(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6023094
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】自動車用の音を発生させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20161027BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20161027BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 640Z
B60Q5/00 650A
B60R16/02 650A
G10K15/04 302J
【請求項の数】23
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-556982(P2013-556982)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-512997(P2014-512997A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012000294
(87)【国際公開番号】WO2012119678
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】102011001121.8
(32)【優先日】2011年3月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】オース, クリストフ
【審査官】
丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−233001(JP,A)
【文献】
特開2000−224716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
B60R 16/02
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ドライブトレインを備えた自動車用の音を発生させるための装置であって、
前記電気ドライブトレインによる電磁場に基づく、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号(11)を検出し、前記動作状態信号(11)に基づいて生成される基本信号(12)をチューニングユニット(102)に転送するように設計された少なくとも1つの取込ユニット(101)を備え、
前記チューニングユニット(102)が、フィルタリングおよび音響構成によって前記基本信号(12)を再構成して音信号(13)を生成し、前記音信号(13)を増幅器ユニット(103)に転送するように設計され、
前記増幅器ユニット(103)が、前記音信号(13)を増幅して、増幅された音信号(14)を変換器ユニット(104)に転送するように設計され、
前記変換器ユニット(104)が、前記増幅された音信号(14)を対応する音響信号に変換して、音を発生させるように設計されており、
更に、前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、電磁場を検出するように設計されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、電磁場を検出するための電磁気センサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、制御バス上の電気ピックアップユニットであり、前記ピックアップユニットが、電気ドライブトレインの制御信号およびデータ信号を検出するように設計されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、請求項2または3に記載の取込ユニット(101)を複数有し、前記取込ユニット(101)が、それぞれ前記チューニングユニット(102)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの動作状態信号(11)が、前記自動車の電気ドライブトレインの高電圧要素によって引き起こされる電磁干渉であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの動作状態信号(11)が、前記自動車のデータ信号であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記増幅器ユニット(103)が、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、前記増幅器ユニット(103)が、前記音信号(13)を増幅するように設計されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記増幅器ユニット(103)が、低周波数範囲内のAC電圧のための増幅器であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記変換器ユニット(104)が、音を発生させるために、前記増幅された音信号(14)を音響に変換するように設計された拡声器を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記変換器ユニット(104)が、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、前記変換器ユニット(104)が、音を発生させるために、前記増幅された音信号(14)を音響に変換するように設計されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、FMおよびMW範囲内の電磁場を検出することができるように設計されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
特に、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置を使用して、自動車用の音を発生させるための方法であって、
少なくとも1つの取込ユニット(101)を使用して、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号(11)を検出し、前記動作状態信号(11)に基づいて生成される基本信号(12)をチューニングユニット(102)に転送するステップ(S1)と、
前記チューニングユニット(102)を使用して、フィルタリングおよび音響構成によって前記基本信号(12)を再構成して音信号(13)を生成し、前記音信号(13)を増幅器ユニット(103)に転送するステップ(S2)と、
前記増幅器ユニット(103)を使用して、前記音信号(13)を増幅して、増幅された音信号(14)を生成し、前記増幅された音信号(14)を変換器ユニット(104)に転送するステップ(S3)と、
前記変換器ユニット(104)を使用して、前記増幅された音信号(14)を対応する音響信号に変換するステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項13】
電気ドライブトレインを備えた自動車用の音を発生させるための装置であって、
前記電気ドライブトレインによる電磁場に基づく、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号(11)を検出し、前記動作状態信号(11)に基づいて生成される基本信号(12)をチューニングユニット(102)に転送するように設計された少なくとも1つの取込ユニット(101)を備え、
前記チューニングユニット(102)が、フィルタリングおよび音響構成によって前記基本信号(12)を再構成して音信号(13)を生成し、前記音信号(13)を増幅器ユニット(103)に転送するように設計され、
前記増幅器ユニット(103)が、前記音信号(13)を増幅して、増幅された音信号(14)を変換器ユニット(104)に転送するように設計され、
前記変換器ユニット(104)が、前記増幅された音信号(14)を対応する音響信号に変換して、音を発生させるように設計されており、
更に、前記少なくとも1つの動作状態信号(11)が、前記自動車の電気ドライブトレインの高電圧要素によって引き起こされる電磁干渉であることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、電磁場を検出するための電磁気センサであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、制御バス上の電気ピックアップユニットであり、前記ピックアップユニットが、電気ドライブトレインの制御信号およびデータ信号を検出するように設計されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、請求項14または15に記載の取込ユニット(101)を複数有し、前記取込ユニット(101)が、それぞれ前記チューニングユニット(102)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの動作状態信号(11)が、前記自動車のデータ信号であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記増幅器ユニット(103)が、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、前記増幅器ユニット(103)が、前記音信号(13)を増幅するように設計されることを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記増幅器ユニット(103)が、低周波数範囲内のAC電圧のための増幅器であることを特徴とする請求項13〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記変換器ユニット(104)が、音を発生させるために、前記増幅された音信号(14)を音響に変換するように設計された拡声器を備えることを特徴とする請求項13〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記変換器ユニット(104)が、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、前記変換器ユニット(104)が、音を発生させるために、前記増幅された音信号(14)を音響に変換するように設計されることを特徴とする請求項13〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの取込ユニット(101)が、FMおよびMW範囲内の電磁場を検出することができるように設計されることを特徴とする請求項13〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
特に、請求項13〜22のいずれか一項に記載の装置を使用して、自動車用の音を発生させるための方法であって、
少なくとも1つの取込ユニット(101)を使用して、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号(11)を検出し、前記動作状態信号(11)に基づいて生成される基本信号(12)をチューニングユニット(102)に転送するステップ(S1)と、
前記チューニングユニット(102)を使用して、フィルタリングおよび音響構成によって前記基本信号(12)を再構成して音信号(13)を生成し、前記音信号(13)を増幅器ユニット(103)に転送するステップ(S2)と、
前記増幅器ユニット(103)を使用して、前記音信号(13)を増幅して、増幅された音信号(14)を生成し、前記増幅された音信号(14)を変換器ユニット(104)に転送するステップ(S3)と、
前記変換器ユニット(104)を使用して、前記増幅された音信号(14)を対応する音響信号に変換するステップ(S4)と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の音を発生させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、アクティブ振動減衰装置およびアクティブ音制御装置を有する自動車用の複合型の音/振動制御システムを開示する。
【0003】
上記文献に記載されている複合型の音/振動制御システムでは、アクティブ振動減衰装置とアクティブ音制御装置が、自動車内での音および振動に関するそれぞれの制御信号を交換する。上記制御信号は、調整ユニットによって重み付け係数を用いて処理され、調整ユニットは、エンジン回転周波数に応じて、複合型の音/振動制御システムに出力される周波数を変化させる。
【0004】
(特許文献2)は、音検出装置と、音発生装置と、拡声器とを備えるエンジン音発生システムを開示する。
【0005】
上記文献に記載されているエンジン音発生システムでは、エンジンによって発生される音のレベルが音の閾値レベル未満に下がった場合に、音発生システムがオンに切り替えられる。この場合、エンジンの音は、音検出装置によって取り込まれる。次いで、音は、エンジン音発生システムによってさらに増幅される。
【0006】
(特許文献3)は、電動機を有する電動自動車において、従来の様式で駆動されるガソリンまたはディーゼルエンジンの音を模倣するための装置を開示する。この場合、所望のエンジン音を発生させるために、いくつかの制御パラメータを備える音源が使用される。
【0007】
(特許文献4)は、電気自動車またはハイブリッド車の音発生を増幅させるために、人工音制御装置および拡声器システムによって人工音を発生させるように、音発生監視装置を介して自動車のアクセルペダルに接続された音発生装置を開示する。
【0008】
(特許文献5)は、自動車分野のための音発生装置であって、音発生装置が、車両制御バスの信号から発生される電気信号を増幅し、電気出力信号を発生させ、電気出力信号が、自動車のラジオ受信機によってさらに処理される音発生装置を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0269078A1号明細書
【特許文献2】特開2009−292337号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0277707A1号明細書
【特許文献4】特開200−316201号公報
【特許文献5】特開平05−011788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一目的は、運転者および/または運転者の周囲、例えば目の見えない歩行者に対する感情に作用する要素および安全性のための要素として、自動車で音を発生させるための改良された装置および改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項
1、13に記載の特徴を有する装置、および請求項
12、23に記載の特徴を有する方法によって実現される。
【0012】
したがって、本発明は、電気ドライブトレインを備えた自動車用の音を発生させるための装置であって、前記電気ドライブトレインによる電磁場に基づく、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号を検出し、前記動作状態信号に基づいて生成される基本信号をチューニングユニットに転送するように設計された少なくとも1つの取込ユニットを有し、チューニングユニットが、フィルタリングおよび音響構成によって基本信号を再構成して音信号を生成し、音信号を増幅器ユニットに転送するように設計され、増幅器ユニットが、音信号を増幅して、増幅された音信号を変換器ユニットに転送するように設計され、変換器ユニットが、増幅された音信号を対応する音響信号に変換して、音を発生させるように設計れ
ており、更に、前記少なくとも1つの取込ユニットが、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、電磁場を検出するように設計される装置を提供する。
また、本発明は、電気ドライブトレインを備えた自動車用の音を発生させるための装置であって、前記電気ドライブトレインによる電磁場に基づく、前記自動車の少なくとも1つの動作状態信号を検出し、前記動作状態信号に基づいて生成される基本信号をチューニングユニットに転送するように設計された少なくとも1つの取込ユニットを有し、チューニングユニットが、フィルタリングおよび音響構成によって基本信号を再構成して音信号を生成し、音信号を増幅器ユニットに転送するように設計され、増幅器ユニットが、音信号を増幅して、増幅された音信号を変換器ユニットに転送するように設計され、変換器ユニットが、増幅された音信号を対応する音響信号に変換して、音を発生させるように設計れており、更に、前記少なくとも1つの動作状態信号が、前記自動車の電気ドライブトレインの高電圧要素によって引き起こされる電磁干渉である装置を提供する。
【0013】
本発明は、さらに、自動車用の音を発生させるための方法であって、少なくとも1つの取込ユニットを使用して、自動車の少なくとも1つの動作状態信号を検出し、前記動作状態信号に基づいて生成される基本信号をチューニングユニットに転送するステップと、チューニングユニットを使用して、フィルタリングおよび音響構成によって基本信号を再構成して音信号を生成し、音信号を増幅器ユニットに転送するステップと、増幅器ユニットを使用して、音信号を増幅して、増幅された音信号を生成し、増幅された音信号を変換器ユニットに転送するステップと、変換器ユニットを使用して、増幅された音信号を対応する音響信号に変換するステップとを含む方法を提供する。
【0014】
請求項
1、13に記載の自動車用の音を発生させるための本発明による装置、および請求項
12、23に記載の対応する方法は、電気ドライブトレインの動作中に、運転者および/または運転者の周囲に感知させる要素を提供することができるという利点を有する。
【0015】
さらに、強められた音の車外への出力は、歩行者に対する警告として認識させることができる。さらに、車内で音が出力されることにより、運転者が、電気ドライブトレインの動作状態をより認識しやすくなる。
【0016】
本発明の根底にある考えは、人工音発生をなくし、電気ドライブトレインから取込された信号の有利な増幅およびフィルタリングのみによって音を発生させ、計算量および記憶容量の消費を抑えつつで音を発生させることができるようにすることである。
【0017】
さらなる従属請求項は、図面中の各図と併せて、本発明のそれぞれの主題の有利な発展形態および改良形態を開示する。
【0018】
装置の有利な一発展形態では、少なくとも1つの取込ユニットは、音響を検出するための電気音響変換器である。これにより、自動車の駆動要素の空気伝搬音が、基本信号としての対応する電圧変化に直接変換できるようになる。
【0019】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの取込ユニットは、電磁場を検出するための電磁気センサユニットである。
【0020】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの取込ユニットは、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備え、電磁場を検出するように設計される。
【0021】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの取込ユニットは、制御バス上の電気ピックアップユニットである。このピックアップユニットは、電気ドライブトレインの制御信号およびデータ信号を検出するように設計される。
【0022】
装置のさらなる有利な発展形態では、装置は、複数の取込ユニットを有する。取込ユニットは、それぞれチューニングユニットに接続される。
【0023】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの動作状態信号は、自動車の電気ドライブトレインの高電圧要素によって引き起こされる干渉である。
【0024】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの動作状態信号は、自動車のデータ信号である。
【0025】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの動作状態信号は、自動車の音響信号である。
【0026】
装置のさらなる有利な発展形態では、増幅器ユニットは、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備える。増幅器ユニットは、音信号を増幅するように設計される。
【0027】
装置のさらなる有利な発展形態では、増幅器ユニットは、低周波数範囲内のAC電圧のための増幅器である。
【0028】
装置のさらなる有利な発展形態では、変換器ユニットは、音を発生させるために、増幅された音信号を音響に変換するように設計された拡声器を備える。
【0029】
装置のさらなる有利な発展形態では、増幅器ユニットは、カーラジオの少なくとも1つまたは複数のユニットを備る。増幅器ユニットは、音信号を増幅するように設計される。
【0030】
装置のさらなる有利な発展形態では、少なくとも1つの取込ユニットは、FMおよびMW範囲内の電磁場を検出することができるように設計される。
【0031】
上述した改良形態および発展形態は、好適であれば、任意の望ましい様式で互いに組み合わせることができる。また、本発明のさらなる可能な改良形態、発展形態、および実装形態は、例示的実施形態に関して上述および後述する本発明の特徴の(明示的には述べない)組合せも含む。
【0032】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、以下の説明でより詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の例示的一実施形態による自動車用の音を発生させるための装置の概略図である。
【
図2】本発明のさらなる例示的実施形態による自動車用の音を発生させるための装置の概略図である。
【
図3】本発明のさらなる例示的実施形態による自動車用の音を発生させるための方法を示すためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面の各図において、特に指示がない限り、均等要素および機能的に均等な要素、特徴、および構成要素には、それぞれ同じ参照符号が付されている。見やすく、かつ分かりやすくするために、図面中、構成要素および要素は必ずしも原寸に比例しては図示されていない。
【0035】
図1は、本発明の例示的一実施形態による、自動車用の音を発生させるための装置100の概略図である。
【0036】
装置100により、電気ドライブトレインを有する自動車、例えばハイブリッド車や電気自動車用での音の発生が可能となる。そのために、装置100は取込ユニット101と、チューニングユニット102と、増幅器ユニット103と、変換器ユニット104とを備える。
【0037】
ハイブリッド車または電気自動車の電気動作モードでは、運転者に感知させる要素として、および歩行者に対する警告としての明瞭に聞こえるエンジン音は通常存在しない。
【0038】
装置100の取込ユニット101は、チューニングユニット102に接続される。さらに、チューニングユニット102は、増幅器ユニット103に接続され、増幅器ユニット103は、変換器ユニット104に接続される。
【0039】
取込ユニット101は、動作状態信号11を検出する。動作状態信号11は、音を発生させるための基礎として使用される。前記動作状態信号に基づいて生成される基本信号12が、チューニングユニット102に転送される。
【0040】
動作状態信号11は、例えば、電気ドライブトレインの高電圧要素によって引き起こされる電磁干渉を含むことができる。特に、高電圧要素の動作によって擾乱されるFMおよび/またはMW範囲内の周波数、あるいは他の高周波が、干渉を検出するために使用される。
【0041】
電気ドライブトレインの高電圧要素は、例えば、パワーエレクトロニクスシステム、変換器、電動機、または電気エネルギー貯蔵装置とし得る。
【0042】
この場合、例えば、電気ドライブトレインの高電圧要素の電磁干渉を検出するために、取込ユニット101がラジオ受信機の構成要素も使用する、または取込ユニット101が別個の独立したセンサユニットを備えると仮定することができる。
【0043】
これは、前記干渉、したがって検出される動作状態信号11のタイプおよび様式が、電気ドライブトレインの各場合の動作状態に依存するという利点を有する。これにより、従来の内燃機関と同様に、装置によって発生される音と、電気自動車駆動機構の現在の動作状態との直接的な関係が単純な方式で生み出される。
【0044】
取込ユニット101は、例えば、マイクロフォンの形態での電気音響変換器として、または電磁場を検出するための電磁気センサユニットとして設計される。
【0045】
さらに、取込ユニット101は、直接的な電気接続機構として、または制御バス上の電気ピックアップユニットの形態で設計することができ、電気ドライブトレインの制御信号およびデータ信号を検出するように設計することができる。
【0046】
チューニングユニット102は、フィルタリングおよび音響構成によって、取込ユニット101から受信される基本信号12から音信号13を構成する。音信号13は増幅器ユニット103に転送される。
【0047】
例えば、音響構成およびフィルタリングは、チューニングユニット102に記憶されている音響構成基準に基づいて、また、デジタル信号処理装置の電子音響アルゴリズムを使用して、基本信号12を音響的に最適化するように設計することができる。
【0048】
電子音響アルゴリズムは、チューニングユニット102を使用して基本信号12を連続的に処理するために使用される。ここで、例えば、基本信号12の音色に影響を及ぼすために、記憶されている音響構成基準に基づいて動的圧縮または周波数フィルタリングが行われる。
【0049】
さらに、チューニングユニット102のフィルタリングおよび音響構成は、アナログ構成要素によって行うこともできる。
【0050】
チューニングユニット102は、音響構成のため、ならびに可聴周波数の歪み生成および/または歪み補正のための電子構成要素として、フィルタとして設計することができる。チューニングユニット102は、例えばパラメータイコライザを備え、1つまたは複数の周波数帯域、中心周波数、および/または基本信号12の振幅変化が変更される。
【0051】
また、チューニングユニット102は、自動車の走行状態パラメータまたは動作モードを考慮して、必要に応じて基本信号12を再構成することもできる。例えば、スポーツ動作モードでは、市街地走行動作モードで同じ走行状態パラメータの下で発生されるよりも轟音の音信号13が発生される。
【0052】
増幅器ユニット103は、チューニングユニット102から受信された音信号13を増幅し、増幅された音信号14を生成する。使用される増幅器ユニット103は、例えば、カーラジオの可聴周波増幅器でよい。例えば、単独の増幅器が、増幅器ユニット103として使用される。
【0053】
さらに、変換器ユニット104によって音を出力することもできる。変換器ユニット104は、例えば、車内および/または車外用に設けられた1つの拡声器または1対の拡声器として設計される。
【0054】
図2は、本発明のさらなる例示的実施形態による自動車用の音を発生させるための装置100の概略図である。
【0055】
図2に示される例示的実施形態による装置100では、装置100が、取込ユニット101に加えてさらなる取込ユニット101bを有するようになっている。取込ユニット101bは、さらなる動作状態信号11bを検出し、前記さらなる動作状態信号に基づいて生成されるさらなる基本信号12bをチューニングユニット102に転送する。
【0056】
これにより、2つの取込ユニット101、101bの冗長使用によって、装置100の動作の信頼性水準の向上が実質的に実現される。したがって、動作状態信号11、11bを測定することにより、電気ドライブトレインの動作状態もより高い精度で分かる。
【0057】
2つの取込ユニット101、101bの図示されるような使用に加えて、例えば、複数の動作状態信号を同時に検出するために3つ以上の取込ユニットを使用することも可能である。複数の取込ユニットが結合される場合、異なる動作状態信号を比較して、個々の取込ユニットの誤動作を認識することが有益となることがある。
【0058】
言及していない
図2における参照符号については、
図1の説明で既に述べた。
【0059】
図3は、本発明のさらなる例示的実施形態による自動車用の音を発生させるための方法200を示すためのフローチャートである。自動車用の音を発生させるための方法200は、装置100によって行われる。
【0060】
自動車用の音を発生させるための方法の第1のステップS1で、少なくとも1つの取込ユニット101によって、自動車の少なくとも1つの動作状態信号11の検出が行われる。前記動作状態信号に基づいて生成される基本信号12がチューニングユニット102に転送される。
【0061】
方法の第2のステップS2で、基本信号12は、チューニングユニット102によって、フィルタリングおよび音響構成により再構成されて、音信号13が生成される。音信号13は、さらに増幅器ユニット103に転送される。
【0062】
方法の第3のステップS3で、音信号13は、増幅器ユニット103によって増幅されて、増幅された音信号14が生成される。増幅された音信号14は、変換器ユニット104に転送される。
【0063】
方法の第4のステップS4で、増幅された音信号14は、変換器ユニット104によって、対応する音響信号に変換される。