【実施例】
【0118】
実施例1:馴化培地
MSC及びSB623細胞を、記載のように得て及び/又は調製した。例えば、米国特許第7,682,825号(2010年3月23日)及び米国特許出願公開第2010/0266554号(2010年10月21日)、2010/0310529号(2010年12月9日)、2011/0229442号(2011年9月22日)、及び2011/0306137号(2011年12月15日)を参照し;これらの開示は、SB623細胞(これらの文献において、「神経前駆細胞(neural precursor cell)」及び「神経再生細胞(neural regenerating cell)」として様々に称される)の調製を記載する目的のために、それらの全体について、参照により組み込まれる。細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS,Hyclone,Logan,UT)、2mMのL‐グルタミン及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen,Carlsbad,CA(両方))を補った、α‐MEM(Mediatech,Herndon,VA)を含む成長培地で培養した。MSC及びSB623細胞は、フローサイトメトリーで測定した通り、典型的に、CD29、CD90及びCD105を発現し、そしてCD31、CD34、又はCD45を発現していなかった。
【0119】
本明細書に記載される実験で使用するために、同じヒトドナー由来の凍結MSC及びSB623細胞を解凍し、成長培地に再播種し、そして約1週間回復させた。馴化培地を得るために、細胞を、約90%コンフルエンス(〜15,000細胞/cm
2)まで増殖させ、プレートを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、そして培地を、次にOptiMEM(登録商標)培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)で置換し、同じ細胞密度を維持した。馴化培地を、72時間後に採取した。馴化培地の凍結サンプルを、使用前に37℃にゆっくりと加温した。
【0120】
実施例2:HUVEC生存に対するSB623細胞分泌因子の影響
脳虚血は、患部への栄養供給の損失をもたらし得る。SB623細胞及びMSC由来の可溶性因子が、栄養欠乏内皮細胞に対する回復効果を有するかどうかを決定するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、血清及び増殖因子欠乏培地において、24時間培養し、次に、MSC又はSB623細胞由来の馴化培地(CM)に供した。対照培地は、CMを添加しない、血清及び増殖因子欠乏培地のままである。HUVECの生存率及び増殖能力を、その後、評価した。
【0121】
これらの実験のために、ヒト臍帯静脈内皮細胞を、2回通過させ、次に7.5×10
5細胞を、0.1%のゼラチンでコーティングした、T‐75フラスコで、EBM‐2/ECGS培地(Endothelial Basal Medium‐2/Endothelial Cell Growth Supplement;Lonza,Walkersville,MD)において播種し、そして24時間培養した。HUVEC単層を、温かいPBSで2回洗浄し、そして12mlの新鮮なEBM‐2培地で、37℃、5%のCO
2で、一晩インキュベートした。CMの影響を、それぞれのフラスコ由来の6mlの培地を取り出し、そしてそれを、6mlの新鮮なOptiMEM(対照)、6mlのMSC馴化培地、又は6mlのSB623細胞馴化培地(実施例1に記載のように調製した馴化培地)と置換することにより、その後、評価した。7日後、非付着及び付着細胞を採取し、1400rpmで5分間遠心分離し、そして次の染色分析のために3つの画分に分けた(PL、Bcl‐2及びKi67)。
【0122】
死んだ細胞は、ヨウ化プロピジウム(PI)に透過性であるので、細胞死を定量化するために、細胞を、PIで染色した。細胞を、5μg/mlのPIで、30分間室温で染色し、そしてフローサイトメトリー収集及び分析を、BD FACSCalibur CellQuest program(BD Biosciences,San Jose,CA)のFL‐2対数チャンバーを使用して行った。本アッセイについて、3人の異なるヒトドナーペアを試験した。結果を、
図1に示す。栄養欠乏培地で7日間保持した対照HUVEC培養物において、細胞の70%超が、ヨウ化プロピジウム染色に関して陽性であった。SB623又はMSC馴化培地のいずれかの添加は、ヨウ化プロピジウム陽性細胞の割合を有意に減少した(p<0.05)。
【0123】
これらの結果は、MSC馴化培地及びSB623細胞馴化培地の両方が、血清及び増殖因子欠乏により生じる内皮細胞の死を有意に減少させる(すなわち、ヨウ化プロピジウム陽性HUVECの数を減少させる)ことを示す。
【0124】
Bcl‐2は、もともと、特定のB細胞リンパ腫において過剰発現されるものとして同定された抗‐アポトーシスタンパク質である。従って、Bcl‐2タンパク質を発現している細胞画分を、血清/増殖因子欠乏HUVECにおいて、それらのアポトーシスの可能性の指標として測定した。Bcl‐2測定のために、細胞を4%のパラホルムアルデヒドで固定し、そして0.1%のトリトン‐X100で1時間、透過処理した。透過処理後、細胞を、氷上で、フルオレセインコンジュゲート抗‐Bcl‐2で、1時間、染色し、次に、サンプルを、BD FACSCaliburのFL‐1チャンネル上で、洗浄、収集、及び分析した。フルオレセインコンジュゲートIgGに供した細胞を、陰性対照として使用した。これらのアッセイのために、3人の異なるヒトドナーペアを試験した。
【0125】
図2において示された結果は、MSC馴化培地又はSB623細胞馴化培地のいずれかの存在が、血清欠乏内皮細胞の培養物において、Bcl‐2陽性細胞画分を有意に増加したことを示す。
【0126】
NSC又はSB623細胞由来の馴化培地が、死細胞(PI‐陽性)の数を減少させ、そして抗‐アポトーシスBcl‐2タンパク質を発現する細胞の数を増加させたことは、MSC及びSB623細胞の両方が、内皮細胞の生存を高める因子を分泌したことを示す。
【0127】
実施例3:HUVEC増殖に対するSB623細胞分泌因子の影響
Ki67は、細胞周期のG0(静止)期から出た細胞において存在するタンパク質であり;従って、Ki67のレベルは、細胞増殖の尺度として使用し得る。Ki67タンパク質を発現する細胞画分を、血清及び増殖因子を欠乏させたHUVECにおいて測定し、その後、MSC又はSB623細胞のいずれか由来の馴化培地で培養した。
【0128】
Ki67測定のために、実施例2に記載のように、HUVECを培養し、そしてCMに供した。細胞を4%のパラホルムアルデヒドで固定し、そして0.1%のトリトン‐X100で1時間、透過処理した。透過処理後、細胞を、氷上で、フルオレセインコンジュゲート抗‐Ki67抗体で1時間染色し、その後、サンプルを、BD FACSCaliburのFL‐1チャンネル上で、洗浄、収集、及び分析した。フルオレセインコンジュゲートIgGに供した細胞を、陰性対照として使用した。これらの分析のために、3人の異なるヒトドナーペアを試験した。
【0129】
図3は、MSC又はSB623細胞のいずれか由来の馴化培地の存在下で、欠乏HUVECの培養物が、馴化培地に供していない対照HUVECと比較して、増加したKi67を発現する細胞画分をもたらすことを示す。MSC又はSB623細胞由来の馴化培地が、増殖に関連するKi67タンパク質を発現する細胞の数を増加させたことは、MSC及びSB623細胞が、内皮細胞増殖を高める因子を分泌することを示す。
【0130】
本実施例及び従前の実施例で示した結果は、これらの内皮細胞を、MSC又はSB623細胞馴化培地で、7日間培養した場合、非馴化培地における培養物と比較して、HUVECの生存及び増殖の有意な増加を明らかにした(p<0.05)。
【0131】
実施例4:内皮細胞による管形成に対するSB623細胞分泌因子の影響
HUVEC管形成アッセイを、血管形成を刺激する因子を詳しく述べるためにMSC及びSB623細胞の能力を試験するために用いた。例えば、EJ Smith & CA Station,“Tubule Formation Assays,”in Angiogenesis Assays‐A Critical Appraisal of Current Techniques,(Station,Lewis & Bicknell, eds.).John Wiley & Sons,Ltd.,West Sussex,UK,pp.65‐87,2006;及びGoodwin(2007)Microvasc.Res.74:172‐183を参照のこと。
【0132】
HUVECを、EBM‐2/ECGS培地に5回通し、次に、1×105細胞/mlの密度で、α‐MEM/0.5% FBS/2mM グルタミン/ペニシリン‐ストレプトマイシンに移した。24時間後、HUVECを、0.25%のトリプシン‐EDTAを使用して採取し、洗浄し、そして1×105細胞/mlの密度で、α‐MEM/2mM グルタミン/ペニシリン‐ストレプトマイシンに再懸濁した。75μlのHUVECと75μlのMSC又はSB623馴化培地(実施例1)のいずれか、又は75μlのOptiMEM培地(陰性対照)の混合物を、各ウェルに、50μlのReduced Growth Factor(RGF)‐ベースメントゲル(Invitorgen,Carslsbad,CA)を添加することにより前処理した、96ウェルプレートの各ウェルに添加し、そしてプレートを、37℃で45分間、インキュベートした。本アッセイのために、MSCを、3人の異なるヒトドナーから取得し、そしてそれぞれのドナー由来のMSCの一部をSB623細胞に変換した。
【0133】
16時間後、培養物を、位相差顕微鏡及び写真により観察した。完全な管(接触している細胞により形成)の数を、群を知らされていない実験者によって定量化した。3人のドナーのいずれかからの結果を示す写真を、
図4に示す。
図5にまとめた、3人すべてのドナー由来のMSC及びSB623細胞を使用するアッセイの結果は、管形成が、MSC又はSB623細胞のいずれか由来の馴化培地によって強力に高められることを示す。従って、MSC及びSB623細胞は、血管形成を促進する因子を分泌する。
【0134】
実施例5:血管伸長及び分岐に対するSB623細胞分泌因子の影響
虚血損傷後の血管系の回復は、残存している内皮細胞が、それらの移動及び浸潤を促進するシグナルを受け取る必要がある。そのようなシグナルは、とりわけ、血管平滑筋細胞、単球及び/又はマクロファージから生じ得る。血管発芽及び分岐に関わる因子の分泌を試験するために、大動脈輪アッセイを使用した。例えば、Nicosia & Ottinetti(1990)Lab.Invest.63:115‐122及びNicosia(2009)J.Cell.Mol.Med.13:4113‐4136を参照のこと。
【0135】
大動脈輪の調製のために、スプラーグ‐ドーリ(Sprague‐Dawley)ラットの成獣を、解剖の前に安楽死させた。大動脈の両端を鉗子で止め、それを除去し、そして氷冷α‐MEM/ペニシリン‐ストレプトマイシン培地に、外脂肪層を除去する前に、移した。脂肪不含大動脈を、1.0mmの厚さの輪に分ける前に、氷冷EBM‐2/ペニシリン‐ストレプトマイシン培地で2回洗浄した。大動脈輪をその後、EBM‐2/ペニシリン‐ストレプトマイシン培地を含むプレートに移し、そして37℃、5%のCO
2で、6日間インキュベートし、3日目に培地を新鮮なEBM‐2/ペニシリン‐ストレプトマイシン培地と置換して、すべての内因性のラット血管新生因子を欠乏させた。その時点で、培地を、α‐MEM/ペニシリン‐ストレプトマイシン培地で置換し、そして培養を、24時間続けた。
【0136】
大動脈輪アッセイの0日目(培養開始後7日)、50μlのReduced Growth Factor(RGF)ベースメントゲルを、24ウェルプレートの各ウェルに堆積させた。各大動脈輪を、各ゲルコーティングされたウェルの真ん中に置き、そして追加の25μlのRGFベースメントゲルを重ねた。ゲルの凝固のために、37℃/5% CO
2で、30分間放置後、500μlのα‐MEM/2mMグルタミン/ペニシリン‐ストレプトマイシンを、各ウェルに添加し、そしてインキュベーションを、さらに30分間続けた。その後、500μlのMSC又はSB623由来馴化培地(実施例1)のいずれかを添加した。陰性対照として、500μlのOptiMEM培地を、馴化培地の代わりに使用した。
【0137】
MSC及びSB623由来因子の血管新生活性を評価するために、位相差写真を、10日目に撮影し、そして結果を、群を知らされていない実験者によって、血管伸長及び分岐を数えることにより定量した。新たな血管の増殖を、輪から伸長する血管の数を測定することにより定量し;血管分岐を、大動脈輪から伸長する血管に存在する分岐点の数を測定することにより定量した。
【0138】
10日目のサンプル由来の代表的な結果を、
図6に示し、そして10日目の培養物の7組由来の結果を、
図7にまとめそして定量する。
図7Aは、MSC及びSB623細胞の両方に由来する馴化培地が、対照大動脈輪と比較して、新たに発芽した血管の数及び分岐の程度の増加を刺激したことを示す。さらに、血管分岐の有意な増加を、MSC馴化培地において培養した輪(
図6B、
図7A)、又は非馴化培地において培養した輪(
図6A、
図7A)のいずれかと比較して、SB623細胞馴化培地において培養した輪(
図6C、
図7A)で観察した。これらの結果は、MSC及びSB623細胞が、血管発芽及び血管分岐を促進する因子を分泌することを示す。特に、SB623細胞は、大幅に血管分岐を促進する因子を分泌する(
図7B参照)。
【0139】
前述の実施例で示したデータは、SB623細胞分泌可溶性因子が、血管新生のいくつかの側面を促進し、そして損傷した脳における回復に寄与することを示す。
【0140】
実施例6:統計
各実験(3〜4ウェル/群)について、平均値を、(1)各細胞種の処理条件(MSC又はSB623細胞由来の馴化培地;試験したヒトドナーあたり1つの値)及び(2)非処理群(試験の各回に1つの値)について得た。統計比較(SigmaStat,SystatSoftware,Chicago,IL)について、これらの値のそれぞれを使用し、そして比較を、以下の群(1)対照(非馴化培地;n=3)、(2)MSC馴化培地(n=3〜5);及び(3)SB623細胞馴化培地(3〜5)の間で、一元配置分散分析法(one way ANOVA)を使用して行った。追加のペアワイズ比較を、Tukey法を使用して行った。0.05のα値を、平均が有意に異なるかどうかを決定するために使用した。
【0141】
実施例7:MSC及びSB623細胞によって分泌された血管新生因子の同定
MSC及びSB623細胞における、特定のサイトカイン及び栄養因子のレベルを測定した。馴化培地を得るために、MSC及びSB623細胞を、増殖培地中で、90%コンフルエンスまで(〜15,000細胞/cm
2)培養し、その時点で培地を除去し、細胞をPBS中で洗浄し、そしてOptiMEM(登録商標)培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)を添加して、〜150,000細胞/mlの濃度を得た。馴化培地を、72時間後、回収し、そして取扱説明書に従って、Quantibody(登録商標)Human Angiogenesis Assay 1(RayBiotech,Norcross,GA)を使用してアッセイした。MSCの各ソースについて、細胞の一部を、MSCとして直接培養し、そして一部を、SB623細胞に変換した。従って、特定のドナー由来のMSCの培養物及びこれらのMSCから作成されたSB623細胞の培養物を、対応「ドナーペア(donor pair)」として称する。本実験において、4つのドナーペアをアッセイした。タンパク質の濃度として表した濃度を、馴化培地を採取した時、培養物中に存在する細胞の数を標準化した。
図8は、ドナーによる、アンジオゲニン、ANG‐2、HB‐EGF及びPIGFについての結果を示す。
図9は、またドナーによる、これらの4つの因子、及び他の6つについての結果を示し、そしてMSC及びSB623細胞によって産生された大量のVEGFを強調する。
【0142】
表1は、10個の試験した因子について、4つのドナーペアの間で平均したタンパク質レベルを示す。分泌される栄養因子のレベルは、異なるドナーの間で変化したが(例えば、
図8及び9に示すように)、4つの因子のレベル(アンジオゲニン、アンジオポエチン‐2、HB‐EGF及びPIGF)は、一貫してMSCとSB623細胞の間で異なった。アンジオゲニン、ANG‐2、及びHB‐EGFは、SB623細胞によってより高発現されたが、PIGFのより高い濃度が、MSCによって産生された。
【0143】
【表1】
【0144】
略語は以下の通りである。ANG‐2:アンジオポエチン‐2;EGF:上皮増殖因子;bFGF:塩基性線維芽細胞増殖因子/線維芽細胞増殖因子2;HB‐EGF:ヘパリン結合上皮増殖因子様増殖因子HGF:肝細胞増殖因子;PDGF‐BB:血小板由来増殖因子‐BB;PIGF:胎盤増殖因子;VEGF:血管内皮細胞増殖因子。数字は、pg/ml/10
6細胞として表されたサイトカインレベルを意味する。「AVG」は、馴化培地が得られた、MSCの4つのソース及びSB623細胞の4つのソースからの平均値を意味する。「SD」は、標準偏差を意味する。「‐」は、たとえあったとしても、レベルが、アッセイにおける検出限界未満であったことを示す。「N/A」は、「非適用(not applicable)」を示す。
【0145】
実施例8:HUVEC生存率及び増殖に対するVEGFシグナル伝達阻害の影響
MSC及びSB623細胞の両方によって分泌される大量のVEGFを考慮して、MSC及びSB623馴化培地の血管新生促進活性に対するVEGFの寄与を、VEGFシグナル伝達の阻害剤を使用して試験した。SU5416(VEGFR2キナーゼ阻害剤III,EMD Millipore,Billerica,MA)は、VEGF受容体2(Flk‐1)、より少ない程度に、VEGF受容体1(Flt‐1)及び他の受容体チロシンキナーゼによる下流シグナル伝達を阻止して、それによって、血管新生を阻害する。
【0146】
HUVEC生存率アッセイ(ヨウ化プロピジウムの取り込み及びBcl‐2発現)を、50nMのSU5416の存在下及び不存在下で、SB623細胞馴化培地の2つのバッチについて、細胞を、アッセイ前に7日間の代わりに5日間培養したことを除いて、実施例2に記載のように実施した。阻害剤を、CMの添加30分前に、培養物に添加した。より高い濃度のSU5416は、VEGFR2よりも他の受容体チロシンキナーゼを阻害し得るので、本SU5426濃度を、VEGFR2シグナル伝達(しかしながら、例えば、PDGF受容体、EGF受容体、又はFlt3によっては伝達されない)を阻害するように選択した。
図10A及び10Bに示した結果は、HUVECがSB623馴化培地及びSU5416中で培養された場合の方が、それらが、SB623細胞馴化培地単独で培養された場合よりも、より細胞が、PIを取り込み(
図10A)、そして細胞が、より少ない抗‐アポトーシスタンパク質を発現する(
図10B)ことを示す。従って、VEGF受容体活性の阻害は、HUVECの生存率に対するSB623細胞馴化培地の好影響を部分的に低減し、これらの効果におけるVEGFタンパク質の役割を示す。
【0147】
SB623細胞因子によるHUVEC増殖の刺激に対するVEGF受容体阻害剤の影響をまた評価した。Ki67の発現に関するアッセイを、50nMのSU5416を、馴化培地の添加30分前に培地に添加し、そして細胞を、アッセイ前に7日間の代わりに5日間培養したことを除いて、実施例3に記載のように実施した。
図11に示され及び2つのドナーから平均された結果は、SB623細胞由来の馴化培地の存在下で観察されたHUVEC増殖の増大を、VEGFR2の阻害によって部分的に逆転したことを示す。
【0148】
これらの結果は、MSC及びSB623細胞馴化培地の生存促進及び増殖促進活性において、他のSB623細胞由来因子に加えて、VEGFの役割を指摘する。
【0149】
実施例9:ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)による管形成に対するVEGFシグナル伝達阻害剤の影響
MSC及びSB623細胞由来の馴化培地を伴うHUVEC管形成アッセイを、VEGF2受容体阻害剤SU5416の存在下及び不存在下で、実施例4に記載のように行った。馴化培地の不存在下で培養した細胞を、陰性対照として使用し;そしてVEGF(10ng/ml)の存在下で培養した細胞を、陽性対照として使用した。
図12に示される結果は、VEGF、MSC馴化培地及びSB623細胞馴化培地のすべてが、管形成を促進したが、一方、VEGF2阻害剤SU5416は、これらの薬剤すべてによる管形成の刺激を低減したことを示す。
【0150】
管形成の定量を、播種後16及び40時間で、SU5416の存在下及び不存在下で、SB623細胞馴化培地に供したHUVECについて、実施例4に記載のように実施した。
図13に示される結果は、両時点において、VEGFR2の阻害が、管形成に対するCMの好影響を完全に逆転することを示す。
【0151】
実施例10:大動脈輪アッセイにおける血管伸長及び分岐に対するVEGFシグナル伝達阻害の影響
大動脈輪血管新生アッセイを、50nMのSU5416の存在下及び不存在下で、SB623細胞馴化培地の1つのバッチにおいて、実施例5に記載のように実施した。阻害剤を、CMの添加30分前に培養物に添加し、そして輪を、培養10日後にアッセイした。結果は、SB623細胞馴化培地における大動脈輪の培養物に由来する血管伸長及び分岐(
図14、左及び中央パネルの比較)が、VEGF受容体阻害剤SU541の存在下(
図14、中央及び右のパネルの比較)で低減したことを示す。これらの結果は、SB623細胞馴化培地の血管新生促進活性におけるVEGFの役割についてさらなる証拠を提供する。
【0152】
VEGF受容体阻害剤を使用して得られた結果(上記)は、これらのプロセス(特に、管形成、血管伸長及び血管分岐)に対するVEGFの重要性を確信した一方で、MSC及びSB623細胞馴化培地の血管新生促進活性におけるさらなる因子(VEGF以外)の関与を除外しない。