによって制御される。ハウジング60がアーマチュア52の電磁場の磁束集中を提供するように、電磁コイル58、ボビン56およびアーマチュア52がソレノイドハウジング60に存在する。流体制御パイロットバルブ部材22は、圧縮コイルばね36の付勢に応じてアーマチュア52の一端に係合し、バルブ本体12に配置されたバルブシートまたは計量ランド16に対して移動して、加圧流体供給ポート26および戻り排気ポート28をバルブ制御ポート20に選択的に連通させ、印加された電流の大きさに応じてバルブ制御ポート20の流体圧力を調整する。
【0014】
2段能力を提供するために、流量増幅スプールバルブ部材30をバルブ本体12に配置することができる。動作の1つの段は、パイロットバルブ部材22の移動を制御するコイル58に供給された電流およびバルブ制御ポート20に送出された対応する流体圧力の大きさに応じて、最小圧力出力スプール位置と最大圧力出力スプール位置との間でスプールバルブ部材30を移動させることにより、荷重制御ポート32を通して出力された流体圧力を制御するステップを含む。スプールバルブ部材30の第3のランド46は荷重制御ポート32とフィードバック圧力チャンバー48とを分離する。フィードバック圧力チャンバー48は、フィードバック圧力オリフィス50を通して荷重制御ポート32と流体連通する。動作の他の段は、パイロットバルブ部材22の移動を制御するコイル58に供給された電流およびバルブ制御ポート20に送出された対応する流体圧力の大きさに応じて、最小圧力スプール位置と最大圧力スプール位置との間でスプールバルブ部材30を移動させることにより、戻り排気ポート28を通して出力された流体圧力を制御するステップを含む。コイル58の通電に応じたアーマチュア52の移動方向および対応するバルブ機能は、バルブが、通常高いタイプ(図2に示すような)としてまたは通常低いタイプ(図3に示すような)として構成されるかどうかに依存する。
【0015】
次に、図3を参照すると、流体圧力を調整するために本発明に従って、通常低いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブ10も提供できることを認識されたい。通常低いタイプの2段可変力ソレノイド制御バルブ10は、付勢ばね40の排除、パイロットバルブ部材22の伸長、およびコイル58の通電時におけるアーマチュア52の動作方向を除いて、上述の通常高いタイプの制御バルブ10の構造と同一である。上述の説明では、通常高いタイプの制御バルブ10と通常低いタイプの制御バルブ10との間における列挙した種々の共通の構成要素の詳細な説明を参照することができる。動作時、通常低いタイプの制御バルブ10は、ソレノイド34の非通電時に、荷重制御ポート32で維持されている低い流体圧力に対応する低い流体圧力をバルブ制御ポート20で維持する。
【0016】
通常低い制御圧力および通常高い制御圧力は、ソレノイドが非通電状態になっていることを指す。ソレノイドに発生した力は、通常低い制御圧力バルブのための開口点または通常高い制御圧力バルブのための閉鎖点の間の関数関係を生成する大きさに制限される。ソレノイド機構は磁気パッケージに関する2つの異なる形態を含み、一方、アーマチュアの動きは、線形ソレノイドが、通常高いまたは通常低いタイプのバルブ組立体パッケージの部分であるかどうかに依存して反対方向にある。力が均衡されたとき(すなわち、ばねからの正味のばね力と入口からの圧力とを足したものが磁力に等しいとき)、アーマチュアが安定し、所望の流量がバルブシートを通して確立される。流速が通電状態と非通電状態との間のある時点で最大になるような低い漏れ挙動を有する所望の制御圧力が達成される。通常高いバルブ組立体および通常低いバルブ組立体が、実質的に比例した直線を提供するように、結果として得られた流量対電流の曲線が釣鐘曲線と似ている。2つのばねを使用することにより、正味の予荷重を規定して、通常閉じられているバルブを開くか、または通常開いているバルブを閉じるのに必要な開口点電流を低下させることができる。一例であり、限定的なものではないが、流量増幅バルブ部材30と荷重制御ポート32との圧力出力利得率は1:1で示される。しかし、適切に寸法決めされて段階付けされた流量増幅バルブ部材30により、1:1以外の圧力利得率を組立体に取り入れて、荷重制御ポート32の所望の圧力出力を提供できることを認識されたい。
【0017】
現在、最も実用的かつ好ましい実施形態とみなされるべきものに関連して、本発明について説明してきたが、本発明が、開示した実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修正および等価構成を網羅するように意図され、前記範囲が、法の下で可能なかぎり、全てのこのような修正および等価構造を包含するように最も広範な解釈を許容すべきであることを理解すべきである。
図1
図2
図3